JP5283313B2 - エアー式荷役機械 - Google Patents

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本発明は、荷役物を昇降して搬送するための荷役機械に関し、特にエアー式の駆動源によって昇降機構を駆動する荷役機械に関する。
工場の生産ラインあるいは倉庫などでは、比較的重量のある機材の脱着作業に伴う搬送、半製品ワークの次工程への搬送、また出荷製品の運搬など多種多様な搬送が行われている。
こうした各種負荷の搬送作業では、労力軽減化と安全化を図り、かつ小回りが利き機動性と簡便さを備えた荷役機械が使用されている。
図12は、従来の荷役機械の概略構成図である。
図12に示すように、荷役機械101の本体103の内部には空気圧シリンダ120が配設され、空気圧シリンダ120のピストンロッド120aの先端部には昇降機構105のアーム104がリンク機構で連結されている。
このリンク機構はアーム104の上昇下降動作時の力点となるとともに、アーム104は本体103内部で支持されこの支持部がアーム104の支点となっている。
さらにアーム104の先端には、操作グリップ109を備えた操作ボックス109とクランプ機構108が設けられ、これにより荷役物107を保持できるようになっている。
空気圧シリンダ120にはエアー制御系110が接続配管され、操作ボックス109からの上昇・下降指令に応じて、エアー源121から空気圧シリンダ120へエアーの給排気処理を行うように構成されている。
この場合、例えば、操作グリップ109を上方向に操作すると、空気圧シリンダ120にはエアー制御系110を介してエアーが給気され、これにより空気圧シリンダ120のピストンロッド120aが図中下方向に動作し、アーム104先端のクランプ機構108で把持された荷役物107が、てこの原理で上方向に移動する。
このような従来の荷役機械101において荷役物107の重量が未知の場合の搬送作業について図13及び図14を用いて説明する。
まず最初にアーム104先端のクランプ機構108を荷役物107の上方に移動させる。その後、操作ボックス109に設けられたクランプボタン109aをオンにし(ステップS1)、クランプ機構108で荷役物107をクランプする。
荷役物107が確実にクランプされたのを作業者が確認した(ステップS2)後、操作ボックス109に設けられた上昇ボタン109bをオンにする(ステップS3)と、方向切換弁125が流量制御部123側に切り換わり、空気圧シリンダ120にはエアー源121→流量制御部123→方向切換弁125→空気圧シリンダ120の経路でエアーが給気され、昇降機構105が上昇する。
作業者は、昇降機構105が上昇し荷役物107が接地面から離れた(地切り)状態を確認した(ステップS4)後、上昇ボタン109bをオフにして昇降機構105を停止させる(ステップS5)。
上昇操作後、昇降機構105を停止させた後においても昇降機構105が振動している場合があるため、作業者は振動が停止したのを確認した(ステップS6)後、操作ボックス109に設けられたバランスモード設定ボタン109cをオンにして荷役機械101をバランスモードに設定する(ステップS7)。
バランスモードでは、方向切換弁125が圧力比例制御部122側に切り換えられ、空気圧シリンダ120内のエアー圧は常に一定(バランス圧)になるように制御される。
このバランスモードでは、作業者がアーム104先端のクランプ機構108又はクランプしている荷役物107に力を加えると、力を加えた方向に自在に動かすことができる。
バランスモードにおいて荷役物107を所定の場所に移動後、操作ボックス109に設けられた下降ボタン109dをオンにすると、方向切換弁125は流量制御部123側に切り換わり、空気圧シリンダ120内のエアーは空気圧シリンダ120→方向切換弁125→流量制御部123→大気の経路で排気され、昇降機構105は下降動作を開始する。
昇降機構105が下降し着地した後も下降ボタン109dをオンし続けると、空気圧シリンダ120内のエアーはさらに排気されていき、シリンダ内圧は減圧される。
最終操作であるアンクランプ操作は、シリンダ内圧が無負荷圧まで下がった状態すなわち荷役物107が着地していると考えられる状態で操作が可能になるようインタロックが取られている。
この場合、作業者は空気圧シリンダ120内のエアー圧が無負荷状態になったことを無負荷状態ランプ127で確認した後に下降ボタン109dをオフにする。この状態で、操作ボックス109に設けられたアンクランプボタン109eをオンにすることにより荷役物107がアンクランプされ、荷役物107の搬送作業が完了する。
