JP5394327B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、センター、包囲層、中間層及びカバーを備えたマルチピースゴルフボールに関する。
ゴルフボールに対するゴルファーの最大の要求は、飛行性能である。ゴルファーは、ドライバー、ロングアイアン及びミドルアイアンでのショットにおける飛行性能を重視する。飛行性能は、ゴルフボールの反発性能と相関する。反発性能に優れたゴルフボールが打撃されると、速い速度で飛行し、大きな飛距離が達成される。
大きな飛距離が達成されるには、適度な弾道高さが必要である。弾道高さは、スピン速度及び打ち出し角度に依存する。大きなスピン速度によって高い弾道を達成するゴルフボールでは、飛距離が不十分である。大きな打ち出し角度によって高い弾道を達成するゴルフボールでは、大きな飛距離が得られる。外剛内柔構造のコアが採用されることにより、小さなスピン速度と大きな打ち出し角度とが達成されうる。
ゴルファーは、ゴルフボールのスピン性能も重視する。バックスピンの速度が大きいと、ランが小さい。ゴルファーにとって、バックスピンのかかりやすいゴルフボールは、目標地点に静止させやすい。サイドスピンの速度が大きいと、ゴルフボールは曲がりやすい。ゴルファーにとって、サイドスピンのかかりやすいゴルフボールは、意図的に曲げやすい。スピンがかかりやすいゴルフボールは、コントロール性能に優れている。上級ゴルファーは、特にショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能を重視する。
諸性能の達成の観点から、多層構造を有するゴルフボールが提案されている。特開平10−328326号公報(特許第3985107号)には、内芯、包囲層、内側カバー及び外側カバーを備えたゴルフボールが開示されている。特開2001−17575公報(特許第3525813号)には、コア、包囲層、中間層及びカバーを備えたゴルフボールが開示されている。特開2002−272880公報には、コアとカバーとを備えたゴルフボールが開示されている。このコアは、センターと外部コア層とからなる。カバーは、内部カバー層と外部カバー層とからなる。特開2003−135626公報には、コア及びカバーを備えたゴルフボールが開示されている。このコアは、センターと中間層とからなる。特開2003−205052公報には、センター、中間層及びカバーを備えたゴルフボールが開示されている。特開2004−130072公報には、コアとカバーとを備えたゴルフボールが開示されている。このコアは、3層構造を有する。
特開平10−328326号公報 特開2001−17575公報 特開2002−272880公報 特開2003−135626公報 特開2003−205052公報 特開2004−130072公報
外剛内柔構造であり、かつ硬度分布が過大であるコアがドライバーで打撃されると、このコアにおいてエネルギーのロスが大きい。エネルギーのロスは、反発性能を損なう。外剛内柔構造であり、かつ硬度分布が過大であるコアがショートアイアンで打撃されると、スピン速度が小さい。小さなスピン速度は、コントロール性能を損なう。
本発明の目的は、ドライバーで打撃されたときに大きな飛距離が得られ、ショートアイアンで打撃されたときのコントロール性能に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、コアと、このコアの外側に位置する中間層と、この中間層の外側に位置するカバーとを備える。このコアは、センターと、このセンターの外側に位置する包囲層とを有する。このゴルフボールの仮想球の体積に対するコアの体積の比率は、76%以上である。カバーのJIS−C硬度Hcは、コアの中心のJIS−C硬度Hoよりも小さい。コア中心からの距離が1mm以上5mm未満であるゾーンAに含まれる全ての点Paにおいて、下記数式(I)が成立する。コア中心からの距離が5mm以上10mm以下であるゾーンBに含まれるいずれかの点Pbにおいて、下記数式(II)が成立する。
Ha2 − Ha1 < 5 (I)
Hb2 − Hb1 ≧ 5 (II)
上記数式(I)において、Ha1は点Paよりも半径方向内側に存在しかつ点Paからの距離が1mmである点Pa1のJIS−C硬度を表し、Ha2は点Paよりも半径方向外側に存在しかつ点Paからの距離が1mmである点Pa2のJIS−C硬度を表す。上記数式(II)において、Hb1は点Pbよりも半径方向内側に存在しかつ点Pbからの距離が1mmである点Pb1のJIS−C硬度を表し、Hb2は点Pbよりも半径方向外側に存在しかつ点Pbからの距離が1mmである点Pb2のJIS−C硬度を表す。
好ましくは、カバーのJIS−C硬度Hcは、65以下である。好ましくは、カバーの厚みは、0.8mm以下である。
好ましくは、中間層のJIS−C硬度Hmは、90以上である。好ましくは、中間層の厚みは、1.5mm以下である。
カバーは、樹脂組成物からなる。好ましくは、この樹脂組成物の基材の主成分は、熱可塑性ポリウレタンである。
好ましくは、加振周波数が10Hzであり温度が0℃である条件下で測定された樹脂組成物の剪断損失弾性率G”は1.95×10Pa以下であり、同条件下で測定された樹脂組成物の引張損失弾性率E”の剪断損失弾性率G”に対する比(E”/G”)は1.76以上である。
好ましくは、熱可塑性ポリウレタンのポリオール成分は、数平均分子量が1500以下であるポリテトラメチレンエーテルグリコールである。
好ましくは、コアの表面のJIS−C硬度Heと上記硬度Hb2との差は、10以上である。好ましくは、コアの表面のJIS−C硬度Heと上記硬度Hoとの差は、40以下である。
本発明に係るゴルフボールでは、コアの硬度分布が適正である。このコアは、ドライバーで打撃されたときのエネルギーロスが少ない。このゴルフボールでは、ドライバーで打撃されたときに大きな飛距離が得られる。このゴルフボールは、ショートアイアンで打撃されたときのコントロール性能に優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。 図2は、本発明の実施例1及び4から6に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図3は、本発明の実施例2に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図4は、本発明の実施例3に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図5は、本発明の実施例7に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図6は、本発明の実施例8に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図7は、比較例1に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図8は、比較例2に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図9は、比較例3及び4に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。 図10は、比較例5に係るゴルフボールのコアの硬度分布が示されたグラフである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する中間層6と、この中間層6の外側に位置するカバー8とを備えている。コア4は、球状のセンター10と、このセンター10の外側に位置する包囲層12とを備えている。カバー8の表面には、多数のディンプル14が形成されている。ゴルフボール2の表面のうちディンプル14以外の部分は、ランド16である。このゴルフボール2は、カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
