JP4408328B2 - 有機性排水の処理方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性排水の処理方法及び装置に係り、より詳しくは、牛乳製造工程で排出される排水等の油脂分を含む有機性排水の処理に用いられる有機性排水の処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来技術】
牛乳製造工程で排出される排水(以下「牛乳製造排水」という)等の有機性排水は一般に油脂分を含んでいるが、油脂分はスカムを発生させて悪臭の原因になると共に水質を悪化させる。従って、油脂分は有機性排水中から除去する必要がある。
【0003】
こうした油脂分を含む有機性排水を処理する方法として、UASB法、EGSB法等の嫌気性処理方法を用いた方法が知られている。この方法は例えば特開2000−210693号公報に開示されており、同公報には、油脂分を含む有機性排水を原水貯槽及び嫌気性処理槽で順次処理し、嫌気性処理槽で発生したスカムをオーバーフロー方式のスカム取出部材を用いて流出させ、これを原水貯槽に戻す方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の公報に記載の有機性排水の処理方法は、以下に示す課題を有する。
【0005】
すなわち上記有機性排水の処理方法においては、負荷を高くすると、有機性排水中の油脂分の除去率が低下すると共に、COD成分、BOD成分を十分に除去することができなくなり、処理水の水質が悪くなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、負荷が高くても、油脂分を十分に除去でき、処理水の水質低下を十分に防止できる有機性排水の処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成するため鋭意研究を行った。その結果、嫌気性処理槽から抜き取った本来不要であるはずのスカムを一定条件下に貯留していると、スカムが非常に早い速度で腐敗することを見出した。そして、この腐敗したスカムを嫌気性処理装置又はその上流側の有機性排水に添加することで上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
即ち本発明は、嫌気性処理装置を用いて有機性排水を嫌気性処理する嫌気性処理工程を含む有機性排水の処理方法において、前記嫌気性処理装置で発生したスカムを抜き取るスカム抜取り工程と、抜き取ったスカム中の油脂を生物分解して分解物を得る油脂分解工程と、前記分解物を前記嫌気性処理装置又はその上流側の有機性排水に添加する添加工程とを含むことを特徴とする有機性排水の処理方法である。
【0009】
負荷を高くすると嫌気性処理装置でスカムが発生する傾向があるが、このスカムは油脂分を多く含んでいる。そこで、本発明では、スカムを嫌気性処理装置から抜き取ってスカム中の油脂分を生物分解することとしている。このとき、油脂分を生物分解すると、油脂分解微生物が増殖する。そこで、得られた分解物を嫌気性処理装置又はその上流側の有機性排水に添加すると、分解物に含まれる油脂分解微生物が有機性排水中の油脂分を効率よく生物分解する。このため、嫌気性処理装置において、油脂分の付着による汚泥の浮上が十分に防止され、有機性排水中の有機物が汚泥により効率よく分解されることとなる。従って、負荷が高くても、有機性排水中の油脂分を十分に除去することが可能となり、処理水の水質低下を十分に防止することが可能となる。
【0010】
また、本発明は、有機性排水を嫌気性処理する嫌気性処理装置を備える有機性排水の処理装置において、前記嫌気性処理装置で発生するスカムを抜き取るスカム抜取り手段と、前記スカム抜取り手段により抜き取られるスカム中の油脂を生物分解して分解物を得る油脂分解槽と、前記油脂分解槽から排出される分解物を前記嫌気性処理装置又はその上流側の有機性排水に添加する添加手段とを備えることを特徴とする有機性排水の処理装置である。
【0011】
この装置の発明によれば、上記方法の発明を有効に実施することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の有機性排水の処理装置の一実施形態を示すフロー図であり、牛乳製造排水(有機性排水)の処理装置を示している。図1に示す処理装置は原水貯槽1を備えており、原水貯槽1には、ラインL1を経て油脂分を含む牛乳製造排水(有機性排水)が原水として投入されるようになっている。原水貯槽1からはポンプ2によりラインL2を経て原水貯槽排出水が酸生成槽3に導入されるようになっている。
