===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
即ち、印刷領域に位置する連続媒体に画像を印刷する印刷部と、前記連続媒体を搬送する搬送部と、前記画像が印刷された前記連続媒体を乾燥させる乾燥領域の大きさが変化する乾燥部と、を有する印刷装置を実現すること。
このような印刷装置によれば、乾燥させる必要のある連続媒体の大きさに合わせて乾燥領域の大きさを変化させることができるため、連続媒体を無駄に乾燥させることを防止でき、消費電力を削減できる。
かかる印刷装置であって、前記搬送部の1回の搬送動作における前記連続媒体の搬送量に基づいて、前記乾燥領域の大きさを変化させること。
このような印刷装置によれば、乾燥させる必要のある連続媒体の大きさに合わせて乾燥領域の大きさを変化させることができ、消費電力を削減できる。例えば、印刷領域の下流側に乾燥部が位置している場合に、1回の搬送動作にて、未だ乾燥していない媒体部分が搬送量の長さ分だけ乾燥部に搬送されるため、乾燥させる必要のある連続媒体の大きさは搬送量に相当する。
かかる印刷装置であって、前記搬送量を、前記印刷部の1回の印刷動作にて前記連続媒体に前記画像が搬送方向に並んで印刷される数と、前記画像の前記搬送方向の長さと、に基づいて決定すること。
このような印刷装置によれば、画像の大きさや1回の印刷動作にて印刷される画像の数により搬送量が異なり、乾燥させる必要のある連続媒体の大きさも異なるため、搬送量に基づいて乾燥領域の大きさを変化させることで、消費電力を削減できる。
かかる印刷装置であって、前記印刷領域のうちの第1領域に位置する前記連続媒体に第1の画像を印刷するとともに、前記印刷領域のうちの前記第1領域よりも前記搬送方向の下流側にある第2領域に位置する前記連続媒体に第2の画像を印刷する印刷動作と、前記第1の画像上に前記第2の画像が印刷されるように、前記第1領域で印刷された前記第1の画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、前記第1の画像上に前記第2の画像を重ねて印刷する場合に、前記搬送量を、前記印刷部の1回の前記印刷動作にて前記連続媒体に前記第1の画像が前記搬送方向に並んで印刷される数と、前記第1の画像の前記搬送方向の長さと、に基づいて決定すること。
このような印刷装置によれば、1回の印刷動作にて第1の画像と第2の画像を印刷する場合には、搬送量が短くなり、乾燥させる必要のある連続媒体の大きさも小さくなるため、搬送量に基づいて乾燥領域の大きさを変化させることで、消費電力を削減できる。
かかる印刷装置であって、前記印刷領域に位置する前記連続媒体に複数の第1の画像を印刷し、待機時間後に、前記第1の画像上に複数の第2の画像を印刷する印刷動作と、前記連続媒体を搬送する搬送動作と、を交互に繰り返す第1印刷モードと、前記印刷領域のうちの第1領域に位置する前記連続媒体に前記第1の画像を印刷するとともに、前記印刷領域のうちの前記第1領域よりも前記搬送方向の下流側にある第2領域に位置する前記連続媒体に前記第2の画像を印刷する印刷動作と、前記第1の画像上に前記第2の画像が印刷されるように、前記第1領域で印刷された前記第1の画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返す第2印刷モードの、いずれかを選択することによって、前記第1の画像上に前記第2の画像を重ねて印刷する場合に、前記第1印刷モードを選択した場合の前記乾燥領域の大きさよりも、前記第2印刷モードを選択した場合の前記乾燥領域の大きさを小さくすること。
このような印刷装置によれば、同じ画像を印刷する場合であっても、印刷モードにより乾燥させる必要のある連続媒体の大きさが異なるため、選択する印刷モードに応じて乾燥領域を変化させることで、消費電力を削減できる。例えば、第2印刷モードは第1印刷モードに比べて、搬送量が短くなり、乾燥させる必要のある連続媒体の大きさも小さくなるため、第1印刷モードを選択した場合の乾燥領域の大きさよりも第2印刷モードを選択した場合の乾燥領域の大きさを小さくしても連続媒体を乾燥させることができ、且つ、消費電力を削減できる。
かかる印刷装置であって、前記画像の単位領域あたりの最大液体吐出量に基づいて、前記乾燥領域の大きさを変化させること。
このような印刷装置によれば、連続媒体に吐出される液体量により乾燥のし易さが異なるため、最大液体吐出量に基づいて乾燥領域の大きさを変化させることで、消費電力を削減できる。
かかる印刷装置であって、前記連続媒体の種類に基づいて、前記乾燥領域の大きさを変化させること。
このような印刷装置によれば、連続媒体の種類により乾燥のし易さが異なるため、連続媒体の種類に基づいて乾燥領域の大きさを変化させることで、消費電力を削減できる。
かかる印刷装置であって、前記画像を印刷する液体の種類に基づいて、前記乾燥領域の大きさを変化させること。
このような印刷装置によれば、画像を印刷する液体の種類により乾燥のし易さが異なるため、液体の種類に基づいて乾燥領域の大きさを変化させることで、消費電力を削減できる。
===プリンタについて===
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2は、プリンタ1の全体構成の概略図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、ヒータユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、ヒータユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット10(搬送部に相当)は、ロール状の媒体(連続媒体に相当、例えば、ロール紙、ロール状シール用紙など)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送する。この搬送ユニット10は、供給機構11と、搬送ローラ12A〜12Fと、巻取機構13とを有する。搬送ローラ12A〜12Bは、供給機構11から供給される媒体を印刷領域まで搬送し、印刷領域で印刷された媒体を巻取機構13まで搬送する。コントローラ60が不図示の搬送モータを制御することによって、搬送ローラ12A〜12Fの回転量が制御され、媒体の搬送量が制御される。
キャリッジユニット20は、ヘッドを移動方向に移動させるものであり、所定の方向(移動方向)に移動するキャリッジ21と、キャリッジ21を移動方向に案内するガイド22とを有する。コントローラ60が不図示のキャリッジモータを制御することによって、キャリッジ21の移動が制御される。なお、本実施形態のプリンタでは、キャリッジ21の移動方向は、搬送ユニット10の媒体の搬送方向と同じ方向である。
ヘッドユニット30(印刷部に相当)は、紙にインク(液体)を吐出するヘッド31を有する。ヘッド31はキャリッジ21に搭載されているため、キャリッジ21が移動方向に移動すると、ヘッド31も移動方向に移動する。ヘッド31の下面には、媒体幅方向に沿ってノズル列が設けられている。このノズル列は、媒体の幅に相当する長さに亘って設けられている。ヘッド31が移動方向に移動中にインクを吐出することによって、印刷領域で媒体が印刷される。
不図示であるが、ヘッド31の下面には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどのカラーインクを吐出するノズル列が設けられている。更に、ヘッド31の下面には、白インクを吐出するノズル列、定着剤を吐出するノズル列、及び、コーティング剤を吐出するノズル列なども設けられている。
