JP5277536B2 - 耐熱性膨張黒鉛シート及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性膨張黒鉛シート及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性や耐酸化消耗性に優れた耐熱性膨張黒鉛シート及びその製造方法に関する。
特公昭54−30678号公報 特許第3430243号掲載公報
膨張黒鉛シートは、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛等の黒鉛を、濃硫酸、濃硝酸、濃硫酸と塩素酸カリウム、濃硫酸と硝酸カリウム又は過酸化水素等の強酸化剤、臭素若しくは塩化アルミニウム等のハロゲン化物で処理することにより層間化合物を形成し、この層間化合物が形成された黒鉛粒子(酸処理黒鉛)を急激に加熱処理、例えば950℃以上の高温で1〜10秒間加熱処理して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張させて膨張黒鉛粒子を形成し、この膨張黒鉛粒子を結合剤の存在下で又は不存在下で圧縮成形又はロール成形して製造される。このように製造された膨張黒鉛シートは、例えばガスケット、断熱材、クッション材等の広い分野において使用されている。
膨張黒鉛シートに使用される膨張黒鉛粒子において、その膨張倍率が低いもの、例えば20〜70倍程度の膨張黒鉛粒子では、結合剤の不存在下でのシート化が困難で結合剤を用いる必要があり、この結合剤の使用による純度の低下及び各種物性の低下という問題がある。
これに対し、膨張倍率が高いもの、例えば200〜300倍程度の膨張黒鉛粒子では、結合剤の不存在下でのシート化が可能であるため、純度が高く、各種物性が優れたものとなる。したがって、現在膨張黒鉛シートの製造には、通常高膨張倍率の膨張黒鉛粒子が使用されている。
しかしながら、従来の膨張黒鉛シートにおいては、空気中、とくに700℃以上の高温での空気中において、耐熱性に問題があり、結果として黒鉛の酸化消耗を惹起するという、所謂酸化消耗率が高いという致命的な欠点がある。
この欠点を解消するものとして、20〜70倍程度の膨張倍率の低い膨張黒鉛粒子に燐酸又は燐酸塩の酸化抑制処理を施した膨張黒鉛シート(特許文献1所載)又は200〜300倍程度の高膨張倍率の膨張黒鉛粒子に燐酸及び燐酸塩の酸化抑制処理を施した膨張黒鉛シート(特許文献2所載)が提案されている。
特許文献1の記載によれば、燐酸又は燐酸塩を使用することにより、結合剤なしで低膨張率の膨張黒鉛粒子を用いてシート化できるとされているが、たとえシート化できても基本的に結合剤を用いていないので膨張黒鉛シートとしての各種物性、特に機械的特性、シートの均一性等が満足できるものではない。しかも、耐酸化性が向上するとされているが、これも不充分で、特に長時間暴露した場合は、酸化消耗が激しく、決して満足のいくものではない。一方、特許文献2に記載の膨張黒鉛シートは、700℃程度までの空気中においては低い酸化消耗率を有して十分な耐熱性を有するが、700℃を超える高温領域においては耐久性について十分に満足し得るものとして要求される酸化消耗率を未だ有していないという問題がある。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、700℃程度までは勿論のこと、700℃を超える高温領域においても耐久性について十分に満足し得るものとして要求される耐熱性及び耐酸化消耗性を有する膨張黒鉛シート及びその製造方法を提供することにある。
本発明の耐熱性膨張黒鉛シートは、膨張黒鉛を主成分とし、これに五酸化燐及び燐酸塩と、ホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とが分散含有されてなる。
斯かる耐熱性膨張黒鉛シートによれば、五酸化燐及び燐酸塩とホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とにより耐熱性が付与されていると共に酸化抑制作用により700℃を超える高温領域での使用においても酸化消耗が十分に低減される。
