JP5283332B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボールに関するものであり、より詳細には、高飛距離とコントロール性とを両立したゴルフボールに関するものである。
近年、飛距離とコントロール性能を両立するゴルフボールが求められている。打出角度が高く、バックスピン量が低いゴルフボールは、飛距離が出やすく、ドライバー、ロングアイアン、ミドルアイアン等を用いる場合に高飛距離が得られる。また、カバーに柔らかい材料を用いることで、ゴルフボールのスピン量を多くして、コントロール性を高めることができる。
例えば、アプローチショットでの適当なスピン性能を有し、飛び性能に優れるゴルフボールを提供するものとして、特許文献1および2がある。特許文献1および2には、カバー層材料、中間層とカバー層の硬度、中間層とカバー層との硬度差、中間層とカバー層との合計厚み、カバー層の厚み、ソリッドコアの圧縮変形量などを適宜選択して組み合わせてなるゴルフボールが開示されている。
ところで、ゴルフボールのカバー材料として、アイオノマー樹脂が使用されている。アイオノマー樹脂カバーを有するゴルフボールは、反発性、耐久性、加工性等に優れているが、打球感やコントロール性が低いという問題がある。そこで、カバー材料として使用されているアイオノマー樹脂を改良して、反発性と打球感とを両立することが提案されている(例えば、特許文献3および4)。
特許文献3には、コアと1層または2層以上のカバーを有するゴルフボールにおいて、少なくとも1層のカバーが、その樹脂成分中に、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマーにアミノアルキル基を2個以上有する縮合環状化合物を、アイオノマーのカルボキシル基を基準にして0.01〜1当量となる割合で配合してなるアイオノマー変性組成物であって、そのショアD硬度が55〜70であるアイオノマー変性組成物を20〜100重量%含有するゴルフボールが開示されている。
特許文献4には、ソリッドコアと、該コアの表面を覆って形成された中間層と、該中間層の表面を被覆するカバーとからなるゴルフボールにおいて、(1)上記カバーを形成する樹脂成分が、エチレン−不飽和カルボン酸系共重合体の2価金属イオン架橋体に1級又は2級アミノ基を2個以上有するアミン化合物を反応させたジアミン錯体アイオノマー樹脂を主成分としてなり、かつ曲げ剛性率が340〜410MPaのものであり、(2)上記中間層を形成する樹脂成分が、アイオノマー樹脂及び非アイオノマー熱可塑性エラストマーから選ばれる材料を主成分としてなり、かつ、曲げ剛性率が20〜350MPaのものであり、(3)ゴルフボールの硬度が、100kgの定荷重時変形量として2.6〜4.5mmであるゴルフボールが開示されている。
また、特許文献5には、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー(A)に対し、重量変化開始温度が150℃以上のジアミン化合物(B)を、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基を基準にして0.01〜1当量となる割合で配合し、溶融混練して得られるアミン変性エチレン共重合体組成物を用いたゴルフボールが開示されている。
特開2002−315848号 特開2005−224514号 特開平11−299933号 特開平10−127822号 特開2005−263868号
本願発明は、ドライバー、ロングアイアン、および、ミドルアイアンなどのショット時には、高打出角度、低スピン量、および、高反発性を有し、ショートアイアンなどのアプローチショット時には高スピン量であって耐擦過傷性に優れるゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできた本発明のゴルフボールは、センターと前記センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーとを最外層として有するゴルフボールであって、前記中間層は、エチレン系アイオノマー樹脂を脂環式アミノ化合物で変性した変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物を含有し、前記中間層は、厚みTmが0.5mm以上であって、前記中間層の厚みTmと前記カバーの厚みTcとの厚みの合計(Tm+Tc)が2.5mm以下であり、前記中間層のスラブ硬度Hmと前記カバーのスラブ硬度Hcとの硬度差(Hm−Hc)が20以上45以下であることを特徴とする。すなわち、本発明は、ドライバーなどのショット時の「高打出角度」および「低スピン量」に寄与するゴルフボール構造を採用するとともに「高反発」に寄与する中間層の素材を選択し、「アプローチショット時の高スピン量」および「カバーの耐擦過傷性」に寄与するカバーの素材や特性をバランス良く設計したところに要旨がある。上記構成を採用することによって、ドライバー、ロングアイアン、および、ミドルアイアンなどのショット時には、高打出角度、低スピン量、および、高反発性を有し、ショートアイアンなどのアプローチショット時には高スピン量であって耐擦過傷性に優れるゴルフボールが得られる。
本発明によれば、ドライバー、ロングアイアン、および、ミドルアイアンなどのショット時には、高打出角度、低スピン量、および、高反発性を有し、ショートアイアンなどのアプローチショット時には高スピン量であって耐擦過傷性に優れるゴルフボールが得られる。
本発明のゴルフボールは、センターと前記センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーとを最外層として有するゴルフボールであって、前記中間層は、エチレン系アイオノマー樹脂を脂環式アミノ化合物で変性した変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物を含有し、前記中間層は、厚みTmが0.5mm以上であって、前記中間層の厚みTmと前記カバーの厚みTcとの厚みの合計(Tm+Tc)が2.5mm以下であり、前記中間層の硬度Hmと前記カバーの硬度Hcとの硬度差(Hm−Hc)が20以上45以下であることを特徴とする。
(1)まず、本発明のゴルフボールの中間層で使用するエチレン系アイオノマー樹脂を脂環式アミノ化合物で変性した変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物について説明する。
(1−1)エチレン系アイオノマー樹脂について
前記エチレン系アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと炭素数2〜18個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数2〜18個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。
前記炭素数が2〜18個の不飽和カルボン酸とは、分子内に少なくとも1つ以上のエチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とを有する炭素数が2〜18個の化合物であり、より好ましくは炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸である。前記炭素数が2〜18個の不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸(trans−2−ブテン酸)、イソクロトン酸(cis−2−ブテン酸)、ソルビン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられ、特に、アクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。
前記不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸(trans−2−ブテン酸)、イソクロトン酸(cis−2−ブテン酸)、ソルビン酸、シトラコン酸、メサコン酸などのメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等を挙げることができ、特に、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。
