JP2019094233A - セラミックス接合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミックス接合体の製造効率の向上を図る。【解決手段】互いに接合された第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材とを備えるセラミックス接合体の製造方法では、プレス成形法により、セラミックスを主成分とし、第1のセラミックス部材となる焼成前のプレス成形前駆体を成形する工程と、シート積層法により、セラミックスを主成分とし、第2のセラミックス部材となる焼成前のシート積層前駆体を成形する工程と、プレス成形前駆体とシート積層前駆体との間に、セラミックスの粉末を含む接合剤を介在させることによって、プレス成形前駆体とシート積層前駆体との焼成前の接合前駆体を形成する工程と、接合前駆体を焼成することによって、セラミックス接合体を形成する工程と、を含む。【選択図】図3

Description

本明細書に開示される技術は、セラミックス接合体の製造方法に関する。
対象物(例えば、半導体ウェハ)を保持しつつ所定の処理温度(例えば、400〜650℃程度)に加熱する加熱装置(「サセプタ」とも呼ばれる)が知られている。加熱装置は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。
一般に、加熱装置は、所定の方向(以下、「第1の方向」という)に略直交する保持面および裏面を有する板状の保持体と、第1の方向に延びる柱状であり、保持体の裏面に接合された柱状支持体とを備える。保持体の内部には、抵抗発熱体が配置されており、保持体の裏面側には、抵抗発熱体に電気的に接続された複数の受電電極(電極パッド)が配置されている。また、柱状支持体内には、各受電電極に接合された電極端子が収容されている。電極端子および受電電極を介して抵抗発熱体に電圧が印加されると、抵抗発熱体が発熱し、保持体の保持面上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハ)が例えば400〜650℃程度に加熱される。
従来、加熱装置における保持体と柱状支持体とのセラミックス接合体の製造方法として、次の方法が知られている。予め焼結した保持体(板状のセラミックス体)と、予め焼結した柱状支持体(筒状のセラミックス体)とを、セラミックス結合層を介して焼結にて一体的に接合することによって、セラミックス接合体が形成される(特許文献1参照)。
特開2000−114355号公報
従来のセラミックス接合体の製造方法では、先に、各セラミックス部材(保持体、柱状支持体)の形成のための焼成工程が行われ、その後、保持体と柱状支持体との接合のための焼成工程が行われる。このように、各セラミックス部材の形成のための焼成工程と、保持体と柱状支持体との接合のための焼成工程とが別々に行われると、例えば、セラミックス接合体の製造時間の長期化や製造工数の増加などの問題を招くため、製造効率について改善の余地があった。
なお、このような課題は、加熱装置に限らず、プレス成形法によって形成された第1のセラミックス部材とシート積層法によって形成された第2のセラミックス部材とを接合してセラミックス接合体を製造する方法に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるセラミックス接合体の製造方法は、互いに接合された第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材とを備えるセラミックス接合体の製造方法であって、プレス成形法により、セラミックスを主成分とし、前記第1のセラミックス部材となる焼成前のプレス成形前駆体を成形する工程と、シート積層法により、前記セラミックスを主成分とし、前記第2のセラミックス部材となる焼成前のシート積層前駆体を成形する工程と、前記プレス成形前駆体と前記シート積層前駆体との間に、前記セラミックスの粉末を含む接合剤を介在させることによって、前記プレス成形前駆体と前記シート積層前駆体との焼成前の接合前駆体を形成する工程と、前記接合前駆体を焼成することによって、前記セラミックス接合体を形成する工程と、を含む。本セラミックス接合体の製造方法では、プレス成形前駆体とシート積層前駆体との間に、セラミックスの粉末を含む接合剤を介在させることによって、プレス成形前駆体とシート積層前駆体との焼成前の接合前駆体を形成する。その後、接合前駆体を焼成することによって、セラミックス接合体を形成する。このように、第1のセラミックス部材の形成のための焼成と、第2のセラミックス部材の形成のための焼成と、第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材との接合のための焼成とが一括で行われるため、セラミックス接合体の製造効率の向上を図ることができる。
(2)上記セラミックス接合体の製造方法において、前記接合剤は、前記セラミックスの粉末と水と水溶性エポキシ樹脂とを含む構成としてもよい。接合のための焼成工程前において、プレス成形前駆体とシート積層前駆体との間に接合剤が介在した状態では、該接合剤の接着性が低いことに起因して、プレス成形前駆体とシート積層前駆体とが分離し易く、慎重な取り扱いが必要になることがある。これに対して、本セラミックス接合体の製造方法によれば、プレス成形前駆体とシート積層前駆体との間に介在させる接合剤は、比較的に接着性が高い水溶性エポキシ樹脂を含んでいるため、プレス成形前駆体とシート積層前駆体とは分離にし難く、取り扱い性が高い。
(3)上記セラミックス接合体の製造方法において、前記シート積層前駆体は、アクリル樹脂を含む構成としてもよい。本セラミックス接合体の製造方法では、シート積層前駆体は、バインダとしてアクリル樹脂を含む。アクリル樹脂は、例えばブチラール樹脂に比べて脱炭性が高い。このため、本セラミックス接合体の製造方法によれば、接合前駆体の焼成工程において、バインダが十分に抜けるため、第2のセラミックス部材における剥離を抑制することができる。
