JP5284227B2 - 静電チャック及び静電チャックの製造方法 - Google Patents

静電チャック及び静電チャックの製造方法 Download PDF

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本発明は、例えばプラズマエッチング装置等の半導体製造装置において半導体ウエハを吸着固定するために使用される静電チャック及びその製造方法に関する。
半導体ウエハをエッチング加工するプラズマエッチング装置において、半導体ウエハを吸着固定するために、静電チャックが使用されている。
この静電チャックは、板状のアルミナ等のセラミックからなる基体に静電電極(チャック電極)を埋設し、この静電電極と半導体ウエハとの間に作用する静電力によって半導体ウエハを、その基体の表面(吸着面)に吸着固定するものである。
近時、このような静電チャックとして、耐食性を向上させるため、基体材料に酸化イットリウム(イットリア:Y)を用いるものが提案されてきている。そして、この静電チャックは絶縁体の内部に静電電極を備え、絶縁体はイットリアを主成分とするセラミックグリーンシートを積層、圧着して焼成してなる積層構造である。更に静電電極は、イットリアグリーンシートにメタライズペースト(導電性ペースト)が印刷されて絶縁体と同時焼成されている。そのメタライズペーストに含まれる金属粉末は、タングステン粉末、モリブデン粉末または白金粉末を主成分とし、イットリア粉末が混合された原料粉末が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、セラミック基体と静電電極との間の接合強度を向上させるために、例えばアルミナを含有したセラミック基体と、セラミック基体に内蔵された静電電極との間にフラックスを含み、セラミック基体及びセラミック基体と接触するセラミック材とを備えた静電チャックが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−147549号公報 特開2009−4649号公報
ところが、特許文献1に記載の静電チャックにおいては、電極のパターンの形状や厚みの制限は少ないが、金属電極の材料として、タングステン粉末、モリブデン粉末を使用した場合、焼成条件の制御が複雑な還元雰囲気で焼成しなければならない。このため、電極材料として、大気焼成が可能な白金(Pt)粉末を使用することが好ましい。
すなわち、基体材料に酸化イットリウムを用い、電極材料としてPtを用いた静電チャックを、上記同時焼成法により製造する技術の開発が求められている。そして、この場合、更に次のような解決すべき問題があった。すなわち、電極材料として用いるPtは、焼成時の粒成長が大きいため、反りやうねり等の変形が生じたり、基材と電極間でボイドが発生しやすく、その結果、密着性が低くなるという問題があった。
また、特許文献2に記載の静電チャックのように、セラミック基体と静電電極との間にフラックスを含み、セラミック基体及びセラミック基体と接触するセラミック材を備えた場合、接合強度を向上させ、密着性を向上させることはできても、別材料が必要となり、工程も複雑になるという問題があった。
本発明は、上記従来技術の課題に対処してなされたものであり、基材と電極間の密着性を向上させた静電チャックを提供すること、並びに、酸化イットリウムを含むセラミックグリーンシートと酸化雰囲気下で同時焼成でき、基材と密着性の高い導体部を形成することができる導電性ペーストを用いた静電チャックの製造方法を提供することとを目的とする。
[適用例1]酸化イットリウムからなるセラミック基材と、この基材に設けられた電極とを備えた静電チャックであって、前記基材は、粒界相にカルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化イットリウムを有し、前記電極は、白金と、粒界相にカルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化イットリウムとを有し、かつ前記基材における前記カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化イットリウムに対する質量割合が、前記電極における前記カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化イットリウムに対する質量割合より小さいことを特徴とする。
本発明では、酸化イットリウムの焼結助剤として機能するカルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素が基材よりも電極により多く(酸化イットリウムに対する量として)含まれているので、共材(電極中の酸化イットリウム)の焼結性が向上する。その結果、共材と基材界面の焼結性も向上するため、電極及びセラミック基材間の密着性が向上する。
