JP5273725B2 - 内燃機関用プラグ電極材料 - Google Patents

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本発明は、内燃機関用プラグの電極材料及びその加工方法に関する。
内燃機関用のスパークプラグ電極材料は、低着火電圧特性などの放電特性が優れていることが必要なほか、エンジンの作動条件による様々な過酷な環境下でその特性を発揮することが求められる。
そのような条件として長期に亘る耐消耗性があり、これはスパークプラグが消耗すると電極間のギャップが広がるため、放電電圧が上昇し、失火しやすくなるからである。このため一般的な耐消耗性向上対策としては電極となる金属材料の組織を均一微細に調整することがこうした要求に応える手段とされてきた。
ところが、内燃機関内部の燃焼温度雰囲気が高温になることによりプラグ電極が高温に晒されて、いわゆる高温酸化消耗と呼ばれる現象により消耗することに対し、従来の方法は必ずしも十分ではなく、いろいろな改良手段が提案されている。
例えば、特開2001−203060号公報(特許文献1)では脱炭素処理を行い、Cの含有量を低減することで高温酸化消耗を制御することが記載されているが、脱炭素処理という工程が余計に必要になることが製造コストの面で不利である。
また、特開平11−154583号公報(特許文献2)には、900〜1700℃の焼鈍を行い、結晶の大きさを制御することで高温酸化消耗を抑制することが記載されているが、やはり焼鈍処理という工程が付加されることが製造コスト上不利である。また、これら両者の高温酸化消耗抑制効果はその内容からして一定の効果はあるものの、更なる根本的な抑制効果が望まれる。
特開2001−203060号公報 特開平11−154583号公報 特開平11−242983号公報
本発明は、従来技術よりさらに高温酸化消耗に対する抑制効果を向上した内燃機関用プラグの電極材料及びその加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、チップ長さにわたる、柱状の結晶を有する内燃機関用プラグ電極材料であり、
その加工後の硬度とその使用条件を模した1100℃、20hrの熱処理後の硬度との硬度比が130%以下であり、
また、その主成分がIrであることを特徴とする。
さらに、上記の内燃機関用プラグ電極材料の製造方法であって、一方向凝固組織を有する被加工材料を熱間線引き加工により線材に加工することを特徴とし、
そのような結晶組織として、被加工材料を融点近傍の高温で線材長手方向に順次部分的熱処理を行って一方向に冷却して結晶粒の方向を長手方向に揃えた素材を用いるものであり、
また、その加工条件として、上記熱間線引き加工における残留加工ひずみを抑制するため、加工条件を加工後の硬度がその使用条件を模した1100℃、20hrの熱処理後の硬度に対して130%以下とすることを特徴とする。
なお、上記した柱状の結晶とは、溶解鋳造インゴット等の柱状晶に由来して形成される加工後の組織であって、チップの伸線方向断面に現れる伸線方向に柱状に伸びた結晶である。
上記プラグ電極の使用条件を模した熱処理条件は、例えば特開平10−162931号公報等にも記載されているように広く採用されているが、同様の条件、あるいは同様の評価が可能な熱処理条件であればかまわない。
本発明の内燃機関用プラグの電極材料は、高温酸化消耗が少なく、エンジン内の過酷な環境条件下で放電する際、長期にわたり消耗を抑制して、電極間ギャップの広がりが抑えられ、放電電圧を安定して低く保ち、失火を防止する。