(4)上記セラミックス接合体の製造方法において、前記接合剤は、水溶性の硬化剤と、水溶性の分散剤とが含まれている構成としてもよい。本セラミックス接合体の製造方法では、硬化剤と分散剤とが水溶性であるため、接合剤に含まれる水溶性エポキシ樹脂とともに均一に混合されることによって、プレス成形前駆体およびシート積層前駆体に対する接合剤の接合強度を高くすることができる。
(5)上記セラミックス接合体の製造方法において、前記接合前駆体を焼成する工程において、前記プレス成形前駆体の焼成割り掛けと、前記シート積層前駆体の焼成割り掛けと、前記接合剤の焼成割り掛けとの間の差は、1%以内であることを特徴とする構成としてもよい。本セラミックス接合体の製造方法では、接合前駆体を焼成する工程において、プレス成形前駆体の焼成割り掛けと、シート積層前駆体の焼成割り掛けと、接合体の焼成割り掛けとの間の差は、1%以内である。これにより、焼成工程後においてセラミックス接合体にクラックや剥離が生じることを抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば静電チャック、真空チャック等の保持装置、サセプタ等の加熱装置、シャワーヘッド等の半導体製造装置用部品、さらには、プレス成形法によって形成された第1のセラミックス部材とシート積層法によって形成された第2のセラミックス部材とが接合されて構成されたセラミックス接合体、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図である。 本実施形態における加熱装置100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 本実施形態における加熱装置100の製造方法を示すフローチャートである。 加熱装置100の製造工程の一部を概略的に示す説明図である。 加熱装置100の製造工程における温度と湿度との関係を示す説明図である。 性能評価結果を示す説明図である。 アクリル樹脂とブチラール樹脂との温度変化に対する重量減率(%)の推移を示す説明図である。 グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂の含有率と回収率ならびに樹脂の含有率と粘度との関係を示す説明図である。
A.本実施形態:
A−1.加熱装置100の構成:
図1は、本実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、本実施形態における加熱装置100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、加熱装置100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
加熱装置100は、対象物(例えば、半導体ウェハW)を保持しつつ所定の処理温度(例えば、400〜650℃程度)に加熱する装置であり、サセプタとも呼ばれる。加熱装置100は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。加熱装置100は、特許請求の範囲におけるセラミックス接合体に相当する。
図1および図2に示すように、加熱装置100は、保持体10と柱状支持体20とを備える。
(保持体10)
保持体10は、所定の方向(本実施形態では上下方向)に略直交する保持面S1および裏面S2を有する略円板状の部材である。保持体10は、例えば、Al(アルミナ)を主成分とするセラミックスにより形成されている。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。保持体10の直径は、例えば100mm以上、500mm以下程度であり、保持体10の厚さ(上下方向における長さ)は、例えば3mm以上、10mm以下程度である。保持体10は、特許請求の範囲における第2のセラミックス部材に相当する。
図2に示すように、保持体10の内部には、保持体10を加熱するヒータとしての抵抗発熱体50が配置されている。抵抗発熱体50は、例えば、タングステンやモリブデン等の導電性材料により形成されている。抵抗発熱体50の一対の端部は、保持体10の周縁側に配置されている。また、保持体10の内部には、一対の周縁側ビア導体51と、一対の導電路53と、ビア群52とが設けられている。各周縁側ビア導体51は、上下方向に延びる線状の導電体であり、保持体10の周縁側に位置している。各周縁側ビア導体51の上端は、抵抗発熱体50の各端部に接続されている。各導電路53は、保持体10の径方向に延びる線状の導電体であり、各導電路53の上記径方向外側の端部に、各周縁側ビア導体51の下端が接続されている。ビア群52は、上下方向に延びる線状の導電体である複数(本実施形態では、2つ)のビア52Aを含む。各ビア52Aの上端は、各導電路53の上記径方向内側の端部に接続されている。また、保持体10の裏面S2の中央部付近には、一対の凹部12が形成されており、各凹部12内には受電電極(電極パッド)54が配置されている。各受電電極54は、保持体10の裏面S2に露出するように配置されており、受電電極54の露出部分は接合部56に覆われている。各ビア52Aの下端は各受電電極54に接続されている。これにより、抵抗発熱体50と各受電電極54とが電気的に接続されている。
(柱状支持体20)
柱状支持体20は、上記所定の方向(上下方向)に延びる略円柱状部材である。柱状支持体20は、保持体10と同様に、例えばアルミナを主成分とするセラミックスにより形成されている。柱状支持体20の外径は、例えば30mm以上、90mm以下程度であり、柱状支持体20の高さ(上下方向における長さ)は、例えば100mm以上、300mm以下程度である。柱状支持体20は、特許請求の範囲における第1のセラミックス部材に相当する。
