JP5275167B2 - 排水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、油脂を含有する有機性排水を処理するための排水処理装置に関する。
微生物を利用した排水処理方法として、一般に、好気性菌による好気性処理法及び嫌気性菌によるメタン発酵処理法(嫌気性処理法)が知られている。好気性処理法は被処理水に空気を吹き込むためのエネルギーを要するのに対し、メタン発酵処理法は消費エネルギーが少なく、またメタンなどを主成分とするバイオガスを得ることもできる。このため、メタン発酵処理法は、好気性処理法よりもエネルギー効率の点で有利であるといわれている。また、余剰汚泥の発生量が少ないのもメタン発酵処理法の利点の一つである。
有機物を高濃度に含む高負荷排水をメタン発酵処理法で処理するため、種々のタイプの上向流式嫌気性処理槽が開発されている。例えば、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)法やこれを改良したEGSB(Expanded Glanular Sludge Bed)法を利用した処理槽が知られている。これらの上向流式嫌気性処理槽は、グラニュール汚泥と呼ばれる粒状の汚泥を槽内に収容することができ、被処理水がグラニュール汚泥と接触しながら上方に流れることによって、有機物が効率的に分解される。
ところで、油脂を含有する有機性排水をグラニュール汚泥で処理する場合、油脂がグラニュール汚泥に付着し、これによって排水とグラニュール汚泥との接触効率が低下して有機物の処理が不十分となりやすい。このような問題を解決する手段として、下記特許文献1には、上向流式嫌気性処理槽に被処理水を導入するに先立ち、被処理水から油分を分離し、これをリパーゼ生成菌によって分解する分解槽を備えた嫌気性処理装置が記載されている。
また、下記特許文献2には、油脂の分解によって生成する高級脂肪酸がメタン発酵の阻害要因となることが記載されており、これを防止する観点から、嫌気性処理槽内の高級脂肪酸濃度を制御しながら油脂含有排水を処理する方法が記載されている。
特開2005−270862号公報 特開2001−321792号公報
上記特許文献1に記載の嫌気性処理装置によれば、上向流式嫌気性処理槽の前段で油脂を分離できるため、油脂が上向流式嫌気性処理槽内に導入されることによって生じる接触効率の低下などを未然に防止できる。しかし、当該嫌気性処理装置は、油脂をより一層高度に分解するには未だ改善の余地があった。
すなわち、上記特許文献1に記載の嫌気性処理装置では、分離された油脂は、SS分(浮遊物質)とともに粒状のフロスを形成したり、液状の場合にあっては油相を形成したりする。このため、分解槽において、リパーゼ生成菌により生成されるリパーゼ酵素と油脂との接触が不十分となり、油脂が十分に分解されないおそれがある。このような場合、未分解の油脂による上向流式嫌気性処理槽への悪影響を防止するため、フロスや液状油脂を分解槽から除去し、廃棄処分するといった対策も必要となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、有機性排水に含まれる油脂を高度に分解し、有機性排水を十分に処理できる排水処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る排水処理装置は、油脂を含有する有機性排水を処理するための排水処理装置であって、有機性排水から油脂含有粒状物を含む油脂含有物を分離するとともに、油脂の含有量が低減された分離水を得る油脂分離手段と、分離水を少なくとも含む被処理水を収容し、当該被処理水を嫌気性処理する上向流式嫌気性処理槽と、油脂分離手段によって分離された油脂含有物に含まれる油脂含有粒状物を破砕し、当該油脂含有粒状物の粒径を小さくする破砕手段と、破砕手段によって粒径が小さくされた油脂含有粒状物とこれに含まれる油脂を分解するための菌体とを収容し、当該油脂の分解処理を行う油脂分解槽と、を備える。
上記構成の排水処理装置によれば、油脂分離手段によって分離された油脂含有物は、油脂事前処理手段によって破砕処理される。この処理を経て得られた油脂含有物は、破砕された状態で油脂分解槽に供給される。よって、油脂分解槽において油脂含有物と油脂を分解するための酵素との接触を十分に図ることができ、油脂を高度に分解できる。さらに、有機性排水中に、フロスなどの油脂含有粒状物が含まれる場合であっても、破砕手段によって油脂含有粒状物を破砕して粒径を小さくできる。よって、油脂分解槽において油脂含有粒状物と酵素との十分な接触が図られ、油脂を高度に分解できる。