【0014】
酸生成槽3内にはpH計12が設けられ、酸生成槽3には、酸供給源及びアルカリ供給源からそれぞれ酸及びアルカリが適宜供給されるようになっている。酸生成槽3から排出される酸生成槽排出水はポンプ4によりラインL3を経てメタン発酵槽5の底部に導入されるようになっている。
【0015】
メタン発酵槽5の底部には、メタン菌を保持するグラニュール汚泥が存在している。メタン菌は、メタン発酵槽5内の有機物をメタンガスと炭酸ガスとに分解するものである。メタン発酵槽5内には気固液分離装置6が設けられ、これにより、ガス、グラニュール汚泥及び処理水からなる気固液混合水がガス、グラニュール汚泥及び処理水の三相に分離されるようになっている。即ち、気固液分離装置6で分離されたガスは、ラインL5を経て焼却設備等に供給され、グラニュール汚泥はメタン発酵槽5の底部に戻され、処理水は、処理水排出ラインL4を経てメタン発酵槽5から排出されるようになっている。また、処理水の一部は、処理水排出ラインL4から分岐する分岐ラインL8を経て酸生成槽3に戻され、これにより酸生成槽3におけるpH調整が行われるようになっている。酸生成槽3に戻される処理水の量は、バルブ13の開閉により調整可能である。なお、酸生成槽3、ラインL3、ポンプ4、メタン発酵槽5、気固液分離装置6、ラインL4、分岐ラインL8及びバルブ13により嫌気性処理装置が構成されている。
【0016】
メタン発酵槽5で発生したスカムは、ラインL6を経てメタン発酵槽5から抜き取られるようになっている。ここで、図2に示すように、ラインL6の先端開口15は、水面16より若干低い位置に配置され、スカムが容易に流入されるようになっている。ここで、ラインL6の先端開口の下方に散気管14が設けられることが好ましい。この場合、散気管14より浮上する散気ガスによりスカムがラインL6の先端開口15に容易に集められる。また、ラインL6にはバルブ8及びポンプ9が設けられ、ポンプ9を作動しバルブ8を開くことでスカムの抜取りが可能となっている。なお、ラインL6、バルブ8及びポンプ9によりスカム抜取り手段が構成されている。
【0017】
メタン発酵槽5から抜き取られたスカムはラインL6を経て油脂分解槽7に導入されるようになっている。油脂分解槽7は、図3に示すように、油脂分解槽7の槽内液を攪拌する攪拌装置10と、槽内液を任意の温度に加温する加温装置(図示せず)とを備えている。油脂分解槽7では、攪拌装置10で槽内液を攪拌しながら加温装置で適当な温度に加温することにより油脂分解微生物が増殖し、この油脂分解微生物によりスカム中の油脂が分解されるようになっている。
【0018】
油脂分解槽7で得られた分解物は、ポンプ11によりラインL7を経て酸生成槽3に添加されるようになっている。酸生成槽3に分解物を添加するのは次の理由による。即ち酸生成槽3は一般に密閉されており、分解物を添加しても臭気の問題が発生しないからである。なお、ポンプ11、ラインL7により添加手段が構成されている。
【0019】
次に、前述した処理装置における牛乳製造排水の処理方法について説明する。
【0020】
まずラインL1を経て原水を原水貯槽1に投入し、原水貯槽1からは、ポンプ2によりラインL2を経て原水貯槽排出水を酸生成槽3に導入する。
【0021】
酸生成槽3では、pH計12で測定されるpH値に基づいて酸生成槽3に酸及びアルカリを添加することによりpHを酸生成菌に適したpH値に調整する。バルブ13を開き、処理水の一部を酸生成槽3に戻すことにより、酸生成槽3におけるpH値を調整してもよい。こうして酸生成槽3では有機物が効率よく有機酸に分解される。
【0022】
酸生成槽3からは、酸生成槽排出水をポンプ4によりラインL3を経てメタン発酵槽5の底部に導入する。すると、メタン発酵槽5内の有機酸がグラニュール汚泥によりメタンガスと炭酸ガスとに分解される。
【0023】
このとき発生するガスは浮上し、上昇水流を生じさせ、これに伴いグラニュール汚泥を上昇させる。そして、この気固液混合水は気固液分離装置6で分離される。即ちガスはメタン発酵槽5の上部に溜められた後、ラインL5を経て焼却設備等に供給され、グラニュール汚泥はメタン発酵槽5の底部に戻され、処理水は処理水排出ラインL4を経てメタン発酵槽5から排出される。
【0024】
ところで、処理装置において高負荷運転を行うと水面16にスカムが発生する。このスカムは、グラニュール汚泥を取り込んで浮上する傾向があり、油脂分を多く含んでいる。このため、この状態のままメタン発酵槽5を放置しておくと、負荷を高くした場合に、メタン発酵槽5で有機物が十分に分解されず処理水の水質が悪化し、油脂分の除去効率も低下する。