また、焼結助剤は難焼結性物質である酸化イットリウムの焼結性の改善ために添加されるが、基材においては焼結助剤粉末の添加量を増やすことは耐プラズマ性の低下につながる。本発明では、導電性ペーストにおいては、焼結助剤を十分に含むことで共材の焼結性を向上させ、電極及びセラミック基材間の密着性を向上させつつ、基材においては、焼結助剤の量を必要最小限に抑え、基材の耐プラズマ性を向上させることができる。
[適用例2]適用例1に記載の静電チャックにおいて、前記電極における前記白金と前記酸化イットリウムが互いに相手の空隙に入り込んでいることを特徴とする。
本発明では、共材の焼結性が向上することで白金の粒成長が抑制されるため、白金と共材が互いに相手の空隙に入り込んだ構造となり、アンカー効果によって密着性が一層向上する。更に、白金の粒成長が抑制されることによって白金の焼成収縮が低減されるため、反りやうねり等の変形が抑制される。
[適用例3]適用例1又は2に記載の静電チャックにおいて、前記電極は、厚さが3〜30μmであることを特徴とする。
本発明は、電極の厚さの好ましい範囲を示したものである。電極の厚さを3〜30μmとすることで、安定したチャック力を得ることができるとともに、電極の変形(反りやうねり等)や、電極と基材間の密着性の低下を抑制することができる。
[適用例4]適用例1乃至3のいずれか1項記載の静電チャックにおいて、前記電極は、体積抵抗率が1×10−5〜5×10−4Ω・cmであることを特徴とする。
本発明は、電極の好ましい体積抵抗率の範囲を示したものである。電極の体積抵抗率を1×10−5Ω・cm未満とすることは、白金の固有抵抗率が約1×10−5Ω・cmであるため困難であり、5×10−4Ω・cmを超えると、安定したチャック力が発現されないおそれがある。
[適用例5]酸化イットリウム粉末と、酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末とを含む導電性ペーストを、酸化イットリウム粉末と、酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末とを含む材料によって形成されたセラミックグリーンシートに印刷した後、同時焼成する静電チャックの製造方法であって、前記セラミックグリーンシート形成材料における前記焼結助剤粉末の前記酸化イットリウム粉末に対する質量割合が、前記導電性ペーストにおける前記焼結助剤粉末の前記酸化イットリウム粉末に対する質量割合より小さいことを特徴とする。
本発明では、酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末がセラミックグリーンシートの形成材料より導電性ペーストにより多く含まれているので、共材(導電性ペーストにおける酸化イットリウム)の焼結性が向上する。その結果、共材とセラミックグリーンシート界面の焼結性も向上するため、導体部(導電性ペースト焼結体)及び基材(セラミックグリーンシート焼結体)間の密着性が向上する。また、共材の焼結性が向上することで導電性ペーストに含まれる金属(例えば、白金)の粒成長が抑制されるため、金属と共材が互いに相手の空隙に入り込んだ構造となり、アンカー効果によって密着性が一層向上する。更に、金属の粒成長が抑制されることによって金属の焼成収縮が低減されるため、導体部の反りやうねり等の変形が抑制される。
さらに、焼結助剤は難焼結性物質である酸化イットリウムの焼結性の改善ために添加されるが、基材においては焼結助剤粉末の添加量を増やすことは耐プラズマ性の低下につながる。本発明では、導電性ペーストにおいては、焼結助剤を十分に含むことで共材の焼結性を向上させ、導体部及び基材間の密着性を向上させつつ、基材においては、焼結助剤の量を必要最小限に抑え、基材の耐プラズマ性を向上させることができる。
[適用例6]適用例5記載の静電チャックの製造方法において、前記導電性ペーストは白金粉末を含み、該白金粉末の平均粒径は該白金粉末とともに含まれる前記酸化イットリウム粉末の平均粒径より大きいことを特徴とする。
本発明では、導電性ペーストの白金の平均粒径が共材の酸化イットリウムの平均粒径より大きいので、焼成時に白金粒子同士の接続性が安定し、体積抵抗率が安定し、その結果安定したチャック力が発現する。更に、導電ペーストにおける焼結助剤の平均粒径が酸化イットリウムの平均粒径よりも小さい場合は、偏析することがないので酸化イットリウムの焼結性が安定する。
[適用例7]適用例5又は6記載の静電チャックの製造方法において、前記導電性ペーストは、白金粉末と酸化イットリウム粉末の体積比が30:70〜80:20であることを特徴とする。
本発明は、導電性ペーストにおける白金粉末と酸化イットリウム粉末の好ましい混合比の範囲を示したものである。白金粉末と酸化イットリウム粉末の体積比を30:70〜80:20とすることで、良好な体積抵抗率を維持しつつ、基材との熱膨張率差を小さくすることができ、これにより、導体部と基材間の密着性を向上させることができる。また、白金粉末の割合が上記範囲より多くなると、基材と接する共材量が少なくなるため、密着性が低下する。