前記二元共重合体として、特に好ましいのは、エチレンと(メタ)アクリル酸とを共重合してなる二元共重合体であり、前記三元共重合体として特に好ましいのは、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合してなる三元共重合体である。
前記エチレン系アイオノマー樹脂中の酸成分(不飽和カルボン酸成分)の含有量は、5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であって、30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であることが望ましい。酸成分(不飽和カルボン酸成分)の含有量が5質量%未満では、流動性は良いが所望の硬さ、剛性が得られず、30質量%超では、硬さや剛性は高くなるものの、流動性が悪くなる場合があるからである。
前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体や、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属(イオン)としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属(イオン);マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属(イオン);アルミニウムなどの3価の金属(イオン);錫、ジルコニウムなどのその他の金属(イオン)が挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウム(イオン)が反発性、耐久性等から好ましく用いられる。
前記エチレン系アイオノマー樹脂が含有するカルボキシル基の中和度は、5%以上が好ましく、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上であって、100%以下が好ましく、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下である。なお、カルボキシル基の中和度は、下記式で定義される。
中和度=100×[エチレン系アイオノマー樹脂中の中和されているカルボキシル基のモル数/エチレン系アイオノマー樹脂が有するカルボキシル基の総モル数]
前記中和は、例えば、高圧ラジカル共重合によりエチレン系二元共重合体あるいは三元共重合体などを溶融させ、溶融した前記共重合体に、所定量の無機金属化合物を添加し、混練することにより行うことができ、具体的には、前記共重合体などと前記無機金属化合物とを押出成形機を用いて、150〜300℃で溶融混練することによって行うことができる。無機金属化合物としては、上述した金属の水酸化物、酸化物、炭酸化物(炭酸塩)、炭酸水素化物(炭酸水素塩)、リン酸化物(リン酸塩)、硫酸化物(硫酸塩)、酢酸塩などを使用すれば良く、好ましくは、水酸化物または酸化物である。
(1−2)脂環式アミノ化合物について
前記脂環式アミノ化合物としては、脂肪族炭化水素からなる環状構造と、アミノ基またはイミノ基を有する化合物であれば特に限定されず、分子内に脂肪族炭化水素からなる環状構造とアミノ基またはイミノ基とを複数有する化合物が好ましく、例えば、2個以上のアミノ基が脂肪族炭化水素からなる環状構造に直接結合している化合物、2個以上のアミノアルキル基が脂肪族炭化水素からなる環状構造に結合している化合物、1個以上のアミノ基と1個以上のアミノアルキル基が脂肪族炭化水素からなる環状構造にそれぞれ結合している化合物、脂肪族炭化水素からなる環状構造の炭素の一部が窒素で置換されたイミノ基を2個以上有する化合物、脂肪族炭化水素からなる環状構造の炭素の一部が窒素で置換されたイミノ基を1個以上と1個以上のアミノ基またはアミノアルキル基とを有する化合物などを挙げることができる。前記アミノアルキル基としては、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、および、アミノプロピル基などを挙げることできる。これらの中でも、2個以上のアミノ基が脂肪族炭化水素からなる環状構造に直接結合している化合物が好ましく、例えば、1個のアミノ基が脂肪族炭化水素からなる環状構造に直接結合したアミノシクロアルキル基を2個以上有する化合物、および、2個以上のアミノ基が一つの脂肪族炭化水素からなる環状構造に直接結合した化合物を挙げることができ、アミノシクロアルキル基を2個以上有するアルカンが好適である。
前記2個以上のアミノ基が脂肪族炭化水素からなる環状構造に直接結合している化合物としては、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、または、これらの誘導体を挙げることができる。前記誘導体としては、2つのシクロ環の間に存在するメチレン基に結合している水素の1個または2個がメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基で置換されたものを挙げることができる。
前記アミノアルキル基を2個以上有する脂環式アミノ化合物としては、2,5(または2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6(または2,7)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[3,2,1]オクタン、および、2,5(または2,6)−ビス(アミノメチル)−7−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン、水素添加キシリレンジアミン(ビスアミノメチルシクロヘキサン)、1,4−ビスアミノプロピルピペラジンなどを挙げることができる。
前記1個以上のアミノ基と1個以上のアミノアルキル基が脂肪族炭化水素からなる環状構造にそれぞれ結合している化合物としては、例えば、イソホロンジアミンを挙げることができる。
脂肪族炭化水素からなる環状構造の炭素の一部が窒素で置換されたイミノ基を2個以上有する化合物、脂肪族炭化水素からなる環状構造の炭素の一部が窒素で置換されたイミノ基を1個以上と1個以上のアミノ基またはアミノアルキル基とを有する化合物としては、例えば、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、N−アミノプロピルピペラジン、2−メチルピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−アミノエチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペラジンなどを挙げることができる。
また、エチレン性アイオノマー樹脂を変性する際に発生する発煙を防止するという観点から、熱重量測定方法(JIS K7120に準拠)における重量変化開始温度が150℃以上のものを使用することが好ましい。前記脂環式アミノ化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシルメタン)、または、これらの誘導体を挙げることができ、好ましくはJIS K7120に準拠する熱重量変化開始温度が184℃である4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、または、その誘導体である。
(1−3)エチレン系アイオノマー樹脂の変性態様について
前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物は、前記エチレン系アイオノマー樹脂と脂環式アミノ化合物とを配合して溶融混練して得られるものであり、例えば、前記エチレン系アイオノマー樹脂と脂環式アミノ化合物とを180℃〜240℃の温度で溶融混練することによって得られる。
