JP7088462B2 - 爆発防止用の膨張黒鉛シートが設けられた携帯用ガスコンロ - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の携帯用ガスコンロは、過熱によってブタンガス容器が爆発する虞がある。実際に、過熱によってブタンガス容器が爆発する事故が頻繁に発生している。特にガスコンロよりも大きな鉄板や焼板を使用する場合、鉄板や焼板の輻射熱によりブタンガス容器の爆発が起こりやすい。
本発明の他の目的は、既存の携帯用ガスコンロに容易且つ安価に適用する事が可能な携帯用ガスコンロに爆発防止用の膨張黒鉛シートを設ける方法を提供することである。
本発明の他の目的は、携帯用ガスコンロの寿命を迎えても半永久的に使用できる爆発防止用の膨張黒鉛シートが設けられた携帯用ガスコンロを提供することである。
本発明の叙上の課題は、以下に詳細に説明される本発明によって全て達成できる。
該蓋は、金属層の内側及び/又は外側に膨張黒鉛層が設けられ、或いは膨張黒鉛層の内側及び/又は外側に金属層が設けられ、
前記金属層に接合手段が設けられてなる
ことを特徴とする、爆発防止用の携帯用ガスコンロに関する。
前記粘土層の厚さは3乃至100μmであることを特徴とする、請求項3に記載の爆発防止用の携帯用ガスコンロに関する。
該方法は、
金属層の内側及び/又は外側に膨張黒鉛層を設けるか、或いは膨張黒鉛層の内側及び/又は外側に金属層を設ける工程と、
前記金属層に接合手段を設ける工程と、
前記接合手段によって、前記金属層と前記膨張黒鉛層とを接合する層とを接合する工程と
を含むことを特徴とする方法に関する。
また、本発明によれば、携帯用ガスコンロに爆発防止用の膨張黒鉛シートを設ける方法を既存の携帯用ガスコンロに容易且つ安価に適用できる。
さらに、本発明によれば、携帯用ガスコンロの寿命を迎えても半永久的に使用できる爆発防止用の膨張黒鉛シートが設けられた携帯用ガスコンロを提供できる。
本発明は携帯用ガスコンロに係り、より詳しくは、携帯用ガスコンロに使用するガス容器を収容する蓋の内側に膨張黒鉛シート(Expanded Graphite Sheet)が設けられた、過熱によるガス容器の爆発を防止できる爆発防止用の膨張黒鉛シートが設けられた携帯用ガスコンロに関するものである。
図1に示すように、携帯用ガスコンロには、本体(10)側にガス容器(30)を装着するための空間(ガス容器収容部)(15)が形成されており、本体(10)に着脱自在又は開閉自在に蓋(20)が設けられている。
蓋(20)を開放してガス容器の装着空間(15)にガス容器(30)を装着した後、蓋(20)を閉める。蓋(20)を閉めた状態で携帯用ガスコンロのスイッチをオンにし、ガスを燃焼させる。この時、ガスコンロの上部に置かれた鉄板や焼板(図示していない)による輻射熱が蓋(20)及びその下部に装着されてあるガス容器(30)に伝達する。ガス容器(30)が一定の温度以上に加熱されると、ガス容器が爆発する。
また、セラミック接着剤層を、蓋の内側及び/又は膨張黒鉛層の一方の面に設け、セラミック接着剤層を介するように、蓋(20)の内側と膨張黒鉛シート(40)の一方の面とを接着させ、ガスコンロの蓋(20)の内側に膨張黒鉛シート(40)を設けてもよい。
尚、本発明において、膨張黒鉛シートを用いる代わりに、膨張黒鉛を蓋(20)の内側に塗布して、蓋(20)の内側に膨張黒鉛層を設けてもよい。
ブタンガスの沸点は0.2℃であり、他の液化ガスに比べて沸点が高いため、ある程度加熱しなければ大部分のガスを燃焼することはできない。即ち、爆発の危険を除去するためにはガス容器が過熱されるのを防止しなければならない。しかし、ガス残量を最小化するためにはガス容器をある程度加熱する必要がある。これはお互いに相反する現象であり、従来のガスコンロにおいて、この二つの目的を同時に達成するものはなかった。
本発明に係るガスコンロを用いた実験の結果、ガスコンロの蓋(20)の内側に膨張黒鉛シートを設けた場合、燃焼熱に伴う蓋(20)の上部を加熱する熱量が膨張黒鉛シートを沿って遮断され、蓋(20)に沿って下部側に移動してガス容器の下部を加熱することがわかった。
