JP5284840B2 - ポリエチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents
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本発明の製造方法において用いられる原料の1つはエチレングリコールである。更に本発明の効果を妨げない範囲内で他のポリオール成分を共重合しても良い。そのポリオール成分としては具体的には、トリメチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール(ジヒドロキシシクロヘキサン)、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコールを挙げる事ができる。これらの化合物はその1種、又は2種以上を混合して用いてもよく、目的により任意に選ぶことができる。
液相重縮合工程(A)においては、ジメチルテレフタレートと、エチレングリコールとを重縮合させてポリエチレンテレフタレートを製造するが、この液相重縮合工程では、通常まずジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応させ〔エステル交換反応工程(A−1)〕、次いで溶融重縮合反応〔重縮合反応工程(A−2)〕させる。
このようにして得られたエステル化物は、溶融重縮合反応器に供給される。溶融重縮合反応器では、重縮合触媒の存在下に減圧下で、得られるポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度に加熱し、この際生成するエチレングリコール等を反応器外に留去させながら重縮合させることが好ましく採用される。本発明の製造方法では、上記のような溶融重縮合工程(A−2)において、25℃のo−クロロフェノール中で測定される固有粘度が、0.80〜1.50dL/g、好ましくは0.80〜1.20dL/gであるポリエチレンテレフタレートを製造する。
上述した重縮合触媒としては、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン触媒又はチタニウムテトラブトキシドなどのチタン触媒を用いることができる。これらの重縮合触媒は固有粘度が0.30dL/gに達する迄に重縮合反応槽に添加することが出来る。これらの触媒の中でもチタン触媒を用いる事が好ましい。
ゲルマニウム化合物では、一酸化ゲルマニウム、又は二酸化ゲルマニウムなどが例示される。アンチモン化合物では、三酸化アンチモン、又は酢酸アンチモンが例示される。
更に、上述の重縮合反応は、必要に応じて安定剤の共存下に実施することができる。エステル交換反応触媒又は重縮合触媒を失活させるためリン化合物を添加することも可能である。安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−プロピルホスフェート、トリ−iso−プロピルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリ−sec−ブチルホスフェート、トリ−t−ブチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリドデシルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルアッシドホスフェート、エチルアッシドホスフェート、ノルマルプロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアッシドホスフェート、ブチルアッシドホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジ−n−プロピルホスフェート、ジ−iso−プロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステル及びリン酸、ポリリン酸、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸及びカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類及びジブチルエステル類から選ばれたリン化合物が用いられる。これらの中でもカルボエトキシメタンホスホン酸のジエチルエステル(トリエチルホスホノアセテート)が好ましい。これらのリン化合物は単一種類若しくは複数種類で用いてもよく、又は必要に応じて上述したチタン化合物若しくはゲルマニウム化合物と一定の温度条件下で反応させた反応生成物の形態として用いても良い。
必要に応じて他の添加剤、例えば、酢酸コバルト等の着色剤(整色剤)、抗酸化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、アルカリ金属又はアルカリ土類金属及びその化合物から選ばれる少なくとも1種などを使用してもよい。
これらの重縮合触媒、安定剤及び添加剤は、前記のようなエステル交換反応工程において供給することもできるし、重縮合反応工程に供給することもできる。
本発明の製造方法では、液相重縮合工程で得られたポリエチレンテレフタレートは、固相重縮合に先立って、該ポリエチレンテレフタレートを昇温結晶化温度(Tc1)以上で、かつ融点未満の温度に1〜30分間保つ予備結晶化工程(B)を行ってもよい。この予備結晶化工程は、ポリエチレンテレフタレートを、乾燥状態で昇温結晶化温度(Tc1)〜融点未満の温度、好ましくはTc1より10℃高くかつ融点より40℃以上低い温度下に、1〜30分間、好ましくは5〜20分間保つことによって行われる。
本発明では、前記のようにして得られたポリエチレンテレフタレート、又は予備結晶化されたポリエチレンテレフタレートを固相重縮合してもよい。