前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物は、前記エチレン系アイオノマー樹脂と前記脂環式アミノ化合物とを、エチレン系アイオノマー樹脂が有するカルボキシル基に対して、前記脂環式アミノ化合物が有するアミノ基とのモル比率が[アミノ基/カルボキシル基]=0.01〜1、より好ましくは0.05〜1となるように配合することによって得られたものであることが望ましい。
前記モル比率を0.01以上とすることによって、脂環式アミノ化合物を配合することによる実質的な変性効果が得られ、前記モル比を1以下とすることによって、過剰な脂環式アミノ化合物がブリードアウトするのを抑制することができる。
(1−4)変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物について
本発明で使用する変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物は、そのスラブ硬度が、ショアD硬度で、60以上、より好ましくは62以上、さらに好ましくは64以上であって、85以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは75以下であることが望ましい。変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で、60未満であると、所望の剛性が得られず、85超であると、剛性は高くなるものの耐久性が劣る場合があるからである。
(2)本発明のゴルフボールについて
本発明のゴルフボールは、センターと前記センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーとを最外層として有するゴルフボールであって、前記中間層は、厚みTmが0.5mm以上であって、前記中間層の厚みTmと前記カバーの厚みTcとの厚みの合計(Tm+Tc)が2.5mm以下であり、前記中間層のスラブ硬度Hmと前記カバーのスラブ硬度Hcとの硬度差(Hm−Hc)が20以上45以下であることを特徴とする。
(2−1)センターについて
本発明のゴルフボールのセンターとしては、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤、充填剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形したものであることが好ましい。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらの中でも、特に、反発に有利なシス結合が40%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
前記架橋開始剤としては、有機過酸化物を好適に使用できる。前記有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.3質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上であって、5質量部以下、より好ましくは3質量部以下であることが望ましい。0.3質量部未満では、コアが柔らかくなりすぎて、反発性が低下する傾向があり、5質量部を超えると、硬くなりすぎて、打球感が低下するからである。
前記共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用できる。前記金属塩を構成する金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。前記α,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩として好ましいのは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛である。
前記共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であって、55質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは48質量部以下であることが望ましい。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために有機過酸化物の使用量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が55質量部を超えると、センターが硬くなりすぎて、打球感が低下する虞がある。
前記充填材は、ゴルフボールのセンターに通常配合されるものであればよく、無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。前記充填剤の配合量は、得られるゴルフボールの質量が所望の質量になるように適宜配合されれば良いが、例えば、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下、好ましくは20質量部以下であることが望ましい。0.5質量部未満では、比重調整が困難になり適正な重量が得られなくなり、30質量部を超えるとセンター全体に占めるゴム分率が小さくなって反発性が低下するからである。
前記ゴム組成物には、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤、及び、充填剤に加えて、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、または、しゃく解剤等を適宜配合することができる。
前記有機硫黄化合物としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体等が挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。
前記老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記センターは、前述のゴム組成物を混合、混練し、金型内で成形することにより得ることができる。この際の条件は、特に限定されないが、通常は130〜180℃、圧力2.9〜11.8MPaで10〜40分間で行われ、例えば、前記ゴム組成物を130〜200℃で10〜60分間加熱するか、あるいは、130〜150℃で20〜40分間加熱した後、160〜180℃で5〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
前記センターの直径は、25mm以上、より好ましくは30mm以上であって、41mm以下、より好ましくは40mm以下であることが望ましい。前記センターの直径が25mmよりも小さいと、中間層またはカバー層を所望の厚さより厚くする必要があり、その結果反発性が低下する場合がある。一方、センターの直径が41mmを超える場合は、中間層またはカバー層を所望の厚さより薄くする必要があり、中間層またはカバー層の機能が十分発揮されない。
前記センターは、直径25mm〜41mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にセンターが縮む量)が、1.5mm以上、より好ましくは2.0mm以上であって、5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であることが望ましい。前記圧縮変形量が、1.5mm未満では打球感が硬くて悪くなり、5.0mmを超えると、反発性が低下する場合がある。
前記センターとして、その中心と表面で硬度差を有するものを使用することも好ましい態様であり、ショアD硬度による表面硬度Hs1と中心硬度Hoとの硬度差(Hs1−Ho)は、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、25以下が好ましく、22以下がより好ましい。前記硬度差が25より大きいと、耐久性が低下し、前記硬度差が10より小さいと、打球感が硬くて衝撃が大きくなる場合がある。
前記センターの表面硬度Hs1は、ショアD硬度で、好ましくは40以上、より好ましくは48以上、さらに好ましくは54以上であって、好ましくは75以下、より好ましくは67以下、さらに好ましくは64以下である。センターの表面硬度がショアD硬度で40より小さいと、柔らかくなり過ぎて反発性が低下し、飛距離が低下する。一方、センターの表面硬度がショアD硬度で75より大きいと、硬くなり過ぎて打球感が悪くなる場合がある。