保持体10と柱状支持体20とは、保持体10の裏面S2と柱状支持体20の上面S3とが上下方向に対向するように配置されている。柱状支持体20は、保持体10の裏面S2の中心部付近に、後述の接合材料により形成された接合層30を介して接合されている。
図2に示すように、柱状支持体20には、保持体10の裏面S2側に開口する貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、上下方向と略同一方向に延び、延伸方向にわたって略一定の内径を有する断面略円形の孔である。貫通孔22には、複数(本実施形態では2つ)の電極端子70が収容されている。各電極端子70の上端部は、金属ろう材(例えば金ろう材)を含む接合部56を介して受電電極54に接合されている。なお、接合部56は、ろう材以外の物質を含んでいてもよい。図示しない電源から各電極端子70、各受電電極54、ビア群52(ビア52A)を介して抵抗発熱体50に電圧が印加されると、抵抗発熱体50が発熱し、保持体10の保持面S1上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハW)が所定の温度(例えば、400〜650℃程度)に加熱される。
A−2.加熱装置100の製造方法:
次に、本実施形態における加熱装置100の製造方法を説明する。図3は、本実施形態における加熱装置100の製造方法を示すフローチャートであり、図4は、加熱装置100の製造工程の一部を概略的に示す説明図であり、図5は、加熱装置100の製造工程における温度と湿度との関係を示す説明図である。
はじめに、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとをそれぞれ成形する(図4(A)参照)。プレス成形前駆体20Pは、後述の焼成工程(S150)によって柱状支持体20となる焼成前のプレス成形体である。シート積層前駆体10Pは、後述の焼成工程(S150)によって保持体10となる焼成前のシート積層体である。一般に、プレス成形法だけでは、加熱装置100のような凹凸形状を有する構造体を一括で成形することは困難である。一方、シート積層法では、保持体10のような平板状の部材を成形することは比較的に容易だが、柱状支持体20のような所定方向に長い棒状体を成形することは比較的に困難である。そこで、本実施形態では、棒状の柱状支持体20の前駆体であるプレス成形前駆体20Pをプレス成形法により成形し、平板状の保持体10の前駆体であるシート積層前駆体10Pをシート積層法により成形する。以下、詳説する。
(プレス成形前駆体20Pの成形工程)
プレス成形法により、プレス成形前駆体20Pを成形する(S110)。まず、アルミナ粉末(例えば、AES−12、住友化学株式会社製、平均粒径約0.5μm以下)100重量部に、焼結助剤として酸化マグネシウム(MgO、アルミナ粉末に対する含有量0.05重量部)を添加する。このアルミナ粉末に酸化マグネシウムを添加した混合物に、さらに、溶剤としての水と、アクリル樹脂(例えば、約22.1vol%)とを加えて、ボールミルにて混合し、プレス用スラリーを得る。このプレス用スラリーをスプレードライヤーにて顆粒化し、原料粉末を作製する。次に、貫通孔22に対応する中子が配置されたゴム型に原料粉末を充填し、冷間静水圧プレスを行う。これにより、略円柱状のプレス成形前駆体20Pが成形される。なお、プレス成形前駆体20Pの各サイズは、例えば、上下方向の長さが約50mm、外径が約6mm、内径が2.4mmである。
(シート積層前駆体10Pの成形工程)
シート積層法により、シート積層前駆体10Pを成形する(S120)。まず、上述のプレス成形前駆体20Pの成形工程(S110)で使用した、アルミナ粉末100重量部に酸化マグネシウム0.05重量部を添加した混合物と同じものに、さらに、溶剤としてのトルエン(例えば、アルミナ粉末に対する含有量約16.7重量部)とメチルエチルケトン(MEK 例えば、アルミナ粉末に対する含有量約16.7重量部)とを添加する。これらの溶剤が添加された混合物を、直径約10mmの玉石が2kg入った樹脂製ポットに入れて、分散混合を約20時間行う。次に、分散混合して得られたスラリーに、バインダとしての樹脂(例えばブチラール樹脂またはアクリル樹脂)を、例えば39.5vol%以上、45.5vol%以下だけ添加し、約30分間樹脂混合を行って、グリーンシート用スラリーを作製する。このグリーンシート用スラリーを約1分間脱泡した後、図示しないキャスティング装置でシート状に成形した後に乾燥させ、グリーンシートを複数枚作製する。
また、アルミナ粉末、アクリル系バインダ、テルピネオール等の有機溶剤の混合物に、タングステンやモリブデン等の導電性粉末を添加して混練することにより、メタライズペーストを作製する。このメタライズペーストを例えばスクリーン印刷装置を用いて印刷することにより、特定のグリーンシートに、後に抵抗発熱体50や受電電極54等となる未焼結導体層を形成する。また、グリーンシートにあらかじめビア孔を設けた状態で印刷することにより、後にビア群52(ビア52A)となる未焼結導体部を形成する。
次に、これらのグリーンシートを複数枚(例えば14枚)熱圧着し、必要に応じて外周を切断して、グリーンシート積層体を作製する。このグリーンシート積層体をマシニングによって切削加工して円板状の成形体を作製する。これにより、シート積層前駆体10Pが成形される。
(接合スラリー30Pの作製工程)
