しかしながら、上記従来構成では、前記検出手段は、昇降部を最も上昇させたときのバランスウェイトの高さが、索状体が初期長さである状態において昇降部を最も上昇させたときのバランスウェイトの高さよりも設定値以上低い高さに位置するか否かを検出するものであるため、初期長さから前記設定値だけ長くなったことは検出できるものの、初期長さから前記設定値だけ長くなるまでの索状体の伸び量については検出できないものであった。
このため、制御手段は、索状体の初期長さからの伸び量が前記設定値に達したとことを判別できるが、索状体の初期長さからの伸び量が設定値以上の伸び量となるまでは、索状体がどの程度伸びているかについて判別できないものであった。
したがって、上記従来構成では、索状体の伸び量が許容限度伸び量に近づいている場合に、索状体の交換等の時期が近づいていることを事前に認識することができない。
このように、上記従来の物品昇降装置であると、索状体の伸び量が許容限度伸び量に達した時点で始めて交換等のメンテナンス作業が必要な状態であることを認識することになり、突然のメンテナンス作業に対応しなければならないものであった。
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、既設の構成を有効利用した簡素な構成で索状体の伸び量を求めることができる物品昇降装置を提供する点にある。
この目的を達成するために、本発明に係る物品昇降装置は、案内具によって両端部が垂下状態に支持され、且つ、駆動装置によって長手方向に移動操作される索状体の両端部夫々に、物品搬送用の昇降経路に沿って昇降自在な物品搬送用の昇降部とバランスウェイト用の昇降経路に沿って昇降自在なバランスウェイトとが接続され、前記物品搬送用の昇降経路における前記昇降部の昇降位置を検出する昇降位置検出手段と、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降部を目標昇降位置に昇降させるべく前記駆動装置の作動を制御する制御手段とが設けられたものであって、
その第1特徴構成は、前記昇降部が、スタッカークレーンの昇降台にて構成され、前記昇降位置検出手段が、測距用のビーム光を投射してその反射光を受光することで前記昇降部の昇降位置を検出する昇降用測距計にて構成され、前記バランスウェイト用の昇降経路における検査用昇降位置に前記バランスウェイトが位置することを検出する検査位置検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記索状体が初期長さである状態において前記バランスウェイトが前記検査用昇降位置に位置するときの前記昇降位置検出手段の検出情報に対応する初期情報を記憶するように構成され、且つ、その初期情報と、前記検査位置検出手段にて前記バランスウェイトが前記検査用昇降位置に位置すると検出されたときの前記昇降位置検出手段の検出情報とに基づいて、前記索状体の初期長さからの伸び量を求める伸び量演算処理を実行するように構成されている点にある。
すなわち、初期情報は、索状体が初期長さである状態において前記バランスウェイトが前記検査用昇降位置に位置するときの前記昇降位置検出手段の検出情報に対応するので、初期情報は、索状体の初期長さに対応する情報である。また、索状体が初期長さから伸びると、その伸び量に応じて、バランスウェイトが前記検査用昇降位置に位置するときの昇降位置検出手段の検出情報が変化する。
そして、制御手段は、初期情報を記憶しており、その記憶している初期情報と、検査位置検出手段にて前記バランスウェイトが前記検査用昇降位置に位置すると検出されたときの前記昇降位置検出手段の検出情報とに基づいて、索状体の初期長さからの伸び量を求める伸び量演算処理を実行することで、その時点における索状体の初期長さからの伸び量を求める。
したがって、経年変化により索状体が次第に伸びる場合に、その時点における索状体の初期長さからの伸び量を求めることができる。
また、制御手段は昇降位置検出手段の検出情報に基づいて昇降部を目標昇降位置に昇降させるべく駆動装置の作動を制御するのであるから、昇降位置検出手段は物品昇降装置においては既設の構成である。
したがって、索状体の伸び量を求めることができる物品昇降装置を構成する場合に、制御手段が昇降位置検出手段の検出情報を伸び量演算処理において利用することで、新たな構成を極力増やさなくて済み、設備の構成を簡素なものとすることができる。