前記センターの中心硬度Hoは、ショアD硬度で、好ましくは20以上、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上であって、好ましくは60以下、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下である。前記センター中心硬度が20より小さいと、柔らかくなり過ぎて耐久性が低下する虞がある。前記センター中心硬度が60より大きいと、硬くなり過ぎて打球感が悪くなる場合がある。前記コアの硬度差は、センターの加熱成形条件を適宜選択することによって設けることができる。
(2−2)球状コアについて
本発明のゴルフボールの球状コアは、前記センターと前記センターを被覆する中間層とからなる。
本発明のゴルフボールの中間層は、樹脂成分として、前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物に加えて、さらに未変性のアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー、または、アクリルゴムなどを使用することも好ましい態様である。本発明のより好ましい態様では、中間層の樹脂成分として、前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物と未変性のアイオノマー樹脂との混合物を使用する。変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物と未変性アイオノマー樹脂とを混合することによって、ショートアイアンなどのスピン量が増大する。すなわち、ドライバー、ロングアイアン、ミドルアイアンなどで打撃したときには、高打出し、低スピンになり、高飛距離のゴルフボールが得られる。
前記未変性のアイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。前記未変性のアイオノマー樹脂の具体例としては、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されているハイミラン(Himilan)1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)等が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、サーリン(Surlyn)8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)等が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、アイオテック(Iotek)8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)等が挙げられる。前記アイオノマー樹脂は、例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えばアルケマ(株)から商品名「ペバックス(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFポリウレタンエラストマーズ社から商品名「エラストラン(例えば、「エラストランET880」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマー等のほか、JSR社から商品名「ダイナロン6100P、6200P」で市販されているオレフィン系エラストマー、「ダイナロン4630P、8630P」で市販されているマレイン酸基グラフトスチレン系エラストマー、デュポン社から商品名「FUSABOND NMO 525D」で市販されているマレイン酸(カルボン酸)基グラフトオレフィン系エラストマーなどを挙げることができる。
前記熱可塑性ポリスチレンエラストマーは、例えば、ハードセグメントとして、ポリスチレンブロック成分と、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、イソプレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどのジエンブロック成分を有するポリスチレン−ジエン系ブロック共重合体を挙げることができる。前記ポリスチレン−ジエン系ブロック共重合体は、ブロック共重合体または部分水素添加ブロック共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合を有するものである。前記ポリスチレン−ジエン系ブロック共重合体としては、例えば、ポリブタジエンブロックを有するSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)構造のブロック共重合体、または、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)構造のブロック共重合体などが挙げられる。
中間層を構成する全樹脂成分中の前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物の含有率は、20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であって、100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下であることが望ましい。
本発明のゴルフボールの中間層は、上述した樹脂成分のほか、補強材、酸化チタン、青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、所望の性能を損なわない範囲で含有してもよい。前記補強材としては、例えば、針状若しくはテトラポット形状の酸化亜鉛;維状ホウ酸アルミニウムウィスカー;ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、または、金属繊維などの短繊維;ハイドロタルサイト、オクトシリケートなどのナノ充填剤などを挙げることができる。
中間層を形成する方法としては、例えば、センターを中間層用組成物で被覆して中間層を成形する。中間層を成形する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてセンターを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または中間層用組成物を直接センター上に射出成形してセンターを包み込む方法が用いられる。
前記中間層は、その厚みが0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、さらに好ましくは0.8mm以上であることが望ましい。中間層の厚みを0.5mm以上とすることによって、得られるゴルフボールの耐久性が向上する。また、均一な中間層を成形できる。
本発明のゴルフボールの中間層のスラブ硬度Hmは、ショアD硬度で55以上であり、より好ましくは58以上であり、さらに好ましくは60以上であって、72以下、より好ましくは70以下であり、さらに好ましくは68以下であることが望ましい。中間層のスラブ硬度Hmを55以上とすることによって、優れた反発性能が得られると共に、コアの外剛内柔度合いを大きくすることに寄与するため、高打出角・低スピンとなり高飛距離化が達成される。一方、中間層のスラブ硬度を72以下とすることによって優れた打球感が得られると共に、繰返し打撃による耐久性の低下を抑制することができるからである。ここで、中間層のスラブ硬度Hmとは、中間層用組成物をシート状に成形して測定した硬度であり、後述する測定方法により測定する。また、前記中間層のスラブ硬度は、上述した樹脂成分の組合せ、添加剤の含有量などを適宜選択することによって、調整することができる。