このような従来の荷役機械101では、搬送する荷役物107の重量が未知の場合、荷役機械101をバランスモードに移行させるまで作業者は荷役機械101の状態を見ながら複数の操作を行わなければならないため、操作が煩雑になるという問題がある。
この問題を解決するため、例えば特開平11−147699などの特許が出願されている。この出願では、荷役機械機構部の先端部に荷重センサーを設け、荷重センサーからの荷役物の重量情報に基づき、空気圧シリンダ内のシリンダ圧を制御することにより、複雑な操作を行うことなくバランスモードに移行させることを可能にしている。
しかし、この制御方式では、高価な荷重センサーが必要になることに加え、変形した荷役物や重心位置がずれたような荷役物の重量を正確に検知できるようなセンサーを備えたクランプ機構部が必要になること、また上昇時、荷役機械機構部先端が振動した場合、その振動の影響を受けて荷役機械が振動的になり制御が難しくなるなど、コスト面、構造面、制御面における課題が考えられる。
特開2000−169100公報
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、操作が単純で作業効率を向上させることができるとともに構成が簡素で安価な荷役機械を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、上下方向に移動自在に構成され、所定の荷役物をクランプ機構によって保持して昇降させる昇降機構を、所定のエアー源に接続された空気圧シリンダからなる駆動部によって駆動するエアー式荷役機械であって、前記空気圧シリンダ内のエアーの圧力を検出する圧力センサーと、前記空気圧シリンダに給排気するエアーの流量及び圧力を、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報並びに所定の操作部からの命令のみに基づいて制御する制御回路とを備え、前記操作部に自動処理用スイッチを設け、当該自動処理用スイッチの操作による命令並びに前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて複数の処理を連続的に行うように構成されているものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記制御回路によって前記クランプ機構の動作を制御するように構成されているものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記自動処理用スイッチとして前記クランプ機構を動作させるためのクランプスイッチを有するとともに、前記クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーを有し、前記クランプスイッチをオンにした後、前記クランプセンサーにおいて得られた変位情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定するように構成されているものである。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3のいずれか1項記載の発明において、前記自動処理用スイッチとして前記クランプ機構を動作させるためのクランプスイッチを有し、前記クランプスイッチをオンにした後、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定するように構成されているものである。
請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項記載の発明において、前記自動処理用スイッチとして前記昇降機構を下降させる下降スイッチを有し、前記下降スイッチをオンにした後、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて前記クランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されているものである。
請求項6記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記自動処理用スイッチとしての荷役物重量既知用の動作スイッチと、前記クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーとを有し、前記荷役物重量既知用の動作スイッチをオンにした後、前記クランプセンサーにおいて得られた変位情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定し、又は、前記昇降機構を下降させつつ前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて前記クランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されているものである。