このように、本発明の第1特徴構成によると、既設の構成を有効利用した簡素な構成で索状体の伸び量を求めることができる物品昇降装置を得るに至った。
本発明に係る物品昇降装置の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記検査用昇降位置が、前記索状体が初期長さである状態において前記昇降部が前記物品搬送用の昇降経路の上端よりも下方に位置するときに前記バランスウェイトが位置することになる位置に対応して設定されている点にある。
すなわち、検査用昇降位置が、前記索状体が初期長さである状態において前記昇降部が前記物品搬送用の昇降経路の上端よりも下方に位置するときに前記バランスウェイトが位置することになる位置に対応して設定されているので、索状体に伸びが生じた状態でバランスウェイトが検査用昇降位置に位置するときは、昇降部が物品搬送用の昇降経路の上端よりも下方の位置よりもさらに下方の位置に位置することになる。
つまり、索状体に伸びが生じた状態において、昇降部を物品搬送用の昇降経路の上端よりも下方の位置よりも下方側までしか昇降させない場合でも、バランスウェイトを検査用昇降位置に位置させることが可能となる。
したがって、昇降部が物品搬送用の昇降経路の上端よりも下方の位置までの昇降による物品搬送作業が繰り返されて、物品搬送のために昇降部が昇降経路の上端に昇降しない状態が長い期間継続しても、その長い期間内において索状体の初期長さからの伸び量を求めるためにわざわざ昇降部を物品搬送用の昇降経路の上端まで昇降させなくても索状体の初期長さからの伸び量を求めることができる。
このように、本発明の第2特徴構成によると、昇降部が昇降経路の上端に昇降しないような物品搬送作業を長い期間にわたって繰り返す場合でも、運転効率を極力低下させずに索状体の初期長さからの伸び量を求めることができ、もって、既設の構成を有効利用した簡素な構成で索状体の伸び量を求めることができ、しかも、索状体が許容限度伸び量以上に伸びた状態で装置の運転が継続されることを防止できる物品昇降装置を得るに至った。
本発明に係る物品昇降装置の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記検査位置検出手段が、前記バランスウェイトに対して検出作用する光センサである点にある。
すなわち、検査位置検出手段が光センサであれば、バランスウェイトに接蝕することなくバランスウェイトが検査用待機位置に位置していることを検出するように検査位置検出手段を設置することができ、検査位置検出手段を設置する場合において、接触式のもののようにバランスウェイトとの距離や位置関係の制約を受け難い。
このように、本発明の第3特徴構成によると、検査位置検出手段の設置場所の自由度を向上させることができ、もって、既設の構成を有効利用した簡素な構成で索状体の伸び量を求めることができる物品昇降装置の設計の自由度を向上させるに至った。
本発明に係る物品昇降装置の第4特徴構成は、第3特徴構成において、前記バランスウェイト用の昇降経路が、前記スタッカークレーンの昇降マストの内部に位置し、この昇降マストが、間隔を隔てて立設された複数の柱材及び隣接する柱材同士を連結する複数の斜材を備えて構成されている点にある。
すなわち、昇降部をスタッカークレーンの昇降台にて構成する場合に、バランスウェイト用の昇降経路を昇降マストの内部に位置させることで、昇降マストの内部空間を有効に利用して装置の小型化を図ることができる。
ところで、バランスウェイト用の昇降経路を昇降マストの内部に位置させると、バランスウェイトが昇降マストの内部にて昇降することになるので、昇降マストが円柱や角柱で構成されて昇降マストの内部が側周囲にて完全に閉ざれている場合には、そのままでは、昇降マストの外部からはバランスウェイトを光学的に検出することができない。
そのためため、光センサにて昇降マストの内部のバランスウェイトが検査用昇降位置に位置していることを検出するためには、光センサを検査用昇降位置に対応した高さにて昇降マストの内部に設置するか、光センサの検出光が通過できる穴を昇降マストの側周囲の検査用昇降位置に対応した高さに設ける等しなければならず、光センサを設置し難いという問題がある。