上記のように、油脂分解槽における処理によって油脂を高度に分解できるため、油脂の含有量が十分に低減された被処理水を上向流式嫌気性処理槽へと供給できる。これにより、上向流式嫌気性処理槽内においては、生物汚泥に油脂が付着することなどに起因する問題を未然に防止することができる。よって、上向流式嫌気性処理槽は、その処理能力を十分に発揮することができ、高負荷運転も可能となる。
上記のようにして、従来は産業廃棄物として廃棄処分されていたフロスを有効利用できる。例えば、フロスに含まれる油脂を分解処理することによって、バイオガスを得ることができる。さらには、フロスの有効利用により、産業廃棄物の排出量を削減できる。
また、破砕手段によって粒径が小さくされた油脂含有粒状物に含まれる油脂を分解するための菌体を添加する添加手段を有することが好ましい。このような構成によれば、油脂含有物を破砕処理しつつ、油脂を分解するための酵素と接触させることができる。よって、油脂分解槽での分解処理に先立って油脂の分解が図られ、油脂をより一層高度に分解できる。
また、破砕手段によって粒径が小さくされた油脂含有粒状物を油脂分解槽に供給するためのラインを有することが好ましい。この構成によれば、ラインを通じて、粒径が小さくされた油脂含有粒状物を油脂分解槽に供給することができる。
本発明によれば、有機性排水に含まれる油脂を高度に分解し、有機性排水を十分に処理できる。
本発明に係る排水処理装置の第1実施形態を示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係る排水処理装置が具備する油脂分離手段及びフロス処理手段などを示す構成図である。 本発明に係る排水処理装置が具備するフロス処理手段の一例を示す模式断面図である。 本発明の第2実施形態に係る排水処理装置が具備するフロス処理手段及び油脂分解手段などを示す構成図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に示す排水処理装置10は、油脂を含有する有機性排水(以下、「油脂含有排水」又は単に「排水」という。)を処理するための装置である。排水処理装置10は、前段の油脂前処理部10aと、後段の嫌気性処理部10bとを備える。油脂前処理部10aは、調整槽2と、油脂分離手段3と、フロス処理手段(油脂事前処理手段)4と、油脂分解槽5と、沈殿槽6とを備える。他方、嫌気性処理部10bは、酸生成槽7と、上向流式嫌気性処理槽8とを備える。以下、各構成要素について説明する。
油脂前処理部10aの調整槽2は、油脂含有排水を一旦貯留し、油脂分離手段3に移送する排水の量を調整するためのものである。調整槽2には、排水(原水)を導入するラインL1及び排水を油脂分離手段3へと移送するラインL2が接続されている。調整槽2から油脂分離手段3へと移送する排水の量は、排水処理装置10の処理能力に応じて調整される。なお、調整槽2は、排水に含まれる夾雑物の除去機能を具備したものであってもよい。
油脂分離手段3は、ラインL2を通じて供給される排水に含まれる油脂を分離するためのものである。図2に示す油脂分離手段3は、常圧浮上装置と称されるものである。この油脂分離手段3は、撹拌機及び起泡剤添加手段を備え、油脂をフロスの形態にて浮上分離する。ここで「フロス」とは、油脂とSS分とを含んだ油脂含有粒状物をいう。油脂分離手段3には、分離したフロスをフロス処理手段4へと移送するためのラインL3及び油脂の含有量が低減された分離水を酸生成槽7へと移送するラインL4が接続されている。なお、油脂分離手段3として、常圧浮上装置の代わりに、薬剤や発泡を利用した加圧浮上装置、油水分離器、オイルトラップ等を用いてもよい。
