JP5277812B2 - 駆動力配分装置及び駆動力配分装置の制御方法 - Google Patents
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Description
また、上記構成によれば、発熱源の定常温度と検出温度との偏差に基づいて熱伝達量を演算するため、発熱源の検出温度が定常温度よりも低い場合には、発熱源からの熱伝達量が負の値となる。従って、駆動力伝達部材の温度下降(冷却)も含めてその温度を推定することができ、より正確な温度推定が可能になる。なお、定常状態とは、例えば車両に2名乗車した状態で平坦路を走行する状態であり、定常温度は定常状態で安定する発熱源の温度である。
図1に示すように、車両1は、前輪駆動車をベースとする4輪駆動車である。車両1の前部(図1において左側)には駆動源としてのエンジン2が搭載されるとともに、そのエンジン2には変速機としてのトランスミッション3が組み付けられている。トランスミッション3には、トランスファ4が組み付けられるとともに、トランスファ4には、第1プロペラシャフト5及び第2プロペラシャフト6が連結されている。第1プロペラシャフト5は、フロントディファレンシャル7を介して一対のフロントアクスル8に連結され、各フロントアクスル8には、前輪10fが連結されている。また、第2プロペラシャフト6は、トルクカップリング11を介してピニオンシャフト(ドライブピニオンシャフト)12と連結可能となっている。そして、ピニオンシャフト12は、リヤディファレンシャル13を介して一対のリヤアクスル14に連結され、各リヤアクスル14には、後輪10rが連結されている。なお、トルクカップリング11は、リヤディファレンシャル13とともに、デフキャリヤ15内に収容されている。
ECU17には、アクセル開度センサ21及び車輪速センサ22f,22rが接続されている。ECU17には、アクセル開度センサ21からその時々のアクセル開度Saが入力され、各車輪速センサ22f,22rからそれぞれその時々の前輪車輪速Vf及び後輪車輪速Vrが入力される。
仕事量演算部41には、前輪車輪速Vf及び指令トルクT*が入力される。そして、仕事量演算部41は、前輪車輪速Vfと指令トルクT*とを乗算器43にて乗算することで、トルク伝達にかかるトランスファ4での仕事量W_ptuを演算し、加算器44に出力する。
つまり、トルク補正部35(乗算器39)は、トランスファ油温T_ptuが所定温度Tth以上である場合には、指令トルクT*よりも小さい値の補正指令トルクT**(=0)を指令電流値演算部51に出力する。一方、トルク補正部35は、トランスファ油温T_ptuが所定温度Tth未満である場合には、指令トルクT*と同じ値の補正指令トルクT**(=T*)を指令電流値演算部51に出力する。
(1)温度推定部37は、エンジン2の温度を検出する水温センサ23にて検出されたエンジン水温T_engに基づいて、エンジン2からの熱伝達量W_engを演算する熱伝達量演算部42と、熱伝達量W_engを考慮してトランスファ油温T_ptuを演算する温度演算部48とを備えた。そして、ECU17は、温度推定部37で推定したトランスファ油温T_ptuが所定温度Tth以上である場合には、トランスファ油温T_ptuが所定温度Tth未満の場合よりも、指令トルクT*の目標値を小さく補正し、補正指令トルクT**に応じた駆動電流Iをトルクカップリング11に供給するようした。そのため、車両1に搭載されたエンジン2のその時々の温度も考慮して、正確にトランスファ4の温度を推定することが可能になり、該トランスファ4が過熱することを未然に防止できる。
ここで、車両1が他の車両を牽引して走行する車両牽引走行時や、登坂走行が長時間継続する場合などには、エンジン2の負荷が大きくなるため、エンジン2から空気やトランスミッション3を介してトランスファ4へ伝達される熱伝達量が大きくなる。つまり、トランスファ4の温度が、該トランスファ4でのトルク伝達に伴う発熱や外気との熱交換以外の要因により大きく変化することから、上記従来の構成(特許文献2)では、トランスファ油温T_ptuを正確に推定できなくなる虞がある。この点、本実施形態によれば、トランスファ油温T_ptuを推定する際に、エンジン2からの熱伝達量が含まれるため、同トランスファ4の温度を正確に推定することができる。この結果、車両1が車両牽引走行などを行う場合でも、トランスファ4の過熱を確実に防止することができる。
・上記実施形態では、エンジン2のみを発熱源としたが、これに限らず、トランスミッション3のみを発熱源としてもよい。具体的には、図5に示すように、熱伝達量演算部61は、偏差演算部62でトランスミッション油温T_trmと定常状態のトランスミッション油温T_trm0との偏差ε2(=T_trm−T_trm0)を演算し、変換器63で係数K12を乗ずることで、トランスミッション3からの熱伝達量W_trmを演算し、温度演算部48に出力する。なお、係数K12は、偏差ε2をトランスミッション3からの熱伝達量W_trmに変換するための係数である。そして、上記実施形態と同様に、温度演算部48で、下記(2)式を演算することにより、トランスファ油温T_ptuを演算する。
Claims (4)
- 駆動源のトルクを各車輪に伝達する駆動伝達系内に設けられクラッチ機構の係合力に基づいてトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングと、前記係合力の調整を通じて前記トルクカップリングの作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段がトルク伝達容量を変更することで前記駆動伝達系内に設けられた駆動力伝達部材が前記各車輪に伝達するトルクを変更させる駆動力配分装置であって、
車両に搭載された発熱源の温度を検出する発熱源温度検出手段にて検出された前記発熱源の検出温度と前記発熱源の定常状態における定常温度との偏差に基づいて、前記発熱源からの熱伝達量を演算する熱伝達量演算手段と、
前記熱伝達量を考慮して前記駆動力伝達部材の温度を推定する駆動力伝達部材温度推定手段とを備え、
前記制御手段は、前記駆動力伝達部材温度推定手段で推定した前記駆動力伝達部材の推定温度が所定温度以上である場合には、前記推定温度が前記所定温度未満の場合よりも前記トルク伝達容量の制御目標値を小さくすることを特徴とする駆動力配分装置。 - 前記駆動力伝達部材温度推定手段は、前記熱伝達量による前記駆動力伝達部材の温度変化を車速の増大に基づいて小さく推定することを特徴とする請求項1に記載の駆動力配分装置。
- 前記発熱源は、前記駆動源及び該駆動源の回転を変速して出力する変速機のうちの少なくとも一方を含み、
前記駆動力伝達部材は、前記変速機の出力を、前記変速機の出力が常時伝達される主駆動輪側及び前記車両の状態に応じて必要時に前記変速機の出力が伝達される補助駆動輪側に配分するトランスファであることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動力配分装置。 - 駆動源のトルクを各車輪に伝達する駆動伝達系内に設けられクラッチ機構の係合力に基づいてトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングと、前記係合力の調整を通じて前記トルクカップリングの作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段がトルク伝達容量を変更することで前記駆動伝達系内に設けられた駆動力伝達部材が前記各車輪に伝達するトルクを変更させる駆動力配分装置の制御方法であって、
車両に搭載された発熱源の検出温度と前記発熱源の定常状態における定常温度との偏差に基づいて該発熱源からの熱伝達量を演算し、前記熱伝達量を考慮して該駆動力伝達部材の温度を推定して、推定温度が所定温度以上である場合には、前記推定温度が前記所定温度未満の場合よりも前記トルク伝達容量の制御目標値を小さくするようにしたことを特徴とする駆動力配分装置の制御方法。
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