しかしながら、特許文献1及び2に開示された技術では、液晶パネルに位相差フィルム及び光学補償板を組み込む必要があり、液晶装置の構成が複雑になってしまうため、製造方法が技術的に難しくなったり、製造コストの増大を招いてしまう。また、特許文献3に開示された技術では、基板上の導電性パターンの断面を逆テーパ状に形成する際に技術的な困難を伴う。具体的には、導電パターンを逆テーパ状に形成する際のエッチング角度を、非開口領域からの光漏れを最小に抑えるために最適な値に調整する必要があるが、この値は、個々の電気光学装置によって異なるため、その選定が技術的に難しい。また、導電パターンへのエッチングを逆テーパ状に行おうとすると、エッチング工程が複雑化してしまう。更に、逆テーパ状だと、その上に形成される膜の品質或いは付き回りにも悪影響を与えかねない。このように、上述の技術は実践上の問題点を有している。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、表示画像のコントラスト比を向上させることにより、高品位な画像表示が可能な電気光学装置及びそのような電気光学装置を用いた電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、画素が配列された画素領域に、スイッチング素子と、第1方向に沿って延在する走査線と、前記第1方向に交わる第2方向に沿って延在するデータ線と、前記走査線及び前記データ線の各々の端面に形成され、前記走査線及び前記データ線よりも光反射率の低い反射防止膜とを備え、前記スイッチング素子は、前記走査線と前記データ線との間に設けられており、前記スイッチング素子のチャネル領域は、前記走査線と前記データ線とが交差する交差領域に重なるように設けられており、前記反射防止膜は、前記交差領域にのみ形成されている。
また、前記スイッチング素子と電気的に接続された中継層と、前記中継層と対向するように形成された容量電極とを有する蓄積容量と、前記交差領域において、前記中継層及び前記容量電極の各々の端面に形成された反射防止膜とを備える。
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、例えば基板上に形成されたデータ線から画素電極への画像信号の供給が制御され、所謂アクティブマトリクス方式による画像表示が可能となる。尚、画像信号は、例えば、データ線及び画素電極間に電気的に接続されたスイッチング素子であるトランジスタが走査線から供給される走査信号に応じてオンオフされることによって、所定のタイミングでデータ線からトランジスタを介して画素電極に供給される。画素電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる透明電極であり、データ線及び走査線の交差に対応して、基板上において表示領域となるべき領域にマトリクス状に複数設けられる。
走査線、データ線及びトランジスタは、表示の妨げとならないように、各画素の開口領域ではなく、非開口領域内に設けられる。
ここで、「開口領域」とは、画素毎に表示に実際に寄与する光が出射する領域など、各画素において電気光学素子或いは電気光学物質による電気光学動作が実際に行なわれる領域をいう。
また、本発明に係る「非開口領域」は、画素毎の開口領域を互いに隔てる領域であり、画素毎に表示に寄与する光が出射しない領域など、各画素において電気光学素子或いは電気光学物質による電気光学動作が実際に行なわれない領域をいう。非開口領域は、例えば、データ線や走査線の少なくとも一部が遮光性を有する遮光膜から形成され、このような遮光膜により各画素に入射される光を遮光可能な領域として、基板上に開口領域を囲むように規定される。
導電層は、画素が配列された画素領域において、電気光学動作を行うための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部を構成する。導電層は、例えばデータ線や走査線であってもよいし、画素電極の電圧保持特性を向上させるための付加容量を構成する一対の容量電極の一方として構成してもよい。導電層は、平面的に見て、少なくともその一部において又はその全部が、非開口領域内に配置されている。導電層は、光を反射又は吸収する遮光膜から構成され、非開口領域を少なくとも部分的に又は冗長的に規定してもよい。
反射防止膜は、交差領域において、前記導電層の端面を前記導電層よりも光反射率の低い材料で覆うように形成されることにより、表示画像のコントラスト比を向上させることができる。
ここで、「非開口領域における交差領域」とは、画素毎の開口領域を互いに隔てる非開口領域のうち、第1方向に沿って延在する第1領域及び第1方向に交わる第2方向に沿って延在する第2領域が互いに交差する領域である。
交差領域では、仮に何らの対策も講じないとすれば、交差領域に配置された導電層の端面によって光源光が反射されることにより、光漏れが生じやすい。このような光漏れが生じると、表示画像のコントラストが低下し、画質の低下を引き起こしてしまう。
しかるに本発明に係る電気光学装置は、交差領域において光源光が導電層の端面によって反射されることを防止又は抑制するべく、導電層の端面を覆うように、光反射率の低い材料から形成された反射防止膜を設けることによって、漏れ光の発生を抑制することができる。