図1は、比較例のプラグチップの加工後、熱処理前の伸線方向に沿った断面を示す図。 図2は、比較例のプラグチップの熱処理後の伸線方向に沿った断面を示す図。 図3は、本発明実施例のプラグチップの加工後、熱処理前の伸線方向に沿った断面を示す図。 図4は、本発明実施例のプラグチップの熱処理後の伸線方向に沿った断面を示す図。 図5は、表1のデータに基づく加工素材〜熱処理後の硬度の変化を示すグラフ。 図6は、表1のデータに基づく加工後の硬度/熱処理後の硬度と消耗率の関係を示すグラフ。
本発明者等は、プラグ電極材料の耐久性向上の要求に対して結晶組織と高温酸化消耗の関係を解明すべく、次のような条件で熱処理温度を変化させて結晶組織を調整した電極材料を用いて高温下での消耗量を調査した。
99.9%up純度のIr粉末を原材料として水冷銅鋳型を用いたアーク加熱により溶解し、棒状のインゴットを得た。
このインゴットを1000〜1500℃の温度範囲で熱間鍛造した後、1500℃で結晶調整のために熱処理を施して10mmの角材を得た。この角材を1000〜1200℃の温度範囲で溝ロール、スエージング加工乃至ダイス伸線で熱間加工し、直径0.6mmの線材を得た。この線材を1100℃、1300℃、1500℃、1700℃で1時間熱処理を施した線材の横断面組織を観察した。
これら結晶組織の異なる材料をワイアソーで0.6mmの長さに切断して、φ0.6×0.6mmのチップを得た。
これらのチップを電気炉で大気雰囲気下で1100℃、20時間加熱した後、酸化消耗量を測定した。この結果によると、結晶粒子が均一微細な1100℃、1300℃の熱処理材に比べて、二次再結晶で粗大化した結晶粒を持つ1700℃熱処理材の消耗量が少ないことが判明した。
均一微細な材料に比べ、粗大化した結晶の消耗量低減が優れている理由を検証するため、様々な角度から検討した結果、材料表面の結晶粒から優先的に酸化消耗が生じていることが観察され、このように酸化消耗が進行するメカニズムから、粗大化して結晶粒が少ない1700℃熱処理材では酸化による消耗量が少ないことが理解される。
しかしながら、プラグ電極は、チップ長手方向端部を溶接固定して溶接面と反対側端面が放電にさらされ、単に高温酸化雰囲気中で酸化消耗するのみではなく、チップ端面近傍において放電に伴う物理的、機械的及び熱的衝撃などが作用し、また、結晶粒界からの酸化及び欠落も進行すると考えられる。
このため、上記1700℃熱処理材においては、結晶粒の形状は再結晶による球状晶であるため、これらの条件に晒されると結晶粒が割れ、或いは欠落を生じてこれらによるダメージが大きくなる。従って、スパークプラグチップでは、結晶粒を粗大化して酸化消耗量を抑制するのみでは実用上不十分であると考えられる。
そこで、本発明者らは結晶粒がチップ長手方向に沿って長く延長していれば、結晶粒同士の結合によってチップ端面からの割れや剥落が生じ難くなることに着想したものであって、これによれば、さらに各結晶粒がチップ長さにわたる長さであればチップ側面から進行するこれらの酸化消耗に対する割れや剥離を最小限に抑制することができる。
端的に云えば、チップを構成する結晶全てがそのチップ長さに亘る柱状晶、或いは単結晶であれば良いこととなるが、実用上このような完全な結晶組織を得ることは困難であるため、実用可能なチップ電極材料の条件及び加工法を検討した。
この電極材料としての条件を本発明のチップの例で示すと(図4参照。)、これらプラグ電極の使用条件を模した、1100℃、20時間の高温酸化消耗試験後のチップの伸線方向に沿った縦断面を観察した場合に、結晶粒が長く、その長さがチップ長さを超えて長い結晶が望ましく、これらの断面において少なくともそのような結晶粒が1以上あるような結晶組織であることである。
また、結晶が粗大かつ長大であっても、加工してチップに至るまでの高度の加工に伴って加工ひずみが残存する場合は、1000℃以上の高温に長時間晒される使用環境下では再結晶が進行して結晶が微細になるため、このような結晶組織が維持されない結果となると考えられる。