前記球状コアとして、その中心と表面で硬度差を有するものを使用することも好ましい態様であり、ショアD硬度による表面硬度Hs2とセンターの中心硬度Hoとの硬度差(Hs2−Ho)は、15以上が好ましく、20以上がより好ましく、22以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下が更に好ましい。前記硬度差が50より大きいと、コアの変形に中間層が追随せず、耐久性が低下する虞がある。一方、前記硬度差が15未満では、外剛内柔度合いが小さくなり過ぎ、高打出角・低スピン化が不十分となり飛距離が小さくなる場合があるからである。
本発明において、球状コアの表面に球状コアとカバーとの密着性を向上させるために、例えば、球状コアの表面に樹脂組成物を塗布して補強層を設けることも好ましい態様である。補強層を設ける際に、球状コアの表面に予めブラッシング、研磨等の粗面処理を行っておくことも好ましい。
前記樹脂組成物の具体例としては、二液硬化型エポキシ樹脂、二液硬化型ポリウレタン樹脂などの二液硬化型樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂またはセルロース系樹脂を含有するものが挙げられる。補強層の機械特性(例えば破断強度)及び耐久性の観点から、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ポリウレタン樹脂を含有するものが好ましい。
二液硬化型エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂をポリアミド系硬化剤で硬化するものが好適である。二液硬化型エポキシ樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、エポキシ環を含有する樹脂であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールAをエピクロルヒドリンなどのエポキシ基含有化合物と反応させてなるビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールFをエポキシ基含有化合物と反応させてなるビスフェノールF型エポキシ樹脂;ビスフェノールADをエピクロルヒドリンなどのエポキシ基含有化合物と反応させてなるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラックあるいはクレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとを反応させてなるノボラック型エポキシ樹脂などを用いることができる。これらの中でも、柔軟性、耐薬品性、耐熱性及び強靭性のバランスの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
前記ポリアミド系硬化剤とは、分子中にエポキシドと反応し得る複数の活性なアミノ基と、アミド基を1個以上有するポリアミノアミド系硬化剤であるのが好ましく、重合脂肪酸とポリエチレンポリアミンの縮合反応により得られる高分子硬化剤の他、同様の機能を有する低分子硬化剤やポリアミノアミドの変性物も包含される。
前記重合脂肪酸としては、トール油、大豆油、アマニ油、魚油などのように、リノール酸、リノレイン酸などの不飽和脂肪酸を多く含む天然脂肪酸類を触媒存在下で加熱して合成したものを用いることができるが、好ましくはダイマー分が90質量%以上、トリマー分が10質量%以下で、かつ、水素添加したものが好ましく用いられる。上記ポリエチレンポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが用いられる。また、上記ポリエチレンポリアミンに代えて、ポリオキシアルキレンポリアミンやメタキシリレンジアミンなどを使用することもできる。
上述のようなポリアミド系硬化剤としては、富士化成工業株式会社製のトーマイド(例えばトーマイド210、トーマイド235A、トーマイド290Cなど)、ヘンケル白水株式会社製のバーサミドジェナミド(バーサミドジェナミド100、バーサミドジェナミド115、バーサミドジェナミド250など)、大日本インキ化学工業株式会社製のラッカーマイド(ラッカーマイドTD982、ラッカーマイドTD984など)、三和化学工業株式会社のサンマイド(サンマイド300、サンマイド305、サンマイド330など)、三洋化成工業株式会社製のポリマイド(ポリマイドL10−3、ポリマイドL15−3、ポリマイドL25−3など)が挙げられる。
前記ポリアミノアミドの変性物としては、過剰のアミンをモノ、またはジエポキシ化合物と反応させたアミンアダクトが挙げられる。上記アミンには、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどの脂肪族ポリアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミンが用いられる。エポキシ化合物には、グリシジル基を有する化合物(例えば、アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、ダイマー酸グリシジルエステルなど)が用いられる。ポリアミノアミドの変性物の好ましい態様としては、ジエチレントリアミンとフェニルグリシジルエーテルのアダクト体、または、ジエチレントリアミンとビスフェノールAグリシジルエーテルのアダクト体が挙げられる。
前記エポキシ樹脂とポリアミド系硬化剤との混合比率は、エポキシ基/アミン活性水素(モル比)=1/1〜1/1.4であるのが好ましい。混合比率が上記範囲であれば、硬化反応が良好に進行するからである。
前記二液硬化型エポキシ樹脂の具体例としては、「エポマリン」、「エポマリンEX300」、「エポマリンEX600」(いずれも関西ペイント株式会社製)などが挙げられる。
二液硬化型ポリウレタン樹脂としては、例えばポリオール成分を含有する主剤を、ポリイソシアネートまたはその誘導体を含有する硬化剤と反応させることにより得られる二液硬化型ポリウレタン樹脂、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有する主剤をポリアミンやポリオールなどの活性水素を有する硬化剤と反応させることにより得られる二液硬化型ポリウレタン樹脂を挙げることができ、ポリオール成分を含有する主剤をポリイソシアネート又はその誘導体を含有する硬化剤と反応させることにより得られる二液硬化型ポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ポリオール成分を含有する主剤には、さらに以下に示すような特定のウレタンポリオールが含まれることが好ましい。ウレタンポリオールは、ポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応により合成される。合成に使用するポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環式ポリイソシアネート又は脂肪族ポリイソシアネート等のうちの1種または2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、耐候性の観点から、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI、H12MDI、NBDIなど)が好ましく使用される。尚、上記ポリイソシアネート化合物は、ウレタンポリオールを硬化させるための硬化剤としても使用することができる。
ウレタンポリオールの製造に使用されるポリオールとしては、水酸基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオールなどを挙げることができる。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;及びアクリルポリオールなどが挙げられる。以上のようなポリオールのうち、重量平均分子量50〜2,000を有するもの、特に100〜1,000程度のポリオールが好ましく用いられる。尚、これらのポリオールは、1種または2種以上混合して用いてもよい。
前記ウレタンポリオールとは、上記ポリイソシアネート化合物とポリオールとが反応してウレタン結合を形成し、末端に水酸基を有するポリオールである。ここで、ウレタンポリオール中のウレタン結合の比率は、ウレタンポリオール1gに対して0.1〜5mmol/gであることが好ましい。ウレタン結合の比率は、形成される補強層の剛性と関係があり、ウレタン結合の比率を上記範囲とすることによって、補強層のカバーへの追従性が向上する。