反射防止膜は、導電層よりも光反射率の低い材料から形成される。例えば、導電層がアルミニウムから形成されている場合、TiN(チタニウム・ナイトライド)やW(タングステン)などのアルミニウムに比べて光反射率の低い材料から反射防止膜を形成するとよい。言い換えれば、導電層を光反射率の高い材料から形成しても、その端面における光源光の反射を、反射防止膜の反射率の低さに応じて低減することが可能となる。
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置では、交差領域において導電層の端面を反射防止膜で覆うことによって、表示領域における漏れ光の発生を抑制することができる。その結果、高いコントラスト比を有する高品位な画像表示を実現可能な電気光学装置を実現することができる。
尚、交差領域以外の領域において、導電層の端面を、交差領域におけると同じ又は異なる反射防止膜で覆うことは任意である。或いは、端面以外の面において、導電層を、交差領域における端面と同じ又は異なる反射防止膜で覆うことも任意である。
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記導電層は、前記画素電極より下層側に形成された第1導電層と、前記第1導電層より下層側に形成された第2導電層とを含んでなり、前記反射防止膜は、前記交差領域において、前記第1導電層及び前記第2導電層の夫々の端面を覆うように形成されている。
この態様によれば、導電層は第1導電層及び第2導電層を含む、複数の導電層から構成されている。この場合、交差領域における第1導電層及び第2導電層夫々の端面によって光源光が反射されることによって漏れ光が生じることを防ぐために、交差領域において、第1導電層及び第2導電層夫々の端面に反射防止膜が形成されている。即ち、交差領域内において、複数の導電層が立体的に交差している場合には、夫々の導電層の端面に反射防止膜を設けることによって、漏れ光が生じることを防ぎ、コントラスト比を高めることができる。
上述の第1導電層及び第2導電層を含んでなる態様では、前記第1導電層及び前記第2導電層は夫々、前記第1方向及び第2方向に沿って延在するデータ線及び走査線であり、前記非開口領域は、前記データ線及び前記走査線によって少なくとも部分的に規定されていてもよい。
この態様によれば、データ線及び走査線が互いに交差する第1方向及び第2方向に沿って延在することによって、非開口領域を少なくとも部分的に規定している。この場合、データ線及び走査線が互いに交差する交差領域においては、データ線及び走査線が立体的に交差しているため、交差領域におけるデータ線及び走査線の端面には反射防止膜が形成されることにより、漏れ光が生じることを防いでいる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記反射防止膜は、前記交差領域において、前記導電層を上面側から覆うように形成されている。
この態様では、反射防止膜を導電層上に少なくとも導電層より広く形成することによって、反射防止膜の寸法精度や位置精度によらずに導電層の端面における光源光の反射を確実に防ぐことができ、更に導電層の上面における光源光の反射も防ぐことができる。特に、導電層の上面に入射した光源光は、導電層の表面で反射されることによって電気光学装置内で迷光となり、表示面から射出することによって、導電層の端面で反射された漏れ光と同様に表示画像のコントラスト比を低下させる原因となり得る。本態様では、導電層の端面及び上面において光源光が反射されることを防止し、表示画像のコントラスト比を向上させることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記交差領域を除く前記第1領域及び前記第2領域における前記導電層の端面には、前記交差領域において前記導電層の端面に設けられた前記反射防止膜が延在して設けられている。
上述の各種態様では、反射防止膜は、交差領域のみにおいて導電層の端面に形成されていたが、本態様では、交差領域以外の領域(例えば、非開口領域のうち、第1方向に沿って延在する第1領域や、第2方向に沿って延在する第2領域)における導電層の端面にも反射防止膜が形成されている。表示画像のコントラストの低下をもたらす漏れ光は、主に交差領域において生じやすいが、その他の領域においても少なからず生じる場合がある。本態様では、交差領域以外の非開口領域において生じる漏れ光も、効果的に防ぐことができるので、よりコントラスト比の高い、高品位な画像表示が可能な電気光学装置を実現することができる。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像を表示することが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<1.液晶装置>
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、TFTアレイ基板10を、その上に形成された各構成要素と共に、対向基板20の側から見た液晶装置の構成を示す概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H'断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板又はシリコン基板である。対向基板20も例えばTFTアレイ基板10と同様の材料からなる基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、電気光学動作の行われる画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、例えばシール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
