以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は 遊技機の構成例を示した正面図である。
初めに遊技機全体の説明をする。
図1において、遊技機1は、機枠又は機体として所定の外郭方形枠サイズに構成された固定保持用の外枠11と、この外枠11の前側に設けられ、この外枠11に合わせて方形枠サイズに構成された前枠12とを備えている。
前枠12は、正面左側上下部に配設された開閉連結支持機構13a、13bを介して外枠11に開閉(片持ち横開き)可能に組付けるとともに、正面右側内部に配設された施錠装置14を利用して閉鎖状態に保持される。
前枠12の正面側には、前枠12の前側面域に合わせた方形状のガラス扉15及び受け皿ユニット16が共に横開き開閉及び着脱が可能に組付けられており、施錠装置14および図示しないロック機構を利用して前枠12の前面を覆う閉止状態で保持される。
受け皿ユニット16には、球払出口から払い出された遊技球を貯留して整列させる球皿部17が設けられる。
前枠12には、パチンコゲームを展開し得る遊技盤101が、着脱交換可能にセット保持されている。遊技盤101は、前面の遊技領域103を前記ガラス扉15の正面に臨ませている。
前枠12の前記ガラス扉15の下方位置には、発射部292(図2参照)を備える操作ハンドル113が配置され、発射部292の駆動によって発射された遊技球がレール102a、102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、遊技球を不特定の方向に向けて落下させるための複数の釘に加え、遊技球の落下方向を変化させる風車や入球口が配置されている。
遊技領域103の中央部分には中央役物2が配置されている。中央役物2には、例えば液晶表示器(LCD)を用いた図柄表示部104が配置されている。
図柄表示部104の下方には遊技球を受入れ可能な第1始動口105が配置され、第1始動口105の下方には一対の可動片120a(図3参照)を有する第2始動口120が配置されている。第2始動口120は一対の可動片120a(図3参照)が閉状態のときに遊技球の受入れを困難にし、開状態のときに第1始動口105よりも遊技球の受入れを容易にする。
図柄表示部104の左側には、遊技球の通過を検出し、第2始動口120を一定時間だけ開放させる普通図柄の抽選を行うための入賞ゲート106が配置されている。入賞ゲート106の下方位置等には、遊技球が入球したときに所定数(例えば10個)の賞球払い出しの権利を獲得する普通入賞口107a、107b、107cが配置されている。遊技領域103の最下部にはどの入球口にも入球しなかった遊技球を回収する回収口108が配置されている。
図柄表示部104の右下には、遊技球が入球したときに所定数(例えば10個)の賞球払い出しの権利を獲得する普通入賞口107dが配置されている。
さらに、普通入賞口107dの下には、主制御基板201(図2参照)に設けられた第1特別図柄抽選手段による抽選結果を表示する第1特別図柄表示器82(図3参照)、及び主制御基板201(図2参照)に設けられた第2特別図柄抽選手段による抽選結果を表示する第2特別図柄表示器83(図3参照)が配置されている。これら両表示器82、83には特別図柄が変動表示されていると共に、所定時間経過後に所定の図柄が停止表示され、始動口への遊技球の入球を契機とする抽選の結果が表示されている。両表示器82、83には複数のLEDが使用され、特別図柄の変動表示の開始に伴ってLEDが点滅することで、現在抽選中であるかのような印象を遊技者に与える。所定時間経過後には、抽選結果に応じて予め設定されたLEDが点灯表示し、遊技者に抽選結果が報知されている。
特別図柄の変動表示中に第1始動口105、あるいは第2始動口120に遊技球が入球すると、当該入球によって得られる特別図柄の変動表示の権利(以下「保留球」という)が留保されている。この留保された保留球の数は第1特別図柄保留表示器84(図3参照)及び第2特別図柄保留表示器85(図3参照)に表示されている。
特別図柄の変動表示中に入賞ゲート106に遊技球が入球すると、普通図柄抽選手段による抽選が行われるが、この抽選結果を表示する普通図柄表示器81(図3参照)が上記両表示器82、83の付近に配置されている。普通図柄の変動表示中に入賞ゲート106に遊技球が入球することによって得られる普通図柄の変動表示の権利、すなわち保留球の数が普通図柄保留表示器86(図3参照)に表示されている。
図柄表示部104は第1始動口105、または第2始動口120に遊技球が入球したときに複数の装飾図柄の変動表示を開始し、所定時間経過後に当該装飾図柄の変動を停止させる。停止時に特定図柄(例えば「777」)が揃えば、大当たり遊技(長当たり遊技)を実行する権利を獲得したこととなり、その後、大当たり遊技(長当たり遊技)が開始される。大当たり遊技(長当たり遊技)が開始されると、遊技領域103の下方に位置する大入賞口ユニット9における開閉扉91が一定時間、開放する動作を所定回数(例えば15回)繰り返し、入球した遊技球に対応する賞球が払い出されている。