このゴルフボール2の直径は、40mmから45mmである。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45.00g以上がより好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
好ましくは、センター10は、ゴム組成物が架橋されることで得られる。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合は、ポリブタジエンが主成分とされることが好ましい。具体的には、基材ゴム全量に対するポリブタジエンの量の比率は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。ポリブタジエンにおけるシス−1,4結合の比率は40%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
センター10のゴム組成物は、共架橋剤を含む。共架橋剤により、センター10の高反発が達成される。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。反発性能の観点から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、共架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。ソフトな打球感の観点から、共架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、センター10のゴム組成物は、共架橋剤と共に有機過酸化物を含む。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。汎用性の観点から、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機過酸化物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機過酸化物の量は、基材ゴム100質量部に対して1.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、センター10のゴム組成物は、有機硫黄化合物を含む。好ましい有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド及びビス(4−シアノフェニル)ジスルフィドのようなモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド及びビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィドのようなジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド及びビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィドのようなトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィドのようなテトラ置換体;並びにビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド及びビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドのようなペンタ置換体が例示される。有機硫黄化合物は、反発性能に寄与する。特に好ましい有機硫黄化合物は、ジフェニルジスルフィド及びビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドである。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機硫黄化合物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機硫黄化合物の量は、基材ゴム100質量部に対して1.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。
センター10に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤の量は、センター10の意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、比重調整の役割のみならず、架橋助剤としても機能する。
センター10のゴム組成物には、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤、硫黄、加硫促進剤等が、必要に応じて添加される。このゴム組成物に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が分散してもよい。
反発性能及び耐久性の観点から、センター10の中心硬度Hoは40以上が好ましく、45以上がより好ましく、50以上が特に好ましい。スピン抑制の観点から、中心硬度H1は80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下が特に好ましい。センター10が切断されて得られる半球の切断面中心点に、JIS−C型硬度計が押しつけられることにより、中心硬度Hoが測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
このセンター10の硬度は、中心点から表面に向けて徐々に大きくなる。センター10の表面硬度は、中心硬度Hoよりも大きい。
センター10の直径は、10mm以上20mm以下が好ましい。直径が10mm以上であるセンター10により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、直径は12mm以上がより好ましく、13mm以上が特に好ましい。直径が20mm以下であるセンター10により、厚みが十分に大きな包囲層12が形成されうる。この観点から、直径は18mm以下がより好ましく、17mm以下が特に好ましい。