TFTアレイ基板10上における、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104及び外部回路接続端子102が夫々形成されている。
TFTアレイ基板10上における周辺領域において、シール領域より外周側に、データ線駆動回路101及び複数の外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に夫々沿って設けられている。
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域のうちシール領域より内側に位置する領域には、TFTアレイ基板10の一辺に沿う画像表示領域10aの一辺に沿って且つ額縁遮光膜53に覆われるようにしてサンプリング回路7が配置されている。
また、走査線駆動回路104は、TFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を電気的に接続するため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、上下導通端子106が配置されると共に、このTFTアレイ基板10及び対向基板20間には上下導通材が上下導通端子106に対応して該端子106に電気的に接続されて設けられている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9は、ITO膜からなる透明電極として形成されている。画素電極9上には、配向膜16が形成されている。
他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上(図2中、遮光膜23より下側)に、ITO膜からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向して例えばベタ状に形成され、更に対向電極21上(図2中対向電極21より下側)には配向膜22が形成されている。
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。そして、液晶装置の駆動時、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9と対向電極21との間には液晶保持容量が形成されている。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9及び画素スイッチング用のTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9に電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置の動作時に画素電極9をスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6は、TFT30のソース領域に電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、互いに隣り合う複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
TFT30のゲートには走査線11が電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20(図2参照)に形成された対向電極21(図2参照)との間で一定期間保持される。
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9と対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量に対して電気的に並列に、蓄積容量70が付加されている。
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域10aにおける具体的な積層構造について詳しく説明する。
図4は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域10aにおける、電気光学動作を行うために配置された電極及び配線等の位置関係を透過的に示した平面模式図である。図5は、図4のA−A´線断面である。尚、図4及び図5では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、後述するように、非開口領域を規定するデータ線6及び走査線11の交差領域では、データ線6、走査線11、中継層7の端面に反射防止膜80が形成されているが、図4では、夫々の電極及び配線等の位置関係をわかりやすく表示するために、反射防止膜80の表示を省略している。尚、詳細な反射防止膜80の構造及び配置については、図5を参照されたい。
図4及び図5に示すように、TFTアレイ基板10上には、走査線11及びデータ線6が、夫々X方向及びY方向に沿って配置されており、データ線6と走査線11の交差付近にTFT30(即ち、半導体層30a及びゲート電極30b)が形成されている。
