JP5285488B2 - 作業車の走行操作装置 - Google Patents
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Description
この種の走行操作装置として、従来、たとえば特許文献1に示されるものがあった。すなわち、切換スイッチ(公報内番号:SW)を路上走行位置に設定しておくと、制御装置(公報内番号:15)の車速制御手段(公報内番号:C)が作動し、回転数検出センサ(公報内番号:17)によりエンジン回転数(公報内番号:N)を検出する。検出エンジン回転数(公報内番号:N)に比例した機体走行速度になるように、予め演算される特性に基づいてストロークセンサ(公報内番号:16)の出力が、この特定と合致するよう電動シリンダ(公報内番号:11)を駆動制御し、エンジンの速度アップ操作を行なえば、エンジン回転数の増加に伴って機体走行速度が比例的に変化するように電動シリンダが自動的に駆動操作されて、無段変速装置(公報内番号:4)が増速側に変速操作されるものがあった。
一方、上記構成のものを改善するものとして特許文献2があり、エンジン回転数が設定回転数に上昇し、かつ、無段変速装置(公報内番号:30)が設定速度状態に増速するまでは、エンジン回転数の上昇変化率が無段変速装置の増速変化率より大である状態で、調速装置と無段変速装置とが連係して操作されるものがある。
しかし、人為操作具を操作した状態でエンジン回転数の上昇とともに無段変速装置の増速側への操作が開始されるので、無段変速装置の負荷が回転数を上昇させようとするエンジンに負荷を掛けるところから、エンジン自体の低速トルク特性が十分でない場合には、作業車の発進が円滑でなく、かつ、エンジン出力不足が発生する虞も解消できてはなかった。
本発明の作業車の走行操作装置は、エンジンの調速装置と無段変速装置とを人為操作具に連係させた連係手段を備え、前記連係手段は、前記人為操作具の待機位置から高速側への操作に連動して、先行して前記調速装置のみを高速側に操作してエンジン回転数をアイドリング回転数から所定回転数まで上昇させ、前記エンジン回転数が所定回転数に上昇した状態で、前記調速装置と共に前記無段変速装置を停止位置から高速側に操作すべく構成してあり、前記連係手段に、前記人為操作具と前記調速装置とを連係する第1連係機構と、前記第1連係機構と前記無段変速装置とを連係する第2連係機構とを設け、前記第1連係機構に駆動アームを設け、前記第2連係機構に前記駆動アームの作動に連動して作動し前記無段変速装置を駆動する被動アームを設け、前記人為操作具の待機位置で、前記駆動アームと前記被動アームとを離間して設け、前記駆動アームが所定量以上作動した状態で、前記駆動アームで前記被動アームを駆動するように構成して、前記調速装置のみを先行して高速側へ切換える融通機構を設けてあり、前記被動アームにダンパーが連結されている。
上記構成において、前記駆動アームが前記所定量以上作動した状態で、前記ダンパーにより前記被動アームが前記駆動アームに当接するように付勢され、前記被動アームが前記駆動アームと一体となって駆動されると好適である。
また、上記構成において、前記駆動アームと前記被動アームとが同一の揺動軸心廻りに揺動自在に支持されていると好適である。
人為操作具の待機位置から高速側への操作によって、調速装置によってエンジン回転数が上昇するが、無段変速装置は停止状態を維持している。そして、エンジン回転数が所定回転数まで上昇した段階で、無段変速装置が停止位置から高速側に操作され、エンジン回転数も更に上昇する。
このように、人為操作具の操作を開始した段階では、エンジン回転数を先行して上昇させ、エンジン回転数が上昇した段階で無段変速装置の変速を高速側に行うようにしたので、無段変速装置からの起動負荷がエンジンに作用しても十分にそれに応えるだけのエンジン回転数とトルクを確保できる。
これによって、作業車の発進が円滑に行われ、かつ、エンジン出力不足が起こることも抑制できる。