[適用例8]適用例5乃至7のいずれか1項記載の静電チャックの製造方法において、前記導電性ペーストは、酸化イットリウム粉末に対し、前記焼結助剤粉末を0.2〜2質量%含有することを特徴とする。
本発明は、導電性ペーストにおける焼結助剤粉末の含有量の好ましい範囲を示したものである。焼結助剤粉末の含有量を酸化イットリウム粉末の0.2〜2質量%とすることで、共材の焼結性をより向上させることができる。その結果、共材とセラミックグリーンシート界面の焼結性もより向上するため、導体部及び基材間の密着性をより向上させることができる。また、共材の焼結性が向上することで白金等の粒成長をより抑制することができ、白金と共材が互いに相手の空隙に入り込んだ構造となり、アンカー効果によって密着性をより一層向上させることができる。
[適用例9]適用例5乃至8のいずれか1項記載の静電チャックの製造方法において、前記焼結助剤粉末は、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む粉末であることを特徴とする。
本発明は、好ましい焼結助剤粉末を例示したものである。焼結助剤粉末としてカルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む粉末を使用することにより、共材の焼結性をより向上させることができる。その結果、共材とセラミックグリーンシート界面の焼結性もより向上するため、導体部及び基材間の密着性をより向上させることができる。また、共材の焼結性が向上することで白金等の粒成長をより抑制することができ、白金と共材が互いに相手の空隙に入り込んだ構造となり、アンカー効果によって密着性をより一層向上させることができる
本発明によれば、基材と電極間の密着性を向上させた静電チャックを提供することができる。また、本発明によれば、酸化イットリウムを含むセラミックグリーンシートと酸化雰囲気下で同時焼成でき、基材と密着性の高い導体部を形成することができる導電性ペーストを用いた静電チャックの製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る静電チャック装置を一部破断して示す斜視図である。 図1に示す静電チャック装置の断面構成を示す図である。 本発明の一実施例で形成された静電電極の走査型電子顕微鏡(SEM)による撮像写真の概略模写図である。
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、説明は図面に基づいて行うが、それらの図面は単に図解のために提供されるものであって、本発明はそれらの図面により何ら限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なることに留意すべきである。
図1は、本発明の一実施形態に係る静電チャックを備えた静電チャック装置を一部破断して示す斜視図であり、また、図2は、その断面構成を示す図である。
図1において、10は、静電チャックを示し、この静電チャック10は、一定厚さの円板状のセラミックからなる基材11と、その内部に埋設された静電電極12とを備えている。そして、セラミック基材11の裏面を、例えばアルミニウム、アルミニウム合金等からなる金属製のベース部材20の表面に接合して、静電チャック装置100が構成されている。セラミック基材11の表面は、半導体ウエハ等の被吸着物(図示なし)を吸着固定する吸着面13とされている。
セラミック基材11は、酸化イットリウム(Y)を主体とするセラミックの積層構造の焼結体により、例えば厚さ2mm、直径300mmの円板状に形成されている。
この積層構造の焼結体は次のように形成される。まず、酸化イットリウム粉末及びその焼結助剤となる酸化カルシウム等の粉末を含む原料粉末に適当な有機バインダや溶媒を添加混合してスラリー状とする。これをドクターブレード法によりシート状にして複数枚のセラミックグリーンシートを得る。これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施した後、積層してセラミックグリーンシート積層体とする。この積層体を、酸化雰囲気下、約1600℃で焼成する。
酸化イットリウム粉末の焼結助剤としては、酸化カルシウムのほか、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウムの粉末が使用される。これらの焼結助剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。この焼結助剤は、酸化イットリウム粉末に対し0.01質量%以上0.2質量%未満範囲で含有させることが好ましく、0.05〜0.15質量%の範囲で含有させることがより好ましい。焼結助剤の含有量が0.01質量%未満では、焼結性が低下し、0.2質量%以上になると、耐プラズマ性が低下する恐れがある。なお、セラミック基材11の形状は、特に円形状に限定されるものではない。