これに対して、本発明の第4特徴構成であると、昇降マストが、間隔を隔てて立設された複数の柱材及び隣接する柱材同士を連結する複数の斜材を備えて構成されているので、昇降マストの内部が側周囲にて完全には閉ざれていないので、昇降マストの内部にて昇降するバランスウェイトを昇降マストの外部側から光学的に検出可能である。
したがって、検査用昇降位置に対応した高さにて検出光が昇降マストの内部側に向く状態で昇降マストの柱部材や斜材に光センサを取り付ける等して、光センサを簡単に設置できる。
つまり、本発明の第4特徴構成によると、昇降マストの内部空間を有効に利用して装置の小型化を図ることができ、かつ、検査位置検出手段としての光センサを簡単に取り付けることができるようになる。
このように、本発明の第4特徴構成によると、既設の構成を有効利用した簡素な構成で索状体の伸び量を求めることができ、しかも、装置の小型化と組み付け作業性を配慮したスタッカークレーンを得るに至った。
本発明に係る物品昇降装置を自動倉庫に適応した実施形態について図面に基づいて説明する。この自動倉庫は、図1及び図2に示すように、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した2つの物品収納棚1と、2つの物品収納棚1同士の間に形成した移動通路2を自動走行する物品昇降装置としてのスタッカークレーン3とを設けて構成されている。
各物品収納棚1は、前後一対の支柱1aが水平方向に間隔を隔てて複数立設され、前後一対の支柱1aの夫々には、水平方向に延びる載置支持部1bが上下方向に間隔を隔てて複数配設されている。
そして、物品収納棚1における収納部4は、載置支持部1bにて物品9を載置支持する形態で物品9を収納するように構成され、その収納部4が上下方向及び水平方向に複数並ぶように設けられている。
前記移動通路2には、その床側に走行レール5が移動通路2の長手方向に沿って設置され、その上方側に上方側ガイドレール6が移動通路2の長手方向に沿って設置されている。そして、走行レール5の一端側には、スタッカークレーン3の運転を管理する地上側コントローラ7と、走行レール5を挟んで一対の荷載置台8とが設けられている。
前記スタッカークレーン3は、図3に示すように、走行レール5に沿って走行自在な走行台車10と、その走行台車10に立設された前後一対の昇降マスト11と、それら前後一対の昇降マスト11に沿って昇降自在な昇降部としての昇降台12と、その昇降台12に備えられた物品移載手段としての物品移載装置13(例えば、フォーク式の物品移載装置)とを備えて構成されている。
前記昇降マスト11は、走行台車10の走行方向において、走行台車10の前端部と後端部の夫々に1つずつ立設されている。そして、前後一対の昇降マスト11は、その上端部が上部フレーム14により連結されている。また、前後一対の昇降マスト11は、その長手方向の中間部が中間フレーム15により連結されている。前記上部フレーム14には、ガイドローラ32が上方側ガイドレール6と接当することにより上方側ガイドレール6にて案内されるように設けられている。
図4〜図6に示すように、前後一対の昇降マスト11の一方であるメイン昇降マスト11aは、間隔を隔てて立設された複数の柱材16及び隣接する柱材16同士を連結する複数の斜材17を備えて構成されている。メイン昇降マスト11aは、その横断面形状が柱材16を4隅に配置した矩形状に形成されている。前後一対の昇降マスト11の他方であるサブ昇降マスト11bは、その横断面形状が矩形状の角パイプにて構成されている。メイン昇降マスト11aの横断面の面積が、サブ昇降マスト11bよりも大きくなるように構成されている。
前記メイン昇降マスト11aでは、柱材16が、第1柱材16a、第2柱材16b、第3柱材16c、第4柱材16dの4本設けられ、4本の柱材16を矩形の4隅に配置している。4本の柱材16の夫々は、断面形状が矩形状の角パイプにて構成されている。第1柱材16a及び第3柱材16cは、第2柱材16b及び第4柱材16dよりも断面の面積が大きくなるように構成されている。
第1柱材16a及び第3柱材16cが、走行台車10の走行方向においてサブ昇降マスト11bに近づく側に配設され、且つ、第2柱材16b及び第4柱材16dが、走行台車10の走行方向においてサブ昇降マスト11bから離れる側に配設されている。4本の柱材16は、走行台車10の走行方向における第1柱材16aと第2柱材16bとの間及び第3柱材16cと第4柱材16dとの間の間隔が、走行台車10の走行方向に直交する方向における第1柱材16aと第3柱材16cとの間及び第2柱材16bと第4柱材16dとの間の間隔よりも大きくなるように配設されている。