また、ウレタンポリオールの重量平均分子量は、4,000以上、好ましくは4,500以上で、10,000未満、好ましくは9,000以下である。4,000未満では乾燥に時間がかかって作業性、生産性が低下するからである。一方、10,000以上の高分子量のウレタンポリオールでは、相対的にウレタンポリオールの水酸基価が小さくなり、塗布後の反応量が少なくなってコアまたはカバーへの密着性が低下する場合があるからである。
ウレタンポリオールの水酸基価は15mgKOH/g以上、特に25mgKOH/g以上で、130mgKOH/g以下、特に120mgKOH/g以下であることが好ましい。15mgKOH/g未満では、硬化剤との反応量が不足するため、球状コアおよびカバーとの密着強度が得られ難くなるからである。一方、130mgKOH/gを上回ると、硬化剤との反応に時間がかかり、乾燥時間が長くなって生産性が低下する。
以上のようなウレタンポリオールは、原料となるポリオールとポリイソシアネート化合物とを、ポリオール成分のヒドロキシル基がポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対してモル比で過剰になるような割合で、反応させることにより得られる。上記反応に際しては、溶剤やウレタン化反応に公知の触媒(ジブチル錫ジラウリレートなど)を使用することができる。尚、ウレタン結合の比率は、原料となるポリオールの分子量、ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合比率などを調整することにより行うことができる。
前記主剤を構成するポリオール成分は、上記特定のウレタンポリオールそのものであること、すなわち主剤が実質的に上記特定のウレタンポリオールであることが好ましいが、前記ウレタンポリオール以外にもウレタンポリオールと相溶可能でウレタン結合を有しないポリオールが含まれていても良い。この場合のウレタン結合を有しないポリオールは、特に限定されず、上述したウレタンポリオール合成用の原料ポリオールを使用することができる。また、主剤中にウレタン結合を有しないポリオールが含まれる場合には、主剤中のウレタンポリオールの含有率が、50質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上となるようにすることが好ましい。主剤中のウレタンポリオールの含有率が50質量%未満では、相対的にウレタンポリオールの含有率が少なくなるため、乾燥時間が長くなるからである。
補強層が、着色剤(典型的には二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液硬化型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
補強層は、主剤及び硬化剤が溶剤に溶解又は分散した液が、球状コアの表面に塗布されることで得られる。作業性の観点から、スプレーガンによる塗布が好ましい。塗布後に溶剤が揮発し、主剤と硬化剤とが反応して、補強層が形成される。好ましい溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブチルアルコール及び酢酸エチルが例示される。
補強層は球状コアとカバーとの間に介在し、両者の密着を高める。ゴルフボールのカバーが極めて薄い場合には、薄いカバーがクラブフェースのエッジで打撃されると、シワが生じやすい。補強層を設けることによって、このようなシワが抑制される。
クラブフェースは、ロフトを備えている。このクラブフェースとのインパクト時には、ゴルフボールに捻れの力が加わる。この力は、カバーを周方向に変形させる。補強層の存在により、この変形が抑制される。この補強層により、小さなスピン速度と大きな打ち出し角が達成され、ドライバーでのショットにおける大きな飛距離が得られる。
補強層はまた、繰り返し打撃による反発性能の低下を抑制する。
ドライバーでのショットにおける飛行性能及びシワの抑制の観点から、補強層の引張強さは150kgf/cm以上が好ましく、200kgf/cm以上がより好ましい。通常得られる引張強さは、500kgf/cm以下である。引張強さの測定は、「JIS−K5400」の規定に準拠して試料を作製し、引張速度50mm/minで測定した。
ドライバーでのショットにおける飛行性能及びシワの抑制の観点から、補強層の鉛筆硬度は4B以上が好ましく、3B以上がより好ましく、B以上が特に好ましい。ゴルフボールが打撃されたときのカバーへの追従の観点から、補強層の鉛筆硬度は4H以下が好ましく、3H以下がより好ましく、2H以下が特に好ましい。鉛筆硬度は、「JISK5400」の規定に準拠して測定される。
シワの抑制の観点から、補強層の厚みは3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。補強層が容易に形成されるとの観点から、厚みは300μm以下、さらには100μm以下、さらには50μm以下、さらには20μm以下が好ましい。厚みは、ゴルフボールの断面がマイクロスコープで観察されることで測定される。粗面処理により中間層の表面が凹凸を備える場合は、凸部の直上で厚みが測定される。
(2−3)カバーについて
本発明のゴルフボールは、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有する。
本発明のゴルフボールのカバーを構成する材料としては、中間層に含有される樹脂成分として上述したものの中から適宜選択して使用することができ、例えば、未変性のアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー、アクリルゴム、または、これらの混合物などを使用することができる。
前記カバーは、さらに、酸化チタン、青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、所望の性能を損なわない範囲で含有してもよい。
本発明のゴルフボールのカバーの厚み(Tc)は、中間層の厚み(Tc)との厚みの合計(Tc+Tm)が、2.5mm以下、より好ましくは2.4mm以下、さらに好ましくは2.2mm以下とすることが望ましい。
カバーの厚み(Tc)と中間層の厚み(Tm)との合計(Tc+Tm)を、2.5mm以下とすることによって、得られるゴルフボールの反発性が高くなる。カバーの厚みの下限は、特に限定されるものではないが、0.3mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。0.3mm未満では、カバーの成形が困難になる虞があるからである。
前記カバーのスラブ硬度(Hc)は、ショアD硬度で、15以上が好ましく、20以上がより好ましく、25以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、38以下がさらに好ましい。カバー硬度が、ショアD硬度で15未満では、ボールの反発性能が不十分となるからである。一方、カバー硬度が、ショアD硬度で50超では、打球感が硬すぎるからである。
また、本発明では、カバーのスラブ硬度(Hc)と中間層のスラブ硬度(Hm)との硬度差(Hm−Hc)が、20以上、より好ましくは24以上、さらに好ましくは28以上であって、45以下、より好ましくは42以下、さらに好ましくは40以下であることが望ましい。カバーのスラブ硬度(Hc)と中間層のスラブ硬度(Hm)との硬度差を20以上とすることによって、中間層の反発性を高めることができ、また、高飛距離化に寄与し、カバーが所望のショートアイアンでのスピン量に寄与する為、本願発明の課題を達成することができる。一方、前記硬度差を45以下とすることにより、ボールの変形に中間層が追随しやすくなるので、得られるゴルフボールの耐久性が向上する。
カバーを形成する方法としては、例えば、球状コアをカバー用組成物で被覆してカバーを成形する。カバーを形成する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球状コアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、またはカバー用組成物を直接球状コア上に射出成形して球状コアを包み込む方法が用いられる。