接合スラリー30Pを作製する(S130)。接合スラリー30Pは、後に接合層30になる硬化・焼成前の接合剤である。まず、上述のプレス成形前駆体20Pの成形工程(S110)で使用した、アルミナ粉末100重量部に酸化マグネシウム0.05重量部を添加した混合物と同じものに、さらに、分散剤としてのカルボン酸含有ポリマー変性物(例えば、フローレンG−700、共栄社化学株式会社製、アルミナ粉末に対する含有量約0.5重量部)を添加し、溶剤としてのイオン交換水(例えば、アルミナ粉末に対する含有量約19重量部)を投入し、約12時間分散混合を行う。次に、分散混合したスラリーに水溶性エポキシ樹脂(例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、EX313、ナガセケムテックス株式会社製、水溶率99%、アルミナ粉末に対する含有量約7.16重量部)を投入し、約10分間、スプーンで混合を行う。スプーンで混合後のスラリーに硬化剤としての鎖状脂肪族ポリアミン(例えば、トリエチレンテトラミン、アルミナ粉末に対する含有量約1.24重量部)を添加し、さらに約2分間、スプーンで混合を行う。これにより、接合スラリー30Pが作製される。
なお、水溶性エポキシ樹脂の水溶率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。水溶率は、常温(室温:25℃)にて、水90部にエポキシ樹脂10部を混合したときに溶解する割合を数値化したものである。すなわち、水90部にエポキシ樹脂10部が全て溶解した場合、水溶率100%であり、水90部にエポキシ樹脂5部が溶解し、エポキシ樹脂の残りの5部が溶解しなかった場合、水溶率50%である。水溶性エポキシ樹脂の水溶率は高いほど好ましい。水溶率が低いほど、水に溶解せずに残存するエポキシ樹脂が多くなり、その結果、後述の焼成工程(S150)後に接合層30に空隙が生じる可能性が高いためである。この理由は、次の通りであると考えられる。すなわち、エポキシ樹脂の水溶率が低いと、未溶解のエポキシ樹脂が接合層30中に塊状で存在し、この塊状のエポキシ樹脂が、脱脂、焼成工程で塊状の大きさのまま焼失して空隙となる。これに対し、エポキシ樹脂の水溶率が高いと、接合層30中に塊状のエポキシ樹脂が存在しても、塊状のエポキシ樹脂の数は少なく、かつ、塊状のエポキシ樹脂のサイズが小さいため、空隙が小さい。このため、エポキシ樹脂の水溶率が低いほど、後述の焼成工程(S150)後に接合層30に空隙が生じる可能性が高くなると考えられる。アルミナ粉末は、特許請求の範囲におけるセラミックスの粉末に相当し、接合スラリー30Pは、特許請求の範囲における接合剤に相当する。
(接合前駆体100Pの形成工程)
次に、接合前駆体100Pを形成する(S140)。接合前駆体100Pは、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとの間に、接合硬化体30PXが介在したものである。接合硬化体30PXは、熱硬化処理によって接合スラリー30Pが硬化したものである。この接合硬化体30PXによって、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとが接着されている(図4(B)参照)。まず、シート積層前駆体10Pを、図示しないシリコンゴム型に入れて、シート積層前駆体10Pの裏面S2側に所定量の接合スラリー30Pを塗布し、その接合スラリー30Pが塗布された部分にプレス成形前駆体20Pを配置する。そして、接合スラリー30Pが介在したシート積層前駆体10Pとプレス成形前駆体20Pとの組付体に対して、図示しない恒温恒湿器によって熱硬化処理を施すことにより、接合スラリー30Pが硬化して接合硬化体30PXが形成される。これにより、接合前駆体100Pが形成される。
接合前駆体100Pでは、接合スラリー30Pに含まれる水溶性エポキシ樹脂の比較的高い接着性によって、シート積層前駆体10Pとプレス成形前駆体20Pとが接着されており、互いに分離し難い。但し、接合スラリー30Pに対する熱硬化処理の加熱温度は、後述の焼成工程の焼成温度より低い。このため、接合前駆体100Pにおいて、シート積層前駆体10Pとプレス成形前駆体20Pと接合硬化体30PXとは、未焼成である。
なお、接合スラリー30Pの硬化条件は、例えば、加熱温度80℃、相対湿度100%RH、加熱時間5時間、昇温速度および降温速度5℃/hである。加熱温度を80℃以上とすることにより、接合スラリー30Pの硬化時間が短縮し、加熱装置100の製造効率が向上する。また、高湿度にすることにより、乾燥収縮に起因して接合硬化体30PXにクラックが発生することが抑制される。
(接合焼結体100Xの形成工程)
接合前駆体100Pを脱脂・焼成することによって、接合焼結体100Xを形成する(S150)。接合焼結体100Xは、加熱装置100のうち、保持体10と柱状支持体20と接合層30とを含み、接合部56と電極端子70とを含まないものである。まず、接合前駆体100Pを、シリコンゴム型から取り出して加湿乾燥を行う。この加湿乾燥条件は、例えば、図5に示すように、乾燥温度80℃、相対湿度80%RHにて12時間乾燥し、相対湿度80%RHから降湿速度5%RH/hで4時間かけて相対湿度60%RHまで降湿し、相対湿度60%RHにて12時間乾燥し、相対湿度60%RHから降湿速度5%RH/hで4時間かけて相対湿度40%RHまで降湿し、相対湿度40%RHにて12時間乾燥し、最後に降温速度5℃/hで約10時間かけて室温付近まで降温して接合焼結体100Xを取り出す。降温時の湿度は成行きで変化した。相対湿度を制御しながら、80℃で合計44時間乾燥を行った。乾燥温度80℃、相対湿度80%RHの高温高湿環境から湿度を緩やかに低下させることにより、乾燥収縮に起因して接合硬化体30PXまたは接合層30にクラックが発生することが抑制される。以下、加湿乾燥後の接合前駆体100Pを、「接合加湿乾燥体」という。
接合加湿乾燥体を脱脂し、さらにこの脱脂後の接合加湿乾燥体を焼成する。これにより、接合層30によって互いに接合された保持体10と柱状支持体20とを備える接合焼結体100Xが作製される(図4(C)参照)。この脱脂条件は、例えば、脱脂温度400℃、脱脂時間2時間、昇温速度および降温速度2.5℃/hである。また、焼成条件は、例えば、焼成温度1600℃、焼成時間6時間、昇温速度および降温速度25℃/hである。