既存のガスコンロは本体(10)の内部で燃焼熱の一部をガス容器(30)の下部に伝導してガス容器(30)をある程度、加熱することが出来るように設計されている。
図2において、燃焼熱の一部をガス容器(30)の下部に伝導してガス容器(30)を加熱する熱量をHcで表す。また、蓋(20)の上部から伝導される熱量をHfで表し、気化したガスが気化することによって失う熱量を△Hで表す。
図3において、燃焼熱の一部をガス容器(30)の下部に伝導してガス容器(30)を加熱する熱量をHcで表す。また、蓋(20)の上部から伝導される熱量をHfで表すが、この熱量は蓋(20)の内側に設けられた膨張黒鉛シート(40)によって下部側に移動するGrxで表す。この熱量Grxがガス容器(30)の下部を加熱する。気化するガスが気化されることによって失う熱量を△Hで表す。
図2におけるガス容器(30)の上部(1a)と下部(1b)の温度を経時的に測定して図4のグラフに示した。図4に示すように、上部(1a)の温度は常に下部(1b)の温度より高く測定された。
図2の従来のガスコンロにおける上部(1a)の温度は0分、10分、20分、40分、60分、70分の経過後において、夫々20.5℃、28.1℃、49.0℃、53.8℃、58.0℃、56.7℃と測定された。下部(1b)の温度は、夫々20.7℃、29.5℃、29.5℃、31.8℃、33.6℃、36.0℃と測定された。
図3の本発明に係るガスコンロにおける上部(2a)の温度は0分、10分、20分、40分、60分、70分の経過後において、夫々19.6℃、21.2℃、27.7℃、36.2℃、37.0℃、40.0℃と測定された。下部(2b)の温度は、夫々19.2℃、42.7℃、46.9℃、47.0℃、47.0℃、47.0℃と測定された。
これは加熱された板からフィードバックされた輻射熱Hfが下部側に移動していることを示す。
また、ガス容器(30)の上部と下部の温度偏差が図2の従来のガスコンロよりも図3の本発明に係るガスコンロの方がより小さくなっていることがわかる。本発明に係るガスコンロにおいて、ガス容器の上部と下部がある程度均一に気化するため、ガスの残量を最小化する事が可能である。
粘土としては、例えば、天然粘土、合成粘土、あるいは変成粘土の1種以上を使用する。塗布される粘土層はその厚さが3~100μmであることが効果的であり、より好ましくは3~30μmである。粘土層の粒子は0.1~30μmの粒径を有していることが望ましく、より望ましくは0.5~20μmの粒径である。粘土層は例えば粘土をLPG等の液化ガスを溶媒にする粘土溶液をスプレー方式で塗布する。これは当業者によって容易に実施される。粘土層の作製方法はこれに限定されない。
(1)図5の(a)に示されるものは、中芯材(20a)を構成する膨張黒鉛シート(40)層(厚さ0.5mm、密度1.0乃至1.5g/cm3)は、例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼(20a)(SUS304)と、厚さ0.2mmの鋼材(20b)(アルミニウムメッキ材)とから構成された金属材(20m)によってサンドイッチ状に挟まれた三層構造であるが、金属材(20m)と膨張黒鉛シート層(40)との間には接着剤が介在されている(図5の(a)参照)。接着剤としては例えば、堺化学株式会社製のベタック(商品名)などのセラミック接着剤を採用することができるが、これに限定されない。
(2)図5の(b)に示されるものは、例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼(20a)(SUS304)と、厚さ0.2mmの鋼材(20b)(アルミニウムメッキ材)とから構成された金属材(20m)の内側に膨張黒鉛シート層(40)が配された二層構造であるが、金属材と膨張黒鉛シートとの間には接着剤が介在されている(図5の(b)参照)。接着剤としては例えば、堺化学株式会社のベタック(商品名)などのセラミック接着剤を採用することができるが、これに限定されない。