人為操作具で調速装置の操作と無段変速装置の操作を行うものにおいて、作業車の発進時には、調速装置のみ作動させてエンジン回転数を先行して上昇させる改善を施すことによって、エンジンのトルク等を無段変速装置の負荷にも十分対応することができ、エンジン出力不足等の不具合を回避して円滑な発進をすることができる。
また、人為操作具を操作すると、第1連係機構を介して調速装置が作動してエンジン回転数を上昇させる。第2連係機構は第1連係機構に連係されているので、第1連係機構が作動すれば第2連係機構も作動するが、第1連係機構と第2連係機構との連係部位に融通機構が設けてあるので、第2連係機構は、その融通機構が機能しなくなるまでは、第1連係機構の作動を受けることはなく、作動しない。
したがって、第1連係機構と第2連係機構との連係部位に融通機構を設ける工夫を施すことによって、作業車の発進時には、調速装置のみ作動させてエンジン回転数を先行して上昇させる機能を確保できる。
また、融通機構を構成するに、第1連係機構に属する駆動アームと第2連係機構に属する被動アームとを、人為操作具の待機位置で、離間して設けることで対処した。これによって、人為操作具への操作が進みエンジン回転数が所定回転数まで上がった状態で、駆動アームが前記被動アームに作用して駆動する状態を得ることができる。
したがって、融通機構を構成するに、駆動アームと被動アームとを離間させて設ける構成の採用によって達成でき、簡単な構成で始動を円滑に行いエンジン出力不足を有効に回避する機能を発揮できるものを提供できるに至った。
上記構成において、前記エンジンの調速装置がアイドリング状態、前記無段変速装置が停止状態、前記人為操作具が待機位置、にある基準状態に復帰させる単一の復帰付勢手段を設けていると好適である。
前記エンジンの調速装置をアイドリング状態、前記無段変速装置を停止状態、前記人為操作具を待機位置、にある基準状態に単一の復帰付勢手段で行うことができるので、個々に、復帰付勢手段を設ける場合に比べて、復帰させる状態にバラツキが出ることを回避することができる。
また、個々に復帰付勢力の調節を必要とするといった手間の掛かる作業を必要とせず、かつ、復帰付勢手段の個数も少なくてすみ、組み付け作業の簡素化にもなる。
また、上記構成において、前記駆動アームと前記被動アームとは板状フレームに、当該板状フレーム側から前記駆動アーム、前記被動アームの順で、単一の揺動軸心廻りに揺動自在に支持され、前記駆動アームの前記調速装置連係側アーム部が前記被動アーム側に折り曲げられた第1折り曲げ部を有し、当該第1折り曲げ部が前記被動アームの前記他端側に当接して前記被動アームが駆動されるように構成され、前記被動アームの前記一端側に前記板状フレーム側に折り曲げられた第2折り曲げ部を有し、前記板状フレームに前記被動アームの揺動範囲を規定する凹部が形成され、前記エンジンの調速装置がアイドリング状態、前記無段変速装置が停止状態、前記人為操作具が待機位置、にある基準状態において、前記第2折り曲げ部が前記凹部の一端に当接するとともに、前記アクセルペダル連係側アーム部が前記第2折り曲げ部に当接し、前記第1折り曲げ部と前記被動アームの前記他端側とが離間していると好適である。
また、上記構成において、前記基準状態に復帰させる単一の復帰付勢手段が前記アクセルペダル連係側アーム部に連結されて前記アクセルペダル連係側アーム部を前記凹部の前記一端側に付勢するように構成され、前記ダンパーが前記被動アームの前記他端側に連結されていると好適である。
すなわち、エンジン3の後部に位置するフライホィール10が付いている出力軸3aからの出力を、回転軸11を介して静油圧式の無段変速装置(HST)30の入力軸31に伝達し、この無段変速装置30の出力軸32からの出力を、回転軸12を介してギヤトランスミッション13に入力し、このギヤトランスミッション13の出力を後輪差動機構14に入力するとともに、この後輪差動機構14の左右の出力軸14aからの出力を、回転軸16を介して後輪2に伝達するようにしてある。前記ギヤトランスミッション13の前輪用出力を、前輪1に対する伝動を入り切りするクラッチ機構17、回転軸18,19を介して前輪差動機構20に入力し、この前輪差動機構20の左右の出力を、回転軸21を介して前輪1に伝達するようにしてある。