また、カバーを成形してゴルフボール本体を作製する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。カバー成形後、ペイント仕上げ、スタンプ等も必要に応じて施し得る。さらに、ゴルフボール本体表面は、必要に応じて、マークや塗膜との密着性を向上するために、サンドブラスト処理のような研磨処理がなされてもよい。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)が、2.0mm以上、より好ましくは2.1mm以上、さらに好ましくは2.2mm以上であって、3.0mm以下、より好ましくは2.9mm以下、さらに好ましくは2.8mm以下であることが望ましい。前記圧縮変形量が、2.0mm未満では打球感が硬くて悪いものとなり、3.0mmを超えると反発性が低下する場合がある。
本発明のゴルフボールは、センターと前記センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有するものであれば、特に限定されない。本発明のゴルフボールの構造の具体例としては、センターと前記センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有するスリーピースゴルフボール、および、センター若しくは中間層の少なくとも一方を多層構造とした少なくとも4層以上の構造を有するマルチピースゴルフボールを挙げることができる。前記マルチピースゴルフボールとしては、多層センターと前記多層センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有する態様、単層センターと前記単層センターを被覆する多層の中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有する態様、多層センターと前記多層センターを被覆する多層の中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有する態様などを挙げることができる。これらの中でも本発明は、単層センターと前記単層センターを被覆する単層の中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有するスリーピースゴルフボールに好適に適用できる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)スラブ硬度(ショアD硬度)
変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物またはカバー(中間層)用組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板等の影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(2)球状コア(センター)硬度
ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて、センター、および、球状コアの表面部において測定したショアD硬度をそれぞれ、センター、および、球状コアの表面硬度とし、センターを半球状に切断し、切断面の中心において測定したセンター(球状コア)の中心硬度とした。
(3)耐擦過傷性
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットに市販のピッチングウエッジを取り付け、ヘッドスピード36m/秒でボールの2箇所を各1回打撃し、打撃部を観察して、4段階で評価した。
評価基準
◎:ゴルフボール表面に傷がない。
○:ゴルフボール表面に傷がわずかに残るがほとんど気にならない。
△:ゴルフボール表面に傷がくっきり残り若干毛羽立ちが見られる。
×:ゴルフボール表面がかなり削れ、毛羽立ちが目立つ。
(4)圧縮変形量(mm)
ゴルフボール、球状コアまたはセンターに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)を測定した。
(5)耐久性
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製#W1ドライバー(SRIスポーツ社製XXIO S 11度)を取り付け、各ゴルフボールをヘッドスピード45m/秒で打撃し衝突板に衝突させて、ゴルフボールが壊れるまでの繰返し打撃回数を測定した。各ゴルフボールの耐久性は、ゴルフボールNo.1の打撃回数を100として、各ゴルフボールについての打撃回数を指数化した値で示した。指数化された値が大きいほど、ゴルフボールが耐久性に優れていることを示す。
(6)飛距離
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製#W1ドライバー(SRIスポーツ社製XXIO S 11度)を取り付け、ヘッドスピード50m/秒でゴルフボールを打撃し、飛距離(発射始点から静止地点までの距離(m))を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの飛距離とした。
(7)打球感
ゴルファー10人(プロ2人、ハンデキャップ5以下の上級アマ8人)により、メタルヘッド製W#1ドライバーを用いて実打テストを行って、打撃時の衝撃の反発感を下記基準に基づいて評価を行い、最も多い評価結果をそのゴルフボールの打球感とした。
○:反発感があって良い
△:普通
×:重い感じで反発感が弱くて悪い
(8)スピン速度(rpm)、スピン速度の幅、ボール初速度の測定
ゴルフラボラトリー社製スイングロボットM/Cに、メタルヘッド製W#1ドライバー(SRIスポーツ社製 商品名XXIO S 11度)を取り付け、ヘッドスピード50m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによってスピン量(rpm)およびボール初速度を測定した。また、ショートアイアンでのスピン量を測定する際には、ドライバーに代えてサンドウェッジを取付け、ヘッドスピード21m/sでゴルフボールを打撃した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行い、その平均値をスピン速度とした。スピン速度の幅は、12個中のスピン量の最大値と最小値のスピン速度差であり、スピン速度の幅が狭いほどスピン安定性が高い。
スピン速度の幅の評価基準
A:幅が100rpm未満である
B:幅が100rpm以上200rpm未満である
C:幅が200rpm以上である
(9)打出角度(°)
上記「(8)スピン量」の測定と同様にして、ゴルフボールを連続写真撮影することによってゴルフボールの打出し各を測定した。
[ゴルフボールの作製]
(1)センターの作製
表1に示す配合のゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃で30分間加熱プレスすることによりセンターを得た。
Figure 0005283332
ポリブタジエンゴム:JSR(株)製のBR−730(ハイシスポリブタジエン)
アクリル酸亜鉛:日本蒸留製のZNDA−90S
酸化亜鉛:東邦亜鉛製の銀嶺R
硫酸バリウム:堺化学製硫酸バリウムBD
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製のパークミルD
尚、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.4gとなるように適量加えた。
(2)カバー(中間層)用組成物の調製
表2または表3に示した配合材料を用いて、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー(中間層)用組成物をそれぞれ調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160〜230℃に加熱された。
Figure 0005283332