【0025】
そこで、バルブ8を開いた状態でポンプ9を作動することで、水面に発生したスカムをラインL6を経て抜き取る(スカム抜取り工程)。このとき、散気管14より散気ガスを供給することが好ましい。この場合、散気ガスにより水面16に発生したスカムがラインL6の先端開口15に容易に集められる。
【0026】
こうして抜き取ったスカム中の油脂は、油脂分解槽7に導入して生物分解する(油脂分解工程)。油脂の生物分解は具体的には次のようにして行う。即ち油脂分解槽7では、槽内液を攪拌装置10で攪拌しながら加温する。このときの槽内液の温度は通常20〜45℃であり、好ましくは30〜40℃であり、37℃又は38℃が好適である。槽内液の温度が20〜45℃の範囲を外れると、油脂分解菌が成育し難くなり、油脂分解槽7における油脂分の分解効率が低下する傾向がある。
【0027】
また槽内液のpHは5.0〜8.5とすることが好ましく、7.0〜7.5とすることがより好ましい。これは、pHが5.0〜8.5の範囲を外れると、油脂分解効率が低下する傾向があるからである。
【0028】
槽内液には油脂分解菌としてのリパーゼ生産菌を投入してもよい。このようなリパーゼ生産菌としては、例えばアスペルギルス属(Aspergillus)、カンジダ属(Candida)、フザリウム属(Fuzarium)、ケカビ属(Mucor)、ペニシリウム属(Penicillium)、クモノスカビ属(Rhizopus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、Achromobacter、Anaerovibrio、クロモバクテリウム属(Chromobacterium)、エシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Psedomonas)、バシラス属(Bacills)、ミクロコッカス属(Micrococus)、プロピオン酸菌属(Propionibacterium)等が挙げられる。これら油脂分解菌は、排水処理場等から検索分離される。
【0029】
こうしてスカム中の油脂が生物分解されると、分解物中では、油脂を分解する油脂分解微生物が増殖する。
【0030】
そこで、ポンプ11を作動し、油脂分解槽7で得られた分解物をラインL7を経て酸生成槽3に添加する(添加工程)。これにより、分解物に含まれる油脂分解微生物が有機性排水中の油脂分を効率よく生物分解する。従って、メタン発酵槽5において、油脂分の付着によるグラニュール汚泥の浮上が十分に防止され、メタン発酵槽5内の有機酸がグラニュール汚泥により効率よく分解され、ひいてはメタンガスの発生率の低下も十分に防止できる。よって、負荷が高くなっても、油脂分を十分に除去することができると共に、処理水の水質低下も十分に防止され、更にはメタンガスの発生率も増加させることができる。
【0031】
本発明は、前述した実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、嫌気性処理装置として、酸生成槽3とメタン発酵槽5とを備えたものを用いているが、フロック状汚泥を用いて嫌気性処理を行う消化槽を単独で用いてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、油脂分解槽7で得られた分解物を嫌気性処理装置の一部である酸生成槽3に添加しているが、酸生成槽3の上流側にあるラインL2中の有機性排水に分解物を添加してもよく、メタン発酵槽5につながるラインL3中の有機性排水に添加してもよい。また、添加する分解物の量が少量で臭気の問題がほとんど起こらない場合には、酸生成槽3の上流側にある原水貯槽1に添加してもよい。
【0033】
更に、上記実施形態では、メタン発酵槽5で発生したスカムを、ポンプ9やラインL6を使用してメタン発酵槽5から抜き取り油脂分解槽7に導入したが、メタン発酵槽5から手作業で抜き取りこれを油脂分解槽7に導入してもよい。
【0034】
更にまた、本発明は、牛乳製造排水以外に、コーヒー製造排水、菓子製造排水、水産物加工排水、食肉加工排水などの油脂含有排水にも適用可能である。
【0035】
次に、本発明の内容を、実施例により具体的に説明する。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
本実施例では、表1に示す組成を持つ牛乳製造排水を処理対象とした。表1中、「TS」は全蒸発残留物、「TKN−N」はケルダール法により求めた窒素分、「T−Sul」は硫黄、「T−P」はリン、「n−ヘキサン抽出物質」は油脂分を表す。