包囲層12は、ゴム組成物が架橋されることで得られる。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合は、ポリブタジエンが主成分とされることが好ましい。具体的には、基材ゴム全量に対するポリブタジエンの量の比率は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。ポリブタジエンにおけるシス−1,4結合の比率は40%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
包囲層12の架橋には、好ましくは、共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。反発性能の観点から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、共架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、共架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、包囲層12のゴム組成物は、共架橋剤と共に有機過酸化物を含む。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。汎用性の観点から、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機過酸化物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機過酸化物の量は、基材ゴム100質量部に対して2.0質量部以下が好ましく、1.5質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、包囲層12のゴム組成物は、有機硫黄化合物を含む。センター10に関して前述された有機硫黄化合物が、包囲層12に用いられうる。ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機硫黄化合物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機硫黄化合物の量は、基材ゴム100質量部に対して1.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。
包囲層12に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の量は、包囲層12の意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、比重調整の役割のみならず、架橋助剤としても機能する。包囲層12には、硫黄、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。包囲層12に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
包囲層12の成形では、未架橋状態又は半架橋状態の2枚のハーフシェルでセンター10が覆われる。このハーフシェルが加圧及び加熱される。加熱によって架橋反応が起こり、包囲層12が完成する。架橋温度は、通常は140℃以上180℃以下である。包囲層12の架橋時間は、通常は10分以上60分以下である。
この包囲層12では、最内部から表面まで、硬度が徐々に大きくなる。反発性能の観点から、包囲層12の表面(すなわちコア4の表面)の硬度Heは、75以上が好ましく、80以上がより好ましく、85以上が特に好ましい。打球感の観点から、硬度Heは95以下が好ましく、93以下がより好ましく、92以下が特に好ましい。コア4の表面にJIS−C型硬度計が押しつけられることにより、硬度Heが測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
スピン抑制の観点から、包囲層12の表面硬度Heと包囲層12の最内部の硬度Hiとの差(He−Hi)は10以上が好ましく、12以上がより好ましく、15以上が特に好ましい。製造容易の観点及び耐久性の観点から、差(He−Hi)は25以下が好ましい。
硬度Hiは、コア4が切断されて得られる半球において測定される。この半球の切断面にJIS−C型硬度計が押しつけられることにより、硬度Hiが測定される。硬度計は、第一の円と第二の円とに囲まれた領域に、押し付けられる。第一の円は、センター10と包囲層12との境界である。第二の円は、第一の円と同心であってかつ第一の円の半径よりも1mm大きな半径を有する。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
包囲層12の厚みは、8mm以上18mm以下が好ましい。厚みが8mm以上である包囲層12は、スピンを抑制しうる。この観点から、厚みは9mm以上がより好ましく、10mm以上が特に好ましい。厚みが18mm以下である包囲層12により、直径の大きなセンター10が形成されうる。直径の大きなセンター10は、スピンを抑制しうる。この観点から、厚みは16mm以下がより好ましく、15mm以下が特に好ましい。
スピンの抑制の観点から、コア4の表面硬度Heとセンター10の中心硬度Hoとの差(He−Ho)は20以上が好ましく、25以上が特に好ましい。コア4の反発性能の観点から、差(He−Ho)は40以下が好ましく、35以下が特に好ましい。
本明細書では、コア4中心からの距離が1mm以上5mm未満であるゾーンは「ゾーンA」と称され、コア4中心からの距離が5mm以上10mm以下であるゾーンは「ゾーンB」と称される。
ゾーンAに含まれる全ての点Paにおいて、下記数式(I)が成立する。
Ha2 − Ha1 < 5 (I)
この数式(I)において、Ha1は、点Pa1のJIS−C硬度を表す。点Pa1は、点Paよりも半径方向内側に存在する。点Pa1の、点Paからの距離は、1mmである。この数式(I)において、Ha2は、点Pa2のJIS−C硬度を表す。点Pa2は、点Paよりも半径方向外側に存在する。点Pa2の、点Paからの距離は、1mmである。センター10が切断されて得られる半球の切断面に、JIS−C型硬度計が押しつけられることにより、硬度Ha1及びHa2が測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
上記数式(I)を満たすコア4では、ゴルフクラブで打撃されたときのエネルギーロスが少ない。このコア4により、ゴルフボール2の高反発が達成されうる。このコア4を備えたゴルフボール2は、飛行性能に優れる。飛行性能の観点から、差(Ha2 − Ha1)は4以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。差(Ha2 − Ha1)がゼロでもよい。
ゾーンBに含まれるいずれかの点Pbにおいて、下記数式(II)が成立する。
Hb2 − Hb1 ≧ 5 (II)
この数式(II)において、Hb1は、点Pb1のJIS−C硬度を表す。点Pb1は、点Pbよりも半径方向内側に存在する。点Pb1の、点Pbからの距離は、1mmである。この数式(II)において、Hb2は、点Pb2のJIS−C硬度を表す。点Pb2は、点Pbよりも半径方向外側に存在する。点Pb2の、点Pbからの距離は、1mmである。センター10が切断されて得られる半球の切断面に、JIS−C型硬度計が押しつけられることにより、硬度Hb1及びHb2が測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