大入賞口ユニット9は遊技盤101に設けられた大入賞口93を開閉する開閉扉91を開閉自在に支持し、開閉扉91が大入賞口93の前面(表面)側に位置した状態で、遊技盤101の背面に設置されている。開閉扉91は通常時には閉鎖して大入賞口93を閉塞しており、大入賞口93に遊技球が入球することを阻止している。大当たり遊技が開始されたときには、大入賞口開閉ソレノイド43への通電により開閉扉91が開放して大入賞口93を開放させる。大入賞口93の開放時には、開閉扉91が遊技球を大入賞口93内に導くための受け皿として機能するため、大入賞口93に遊技球が入球可能となる。
また、前記前枠12の上側と下側には複数のライト112を備えた演出ライト111(ランプユニット)が設置されている。
前枠12の下側には、受け皿ユニット16が設置されている他、前述の操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は遊技盤101から遊技者側へ突出し、上記発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に遊技者によって操作されている。
操作ハンドル113は上記発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は操作ハンドル113の外周部に、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられ、遊技者によって直接操作されているときに発射部に遊技球発射の指示を与える。操作ハンドル113には遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサ等が内蔵されている。
中央役物2における図柄表示部104の上側及び側方(図1においては紙面右側)には、演出用の役物(以下、「演出役物」という)115、116が配置されている。演出役物115、116は例えばモータによって駆動されるようになっている。中央役物2における図柄表示部104の左下側には、本実施形態の要部となる演出役物117が配置されている。
前枠12の下側にはまた、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン118が配置されている。チャンスボタン118の操作は例えば遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン118の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
前枠12には、演出効果音、または不正を知らしめる音声を出力するスピーカ277(図2参照)が組み込まれている。スピーカ277は高音・中音・低音の領域を出力できる機能を有し、通常演出時は高音・中音・低音をバランス良く出力するが、後述する特別演出時、または不正等があった場合には周りに良く聞こえるように高音領域を高く出力するように制御されている。
(制御手段の内部構成)
図2に遊技機1の制御手段の内部構成を示すが、ここに示すように制御手段200は主に主制御基板201、副制御基板202、賞球制御基板203、及びランプ制御基板206の複数の制御基板から構成されている。
主制御基板201は遊技機1の遊技に関する基本動作を制御し、ROM201bに記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するCPU201aと、CPU201aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM201c等を備える。主制御基板201は第1始動口105、もしくは第2始動口120への遊技球の入球を契機として、大当たり抽選を行うと共に、その抽選結果に基づいてROM201bに記憶されている演出に係わるコマンドの選択を行う。
主制御基板201の入力側には、第1始動口105に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出部221と、第2始動口120に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出部225と、入賞ゲート106を遊技球が通過したことを検出するゲート検出部222と、普通入賞口107a、107b、107cに入球した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口ユニット9に入球した遊技球を検出する大入賞口検出部224とが接続されている。
主制御基板201の出力側には役物作動装置231が接続されている。本実施形態においては上記役物作動装置231を、開閉扉91を開閉させる大入賞口開閉ソレノイド(駆動装置)と、第2始動口120を開閉させる第2始動口開閉ソレノイドとによって構成している。
役物作動装置231は主制御基板201によって制御され、大当たり遊技(長当たり遊技、短当たり遊技)時に大入賞口開閉ソレノイド97に通電して開閉扉91を開放させ、また上記普通図柄の当選によって第2始動口開閉ソレノイドに通電して第2始動口120を開閉する。
