JP5280414B2 - 膜・電極構造体および燃料電池 - Google Patents
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Description
近年、燃料電池のサイズを小型化する要請が高まっており、その要請に応えるために、膜・電極構造体の固体高分子電解質膜は、膜厚の薄いものが用いられる傾向にある。これに伴い、図9に示した膜・電極構造体1における固体高分子電解質膜2の膜厚を薄くすると、両側のガス拡散電極層3,4からはみ出した部分が強度的に弱くなるおそれがある。
さらに、図9に示した膜・電極構造体1において、積層した際に固体高分子電解質膜2は、両側に設けられる触媒層5,6両側の外周端部から受ける応力が表と裏で同じ場所に集中することにより、過度の負担がかかるおそれがある。
そこで、本発明は、固体高分子電解質膜の保護を高めることにより、固体高分子電解質膜の薄膜化を図ることができる膜・電極構造体及び燃料電池を提供するものである。
このように構成すると、固体高分子電解質膜に接触するそれぞれの触媒層端面からの応力が固体高分子電解質膜の一カ所に集中しないで固体高分子電解質膜の両面から分散させることができるため、固体高分子電解質膜に応力が集中するのを防ぐことができる。また、前記固体高分子電解質膜が一方のガス拡散電極層で覆われているため、固体高分子電解質膜を保護して固体高分子電解質膜の破損を防止することが出来る。さらに、それぞれのガス拡散電極層の端面が離れた位置にあるため、それぞれのガス拡散電極層に供給される反応ガス同士がガス拡散電極層の端面位置で混合するおそれが無くなるとともに、電気的に短絡するおそれが無くなる。なお、前記一方の触媒層は、他方の触媒層に対して位置がずれて設置されるものであればよく、同一サイズのものであっても、異なるサイズのものであってもよい。
このように接着層を形成したことにより、固体高分子電解質膜とガス拡散層とが一体化し、固体高分子電解質膜の厚み方向の強度をガス拡散層で支持して補強することが出来、膜・電極構造体の取扱い性が向上する。また、前記接着層が内側の触媒層を覆うためシール機能を果たし、これにより反応ガスの混合するおそれを一層低減することができる。なお、他方のガス拡散電極層の触媒層の外周にも接着層を形成してもよい。
このようにしたため、前記一方の面を覆うガス拡散電極層(一方のガス拡散電極層)の触媒層(一方の触媒層)の端面外側に、接着層を形成することができる。これにより、前記一方のガス拡散電極層における、他方の触媒層の端面に対向する位置には、接着層が形成されていることになるため、この位置の固体高分子電解質膜の強度が補強される。したがって、他方の触媒層端面からの固体高分子電解質膜にかかる応力から、固体高分子電解質膜を保護することができる。加えて、触媒層の発電に寄与しない部分に接着層を形成しているため、発電効率を維持するとともに、高価な触媒層の使用を最小限度に抑えることが出来る。なお、前記一方の触媒層は、前記他方の触媒層に対してほぼ同程度の若干小さな大きさに形成することが好ましい。
このようにすると、発電効率を前実施形態と同程度に維持するとともに、高価なガス拡散層に必要な量を低減することができ、低コスト化を図ることができるという効果がある。さらに、額状のシール部材によりガス拡散層をシールすることができるという効果がある。
このようにすると、ガス拡散層のみならず、触媒層や固体高分子電解質膜も、額状のシール部材によりシールすることができるため、反応ガスの混合をより一層防止することができるという効果がある。加えて固体高分子電解質膜の端面から水分が蒸発することを防止できるという効果がある。
このようにしたため、固体高分子電解質膜のガス拡散電極層からはみ出した面には、圧力が高い方の第1反応ガスが供給される。この第1反応ガスが固体高分子電解質膜のガス拡散電極層からはみ出した面を押圧して、固体高分子電解質膜と、この固体高分子電解質膜の一方の面を覆うガス拡散電極層とが密着するように作用するため、固体高分子電解質膜がガス拡散電極層から剥離するのを防ぐことができる。
(2)固体高分子電解質膜とガス拡散層とが一体化し、固体高分子電解質膜の厚み方向の強度をガス拡散層で支持して補強することが出来、膜・電極構造体の取扱い性が向上するため、より一層の薄膜化を図ることができる。また、前記接着層が内側の触媒層を覆うためシール機能を果たし、これにより反応ガスの混合を防止することができる。
(3)前記固体高分子電解質膜の一方の面を覆うガス拡散電極層における、他方の触媒層の端面に対向する位置には、接着層を形成することができるため、この位置の固体高分子電解質膜の強度が補強される。
したがって、他方の触媒層端面からの固体高分子電解質膜にかかる応力から、固体高分子電解質膜を保護することができる。加えて、触媒層の発電に寄与しない部分に接着層を形成しているため、発電効率を維持するとともに、高価な触媒層の使用を最小限度に抑えることが出来、これにより、より一層の薄膜化を図ることができる。