上記数式(II)を満たすコア4は、ゴルフボール2のスピンを抑制する。この観点から、差(Hb2 − Hb1)は7以上が特に好ましい。ゴルフクラブで打撃されたときのエネルギーロスが小さいとの観点から、差(Hb2 − Hb1)は20以下が好ましく、15以下が特に好ましい。
ゴルフボール2の仮想球の体積に対するコア4の体積の比率は、76%以上である。換言すれば、このコア4は大きい。このコア4により、ゴルフボール2の優れた反発性能が達成されうる。このコア4により、ゴルフボール2のスピンが抑制されうる。これらの観点から、この比率は78%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。仮想球の表面は、ディンプル14が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。
スピン抑制の観点から、コア4の表面硬度Heと硬度Hb2との差(He−Hb2)は10以上が好ましく、12以上がより好ましく、15以上が特に好ましい。
中間層6には、樹脂組成物が好適に用いられる。この樹脂組成物の基材ポリマーとしては、アイオノマー樹脂、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー及び熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが例示される。
特に好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。アイオノマー樹脂は、高弾性である。後述されるように、このゴルフボール2のカバー8は、薄くかつ軟質である。従って、このゴルフボール2がドライバーで打撃されると、中間層6が大きく変形する。アイオノマー樹脂を含む中間層6は、ドライバーショットにおける反発性能に寄与する。アイオノマー樹脂と他の樹脂とが、併用されてもよい。併用される場合、反発性能の観点から、基材ポリマーの全量に対するアイオノマー樹脂の量の比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
好ましいアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい他のアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンと、アクリル酸又はメタクリル酸との共重合体である。
二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7318」、「ハイミランAM7329」、「ハイミランMK7320」及び「ハイミランMK7329」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」、「サーリンAD8546」、「HPF1000」及び「HPF2000」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。
中間層6に、2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。1価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂と2価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂とが併用されてもよい。
中間層6が、高弾性樹脂を含んでもよい。高弾性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミノビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセアール、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びアクリロニトリル−スチレン共重合体が例示される。
中間層6には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が、適量配合される。中間層6の形成には、射出成形法、圧縮成形法等の既知の手法が採用されうる。
中間層6の硬度Hmは、90以上が好ましい。硬度Hmが90以上である中間層6により、ゴルフボール2の優れた反発性能が達成される。硬度Hmが90以上である中間層6により、コア4及び中間層6からなる球の外剛内柔構造が達成されうる。外剛内柔構造を有する球は、ゴルフボール2のスピンを抑制する。これらの観点から、硬度Hmは92以上が特に好ましい。打球感の観点から、硬度Hmは98以下が好ましく、97以下が特に好ましい。スピン抑制の観点から、中間層6の硬度Hmがコア4の表面硬度Heより大きく、かつ、コア4の表面硬度Heがセンター10の表面硬度より大きいことが好ましい。
硬度Hmは、自動ゴム硬度測定装置(高分子計器社の商品名「P1」)に取り付けられたJIS−C型のスプリング式硬度計によって測定される。測定には、熱プレスで成形された、厚みが約2mmであるスラブが用いられる。23℃の温度下に2週間保管されたスラブが、測定に用いられる。測定時には、3枚のスラブが重ね合わされる。中間層6の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが、測定に用いられる。
スピン抑制の観点から、中間層6の厚みは0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.6mm以上が特に好ましい。打球感の観点から、厚みは1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、1.0mm以下が特に好ましい。
カバー8は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の基材ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン及びアイオノマー樹脂が例示される。特に、ポリウレタンが好ましい。ポリウレタンは、軟質である。ポリウレタンが用いられたカバー8を備えたゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は、大きい。ポリウレタンからなるカバー8は、ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能に寄与する。ポリウレタンは、カバー8の耐擦傷性能にも寄与する。