ヒータユニット40(乾燥部に相当)は、画像が印刷された連続媒体を乾燥させるものであり、ホットプラテン41と、乾燥機構42とを有する(詳細は後述する)。
検出器群50には、例えばマーク検出センサ51が含まれる。マーク検出センサ51は媒体に印刷されたマークを検出するのに用いられ、この検出結果に基づいて搬送ユニット10による媒体の搬送量が制御される。なお、検出器群50は、他にも、搬送ローラ12A〜12Fの回転量を検出するためのエンコーダや、キャリッジ21の移動方向の位置を検出するためのリニア式エンコーダなども備えている。
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニットである。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。また、メモリ63には、印刷対象となる画像データが格納される。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御し、後述する印刷処理を実行させる。また、CPU62は、メモリ63に格納された画像データに従ってヘッド31の各ノズル(不図示)からインク等を吐出させることによって、画像データの示す画像を媒体上に印刷する。
印刷処理が実行されると、プリンタ1は、搬送ユニット10によって媒体を搬送方向に搬送する搬送動作と、キャリッジユニット20によってヘッド31を移動させつつ画像データに基づいてヘッド31からインクを吐出して媒体に画像を印刷する画像形成動作とを交互に繰り返し、媒体に印刷物を等間隔に印刷する。キャリッジユニット20の移動可動範囲に応じて、1回の画像形成動作にて媒体に印刷できる最大範囲(最大印刷可能領域)は決まっている。なお、必ずしもプリンタ1の最大印刷可能領域に印刷する必要は無く、1回の画像形成動作にて印刷する範囲は、印刷物の大きさに応じて可変とする。
===ヒータユニット40(乾燥部)について===
本実施形態のプリンタ1は印刷後の媒体を図2に示すように巻取機構13を用いてロール状に巻き取る。そのため、画像が印刷された媒体をよく乾燥させないうちに巻き取ると、媒体を汚してしまう。そこで、本実施形態のプリンタ1には、ヒータユニット40として、ホットプラテン41と乾燥機構42が設けられている。
図3は、ホットプラテン41の上面図である。ホットプラテン41は、印刷領域において媒体Sを支持するとともに、ヒータ411を内蔵しており、印刷領域上の媒体を加熱することによって、画像が印刷された媒体の乾燥を促進させる。ホットプラテン41は特に複数の画像を重ねて印刷する際に役立つ。例えば、2つの画像を重ねた印刷物を製造する場合、印刷領域内の媒体に、まず、下層となる画像を印刷する。そして、先に印刷した画像をよく乾燥させた後に次の画像を印刷する。もし先に印刷した画像を乾燥させずに次の画像を印刷すると画像が滲んでしまう。そのため、ホットプラテン41にて下層の画像の乾燥を促進することで、画像の滲みを防止できる。
本実施形態のホットプラテン41はヒータ411を6個内蔵しており、図3では媒体Sの上から仮想的にヒータ411の位置を示している。6個のヒータ411は、最大印刷可能領域内において、搬送方向にほぼ等間隔に並んでいる。説明のため、ヒータ411が内蔵されている位置に合わせて、印刷領域を6個の領域に分ける。図示するように、搬送方向の上流側から順に領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域Fとする。
そして、本実施形態では、6個のヒータ411の通電をコントローラ60により個別に制御出来るとする(ON・OFF制御が出来るとする)。例えば、領域A〜領域Cの3個のヒータ411をONし(スイッチの切り替えでヒータ411に電流を流し)、領域Dから領域Fの3個のヒータ411をOFFできる(スイッチの切り替えでヒータに流れる電流を遮断する)。この場合、領域Aから領域Cの上に位置する媒体の乾燥を特に促進させることができる。そのため、領域Aから領域Cが、画像が印刷された媒体を乾燥させる「乾燥領域」に相当する。逆に、領域A〜領域Cのヒータ411をOFFし、領域Dから領域FのヒータをONすれば、領域D〜領域Fが「乾燥領域」に相当する。また、全てのヒータ411をONする場合には、領域Aから領域Fが「乾燥領域」に相当する。以下では、説明のため、領域Aから領域Fのうち、ヒータ411がONされた領域を「乾燥領域」と言う。つまり、本実施形態のプリンタ1では、ホットプラテン41上において、ヒータ411のON・OFF制御により、画像が印刷された媒体を乾燥させる乾燥領域の位置と大きさを変化させられる。
図4Aは乾燥機構42の断面図であり、図4Bは乾燥機構42の上面図である。乾燥機構42は、印刷領域よりも下流側に設けられており(図2)、搬送動作にて乾燥機構42まで搬送された媒体を加熱することによって乾燥を促進させる。即ち、乾燥機構42は、印刷領域外で画像が印刷された媒体の乾燥を促進させる。そのため、巻取機構13にて媒体を巻き取る前に、媒体を確実に乾燥させることができ、媒体を汚してしまうことを防止できる。
乾燥機構42もホットプラテン41と同様にヒータ421を6個内蔵している。図4Bでは媒体Sの上から仮想的にヒータ421の位置を示している。また、6個のヒータ421は、最大加熱範囲内において、搬送方向にほぼ等間隔に並んでいる。以下の説明では、ヒータ421が内蔵されている位置に合わせて、乾燥機構42内を6個の領域に分ける。図示するように、搬送方向の上流側から順に領域(1)、領域(2)、領域(3)、領域(4)、領域(5)、領域(6)とする。本実施形態では、ホットプラテン41上の最大印刷可能領域と乾燥機構42の最大加熱範囲の大きさを等しいとする。そのため、最大印刷可能領域を6等分した領域(領域Aから領域F)と、最大加熱範囲を6等分した領域(領域(1)から領域(6))の大きさは等しい。なお、これに限らず、最大加熱範囲が最大印刷可能領域よりも大きくてもよい。
そして、乾燥機構42の6個のヒータ421もコントローラ60により個別にON・OFF制御が出来るとする。以下では、ホットプラテン41と同様に、領域(1)から(6)のうち、ヒータ421がONした領域を「乾燥領域」と言う。そのため、乾燥機構42内においても、ヒータ421のON・OFF制御により、画像が印刷された媒体を乾燥させる乾燥領域の位置と大きさを変化させることができる。
また、ヒータ411,421がONされた乾燥領域に位置する媒体は特に乾燥するが、その乾燥領域の周辺の媒体もヒータ411,421の熱が伝わり乾燥させることができる。そのため、ヒータを個別にON・OFF制御できるようにすることで、媒体が乾燥し難い場合にはヒータ411,421をONする数を増やし、即ち、乾燥領域を広くし、媒体が乾燥し易い場合にはヒータ411,421をONする数を減らす、即ち、乾燥領域を狭くすることができる。つまり、ヒータ411,421のON・OFF制御により、ホットプラテン41上の媒体及び乾燥機構42内の媒体を乾燥させるためのヒータ411,421が発生する熱量を変化させることができる。
以上をまとめると、本実施形態のホットプラテン41と乾燥機構42は、複数のヒータ411,421を有し、そのヒータを個別にON・OFF制御することができる。そのため、印刷条件に応じて、ヒータがONする乾燥領域の位置と大きさを変化させることができる。また、乾燥領域の大きさを調整することによって(通電するヒータ数を調整することによって)、媒体を乾燥させる度合いを変化させることができる。以下の実施形態にて、ホットプラテン41における乾燥領域と乾燥機構42における乾燥領域の調整方法(ヒータのON・OFF制御方法)について説明する。
===第1実施形態===