副制御基板202の入力側には上記のチャンスボタン118が操作されたことを検出するチャンスボタン検出部220が接続されている。この副制御基板202は主に遊技中における演出を制御し、主制御基板201より送信されているコマンドに基づいて演出の抽選及び演出処理を実行するCPU202aと、プログラム及び過去の演出パターンを記憶するROM202bと、CPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM202c等を備えている。
副制御基板202は主制御基板201より送信されている演出に係るコマンドを受信すると、このコマンドに基づいて抽選を行い、演出背景パターン、リーチ演出パターン、登場キャラクター等の演出を確定すると共に、当該確定した演出の制御を行う。副制御基板202の出力側には図柄表示部104が接続され、抽選によって決定された内容の通りに図柄表示部104において装飾図柄演出を展開する。副制御基板202には図柄表示部104に表示させる画像データを書き込むVRAM202dも備えられている。
通常時には、CPU202aがROM202bに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示及び変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM202bから読み出してVRAM202dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクター画像は表示画面上において図柄表示部104に重畳表示されている。すなわち、図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示されている。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法等、周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM202dに記憶させる。
副制御基板202の出力側にはスピーカ277が接続され、副制御基板202において確定した通りに音声を出力する。副制御基板202の出力側にはまた、ランプ262、演出ライト111、及び演出役物作動装置254を制御するランプ制御基板206が接続されている。演出役物作動装置254は演出役物115,116等の、演出用の役物を作動させるモータ等によって構成されている。ランプ制御基板206は副制御基板202より送信されたコマンドに基づき、プログラムを作動させて演出処理を実行するCPU206aと、各種演出パターンデータを記憶するROM206bと、CPU206aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM206c等を備えている。
ランプ制御基板206は遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ262に対する点灯制御等を行う他、演出ライト111における複数のライト112に対する点灯制御等を行い、各ライト112からの光の照射方向を変更するためにモータに対する駆動制御等を行う。ランプ制御基板206はまた、副制御基板202より送信されたコマンドに基づき、演出役物115、116を動作させる各種モータに対する駆動制御等を行う。
主制御基板201には賞球制御基板203が双方向に送信可能に接続されている。賞球制御基板203はROM203bに記憶されたプログラムを作動させて賞球制御の処理を実行するCPU203aと、CPU203aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM203c等を備え、ROM203bに記憶されたプログラムに基づき、賞球制御を行う。
賞球制御基板203は接続されている払出部291に対して入球時の賞球数を払い出す制御を行う。また発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。払出部291は遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータ等からなる。
賞球制御基板203はこの払出部291に対して、各入球口(第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107a、107b、107c、107d、大入賞口93)に入球した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。発射部292は遊技者による遊技操作を検出するセンサ(図示しない)と、遊技球を発射させる図示しないソレノイド等を備え、遊技のための遊技球を発射する。賞球制御基板203は発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