このゴルフボール2がドライバー、ロングアイアン又はミドルアイアンで打撃されたとき、ヘッド速度が大きいので、コア4と中間層6とからなる球が大きく歪む。この球は外剛内柔構造を有するので、スピン速度が抑制される。スピン速度の抑制により、大きな飛距離が達成される。このゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたとき、ヘッド速度が小さいので、この球の歪みは小さい。ショートアイアンで打撃されたときのゴルフボール2の挙動は、主としてカバー8に依存する。ポリウレタンを含むカバー8は軟質なので、大きなスピン速度が得られる。大きなスピン速度により、優れたコントロール性能が達成される。このゴルフボール2では、ドライバー、ロングアイアン及びミドルアイアンでのショットにおける飛行性能と、ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能とが両立される。
このゴルフボール2が打撃されたとき、ポリウレタンを含むカバー8が衝撃を吸収する。この吸収により、ソフトな打球感が達成される。特に、ショートアイアン又はパターで打撃されたとき、カバー8によって優れた打球感が達成される。
打撃時のカバー8には、ゴルフクラブのヘッドの進行により、圧縮応力がかかる。ゴルフクラブのフェースはロフト角を有するので、打撃時のカバー8には、せん断応力もかかる。ショートアイアンのヘッド速度は小さく、かつショートアイアンのロフト角は小さい。従って、ゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたとき、せん断応力がカバー8の変形挙動に大きな影響を及ぼす。ドライバーのヘッド速度は大きく、かつドライバーのロフト角は小さい。従って、ゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、圧縮応力がカバー8の変形挙動に大きな影響を及ぼす。
カバー8の剪断損失弾性率G”は、1.95×10Pa以下が好ましい。前述の通り、ショートアイアンで打撃されたときのカバー8の変形挙動は、せん断応力の影響を強く受ける。ショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は、剪断損失弾性率G”と相関する。剪断損失弾性率G”が1.95×10Pa以下であるカバー8を備えたゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は、大きい。このカバー8により、優れたコントロール性能が達成されうる。この観点から、剪断損失弾性率G”は1.83×10Pa以下が特に好ましい。カバー8の成形容易の観点から、剪断損失弾性率G”は1.00×10Pa以上が好ましく、1.10×10Pa以上が特に好ましい。
カバー8の引張損失弾性率E”の、剪断損失弾性率G”に対する比(E”/G”)は、1.76以上が好ましい。前述の通り、ドライバーで打撃されたときのカバー8の変形挙動は、圧縮応力の影響を強く受ける。ドライバーで打撃されたときのスピン速度は、引張損失弾性率E”と相関する。比(E”/G”)が1.76以上であるカバー8を備えたゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は小さく、かつ、このゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は大きい。この観点から、比(E”/G”)は1.86以上がより好ましく、1.90以上が特に好ましい。カバー8の成形容易の観点から、比(E”/G”)は6.0以下が好ましく、5.5以下が特に好ましい。
引張損失弾性率E”は、2.00×10Pa以上が好ましく、2.20×10Pa以上がより好ましく、2.40×10Pa以上が特に好ましい。引張損失弾性率E”は、1.00×10Pa以下が好ましい。
剪断損失弾性率G”及び引張損失弾性率E”は、ポリオールの分子量、ポリイソシアネートの分子量、比(NCO/OH)等の調整により、コントロールされうる。
剪断損失弾性率G”の測定のために、カバー8の樹脂組成物と同等の樹脂組成物から、プレス成形により、厚みが2mmであるシートが得られる。このシートから、幅が10mmでありクランプ間距離が10mmである試料片が打ち抜かれる。この試験片により、剪断損失弾性率G”が測定される。測定条件は、以下の通りである。
装置:TAインスツルメント社の「レオメータARES」
測定モード:捻り(剪断)
測定温度:0℃
加振周波数:10Hz
測定ひずみ:0.1%
引張損失弾性率E”の測定のために、カバー8の樹脂組成物と同等の樹脂組成物から、プレス成形により、厚みが2mmであるシートが得られる。このシートから、幅が4mmでありクランプ間距離が20mmである試料片が打ち抜かれる。この試験片により、引張損失弾性率E”が測定される。測定条件は、以下の通りである。
装置:ユービーエム社の動的粘弾性測定装置「Rheogel−E4000」
測定モード:引張
測定温度:0℃
加振周波数:10Hz
測定ひずみ:0.1%
ゴルフボールとクラブとの接触時間は、数百μ秒である。従って、打撃時のゴルフボール2の変形の周波数は、数千Hzである。平均的には、ゴルフボール2は、ほぼ常温(25℃)の温度下で打撃される。一般的なポリウレタンの時間換算則に基づけば、温度が25℃である環境下における周波数が数千Hzである変形は、温度が0℃である環境下における周波数が10Hzである変形に相当する。従って本発明では、加振周波数が10Hzであり温度が0℃である条件下で、剪断損失弾性率G”及び引張損失弾性率E”が測定される。
カバー8に、ポリウレタンと他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、スピン性能及び打球感の観点から、ポリウレタンが基材ポリマーの主成分とされる。基材ポリマーの全量に対するポリウレタンの量の比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
カバー8には、熱可塑性ポリウレタン及び熱硬化性ポリウレタンが用いられうる。生産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。熱可塑性ポリウレタンは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。
ポリウレタンは、ポリオール成分を含む。ポリオールとしては、重合体ポリオールが好ましい。重合体ポリオールの具体例としては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)のようなポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)のような縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートのようなポリカーボネートポリオール;並びにアクリルポリオールが挙げられる。2種以上のポリオールが併用されてもよい。
特に、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましい。ゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有率との相関が大きい。一方、ゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有率との相関が小さい。ポリウレタンが適切な量のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むゴルフボール2は、ドライバーで打撃されたときの飛行性能と、ショートアイアンで打撃されたときのコントロール性能との両方に優れる。