この第1実施形態では、連続媒体に等間隔に1種類の画像を印刷する場合(画像を重ねて印刷しない場合)の乾燥領域の調整方法について説明する。
<乾燥領域の調整例1>
本実施形態のプリンタ1は、印刷領域内の媒体への画像形成動作と媒体の搬送動作を交互に繰り返して印刷する。また、プリンタ1では、キャリッジユニット20の移動可能範囲に応じて、最大印刷可能領域が設定されている。そして、印刷する画像の大きさに応じて、1回の画像形成動作にて印刷する媒体の大きさ(印刷領域)が変化させる。そこで、以下では、大きさの異なる第1画像と第2画像を印刷する場合を例に挙げて説明する。連続媒体に所定間隔おきに、多数の第1画像、又は、多数の第2画像が並んで印刷されるとする。まず、印刷データの作成方法について説明する。
図5Aは第1画像が印刷された連続媒体Sを示す図であり、図5Bは最大印刷可能領域に印刷可能な第1画像の数を示す図であり、図5Cは第1画像の印刷データを示す図である。図5Dは第2画像の印刷データを示す図である。コンピュータ110は、プリンタドライバに従って、プリンタ1が印刷するための印刷データを作成する。その際に、まず、1回の画像形成動作にて印刷可能な画像数を決定する。なお、各画像は搬送方向に所定間隔おきに並ぶように印刷する。なぜなら、連続媒体上に多数の画像を所定間隔おきに印刷することで、印刷後に各画像に切り分ける際などに効率よく作業を行えるからである。
また、1回の画像形成動作にて印刷する画像数は整数個とする。例えば、第1画像の場合、図5Bに示すように、最大印刷領域内には2個の第1画像と3個目の第1画像の一部が所定間隔おきに並ぶ。そのため、コンピュータ110は、1回の画像形成動作にて印刷する第1画像を「2個」と決定する。仮に、1回の画像形成動作にて2個の第1画像と、3個目の第1画像の一部を印刷し、次の画像形成動作にて残りの第1画像部分を印刷するとする。そうすると、搬送誤差が生じた場合に、画像がずれて印刷されてしまう。また、繰り返し同じ印刷データを使用することができなくなってしまう。そのため、1回の画像形成動作にて印刷する画像数は整数個とする。
そうして、1回の画像形成動作にて印刷する画像数が決定したら、コンピュータ110は、図5Cに示すような印刷データを作成する。この印刷データを繰り返し用いて、画像形成動作と搬送動作を繰り返すことによって、図5Aに示すように、多数の第1画像が連続媒体Sに所定間隔おきに印刷される。
図5Cの印刷データから分かるように、1回の搬送動作における搬送量は、1回の印刷動作にて搬送方向に並んで印刷される画像の数と、その画像の搬送方向の長さと、に基づいて決定する。その結果、第1画像を印刷する場合、1回の画像形成動作にて印刷される印刷領域の搬送方向の長さは、最大印刷可能領域の搬送方向の長さよりも短い。即ち、1回の搬送動作にて搬送される媒体の搬送量も最大印刷可能領域の搬送方向の長さよりも短くなる。なお、最大印刷可能領域内に2つの第1画像を図中の所定間隔よりも広い間隔おきに並ぶように印刷すれば、第1画像を印刷する場合にも、1回の搬送量が最大印刷可能領域の搬送方向の長さとなる。しかし、画像間隔が必要以上に大きいと媒体を無駄にしてしまう。そこで、後の工程などにおいて各画像を切り離す際に必要な最小間隔(所定間隔)おきに画像が印刷されるように、印刷データを作成することが好ましい。
一方、第1画像よりも小さい第2画像では、図5Dに示すように、最大印刷領域内に所定間隔おきに6個の第2画像が並ぶとする。そのため、コンピュータ110は、1回の画像形成動作にて印刷する第2画像を「6個」と決定する。その結果、第2画像を印刷する場合、1回の画像形成動作にて印刷される印刷領域の搬送方向の長さ、即ち、1回の搬送動作にて搬送される媒体の搬送量は、最大印刷可能領域の搬送方向の長さと等しくなる。
以上をまとめると、第1画像を印刷する場合には第2印刷画像を印刷する場合に比べて、1回の画像形成動作にて印刷される媒体の搬送方向の長さ、及び、1回の搬送動作における媒体の搬送量が短くなる。このように、本実施形態のプリンタ1は、画像の大きさに応じて、1回の画像形成動作にて印刷される媒体の大きさ、及び、1回の搬送動作における媒体の搬送量が変化する。
図6Aは、第1画像が印刷された媒体Sがホットプラテン41にて乾燥される様子を示す図であり、図6Bは、第2画像が印刷された媒体Sがホットプラテン41にて乾燥される様子を示す図である。第1画像を印刷する場合、1回の画像形成動作にて、最大印刷領域よりも小さい印刷領域の媒体に対して画像が形成される。なお、本実施形態のプリンタ1は、印刷領域において搬送方向の下流側から画像が印刷されるとする。そのため、第1画像を印刷する場合、1回の画像形成動作にて、印刷領域の領域Bから領域Fに位置する媒体に対して画像が印刷される。ゆえに、ホットプラテン41上の領域Bから領域Fに位置する媒体を乾燥させる必要がある。そこで、第1画像を印刷する場合には、領域Bから領域Fの5個のヒータをONし、領域AのヒータをOFFするとよい。なお、領域Bに位置する媒体の一部にのみしか第1画像が印刷されていないので、領域Bのヒータ411はOFFしてもよい。領域Bのヒータ411をOFFしても、領域Cのヒータ411の熱により領域Bに位置する媒体の乾燥を促進させることが出来る。
一方、第2画像を印刷する場合、1回の画像形成動作にて、印刷領域の領域Aから領域Fに位置する媒体に対して画像が印刷され、ホットプラテン41上の領域Aから領域Fに位置する媒体を乾燥させる必要がある。そこで、第2画像を印刷する場合には、領域Aから領域Fの6個のヒータ411をONするとよい。
ここで、仮に、ホットプラテン41の乾燥領域が可変でなかったとする。即ち、6個のヒータ411を個別にON・OFF制御できず、6個のヒータ411を一斉にONするか、一斉にOFFするかしかできないとする。そうすると、第1画像を印刷する場合には、領域Aに位置する媒体には未だ画像が印刷されていないにもかかわらず、領域Aのヒータ411も通電されることになる。その結果、領域Aのヒータ411は無駄に媒体を乾燥させることになる。即ち、媒体を乾燥させるために必要なヒータ411は5個であるのにも関わらず、6個分のヒータ411の電力が消費されてしまう。これに対して、本実施形態のプリンタ1では、領域Aのヒータ411だけをOFFすることができるため、消費電力を削減できる。
つまり、印刷する画像の大きさによって、1回の印刷動作にて印刷される媒体の大きさが異なり、1回の搬送動作における連続媒体の搬送量が異なり、ホットプラテン41上において乾燥させる必要のある媒体の大きさが異なる。そのため、本実施形態のプリンタ1のように、ホットプラテン41が内蔵する複数のヒータ411を個別にON・OFF制御出来るようにする。そうすることで、搬送量(印刷する画像の大きさ)に基づいて、通電するヒータ411の数を調整でき、乾燥領域の大きさも変化させることができる。即ち、本実施形態のホットプラテン41は、乾燥させる必要のある媒体の大きさと位置に合わせて乾燥領域を変化させることができるため、消費電力化を図れる。
図7Aは、第1画像が印刷された媒体が乾燥機構42にて乾燥される様子を示す図であり、図7Bは、第2画像が印刷された媒体が乾燥機構42にて乾燥される様子を示す図である。第1画像を印刷する場合、図6Aに示すように1回の画像形成動作にて5個の領域Bから領域Fに位置する媒体に画像が印刷される。そのため、搬送動作により、未だ乾燥されていない媒体が乾燥機構42の5個の領域(2)から領域(6)に搬送される。なお、図2に示すように、印刷領域と乾燥機構42が離れているが、説明のため、印刷領域の領域Fにて画像が印刷された媒体部分が、搬送動作により、乾燥機構42の領域(6)に搬送されるように、印刷領域と乾燥機構42の間隔が設定されているとする。