走査線11は、遮光性の導電材料、例えば、W(タングステン)、Ti(チタン)、TiN(チタニウム・ナイトライド)等から形成されており、TFT30の半導体層30aを含むように半導体層30aより幅広に形成されている。走査線11は半導体層30aより下層側に配置されているので、このように走査線11をTFT30の半導体層30aよりも幅広に形成することによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクタ等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域30bを殆ど或いは完全に遮光できる。その結果、液晶装置の動作時に、TFT30における光リーク電流は低減され、コントラスト比を向上させることができ、高品位の画像表示が可能となる。
本実施形態では特に、画像表示領域10aにおける非開口領域(即ち、表示光が透過しない領域)は、走査線11及びデータ線6によって規定されている。しかしながら、単にX方向及びY方向に沿って走査線11及びデータ線6を配置することによって画像表示領域10aにおける非開口領域を規定しただけでは、少なからず光源光が漏れ出し、表示画像のコントラスト比が悪化する場合がある。特に、走査線11及びデータ線6が直角に交差する領域60(図4において、一点鎖線で囲んだ領域)の近傍では、TFTアレイ基板10上に形成された電極及び配線等の端面によって光源光が反射されることにより、漏れ光が生じやすい。このような漏れ光は、液晶装置の画像表示面から射出されることによって、表示画像のコントラスト比を悪化させる要因となるため問題となる。そこで、本実施形態では、後述するように、交差領域におけるデータ線6、走査線11、中継層7の端面(即ち、データ線6の端面6´、走査線11の端面11´、中継層7の端面7´及び容量電極71の端面71´)に反射防止膜80を形成することによって光源光が反射されることを防ぎ、コントラスト比を高く確保することができるように構成されている。
非開口領域は、対向基板20又はTFTアレイ基板10に形成された、一般にブラックマトリクス或いはブラックマスクと称される、遮光膜23により、冗長的に規定されていてもよい。或いは、平面的に見た場合における、このような遮光膜23により規定される非開口領域部分が、データ線、走査線11等により規定される非開口領域部分よりも一回り大きくてもよいし又は一回り小さくてもよい。
走査線11は、下地絶縁膜12によって覆われることにより、表面が平坦化されている。尚、下地絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能も有している。
下地絶縁膜12上にはTFT30が形成されている。TFT30は、半導体層30aと、ゲート電極30bとを有して構成されている。半導体層30aは、ソース領域30a1、チャネル領域30a2、ドレイン領域30a3含んで形成されている。チャネル領域30a2とソース領域30a1、又は、チャネル領域30a2とドレイン領域30a3との界面にはLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。
尚、TFT30のゲート電極は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、半導体層30aのチャネル領域30a2に重なる領域において、ゲート絶縁膜13を介して設けられている。尚、ゲート電極30bは、下層側に配置された走査線11にコンタクトホール35を介して電気的に接続されており、走査信号が印加されることによってTFT30をオン/オフ制御する。ゲート電極30bは、例えば導電性ポリシリコンから形成されている。
半導体層30aのうちソース領域30a1は、ゲート絶縁膜13、第1層間絶縁膜14及び第2層間絶縁膜15に開孔されたコンタクトホール31を介して、画像信号が供給されるデータ線6に電気的に接続されている。一方、ドレイン領域30a3は、上層側に形成された画素電極9に、中継層7を介して、電気的に接続されている。ここで、中継層7は、ゲート絶縁膜13及び第1層間絶縁膜14に開孔されたコンタクトホール32に形成されており、ドレイン領域30a3及び画素電極9間を電気的に接続している。画素電極9は、中継層7の上層側に配置されており、第2層間絶縁膜15及び第3層間絶縁膜16に形成されたコンタクトホール16を介して、中継層7に電気的に接続されている。
中継層7の上層側には、中継層7に対向するように容量電極71が形成されている。容量電極71及び中継層7間には容量絶縁膜72が挟持されており、蓄積容量70が形成されている。このように蓄積容量70を設けることによって、画素電極9のドレイン領域30a3から印加された駆動電圧に対する保持特性を向上させることができる。
図5に示すように、本発明における「導電層」の一例である、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の夫々の端面(即ち、データ線6の端面6´、走査線11の端面11´、中継層7の端面7´及び容量電極71の端面71´)には、光反射率の低い材料で覆うように反射防止膜80が形成されている。反射防止膜80は、例えばTiN(窒化チタン)やW(タングステン)などの光反射率の低い材料から形成される。TiN(窒化チタン)やW(タングステン)は、データ線6、走査線11及び中継層7を構成しているアルミニウムや、容量電極71を構成しているポリシリコン等に比べて低い光反射率を有しているため、反射防止膜80に照射する光は、その大部分が反射されることなく、反射防止膜80に吸収されることとなる。