本発明の耐熱性膨張黒鉛シートにおいて、五酸化燐及び燐酸塩は、膨張黒鉛に対して酸化抑制作用を付与するものである。そして、五酸化燐は0.5〜8重量%の割合で分散含有されているのがよく、また燐酸塩は1〜10重量%の割合で分散含有されているのがよい。
燐酸塩としては、第一燐酸リチウム、第二燐酸リチウム、第一燐酸カルシウム、第二燐酸カルシウム、第一燐酸アルミニウム及び第二燐酸アルミニウムのうちのいずれか一つから選択されたものが分散含有されているのがよい。
ホウ素化合物又はイットリウム化合物は、五酸化燐及び燐酸塩の酸化抑制作用をさらに助長する効果を有するものであり、それぞれ単独で分散含有されてもよく、両者が同時に分散含有されてもよい。そして、ホウ素化合物は、酸化ホウ素及び燐酸ホウ素からなって、0.1〜1.5重量%の割合で分散含有されているのがよく、またイットリウム化合物は、酸化イットリウム及び燐酸イットリウムからなって、0.5〜5.0重量%の割合で分散含有されているのがよい。
本発明の耐熱性膨張黒鉛シートの製造方法は、黒鉛粉末を強酸で処理した酸処理黒鉛粉末に、燐酸水溶液及び燐酸塩水溶液とホウ酸及び塩化イットリウムのうちの少なくとも一方とを混合した溶液を噴霧してこれらを攪拌して配合し、当該溶液が配合された酸処理黒鉛粉末を950〜1200℃の温度で200〜300倍に膨張化させたのちシート化することを含み、製造された耐熱性膨張黒鉛シートには、0.5〜8重量%の割合の五酸化燐及び1〜10重量%の割合の燐酸塩と、0.1〜1.5重量%の割合のホウ素化合物及び0.5〜5.0重量%の割合のイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とが分散含有されている。
斯かる耐熱性膨張黒鉛シートの製造方法によれば、燐酸は脱水反応によって五酸化燐(P)を生成し、燐酸塩は構造式中の水が脱離し、ホウ酸は酸化ホウ素(B)及び燐酸ホウ素(BPO)などのホウ素化合物を生成し、塩化イットリウムは酸化イットリウム(Y)及び燐酸イットリウム(YPO)などのイットリウム化合物を生成する。
そして、製造された膨張黒鉛シートに、0.5〜8重量%の割合の五酸化燐及び1〜10重量%の割合の燐酸塩と、0.1〜1.5重量%の割合のホウ素化合物及び0.5〜5.0重量%の割合のイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とが分散含有される。
本発明によれば、膨張黒鉛シートに分散含有された五酸化燐及び燐酸塩とホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とにより耐熱性が付与されていると共に、五酸化燐及び燐酸塩とホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方との酸化抑制作用が付与されているので、700℃を超える高温領域に長時間暴露した場合においても、空気中での酸化消耗率が低く、高温条件下での各種用途に適用可能な耐久性に優れた耐熱性膨張黒鉛シート及びその製造方法を提供することができる。
次に本発明の好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
本発明の耐熱性膨張黒鉛シートは、膨張黒鉛を主成分とし、これに五酸化燐及び燐酸塩と、ホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とが分散含有されているものである。
そして、耐熱性膨張黒鉛シートにおける含有量は、五酸化燐が0.5〜8重量%であって、燐酸塩が1〜10重量%であり、そして、ホウ素化合物が0.1〜1.5重量%であるか、又はホウ素化合物の0.1〜1.5重量%に代えて若しくはホウ素化合物の0.1〜1.5重量%に加えてイットリウム化合物が0.5〜5.0重量%である。
耐熱性膨張黒鉛シートにおいて、五酸化燐の含有量が0.5重量%未満では、耐熱性膨張黒鉛シートの酸化消耗率を低下させることができず、また8重量%を超えて含有させても酸化消耗率の低下に効果が認められない。また、燐酸塩の含有量が1重量%未満では、耐熱性膨張黒鉛シートの酸化消耗率の低下に効果が認められず、また10重量%を超えて含有すると該膨張黒鉛シートを硬くする傾向が現れ、該膨張黒鉛シートが具有する可撓性を阻害することになる。