図3及び図4は遊技盤101を示す正面図及び斜視図である。
図3及び図4において、遊技盤101は、合板の前面に樹脂シートを貼り付けた構造の遊技板300に中央役物2等の各種所物や遊技釘303を配置したものである。
遊技盤101の遊技領域103の中央には、中央役物2が設けられている。
中央役物2は、前記遊技領域103の中央に設けられ、開口部22が形成された枠部材21を主要構成とする前側ユニット3を有し、当該開口部22の背面側に図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104の開口部22から露出する部分は、画面400となっている。枠部材21の表面には、金色の鍍金が施されている。
中央役物2の枠部材21の上側中央の若干左寄りには、曲面部23が設けられており、遊技領域103は、この曲面部23から左右に分岐して左打ち用の遊技領域301と勢いが付きすぎた遊技球を減速させて回収口108に導く線路302に分けられている。
左打ち用の遊技領域301には、多数本の遊技釘303とともに、入賞ゲート106、普通入賞口107a、107b、107c、風車109、第1始動口105、第2始動口120、大入賞口ユニット9等が配置されている。
一方、枠部材21の左側壁31には、左打ち用の遊技領域301を落下する遊技球が付近の遊技釘303の誘導により比較的低い確率で突入するワープ経路32が設けられている。
枠部材21の下壁33の上面には、ワープ経路32を通過した遊技球が転がるステージ面34が形成されている。ステージ面34の中央には遊技球を第1始動口105に誘導する誘導孔35の入り口35a(図4参照)が設けられている。誘導孔35の出口35bは、第1始動口105の上方に位置する。ステージ面34の手前には、ステージ面34から転落した遊技球が転がるステージ面36が形成されている。ステージ面36の中央には、遊技球を第1始動口105に誘導する誘導溝37が形成されている。
下壁33のステージ面34より奥側には建物や雲をイメージする装飾用の飾り401が形成される。飾り401の右側部と画面400の間には、演出役物117が設けられている。
枠部材21の左側壁31、下壁33、右側壁38、上壁39により囲まれる領域は、上述の開口部22となっている。
遊技球は、通常の遊技状態で、曲面部23よりも左下側に落下して左打ち用の遊技領域301に導かれ、遊技釘303や風車109に衝突しながら、あるものは、ワープ経路32、ステージ面34及び誘導孔35を通過し第1始動口105に落下し、また、あるものは、ステージ面36及び誘導溝37を通過し第1始動口105に落下し、また、あるものは、ワープ経路32を介さず直接下方に落下し、普通入賞口107a、107b、107cまたは第1始動口105に入賞し、また、あるものは、アウト球として回収口108に集合し、アウト球通路孔を通って遊技盤3の裏面側に排出される。
図5は図4に示した演出役物117の分解斜視図である。
図5において、演出役物117は、ケース本体501と、蓋体502と、モータ駆動ユニット503と、ギア504、505、506と、フォトセンサ507と、係合回動部材508と、引張りコイルバネ509と、可動部510と、ネジ511、512、513、514、515、516、517とから構成されている。
可動部510は、係合板521と、取り付け板522と、装飾部本体523と、回動装飾部材524と、ねじりバネ525と、ネジ526、527、528と、ワッシャ529、530とから構成されている。
モータ駆動ユニット503は、ケース531にステッピングモータと減速ギアを収納し、回転軸532を回転可能な状態で設けたものである。このステッピングモータの駆動力は、減速ギアを介して回転軸532に伝達され、回転軸532を回転駆動するようになっている。ケース531の先端面側には、一対のネジ止部533、534が設けられている。ケース531の基端側には、副制御基板202に接続されるコネクタ535が設けられている。ネジ止部533、534は、ネジ511、512によりケース本体501の前側板状部541の前面の左側部にネジ止め固定される。
ケース本体501の前側板状部541の後面は、上側水平板状部542、左上側垂直板状部543、左上側傾斜板状部544、左中間垂直板状部545、左下側水平板状部546、左下側傾斜板状部547及び右下側傾斜板状部548により囲まれることで、収納部520を形成している。
収納部520には、ギア504、505、506、フォトセンサ507、係合回動部材508、引張りコイルバネ509、可動部510の係合板521及びネジ526、527が収納される。
前側板状部541の後面には、ネジ止め用の突起部551、552、553、554が後方に突出して設けられる。