そのため、あるN回目の画像形成動作にて第1画像が印刷された媒体部分が、搬送動作により、乾燥機構の領域(2)から領域(6)に搬送されることになる。即ち、乾燥機構42内の領域(2)から領域(6)に位置する媒体を乾燥させる必要がある。そのため、第1画像を印刷する場合には、領域(2)から領域(6)の5個のヒータをONし、領域(1)のヒータをOFFするとよい。
なお、領域(1)には、次のN+1回目の画像形成動作にて第1画像が印刷された媒体部分が位置する。この媒体部分も乾燥機構42により乾燥させる必要がある。但し、第1画像を印刷する場合、1回の搬送動作における搬送量が6個分の乾燥領域に相当する長さよりも短い。そのため、領域(1)に位置する媒体部分は、次の搬送動作後も乾燥機構42内に位置することになる。つまり、領域(1)のヒータをOFFしていても、領域(1)に位置する媒体は、次の搬送動作にてヒータがONしている乾燥領域に搬送されて乾燥されるため、問題ないと言える。
逆に、領域(1)のヒータをONしていると、領域(1)に位置した媒体部分は、既に乾燥しているにも関わらず、搬送動作後もヒータ421に加熱されることになる。そうすると、ヒータ421にて無駄に媒体を乾燥させてしまうことになる。そこで、本実施形態のように、領域(1)のヒータをOFFすることで消費電力を削減できる。なお、N回目の画像動作にて印刷された媒体部分は、領域(2)の一部にのみしか位置していないため、領域(2)のヒータ421もOFFしてもよいとする。
一方、第2画像を印刷する場合、1回の画像形成動作にて6個の領域Aから領域Fに位置する媒体に画像が印刷されるため、搬送動作により、未だ乾燥されていない媒体が乾燥機構42の領域(1)から領域(6)に搬送される。また、第2画像を印刷する場合、1回の搬送動作における搬送量が最大印刷可能領域(最大加熱範囲)に相当する。そのため、ある搬送動作にて乾燥機構42に搬送された媒体部分は、次の搬送動作では乾燥機構42外へ搬送されてしまう。そこで、領域(1)から領域(6)の6個のヒータ421をONすることで、画像が印刷された媒体部分を全て乾燥させることが出来る。
つまり、印刷する画像の大きさによって、1回の搬送動作における搬送量が異なり、乾燥機構42内に位置する媒体において、乾燥させる必要のある媒体の大きさが異なる。そこで、本実施形態のプリンタ1のように、乾燥機構42が内蔵する複数のヒータ421を個別にON・OFF制御できるようにする。そうすると、1回の搬送動作における搬送量に基づいて、乾燥の必要のある媒体の大きさと位置が変化しても、通電するヒータ421の数を調整でき、乾燥領域の大きさも変化させることができる。即ち、本実施形態の乾燥機構42は、乾燥させる必要のある媒体の大きさに合わせて乾燥領域を変化させられるため、消費電力を削減できる。
以上をまとめると、印刷する画像の大きさによって、1回の画像形成動作にて印刷される媒体の大きさ、及び、1回の搬送動作における搬送量が異なるため、ホットプラテン41上の媒体や乾燥機構42内の媒体において、乾燥させる必要のある媒体の大きさと位置が異なる。そこで、本実施形態のように、複数のヒータ411,421を個別にON・OFF制御できるようにすることで、乾燥させる必要のある媒体の大きさと位置に合わせて、通電するヒータ421の位置と数を決定し、乾燥領域の位置と大きさを調整することで、消費電力を削減できる。
<乾燥領域の調整例2>
この調整例2では、画像が印刷された媒体の乾燥のし易さによって、乾燥領域の大きさを調整する(通電するヒータ数を調整する)。具体的には、画像が印刷された媒体が乾燥し易い場合には乾燥領域を狭くし、画像が印刷された媒体が乾燥し難い場合には乾燥領域を広くする。つまり、ヒータのON・OFF制御により、ヒータが発生する熱量を調整し、画像が印刷された媒体を乾燥させる度合いを調整する。
図8Aは、印刷する画像の単位領域あたりの液体吐出量の違いを示す図である。図8Bは、ベタ画像を印刷する場合の乾燥領域の大きさと位置を示し、図8Cは、画像ABCを印刷する場合の乾燥領域の大きさと位置を示す。説明の簡略のため、図8Bと図8Cでは、ホットプラテン41の印刷領域と乾燥機構42の加熱領域を共通に示している。ここで、「ベタ画像」を印刷する場合と文字画像である「画像ABC」を印刷する場合とを例に挙げて説明する。また、ベタ画像と画像ABCの大きさはほぼ等しいとし、1回の画像形成動作にて印刷される媒体(印刷領域)の搬送方向の長さ、及び、1回の搬送動作における媒体の搬送量は、最大印刷可能領域の搬送方向の長さと等しいとする。
通常、媒体に吐出される液体量が多いほど媒体は乾燥し難い。そこで、調整例2では、印刷する画像の単位領域あたりの最大液体吐出量に基づいて、乾燥領域の大きさを調整する(変化させる)。図8Aに示すように、まず、画像データを複数の単位領域(例えば16画素×16画素)に分割する。図中の小さいマス目が単位領域に相当する。そして、各単位領域に対して吐出される液体量(インク量)を算出し、各単位領域への液体吐出量のうちの最大液体吐出量を決定する。ここで、画像ABCの最大液体吐出量はベタ画像の最大液体吐出量が少ないとする。この場合、画像ABCが印刷された媒体はベタ画像が印刷された媒体よりも乾燥し易いと言える。
そこで、画像ABCを印刷する場合はベタ画像を印刷する場合に比べて乾燥領域を狭くする。即ち、画像ABCを印刷する場合はベタ画像を印刷する場合に比べて、ホットプラテン41が内蔵するヒータ411のうちの通電するヒータ数と乾燥機構42が内蔵するヒータ421のうちの通電するヒータ数を少なくする。
具体的に説明すると、ベタ画像を印刷する場合も画像ABCを印刷する場合も、ホットプラテン41上では領域Aから領域Fに位置する媒体に画像が印刷されるため、領域Aから領域Fの上に位置する媒体を乾燥させる必要がある。そこで、乾燥し難いベタ画像を印刷する場合には、図8Bに示すように、領域Aから領域Fに位置する6個のヒータ411を全てONにするとよい。即ち、領域Aから領域Fが「乾燥領域」となる。そうすることで、確実に画像を乾燥させることができる。
これに対して、画像ABCを印刷する場合には、媒体が乾燥しやすいため、領域Aから領域Fに位置するヒータ411を交互にONするとよい。例えば、領域Aと領域Cと領域Eに位置するヒータをONし、領域Bと領域Dと領域Fに位置するヒータをOFFする。この場合、領域A,領域C,領域Eが「乾燥領域」となり、この領域上に位置する媒体はよく乾燥する。一方、領域Bと領域Dと領域Fの上に位置する媒体は隣接する領域(領域A,C,E)のヒータの熱によって乾燥することができる。このとき、領域Bと領域Dと領域F上に位置する媒体には、領域Aと領域Cと領域E上に位置する媒体に比べて、ヒータ411の熱の伝わりが弱いが、画像ABCが印刷された媒体はもともと乾燥し易いため、直下の領域のヒータ411が通電していなくとも乾燥させることができる。このように、乾燥しやすい媒体が位置する領域の全てのヒータ411を通電しなくとも、画像を乾燥させることができるため、通電するヒータ数を減らすことで、消費電力を削減できる。
同様に、ベタ画像を印刷する場合も、画像ABCを印刷する場合も、搬送動作にて乾燥機構42の領域(1)から領域(6)に搬送される媒体は未だ乾燥機構42に乾燥されていない媒体部分である。そのため、領域(1)から領域(6)内の媒体を乾燥させる必要がある。そこで、ベタ画像を印刷する場合には、媒体が乾燥し難いため、図8Bに示すように、領域(1)から領域(6)に位置する6個のヒータ411を全てONにする。一方、画像ABCを印刷する場合には、媒体が乾燥し易いため、図8Cに示すように、領域(1)から領域(6)に位置するヒータ411を交互にONするとよい。