接合焼結体100Xは、特許請求の範囲におけるセラミックス接合体に相当する。
接合焼結体100Xの形成後、柱状支持体20の各貫通孔22内に各電極端子70を挿入し、各電極端子70の上端部を各受電電極54に例えば金ろう材によりろう付けすることにより接合部56を形成する(S160)。以上の製造方法により、上述した構成の加熱装置100が製造される。
A−3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の加熱装置100の製造方法では、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとの間に、セラミックスの粉末を含む接合スラリー30Pを介在させることによって、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとの焼成前の接合前駆体100Pを形成する(図3のS140、図4(B)参照)。その後、接合前駆体100Pを焼成することによって、接合焼結体100Xを形成する(図3のS150、図4(C)参照)。このように、本実施形態の加熱装置100の製造方法によれば、プレス成形前駆体20Pの形成のための焼成と、シート積層前駆体10Pの形成のための焼成と、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとの接合のための焼成とが一括で行われるため、接合焼結体100X(加熱装置100)の製造効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、接合スラリー30Pは、比較的に接着性が高い水溶性エポキシ樹脂を含んでいる。このため、本実施形態では、接合スラリー30Pが、水溶性エポキシ樹脂の代わりに、例えばブチラール樹脂を含んでいる場合に比べて、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとの間の接着強度が高く、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとは分離し難い。これにより、接合前駆体100Pの搬送中や加湿乾燥中や、接合加湿乾燥体の焼成中において、接合スラリー30Pの破損等の発生が抑制されるため、接合前駆体100Pや接合加湿乾燥体の取り扱い性(ハンドリング性)を向上させることができる。その結果、加熱装置100の製造効率が向上する。
また、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとの少なくとも1つにバインダとして水溶性のアクリル樹脂が含まれている場合、接合スラリー30Pに溶剤として水が含まれていることが好ましい。このような場合、接合前駆体100Pにおいて、シート積層前駆体10Pと接合スラリー30Pとの界面や、プレス成形前駆体20Pと接合スラリー30Pとの界面において、シート積層前駆体10Pやプレス成形前駆体20Pに含まれるアクリル樹脂が接合スラリー30Pに含まれる水に溶解することによって、各界面の接着強度が向上し、焼成前の接合前駆体100Pの取り扱い性が向上したり、焼成後の接合焼結体100Xにクラックや剥離が発生することを抑制できたりするためである。また、作業環境や安全性の面からも、溶剤として、可燃性の有機溶剤よりも水を使用する方が好ましい。
また、本実施形態において、シート積層前駆体10Pは、バインダとしてアクリル樹脂を含むことが好ましい。アクリル樹脂は、例えばブチラール樹脂に比べて脱炭性が高い。このため、シート積層前駆体10Pがバインダとしてアクリル樹脂を含む場合には、接合前駆体100Pの焼成工程(S150)において、バインダが十分に抜けるため、シート積層法によって成形された保持体10におけるグリーンシート間の剥離を抑制することができる。なお、シート積層前駆体10Pの直径が比較的に大きい構成や、シート積層前駆体10Pにおけるグリーンシートの積層枚数が比較的に多い構成では、シート積層前駆体10Pの成形にバインダが多く使用され、乾燥工程において接合加湿乾燥体内にバインダが残存し易く、焼成後において保持体10を構成するシート間で剥離が生じやすい。このため、これらのような接合加湿乾燥体内にバインダが残存し易い構成において、シート積層前駆体10Pにバインダとしてアクリル樹脂を含ませることは、特に有効である。
また、上記実施形態において、接合スラリー30Pに含まれる硬化剤と分散剤とは、水溶性であることが好ましい。これにより、硬化剤と分散剤とは、接合スラリー30Pに含まれる水溶性エポキシ樹脂とともに略均一に混合されることによって、接合スラリー30Pによる接合強度を高くすることができる。
ここで、焼成割り掛けとは、焼成工程における部材の収縮度合いを数値化したものであり、次の式で示すことができる。
焼成割り掛け=焼成前の部材の寸法/焼成後の部材の寸法
焼成による収縮量が多いほど、焼成割り掛けの値は大きくなり、焼成による収縮量が少ないほど、焼成割り掛けの値は「1」に近づく。本実施形態では、接合前駆体100P(接合加湿乾燥体)の焼成工程(S150)において、プレス成形前駆体20Pの焼成割り掛けと、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けと、接合スラリー30Pの焼成割り掛けとの間の差は、1%以内であることが好ましい。ここで、これら3者10P,20P,30Pの間における焼成割り掛けの差が1%以内である、とは、これらの3者から任意に選択したどの2者についても、2者の間における焼成割り掛けの差は、2者のそれぞれの焼成割り掛けの値の1%以内であることを意味する。これにより、焼成工程後において接合焼結体100Xにクラックや剥離が生じることを抑制することができる。