コントロール性能の観点から、ポリオールの数平均分子量は200以上が好ましく、400以上がより好ましく、650以上が特に好ましい。スピンの抑制の観点から、この分子量は1500以下が好ましく、1200以下がより好ましく、850以下が特に好ましい。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定される。測定条件は、以下の通りである。
装置:HLC−8120GPC(東ソー社)
溶離液:テトラヒドロフラン
濃度:0.2質量%
温度:40℃
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー社)
サンプル量:5マイクロリットル
流速:0.5ミリリットル/min
標準物質:ポリスチレン(東ソー社の「PStQuick Kit−H」)
重合体ポリオール成分の水酸基価は、94mgKOH/g以上が好ましく、112mgKOH/g以上が特に好ましい。この水酸基価は561mgKOH/g以下が好ましく、173mgKOH/g以下が特に好ましい。
ポリウレタン中のイソシアネート成分としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)のような芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)のような脂環式ポリイソシアネート;並びにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のような脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。2以上のポリイソシアネートが併用されてもよい。耐候性の観点から、TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI及びH12MDIが好ましく、H12MDIが特に好ましい。
ポリウレタンが、その成分として鎖延長剤を含んでもよい。鎖延長剤としては、低分子量ポリオール及び低分子量ポリアミンが例示される。
低分子量ポリオールとしては、ジオール、トリオール、テトラオール及びヘキサオールが挙げられる。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール及びオクタンジオールが挙げられる。トリオールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオールが挙げられる。テトラオールの具体例としては、ペンタエリスリトール及びソルビトールが挙げられる。1,4−ブタンジオールが好ましい。
低分子量ポリアミンとしては、脂肪族ポリアミン、単環式芳香族ポリアミン及び多環式芳香族ポリアミンが挙げられる。脂肪族ポリアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンが挙げられる。単環式芳香族ポリアミンの具体例としては、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジメチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン及びキシリレンジアミンが挙げられる。
鎖延長剤の数平均分子量は30以上が好ましく、40以上がより好ましく、45以上が特に好ましい。この分子量は、400以下が好ましく、350以下がより好ましく、200以下が特に好ましい。鎖延長剤として使用する低分子量ポリオール及び低分子量ポリアミンは、分子量分布をほとんど有さない低分子化合物である。従って、この低分子量ポリオール及び低分子量ポリアミンは、上記重合体ポリオールとは区別され得る。
熱可塑性ポリウレタンとイソシアネート化合物とを含む組成物から、カバー8が成形されてもよい。カバー8の成形時又は成形後に、このイソシアネート化合物によってポリウレタンが架橋される。
カバー8には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が、適量配合される。
カバー8のJIS−C硬度Hcは、65以下である。軟質なカバー8が採用されることにより、ショートアイアンでのショットにおける良好なコントロール性能が達成されうる。コントロール性能の観点から、硬度Hcは60以下がより好ましく、55以下がさらに好ましく、50以下が特に好ましい。硬度が過小であるとドライバーでのショットにおける飛行性能が不十分となる。この観点から、硬度は20以上が好ましく、25以上がより好ましく、35以上が特に好ましい。硬度Hcの測定には、カバー8の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが用いられる。測定方法は、中間層6の硬度Hmの測定方法と同様である。
カバー8の硬度Hcは、コア4の中心硬度Hoよりも小さい。このゴルフボール2は、ショートアイアンでのコントロール性能に優れる。コントロール性能の観点から、差(Ho−Hc)は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、8以上が特に好ましい。差(Ho−Hc)は15以下が好ましい。
ドライバーでのショットにおける飛行性能の観点から、カバー8の厚みは0.8mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましく、0.4mm以下が特に好ましい。ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、厚みは0.10mm以上が好ましく、0.15mm以上が特に好ましい。
カバー8の形成には、射出成形法、圧縮成形法等の既知の手法が採用されうる。カバー8の成形時に、成形型のキャビティ面に形成されたピンプルにより、ディンプル14が形成される。
打球感の観点から、ゴルフボール2の圧縮変形量は2.0mm以上が好ましく、2.1mm以上がより好ましく、2.2mm以上が特に好ましい。反発性能の観点から、圧縮変形量は3.5mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.6mm以下が特に好ましい。
圧縮変形量の測定では、ゴルフボール2が金属製の剛板の上に置かれる。このゴルフボール2に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれたゴルフボール2は、変形する。ゴルフボール2に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、測定される。
ゴルフボール2が、中間層6とカバー8との間に補強層を備えてもよい。補強層は、中間層6と堅固に密着し、カバー8とも堅固に密着する。補強層により、カバー8の中間層6からの剥離が抑制される。前述のように、このゴルフボール2のカバー8は薄い。このゴルフボール2がクラブフェースのエッジで打撃されると、シワが生じやすい。補強層により、シワが抑制される。