以上をまとめると、乾燥し易い媒体を乾燥させる場合には、ホットプラテン41及び乾燥機構42が内蔵するヒータのうち、通電するヒータ数を減らし、乾燥領域を狭くする。乾燥し易い媒体であれば、通電するヒータ数を減らしても近傍の領域のヒータの熱によって媒体を乾燥させることができ、消費電力を削減できる。一方、乾燥し難い媒体では、通電するヒータ数を減らさないことで、確実に媒体を乾燥させることができる。なお、図8Cでは、ヒータを交互にONしているが、これに限らず、乾燥し易い媒体を印刷する場合には2個おきにヒータをONしてもよい。また、通電するヒータ数を減らす場合には、均等にヒータを通電するとよい。例えば、ホットプラテン41上の領域Aから領域Fの全域に亘って、乾燥させる必要のある媒体が位置する場合には、偏った領域(例:領域Aから領域C)のヒータのみがONされるのではなく、図8Cのように、均等にヒータを通電することで、領域Aから領域Fの全域に位置する媒体を乾燥させることができる。
また、画像が印刷された媒体の乾燥のし易さは、媒体への液体吐出量だけでなく、画像を形成する液体(インク)の種類や媒体の種類によっても異なる。例えば、液体の種類によって、媒体に浸透しやすい液体と、媒体に浸透し難い液体とがある。媒体に浸透しやすい液体を用いて画像が形成された媒体は乾燥し易く、媒体に浸透し難い液体を用いて画像が形成された媒体は乾燥し難い。そこで、媒体に浸透しやすい液体を使用する場合には、ホットプラテン41や乾燥機構42が内蔵するヒータのうち、通電するヒータ数を減らし、乾燥領域を狭くするとよい。つまり、画像を印刷する液体の種類に基づいて乾燥領域の大きさを変化させることで、消費電力を削減できる。
また、媒体の種類によって、媒体上に着弾した液体(インク)を吸収し易い媒体と、媒体上に着弾した液体を吸収し難い媒体とがある。液体を吸収し易い媒体は、液体が媒体に浸透しやすく、乾燥しやすい。一方、液体を吸収し難い媒体は、液体が媒体に浸透し難く、乾燥し難い。そこで、液体を吸収しやすい媒体を使用する場合には、ホットプラテン41や乾燥機構42が内蔵するヒータのうち、通電するヒータ数を減らし、乾燥領域を狭くするとよい。つまり、連続媒体の種類に基づいて乾燥領域の大きさを変化させることで、消費電力を削減できる。
つまり、この調整例2では、画像が印刷された媒体の乾燥に影響する要素である「最大液体吐出量」、「媒体の種類」、「液体の種類」の何れか、又は、すべてを考慮して、乾燥領域の大きさを決定する(通電するヒータ数を決定する)。そして、画像が形成された媒体が乾燥し易い場合には、通電するヒータ数を減らし、乾燥領域を狭くすることで、消費電力を削減できる。
また、画像が印刷された媒体の乾燥し易さに限らず、媒体の種類によっては、ヒータの熱に弱い媒体がある。例えば、フィルムなどを過度に加熱すると変形してしまう。そこで、熱に弱い媒体を使用する場合には、乾燥のし易さに関わらずに、乾燥領域を狭くしてもよい(通電するヒータ数を削減してもよい)。その分だけ乾燥時間を長く設けるなどすれば、消費電力を削減でき、高品質の印刷物を製造できる。
===第2実施形態===
図9Aは、第2実施形態にて印刷する画像を示す図である。この第2実施形態では、複数の画像が重ねて印刷された印刷物を製造する。媒体上に最初に印刷される画像は、白インクを塗布することによって形成される矩形の画像(以下「白画像」)である。また、白画像の上に重ねて印刷される画像は、「ABC」という文字画像(以下、「画像ABC」)である。なお、図中の媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材(基材)と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
図9B及び図9Cは、複数の画像を重ねて印刷する印刷物の他の例を示す図である。複数の画像を重ねて印刷する印刷物は、図9Aに示す印刷物に限らない。例えば、図9Bは白画像と画像ABCを印刷する順序が異なっている。この印刷物は、印刷物の剥離部材(画像が印刷されない側)を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室外側からシール部材越しに文字「ABC」が見える。そのため、画像ABCは鏡像になっている。また、図9Cに示すように、白画像ではない画像の上に画像ABCを印刷した印刷物でもよい。例えば、媒体上に最初に印刷される画像が、液体の吸収を促進するような定着材を塗布することによって形成される矩形の下地画像であってもよい。
このように複数の画像を重ねて印刷する場合に(以下では図9Aの印刷物を例に挙げて説明する)、もし最初に印刷された白画像が乾燥しないうちに次の画像ABCを印刷してしまったら、画像ABCが滲んでしまい、画質の悪い印刷物が製造されてしまう。そのため、本実施形態では、白画像を印刷してから、その白画像上に画像ABCが印刷されるまでの間に、白画像が乾燥するための時間を設ける。
また、本実施形態では、プリンタ1が複数種類の印刷モード(第1印刷モード・第2印刷モード)にて印刷を行うとする。そして、コンピュータ110が、コンピュータ110にインストールされたプリンタドライバに従って、第1印刷モードと第2印刷モードのいずれかを選択する。まず、第1印刷モードと第2印刷モードについて説明する。
<第1印刷モード>
図10は、第1印刷モードの説明図である。第1印刷モードでは、まず、1回目の印刷動作にて、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、6個の「白画像」を印刷領域の領域A〜F(の媒体)にそれぞれ印刷する。次に、プリンタ1は、媒体上に印刷された白画像が乾燥するまで所定の時間待機する(待機動作)。その後、プリンタ1は、2回目の印刷動作にて、ヘッド31を移動方向に移動させながら、6個の「画像ABC」を領域A〜Fにそれぞれ印刷する。その結果、画像ABCは白画像の上に重ねて印刷され、図9Aに示す印刷物が媒体上に6個印刷される。なお、2回目の印刷動作時に、領域Bに搬送動作に使用するマークも印刷される。
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、6個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する。領域Bに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、6個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われるとする。この「搬送動作」によって、未だ画像の印刷されていない媒体が印刷領域に搬送され、再び、印刷動作にて画像を印刷する。
以上をまとめると、第1印刷モードでは、プリンタ1は、奇数回目の印刷動作(例:1回目の印刷動作)にて、6個の白画像を印刷領域の各領域A〜Fにそれぞれ印刷し、待機動作にて白画像を乾燥させ、偶数回目の印刷動作(例:2回目の印刷動作)にて、6個の画像ABCを印刷領域の各領域A〜Fにそれぞれ印刷する。その結果、図9Aに示すような印刷物が媒体上に6個印刷される。ここで、奇数回目の印刷動作と待機動作と偶数回目の印刷動作とを合わせて「画像形成動作」とする。そして、プリンタ1は、「搬送動作」として6個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送し、未だ印刷されていない媒体部分が印刷領域に搬送され、その媒体部分に対して「画像形成動作」を行う。このような「画像形成動作」と「搬送動作」を交互に繰り返すことによって、1回の画像形成動作のたびに6個の印刷物が完成し、媒体上に等間隔に多数の印刷物が印刷される。