フロス処理手段4は、ラインL3を通じて供給されるフロス(被処理物)を破砕処理するためのものである。フロス処理手段4は、フロスを収容するフロス処理槽41と、この処理槽41に油脂分解酵素を生成する菌体(以下、「酵素生成菌」という。)を添加する微生物剤収容槽42とを有する。フロス処理槽41内において、酵素生成菌の存在下、フロスの破砕処理を行うことで、フロスと酵素生成菌とを十分均一に混合できるとともに、酵素の働きによってフロスに含まれる油脂の一部について分解反応が進行する。微生物剤収容槽42は、液状又は粉状の微生物剤を収容し、この微生物剤はラインL31を通じてフロス処理槽41に供給される。本実施形態においては、微生物剤収容槽42、ラインL31及びこれの途中に配設されたポンプ(図示せず)等によって、菌体添加手段が構成される。フロス処理槽41には、ラインL30が接続されており、破砕されたフロス(以下、「破砕フロス」という。)がこれを通じて油脂分解槽5へと移送される。
なお、図2に示すように、フロス処理手段4の前段には、ラインL3を通じて供給されるフロスを一旦貯留するためのフロスピット32を設けてもよい。フロスピット32は、撹拌機及びラインL32等を備える。ラインL32の途中にはフロスポンプ33が設けられている。ラインL32はフロスポンプ33の下流側において二経路に分岐しており、切替バルブの開閉により、フロスをフロスピット32に返送したり、フロス処理槽41に移送できるようになっている。
次に、図3を参照しながら、フロス処理槽41の構成について説明する。フロス処理槽41は、撹拌機(破砕手段)40を備える。撹拌機40は、撹拌モータ45と、撹拌モータ45に連結された撹拌軸46と、撹拌軸46の周囲に取り付けられた複数の上段ミキサー羽根47と、これらの下方に設けられた複数の下段ミキサー羽根48と、撹拌軸46の下端部に取り付けられた撹拌翼49とを有する。
上段ミキサー羽根47及び下段ミキサー羽根48は、撹拌軸46の回転に伴い高速で回転することにより、フロス処理槽41内のフロスを破砕する機能を有する。撹拌翼49は、フロス処理槽41内の被処理物を撹拌・混合する機能を有する。上段ミキサー羽根47、下段ミキサー羽根48、及び撹拌翼49の羽根径や回転数は、例えば、破砕フロスの粒径が後段の油脂分解槽5における処理に適したものとなるように適宜決定することができる。
フロス処理槽41内には、フロスピット32からのフロスを供給するためのラインL32が撹拌翼49の下方に進入配置されており、その先端部は撹拌翼49の下面に対向するようにして上方に向けてられている。さらに、フロス処理槽41の内壁面には、フロス処理槽41の中心方向に向かって延在する複数のバッフル板50が取り付けられている。バッフル板50は、上下方向に沿う所定の長さにわたって設けられており、平面視において各々所定の間隔をもって配置されている。フロス処理槽41の上部には、ラインL30が接続されている。なお、図3では、微生物剤をフロス処理手段4に供給するためのラインL31は図示を省略している。
図1に戻り、油脂分解槽5は、ラインL30を通じて供給される破砕フロスに含まれる油脂を、酵素生成菌の存在下、分解処理するためのものである。油脂分解槽5は、槽内の破砕フロスに添加するアルカリ(例えば、水酸化カルシウム水溶液)を収容するアルカリ貯槽5aと、アルカリ貯槽5a内のアルカリを油脂分解槽5へと移送するラインL5とを備える。
また、油脂分解槽5は、水面近傍の破砕フロスをラインL30内に返送して液相中に供給するための循環ポンプ5bを備える。水面に浮上しやすい破砕フロスを循環ポンプ5bで槽内の液槽中にくり返し供給することで、破砕フロスに含まれる油脂を十分に分解することができる。また、油脂分解槽5は、槽内に空気を供給するための散気板5c及びこれに空気を供給するブロア5dなどを備える。油脂分解槽5には、処理液を沈殿槽6へと移送するラインL6が接続されている。
沈殿槽6は、油脂分解槽5からの処理液を固形分6aと液体分6bとに分離するためのものである。沈殿槽6は、重力によって固形分を沈降させ、槽の底部に固形分6aを濃縮できる構造となっている。沈殿槽6によって分離した固形分6aは、ラインL7を通じて油脂分解槽5に返送できるようになっている。ラインL7は、途中でラインL17及びラインL7aに分岐している。ラインL17は、フロス処理手段4の上流側においてラインL32に接続されており、固形分6aをフロス処理手段4に返送できるようになっている(図2,図3参照)。これらのラインL7,L17により、フロス処理手段4及び油脂分解槽5の酵素生成菌が高密度に維持される。なお、ラインL7aを通じて、酵素生成菌等の余剰分を適宜排出できるようになっている。
他方、沈殿槽6から排出される液体分6bは、ラインL8を通じて油脂分離手段3の上流側又は酸生成槽7の上流側へ移送される。ラインL8を通じて移送された液体分は、油脂分離手段3又は酸生成槽7に導入される。