請求項7記載の発明は、請求項2又は6のいずれか1項記載の発明において、前記自動処理用スイッチとしての荷役物重量未知用の動作スイッチと、前記クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーとを有し、前記荷役物重量未知用の動作スイッチをオンにした後、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定し、又は、前記昇降機構を下降させつつ前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて前記クランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されているものである。
本発明の場合、空気圧シリンダ内のエアーの圧力を検出する圧力センサーを設けるとともに、操作部に自動処理用スイッチを設け、当該自動処理用スイッチの操作による命令並びに圧力センサーにおいて得られた空気圧シリンダ内の圧力情報のみに基づいて複数の処理を連続的に行うようにしたことから、従来技術のように、作業者が荷役機械の状態を見ながら、クランプ・アンクランプ動作、上昇・下降動作、バランスモード設定操作などについて作業者が個々の必要な操作スイッチを選択し操作を行う必要がない。
その結果、本発明によれば、操作部におけるスイッチの数を減らして操作を簡素化するとともに複数のスイッチ操作による誤操作を防止することができるので、作業効率の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、従来技術のような高価な荷重センサー、複雑なクランプ機構を用いることなくバランス時の空気圧シリンダの圧力を検出できるため、安価な装置を提供することができる。
本発明において、自動処理用スイッチとしてクランプ機構を動作させるためのクランプスイッチを有するとともに、クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーを有し、クランプスイッチをオンにした後、クランプセンサーにおいて得られた変位情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定するように構成されている場合には、荷役物の重量が既知の場合に、1ヶのスイッチ操作で荷役物のクランプ動作とバランスモードの設定を自動的に行うことができる。
本発明において、自動処理用スイッチとしてクランプ機構を動作させるためのクランプスイッチを有し、クランプスイッチをオンにした後、圧力センサーにおいて得られた空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて荷役機械をバランスモードに設定するように構成されている場合には、荷役物の重量が未知の場合に、1ヶのスイッチ操作で荷役物のクランプ動作とバランスモードの設定を自動的に行うことができる。
本発明において、自動処理用スイッチとして昇降機構を下降させる下降スイッチを有するとともに、空気圧シリンダにおけるエアーの圧力を検出する圧力センサーを有し、下降スイッチをオンにした後、当該圧力センサーにおいて得られた空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいてクランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されている場合には、1ヶのスイッチ操作で荷役物の下降とアンクランプ動作を自動的に行うことができる。
本発明において、自動処理用スイッチとしての荷役物重量既知用の動作スイッチと、クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーとを有し、荷役物重量既知用の動作スイッチをオンにした後、クランプセンサーにおいて得られた変位情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定し、又は、昇降機構を下降させつつ圧力センサーにおいて得られた空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいてクランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されている場合には、重量が既知の荷役物について、1ヶのスイッチ操作で荷役物のクランプ動作とバランスモードの設定、また荷役物の下降とアンクランプ動作を選択的にそれぞれ自動的に行うことができ、これにより作業効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明