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製のナトリムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井デュポンケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミランAM7329:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
サーリン8945:デュポン社製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
変性アイオノマー組成物1:亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂を4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(脂環式ジアミン化合物)で変性したもの
変性アイオノマー組成物2:マグネシウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂を4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン(脂環式ジアミン化合物)で変性したもの
Figure 0005283332
エラストランXNY85A:BASF(株)製の熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY97A:BASF(株)製の熱可塑性ポリウレタンエラストマー
ラバロンSR04:三菱化学社製熱可塑性ポリスチレンエラストマー
(3)ゴルフボール本体の作製
上記で得た中間層用組成物を、前述のようにして得たセンター上に射出成形することにより、前記センターを被覆する中間層を形成して、球状コアを作製した。続いて、前記球状コア上にカバー用組成物を射出成型することによりカバーを形成して、ゴルフボールを作製した。成形用上下金型は、半球状キャビティを有し、ディンプル付きで、ディンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねている。上記ホールドピンを突き出し、コアを投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に210℃に加熱した樹脂を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きしてゴルフボールを取り出した。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理をして、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。
得られたゴルフボールの構成、並びに、耐擦過傷性、飛距離、打球感、スピン量などについて評価した結果を表4および表5に示した。
Figure 0005283332

Figure 0005283332
ゴルフボールNo.1〜No.7は、センターと前記センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有するゴルフボールであって、前記中間層は、エチレン系アイオノマー樹脂を脂環式アミノ化合物で変性した変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物を含有し、前記中間層は、厚みTmが0.5mm以上であって、前記中間層の厚みTmと前記カバーの厚みTcとの厚みの合計(Tm+Tc)が2.5mm以下であり、前記中間層のスラブ硬度Hmと前記カバーのスラブ硬度Hcとの硬度差(Hm−Hc)が20以上45以下であることを特徴とするゴルフボールである。ドライバーショット時には、打出角度が高く、スピン量が低く、かつ、ボール初速度(反発性)が高く、アプローチショット時には、スピン量が高いゴルフボールが得られていることが分かる。これらの結果より、上記ゴルフボールが高飛距離とコントロール性とに優れていることが分かる。
一方、ゴルフボールNo.8は、中間層として従来のアイオノマー樹脂を使用した場合であるが、ゴルフボールNo.1〜No.7に比べて、打球感が悪く、飛距離も小さい。
ゴルフボールNo.9は、中間層の厚みTmが0.5m以上を満足しない場合である。耐久性、および、打球感が低下した。また、ドライバーショット時において、高打出角度および低スピン量化ができていないことが分かる。ゴルフボールNo.10は、前記中間層の厚みTmと前記カバーの厚みTcとの厚みの合計(Tm+Tc)が2.5mm以下を満足しない場合である。打球感が低下し、飛距離も小さくなる傾向があることが分かる。ゴルフボールNo.11およびNo.12は、前記中間層のスラブ硬度Hmと前記カバーのスラブ硬度Hcとの硬度差(Hm−Hc)が20以上45以下を満足しない場合である。
いずれの場合も耐久性が低く、ゴルフボールNo.11では、アプローチショット時のスピン量が低く、ゴルフボールNo.12では、耐擦過傷性が低下した。
本発明によれば、打出角度が高く、スピン量が低いゴルフボールを提供できる。

Claims (7)

  1. センターと前記センターを被覆する中間層とからなる球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーを最外層として有するゴルフボールであって、
    前記中間層は、エチレン系アイオノマー樹脂を脂環式アミノ化合物で変性した変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物を含有し、
    前記中間層を構成する全樹脂成分中の前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物の含有率は、30質量%から95質量%であり、
    前記中間層は、厚みTmが0.5mm以上であって、前記中間層の厚みTmと前記カバーの厚みTcとの厚みの合計(Tm+Tc)が1.5mm以下であり、
    前記中間層のスラブ硬度Hmと前記カバーのスラブ硬度Hcとの硬度差(Hm−Hc)が、ショアD硬度で20以上45以下であり、
    前記球状コアのショアD硬度による表面硬度Hs2とセンターの中心硬度Hoとの硬度差(Hs2−Ho)が、15以上であることを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物は、エチレン系アイオノマー樹脂と脂環式アミノ化合物とを、エチレン系アイオノマー樹脂が有するカルボキシル基に対して、前記脂環式アミノ化合物が有するアミノ基とのモル比率が[アミノ基/カルボキシル基]=0.01〜1となるように配合することによって得られたものである請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記脂環式アミノ化合物は、4,4’―ジアミノジシクロヘキシルメタンを構成成分とするものである請求項1に記載のゴルフボール。
  4. 前記変性エチレン系アイオノマー樹脂組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で60以上85以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記センターの中心硬度Hoと前記カバーのスラブ硬度Hcとの硬度差(Ho−Hc)が、ショアD硬度で1以上30以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 前記カバーのスラブ硬度(Hc)は、ショアD硬度で38以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. 前記カバーは、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミドエラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する熱可塑性エラストマー組成物を含有するものである請求項1〜のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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