(3)図5の(c)、(d)及び(e)に示されるものは、金属材(20m)として例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼(SUS304)と、厚さ0.2mmの鋼材(アルミニウムメッキ材)とから構成された所謂穴あきフック鋼板(20p)と、該穴あきフック鋼板(20p)の内側に配された膨張黒鉛シート層(40)とからなる2層構造を有している(図5の(c)参照)。図5の(c)に示されるものは、金属材(20m)として穴あきフック鋼板(20p)を採用しているため、穴あきフック鋼板(20p)の一方の面(本実施形態では膨張黒鉛シート層(40)と対向する側の面)にはフック(f)と呼ばれる突起が形成されている。したがって、穴あきフック鋼板(20p)と膨張黒鉛シート層(40)とを対向させた後に、ロール加工又はプレス加工によって圧延すると、フック(f)が係留効果を奏するため、穴あきフック鋼板(20p)と膨張黒鉛シート層(40)とが物理的に接合される。図5の(e)は穴あきフック鋼板(20p)の平面説明図であり、多数の穴Pが形成されている。図5の(e)では穴Pは5角形が示されているが、6角形のものであってもよく、特定の形状に限定されない。
(4)図5の(f)に示されるものは、膨張黒鉛シート層(40)を中心材として膨張黒鉛シート層(40)を外側及び内側から金属層(20m)によって挟持されたサンドイッチ構造を有している。該金属材(20m)は、例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼(SUS304)と、厚さ0.2mmの鋼材(アルミニウムメッキ材)とから構成された所謂穴あきフック鋼板(20p)とから構成されている(図5の(d)参照)。
この図5の(d)に示されるものは、膨張黒鉛シート層(40)の内側と外側の両方に配される金属材(20m)として穴あきフック鋼板(20p)を採用しているため、穴あき内側及び外側のフック鋼板(20p)それぞれの一方の面(本実施形態では膨張黒鉛シート層(40)と対向する側の面)にはフック(f)と呼ばれる突起が形成されている。したがって、穴あきフック鋼板(20p)と膨張黒鉛シート層(40)とを対向させた後に、ロール加工又はプレス加工によって圧延すると、フック(f)が係留効果を奏するため、穴あきフック鋼板(20p)と膨張黒鉛シート層(40)とが物理的に接合される。
上記の実施例と比較するために、膨張黒鉛シートが設けられていない従来のガスコンロを用いて、上記の実施例と同様に、時間経過によるガス容器の表面温度を測定した。
実施例では0分、5分経過後、10分経過後の温度が夫々25.1℃,34.6℃,46.1℃と測定された。
即ち、本発明の実施例は、液化ブタンガス容器の上部表面温度が5分経過後には従来のガスコンロと比べて13.7℃低く、10分経過後には21.4℃低くいものであった。これは蓋(20)の内側の膨張黒鉛シートが、熱をX、Y軸方向、即ち面方向に熱を拡散し、Z軸、即ち厚さの方向に熱放射が殆ど進行せず、ガス容器に熱が伝達されずに外部に放出されていることを示す。
爆発防止用の膨張黒鉛シート(40)は、粘土をコーティング処理した膨張黒鉛シートであり縦×横235mm(L)×150mm(W)、厚さ0.5mmのものを使用した。
本試験で、2種類のガスコンロよりも大きい焼板(過大焼板)を使用した。一つは大きさが560mm(L)×410mm(W)の亜鉛メッキの鉄網にアルミニウムホイルを3回巻いた物(‘過大焼板1’)、他方は大きさ410mm(L)×280mm(W)の亜鉛メッキの鉄網にアルミニウムホイルを3回巻いた物(‘過大焼板2’)である。以下の爆発試験は、韓国防災試験研究院にて2015年11月9日~11日に実施した(韓国防災試験研究院の試験成績書番号G2015-1523、2015年12月31日発行)。
ガスコンロのガス圧力調整機(governor)内部にあるガス制御バルブを除去した後、ガスコンロにガス容器を装着した。過大焼板1をガスコンロの上段にガス容器カバーに充分に被さるようにして設置した。ガスコンロの火力を最大に調節して燃焼させた。燃焼時、ガス容器の爆発の有無を確認した。下記表2に示すようにガス容器の爆発を確認した。