固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、重縮合温度が通常190〜240℃、好ましくは195〜225℃である。固相重縮合工程(B)は、空気中あるいは前記と同様の不活性ガス雰囲気中又は真空中で行われるが、不活性ガス雰囲気中又は真空中で行われることが好ましい。不活性ガス雰囲気中で実施する場合、酸素濃度が50ppm以下、好ましくは20ppm以下の不活性ガス雰囲気中で行われることがより好ましい。このようして得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、通常0.50〜1.50dL/gであることが望ましい。
本発明では、上記のようにして固相重縮合して得られたポリエチレンテレフタレート(b)を必要に応じて水処理又は水蒸気処理してもよい。固相重縮合工程を経て得られたポリエチレンテレフタレートの水処理は、ポリエチレンテレフタレートと水とを接触させることにより行われる。ポリエチレンテレフタレート(b)と水との接触は、ポリエチレンテレフタレートを室温〜150℃、好ましくは70〜110℃の水に、1分〜20時間、好ましくは5分〜10時間浸漬することにより行われるのが好ましい。より具体的には、50〜150℃の水に1分〜10時間、好ましくは70〜110℃の水に3分〜5時間浸漬することにより行われる。
本発明においては、上記の方法で得られたポリエチレンナフタレートをアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩の水溶液と接触させる必要がこともできる。本発明の製造方法において水溶液処理の際に使用されるアルカリ金属塩は、水溶性であれば特に制限されるものではないが、具体的には、塩化カリウム、カリウムミョウバン、ギ酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素二カリウム、クエン酸二水素カリウム、グルコン酸カリウム、コハク酸カリウム、酪酸カリウム、シュウ酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、ステアリン酸カリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素カリウム、メタリン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、亜硝酸カリウム、安息香酸カリウム、酒石酸水素カリウム、重シュウ酸カリウム、重フタル酸カリウム、重酒石酸カリウム、重硫酸カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸水素カリウム、乳酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、シュウ酸二ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、重シュウ酸ナトリウム、重フタル酸ナトリウム、重酒石酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、ギ酸リチウム、クエン酸三リチウム、クエン酸水素二リチウム、クエン酸二水素リチウム、グルコン酸リチウム、コハク酸リチウム、酪酸リチウム、シュウ酸二リチウム、シュウ酸水素リチウム、ステアリン酸リチウム、フタル酸リチウム、フタル酸水素リチウム、メタリン酸リチウム、リンゴ酸リチウム、リン酸三リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、亜硝酸リチウム、安息香酸リチウム、酒石酸水素リチウム、重シュウ酸リチウム、重フタル酸リチウム、重酒石酸リチウム、重硫酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、乳酸リチウム、硫酸リチウム又は硫酸水素リチウム等を例示することができる。これらは、単一の種類の化合物を用いても又は複数の種類の化合物を併用してもかまわない。またその中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸二カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムカリウム、酢酸リチウム、炭酸二リチウム又は炭酸水素リチウムが好ましく用いることができ、好ましくはリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩を、より好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩を、特に好ましくカリウム塩を用いることである。一方アニオン種側から見ると、これらの中で酢酸塩、炭酸塩又は水酸化物が好ましい。
本発明の製造方法で得たポリエチレンテレフタレートは、種々の成形体を製造することができる。たとえば、ボトルなどの中空成形体を成形するには、まず乾燥工程を経たポリエチレンテレフタレートを射出成形機などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形する。この中空成形体用プリフォームのホルムアルデヒド含有率は、通常1.0ppm以下、好ましくは0.5ppm以下であり、アセトアルデヒド含有率は、通常10.0ppm以下、好ましくは7.5ppm以下、より好ましくは6.0ppmである。次に、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形して中空成形体を成形する。この中空成形体のホルムアルデヒド含有率は、通常1.0ppm以下、好ましくは0.5ppm以下であり、アセトアルデヒド含有率は、通常10.0ppm以下、好ましくは7.5ppm以下、より好ましくは6.0ppm以下である。もちろん成形体とは中空成形体用プリフォームに限定される事はなく、フィルム、シート、繊維、角柱、平板、チップ等も含まれる。
分析方法
(1)固有粘度(IV)