メイン昇降マスト11aの下端側には、第1柱材16aと第2柱材16bとを連結する板状の連結体及び第3柱材16cと第4柱材16dとを連結する板状の連結体、並びに、第2柱材16b及び第4柱材16dを連結し、前述した昇降用電動モータ22及び駆動用回転体23を取り付けるための昇降駆動取付用プレート33が設けられている。
複数の斜材17は、走行台車10の走行方向に間隔を隔てて配設された第1柱材16aと第2柱材16bの間及び第3柱材16cと第4柱材16dの間を連結するように設けられている。複数の斜材17は、上下方向に隣接するもの同士が交差する状態で上下方向に連続して位置させるように配設されている。
走行台車10の走行方向に直交する方向に間隔を隔てて配設された第1柱材16aと第3柱材16cの間及び第2柱材16bと第4柱材16dの間は、複数の斜材17の夫々における端部に対応して位置させた水平材18にて連結されている。
複数の斜材17及び複数の水平材18の夫々は、溶接によりその端部が柱材16に連結されている。
前後一対の昇降マスト11の夫々は、昇降台12に備えられた複数の昇降案内ローラ19と接当して昇降台12を昇降案内するように構成されている。昇降案内ローラ19は、走行台車10の走行方向での昇降台12の移動を規制するものと走行台車10の左右方向での昇降台12の移動を規制するものとの2種類が設けられている。そして、2種類の昇降案内ローラ19が、平面視における昇降台12の4隅の夫々において上下一対設けられている。
メイン昇降マスト11a側に配設された昇降案内ローラ19は、第1柱材16aの側面部及び第3柱材16cの外面部に接当するように設けられている。サブ昇降マスト11b側に配設された昇降案内ローラ19は、サブ昇降マスト11bである角パイプの外面部に接当するように設けられている。
図3に示すように、昇降台12を吊り下げ支持する索状体としての昇降用ワイヤ20が設けられている。この昇降用ワイヤ20は、案内具としての複数の第1案内シーブ21及び第2案内シーブ31によって両端部が垂下状態に支持され、一端部が昇降台12に連結され且つ他端部がバランスウェイト24に連結されている。昇降用ワイヤ20は4本設けられ、2本の昇降用ワイヤ20が、走行台車10の走行方向において昇降台12の一端側に連結され、他の2本の昇降用ワイヤ20が、走行台車10の走行方向において昇降台12の他端側に連結されている。このようにして、4本の昇降用ワイヤ20が、昇降台12の複数箇所に連結されている。
4本の昇降用ワイヤ20は、上部フレーム14に設けられた案内具としての複数の第1案内シーブ21に巻き掛けられてまとめられ、昇降用電動モータ22にて回転駆動される回転体としての駆動用回転体23に巻き掛けられている。昇降用ワイヤ20は、昇降用電動モータ22にて駆動用回転体23を正逆に回転駆動することによりをその長手方向に移動操作されて昇降台12を昇降させる。このようにして、昇降用電動モータ22は、複数の昇降用ワイヤ20をまとめて駆動用回転体23に巻回した状態で昇降台12を昇降させる駆動装置として構成されている。
また、昇降用ワイヤ20は、駆動用回転体23に巻き掛けられたのち上部フレーム14に設けられた第2案内シーブ31に巻き掛けられ、昇降台12に連結した一端側とは他端側がバランスウェイト24に連結されている。このようにして、昇降用ワイヤ20の両端部夫々に、物品搬送用の昇降経路に沿って昇降自在な昇降台12とバランスウェイト用の昇降経路に沿って昇降自在なバランスウェイト24とが接続され、バランスウェイト24は、昇降台12とは逆方向に昇降するように設けられている。
バランスウェイト24は、メイン昇降マスト11aの内部に位置するバランスウェイト用の昇降経路に沿って昇降自在に配設されている。メイン昇降マスト11aは、その横断面形状が矩形状に形成されているので、バランスウェイト24も、その横断面形状が矩形状に形成されている。