この点、本実施形態では、プレス成形前駆体20Pとシート積層前駆体10Pとは同じセラミックスを主成分として含んでおり、さらに、接合スラリー30Pにも同じセラミックスの粉末が含まれている。このため、プレス成形前駆体20Pの焼成割り掛けと、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けと、接合スラリー30Pの焼成割り掛けとの間の差が小さい。すなわち、上述の焼成工程(S150)における3者10P,20P,30Pの間の焼成収縮量の差が小さい。これにより、例えば、焼成工程後において、保持体10と接合層30との間の剥離、柱状支持体20と接合層30との間の剥離や、接合層30へのクラックの発生等が生じることが抑制され、柱状支持体20と保持体10との接合強度の向上を図ることができる。
A−4.性能評価:
接合焼結体100Xの製造方法に関する実施例1〜5について性能評価を行った。図6は、性能評価結果を示す説明図である。以下、この性能評価について説明する。
A−4−1.各実施例について:
図6に示すように、実施例1〜5は、基本的には上述した加熱装置100の製造方法(図3のS110〜S150)と同じ製造方法である。ただし、実施例1〜5は、シート積層前駆体10Pの成形工程(S120)において、グリーンシート用スラリー(シート積層前駆体10P)に含まれる樹脂の種類と該樹脂の含有率との少なくとも1つが互いに異なる。
具体的には、実施例1では、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂はブチラール樹脂であり、含有率は41.0vol%であり、実施例2では、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂はアクリル樹脂であり、含有率は39.5vol%であり、実施例3では、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂はアクリル樹脂であり、含有率は41.5vol%である。また、実施例4では、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂はアクリル樹脂であり、含有率は43.5vol%であり、実施例5では、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂はアクリル樹脂であり、含有率は45.5vol%である。
A−4−2.各性能評価の方法について:
図6中の「粘度」および「回収率」は、それぞれ、各実施例1〜5におけるグリーンシート用スラリーの粘度(Pa・s)と回収率(%)とを意味する。グリーンシート用スラリーの粘度は、公知のB型粘度計を用いて測定した。グリーンシート用スラリーの回収率は、予め準備されたグリーンシート用スラリーの原料(上述のアルミナ粉末等)の調合量に対する、該原料を上述の樹脂製ポットに入れて分散混合した後に樹脂製ポットから取り出されたグリーンシート用スラリーの重量の比率である。グリーンシート用スラリーの回収率が低いことは、樹脂製ポットや玉石に原料が付着することで樹脂製ポット内に残存し、シート積層前駆体10P(保持体10)の成形に使用されない原料が多いことを意味しており、加熱装置100の生産コストの上昇につながるため、好ましくない。
図6中の「焼成割り掛け」は、各実施例1〜4について、シート積層前駆体10Pとプレス成形前駆体20Pと接合スラリー30Pとのそれぞれの焼成割り掛けの値を意味する。各焼成割り掛けの値は、シート積層前駆体10Pとプレス成形前駆体20Pと接合スラリー30Pとのそれぞれについて、接合前駆体100Pの焼成工程(S150)の前後の寸法を測定することにより算出した。
図6中の「取り扱い性」は、脱脂後の接合前駆体100P(接合加湿乾燥体)の取り扱い性を意味する。接合加湿乾燥体は、有機物であるバインダ成分がほとんどなくなっているため、比較的壊れやすくなっている。接合加湿乾燥体の強度が、第1の強度(例えば、焼成のために接合加湿乾燥体を搬送する際に通常の取り扱いの範囲内であれば、破損しない程度の強度)以上である場合、最良「○」と判定した。接合加湿乾燥体の強度が、第1の強度未満であり、かつ、第2の強度(例えば、接合加湿乾燥体を搬送する際に、振動や衝撃を与えないようやや注意が必要な程度の強度)以上である場合、良好「Δ」と判定した。接合加湿乾燥体の強度が、第2の強度未満である場合、不良「×」と判定した。
図6中の「デラミネーション」は、接合層30におけるデラミネーション(層状の剥離、クラック)の有無を意味する。接合焼結体100Xの接合層30の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、剥離やクラックが確認できなかった場合、良好「○」と判定し、剥離やクラックが確認できた場合、不良「×」と判定した。
A−4−3.評価結果について:
図6に示すように、実施例1では、焼成割り掛けの評価において、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けの値は「1.220」であり、プレス成形前駆体20Pや接合スラリー30Pの焼成割り掛けの値「1.200」より大きい。具体的には、実施例1において、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けと、プレス成形前駆体20Pや接合スラリー30Pの焼成割り掛けとの間の差は、0.020であり、プレス成形前駆体20P等の焼成割り掛けの値「1.200」の1%に相当する差「0.012」より大きい。ここで、実施例1において、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けの値を小さくして、プレス成形前駆体20P等の焼成割り掛けの値に近づけようとすると、加熱装置100の製造効率が低下するおそれがある。すなわち、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けの値を小さくするには、シート積層前駆体10Pにおけるブチラール樹脂の添加量を減らす必要がある。しかし、ブチラール樹脂の添加量を減らすと、グリーンシートにおいてアルミナの粉末等が十分に分散していない部分が存在することによって、グリーンシートの柔軟性が低下することがある。グリーンシートの柔軟性が低下すると、例えば、グリーンシートの搬送や積層中にグリーンシートにクラックが生じたり、穴開けや切断などの生加工工程でクラックが生じたりするなど、グリーンシートの取り扱い性や加工性が低下するおそれがあるからである。