油脂前処理部10aにおける処理を経た分離水は、油脂分離手段3から排出され、ラインL4を通じて嫌気性処理部10bへと移送される。沈殿槽6から排出される液体分6bがラインL8を通じて酸生成槽7の上流側へ移送される場合、嫌気性処理部10bへと移送される分離水は、液体分6bを含んだものとなる。
嫌気性処理部10bの酸生成槽7は、分離水に含まれる有機物を有機酸に変換するためのものである。分離水に含まれる有機物は、油脂前処理部10aにおける処理によって生成した脂肪酸などの有機物、原水に含まれていた油脂以外の有機物などである。酸生成槽7は、分離水及び酸発酵菌を収容できるようになっている。酸生成槽7には、酸発酵処理が施された分離水を上向流式嫌気性処理槽8へと供給するラインL9が接続されている。
上向流式嫌気性処理槽8(以下、単に「処理槽8」という。)は、酸生成槽7における処理によって得られた有機酸をメタン発酵処理するためのものである。処理槽8として適用可能な処理槽としては、UASB型の反応槽やEGSB型の反応槽を例示できる。処理槽8は、被処理水及びグラニュール汚泥8aを収容できるようになっている。処理槽8の下部にラインL9が接続されており、被処理水が槽内をグラニュール汚泥8aと接触しながら、上方に流れる。
処理槽8の液面付近にはメタン発酵処理を経た処理液を排出するラインL10が接続されている。他方、処理槽8の上部にはメタン発酵処理によって生成したメタンガスを含むバイオガスを排出するラインL11が接続されている。また、処理液をラインL12に通して繰り返し処理槽8を通すことにより、より確実にメタン発酵処理することができる。
次に、排水処理装置10を使用して油脂含有排水を処理する方法について説明する。
まず、ラインL1を通じて調整槽2に油脂含有排水を導入する。一旦調整槽2に排水を貯留した後、ラインL2を通じて所定量の排水を油脂分離手段3に導入する。なお、調整槽2からの油脂含有排水及びラインL8からの液体分6bを、ラインL2を通じて油脂分離手段3に導入する。
油脂分離手段3においては、起泡剤の添加により、油脂含有排水から油脂をフロスの形態にて分離するとともに、油脂の含有量が低減された分離水を得る。後段のフロス処理手段4における破砕処理及び油脂分解槽5における油脂の分解処理を効率的に行うため、油脂分離手段3にて油脂を高濃度に濃縮することが好ましい。
次に、油脂分離手段3で分離したフロスを、ラインL3を通じてフロスピット32に導入し、一旦貯留する。フロスピット32内のフロスを、ラインL32を通じてフロス処理槽41に導入する。なお、このフロスとともに、必要に応じて沈殿槽6からの固形分6aを、ラインL17を通じてフロス処理槽41に導入する。他方、油脂分離手段3にて油脂の含有量が低減された分離水を、ラインL4を通じて酸生成槽7へと導入する。
フロス処理手段4において、フロスの破砕処理を行う。すなわち、フロス処理槽41内にフロス及び微生物剤を導入し、撹拌機40を用いて被処理物の撹拌を行うことによりフロスを破砕する。撹拌機40の回転数は、フロスの物性や処理条件に応じて設定すればよく、例えば、1500rpm程度とすることができる。微生物剤の添加量は、フロスの濃度や油脂の分解処理要求値に応じて決定すればよい。フロス処理手段4において粒径が小さくなった破砕フロスを、微生物剤とともにラインL30を通じて油脂分解槽5に導入する。
次に、油脂分解槽5内において、油脂の分解処理を行う。油脂分解槽5内にラインL3を通じて導入し、循環ポンプ5bを用いて撹拌することによって、酵素生成菌が生じる酵素と油脂とを接触させ、破砕フロスに含まれる油脂を分解する。散気板5cから槽内に空気を吹き込むことによって、酵素生成菌が増殖しやすくなり、油脂の分解速度が向上するという効果が得られる。
この油脂分解処理においては、油脂分解槽5内の被処理液に対し、ラインL5を通じて水酸化カルシウム(アルカリ)を添加する。水酸化カルシウムの添加によって、被処理液を弱アルカリ性にすると、油脂が乳化系に移行しやすくなる。その結果、油脂と油脂分解酵素との接触効率が高くなり、油脂の分解速度が向上する。
油脂分解槽5における処理を経た処理液を、ラインL6を通じて沈殿槽6に導入する。沈殿槽6においては、油脂分解槽5から排出された処理液を固形分と液体分とに分離する。酵素生成菌を高濃度で含む固形分6aを、ラインL7を通じてフロス処理手段4又は油脂分解槽5へと返送する。固形分6aに含まれる酵素生成菌を返送することにより、フロス処理手段4、油脂分解槽5内の酵素生成菌を高密度に保持できる。