補強層の基材ポリマーには、二液硬化型熱硬化性樹脂が好適に用いられる。二液硬化型熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂及びセルロース系樹脂が挙げられる。補強層の強度及び耐久性の観点から、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
補強層が、着色剤(典型的には二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液硬化型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
補強層は、主剤及び硬化剤が溶剤に溶解又は分散した液が、中間層6の表面に塗布されることで得られる。作業性の観点から、スプレーガンによる塗布が好ましい。塗布後に溶剤が揮発し、主剤と硬化剤とが反応して、補強層が形成される。
シワの抑制の観点から、補強層の厚みは3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。補強層が容易に形成されるとの観点から、厚みは300μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。厚みは、ゴルフボール2の断面がマイクロスコープで観察されることで測定される。粗面処理により中間層6の表面が凹凸を備える場合は、凸部の直上で厚みが測定される。
シワの抑制の観点から、補強層の鉛筆硬度は4B以上が好ましく、B以上がより好ましい。ゴルフボール2が打撃されたときの、カバー8から中間層6までの力の伝達ロスが小さいとの観点から、補強層の鉛筆硬度は3H以下が好ましい。鉛筆硬度は、「JIS K5400」の規格に準拠して測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[ポリウレタン#1の合成]
原料として、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、数平均分子量が1500であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)及び1,4−ブタンジオール(BD)を準備した。H12MDI及びPTMGをそれぞれ80℃に加熱し、H12MDIの容器にPTMGを投入して混合液を得た。ジブチルチンジラウレート(アルドリッチ社)を、容器に投入した。窒素気流下にて、80℃の温度下で、2時間、混合液を撹拌した。さらに、80℃に加熱したBDを、容器に投入した。窒素気流下にて、80℃の温度下で、1分間、混合液を撹拌を行った。この混合液を室温まで冷却した。この混合液を、1分間、減圧した。減圧により、混合液が脱気された。脱気後の反応液を、他の容器に延展した。窒素雰囲気下、110℃にて6時間保持した。保持により、ウレタン反応が起こり、ポリウレタン#1が得られた。このポリウレタン#1のJIS−C硬度は、45であった。原料の詳細は、以下の通りである。
12MDI:住化バイエルウレタン社
PTMG:保土ヶ谷化学工業社の商品名「PTMG−1500SN」
BD:和光純薬工業社
12MDI、PTMG及びBDのモル比は、(3.39:1.00:2.39)であった。H12MDI、PTMG及びBDの総量100質量部に対するジブチルチンジラウレートの量は、0.005質量部であった。
[ポリウレタン#2の合成]
12MDI、PTMG及びBDのモル比を(3.61:1.00:2.61)とした他は、ポリウレタン#1の合成と同様にして、ポリウレタン#2を合成した。このポリウレタン#2のJIS−C硬度は、47であった。
[ポリウレタン#3の合成]
数平均分子量が1000であるPTMG(保土ヶ谷化学工業社の商品名「PTMG−1000SN」)を用い、H12MDI、PTMG及びBDのモル比を(2.63:1.00:1.63)とした他は、ポリウレタン#1の合成と同様にして、ポリウレタン#3を合成した。このポリウレタン#3のJIS−C硬度は、44であった。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、20質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.7質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物(1)を得た。このゴム組成物(1)を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で15分間加熱して、直径が15mmであるセンターを得た。
100質量部のハイシスポリブタジエン(前述の「BR−730」)、42質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.7質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物(3)を得た。このゴム組成物(3)から、ハーフシェルを成形した。上記センターを2枚のハーフシェルで被覆した。このセンター及びハーフシェルを、共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で20分間加熱して、直径が39.7mmであるコアを得た。ゴム組成物(3)からは、包囲層が成形された。包囲層の比重がセンターの比重と一致し、かつボール質量が45.4gとなるように、硫酸バリウムの量を調整した。
50質量部のアイオノマー樹脂(前述の「サーリン8945」)及び50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(a)を得た。共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型にコアを投入した。樹脂組成物(a)を射出成形法にてコアの周りに射出し、中間層を成形した。この中間層の厚みは、1.0mmであった。
二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の二酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、40℃雰囲気下で24時間保持して、補強層を得た。補強層の厚みは、10μmであった。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFジャパン社の商品名「エラストランXNY85A」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(b)を得た。この樹脂組成物(b)から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア、中間層及び補強層からなる球を被覆した。共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなり、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に、上記球及びハーフシェルを投入した。圧縮成形法にて、カバーを得た。このカバーの厚みは、0.5mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が42.7mmである実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールのコアの硬度分布が、表3に示されている。