静電電極12は、被吸着物を吸着面13に静電力によって吸着するためのものである。この静電電極12は、導電性ペーストをセラミックグリーンシートに層状に所定のパターンで印刷しておき、同セラミックグリーンシートを積層後、同時焼成することにより形成されている。
上記導電性ペーストには、白金粉末と、この白金粉末より平均粒径の小さい酸化イットリウム粉末と、酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末とを、適当な有機バインダや溶媒を添加混合して調製したものが使用される。酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末としては、前述の酸化イットリウム粉末の焼結助剤として例示したものと同様のものが挙げられる。すなわち、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等の粉末が使用され、これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。導電性ペーストにおいて、焼結助剤は、酸化イットリウム粉末に対し0.05〜2質量%の範囲で含有させることが好ましく、0.1〜1質量%の範囲で含有させることがより好ましい。但し、酸化イットリウムに対する焼結助剤の割合が、前述したセラミックグリーンシートを形成する材料より導電性ペーストが多くなるようにする。なお、白金粉末及び酸化イットリウム粉末の各平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
このような白金粉末を含む導電性ペーストを使用することにより、焼成は酸化雰囲気下で行うことができる。そして、白金粉末より平均粒径の小さい酸化イットリウム粉末を添加するとともに、酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末を、セラミックグリーンシートより多く(酸化イットリウム粉末に対する量として)添加したことにより、共材(導電性ペースト中の酸化イットリウム)の焼結性が向上し、その結果、共材とセラミックグリーンシート界面の焼結性も向上するため、セラミック基材11に対する密着性が向上する。また、共材の焼結性が向上することで白金の粒成長が抑えられるため、白金と共材が互いに相手の空隙に入り込んだ構造となり、アンカー効果によって密着性が一層向上する。更に、白金の粒成長が抑制されることによって金属の焼成収縮が低減されるため、反りやうねり等の変形が抑制される。したがって、セラミック基材11に対する密着性が良好で、かつ反りやうねり等の変形がないか、若しくは少ない静電電極12を形成することができる。
なお、静電電極12とセラミック基材11との密着性を高め、また静電電極12の反りやうねり等の変形を抑制する観点からは、導電性ペーストにおける白金粉末と酸化イットリウム粉末の配合比を、体積比で30:70〜80:20とすることが好ましく、40:60〜60:40とすることがより好ましい。
原料粉末として、酸化イットリウム粉末は、平均粒径が0.1〜5μmであることが好ましく、白金粉末は、平均粒径が0.5〜10μmで、かつ酸化イットリウム粉末の平均粒径よりも大きいことが好ましい。また、白金粉末は、粒径が電極の厚みよりも小さいことが好ましい。更に、焼結助剤粉末は、平均粒径が0.05〜5μmで、酸化イットリウム粉末の平均粒径よりも小さいことが好ましい。尚、原料粉末の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定できる。
静電電極12は、セラミック基材11の吸着面13から、例えば300μm離間した位置に形成され、その厚さは3〜30μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲がより好ましい。静電電極12の厚さが3μm未満では、安定したチャック力が発現しにくく、逆に、30μmを超えると、焼成収縮や熱膨張係数の差が大きくなりやすく、密着性の低下や変形を招く恐れがある。
また、静電電極12は、体積抵抗率が1×10−5〜5×10−4Ω・cmであることが好ましく、1×10−5〜3×10−4Ω・cmであることがより好ましい。体積抵抗率が1×10−5Ω・cm未満では、白金の固有抵抗率が約1×10−5Ω・cmであるため、これ以上下げることはできず、5×10−4Ω・cmを超えると、安定したチャック力が発現しない可能性がある。
なお、図示は省略したが、セラミック基材11の裏面には、静電電極12に電極を印加するための電極端子が設けられており、この電極端子にはピン端子(図示なし)が接合されている。ピン端子はベース部材20を厚さ方向に貫通して設けられた貫通孔(図示なし)内に配置され、このピン端子に外部端子を接合することにより静電電極12に電圧が印加される。ピン端子を静電電極12にろう付け等により直接接合する構造としてもよい。その場合には、セラミック基材11の裏面より静電電極12に向けて貫通孔が設けられる。