駆動力を無段階に変速して出力するように静油圧式の無段変速装置になっている。また、出力軸32に掛かる前後輪駆動負荷が設定負荷未満であると、駆動油路39の油圧が設定油圧未満になってモータ切り換えシリンダ38が油圧モータ37を停止側に切り換えるため、油圧ポンプ35からの圧油を両油圧モータ36,37のうちの定容量形の油圧モータ36のみに供給し、この油圧モータ36を高速で駆動して出力する。出力軸32に掛かる前後輪駆動負荷が設定負荷以上なると、駆動油路39の油圧が設定油圧以上になってモータ切り換えシリンダ38が油圧モータ37を駆動側に切り換えるため、油圧ポンプ35からの圧油を両油圧モータ36,37に分流させて供給して、両油圧モータ36,37を低速で駆動して出力する。
aの車体後方向きの開口を閉じるようにしてハウジング本体34aに脱着自在にネジ連結してあるポートブロック33、このポートブロック33の車体後方向きの側面がわにボルト連結してあるとともに可変容量形油圧モータ37及びモータ切り換えシリンダ38を収容している第2ハウジング本体34bを備えて構成してある。
この走行操作装置は、アーム部55aで支軸56に連結しているアクセルペダル55、このアクセルペダル55を調速装置50及び無段変速装置30に連係させている連係手段60を備えて構成してある。
第1連係機構Bは、アクセルペダル55に連係された第1レリーズワイヤ26、第1レリーズワイヤ26の他端に取り付けかつ揺動軸芯X回りで天秤揺動する駆動アーム23、駆動アーム23の他端に連結されている第2レリーズワイヤ27とで構成されている。駆動アーム23に連結されている第2レリーズワイヤ27の他端は調速装置50に連係されている。
被動アーム24の一端には前記した連動ロッド40が連結してあり、被動アーム24の他端には下向きの折り曲げ部24aを形成して、この折り曲げ部24aを駆動アーム23のアクセルペダル連係側アーム部23Aに当接させている。
折り曲げ部24aは後記する基板フレーム41における一端に形成された係合凹部41A内に位置しており、この折り曲げ部24aが係合凹部41Aの一端部に当接することによって、被動アーム24の揺動範囲を規定している。
駆動アーム23と被動アーム24と、各レリーズワイヤ26、27のアウター端26A、27Aは板状フレーム41に取り付けられている。
ここに、基準状態とは、エンジン3の調速装置50がアイドリング状態、無段変速装置30が停止状態、アクセルペダル55が待機位置にあることをいう。
この離間する状態によって、第1連係機構Bと第2連係機構Cとの連係部位に、調速装置50のみを先行して高速側へ切換える融通機構Dを構成する。
尚、被動アーム24の無段変速装置連係側アーム部24Aには、ダンパー43が連結されており、被動アーム24の振動を抑制し円滑な作動を行わせる働きをする。特に、後記するように、駆動アーム23がアクセルペダル55への踏み込み操作によって作動を開始して、駆動アーム23のアクセルペダル連係側アーム部23Aが被動アーム24の下向き折り曲げ部24aから離間して、被動アーム24が一次的に駆動アーム23の当接力を受けなくなった場合に、被動アーム24の振動を抑制し円滑な作動を行わせる点で有効である。
この間に、エンジン3は、アイドリング状態(アイドリング回転数c)から徐々に回転数を上げて所定の回転数dに至る(図10における点a)。
特に、前記したようにエンジン3として、ディーゼルエンジンに比較して低速トルクが小さいガソリンエンジンを使用する場合に有効である。
(1) 上記実施形態の如く、機械式の連係手段60に替え、アクセルペダル55の操作位置を検出するストロークセンサーからの検出情報を基に、調速装置50の調速操作部51を操作する調速アクチュエータ、及び、無段変速装置30の変速操作部40を操作する変速アクチュエータをそれぞれ自動的に操作することにより、アクセルペダル55の操作に基づいて調速装置50及び無段変速装置30を連係させて操作する電気式の制御手段を採用して実施してもよいのであり、これら、機械式の連係手段60、電気式の制御手段を総称して連係手段60と呼称する。