において、自動処理用スイッチとしての荷役物重量未知用の動作スイッチと、クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーとを有し、荷役物重量未知用の動作スイッチをオンにした後、圧力センサーにおいて得られた空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定し、又は、昇降機構を下降させつつ圧力センサーにおいて得られた空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいてクランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されている場合には、重量が未知の荷役物について、1ヶのスイッチ操作で荷役物のクランプ動作とバランスモードの設定、また荷役物の下降とアンクランプ動作を選択的にそれぞれ自動的に行うことができ、これにより作業効率を飛躍的に向上させることができる。
そして、上述した本発明を適宜組み合わせることにより、種々の荷役物について、構成が簡素で、作業効率を向上させることができる荷役機械を安価に提供することができる。
本発明によれば、操作が単純で作業効率を向上させることができるとともに、構成が簡素で安価な荷役機械を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る荷役機械の実施の形態の外観構成を示す概略図、図2は、同荷役機械の動作概念を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施の形態の荷役機械1は、鉛直に立設された支柱2を有し、この支柱2の上部に制御ボックス3が設けられている。
図2に示すように、この制御ボックス3内には、従来技術と同様の空気圧シリンダ20が設けられている。この空気圧シリンダ20は、後述するエアー制御系10を介してエアー源21に接続されている(以下、シリンダ20という。)。
荷役機械1は、第1〜第3のアーム4a〜4cから構成されるアーム4を有する昇降機構5を備えている。ここで、第1のアーム4aは、上下方向に所定の角度回動可能な状態で、てこを構成するように支持されシリンダ20のピストンロッド20aによって駆動されるようになっている。
また、第1のアーム4aは、支柱2の中心軸を中心にして水平方向に旋回するように支持されている。
第1のアーム4aの先端部には、第2のアーム4bが、関節部6を介して常に水平状態を保持する状態で連結され、さらに、第2のアーム4bの先端部(下端部)には、鉛直方向に延びる第3のアーム4cが水平方向に回転可能な状態で連結されている。
第3のアーム4cの下端部には、例えば把持によって荷役物7を保持するクランプ機構8が取り付けられている。また、第3のアーム4cの下部には、操作グリップ9aを有する操作ボックス(操作部)9が取り付けられている。
図3は、本実施の形態のエアー制御系の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施の形態においては、エアー源21の後段に、圧力比例制御部22と流量制御部23が設けられ、これら圧力比例制御部22と流量制御部23は、方向切換弁25によってその流路を切り換えてシリンダ20との間でエアーの給排気を行うように構成されている。
圧力比例制御部22は、公知の圧力比例制御弁を有するもので、マイクロコンピュータ、メモリ等を有する制御回路24に接続され、制御回路24からの命令により出力圧力を調整して所定の値に設定するように構成されている。
また、流量制御部23は、上記制御回路24に接続され、制御回路24からの命令により、エアー源21から供給されるエアーの流量を所定の値に調整してシリンダ20に出力するようになっている。
さらに、方向切換弁25は、上述した制御回路24に接続され、制御回路24からの命令によって入出力ポートを切り換えるように構成されている。
一方、シリンダ20には、その内部のエアー圧、即ち負荷バランス圧を検出するためのエアー圧力センサー(以下、「圧力センサー」という)26が設けられており、この圧力センサー26は、上記制御回路24に接続されている。
クランプ機構8は、上記制御回路24に接続され、制御回路24からの命令により、荷役物7をクランプし又はクランプを解除するように構成されている。
このクランプ機構8には、荷役物7が確実にクランプされたことを確認するクランプ確認センサー(クランプセンサー)27が設けられ、このクランプ確認センサー27は、制御回路24に接続されている。
本実施の形態の場合、このクランプ確認センサー27としては、クランプ機構8の変位を検出して電気的信号に変換するリミットスイッチ等を好適に用いることができる。