前側板状部541の左端近傍には、モータ駆動ユニット503の回転軸532が回転可能な状態で挿入される貫通孔561が形成されている。前側板状部541の後面における貫通孔561の右側には、軸受け部562が設けられている。軸受け部562には、シャフト563の一端側が回転可能な状態で挿入される。前側板状部541の後面における軸受け部562の右斜め下側には、軸受け部564が設けられている。軸受け部564には、シャフト565の一端側が回転可能な状態で挿入される。前側板状部541の後面における軸受け部564の右斜め上側には、軸受け部566が設けられている。軸受け部566には、シャフト567の一端側が回転可能な状態で挿入される。
前側板状部541の左端近傍には、二時の方向に延びる上下二本のスリット568、569が平行に並べて形成されている。前側板状部541の後面におけるスリット568の左上の縁部には、ストッパ用壁部570が収納部520側に突出して設けられている。
前側板状部541の上辺近傍の右側寄りには、引張りコイルバネ509の一端側を取り付ける突起部571が形成されている。水平板状部542の突起部571の近傍には、突起部571に対する引張りコイルバネ509の取り付けを容易にするためのスリット572が形成されている。一方、水平板状部546及び傾斜板状部547には、ギア506の外周の一部が挿入される貫通部573、574がそれぞれ形成されている。
左上側垂直板状部543及び左下側傾斜板状部547には、中央役物2(図3参照)に取り付け固定するためのネジ止部701、702が外側に突出してそれぞれ設けられている。
ギア504の中心の貫通孔575には、貫通孔561から突出するモータ駆動ユニット503の回転軸532が嵌入される。これにより、ギア504は、回転軸532に取り付け固定される。ここで貫通孔575及び回転軸532の貫通孔575に嵌入される部分は断面がD字形状に形成され、回転軸532とギア504の間では非回転の状態になる。
ギア505は、中心の貫通孔576にシャフト563が挿入されることで、シャフト563に取り付けられる。ギア505は、ギア504より大径に形成されている。
ギア506は、中心の貫通孔577にシャフト565が挿入されることで、シャフト565に取り付けられる。ギア506は、ギア505より大径に形成されている。ギア506の後面の外周近傍には、係合回動部材508と係合及び係合解除可能な3つの突起部581a、581b、581cが等間隔で形成されている。ギア506の後面の貫通孔575から半径の1/3程度離れた位置には、リング状の壁部582が形成されている。壁部582には3つのスリット583a、583b、583cが等間隔で形成されている。
係合回動部材508は、合成樹脂をL字状に形成したものであり、折曲部591に貫通孔592が形成され、折曲部591からギア506側に延びる一端側の延出部593と折曲部から係合板521側に延びる他端側の延出部594を備える。係合回動部材508の後面の貫通孔592の周りには、円筒部595が形成されている。一端側の延出部593の後面にはリブ596が形成されている。他端側の延出部594の後面にはリブ597が形成されている。
他端側の延出部594の折曲部591近傍には、ギア506側に湾曲する湾曲部598が形成され、湾曲部598の湾曲側の反対側には、引張りコイルバネ509の一端側が取り付けられる突起部599が形成されている。他端側の延出部594の前面の先端近傍には、係合板521のスリット610に挿入される突起部600が形成されている。
係合板521は、金属により板状に形成されたものであり、長四角形状に形成されるとともに、長四角形状の水平板状部542側のコーナーが水平板状部542と略並行になるようにカットされた形状になっている。係合板521には、スリット610とネジ挿通孔611、612が形成されている。ネジ挿通孔611、612は、係合板521の右下側傾斜板状部548側のコーナー近傍に形成されている。スリット610は、係合板521の上下の中間から若干上側の位置においてスリット568、569に対して垂直になる方向に形成されている。
取り付け板522は、金属により長四角形の板状に形成されたものである。取り付け板522には、ネジ挿通孔621、622が形成されている。このネジ挿通孔621、622は、取り付け板522の右下側傾斜板状部548側のコーナー近傍に形成されている。
取り付け板522の後面には、スリット568に挿入される一対のローラー623、624と、スリット569に挿入される一対のローラー625、626とが設けられている。ローラー623、624、625、626は、スリット568、569に対する取り付け板522の移動を滑らかにするためのものである。
装飾部本体523は、合成樹脂を素材とし金型で一体形成されたものであり、上側が人物をイメージした浮き彫りの形状に形成された装飾部631となり、下側が板状の取り付け部632になっている。取り付け部632には、ネジ526、527のネジ部が螺入されるネジ孔633、634が形成されている。装飾部631の裏側は、金型成形の際のヒケを防止するために凹形状に形成されている。装飾部本体523の右側には貫通孔635と円周形状のスリット636が形成されている。