<第2印刷モード>
図11は、第2印刷モードの説明図である。第2印刷モードでは、まず、1回目の「印刷動作」にて、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、印刷領域の領域A〜領域Cにそれぞれ「白画像」を印刷し、領域Aから領域Cよりも搬送方向の下流側の領域D〜領域Fにそれぞれ「画像ABC」を印刷する。なお、領域Eに搬送動作に使用されるマークが印刷される。
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、「搬送動作」として、3個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する。前述の1回目の印刷動作の際に領域Eに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われるとする。この搬送動作によって、1回目の印刷動作にて領域Aから領域Cに印刷された白画像が領域Dから領域Fに搬送され、未だ画像が印刷されていない媒体部分が領域Aから領域Cに搬送される。
そして、搬送動作後の2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Cの媒体にそれぞれ白画像を印刷し、領域D〜領域Fの媒体にそれぞれ画像ABCを印刷し、領域Eにマークを印刷する。その結果、2回目の印刷動作によって、領域D〜領域Fでは、1回目の印刷動作で印刷された白画像の上に画像ABCが印刷される。その結果、印刷物(図9A)が3個完成する。第2印刷モードでは、プリンタ1が「印刷動作」と「搬送動作」を交互に繰り返す。
ところで、第1印刷モードでは、白画像を印刷し、白画像を乾燥させる時間を設けた後に、画像ABCを重ねて印刷する。これに対して、第2印刷モードでは、領域Aから領域Cに白画像を印刷した後に、その白画像を領域Dから領域Fに搬送する間に、白画像を乾燥させることができる。即ち、第2印刷モードでは、第1印刷モードのように白画像の乾燥させるためだけの時間(待機動作)を設けなくとも、画像が滲むことを防止できる。つまり、第2印刷モードでは、搬送動作が白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。但し、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送時間が白画像の乾燥時間以上であるとする。
以上をまとめると、第2印刷モードでは、プリンタ1は、「印刷動作」にて、3個の白画像を領域A〜領域Cの媒体にそれぞれ印刷し、3個の画像ABCを領域D〜領域Fの媒体にそれぞれ印刷する。そして、プリンタ1は、「搬送動作」にて、3個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する。このような「印刷動作」と「搬送動作」を交互に繰り返すことによって、1回の印刷動作のたびに3個の印刷物が完成し、媒体上に等間隔に多数の印刷物が印刷される。
<印刷モードの選択例>
本実施形態では、複数の画像を重ねて印刷する場合に、コンピュータ110が第1印刷モードと第2印刷モードのうちの印刷処理時間の短い方の印刷モードを選択する。以下、各印刷モードの印刷処理時間について説明する。ここで、第2印刷モードにおける1回の搬送動作の媒体の搬送量(3個の印刷物に相当する媒体長さ)は、第1印刷モードにおける1回の搬送動作の媒体の搬送量(6個の印刷物に相当する媒体長さ)よりも短い。そのため、以下の説明では、第2印刷モードの搬送時間tcは第1印刷モードの搬送時間Tcよりも短いとする(tc<Tc)。また、白画像を印刷してから画像ABCを印刷するまでに必要な乾燥時間Td(待機動作の時間)は、第1印刷モードも第2印刷モードも同じ時間であるとする。また、第1印刷モード(奇数回と偶数回の両方)も第2印刷モードも、1回の印刷動作で6個の画像を印刷するため、1回の印刷動作に必要な時間Tpは等しいとする。
図12Aは、乾燥時間Tdが第1印刷モードの搬送時間Tcよりも短い場合(Td<Tc)の印刷処理時間の説明図である。図は6個の印刷物を製造するために必要な印刷処理時間を示している。また、第2印刷モードの搬送時間tcは、第1印刷モードの搬送時間Tcよりも短く、乾燥時間Tdとほぼ同程度とする。この場合、図12Aに示すように、第2印刷モードでは、搬送動作中に白画像を乾燥させることができ、第1印刷モードのように白画像を乾燥させるためだけの時間がなくなるため、印刷処理時間を短くできる。なお、乾燥時間Tdが第1印刷モードの搬送時間Tcよりも短い場合であっても、第1印刷モードの搬送時間Tcと第2印刷モードの搬送時間tcの差が小さく、第2印刷モードの搬送時間tcが乾燥時間Tdよりも長いと(不図示)、第1印刷モードの方が第2印刷モードよりも印刷処理時間が短くなる場合がある。このように乾燥時間や搬送時間の関係により各印刷モードの印刷処理時間が異なってくる。
図12Bは、乾燥時間Tdと第1印刷モードの搬送時間Tcが同じ場合(Td=Tc)の印刷処理時間の説明図である。この場合、図示するように、第1印刷モードの印刷処理時間と第2印刷モードの印刷処理時間は等しい。そのため、どちらの印刷モードにて印刷物を印刷しても、印刷処理時間は同じである。
図12Cは、乾燥時間Tdが第1印刷モードの搬送時間Tcよりも長い場合(Td>Tc)の印刷処理時間の説明図である。この場合、第1印刷モードは、搬送時間Tcよりも長い乾燥時間Tdを1回分だけ必要とするのに対して、第2印刷モードは、搬送時間tcよりも長い乾燥時間Tdを2回分必要とする。このように、乾燥時間Tdが第1印刷モードの搬送時間Tcよりも長いと、第2印刷モードの搬送動作中だけでは白画像を乾燥させることができず、搬送動作後に白画像を乾燥させるためだけの時間を長く設けなければならない。その結果、乾燥時間Tdと第1印刷モードの搬送時間Tcの差分だけ、第2印刷モードの方が第1印刷モードよりも印刷処理時間が長くなってしまう。
このように、同じ印刷物を製造する場合であっても、乾燥時間Tdや搬送時間Tc,tcの関係によって、印刷処理時間が短くなる方の印刷モードが異なる。そこで、本実施形態では、コンピュータ110が、印刷処理時間が短くなる方の印刷モードを選択し、その印刷モードにて印刷物が製造されるとする。
なお、印刷モードの選択は乾燥時間以外の種々の要因によって選択されてもよい。例えば、第1印刷モードでは、図10の白画像と文字画像の印刷データを必要とするのに対して、第2印刷モードでは、図11の1回目の印刷動作の印刷データを繰り返し印刷するだけでよく、印刷データの量を少なくできる。そこで、メモリ容量や印刷データの容量、CPUなどの印刷装置の制御部の能力によって、印刷モードを選択してもよい。また、ユーザーの入力によって印刷装置が印刷モードを選択してもよい。
<乾燥領域の調整例>
複数の画像を重ねて印刷する場合、本実施形態のプリンタ1では、種々の印刷条件に基づいて、第1印刷モードと第2印刷モードのうちの一方の印刷モードが選択される。印刷モードが異なると、ホットプラテン41及び乾燥機構42の乾燥領域の大きさや位置も異なる。以下、印刷モードの違いによる乾燥領域の調整例について説明する。
まず、第1印刷モードにて印刷する場合には、図10に示すように、領域Aから領域Fに白画像が印刷される。そして、待機動作後に、白画像上に画像ABCが重ねて印刷される。この画像ABCを重ねて印刷する際に白画像が乾燥していないと、画像が滲んでしまう。そこで、ホットプラテン41が内蔵するヒータ411を通電し、白画像が印刷された媒体の乾燥を促進させて画像の滲みを防止する。第1印刷モードでは、1回の画像形成動作にて、領域Aから領域Fの各領域に白画像が印刷される。ゆえに、領域Aから領域Fに位置する媒体が乾燥させる必要のある媒体部分であり、領域Aから領域Fの各領域に位置する6個のヒータ411を通電する。そうすることで、画像の滲みを防止できる。