ガスコンロにガス容器を装着した。過大焼板2をガスコンロの上段にガス容器のカバーに充分に被さるように設置した。ガスコンロの火力を最大に調節して燃焼させた。ガスコンロの正常な燃焼を確認して燃焼時、液化ガス容器の爆発の有無を確認した。下記表3に示すように、安全レバーの作動で燃焼が中断されたため、ガス容器が爆発しなかったことを確認した。
爆発防止用の放熱板(膨張黒鉛シート(40))が設けられたガスコンロにガス容器を装着した。過大焼板2をガスコンロの上部にガス容器のカバーに充分に被さるように設置した。ガスコンロの火力を最大に調節して燃焼させた。ガスコンロの正常な燃焼を確認し、燃焼時における液化ガス容器の爆発の有無を確認した。下記表4に示すように、ガスが全て燃焼するまでガス容器が爆発しなかったことを確認した。
15:ガス容器の装着空間
20:蓋
20a:ステンレス鋼
20b:鋼材
20m:金属層
20p:穴あきフック鋼板
30:ガス容器
40:膨張黒鉛シート
50:金属板
60:セラミック接着剤層
f:フック
P:穴
Claims (10)
- ガスコンロの本体側にガス容器収容部が形成されており、本体に着脱自在又は開閉自在に蓋が設けられている携帯用ガスコンロであって、
該蓋は、金属層の内側及び/又は外側に膨張黒鉛層が設けられ、或いは膨張黒鉛層の内側及び/又は外側に金属層が設けられ、該膨張黒鉛層の大きさは該蓋の内側面積の大きさに合わせた大きさであり、かつ該膨張黒鉛層は前記本体の下部まで延び、
前記蓋を構成する前記膨張黒鉛層とガス容器の全周との間に空間が設けられ、
前記金属層と前記膨張黒鉛層との間に接合手段が設けられてなる
ことを特徴とする、爆発防止用の携帯用ガスコンロ。 - 前記接合手段が、接着剤またはフックから選択される一種以上である請求項1に記載の携帯用ガスコンロ。
- 前記膨張黒鉛層の外表面に、粘土層が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の爆発防止用の携帯用ガスコンロ。
- 粘土層の粒子は0.1乃至30μmの粒径を備え、
粘土層の厚さは3乃至100μmであることを特徴とする、請求項3に記載の爆発防止用の携帯用ガスコンロ。 - 前記金属層と前記膨張黒鉛層との間に接着剤層が介装され、該接着剤層は高い耐熱性を備えていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の爆発防止用の携帯用ガスコンロ。
- 前記膨張黒鉛層は膨張黒鉛シートからなり、該膨張黒鉛シートの厚さが0.2乃至1.0mmであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の爆発防止用の携帯用ガスコンロ。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の携帯用ガスコンロのガス容器収納部を着脱自在に覆う蓋に、膨張黒鉛シートを物理的に接合させることで、前記蓋に爆発防止用の前記膨張黒鉛層を設ける方法であって、
前記蓋は、金属層及び膨張黒鉛層から構成され、該膨張黒鉛層の大きさは該蓋の内側面積の大きさに合わせた大きさであり、かつ該膨張黒鉛層は本体の下部まで延び、
前記方法は、
金属層の内側及び/又は外側に膨張黒鉛層を設けるか、或いは膨張黒鉛層の内側及び/又は外側に金属層を設ける工程と、
前記金属層に接合手段を設ける工程と、
前記接合手段によって、前記金属層と前記膨張黒鉛層とを接合する工程と
を含むことを特徴とする方法。 - 前記接合手段が、接着剤またはフックから選択される一種以上である請求項7に記載の方法。
- 前記膨張黒鉛層の外表面に、粘土を塗布して粘土層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
- 前記膨張黒鉛層は膨張黒鉛シートからなり、該膨張黒鉛シートの厚さが0.2乃至1.0mmであることを特徴とする、請求項7乃至9に記載の方法。
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