【0037】
【表1】
【0038】
図4は、本実施例に用いる牛乳製造排水の処理装置を示すものであり、図1と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付してある。図4において、原水貯槽1、酸生成槽3、メタン発酵槽5及び油脂分解槽7の容量はそれぞれ60L、2L、3L、1Lとした。
【0039】
この装置を用いて、原水を、原水貯槽1、酸生成槽3、メタン発酵槽5の順に処理した。原水の原水貯槽への供給量は20〜40L/日とした。上記処理は、メタン発酵槽における負荷を変えて行った。そして、負荷を変えるたびに、原水及び処理水のそれぞれにおけるCODcr、BOD及び油脂分の濃度を測定し、これよりCODcr、BOD及び油脂分の除去率を算出した。更にメタン発酵槽5におけるガス化率も測定した。その結果を表2に示す。なお、ガス化率は次のようにして求めた。即ち、メタン発酵槽5で発生したメタンガスの容積を測定し、これを標準状態(0℃、1atm)に換算した。そして、この標準状態に換算したメタンガスの容積と、先に測定した原水におけるCODcr濃度とからガス化率を求めた。従って、ガス化率の単位はNL/kgである(表3、5,6において同じ)。
【0040】
【表2】
【0041】
表2に示すように、負荷を高くすると、CODcr、BOD、油脂分の除去率が低下するが、特に油脂分の除去率低下が著しいことが分かる。また、負荷が8kgCODcr/m3/日を大きく超えると、処理水中の油脂分(n−ヘキサン抽出物質)濃度は水質汚濁防止法に規定されている限界値30mg/Lを超えることが分かった。更に、負荷が8kgCODcr/m3/日を超えると、酸生成槽3とメタン発酵槽5の上部にスカムの発生が見られた。このスカムについて、JISK0102−1998(24.2)に従い、TS(全蒸発残留物)分析を行うと共に、スカムを水に分散させたものについてn−ヘキサン抽出物質分析を行った。この結果より、TS(全蒸発残留物)の50〜60%が油脂分であることが分かった。これらの結果から、負荷が8kgCODcr/m3/日を超えた場合の油脂分の除去率低下の原因は、油脂分の分解が不十分となり、油脂分がスカム化したことにあることが明らかとなった。
【0042】
次に、酸生成槽3、メタン発酵槽5において発生したスカムをそのまま放置して処理を続行すると、スカム層が増大し、処理の続行が困難となるため、酸生成槽3及びメタン発酵槽5からそれぞれスカムを抜き取り処理を続行した。このとき、原水及び処理水のそれぞれにおけるCODcr、BOD及び油脂分の濃度を測定し、これよりCODcr、BOD及び油脂分の除去率を算出した。更にメタン発酵槽5におけるガス化率も測定した。その結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3に示すように、負荷を高くしてもCODcr、BOD、油脂分の除去率は高く、処理水の水質も良好であったが、負荷を高くすると、メタン発酵槽5におけるガス化率が低下することが分かった。
【0045】
次に、抜き取ったスカムを観察した。その結果、スカムの腐敗が進行しており、油脂分が分解されていることが推定された。そこで、JIS K0102−1998(24.2)に従い、スカムを水に分散させたものについてn−ヘキサン抽出物質分析を行い、この分析より、貯留したスカム中の油脂分量を求めた。その結果、油脂分が予想以上の速度で分解されていることを発見した。
【0046】
そこで、油脂分がどの程度分解されているかを調べるためにさらに次のような詳細な実験を行った。即ちまずスカムを酸生成槽3およびメタン発酵槽5の上部からそれぞれ抜き取り、密閉した油脂分解槽7に投入した。油脂分解槽7の容積は1日に投入する量の2倍とし、三日目以降は、投入量分を排出した後にスカムを投入するフィルアンドドロウ方式とした。この時、油脂分解槽7の槽内液の温度は38℃に加温した。また、油脂分解槽7では、油脂分解に伴うpHの低下が予想されたため、1NのNaOHと、1NのHClを用いて槽内液のpHを7.0〜7.5の範囲に調整した。そして、処理日数ごとに投入スカム中の油脂分濃度及び排出液中の油脂分濃度を測定し、これらの結果より油脂分除去率を算出した。こうして処理日数と油脂分除去率との関係を調べた。その結果を表4に示す。なお、投入スカム中の油脂分濃度、及び排出液中の油脂分濃度は、JIS K0102−1998(24.2)に従って行ったn−ヘキサン抽出物質分析により油脂分量を測定することにより算出した。なお、スカムについては、水に分散させた上でn−ヘキサン抽出物質分析を行った。