メイン昇降マスト11aの内面部は、バランスウェイト24に備えられた複数のウエイト用ガイドローラ25と接当してバランスウェイト24を昇降案内するように構成されている。ウエイト用ガイドローラ25は、走行台車10の走行方向でのバランスウェイト24の移動を規制するものと走行台車10の左右方向でのバランスウェイト24の移動を規制するものとの2種類が設けられている。2種類のウエイト用ガイドローラ25は、平面視におけるバランスウェイト24の4隅の夫々において上下一対設けられている。このようにして、横断面形状が矩形状に形成されたメイン昇降マスト11aの内面部を利用しながら、バランスウェイト24を昇降案内して、メイン昇降マスト11aの内部であってもバランスウェイト24を適正に昇降させることができる。
図5及び図6に示すように、第1柱材16aと第3柱材16cの間を連結する水平材18のうち前記昇降駆動取付用プレート33の下端高さにある水平材18の下方位置には、取付ブラケットを介して反射板34が設けられている。
図7(イ)及び(ロ)に示すように、昇降駆動取付用プレート33の下端には、反射板34に対して検出光を投光し、反射板34による反射光の有無によりバランスウェイト用の昇降経路における検査用昇降位置にバランスウェイト24が位置することを検出する検査位置検出手段としての光センサ35が設けられている。
検査用昇降位置は、昇降用ワイヤ20が初期長さである状態において、物品9が物品移載装置13に載置されていない昇降台12が、収納棚1の最上段にある収納部4に対して物品移載作業を行うための物品移載用目標昇降位置に位置するときのバランスウェイト24の位置よりも設定量だけ上方のバランスウェイト24の位置である。
光センサ35は、取付用の長穴を備えたセンサブラケットを介して上下方向に位置調節可能に取り付けられている。そして、光センサ35の検出光の光軸が略水平になるように、かつ、検出光が反射板34に反射して光センサ35に受光されるように、光センサ35の取付位置が調整されている。
本実施形態では、光センサ35の取付位置は、上記条件で昇降台12を最上段の収納部4に対応する物品移載用目標昇降位置に位置させたときに、バランスウェイト24の下端より3cmだけ上方の位置に光センサ35の光軸が位置するように設定されている。つまり、本実施形態では、バランスウェイト24の検査用昇降位置は、上記条件で昇降台12を最上段の収納部4に対応する物品移載用目標昇降位置に位置させたときのバランスウェイト24の位置よりも3cmだけ上方に位置していることになる。
このように光センサ35を検査用昇降位置に対応させて設置することにより、昇降台12が最上段の収納部4に対応した物品移載用目標昇降位置までが上昇する際に、昇降台12が物品移載用目標昇降位置に停止する直前の低速上昇期間中に、バランスウェイト24が検査用昇降位置を経由して下降することになり、光センサ35の検出信号がオフからオンに切り換わる。このようにして、光センサ35はバランスウェイト24が検査用昇降位置に位置することを検出する。
前記走行台車10には、昇降台12の昇降経路上における昇降台12の昇降位置を検出する昇降用測距計26が設けられている。昇降用測距計26は、昇降台12に設置された昇降用反射板26aに向けて昇降台12の昇降方向に沿って測距用のビーム光を投射して、昇降用反射板26aにて反射される光を受光することにより、昇降台12までの距離を検出して、物品搬送用の昇降経路における昇降台12の昇降位置を検出するように構成されている。つまり、昇降用測距計26は昇降位置検出手段として機能している。
また、走行台車10には、走行レール5上を走行自在な前後一対の走行車輪27が設けられている。前後一対の走行車輪27の一方(メイン昇降マスト11a側)は、走行用電動モータ28にて回転駆動される駆動用の走行車輪27aとして構成され、前後一対の走行車輪27の他方(サブ昇降マスト11b側)が、遊転自在な従動用の走行車輪27bとして構成されている。
そして、走行台車10は、走行用電動モータ28の作動により駆動用の走行車輪27aを回転駆動させて走行レール5に沿って走行するように構成されている。
前記走行台車10には、走行レール5上における走行台車10の走行位置を検出する走行用測距計29が設けられている。走行用測距計29は、走行レール5の一端部に設置された走行用反射板29aに向けて走行レール5の長手方向に沿って測距用のビーム光を投射して、走行用反射板29aにて反射される光を受光することにより、走行用反射板29aまでの距離を検出して走行台車12の走行位置を検出するように構成されている。