回動装飾部材524は、合成樹脂を素材とし金型で一体形成されたものであり、タオルとそれを握る手をイメージした浮き彫りの形状に形成された装飾部になっている。回動装飾部材524の裏側には、金型成形の際のヒケを防止するために凹形状に形成されている。回動装飾部材524の基端側の後面には貫通孔635に挿入される突起部641と円周状のスリット636に挿入される係止部642とが形成されている。突起部641は、回動装飾部材524の重心から外れた位置に設けられた回動軸になっている。
また、突起部641には、ネジ孔が形成されている。突起部641は、装飾部本体523の前側から貫通孔635に挿入され、貫通孔635から装飾部本体523の後側に突出した部分にねじりバネ525のコイル部が取り付けられた状態で、ネジ528のネジ部が突起部641のネジ孔に螺入して締め付けられる。これにより、ネジ528のネジ頭と装飾部本体523の後面の間にはねじりバネ525のコイル部が挟まれ、ねじりバネ525の脱落が防止されるとともに、装飾部本体523に回動装飾部材524が回動可能な状態で設けられている。ねじりバネ525の一端側は、装飾部本体523の後ろ側の枠部637の内側に係止し、ねじりバネ525の他端側は、円周状のスリット636から後方に突出する係止部642に右側から係止する。これにより、ねじりバネ525は、回動装飾部材524を前方から見て時計回り方向に付勢している。装飾部本体523が静止した状態において、回動装飾部材524の係止部642は、装飾部本体523の円周状のスリット636の時計回り方向の端部に当接して停止した状態になり、回動装飾部材524の先端が下方を向いた状態になる。
ワッシャ529、530は、スリット568に挿入可能であるとともに、前側板状部541の厚みよりも僅かに厚く形成されている。
ワッシャ529、530及び取り付け板522の一対のローラー623、624をスリット568に挿入し、取り付け板522のローラー625、626をスリット569に挿入した状態において、ネジ526、527は、ネジ部がそれぞれ係合板521のネジ挿通孔611、612に挿通し、それぞれワッシャ529、530の輪の内側に挿通し、それぞれ取り付け板522のネジ挿通孔621、622に挿通し、装飾部本体523のネジ孔633、634に螺入して締め付けられることで可動部510をスリット568、569に沿ってスライド可能な状態でケース本体501に取り付けている。
蓋体502には、ネジ514、515、516、517のネジ部が挿通されるネジ挿通孔651、652、653、654と、フォトセンサ507を取り付ける取り付け部655と、ギア505、506及び係合回動部材508を取り付けたシャフト563、565、567の他端側の軸受けを行う軸受け部656、657、658とが設けられている。
取り付け部655は後面側に膨出した形状に形成され、膨出した形状の前面側に形成される凹部にフォトセンサ507の後ろ側を収納するようになっている。取り付け部655の中央には、ネジ513のネジ部が挿通されるネジ挿通孔661が形成されている。取り付け部655の左横には、フォトセンサ507のコネクタ671を露出するための貫通部662が形成されている。フォトセンサ507には、ネジ孔672が形成されている。ネジ513は、ネジ部が蓋体502の後側からネジ挿通孔661に挿通し、フォトセンサ507のネジ孔672に螺入して締め付けられることで、取り付け部655の凹部にネジ止め固定される。
フォトセンサ507は、発光部673と受光部674を備え、発光部673と受光部674の間にギア506の壁部582を挟み、壁部582のスリット583a、583b、583cを検出するようになっている。
ネジ514、515、516、517は、ネジ部が蓋体502の外側からネジ挿通孔651、652、653、654に挿通し、ネジ止め用の突起部551、552、553、554のネジ孔に螺入して締め付けられることで、図6に示すように蓋体502をケース本体501に取り付け固定し、ケース本体501の収納部520を閉塞するようになっている。
図6は図5に示した演出役物117の組み立てた状態の後方右斜め上側から見た斜視図である。
図6において、演出役物117の組み立てた状態では、ケース本体501と蓋体502は、ネジ514、515、516、517によりネジ止め固定され、一体の箱体になっている。蓋体502の貫通部662からはフォトセンサ507のコネクタ671が露出する。これにより、コネクタ671には、副制御基板202に接続したハーネスのコネクタが接続可能になっている。
図7は図5に示した演出役物117の組み立てた状態の前方右斜め上側から見た斜視図である。
図7において、演出役物117の組み立てた状態では、ケース本体501の前面左側には、モータ駆動ユニット503がネジ止め固定され、ケース本体501の前面右側には、可動部510の装飾部本体523がスリット568、569に沿って二時の方向にスライド可能になっている。
図8は図6に示した演出役物117の蓋体502とネジ513、514、515、516、517を透明にした状態で示す斜視図である。