また、操作ボックス9には、自動処理用スイッチとして、荷役物7の重量が既知の場合にクランプ処理からバランスモード移行までの一連の処理を実行するクランプ−既知負荷バランスボタン91、荷役物7の重量が未知の場合にクランプ処理からバランスモード移行までの一連の処理を実行するクランプ−未知負荷バランスボタン92、下降処理からアンクランプ処理までの一連の処理を実行する下降−アンクランプボタン93が設けられている。
これらクランプ−既知負荷バランスボタン91、クランプ−未知負荷バランスボタン92、下降−アンクランプボタン93は、作業者による押下によってオンするように構成され、それぞれ制御回路24に接続されている。
図4は、本実施の形態において重量が既知の荷役物を搬送する場合の操作方法を示すフローチャートであり、以下、図3及び図4を用いて本方法を説明する。
まず、荷役機械1のクランプ機構8を荷役物7に上方に移動し、作業者が操作ボックス9のクランプ−既知負荷バランスボタン91をオンにする(ステップS1)。
これにより、制御回路24は、クランプ−既知負荷バランスボタン91のオン情報を読み込み、クランプ機構8を動作させて荷役物7をクランプする(ステップS2)。
次に、クランプ確認センサー27からの信号により、荷役物7が確実にクランプされたことを確認した(ステップS3)後、制御回路24からの命令により、圧力比例制御部22の入力設定圧を、クランプしている荷役物7の重量とバランスが取れる負荷バランス圧に設定し、荷役機械1をバランスモードにする(ステップS4)。
以上の処理により、荷役機械1をバランスモードに設定する処理が完了し、この状態で作業者は荷役物の搬送作業を行う。
図5は、本実施の形態において重量が未知の荷役物を搬送する場合の操作方法を示すフローチャートであり、以下、図3及び図5を用いて本方法を説明する。
まず、荷役機械1のクランプ機構8を荷役物7に上方に移動し、作業者が操作ボックス9のクランプ−未知負荷バランスボタン92をオンにする(ステップS1)。
これにより、制御回路24は、このクランプ−未知負荷バランスボタン92のオン情報を読み込み、クランプ機構8を動作させて荷役物7をクランプする(ステップS2)。
次に、クランプ確認センサー27からの信号により、荷役物7が確実にクランプされたことを確認した(ステップS3)後、制御回路24からの命令により、方向切換弁25を流量制御部23側に切り換え、シリンダ20に対してエアー源→流量制御部23→シリンダ20の経路でエアーを給気し、昇降機構5を上昇させる(ステップS4)。
図6は、昇降機構を上昇させる際のシリンダ20内のエアー圧の変化を示すグラフである。
図6に示すように、シリンダ20にエアーを給気する場合、シリンダ20内のエアー圧が荷役物7を吊り上げたときのシリンダ圧(以下、「負荷圧」という。)に達していない状態(着地状態)では、シリンダ20内のエアー圧は給気されるエアー流量に応じて昇圧されていくが、シリンダ20の内圧が負荷圧に達すると地切りが始まり、地切り後は給気されたエアー量に応じて昇降機構5が上昇していく。
昇降機構5が上昇中はシリンダ20内のエアー圧は一定圧(=負荷圧)となる。
シリンダ20にエアーを給気している状態では、制御回路24は、圧力センサー26からの信号によりシリンダ20内の圧力を逐次モニターし、シリンダ20の内圧が昇圧から一定圧に変化する肩の部分(地切り直後)を捉えた時点で荷役物7が地切りされたと判断し(ステップS5)、シリンダ20内へのエアー給気を停止する(ステップS6)。
シリンダ20内へのエアー給気の停止後、しばらくの間昇降機構5が振動している場合がある。このような場合には、シリンダ20の内圧をモニターしている圧力センサー26の出力は図7に示すように変化している。
昇降機構5が振動している状態、すなわちシリンダ20の内圧が変化している場合は、正確な負荷圧(バランス圧)を検出することができないため、本実施の形態では、制御回路24はシリンダ20の内圧が一定になるまで待機する。
そして、圧力センサー26からの信号によってシリンダ20内のエアー圧が所定の時間一定になったことを確認した場合には、制御回路24は昇降機構5の振動が停止したと判断し(ステップS6)、このときのシリンダ20の内圧の値を読み込み制御回路24内に記憶する。
その後、制御回路24からの命令により、方向切換弁25を圧力比例制御部22側に切り換え、先に読み込み記憶したシリンダ20の内圧値を圧力比例制御部22の出力圧となるように設定し、荷役機械1をバランスモードに設定する(ステップS7)。
以上の処理により、荷役機械1をバランスモードに設定する処理が完了し、この状態で作業者は荷役物の搬送作業を行う。
図8は、本実施の形態において荷役物7を下降させる場合の操作方法を示すフローチャートであり、以下、図3及び図8を用いて本方法を説明する。