耐熱性膨張黒鉛シートにおいて、ホウ素化合物としての酸化ホウ素及び燐酸ホウ素の含有量が0.1重量%未満では五酸化燐及び燐酸塩によって付与された酸化抑制作用の効果を助長することができず、また1.5重量%を超えて含有すると燐酸塩の作用と同様、膨張黒鉛シートを硬くする傾向が現れ、膨張黒鉛シートが具有する可撓性を阻害することになる。
耐熱性膨張黒鉛シートにおいて、イットリウム化合物としての酸化イットリウム及び燐酸イットリウムの含有量が0.5重量%未満では、ホウ素化合物の作用と同様、五酸化燐及び燐酸塩によって付与された酸化抑制作用の効果を助長することができず、また5.0重量%を超えて含有すると、やはり燐酸塩及びホウ素化合物の作用と同様、膨張黒鉛シートを硬くする傾向が現れ、膨張黒鉛シートが具有する可撓性を阻害することになる。
耐熱性膨張黒鉛シートでは、膨張黒鉛に五酸化燐及び燐酸塩とホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とにより耐熱性が付与されていると共に酸化抑制作用により700℃を超える高温領域、例えば750℃の高温領域の使用においても酸化消耗が低減される。
次に、耐熱性膨張黒鉛シートの製造方法について説明する。
酸処理黒鉛粒子の作製
酸処理黒鉛粒子は、黒鉛を常法に従って硫酸と酸化剤とで処理し、常法に従って乾燥させたものである。詳細に説明すれば、次のとおりである。濃度98%の濃硫酸を撹拌しながら、酸化剤として過酸化水素の60%水溶液を加え、これを反応液とする。この反応液を冷却して10℃の温度に保持し、この反応液に30〜80メッシュの粒度を呈する鱗片状天然黒鉛粉末を添加し、30分間反応を行う。反応後、吸引濾過して酸処理黒鉛を分離し、該酸処理黒鉛を300重量部の水で10分間撹拌して吸引濾過するという洗浄作業を2回繰り返し、酸処理黒鉛から硫酸分を十分除去する。ついで、硫酸分を十分除去した酸処理黒鉛を110℃の温度に保持した乾燥炉で3時間乾燥することにより酸処理黒鉛粒子が製作される。
酸処理に供される黒鉛としては、鱗片状天然黒鉛のほかにキッシュ黒鉛、熱分解黒鉛等を挙げることができる。
酸処理黒鉛粒子に均一に配合される燐酸としては、オルト燐酸(HPO)、メタ燐酸(HPO)、ポリ燐酸、具体的にはピロ燐酸(H)、トリポリ燐酸(H10)等の鎖状縮合燐酸、ポリメタ燐酸、具体的にはトリメタ燐酸、テトラメタ燐酸等の環状縮合燐酸から選択され、通常水溶液の形態で使用される。
酸処理黒鉛粒子に均一に配合される燐酸塩としては、第一燐酸塩及び第二燐酸塩が使用され、中でもアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましく、とくにリチウム及びカルシウムが好ましい。また金属塩として、アルミニウム塩を使用することもできる。具体的には、第一燐酸リチウム(LiHPO)、第二燐酸リチウム(LiHPO)、第一燐酸カルシウム〔Ca(HPO〕、第二燐酸カルシウム(CaHPO)、第一燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕、第二燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕が挙げられ、これら燐酸塩は水溶液の形態で使用される。
酸処理黒鉛粒子に均一に配合されるホウ素としては、ホウ酸(HBO)の水溶液の形態、あるいは鱗片状の結晶粉末の形態で使用される。具体的には、ホウ酸飽和水溶液を燐酸及び燐酸塩のうちの一方の水溶液と混合した溶液として又はホウ酸粉末を燐酸及び燐酸塩のうちの一方の水溶液に分散混合した溶液として使用される。
酸処理黒鉛粒子に均一に配合されるイットリウムとしては、塩化イットリウム(YCl・6HO)が使用され、燐酸及び燐酸塩のうちの水溶液と混合した溶液として使用される。
酸処理黒鉛粒子(粉末)を準備し、酸処理黒鉛粉末を撹拌しながら、該酸処理黒鉛粉末に、濃度84%の燐酸水溶液及び濃度50%の燐酸塩水溶液とホウ酸飽和水溶液及び塩化イットリウム水溶液のうちの少なくとも一方とを含有した溶液を噴霧してこれらを撹拌して均一に配合し湿潤性を有する混合物を作製する。