図8において、ケース本体501の収納部520には、ギア504、505、506及び係合回動部材508が回動可能な状態で設けられている。ギア504は、モータ駆動ユニット503によって回転駆動される。ギア504は、ギア505と噛み合い、さらにギア505は、ギア506と噛み合う。これにより、ギア504の回転力は、ギア505を介してギア506に伝達し、ギア506が回転駆動するようになっている。係合回動部材508は、引張りコイルバネ509によって前方から見て反時計回りの方向に付勢される。また、係合回動部材508は、延出部594に設けられた突起部600が係合板521のスリット610に挿入され、一端側の延出部593がギア506の回転に応じて突起部581a、581b、581cと係合して回動及び係合解除可能になっている。可動部510は、係合回動部材508が回動した場合、スリット610内で突起部600が摺動しながら突起部600から力が加えられ、スリット568、569に沿ってスライドする。
以下、図9乃至図12を参照して演出役物117の動作を説明する。
図9(a)は通常時の演出役物117の後側から見た断面図、図9(b)は可動部510を斜め上方にスライドさせた直後の演出役物117の後側から見た断面図、図10(a)は可動部510を斜め上方にスライドさせ回動装飾部材524を上方に回動させた状態の出役物117の後側から見た断面図、図10(b)は図10(a)の状態から回動装飾部材524が下側の位置に戻った状態の出役物117の後側から見た断面図、図11(a)は通常時の演出役物117の正面図、図11(b)は可動部510を斜め上方にスライドさせた直後の演出役物117の正面図、図12(a)は可動部510を斜め上方にスライドさせ回動装飾部材524を上方に回動させた状態の出役物117の正面図、図12(b)は図12(a)の状態から回動装飾部材524を下側の位置に戻った状態の出役物117の正面図である。
図9(a)において、通常時の演出役物117は、ギア506の壁部582のスリット583a、583b、583cのいずれか一つ(図中ではスリット583a)がフォトセンサ507に検出される位置でギア506の回転が停止した状態になる。この状態では、係合回動部材508の延出部593がギア506の回転に応じて突起部581a、581b、581cのいずれか一つ(図中では突起部581a)に係合して引張りコイルバネ509の付勢力に抗して押し上げられ、係合回動部材508が前側から見て時計回りに最も回動した位置にある。この状態では、可動部510の係合板521と係合する係合回動部材508の突起部600が最も下方に位置し、可動部510は、スリット568、569に沿って最も下側に位置する。また、通常の状態では回動装飾部材524の先端側は、下方を向いた状態になる。
この状態で通常時の演出役物117は、図11(a)に示すように、可動部510の装飾部本体523の装飾部631が高さの70%程度、ケース本体501の上辺の下側に位置し、装飾部631が図4に示す枠部材21の下壁33の飾り401の後ろ側に隠れた状態になる。
ここで、副制御基板202(図2参照)は、抽選の結果がハズレの際の予告演出中に比較的低い確率で通常時の演出役物117を作動させ、抽選の結果が大当たり際の予告演出中に比較的高い確率で演出役物117を作動させることで大当たりの期待感を高める演出を行っている。また副制御基板202(図2参照)は、図7に示すフォトセンサ507の検出結果よりギア506の回転位置を検出し、モータ駆動ユニット503のステッピングモータの回転の制御を行っている。
副制御基板202は、演出役物117を作動させる場合、モータ駆動ユニット503の回転軸532を回転させ、図9(a)に示す状態からギア506を前方から見て反時計回り(図中A方向)に回動させる。
これにより、係合回動部材508の延出部593に対するギア506の回転に応じて突起部581a、581b、581cのいずれか一つ(図中では突起部581a)の係合が外れ、コイルバネ509により係合回動部材508が前方から見て反時計回りに高加速度で回転し、係合板521により係合回動部材508の突起部600と係合する可動部510も、スリット568、569に沿って図11(a)に示す斜め上方向Bに高加速度でスライドする。そして可動部510は、図9(b)に示すようにストッパ用壁部570に係合板521が衝突して停止する。この状態で演出役物117は、図11(b)に示すように、可動部510の装飾部本体523の装飾部631が高さの90%程度、ケース本体501の上辺の上側に位置し、装飾部631が図4に示す枠部材21の下壁33の飾り401の後ろ側から画面400の手前側に突出した状態になる。