まず、作業者が操作ボックス9の下降−アンクランプボタン93をオンにし(ステップS1)、制御回路24からの命令によって方向切換弁25を流量制御部23側に切り換える。
これにより、シリンダ20内のエアーがシリンダ20→方向切換弁25→流量制御部23→大気の経路で排気され、昇降機構5は下降動作を開始する(ステップS2)。
昇降機構5が下降し着地した後もさらに下降−アンクランプボタン93を押し続けると、シリンダ20内のエアーはさらに排気され、シリンダ20の内圧も減圧されていく。
制御回路24は、シリンダ20の内圧をモニターしている圧力センサー26の出力値が無負荷圧まで下がったことを確認した(ステップS3)後、シリンダ20内のエアーの排気処理を停止し、クランプしている荷役物7のアンクランプ処理を実行し、荷役物7を開放する(ステップS4)。
上述した下降−アンクランプ時の処理は、荷役物7の重量が既知でも未知であっても同一の処理を行う。
ところで、上述した一連の下降−アンクランプ制御を下降−アンクランプボタン93の1ヶの操作で実行するようにした場合、下降−アンクランプボタン93を誤ってオンしてしまうと、操作者の意志とは関係なく下降−アンクランプ処理が実行されてしまうことになる。
このような誤動作を避けるため、下降−アンクランプボタン93について、押下継続中のみ処理を実行するように制御することも可能である。この場合、処理中に下降−アンクランプボタン93を離すと、昇降機構5はその場で停止することになる。
以上述べたように本実施の形態によれば、操作ボックス9に、クランプ−既知負荷バランスボタン91、クランプ−未知負荷バランスボタン92、下降−アンクランプボタン93を設け、これらスイッチの操作による命令に基づいて複数の処理を連続的に行うようにしたことから、従来技術のように、作業者が荷役機械1の状態を見ながら、クランプ・アンクランプ動作、上昇・下降動作、バランスモード設定操作などについて作業者が個々の操作用スイッチを選択してそれぞれ操作を行う必要がない。
その結果、本実施の形態によれば、操作ボックス9におけるスイッチの数を減らして操作を簡素化するとともに複数のスイッチ操作による誤操作を防止することができるので、作業効率の向上を図ることができる。
また、本実施の形態においては、従来技術のような高価な荷重センサー、複雑なクランプ機構を用いることなくバランス時のシリンダ20の圧力を検出することができるため、安価な装置を提供することができる。
図9は、本発明の他の実施の形態のエアー制御系の構成を示すブロック図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図9に示すように、本実施の形態においては、操作ボックスには荷役物7の重量が既知の場合に使用する第1の自動処理ボタン94と、荷役物7の重量が未知の場合に使用する第2の自動処理ボタン95が設けられている。
これら第1及び第2の自動処理ボタン94、95は、作業者による押下によってオンするように構成され、それぞれ制御回路24に接続されている。
図10は、本実施の形態において重量が既知の荷役物7を搬送する場合の操作方法を示すフローチャートであり、以下、図9及び図10を用いて本実施の形態を説明する。
まず、作業者が操作ボックス9の第1の自動処理ボタン94をオンにする(ステップS1)。
本実施の形態では、制御回路24は、クランプ確認センサー27からの信号に基づき、荷役機械1が現在クランプ状態にあるのか、またはアンクランプ状態にあるのか常に管理・監視している(ステップS2)。
そして、荷役機械1がアンクランプ状態にあると判断した場合には、図4で説明したクランプ−既知負荷バランス処理を実行する(ステップS3)。すなわち、制御回路24からの命令により、クランプ機構8を動作させて荷役物7をクランプする。
次に、クランプ確認センサー27からの信号により、荷役物7が確実にクランプされたことを確認した後、制御回路24からの命令により、圧力比例制御部22の入力設定圧を、クランプしている荷役物7の重量とバランスが取れる負荷バランス圧に設定し、荷役機械1をバランスモードにする。
これにより荷役機械1をバランスモードに設定する処理が完了し、この状態で作業者は所定の作業を行う。
一方、ステップS2において荷役機械1がクランプ状態にあると判断した場合には、図8で説明した下降−アンクランプ処理を実行する(ステップS4)。
すなわち、制御回路24からの命令によって方向切換弁25を流量制御部23側に切り換え、昇降機構5を下降させる。
そして、圧力センサー26の出力値が無負荷圧まで下がったことを制御回路24が確認した後、シリンダ20内のエアーの排気処理を停止し、クランプしている荷役物7のアンクランプ処理を実行し、荷役物7を開放する。