また、実施例1では、取り扱い性の評価において、良好「Δ」と判定された。このことは、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂がブチラール樹脂である場合でも、図3に示す上記製造方法を用いることにより、取り扱い性の低下を抑制できることを意味する。但し、実施例1では、デラミネーションの評価において、不良「×」と判定された。実施例1では、接合焼結体100Xの接合層30の断面のSEM画像の観察において、接合層30の焼結体組織に比較的に大きい気孔が確認された。実施例1において、接合層30に比較的に大きい気孔が存在する理由は、接合前駆体100Pの形成工程(S140)において、シート積層前駆体10Pやプレス成形前駆体20Pに含まれる樹脂が接合スラリー30Pに溶出し、接合スラリー30Pにおける樹脂量が多くなり、接合層30に気孔として残存したものと考えられる。
また、図6に示すように、実施例2〜4では、焼成割り掛けの評価において、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けの値は「1.188」「1.190」であり、実施例1に比べて、プレス成形前駆体20P等の焼成割り掛けの値「1.200」に近い。具体的には、実施例2〜4において、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けと、プレス成形前駆体20P等の焼成割り掛けとの間の差は、シート積層前駆体10P等の焼成割り掛けの値「1.200」の1%に相当する差(0.012)以下である。実施例2〜4では、実施例1とは異なり、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けの値を小さくしても、グリーンシートの取り扱い性や加工性が低下する可能性は低い。その理由は次の通りであると考えられる。すなわち、アクリル樹脂が分散機能を有するため、シート積層前駆体10Pの焼成割り掛けを小さくするために、アクリル樹脂の添加量を減らしても、グリーンシートにおいてアルミナの粉末等が十分に分散されるため、グリーンシートの柔軟性の低下が抑制されるからである。
また、実施例2〜4では、いずれも、取り扱い性の評価において、最良「○」と判定され、デラミネーションの評価において、良好「○」と判定された。この理由の1つは、アクリル樹脂は、ブチラール樹脂に比べて、熱分解性が高いことである。図7は、アクリル樹脂とブチラール樹脂との温度変化に対する重量減率(%)の推移を示す説明図である。重量減率とは、各樹脂(アクリル樹脂、ブチラール樹脂)の当初の重量に対する昇温後の重量の割合である。各樹脂を大気中に配置し、昇温しながら各樹脂の重量を測定し、重量減率を算出した。各樹脂の重量は、大気流量100ml/minの環境下において、室温から700℃まで昇温速度2℃/minで昇温しつつ、示差熱天秤TG−DTA(TG8120、株式会社リガク製)を用いて測定した。図7から分かるように、アクリル樹脂は、ブチラール樹脂に比べて、低い温度で重量減率が大きく低下している。このことは、アクリル樹脂は、ブチラール樹脂に比べて、熱分解性が高い(脱炭性が高い)ことを意味する。このため、実施例2〜4では、実施例1に比べて、脱脂・焼成工程(S150)において、シート積層前駆体10Pからバインダが十分に抜けるため、接合層30による接合強度が高く、接合層30におけるデラミネーションの発生が抑制されている。
また、図8は、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂の含有率と回収率ならびに樹脂の含有率と粘度との関係を示す説明図である。図6の実施例2〜4の評価結果および図8に示すように、グリーンシート用スラリーに含まれる樹脂(アクリル樹脂)の含有率が高いほど、グリーンシート用スラリーの粘度が高くなり、回収率が低下することが分かる。上述したように、グリーンシート用スラリーに含まれるアクリル樹脂の含有率を高くすれば、シート積層前駆体10Pとシート積層前駆体10Pや接合スラリー30Pとの間の焼成割り掛けの差を小さくすることができる。しかし、その反面、グリーンシート用スラリーに含まれるアクリル樹脂の含有率が高いほど、グリーンシート用スラリーの粘度が高くなり、回収率が低下し、加熱装置100の生産コストの上昇につながることがわかる。その結果、実施例5では、回収率が著しく低下した。このため、グリーンシート用スラリーに含まれるアクリル樹脂の含有率は、39.5vol%以上であることが好ましく、また、45.0vol%以下であることが好ましい。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における加熱装置100の製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。図3において、ステップS110〜S130の処理の順序はいずれが先でもよく、これらの3つのステップのうちの少なくとも2つを同時期に並行して行うとしてもよい。加熱装置100を構成する各部材の形成材料の含有率は、あくまでも例示であり、上述した数値とは異なる含有率であってもよい。