ベース板20は、前述したように、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属からなり、静電チャック10の全体を載置するように、静電チャック10より大径に、例えば厚さ40mm、直径330mmの円板状とされている。そして、通常、ベース板20の内部には、冷却水を循環させるための流路(図示なし)が設けられている。この流路に冷却水を循環させることにより、ベース板20を冷却することができる。
本発明は以上説明した実施の形態に記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。例えば、図1に示した静電チャック装置100は、静電チャック10の内部に埋設された複数の静電電極12間に電圧を印加することによって、静電チャック10の表面(吸着面)13に半導体ウエハ等の被吸着物(図示無し)を吸着する、いわゆる双極型構造のものであるが、静電チャック内部に単一の静電電極を埋設し、この静電電極と外部に配置した電極との間で電圧を印加することにより被吸着物を吸着する、いわゆる単極型構造としてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。なお、原料粉末の平均粒径は、堀場製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置(LA−750)により測定したものである。
実施例1
酸化イットリウム粉末(平均粒径0.8μm)99.9質量%及び炭酸カルシウム粉末(CaCO)(平均粒径0.1μm)0.1質量%(酸化カルシウム(CaO)換算で)を、分散剤を添加したエタノールとトルエンの混合溶媒(質量比1:1)中で十分に湿式混合した後、バインダ(ブチラール樹脂)を添加し、更に混合して流動性のあるスラリーとした。次に、このスラリーから、ドクターブレード法により、厚さ0.2mmのセラミックグリーンシートを得た。
また、白金粉末(平均粒径2μm)と酸化イットリウム粉末(平均粒径0.8μm)を体積比で1:1となるように秤量するとともに、その酸化イットリウム粉末に対し、酸化カルシウム換算で0.5質量%となる量になるように炭酸カルシウム粉末(平均粒径0.1μm)を秤量し、分散剤、バインダ(エチルセルロース)及びターピネオールとともに混合し、3本ロールで混練して導電性ペーストを調製した。
上記セラミックグリーンシートを450mm角の大きさに切断し、この切断したセラミックグリーンシートを4枚、40℃、0.49MPaの条件で積層した後、この積層体上に、上記導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷法により、静電電極のパターンを印刷した。また、切断したセラミックグリーンシートを10枚、前記と同様の条件で積層した後、この積層体に、ドリルを用いて、ピン端子を接続するための孔となる直径5mmの貫通孔を形成した。その後、貫通孔を形成した積層体(10層)上に、静電電極のパターンを印刷した積層体(4層)を、パターン印刷面を積層体(10層)側に向けて積層し、50℃、5.88MPaの条件で圧着した。
以上のようにして積層圧着したセラミックグリーンシートの積層体を、直径400mmの円板に加工した。この加工した積層体を、大気中、300℃で5時間脱脂した後、大気中、1600℃で焼成を行い、更に、大気中、1500℃で反りの修正を行い、静電電極を備えた厚さ約2mmのセラミック焼結体を得た。なお、静電電極及びセラミック焼結体における酸化イットリウム粉末等の無機粉末の量は、焼成前の導電性ペースト及びセラミックグリーンシートに含まれる量と基本的に同じである。
セラミック焼結体に平行研削加工を施した後、セラミック焼結体の貫通孔に対応する位置に予め貫通孔を設けておいた金属製のベース板の表面に、セラミック焼結体をシリコーン系接着剤を用いて接合し、更に静電電極にピン端子を導電性接着剤で接着し、静電チャック装置を製造した。
実施例2〜9、比較例1〜4
導電性ペースト及び基材材料に用いる焼結助剤粉末及び酸化イットリウム粉末の種類及び量、導電性ペーストにおける白金粉末と酸化イットリウム粉末の混合比を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして静電チャック装置を製造した。
上記各実施例及び比較例で得られた静電チャック装置のセラミック焼結体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮像し(1000倍)、静電電極の組織の緻密性、セラミック焼結体からの剥離の有無を観察するとともに、その撮像写真から、静電電極の層厚を測定した。また、静電電極の体積抵抗率をJIS C 2141に準じ絶縁抵抗計を用いて測定した。これらの結果を表1及び表2の下欄に示す。なお、図3は、実施例1におけるセラミック焼結体断面のSEMによる撮像写真の概略模写図である。図3中、符号101及び102はそれぞれ白金粒子部分及び酸化イットリウム粒子部分を示している。図3から明らかなように、共材と基材との間に明らかな境界はなく、電極と基材とが良好に密着していることがわかる。