ここで、図5に加え図6を参照して、データ線6及び走査線11における反射防止膜80が形成されている領域について、より具体的に説明する。図6は、本実施形態に係る液晶装置において、反射防止膜80が形成される領域の、データ線6及び走査線11に対する位置関係を視覚的に示す立体模式図である。尚、図6では、データ線6及び走査線11以外の種々の構成要素は、説明の便宜上、表示を省略している。
図6に示すように、走査線11及びデータ線6は、夫々X方向及びY方向に沿って延在している。図6においてハッチパターンで示した領域は、反射防止膜80が形成されている領域である。
尚、ここでは説明の便宜上から、データ線6及び走査線11について反射防止膜80が形成されている領域を説明しているが、中継層7及び容量電極71についても、同様に、TFTアレイ基板10上で平面的に見たときに、交差領域に重なる領域における端面に反射防止膜80が形成されている。
このように、本実施形態に係る液晶装置では、交差領域における、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の夫々の端面に反射防止膜80を形成することにより、非開口領域からの漏れ光の発生を効果的に防ぎ、表示画像のコントラスト比を向上させることができる。
<第1変形例>
続いて、図7を参照して第1変形例に係る液晶装置について説明する。図7は、第1変形例に係る液晶装置において、反射防止膜80が形成される領域の、データ線6及び走査線11に対する位置関係を視覚的に示す立体模式図である。尚、図7では、データ線6及び走査線11以外の種々の構成要素は、説明の便宜上、表示を省略している。
図7に示すように、本変形例に係る液晶装置では、データ線6及び走査線11の全体に渡って、その端面に反射防止膜80が形成される点において、上述の実施形態と異なっている。尚、この点以外については、上述の実施形態の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
表示画像のコントラストの低下をもたらす漏れ光は、上述の通り、主にデータ線6及び走査線11の交差領域において生じるが、その他の非開口領域におけるデータ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の夫々の端面においても少なからず生じる。そこで、本変形例のように、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の全体に渡って、その端面に反射防止膜80が形成することによって、より効果的に非開口領域において生じる漏れ光を軽減することができるので、よりコントラスト比の高い、高品位な画像表示が可能となる(図7において中継層7及び容量電極71については図示省略)。
<第2変形例>
続いて、図8を参照して第2変形例に係る液晶装置について説明する。図8は、第2変形例に係る液晶装置において、図5と同様の趣旨に基づく断面図である。尚、反射防止膜80以外の点については、上述の実施形態の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
図8に示すように、本変形例に係る液晶装置では、反射防止膜80が、交差領域において、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71を上面側から覆うように形成されている点において、上述の形態とは異なっている。即ち、本変形例では、反射防止膜80は、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の端面(即ち、データ線6の端面6´、走査線11の端面11´、中継層7の端面7´及び容量電極71の端面71´)だけでなく、夫々の上面にも形成されている。
上述の各種態様では、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の端面によって光源光が反射されることによって生じる漏れ光を防ぐために、反射防止膜80を設けているが、実際の液晶装置では、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の表面で反射された光源光が液晶装置内で迷光となり、表示面から射出することによって、同様に表示画像のコントラスト比を低下させる原因となってしまう。その点、本変形例のように、データ線6、走査線11、中継層7及び容量電極71の表面を覆うように反射防止膜80を形成することによって、よりコントラスト比の高い、高品位な画像表示が可能となる。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
図10は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
図10に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図10を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。