このスタッカークレーン3には、地上側コントローラ7から図外の光伝送装置にて指令される搬送指令に基づいて、スタッカークレーン3の運転を制御するクレーン制御装置30が設けられている。このクレーン制御装置30は、収納部4又は荷載置台8に対する物品移載用目標走行位置及び物品移載用目標昇降位置に物品移載装置13を移動させるべく、走行台車10の走行作動及び昇降台12の昇降作動を制御し、且つ、物品移載装置13を物品移載用目標走行位置及び物品移載用目標昇降位置に停止させた状態において収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出す又は収納部4又は荷載置台8に物品9を卸すべく、物品移載装置13の移載作動を制御するように構成されている。つまり、クレーン制御装置30は、本発明の制御手段に相当する。
図8に示すように、前記クレーン制御装置30は、走行用測距計29の検出情報に基づいて、走行台車10の走行方向における物品移載用目標走行位置に物品移載装置13を移動させるべく、走行台車10の走行作動を制御する走行制御部30a、昇降用測距計26の検出情報に基づいて、昇降台12の昇降方向における物品移載用目標昇降位置に物品移載装置13を移動させるべく、昇降台12の昇降作動を制御する昇降制御部30b、収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出す又は収納部4又は荷載置台8に物品9を卸すべく、物品移載装置13の移載作動を制御する移載制御部30cから構成されている。
前記走行制御部30aは、走行用電動モータ28を作動させて走行台車10を走行作動させ、走行用測距計29にて検出される走行台車10の走行位置が走行台車10の走行方向における物品移載用目標走行位置になると、走行用電動モータ28を作動停止させて走行台車10の走行方向における物品移載用目標走行位置に物品移載装置13を位置させる。
前記昇降制御部30bは、昇降用電動モータ22を作動させて昇降台12を昇降作動させ、昇降用測距計26にて検出される昇降台12の昇降位置が昇降台12の昇降方向における物品移載用目標昇降位置になると、昇降用電動モータ22を作動停止させて昇降台12の昇降方向における物品移載用目標昇降位置に物品移載装置15を位置させる。
前記収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出すときには、移載制御部30cが、フォーク式の物品移載装置13を突出作動させた後、昇降制御部30bにて設定距離だけ昇降台12を上昇させることにより、収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を物品移載装置13に載置支持させる。その後、移載制御部30cは、フォーク式の物品移載装置13を引退作動させる。
ちなみに、収納部4又は荷載置台8に物品4を卸すときには、フォーク式の物品移載装置13を突出作動させた後において、昇降制御部30bにて設定距離だけ昇降台12を下降させる動作だけが異なり、その他の動作については、収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出すときと同様の動作である。
このようにして、クレーン制御装置30が、地上側コントローラ7からの指令に基づいて、スタッカークレーン3の運転を制御することにより、荷載置台8に支持された物品9を取り出してその取り出した物品9を収納部4に卸す入庫作業や、収納部4に支持された物品9を取り出してその取り出した物品9を荷載置台9に卸す出庫作業等を行うように構成されている。
クレーン制御装置30には、前述の光センサ35が接続されており(図8参照。)、クレーン制御装置30は、光センサ35及び昇降用測距計26の検出情報に基づいて、入庫作業や出庫作業の繰り返しにより次第に伸びる昇降用ワイヤ20の初期長さからの伸び量を求める伸び量演算処理を実行するように構成されている。
説明を加えると、クレーン制御装置30は、昇降ワイヤ20が初期長さである状態においてバランスウェイト24が検査用昇降位置に位置するときの昇降用測距計26の検出情報に対応する初期情報を記憶するように構成され、且つ、その初期情報と、光センサ35にてバランスウェイト24が検査用昇降位置に位置すると検出されたときの昇降用測距計26の検出情報とに基づいて伸び量演算処理を実行するように構成されている。