固有粘度は、チップから切り出した試料を一定量計量し、o−クロロフェノールに0.012g/mlの濃度に溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をウベローデ式粘度計を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
(2)Col−b(色相)
非晶ポリマーは170度×3時間窒素雰囲気下の乾燥機中で熱処理し、結晶化させた後、カラーマシン社製CM−7500型カラーマシンで測定した。結晶化ポリマーはそのままカラーマシン社製CM−7500型カラーマシンで測定した。
(3)ジエチレングリコール(DEG)含有量、メチル末端基含有量
ジエチレングリコール含有量及びメチルMe末端基含有量は、ポリエステルサンプルをヒドラジンにて分解し、アジレントテクノロジー製ガスクロマトグラフィーにて測定した。
エチレングリコール75.8部に酢酸4.5部を混合した後、テトラブトキシチタン6.3部(チタン原子として0.9部)を添加した。この混合物を空気中、常圧下で60℃にて40分間反応せしめた後、常温に冷却し、目的のチタン化合物を得た。
エチレングリコール98部に無水トリメリット酸2部を混合した後、テトラブトキシチタンを1.77部(チタン原子として0.25部、無水トリメリット酸に対するモル比で0.5)添加した。この混合物を空気中、常圧下で80℃にて60分間反応せしめた後、常温に冷却し、目的のチタン化合物を得た。
テレフタル酸ジメチルエステル100部と1,2−エチレンジオール56部との混合物に、テレフタル酸ジメチルエステルに対し、参考例2で合成したトリメリット酸チタンをテレフタル酸ジメチルエステルに対し、チタン原子として3.0mmol%を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.08MPaの加圧を行い、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。メタノールの溜出が完了した時点から、10分後にテレフタル酸1.7部(テレフタル酸ジメチルエステルに対して2.0モル%)を投入した。内温が250℃に達した時点で、テレフタル酸ジメチルエステルに対し、酢酸ナトリウムをナトリウム原子として5.0mmol%、二酸化ゲルマニウムを二酸化ゲルマニウム分子として35mmol%及び正リン酸をリン原子として10.0mmol%を添加し、10分間撹拌を行った後、反応を終了した。
次いで、得られた反応生成物を撹拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、210℃から280℃に徐々に昇温すると共に、常圧から50Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.51dL/gとなる時点で重合反応を打ち切った。溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してペレット化した。重縮合工程の反応時間は190分であった。
エステル交換反応において、トリメリット酸チタンの代わりに参考例1で合成した酢酸チタンをテレフタル酸ジメチルエステルに対し、チタン原子として3.0mmol%使用し、メタノールの溜出が完了した時点から、10分後に添加したテレフタル酸の量を3.4部(テレフタル酸ジメチルエステルに対して4.0モル%)に変更した以外、実施例1と同様に実施した。重縮合工程の反応時間は197分であった。
エステル交換反応において、メタノールの溜出が完了した時点から、10分後に添加したテレフタル酸の量を5.1部(テレフタル酸ジメチルエステルに対して6.0モル%)に変更した以外、実施例1と同様に実施した。重縮合工程の反応時間は178分であった。
エステル交換反応において、メタノールの溜出が完了した時点から、10分後に添加したテレフタル酸の量を8.6部(テレフタル酸ジメチルエステルに対して10.0モル%)に変更した以外、実施例1と同様に実施した。重縮合工程の反応時間は156分であった。
エステル交換反応において、メタノールの溜出が完了した時点から10分後に、テレフタル酸を添加しなかった以外、実施例1と同様に実施した。重縮合工程の反応時間は163分であった。
エステル交換反応において、メタノールの溜出が完了した時点から、10分後に添加したテレフタル酸の量を17.1部(テレフタル酸ジメチルエステルに対して20.0モル%)に変更した以外、実施例1と同様に実施した。重縮合工程の反応時間が145分の時点でそれ以降粘度が上昇する兆候が見られなかったので、重縮合反応を中止した。以上の実施例1〜4、比較例1、2の結果を下記表1に示した。
Claims (3)
- エステル交換反応工程と溶融重縮合工程を含むポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールをチタン化合物aから選ばれる少なくとも1種をエステル交換触媒として用いてエステル交換反応工程を行い、ゲルマニウム化合物を重縮合触媒として用い更にリン化合物を用いて溶融重縮合工程を行い、エステル交換反応工程の終了後以降にジメチルテレフタレートのモル数を基準として1.0〜18.0モル%のテレフタル酸を添加することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記エステル交換触媒が酢酸チタン又はトリメリット酸チタンであることを特徴とする請求項1記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記ゲルマニウム化合物が二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド又はゲルマニウムテトラ−n−ブトキシドであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
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