図11は、本実施の形態において重量が未知の荷役物を搬送する場合の操作方法を示すフローチャートであり、以下、図9及び図11を用いて本実施の形態を説明する。
まず、作業者が操作ボックス9の第2の自動処理ボタン95をオンにする(ステップS1)。
この場合も、制御回路24は、クランプ確認センサー27からの信号に基づき、荷役機械1が現在クランプ状態にあるのか、またはアンクランプ状態にあるのか常に管理・監視している(ステップS2)。
そして、荷役機械1がアンクランプ状態にあると判断した場合には、図5で説明したクランプ−未知負荷バランス処理を実行する(ステップS3)。すなわち、制御回路24からの命令により、クランプ機構8を動作させて荷役物7をクランプする。
次に、クランプ確認センサー27からの信号により、荷役物7が確実にクランプされたことを確認した後、制御回路24からの命令により、方向切換弁25を流量制御部23側に切り換え、昇降機構5を上昇させる。
そして、上述したように、荷役物7が地切りされたと判断した後、シリンダ20内へのエアー給気を停止し、さらに、シリンダ20内のエアー圧が所定の時間一定になったことを確認した後、このときのシリンダ20の内圧の値を読み込み制御回路24内に記憶する。
その後、制御回路24からの命令により、方向切換弁25を圧力比例制御部22側に切り換え、先に読み込み記憶したシリンダ20の内圧値を圧力比例制御部22の出力圧となるように設定し、荷役機械1をバランスモードに設定する。
これにより荷役機械1をバランスモードに設定する処理が完了し、この状態で作業者は所定の作業を行う。
一方、ステップS2において、荷役機械1がクランプ状態にあると判断した場合には、上述した下降−アンクランプ処理を実行する(ステップS4)。
以上述べたように本実施の形態によれば、重量が既知及び未知の荷役物7について、1ヶのスイッチ操作で荷役物7のクランプ動作とバランスモードの設定を自動的に行うことができるとともに、荷役物7の下降とアンクランプ動作を自動的に行うことができるので、作業効率を飛躍的に向上させることができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、本発明において使用するクランプ機構としては、フック(引っ掛け)構造などの把持機構を有しないものもあるが、その場合には、フック部分にリミットスイッチ等の荷役物在荷検出用センサーを設けることによって荷役物の保持の有無を確認することができる。
このようなフック構造の保持機構では、荷役物の保持の有無を目視で容易に確認することができるので、クランプ確認センサーは設けず、自動負荷検出ボタン(クランプなし)を設け、荷役物の保持後に自動負荷検出ボタンをオンしてシリンダ内圧を検出するように構成することも可能である。
また、クランプ機構によってはクランプ確認情報、荷役物在荷情報などが得られない構成のものもあるが、そのような場合には、クランプ動作命令後、タイマー等によって待ち時間を持たせることにより対応することができる。
さらに、上記実施の形態では、地切り確認を低コストで実現可能なシリンダ内圧検出用の圧力センサーを用いて行ったが、シリンダのロッドの移動量を検出して地切り確認を行う構成、昇降機構先端に速度又は加速度センサーを用いて地切り確認を行う構成を採用することも可能である。
また、上記実施の形態では、昇降機構の振動検出は圧力センサーを用いて行ったが、昇降機構上昇後一定時間経過した後に振動が停止していると仮定し、強制的にバランスモードに移行させることも可能である。
上記他の実施の形態では、荷役物重量が既知の場合に使用する第1の自動処理ボタンを一つ設けた例を説明したが、搬送する荷役物の種類が複数ある場合、それぞれの荷役物の重量に対して負荷バランス圧を予め設定した自動処理ボタンを複数設けることも可能である。
また、上記実施の形態では、アーム式の荷役機械を例にとって説明したが、本発明はベルト式タイプやアームとベルトを組み合わせたタイプの荷役機械、またホイストタイプの荷役機械にも容易に適用することができる。
本発明に係る荷役機械の実施の形態の外観構成を示す概略図 同荷役機械の動作概念を示す概略構成図 同実施の形態のエアー制御系の構成を示すブロック図 同実施の形態において重量が既知の荷役物を搬送する場合の操作方法を示すフローチャート 同実施の形態において重量が未知の荷役物を搬送する場合の操作方法を示すフローチャート 昇降機構を上昇させる際のシリンダ内のエアー圧の変化を示すグラフ シリンダの内圧をモニターしている圧力センサーの出力を示すグラフ 同実施の形態において荷役物を下降させる場合の操作方法を示すフローチャート 本発明の他の実施の形態のエアー制御系の構成を示すブロック図 同実施の形態において重量が既知の荷役物を搬送する場合の操作方法を示すフローチャート 同実施の形態において重量が未知の荷役物を搬送する場合の操作方法を示すフローチャート 従来の荷役機械の概略構成図 従来の荷役機械のエアー制御系の構成を示すブロック図 従来の荷役機械において荷役物の重量が未知の場合の搬送作業を示すフローチャート