ストッパ用壁部570に係合板521が衝突した瞬間には、図9(b)に示すように回動装飾部材524の係止部642は、装飾部本体523の円周状のスリット636の時計回り方向の端部に当接して停止した状態になり、回動装飾部材524の先端は、図11(b)に示すように下方を向いた状態になる。ストッパ用壁部570に係合板521が衝突した後、回動装飾部材524は慣性により、係止部642がスリット636の前方から見た逆時計回り方向に移動し、図11(b)に示す回動装飾部材524が突起部641を中心にして前方から見て逆時計回り方向Cに回動し、図10(a)及び図12(a)に示すように回動装飾部材524の先端側が右斜め上を向き、この後、回動装飾部材524は、ねじりバネ525の付勢力により、前方から見て時計回り方向に回動して先端が下方向を向いた状態に戻る。この後、副制御基板202は、モータ駆動ユニット503の回転軸532を1秒程度停止させ装飾部631が図4に示す枠部材21の下壁33の後ろ側から画面400の手前側に突出した状態を維持した後、モータ駆動ユニット503の回転軸532を回転させギア506を前方から見て反時計回り(図中A方向)に回動させ、図10(b)に示すように、回動するギア506は、係合回動部材508の延出部593に突起部581a、581b、581cのいずれか一つ(図中では突起部581b)を係合し、引張りコイルバネ509の付勢力に抗して延出部593を押し上げ、係合板521で係合回動部材508の突起部600と係合する可動部510を図12(b)に示すD方向(スリット568、569に沿って斜め下方)にスライドさせ、係合回動部材508が最も正面側から見て時計回りに最も回動した位置に戻す。これにより、演出役物117は、図9(a)及び図11(a)に示す状態と同様の状態に戻る。尚、この状態では、スリット583aの代わりにスリット583bがフォトセンサ507に検出され、突起部581aの代わりに突起部581bが係合回動部材508の延出部593に係合する。
演出役物117は、このような動作を繰り返すことで、可動部510を斜め方向にスライドさせ、回動装飾部材524を回動させる。
このような構成及び動作を以下に纏めて説明する。
演出役物117は、板状に形成された遊技板300の前面側に遊技球が落下する遊技領域103を有する遊技盤101を備える遊技機1の演出装置になっている。
可動部510は、前記遊技板300に対して所定の方向に往復運動可能な状態で設けられている。
係合回動部材508は、前記遊技板300に対して回動可能な状態で設けられ、第1の部分である突起部600で前記可動部510と摺動可能な状態で係合する。
引張りコイルバネ509は、前記係合回動部材508を一方の回動方向に付勢するバネになっている。
ギア506は、前記係合回動部材508の第2の部分である延出部593を係止して前記係合回動部材508を他方の回動方向に所定の角度まで回動させるとともに、前記係合回動部材508の回動が所定の角度を超えた場合に前記延出部593の係止を解除する回転係止部材になっている。
モータ駆動ユニット503及びギア504、505は、前記ギア506を回転駆動する回転駆動手段になっている。
また、モータ駆動ユニット503及びギア504、505は、前記ギア506を前記所定の角度まで回転駆動することで前記係合回動部材508を他方の回動方向に回動させ、前記可動部510を前記所定の方向の往動方向に移動させて前記引張りコイルバネ509に付勢力を蓄える。
前記係合回動部材508は、前記ギア506が前記所定の角度を超えるまで回転して前記延出部593の係止が解除されることで前記引張りコイルバネ509に蓄えられた付勢力により一方の方向に回動して前記可動部510を前記所定の方向の復動方向に移動させる。
前記可動部510には、回動装飾部材524が当該回動装飾部材524の重心から外れた位置に設けられた回動軸である突起部641を中心にして回動可能な状態で設けられ、前記回動装飾部材524は前記可動部510の加減速により前記可動部510の本体である装飾部本体523に対して回動する。
前記遊技板300には演出用の映像を画面400に表示する映像表示手段としての図柄表示部104を有し、前記可動部510は前記往復運動により前記映像表示手段の画面400の手前側を移動する。
以上に説明した本実施形態によれば、前記係合回動部材508が、前記ギア506が前記所定の角度を超えるまで回転して前記延出部593の係止が解除されることで前記引張りコイルバネ509に蓄えられた付勢力により一方の方向に回動して前記可動部510を前記所定の方向の復動方向に移動させるので、小型かつ低消費電力の駆動手段を用いて演出用の可動部510を高加速度で動作させることができ、遊技機の低消費電力化を行えるとともに、製造コストの抑制し、遊技機における演出装置の配置場所の制約を緩和することができ、遊技機の設計の自由度を高めることができる。
尚、図1乃至図12に示した演出役物117は、通常の状態でねじりバネ525の付勢力によって回動装飾部材524の先端側を下方を向いた状態で安定させていたが、ねじりバネ525を設ける代わりに回動装飾部材524の先端側に錘を設け、錘に加わる重力により回動装飾部材524の先端側を下方に向いた状態で安定するように構成してもよい。
また、図1乃至図12に示した演出役物117では、前記可動部510に移動可能な状態で設けられた移動装飾部材として回動装飾部材524を用い、当該回動装飾部材524が前記可動部510の加減速により前記可動部510の本体に対して移動する構成を用いたが、移動装飾部材としては、可動部に対して直線移動をするものや曲線移動をするもの等、各種適用可能である。