Figure 0005284227
表1及び表2から明らかなように、酸化イットリウム粉末に対する焼結助剤粉末の割合が基材材料より導電性ペーストの方が大きくなるようにした実施例の静電電極は、いずれも組織が緻密で、かつセラミック焼結体からの剥離も認められなかった。一方、酸化イットリウム粉末に対する焼結助剤粉末の割合が基材材料と導電性ペーストで同じか、または導電性ペーストより基材材料の方が大きくなるようにした比較例の静電電極は、十分緻密な組織となっておらず、一部に剥離が観察された。
10…静電チャック、11…セラミック基材、12…静電電極、13…吸着面、20…ベース部材、100…静電チャック装置、101…白金粒子部分、102酸化イットリウム部分。

Claims (10)

  1. 酸化イットリウムからなるセラミック基材と、この基材に設けられた電極とを備えた静電チャックであって、
    前記基材は、粒界相にカルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化イットリウムを有し、
    前記電極は、白金と、粒界相にカルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化イットリウムとを有し、かつ
    前記基材における前記カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化イットリウムに対する質量割合が、前記電極における前記カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化イットリウムに対する質量割合より小さい
    ことを特徴とする静電チャック。
  2. 前記基材における前記カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化イットリウムに対する質量割合が0.01質量%以上0.2質量%未満であり、前記電極における前記カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化イットリウムに対する質量割合が0.05〜2質量%であることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
  3. 前記電極における前記白金及び前記酸化イットリウムが互いに相手の空隙に入り込んでいることを特徴とする請求項1又は2記載の静電チャック。
  4. 前記電極は、厚さが3〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の静電チャック。
  5. 前記電極は、体積抵抗率が1×10−5〜5×10−4Ω・cmであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の静電チャック。
  6. 酸化イットリウム粉末と、酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末とを含む導電性ペーストを、酸化イットリウム粉末と、酸化イットリウムの焼結助剤として機能する粉末とを含む材料によって形成されたセラミックグリーンシートに印刷した後、同時焼成する静電チャックの製造方法であって、
    前記セラミックグリーンシート形成材料における前記焼結助剤粉末の前記酸化イットリウム粉末に対する質量割合が、前記導電性ペーストにおける前記焼結助剤粉末の前記酸化イットリウム粉末に対する質量割合より小さいことを特徴とする静電チャックの製造方法。
  7. 前記導電性ペーストは白金粉末を含み、該白金粉末の平均粒径は該白金粉末とともに含まれる前記酸化イットリウム粉末の平均粒径より大きいことを特徴とする請求項記載の静電チャックの製造方法。
  8. 前記導電性ペーストは、白金粉末と酸化イットリウム粉末の体積比が30:70〜80:20であることを特徴とする請求項又は記載の静電チャックの製造方法。
  9. 前記導電性ペーストは、酸化イットリウム粉末に対し、前記焼結助剤粉末を0.2〜2質量%含有することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項記載の静電チャックの製造方法。
  10. 前記焼結助剤粉末は、カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む粉末であることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項記載の静電チャックの製造方法。
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