【0047】
【表4】
【0048】
表4の結果より、浮上スカムには油脂分も多量に含まれているが、これを分解する微生物も存在し、しかも油脂分の存在比率が多いため、油脂分解微生物が優先的に成育し、油脂の分解速度が非常に速くなることが分かった。
【0049】
そこで、酸生成槽3やメタン発酵槽5の上部に浮上したスカムを積極的に系外に引き抜き、油脂分解槽7でスカム中の油脂を分解し、油脂分解槽7からの排出液を酸生成槽3に投入しながら、原水を原水貯槽1、酸生成槽3及びメタン発酵槽5で処理した。処理に際し、油脂分解槽7には、油脂分解槽7の容量の半分量のスカムを1日一回酸生成槽3に投入し、油脂分解槽7からの排出液は連続して酸生成槽3に投入した。この時の処理は負荷を変えて行った。そして、負荷を変えるたびに原水及び処理水のそれぞれにおけるCODcr、BOD及び油脂分の濃度を測定し、これよりCODcr、BOD及び油脂分の除去率を算出した。更にメタン発酵槽5におけるガス化率も測定した。その結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
表5に示す結果より、負荷が8kgCODcr/m3/日を超えても、油脂分の除去効率は高く、ガス発生率も低下せず、また、負荷が20kgCODcr/m3/日までは良好な処理水質が得られることが分かった。
【0052】
(比較例1)
酸生成槽3およびメタン発酵槽5の上部で抜き取ったスカムを油脂分解槽7ではなく原水貯槽1に投入した以外は実施例1と同様にして牛乳製造排水の処理を行った。このとき、原水及び処理水のそれぞれにおけるCODcr、BOD及び油脂分の濃度を測定し、これよりCODcr、BOD及び油脂分の除去率を算出した。更にメタン発酵槽5におけるガス化率も測定した。その結果を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
表6に示す結果より、負荷を高くすると、油脂分の除去率が低下し、その上、ガス発生率も低下することが分かった。
【0055】
以上の実施例1及び比較例1の結果より、本発明によれば、負荷が高くても油脂分を十分に除去することができ、処理水の水質低下を防止でき、且つ嫌気性処理装置におけるガスの発生率も増加させることができることが分かった。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の有機性排水の処理方法及び装置によれば、嫌気性処理装置で発生するスカムを抜き取ってスカム中の油脂分を生物分解し、その分解物を嫌気性処理装置又はその上流側の有機性排水に添加するので、負荷が高くても、有機性排水中の油脂分を十分に除去でき、処理水の水質低下を十分に防止でき、嫌気性処理装置におけるガスの発生率の低下を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性排水の処理装置の一実施形態を示すフロー図である。
【図2】図1のメタン発酵槽を示す部分断面図である。
【図3】図1の油脂分解槽の内部を示す概略断面図である。
【図4】実施例1及び比較例1で使用する処理装置を示すフロー図である。
【符号の説明】
3…酸生成槽(嫌気性処理装置)、4…ポンプ(嫌気性処理装置)、5…メタン発酵槽(嫌気性処理装置)、7…油脂分解槽、8…バルブ(スカム抜取り手段)、9…ポンプ(スカム抜取り手段)、11…ポンプ(添加手段)、L6…ライン(スカム抜取り手段)、L7…ライン(添加手段)。
Claims (2)
- 嫌気性処理装置を用いて有機性排水を嫌気性処理する嫌気性処理工程を含む有機性排水の処理方法において、
前記嫌気性処理装置で発生したスカムを抜き取るスカム抜取り工程と、
抜き取ったスカム中の油脂を生物分解して分解物を得る油脂分解工程と、
前記分解物を前記嫌気性処理装置又はその上流側の有機性排水に添加する添加工程と、
を含むことを特徴とする有機性排水の処理方法。 - 有機性排水を嫌気性処理する嫌気性処理装置を備える有機性排水の処理装置において、
前記嫌気性処理装置で発生するスカムを抜き取るスカム抜取り手段と、
前記スカム抜取り手段により抜き取られるスカム中の油脂を生物分解して分解物を得る油脂分解槽と、
前記油脂分解槽から排出される分解物を前記嫌気性処理装置又はその上流側の有機性排水に添加する添加手段と、
を備えることを特徴とする有機性排水の処理装置。
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