前記初期情報は、設備の初期稼動時期や昇降ワイヤ20の交換後しばらくの期間等、昇降ワイヤ20が初期長さである時期に、物品9が物品移載装置13に載置されていない昇降台12を最上段の収納部4に対応する物品移載用目標昇降位置まで昇降させて取得する。具体的には、昇降台12が物品移載用目標昇降位置に位置するまでに、光センサ35にてバランスウェイト24が検査用昇降位置に位置することが検出されたタイミングにおける昇降用測距計26の検出情報を記憶手段としての不揮発性のメモリーなどに記憶しておく。
伸び量演算処理は、図9のフローチャートに示すように、設備の稼働中において地上側コントローラ7から指令される搬送指令が、最上段の収納部4に収納されている物品9を出庫する出庫指令であるときに、物品9が物品移載装置13に載置されていない状態で、昇降台12を最上段の収納部4に対応する物品移載用目標昇降位置まで昇降(上昇)させるときに実行される。最上段の収納部4についての出庫指令以外の搬送指令が指令された場合には伸び量演算処理は実行されない。以下、伸び量演算処理について図9のフローチャートに基づいて説明する。
なお、図9のフローチャートでは地上側コントローラ7から出庫指令が指令された場合のクレーン制御装置30の制御動作のうち、収納部4から物品9を取り出す移載処理を実行するまでの制御動作を記載しているが、物品9を取り出した後の制御動作、及び、走行台車10の走行作動についての制御動作全般については記載を省略している。
まず、ステップ#1で、地上側コントローラ7からの指令が収納棚1の最上段の収納部4に収納されている物品9を出庫する出庫指令かどうかがチェックされ、該当すればステップ#2へ、該当しなければステップ#6へ移行する。ステップ#6へ移行した場合は、昇降台12の昇降が開始され、伸び量演算処理が実行されずに当該収納部4に対応する目標昇降位置まで昇降すれば(ステップ#7)、昇降を停止し(ステップ#8)、その後、収納部4に収納された物品9を取り出すべく物品移載処理を実行する(ステップ#9)。
ステップ#1でステップ#2へ移行した場合は、当該収納部4に対応する目標昇降位置まで昇降するべく昇降を開始(ステップ#2)した後、目標昇降位置に達するまでに、光センサ35がオンしたかどうか判別され(ステップ#3)、光センサ35がオンしたと判別されると、ステップ#4で、そのタイミングにおける昇降用距離計26の検出情報と記憶している初期情報との差を算出し、一旦保存する。つまり、ステップ#3及びステップ#4の処理が本発明の伸び量演算処理に相当する。
そして、目標昇降位置まで昇降すれば(ステップ#7)、昇降を停止し(ステップ#8)、その後、収納部4に収納された物品9を取り出すべく物品移載処理を実行する(ステップ#9)。
ステップ#4における、光センサ35がオンしたときの昇降用距離計26の検出情報、つまり、バランスウェイト24が検査用昇降位置に位置するときの昇降台12の昇降位置に対応する情報は、現在の昇降ワイヤ20の長さについての情報であるので、ステップ#4で算出された昇降用距離計26の検出情報と記憶している初期情報との差は、昇降ワイヤ20の初期長さと現在の長さとの差、つまり、昇降ワイヤ20の初期長さからの伸び量に対応したものとなっている。
このように、クレーン制御装置30は、昇降台12の昇降制御に必要な昇降用距離計26の検出情報を利用して昇降ワイヤ20の初期長さからの伸び量を求めるものであり、スタッカークレーン3は、既設の構成を有効利用した簡素な構成で索状体の伸び量を求めることができるものとなっている。
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、メイン昇降マスト11aにおいて、複数の斜材17を走行台車10の走行方向に隣接する柱材16同士を連結するように設けているが、斜材17にてどの方向に隣接する柱材16同士を連結するかは適宜変更が可能である。例えば、走行台車10の走行方向に隣接する柱材16同士及び走行台車10の左右方向に隣接する柱材16同士を連結するように斜材17を設けることができる。
(2)上記実施形態では、サブ昇降マスト11bを断面形状が矩形状の角パイプにて構成しているが、サブ昇降マスト11bをどのように構成するか適宜変更が可能である。例えば、メイン昇降案内マスト11aと同様に、間隔を隔てて立設された複数の柱材及び隣接する柱材同士を連結する複数の斜材を備えて構成することもできる。