以上の実験結果から、内燃機関のスパークプラグ用電極材料として、結晶粒が粗大であると共にその形状が長いこと、また、その使用温度条件下で再結晶が進行しないように、加工ひずみが残存しないことが必要となる。
そこで本発明者等は、これらの条件を満たす電極材料及びその加工方法について研究を進め、チップ線材中の結晶粒について、結晶粒がチップ長さを超えて長く、チップ長さに沿う断面で観察して、チップ長さを超える結晶粒数が1以上であること、
また、加工ひずみの条件から、加工後の材料チップの硬さがその使用条件を模した高温酸化消耗試験の条件である、1100℃、20hrの熱処理後におけるその硬度に対して130%以下であることを突きとめた。
そして、これらの条件を満たす線材を得るため、線材の加工素材として粗大で長手方向に長い結晶、すなわち、柱状晶を持つ加工素材が必要であって、そのため、材料を溶解して一方向に凝固させる方法、材料を溶解することなく融点直下の高温で部分的熱処理を行い、一方向に冷却することにより同様の結晶組織を育成する方法などが採用可能である。これらの形態の結晶を得る方法としてその他にも粗大で長手方向に長い結晶を持つインゴットを得ることができればかまわない。
さらに、上記の条件を満たす線径の細いスパークプラグ用電極材料とするには、このような素材の結晶組織を維持して、被加工素材として加工ひずみを一定以上残存しないような条件下で、所定の線径の線材に加工しなければならない。
加工方向としては、熱間線引き加工により所定の線径にするが、加工ひずみを蓄積しないように熱間線引き時の温度を常に一定範囲とする。
以下の実施例に於いて確認されたその範囲は、熱処理後の硬度を基準として
(加工後の硬度Hv)/(使用条件を模した1100℃、20hrの熱処理後の硬度Hv)×100(%)≦130% であった。
以下に於いて、本発明実施例及び従来技術のものを比較例として具体的に説明する。
〈比較例〉
99.9up純度のIr粉末を原材料として18mm幅の水冷銅鋳型を用いてアーク溶解により溶解し、棒状のインゴットを得た。このインゴットを1500℃に加熱しながら熱間鍛造した後、1500℃で結晶調整のために熱処理を行った。
これを線引き加工の被加工材として、溝ロール、スエージング加工、及びダイス引き伸線で1000℃以下で熱間加工し、直径0.6mmの線材を得た。
横断面の金属組織を観察したところ、粒子数1456個、平均粒径14μmの結晶粒径の揃った材料であった。
これらの加工条件とその線材を用いて作成したチップの高温酸化消耗試験の結果を表1、比較例No.1に示す。
図1、2は、それぞれ、これらを走査顕微鏡で観察した熱処理前と熱処理の伸線方向に沿った縦断面である。図1では、筋状の加工組織が表れて結晶組織は見えないが、図2の熱処理後の組織では粒状の結晶が明瞭に表れている。
また、同様にして99.9up純度のIr粉末を原材料としてチョクラルスキー法により結晶組織を柱状晶としたものを比較例No.2、IrPt(5%)合金をアーク溶解によりインゴットとしたもの、及びIrRh(5%)合金についてチョクラルスキー法により結晶組織を柱状晶としたものをそれぞれ比較例No.3及び4として表1に示す。
〈実施例1〉
比較例と同様に99.9up純度のIr粉末を原材料として18mm幅の水冷銅鋳型を用いてアーク溶解により溶解し、棒状のインゴットを得た。このインゴットを1500℃に加熱しながら熱間鍛造した後、1500℃で結晶調整のために熱処理を行い、直径3mmの線材を得た。この線材を垂直方向に配置し、30rpmで回転させながらハロゲンランプを用いてフローティングゾーン溶融法(FZ法)を行った。この線材の長さ方向に沿った縦断面組織を観察すると線材長手方向で長大で部分的に単結晶組織であった。さらに、この線材を熱間で線引き加工して直径0.6mmの線材を得た。この際の加工はひずみを蓄積しないように1000℃以上の温度、1パスごとのリダクションを10%以下の条件で行った。