一方、第2印刷モードにて印刷する場合には、図11に示すように、領域Aから領域Cに白画像が印刷される。そして、搬送動作にて、白画像が印刷された媒体部分が下流側の領域(領域Dから領域F)に搬送され、白画像上に画像ABCが重ねて印刷される。即ち、第2印刷モードでは、領域Aから領域Cの3つの領域に白画像が印刷されるため、領域Aから領域Cに位置する媒体が乾燥させる必要のある媒体部分となる。そこで、領域Aから領域Cの3つの領域に位置する3個のヒータ411を通電し、領域Dから領域Fの3つの領域に位置するヒータ411をOFFするとよい。領域Aから領域CのヒータがONしていれば、領域Aから領域Cに白画像が印刷されつつ、印刷された白画像の乾燥が促進され、画像の滲みを防止できる。一方、領域Dから領域Fのヒータ411がOFFしていても、領域Dから領域Fにて印刷される「画像ABC」は、印刷領域の下流側に位置する乾燥機構42にて乾燥させることができるため、印刷領域内にて「画像ABC」が乾燥しきれていなくとも問題ないと言える。
このように、複数の画像を重ねて印刷する場合には、画像が滲まないように、先に印刷される画像(下層の画像、白画像)を印刷領域内にてよく乾燥させる必要がある。そこで、本実施形態のプリンタ1のように、ホットプラテン41が内蔵する複数のヒータ411を個別にON・OFF制御できるようにして、下層の画像が印刷される領域のヒータ411をONするとよい。例えば、第2印刷モードのように1回の印刷動作にて上層の画像(画像ABC)と下層の画像(白画像)が印刷される場合には、下層の画像が印刷される領域のヒータ411をONし、上層の画像が印刷される領域のヒータ411をOFFするとよい。そうすることで、画像の滲みを防止でき、且つ、消費電力を削減できる。つまり、印刷モードに応じて、ホットプラテン41上における乾燥領域の大きさと位置を調整することで、消費電力を削減できる。
なお、白画像が印刷された媒体が乾燥し難い場合には、画像ABCが印刷される領域(領域Dから領域F)のヒータ411をONしてもよい。そうすることで、白画像が印刷された媒体部分が領域Dから領域Fに搬送された後に、領域Aから領域Cの媒体に白画像が印刷されている間に、領域Dから領域Fに位置する白画像が印刷された媒体の乾燥が促進するからである。
図13Aは、第1印刷モードにて印刷する場合の乾燥領域の大きさと位置を示し、図13Bは、第2印刷モードにて印刷する場合の乾燥領域の大きさと位置を示す図である。第1印刷モードにて印刷する場合には、1回の画像形成動作にて、図10に示すように、6個の印刷物が完成する。そのため、1回の搬送動作における搬送量は6個の印刷物の長さに相当する。ゆえに、搬送動作により、未だ乾燥されていない媒体部分が乾燥機構42の領域(1)から領域(6)に搬送される。また、1回の搬送動作における搬送量が最大加熱範囲に相当するため、ある搬送動作にて乾燥機構42に搬送された媒体部分は、次の搬送動作では乾燥機構42外へ搬送されてしまう。そこで、第1印刷モードにて印刷する場合には、領域(1)から領域(6)の6個のヒータ421をONするとよい。そうすることで、画像が印刷された媒体部分を確実に乾燥させることができ、媒体を汚してしまうことを防止できる。
一方、第2印刷モードにて印刷する場合には、図11に示すように、1回の画像形成動作にて3個の印刷物が完成する。そのため、1回の搬送動作における搬送量は3個の印刷物の長さに相当し、搬送動作により、未だ乾燥されていない媒体が乾燥機構42の領域(1)から領域(3)に搬送される。なお、印刷領域と乾燥機構42の間が離れているが(図2)、ここでは、搬送動作により未だ乾燥されていない媒体部分が領域(1)から領域(3)に搬送されるように設定されているとする。そして、領域(4)から領域(6)に搬送された媒体部分は、搬送動作前には領域(1)から領域(3)に位置していた媒体となる。そこで、第2印刷モードにて印刷する場合には、領域(1)から領域(3)の3個のヒータ411をONし、領域(4)から領域(6)のヒータをOFFするとよい。
そうすると、搬送動作にて領域(1)から領域(3)に搬送された媒体部分(N回目の画像形成動作にて印刷された媒体)がヒータ421の熱により乾燥される。一方、領域(4)から領域(6)に位置するヒータ421はOFFされているため、搬送動作により領域(4)から領域(6)に搬送された媒体部分(N−1回目の画像形成動作にて印刷された媒体部分)はヒータ421により乾燥が促進されることはない。しかし、領域(4)から領域(6)に搬送された媒体部分は、搬送動作前には領域(1)から領域(3)に位置しており、領域(1)から領域(3)のヒータ421により乾燥が促進されているため、領域(4)から領域(6)には既に乾燥された媒体部分が位置する。そのため、領域(4)から領域(6)のヒータ421がOFFしていても問題ないと言える。逆に、領域(4)から領域(6)のヒータをONしていると、領域(4)から領域(6)に位置した媒体部分は、既に乾燥しているにも関わらず、ヒータ421にて加熱されることになり、無駄に電力が消費されてしまう。即ち、1回の搬送動作により、乾燥機構42の外部から乾燥機構42へ搬送される媒体部分が位置する領域のヒータ421だけONするとよい。そうすることで、第2印刷モードにて印刷する場合には、第1印刷モードにて印刷する場合に比べて、消費電力を削減できる。
以上をまとめると、白画像(第1の画像)と画像ABC(第2の画像)を重ねて印刷する場合に、搬送量は、1回の印刷動作にて媒体に白画像が搬送方向に並んで印刷される数と白画像の搬送方向の長さとに基づいて決定する。そのため、印刷モードによって、1回の搬送動作における搬送量が異なり、乾燥機構42内に位置する媒体のうち、乾燥させる必要のある媒体の大きさが異なる。そこで、本実施形態のプリンタ1のように、乾燥機構42が内蔵する複数のヒータ421を個別にON・OFF制御できるようにして、印刷モードに応じて、乾燥領域の大きさと位置を調整する。つまり、第1印刷モードを選択した場合の乾燥領域の大きさよりも第2印刷モードを選択した場合の乾燥領域の大きさを小さくすることで、消費電力を削減できる。
また、複数の画像を重ねて印刷する場合においても、印刷モードに応じて乾燥領域を調整するだけに限らず、前述の第1実施形態の調整例2に示しているように媒体の乾燥のし易さによって、乾燥領域を調整してもよい。例えば、第2印刷モードにて印刷された媒体が乾燥しやすい場合には、乾燥機構42やホットプラテン41において、通電するヒータ421数を3個よりもさらに少なくしてもよい。そうすることで、更に、消費電力を削減できる。
また、この第2実施形態では、1回の印刷動作にて6個の画像が印刷される場合を例に挙げているため、第1印刷モードにて印刷される場合には、ホットプラテン41及び乾燥機構42の全てのヒータをONにしている。しかし、第1印刷モードにて複数の画像を重ねて印刷する場合にも、画像の大きさにより、1回の印刷動作にて印刷される媒体の大きさが異なるため、必ずしも6個のヒータがONされるとは限らない。
<変形例>