この湿潤性を有する混合物を乾燥炉で乾燥したのち、該混合物を950〜1200℃の温度で数秒ないし数分間膨張処理を施して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して200ないし300倍に膨張させた膨張黒鉛粉末を製造する。この膨張処理において、成分中の燐酸は脱水反応を生じて五酸化燐を生成し、また燐酸塩は構造式中の水が脱離し五酸化燐と共存して含有される。ホウ酸は、その一部が酸化されて酸化ホウ素を生成し、一部が燐酸ホウ素を生成し、ホウ素化合物として五酸化燐と燐酸塩と共存して又は五酸化燐と燐酸塩とイットリウム化合物と共存して含有される。塩化イットリウムは、その一部が酸化イットリウムを生成し、一部が燐酸イットリウムを生成し、イットリウム化合物として五酸化燐と燐酸塩と共存して又は五酸化燐と燐酸塩とホウ素化合物と共存して含有される。
このようにして作製した膨張黒鉛粉末を所望の隙間に調整したロール間に供給してロール成形し、所望の厚さを有する耐熱性膨張黒鉛シートを作製する。
このようにして作製した耐熱性膨張黒鉛シートには、所定量の割合の五酸化燐及び燐酸塩とホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方とが分散含有されている。
以下、本発明を参考例及び実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の参考例及び実施例に限定されるものではない。
参考例1〜4
濃度98%の濃硫酸300重量部を撹拌しながら、酸化剤として過酸化水素の60%水溶液5重量部を加え、これを反応液とした。この反応液を冷却して10℃の温度に保持し、該反応液に粒度30〜80メッシュの天然鱗片状黒鉛粉末100重量部を添加し、30分間反応を行った。反応後、吸引濾過して酸処理黒鉛を分離し、該酸処理黒鉛を300重量部の水で10分間撹拌して吸引濾過するという洗浄作業を2回繰り返し、酸処理黒鉛から硫酸分を充分除去した。
次いで、硫酸分を充分除去した酸処理黒鉛を110℃の温度に保持した乾燥炉で3時間乾燥し、これを酸処理黒鉛粉末とした。
燐酸として濃度84%のオルト燐酸水溶液と、燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム水溶液と、ホウ酸飽和水溶液とを準備した。酸処理黒鉛粉末100重量部に対し、オルト燐酸1.74〜7.94重量部と第一燐酸アルミニウム4.21重量部とホウ酸0.15〜1.45重量部と水0.84〜8.34重量部とからなる溶液を配合し均一に撹拌して湿潤性を有する混合物を作製した。
この湿潤性を有する混合物を、120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥した。次いで、乾燥した混合物を1000℃の温度で5分間膨張処理を施し、分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた黒鉛粉末(膨張倍率240倍)を作製した。この膨張処理工程において、成分中のオルト燐酸は脱水反応を生じて五酸化燐を生成し、第一燐酸アルミニウムは構造式〔Al(HPO〕中の水が脱離してAl(POとなって五酸化燐と共存し、ホウ酸は一部が酸化ホウ素を生成し、一部が燐酸ホウ素を生成してホウ素化合物として五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムと共存して含有されていることを確認した。この膨張黒鉛粉末をロール隙間0.33mmに調整したローラ間に供給してロール成形を施し、厚さ0.36mmの耐熱性膨張黒鉛シートを作製した。この耐熱性膨張黒鉛シートを一辺25mmの方形状に切り出し、これを試験片とした。
このようにして得た耐熱性膨張黒鉛シートの成分組成及び該耐熱性膨張黒鉛シートの酸化消耗率について試験した結果を表1に示す。耐熱性膨張黒鉛シートの酸化消耗率の評価は、耐熱性膨張黒鉛シートを700℃及び750℃の温度に保持した空気中に3時間放置した後の該耐熱性膨張黒鉛シートの重量減少率(%)で表示した。






Figure 0005277536
実施例
上記参考例と同様にして酸処理黒鉛粉末を作製した。