1…荷役機械 4…アーム 5…昇降機構 7…荷役物 8…クランプ機構 9…操作ボックス(操作部) 10…エアー制御系 20…空気圧シリンダ 21…エアー源 22…圧力比例制御部 24…制御回路 23…流量制御弁 26…エアー圧力センサー(圧力センサー) 27…クランプ確認センサ(クランプセンサー) 91…クランプ−既知負荷バランスボタン(自動処理用スイッチ) 92…クランプ−未知負荷バランスボタン(自動処理用スイッチ) 93…下降−アンクランプボタン(自動処理用スイッチ)

Claims (7)

  1. 上下方向に移動自在に構成され、所定の荷役物をクランプ機構によって保持して昇降させる昇降機構を、所定のエアー源に接続された空気圧シリンダからなる駆動部によって駆動するエアー式荷役機械であって、
    前記空気圧シリンダ内のエアーの圧力を検出する圧力センサーと、
    前記空気圧シリンダに給排気するエアーの流量及び圧力を、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報並びに所定の操作部からの命令のみに基づいて制御する制御回路とを備え、
    前記操作部に自動処理用スイッチを設け、当該自動処理用スイッチの操作による命令並びに前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて複数の処理を連続的に行うように構成されているエアー式荷役機械。
  2. 前記制御回路によって前記クランプ機構の動作を制御するように構成されている請求項1記載のエアー式荷役機械。
  3. 前記自動処理用スイッチとして前記クランプ機構を動作させるためのクランプスイッチを有するとともに、前記クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーを有し、前記クランプスイッチをオンにした後、前記クランプセンサーにおいて得られた変位情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定するように構成されている請求項2記載のエアー式荷役機械。
  4. 前記自動処理用スイッチとして前記クランプ機構を動作させるためのクランプスイッチを有し、前記クランプスイッチをオンにした後、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定するように構成されている請求項2又は3のいずれか1項記載のエアー式荷役機械。
  5. 前記自動処理用スイッチとして前記昇降機構を下降させる下降スイッチを有し、前記下降スイッチをオンにした後、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて前記クランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されている請求項2乃至4のいずれか1項記載のエアー式荷役機械。
  6. 前記自動処理用スイッチとしての荷役物重量既知用の動作スイッチと、前記クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーとを有し、前記荷役物重量既知用の動作スイッチをオンにした後、前記クランプセンサーにおいて得られた変位情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定し、又は、前記昇降機構を下降させつつ前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて前記クランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されている請求項2記載のエアー式荷役機械。
  7. 前記自動処理用スイッチとしての荷役物重量未知用の動作スイッチと、前記クランプ機構の動作を検出するクランプセンサーとを有し、前記荷役物重量未知用の動作スイッチをオンにした後、前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて当該荷役機械をバランスモードに設定し、又は、前記昇降機構を下降させつつ前記圧力センサーにおいて得られた前記空気圧シリンダ内の圧力情報に基づいて前記クランプ機構のアンクランプ動作を行うように構成されている請求項2又は6のいずれか1項記載のエアー式荷役機械。
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