(4)発電効率を維持するとともに、高価なガス拡散層に必要な量を低減することができ、低コスト化を図ることができるという効果がある。さらに、額状のシール部材によりガス拡散層をシールすることができるという効果がある。
(5)ガス拡散層のみならず、触媒層や固体高分子電解質膜も、額状のシール部材によりシールすることができるため、反応ガスの混合をより一層防止することができるという効果がある。加えて固体高分子電解質膜の端面から水分が蒸発することを防止できるという効果がある。
(6)反応ガスが固体高分子電解質膜のガス拡散電極層からはみ出した面を押圧して、固体高分子電解質膜と、この固体高分子電解質膜の一方の面を覆うガス拡散電極層とが密着するように作用するため、固体高分子電解質膜がガス拡散電極層から剥離するのを防ぐことができ、より一層の薄膜化を図ることができる。
図1は本発明の第1参考形態における膜・電極構造体20の断面図である。膜・電極構造体20は、固体高分子電解質膜22と、この固体高分子電解質膜22を挟んで配設されるアノード側ガス拡散電極層24及びカソード側ガス拡散電極層26とを有する。前記アノード側ガス拡散電極層24及びカソード側ガス拡散電極層26には、それぞれ触媒層28,30とガス拡散層32,34が形成されて、前記触媒層28,30が固体高分子電解質膜22の両面にそれぞれ当接している。前記触媒層28,30は白金を主成分とする材料で形成され、前記ガス拡散層32,34は多孔質層である多孔質カーボンクロス又は多孔質カーボンペーパーで形成され、前記固体高分子電解質膜22はペルフルオロスルホン酸ポリマー(フッ素系樹脂)で形成されている。なお、固体高分子電解質膜22の材料としては、炭化水素系樹脂を主成分とするものを用いることもできる。また、触媒層28,30の形成方法は、特に限定されず、ガス拡散層32,34の表面に触媒ペーストを塗布あるいは蒸着して形成してもよく、他の部材(例えばフィルム)に形成した触媒層を固体高分子電解質膜に転写させて形成してもよい。
このため、ガス拡散電極層24,26にそれぞれ供給される反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)が固体高分子電解質膜22の端面付近で混合するおそれを低減することができるとともに、電気的に短絡することを防止できる。また、固体高分子電解質膜22の一方の面はカソード側ガス拡散電極層26により覆われているため、固体高分子電解質膜22を保護して固体高分子電解質膜22の破損を防止することができる。
以上の参考形態においては、アノード側ガス拡散電極層24よりもカソード側ガス拡散電極層26の平面寸法を大きくした場合について説明したが、これに限らず、アノード側ガス拡散電極層24よりもカソード側ガス拡散電極層26の平面寸法を小さくしてもよい
ガス拡散層にはカーボンペーパーからなる板材を用い、一方のガス拡散層の周縁部分に接着材を塗布した後、前記触媒層を形成した固体高分子電解質膜に当該一方のガス拡散層を接着した。また、他方のガス拡散層を固体高分子電解質膜の他方の面上の所定位置に配置した後、高温で一定時間ホットプレス処理することにより、膜・電極構造体を作成した。
Claims (3)
- 固体高分子電解質膜が、触媒層とガス拡散層とを備える一対のガス拡散電極層により、前記固体高分子電解質膜の両面に前記触媒層が当接するようにして挟持され、
前記固体高分子電解質膜の一方の面が、一方の前記ガス拡散電極層と、該ガス拡散電極層の外側に設けた額状のシール部材とで覆われるとともに、前記固体高分子電解質膜の他方の面が、額状のシール部材で覆われることなく、他方の前記ガス拡散電極層からはみ出してなる膜・電極構造体であって、
前記額状のシール部材は、前記固体高分子電解質膜と一体に設けられ、
前記一方のガス拡散電極層の前記触媒層の端面が、前記他方のガス拡散電極層の前記触媒層の端面に対して位置がずれて設置され、
前記一方のガス拡散電極層の前記ガス拡散層の平面寸法と、前記他方のガス拡散電極層の前記ガス拡散層の平面寸法とが異なることを特徴とする膜・電極構造体。 - 前記額状のシール部材は、前記固体高分子電解質膜の端面を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の膜・電極構造体。
- 請求項1または請求項2に記載の膜・電極構造体を、一対のセパレータで挟持して、当該一対のセパレータと前記膜・電極構造体との間に形成される一対のガス流路のうち一方のガス流路に第1反応ガスが供給されると共に他方のガス流路に第2反応ガスが供給される燃料電池であって、前記第1反応ガスは前記第2反応ガスよりも高い圧力となるように設定してあり、前記第1反応ガスが供給される前記セパレータに、前記固体高分子電解質膜における前記他方のガス拡散電極層からはみ出した面が対向配置してあり、前記固体高分子電解質膜が前記額状のシール部材に密着することを特徴とする燃料電池。
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