この第2実施形態では、複数の画像を重ねて印刷する場合に、プリンタ1は、第1印刷モードと第2印刷モードのうちのいずれかの印刷モードを選択している。しかし、これに限らず、複数の画像を重ねて印刷する場合に、プリンタ1が第2印刷モードにて印刷するとしてもよい。このようなプリンタによれば、同じ大きさの画像を印刷するとしても、複数の画像を重ねて印刷しない場合には、図6Bや図7Bに示すように、搬送量が6個の画像の長さに相当し、ホットプラテン41及び乾燥機構42の全ての領域のヒータをONするとよい。一方、複数の画像を重ねて第2印刷モードにて印刷する場合には、図11や図13Bに示すように、搬送量が3個の画像の長さに相当し、ホットプラテン41及び乾燥機構42の各3個の領域のヒータをONするとよい。
つまり、同じ大きさの画像を印刷するとしても、画像を重ねずに印刷する場合と画像を重ねて印刷する場合では、搬送量が異なり、乾燥させる必要のある媒体の大きさが異なる。そのため、本実施形態のプリンタ1のように、ホットプラテン41や乾燥機構42のヒータ411,421を個別にON・OFF制御できるようにし、乾燥領域の大きさと位置を調整することで、消費電力を削減できる。
===第3実施形態===
図14Aから図14Cは、3つの画像を重ねた印刷物の例を示す図である。図14Aに示す印刷物は、媒体上に最初に鏡像ABCを印刷し、その上に白画像を印刷し、最後に「XYZ」という文字画像を印刷して得られる。このように鏡像ABCと画像XYZの間に白画像が形成される印刷物によれば、窓などに貼ると、室外側から文字「ABC」を見たときに画像XYZは見えず、室内側から文字「XYZ」を見たときに画像「ABC」は見えない。図14Bに示す印刷物は、媒体上に最初に白画像を印刷し、次に画像ABCを印刷し、その上にコーティング剤を塗布する印刷物である。このような印刷物によれば、白画像や画像ABCの光沢性を向上させる作用や耐水性を向上させる作用などがある。また、図14Cに示すように、1層目の白画像の上に更に白画像を重ねて、画像ABCを印刷する印刷物であっても良い。こうすることで、背景用の白画像を濃く印刷でき、文字「ABC」が見やすくなる。
本実施形態のプリンタ1は、このように3つの画像を重ねて印刷する場合にも、前述の第2実施形態に示しているように、第1印刷モードと第2印刷モードの何れの印刷モードでも印刷できるとする。例えば、図14Aに示す印刷物を第1印刷モードにて印刷する場合には、領域Aから領域Fに鏡像の画像ABCを印刷した後に待機動作を設け、その上に白画像を印刷し、待機動作を設け、更にその上に画像XYZを印刷する。そのため、ホットプラテン41上において、領域Aから領域Fに位置する媒体を乾燥させる必要があるため、領域Aから領域Fの6個のヒータ411をONすることで、画像の滲みを防止できる。また、1回の搬送動作にて6個の印刷物に相当する長さの媒体(最大加熱範囲の長さと等しい媒体)が搬送されるため、乾燥機構42の領域(1)から領域(6)の6個のヒータ421をONするとよい。
図15は、第2印刷モードにて印刷する場合のホットプラテン41と乾燥機構42の乾燥領域を示す。説明の簡略のため、ホットプラテン41上の印刷領域と乾燥機構42の加熱範囲を共通の図として示している。図14Aに示す印刷物を第2印刷モードにて印刷する場合には、1回の印刷動作にて、領域Aと領域Bに鏡像の画像ABCを印刷し、領域Cと領域Dに白画像を印刷し、領域Eと領域FにXYZ画像を印刷する。そして、この印刷動作と搬送動作を繰り返す。そのため、ホットプラテン上において、下層となる画像である鏡像の画像ABCと白画像とが印刷される領域Aから領域Dのヒータ411をONし、領域Eと領域Fのヒータ411をOFFするとよい。そうすることで、画像が滲むことなく、消費電力を削減できる。また、3個の画像を重ねて第2印刷モードにて印刷する場合、1回の搬送動作にて2個の印刷物に相当する長さの媒体が搬送される。そのため、乾燥機構42の領域(1)と領域(2)のヒータ421をONし、領域(3)から領域(6)のヒータ421をOFFするとよい。領域(3)から領域(6)に位置する媒体は、領域(1)か領域(2)に位置している間に乾燥されているため、領域(3)から領域(6)のヒータ421をOFFしていても問題ないと言える。
このように、3つの画像を重ねて印刷する場合にも、印刷モードに応じて乾燥領域の大きさや位置を調整することで、画像が印刷された媒体を確実に乾燥させることができ、且つ、消費電力を削減できる。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<液体吐出装置について>
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
<乾燥ユニットについて>
前述のプリンタは、ホットプラテン41と乾燥機構42の2つを有するがこれに限らず、例えば、どちらか一方を有するプリンタでもよい。また、ホットプラテン41及び乾燥機構42は、媒体上の印刷画像や印刷物を乾燥させることができる装置であれば良く、ヒータによる加熱に限らず、例えば温風、赤外線、UV、マイクロ波などの電磁波を媒体に付与するような乾燥装置であってもよく、乾燥領域ごとに乾燥機能のON・OFFができるものであればよい。また、温風を媒体に当てることで媒体を乾燥させる装置の場合は、温風の吹出口を複数に分け、乾燥させる必要のある媒体の大きさに応じて、領域ごとに温風を吹き出す吹出口を決定するものでもよい。
<乾燥部について>
前述の実施形態では、乾燥部であるホットプラテン41および乾燥機構42がそれぞれ6個のヒータを有するとし、6個の領域に分けて説明しているが、これに限らず、6個以上や6個以下の乾燥領域でもよい。
<印刷装置について>
前述の実施形態では、コンピュータ110が印刷データを作成し、印刷データと共に搬送量などのデータをプリンタ1に送信する。そして、プリンタ1内のコントローラ60がホットプラテン41および乾燥機構42のヒータのON・OFF制御している。そのため、コントローラ60がコンピュータ110からのデータに基づいて、通電するヒータを決定している場合にはプリンタ1単体が印刷装置に相当し、コンピュータ110が通電するヒータを決定する場合には、コンピュータ110とプリンタ1が接続されたシステムが印刷装置に相当する。また、プリンタ1のコントローラ60が印刷データを作成したり、印刷モードを選択したりしてもよく、この場合にはプリンタ1単体が印刷装置に相当する。
<プリンタについて>
前述のプリンタでは、キャリッジを搬送方向に1回移動させることによって、印刷領域の全面に1回の印刷動作(画像形成動作)を行うことが可能である。但し、このようなプリンタに限られるものではなく、キャリッジの複数回の移動によって1回の印刷動作(画像形成動作)を行うものでも良い。また、印刷領域上でキャリッジを2次元的に移動させて、印刷領域に1回の印刷動作(画像形成動作)を行うようなプリンタであっても良い。このようなプリンタの場合、前述のプリンタと比べて、印刷動作に時間がかかるものの、例えば、ヘッドの大きさを小さくすることもできる。
<画像について>
前述の実施形態では、透明なフィルム等の媒体上に背景用の画像として白インクの画像を印刷し、その上に文字画像(ABC)を印刷しているが、背景用の画像は、白色に限られない。また、背景用の画像、下地画像、コーティング画像等のような下塗り画像は矩形であったが、矩形に限られるものではなく、その他の形状であっても良い。また、インク吸収性や光沢性や耐水性を向上させる加工を行うために下地画像やコーティング画像が形成されているが、加工を行うための加工用画像は前述の下地画像やコーティング画像に限られるものではない。例えば、加工用画像は、接着層を形成するための接着層用画像であっても良いし、スクラッチカード(コインで銀色の隠蔽層を削ると画像が現れるカード)の隠蔽層を形成するための隠蔽層用画像であっても良い。また、重ねて印刷する2つの画像はどのような画像の組み合わせであっても良い。