他方、沈殿槽6から排出された液体分6bをラインL8で移送し、液体分6bと、ラインL2内の排水又はラインL4内の分離水とを混合する。液体分6bを、排水又は分離水のいずれと混合するかは、油脂含有排水に含まれる油脂濃度などに応じて適宜選択すればよい。例えば、油脂濃度が比較的高い場合には、液体分6bを排水と混合することにより、液体分6b中に残存する油脂を再度、油脂分離手段3及び油脂分解槽5へと供給し、油脂をより一層高度に分解処理できる。
油脂前処理部10aにおける処理を経て油脂分離手段3から排出された分離水を、後段の嫌気性処理部10bに供給し、分離水に含まれる有機物の分解処理を行う。
まず、油脂分離手段3から排出された分離水を、ラインL4を通じて酸生成槽7に導入する。分離水は、油脂の分解によって生成した脂肪酸などの有機物、あるいは原水中に含まれていた油脂以外の有機物を含有する。酸生成槽7においては、酸発酵処理によって有機物を炭素数6以下の脂肪酸等の有機酸に分解する。
次に、酸生成槽7における酸発酵処理を経た分離水を、ラインL9を通じて処理槽8内に導入する。処理槽8において、被処理水に含まれる有機物のメタン発酵処理を行う。被処理水が槽の下部から上部へ向けて上昇する間に、グラニュール汚泥8aと接触し、有機酸がメタン発酵によって分解される。処理槽8内においては、グラニュール汚泥8aに油脂が付着することなどに起因する問題を未然に防止することができる。よって、処理槽8は、その処理能力を十分に発揮することができ、高負荷運転も可能となる。
処理槽8からラインL10を通じて排出される処理水は、排出先の水質基準あるいは用途に応じて必要な処理が施された後、放流等される。ラインL11を通じて排出されるバイオガスは、脱硫処理等を経て、エネルギーとして利用できる。
本実施形態によれば、油脂分離手段3によって分離されたフロスは、フロス処理手段4において、撹拌機40によって破砕処理される。この処理を経て得られた破砕フロスは、粒径が小さい微細粒子であるため、油脂分解槽5において破砕フロスと酵素との接触を十分に図ることができ、油脂を高度に分解できる。
また、本実施形態によれば、フロス処理槽41において、フロスを破砕処理しつつ酵素と接触させることができる。これにより、油脂分解槽5における処理に先立ち、フロス処理槽41において油脂の一部について分解が図られ、油脂をより一層高度に処理できる。さらに、従来、産業廃棄物として処分されていたフロスを十分に分解処理できるため、その削減が可能であるとともに、フロスからエネルギー(バイオガス)を回収できるという利点がある。
(第2実施形態)
図4を参照しながら、本発明に係る排水処理装置の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る排水処理装置は、上記の第1実施形態に係る装置と以下の点において相違する。すなわち、油脂分解槽5からの処理液を凝集処理する凝集槽53、沈殿槽6から排出される液体分6bを一旦貯留する貯留槽60、貯留槽60内の液体分6bをフロス処理手段4又は油脂分解槽5へ返送するためのポンプ61及びラインL33を備える点である。
凝集槽53は、油脂分解槽5からの処理液に対して、ポリマーを添加する手段を備える。ポリマーの添加による凝集効果によって、沈殿槽6における固形分の濃縮効率を向上させることができる。貯留槽60からのラインL33は、フロス処理手段4の上流側のラインL32と、油脂分解槽5とに接続されている。フロス処理手段4や油脂分解槽5における油脂の濃度が高すぎる場合には、ラインL32を通じて液体分6bを返送することにより、油脂の濃度を調整し、フロスの破砕処理や油脂の分解処理を好適に行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではフロスの破砕手段として撹拌機40を採用した場合について説明したが、フロスを破砕できる機能を有するものであれば、他の装置を用いてもよい。例えば、フロスを移送する配管内またはその途中に破砕手段を配置し、これによってフロスの破砕処理を行ってもよい。かかる装置としては、いわゆるインラインミキサー、スタティックミキサー、高圧ホモジナイザー及び超音波ホモジナイザーなどが挙げられる。