燐酸として濃度84%のオルト燐酸水溶液と、燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム水溶液と、塩化イットリウム水溶液とを準備した。酸処理黒鉛粉末100重量部に対し、オルト燐酸1.74〜7.94重量部と第一燐酸アルミニウム4.21重量部と塩化イットリウム0.56〜5.65重量部と水0.69〜6.89重量部とからなる溶液を噴霧してこれらを攪拌して均一に配合し湿潤性を有する混合物を作製した。
この湿潤性を有する混合物を、120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥した。次いで、乾燥した混合物を1000℃の温度で5分間膨張処理を施し、分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた黒鉛粉末(膨張倍率240倍)を作製した。この膨張処理工程において、成分中のオルト燐酸は脱水反応を生じて五酸化燐を生成し、第一燐酸アルミニウムは構造式〔Al(HPO〕中の水が脱離してAl(POとなって五酸化燐と共存し、塩化イットリウムは一部が酸化イットリウムを生成し、一部が燐酸イットリウムを生成してイットリウム化合物として五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムと共存して含有されていることを確認した。この膨張黒鉛粉末をロール隙間0.33mmに調整したローラ間に供給してロール成形を施し、厚さ0.36mmの耐熱性膨張黒鉛シートを作製した。この耐熱性膨張黒鉛シートを一辺25mmの方形状に切り出し、これを試験片とした。このようにして得た耐熱性膨張黒鉛シートの成分組成及び該耐熱性膨張黒鉛シートの酸化消耗率について試験した結果を表2に示す。
Figure 0005277536
実施例
上記実施例と同様にして酸処理黒鉛粉末を作製した。燐酸として濃度84%のオルト燐酸水溶液と、燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム水溶液と、ホウ酸飽和水溶液及び塩化イットリウム水溶液とを準備した。酸処理黒鉛粉末100重量部に対し、オルト燐酸1.74〜4.50重量部と第一燐酸アルミニウム4.21重量部とホウ酸0.15〜0.72と塩化イットリウム0.56〜2.82重量部と水0.84〜4.17重量部とからなる溶液を噴霧してこれらを攪拌して均一に配合し湿潤性を有する混合物を作製した。
この湿潤性を有する混合物を、120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥した。次いで、乾燥した混合物を1000℃の温度で5分間膨張処理を施し、分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた黒鉛粉末(膨張倍率240倍)を作製した。この膨張処理工程において、成分中のオルト燐酸は脱水反応を生じて五酸化燐を生成し、第一燐酸アルミニウムは構造式〔Al(HPO〕中の水が脱離してAl(POとなって五酸化燐と共存し、ホウ酸は一部が酸化ホウ素を生成し、一部が燐酸ホウ素を生成してホウ素化合物として五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムと共存し、塩化イットリウムは一部が酸化イットリウムを生成し、一部が燐酸イットリウムを生成してイットリウム化合物として五酸化燐と第一燐酸アルミニウム及びホウ素化合物と共存して含有されていることを確認した。この膨張黒鉛粉末をロール隙間0.33mmに調整したローラ間に供給してロール成形を施し、厚さ0.36mmの耐熱性膨張黒鉛シートを作製した。この耐熱性膨張黒鉛シートを一辺25mmの方形状に切り出し、これを試験片とした。このようにして得た耐熱性膨張黒鉛シートの成分組成及び該耐熱性膨張黒鉛シートの酸化消耗率について試験した結果を表3に示す。耐熱性膨張黒鉛シート及び膨張黒鉛シートの酸化消耗率の評価は、上記実施例と同様の方法で行った。
比較例1〜2
上記実施例と同様にして酸処理黒鉛粉末を作製した。
燐酸として濃度84%のオルト燐酸水溶液と、燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム水溶液とを準備した。酸処理黒鉛粉末100重量部に対し、オルト燐酸0.5〜1.3重量部と第一燐酸アルミニウム4.3〜8.5重量部とからなる溶液を配合し均一に撹拌して湿潤性を有する混合物を作製した。