また、上記実施形態における加熱装置100を構成する各部材の形成材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、上記実施形態における加熱装置100では、保持体10、柱状支持体20および接合層30に含まれるセラミックスは、アルミナであるとしているが、例えばAlN(窒化アルミニウム)など、他のセラミックスであるとしてもよい。また、上記実施形態では、プレス成形前駆体20Pの成形工程(S110)に使用される樹脂として、アクリル樹脂を例示したが、例えばブチラール樹脂など、他の種類の樹脂でもよい。また、上記実施形態では、シート積層前駆体10Pの成形工程(S120)において、グリーンシート用スラリーに添加するバインダとしてブチラール樹脂やアクリル樹脂を例示したが、これらの以外の樹脂であるとしてもよい。
また、上記実施形態では、接合スラリー30Pは、有機材として、比較的に接着性が高い水溶性エポキシ樹脂を含んでいるとしたが、例えば、ブチラール樹脂など、他の樹脂を含んでいるとしてもよい。また、上記実施形態において、接合スラリー30Pは、水以外の溶剤を含むとしてもよい。また、上記実施形態では、接合スラリー30Pに、分散剤として、水溶性のカルボン酸含有ポリマー変性物が添加されるとしているが、アンモニウム塩を含まない、他のカルボン酸系の分散剤が添加されるとしてもよいし、カルボン酸系以外の分散剤が添加されるとしてもよい。また、接合スラリー30Pに、硬化剤として、水溶性の鎖状脂肪族ポリアミンが添加されるとしているが、これ以外の水溶性の硬化剤であるとしてもよい。
また、上記実施形態における加熱装置100の構成は、あくまで例示であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、保持体10および柱状支持体20のZ軸方向視の外形が略円形であるとしているが、他の形状であってもよい。また、柱状支持体20に形成された貫通孔22に収容される電極端子は、抵抗発熱体50に電気的に接続された端子に限らず、例えば、プラズマを発生させる高周波(RF)電極に電気的に接続された端子や、静電吸着のための吸着電極に電気的に接続された端子でもよい。また、上記実施形態では、受電電極54は、保持体10の裏面S2に形成された凹部12内に配置されているが、保持体10の裏面S2上に配置されているとしてもよい。要するに、受電電極は、保持体の第2の表面側に配置されていればよい。
また、上記実施形態において、ビア群52は、1つのビア52Aを含むとしてもよいし、3つ以上のビア52Aを含むとしてもよい。
本発明は、加熱装置に限らず、静電チャック、真空チャック等の保持装置、サセプタ等の加熱装置、シャワーヘッド等の半導体製造装置用部品の製造方法にも適用可能である。要するに、本発明は、プレス成形法によって形成された第1のセラミックス部材とシート積層法によって形成された第2のセラミックス部材とが接合されて構成されたセラミックス接合体の製造方法に適用可能である。
10:保持体 10P:シート積層前駆体 12:凹部 20:柱状支持体 20P:プレス成形前駆体 22:貫通孔 30:接合層 30P:接合スラリー 30PX:接合硬化体 50:抵抗発熱体 51:周縁側ビア導体 52:ビア群 52A:ビア 53:導電路 54:受電電極 56:接合部 70:電極端子 100:加熱装置 100P:接合前駆体 100X:接合焼結体 S1:保持面 S2:裏面 S3:上面

Claims (5)

  1. 互いに接合された第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材とを備えるセラミックス接合体の製造方法であって、
    プレス成形法により、セラミックスを主成分とし、前記第1のセラミックス部材となる焼成前のプレス成形前駆体を成形する工程と、
    シート積層法により、前記セラミックスを主成分とし、前記第2のセラミックス部材となる焼成前のシート積層前駆体を成形する工程と、
    前記プレス成形前駆体と前記シート積層前駆体との間に、前記セラミックスの粉末を含む接合剤を介在させることによって、前記プレス成形前駆体と前記シート積層前駆体との焼成前の接合前駆体を形成する工程と、
    前記接合前駆体を焼成することによって、前記セラミックス接合体を形成する工程と、を含むことを特徴とする、セラミックス接合体の製造方法。
  2. 請求項1に記載のセラミックス接合体の製造方法において、
    前記接合剤は、前記セラミックスの粉末と水と水溶性エポキシ樹脂とを含むことを特徴とする、セラミックス接合体の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセラミックス接合体の製造方法において、
    前記シート積層前駆体は、アクリル樹脂を含むことを特徴とする、セラミックス接合体の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のセラミックス接合体の製造方法において、
    前記接合剤は、水溶性の硬化剤と、水溶性の分散剤とが含まれていることを特徴とする、セラミックス接合体の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のセラミックス接合体の製造方法において、
    前記接合前駆体を焼成する工程において、前記プレス成形前駆体の焼成割り掛けと、前記シート積層前駆体の焼成割り掛けと、前記接合剤の焼成割り掛けとの間の差は、1%以内であることを特徴とする、セラミックス接合体の製造方法。
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