また、上記実施形態では、油脂分離手段3において分離される油脂含有物は、油脂含有粒状物であるフロスを含むものである場合について説明したが、液状の油脂である場合には、撹拌機やホモジナイザーを用いて乳化処理を行ってもよい。液状油脂を乳化させることで、油脂と酵素との接触を十分に図ることができ、油脂を高度に分解できる。
また、上記実施形態では、油脂分離手段3とフロス処理手段4との間にフロスピット32を設ける場合について説明したが、ラインL3をフロス処理槽41に接続することにより、油脂分離手段3で分離したフロスを処理槽41へ直接移送してもよい。
さらに、図1,2,4に示す通り、液体分6bを移送するためのラインL8、固形分6aを返送するためのラインL17、及び液体分6bを返送するためのラインL33は、ラインL2,L4、ラインL32、及びラインL32に各々接続されることとしたが、移送先や返送先の油脂分離手段3や酸生成槽7、フロス処理槽41に直接接続してもよい。
〔油脂含有排水の分解実験〕
表1に示す組成の合成排水を調製し、この合成排水の分解実験を行った。表1におけるTSは蒸発残留物を示し、蒸発残留物のうち、ASHは強熱残留物すなわち無機成分、VTSは揮発性の蒸発残留物すなわち有機成分を示す。また、n−Hex抽出物は、ノルマルヘキサン抽出法によって測定される油脂含有濃度を示す。このn−Hex抽出物のうち固形であるものが、本実施形態でいうフロスに相当する。
(実験例1)
合成排水500mlを、フロス分散装置(IKA製ホモジナイザー:T18 basic ULTRA-TURRAX(登録商標))により5分間破砕処理したものと、比較例として破砕処理をしなかったものとについて、油脂分解槽にて分解処理した。分解処理の処理時間は、いずれの場合もHRTで24時間とした。その結果、破砕処理をした場合は、分解処理後のn−Hex抽出物が1,000mg/Lであり、油脂は十分に分解された。これに対し、破砕処理をしなかった場合は、分解処理後のn−Hex抽出物は2,000mg/L残存した。このように、破砕処理により、油脂の分解処理性能を向上できることが示された。
(実験例2)
合成排水に、油脂分解微生物剤を4mg/Lとなるように混合し、その他の条件は実験例1の破砕処理をした場合と同様にして、破砕処理及び分解処理を行った。その結果、分解処理後のn−Hex抽出物は500mg/Lであり、実験例1に比して油脂は一層分解された。このように、微生物剤により、油脂の分解処理性能を一層向上できることが示された。
3…油脂分離手段、4…フロス処理手段(油脂事前処理手段)、5…油脂分解槽、8…上向流式嫌気性処理槽、10…排水処理装置、40…撹拌機(破砕手段)、41…フロス収容槽、42…微生物剤収容槽。

Claims (3)

  1. 油脂を含有する有機性排水を処理するための排水処理装置であって、
    前記有機性排水から油脂含有粒状物を含む油脂含有物を分離するとともに、油脂の含有量が低減された分離水を得る油脂分離手段と、
    前記分離水を少なくとも含む被処理水を酸生成槽において酸発酵処理した後に収容し、当該被処理水を嫌気性処理する上向流式嫌気性処理槽と、
    前記油脂分離手段によって分離された前記油脂含有物に含まれる前記油脂含有粒状物を破砕し、当該油脂含有粒状物の粒径を小さくする破砕手段と、
    前記破砕手段によって粒径が小さくされた油脂含有粒状物とこれに含まれる油脂を分解するための菌体とを収容し、当該油脂の分解処理を行う油脂分解槽と、
    を備え
    前記油脂分解槽には、当該油脂分解槽において分解処理がなされた処理液のうち後段の沈殿槽において沈降分離された固形分が返送されることを特徴とする排水処理装置。
  2. 前記破砕手段によって粒径が小さくされた油脂含有粒状物に含まれる油脂を分解するための菌体を添加する添加手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の排水処理装置。
  3. 前記破砕手段によって粒径が小さくされた油脂含有粒状物を前記油脂分解槽に供給するためのラインを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の排水処理装置。
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