この湿潤性を有する混合物を、120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥した。次いで、乾燥した混合物を1000℃の温度で5分間膨張処理を施し、分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた黒鉛粉末(膨張倍率240倍)を作製した。この膨張処理工程において、成分中のオルト燐酸は脱水反応を生じて五酸化燐を生成し、第一燐酸アルミニウムはほとんど変化せずに五酸化燐と共存して含有されていることを確認した。この膨張黒鉛粉末をロール隙間0.33mmに調整したローラ間に供給してロール成形を施し、厚さ0.36mmの耐熱性膨張黒鉛シートを作製した。この耐熱性膨張黒鉛シートを一辺25mmの方形状に切り出し、これを試験片とした。
このようにして得た膨張黒鉛シートの成分組成及び該耐熱性膨張黒鉛シートの酸化消耗率について試験した結果を表3に示す。耐熱性膨張黒鉛シート及び膨張黒鉛シートの酸化消耗率の評価は、上記実施例と同様の方法で行った。





Figure 0005277536
以上の試験結果から、700℃の温度においては、参考例1ないし参考例4の耐熱性膨張黒鉛シート及び実施例1ないし実施例の耐熱性膨張黒鉛シートと比較例1ないし2の膨張黒鉛シートとの酸化消耗率に大きな差はないが、750℃の温度では酸化消耗率に差を生じていることがわかる。この差は、膨張黒鉛シート中に分散含有された五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとに加えて分散含有されたホウ素化合物及びイットリウム化合物のうちの少なくとも一方との相乗効果による酸化抑制作用の向上に起因するものである。

Claims (10)

  1. 膨張黒鉛を主成分とし、これに五酸化燐及び燐酸塩と、酸化イットリウム及び燐酸イットリウムとが分散含有されており、酸化イットリウム及び燐酸イットリウムは、0.5〜5.0重量%の割合で分散含有されてなる耐熱性膨張黒鉛シート。
  2. 五酸化燐は、0.5〜8重量%の割合で分散含有されている請求項1に記載の耐熱性膨張黒鉛シート。
  3. 燐酸塩は、第一燐酸リチウム、第二燐酸リチウム、第一燐酸カルシウム、第二燐酸カルシウム、第一燐酸アルミニウム及び第二燐酸アルミニウムのうちの少なくとも一つから選択されたものであって、1〜10重量%の割合で分散含有されている請求項1又は2に記載の耐熱性膨張黒鉛シート。
  4. ホウ素化合物が更に分散含有されてなる請求項1から3のいずれか一項に記載の耐熱性膨張黒鉛シート。
  5. ホウ素化合物は、酸化ホウ素及び燐酸ホウ素であって、0.1〜1.5重量%の割合で分散含有されている請求項4に記載の耐熱性膨張黒鉛シート。
  6. 黒鉛粉末を強酸で処理した酸処理黒鉛粉末に、燐酸水溶液及び燐酸塩水溶液と塩化イットリウムとを混合した溶液を噴霧してこれらを攪拌して配合し、当該溶液が配合された酸処理黒鉛粉末を950〜1200℃の温度で200〜300倍に膨張させたのちシート化して耐熱性膨張黒鉛シートを製造する方法であって、耐熱性膨張黒鉛シートには、0.5〜8重量%の割合の五酸化燐及び1〜10重量%の割合の燐酸塩と、0.5〜5.0重量%の割合の酸化イットリウム及び燐酸イットリウムとが分散含有されている耐熱性膨張黒鉛シートの製造方法。
  7. 燐酸は、オルト燐酸、メタ燐酸、ポリ燐酸、ポリメタ燐酸のうちの少なくとも一つから選択される請求項6に記載の耐熱性膨脹黒鉛シートの製造方法。
  8. 燐酸塩は、第一燐酸リチウム、第二燐酸リチウム、第一燐酸カルシウム、第二燐酸カルシウム、第一燐酸アルミニウム及び第二燐酸アルミニウムのうちの少なくとも一つから選択される請求項6又は7に記載の耐熱性膨脹黒鉛シートの製造方法。
  9. 混合した溶液には、更にホウ酸が混合されている請求項6から8のいずれか一項に記載の耐熱性膨張黒鉛シートの製造方法。
  10. 耐熱性膨脹黒鉛シートには、0.1〜1.5重量%の割合のホウ素化合物が更に分散含有されている請求項9に記載の耐熱性膨脹黒鉛シートの製造方法。
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