23 駆動アーム
24 被動アーム
30 静油圧式無段変速装置(無段変速装置)
42 復帰付勢バネ
50 調速装置
55 アクセルペダル(人為操作具)
60 連係手段
A 復帰付勢手段
B 第1連係機構
C 第2連係機構
D 融通機構
c アイドリング回転数
d 所定回転数
Claims (7)
- エンジンの調速装置と無段変速装置とを人為操作具に連係させた連係手段を備え、前記連係手段は、前記人為操作具の待機位置から高速側への操作に連動して、先行して前記調速装置のみを高速側に操作してエンジン回転数をアイドリング回転数から所定回転数まで上昇させ、前記エンジン回転数が所定回転数に上昇した状態で、前記調速装置と共に前記無段変速装置を停止位置から高速側に操作すべく構成してあり、
前記連係手段に、前記人為操作具と前記調速装置とを連係する第1連係機構と、前記第1連係機構と前記無段変速装置とを連係する第2連係機構とを設け、
前記第1連係機構に駆動アームを設け、前記第2連係機構に前記駆動アームの作動に連動して作動し前記無段変速装置を駆動する被動アームを設け、前記人為操作具の待機位置で、前記駆動アームと前記被動アームとを離間して設け、前記駆動アームが所定量以上作動した状態で、前記駆動アームで前記被動アームを駆動するように構成して、前記調速装置のみを先行して高速側へ切換える融通機構を設けてあり、
前記被動アームにダンパーが連結されている作業車の走行操作装置。 - 前記駆動アームが前記所定量以上作動した状態で、前記ダンパーにより前記被動アームが前記駆動アームに当接するように付勢され、前記被動アームが前記駆動アームと一体となって駆動される請求項1に記載の作業車の走行操作装置。
- 前記駆動アームと前記被動アームとが同一の揺動軸心廻りに揺動自在に支持されている請求項1又は2記載の作業車の走行操作装置。
- 前記エンジンの調速装置がアイドリング状態、前記無段変速装置が停止状態、前記人為操作具が待機位置、にある基準状態に復帰させる単一の復帰付勢手段を設けている請求項1〜3の何れか一項に記載の作業車の走行操作装置。
- 前記駆動アームは一端側にアクセルペダル連係側アーム部を有し、他端側に調速装置連係側アーム部を有し、
前記被動アームは前記他端側が前記無段変速装置に連係し、当該他端側に前記調速装置連係側アーム部が当接して前記被動アームが駆動される請求項1〜4の何れか一項に記載の作業車の走行操作装置。 - 前記駆動アームと前記被動アームとは板状フレームに、当該板状フレーム側から前記駆動アーム、前記被動アームの順で、単一の揺動軸心廻りに揺動自在に支持され、
前記駆動アームの前記調速装置連係側アーム部が前記被動アーム側に折り曲げられた第1折り曲げ部を有し、当該第1折り曲げ部が前記被動アームの前記他端側に当接して前記被動アームが駆動されるように構成され、
前記被動アームの前記一端側に前記板状フレーム側に折り曲げられた第2折り曲げ部を有し、
前記板状フレームに前記被動アームの揺動範囲を規定する凹部が形成され、
前記エンジンの調速装置がアイドリング状態、前記無段変速装置が停止状態、前記人為操作具が待機位置、にある基準状態において、前記第2折り曲げ部が前記凹部の一端に当接するとともに、前記アクセルペダル連係側アーム部が前記第2折り曲げ部に当接し、前記第1折り曲げ部と前記被動アームの前記他端側とが離間している請求項5に記載の作業車の走行操作装置。 - 前記基準状態に復帰させる単一の復帰付勢手段が前記アクセルペダル連係側アーム部に連結されて前記アクセルペダル連係側アーム部を前記凹部の前記一端側に付勢するように構成され、
前記ダンパーが前記被動アームの前記他端側に連結されている請求項6に記載の作業車の走行操作装置。
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