(3)上記実施形態では、メイン昇降マスト11aを、間隔を隔てて立設された複数の柱材及び隣接する柱材同士を連結する複数の斜材を備えて構成しているが、メイン昇降マスト11aをどのように構成するか適宜変更が可能である。例えば、サブ昇降マスト11bと同様に、断面形状が矩形状の角パイプにて構成することもできる。この場合、光センサは、各パイプの内部に設置するか、角パイプに検出光通過用の小孔を設けて、その小孔を検出光が通過するように光センサを設け、小孔を通過する検出光にてバランスウェイト24が検査用昇降位置に位置していることを検出するようにすればよい。
(4)上記実施形態では、スタッカークレーンの一方の昇降マストの内部にバランスウェイト用の昇降経路が位置するものを例示したが、これに限らず、一対の昇降マストの双方の内部にバランスウェイト用の昇降経路が位置し、2つのバランスウェイトが一対の昇降マストの夫々の内部を昇降するものであってもよい。
この場合、一対の昇降マストの夫々に、対応するバランスウェイトについての検査位置検出手段を設けて、伸び量演算処理が、各バランスウェイトと昇降部とが両端に接続された昇降用ロープの夫々についての伸び量を求めるものであっても良い。
(5)上記実施形態では、検査位置検出手段が光センサであるものを例示したが、これに限らず、検査位置検出手段がリミットスイッチで構成されたものであってもよく、検査位置検出手段の具体構成は適宜変更可能である。
(6)上記実施形態では、クレーン制御装置30が、最上段の収納部4から物品9を出庫する搬送指令が指令されたときに、伸び量演算処理を実行するように構成されたものを例示したが、これに代えて、伸び量演算処理が実行された後、所定時間が経過した場合は、搬送指令がなくても、伸び量演算処理を行うための検査用昇降処理を実行するように構成されたものであってもよい。
(7)上記実施形態では、物品9が物品移載装置13に載置されていない昇降台12が上昇作動しているときに、光センサ35が検出作用するように構成されたものを例示したが、これに限らず、昇降台12が下降作動しているときや、物品9が物品移載装置13に載置されている昇降台12が下降又は上昇作動しているときに、光センサ35が検出作用するように構成されたものであってもよい。
(8)検査用昇降位置は、上記実施形態で示した位置でなくてもよく、例えば、検査用昇降位置が、昇降ワイヤ20が初期長さである状態において昇降台12が物品搬送用の昇降経路の上端よりも下方に位置するとき、具体的には、昇降ワイヤ20が初期長さである状態において昇降台12が最上段から数えて2番目の段にある収納部4に対応する物品移載用昇降位置に位置するときに、バランスウェイト24が位置することになる位置に対応して設定されているものであってもよく、検査用昇降位置は適宜設定可能である。
上記のように、検査用昇降位置が、昇降ワイヤ20が初期長さである状態において昇降台12が物品搬送用の昇降経路の上端よりも下方に位置するとき、バランスウェイト24が位置することになる位置に対応して設定されているものである場合、光センサ35がバランスウェイト24の上端部を検出することでクレーン制御装置30が検査用昇降位置にバランスウェイト24が位置していると誤判別しないように、クレーン制御装置30を、光センサ35の検出情報及び昇降方向情報とに基づいて、検査用昇降位置にバランスウェイト24が位置することを判別するように構成してもよい。
なお、昇降方向情報については、クレーン制御装置30が、その昇降作動の原因である搬送指令に基づいて取得してもよいし、検査位置検出手段を上下に間隔を空けて設けられた一対の光センサにて構成し、これらの光センサの検出順序に基づいて昇降台12の昇降方向を判別することで取得するように構成してもよい。
(9)上記実施形態では、地上側コントローラ7からの指令に基づいて、スタッカークレーン3の運転を制御するクレーン制御装置30をスタッカークレーン3に装備しているが、例えば、クレーン制御装置30をスタッカークレーン3に装備せずに、地上側コントローラ7、昇降用電動モータ22におけるインバータ、走行用電動モータ28におけるインバータ、及び、物品移載装置13の間で通信ネットワークを構成し、地上側コントローラ7が、昇降用電動モータ22におけるインバータ、走行用電動モータ28におけるインバータ、及び、物品移載装置13に対して、作動開始及び作動停止などの各種情報を通信ネットワークを介して指令することにより、スタッカークレーン3の運転を制御することもできる。