[実施例2から8及び比較例1から5]
センター、包囲層、中間層及びカバーの仕様を下記の表6から9に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から8及び比較例1から5のゴルフボールを得た。コアのゴム組成物の詳細が、下記の表1に示されている。中間層及びカバーの樹脂組成物の詳細が、下記の表2に示されている。コアの硬度分布が、表3から5に示されている。比較例1に係るゴルフボールは、包囲層を有さない。
[ドライバー(W#1)でのショット]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、チタンヘッドを備えたドライバー(SRIスポーツ社の商品名「SRIXON W505」、シャフト硬度:X、ロフト角:8.5°)を装着した。ヘッド速度が50m/secである条件で、ゴルフボールを打撃した。打撃直後のボール速度及びスピン速度、並びに発射地点から静止地点までの距離を測定した。12回測定されて得られたデータの平均値が、下記の表6から9に示されている。
[ショートアイアンでのショット]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、サンドウェッジ(SW)を装着した。ヘッド速度が21m/secである条件でゴルフボールを打撃して、打撃直後のスピン速度を測定した。12回測定されて得られたデータの平均値が、下記の表5から7に示されている。さらに、クラブフェイスとボールとに水を付着させてゴルフボールを打撃し、打撃直後のスピン速度を測定した。12回測定されて得られたデータの平均値が、下記の表6から9に示されている。
[打球感]
10名のゴルファーにサンドウェッジにてゴルフボールを打撃させ、打球感を聞き取った。「打球感が良好」と答えたゴルファーの数に基づき、下記の格付けを行った。
A:8人以上
B:6−7人
C:4−5人
D:3人以下
この結果が、下記の表6から9に示されている。
Figure 0005394327
Figure 0005394327
エラストランXNY85A、エラストランXNY90A、エラストランXNY97A、ポリウレタン#1、ポリウレタン#2及びポリウレタン#3は、いずれも、ポリオール成分がポリテトラメチレンエーテルグリコールである熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、以下の通りである。
エラストランXNY85A:1800
エラストランXNY90A:1800
エラストランXNY97A:1800
ポリウレタン#1:1500
ポリウレタン#2:1500
ポリウレタン#3:1000
Figure 0005394327
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表6から9に示されるように、実施例に係るゴルフボールは、諸性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフ場でのプレーや、ドライビングレンジにおけるプラクティスに用いられうる。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・中間層
8・・・カバー
10・・・センター
12・・・包囲層
14・・・ディンプル
16・・・ランド

Claims (9)

  1. コアと、このコアの外側に位置する中間層と、この中間層の外側に位置するカバーとを備えており、
    上記コアが、センターと、このセンターの外側に位置する包囲層とを有しており、
    ゴルフボールの仮想球の体積に対するコアの体積の比率が76%以上であり、
    上記カバーが樹脂組成物からなり、
    加振周波数が10Hzであり温度が0℃である条件下で測定された上記樹脂組成物の剪断損失弾性率G”が、1.95×10 Pa以下であり、
    加振周波数が10Hzであり温度が0℃である条件下で測定された上記樹脂組成物の引張損失弾性率E”の、上記剪断損失弾性率G”に対する比(E”/G”)が、1.76以上であり、
    カバーのJIS−C硬度Hcがコアの中心のJIS−C硬度Hoよりも小さく、
    コア中心からの距離が1mm以上5mm未満であるゾーンAに含まれる全ての点Paにおいて、下記数式(I)が成立し、
    コア中心からの距離が5mm以上10mm以下であるゾーンBに含まれるいずれかの点Pbにおいて、下記数式(II)が成立するゴルフボール。
    Ha2 − Ha1 < 5 (I)
    Hb2 − Hb1 ≧ 5 (II)
    (上記数式(I)において、Ha1は点Paよりも半径方向内側に存在しかつ点Paからの距離が1mmである点Pa1のJIS−C硬度を表し、Ha2は点Paよりも半径方向外側に存在しかつ点Paからの距離が1mmである点Pa2のJIS−C硬度を表す。上記数式(II)において、Hb1は点Pbよりも半径方向内側に存在しかつ点Pbからの距離が1mmである点Pb1のJIS−C硬度を表し、Hb2は点Pbよりも半径方向外側に存在しかつ点Pbからの距離が1mmである点Pb2のJIS−C硬度を表す。)
  2. 上記カバーのJIS−C硬度Hcが65以下である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記カバーの厚みが0.8mm以下である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 上記中間層のJIS−C硬度Hmが90以上である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 上記中間層の厚みが1.5mm以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
  6. 上記カバーの樹脂組成物の基材の主成分が熱可塑性ポリウレタンである請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
  7. 上記熱可塑性ポリウレタンのポリオール成分が、数平均分子量が1500以下であるポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項に記載のゴルフボール。
  8. 上記コアの表面のJIS−C硬度Heと上記硬度Hb2との差が10以上である請求項1からのいずれかに記載のゴルフボール。
  9. 上記コアの表面のJIS−C硬度Heと上記硬度Hoとの差が40以下である請求項1からのいずれかに記載のゴルフボール。
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