以上の加工により得られた線材の横断面の金属組織を観察したところ、粒子数108個、平均粒径51μmであった。この線材を0.6mmのチップ形状に切断し、大気雰囲気中で酸化消耗試験(1100℃で20hr)を行い、酸化揮発させた後に重量測定し、消耗率を算出した。これらの結果を表1、実施例No.1に示す。
また、この消耗率試験前、後の試験片の伸線方向に沿った縦方向断面の走査顕微鏡写真を図3及び4に示す。
熱処理前の断面では筋状の加工組織のため結晶組織は見えないが、熱処理後の組織では金属組織中で伸線方向に沿った縦方向に観察される線状のパターンが結晶粒界であって、チップ縦断面全長にわたっていることが解る。断面上下の境界はチップ外周面であって、線状のパターンが若干乱れているのは、加工時に表面近傍ではダイス面との間で強度の摩擦力などが作用するため、線材内部とは異なる結晶粒が表れるためである。これらの結晶粒は比較的小さく、線材表面に局在するため、本発明に於いては線材内部の結晶組織によって硬度などの評価を行っている。
〈実施例2〉
99.9up純度のIr粉末を原材料として、水冷銅鋳型を用いて高周波溶解した溶湯からチョクラルスキー(CZ)法によって20mm/secの速さで引き上げ、直径3mmの線材を得た。
この線材の縦方向断面組織を観察すると、線材長手方向に長大な組織であった。さらに、この線材を熱間線引き加工して直径0.6mmの線材を得た。この際の加工はひずみを蓄積しないように1000℃以上の温度、1パスごとのリダクションを10%以下の条件で行った。
以上の加工により得られた線材の横断面の金属組織を観察したところ、粒子数280個、平均粒径32μmの材料であった。この線材を0.6mmのチップ形状に切断し、前記の条件で高温酸化消耗試験を行い、酸化揮発させた後に重量を測定し、消耗率を算出した。
これらの結果を表1、実施例No.2に示す。
〈実施例3〉
従来例と同様に加工を施し、直径3mmの線材を得た。
この線材を高周波加熱コイルによって線材端部から1600〜2600℃の温度範囲で加熱し、10mm/secの速さで順次加熱帯域を他端部に向かってずらしながら一方向熱処理を行った。
この線材の縦断面組織を観察すると線材長手方向に長大な組織であった。さらにこの線材を熱間で線引き加工して直径0.6mmの線材を得た。この際の加工はひずみを蓄積しないように、1000℃以上、1パスごとのリダクションを10%以下の条件で行った。
以上の加工により得られた線材の横断面の金属組織を観察したところ、粒子数420個、平均粒径26μmの材料であった。この線材を0.6mmのチップ形状に切断し、上記と同じ高温酸化消耗試験を行い、酸化揮発させた後に重量を測定し、消耗率を算出した。以上の結果を表1、実施例No.3に示す。
〈実施例4〉
99.9up純度のIr粉末とPt粉末を原材料として、FZ法(フローティングゾーン溶解法)によって、直径3mmのIr Pt5%合金の線材を得た。
これらの線材の縦断面組織を観察すると線材長手方向に沿った長大な組織であった。さらにこの線材を熱間で線引き加工して直径0.6mmの線材を得た。
この際の加工はひずみを蓄積しないように、1000℃以上、1パスごとのリダクションを10%以下の条件で行った。
以上の加工により得られた線材を0.6mmのチップ形状に切断し、前記と同じ高温酸化消耗試験を行い、酸化揮発させた後に重量を測定し、消耗率を算出した。以上の結果を表1、実施例No.4に示す。
〈実施例5〉
99.9up純度のIr粉末とRh粉末を原材料として、チョクラルスキー法によって、直径3mmのIr Rh5%合金の線材を得た。
また、 これらの線材の縦断面組織を観察すると線材長手方向に沿った長大な組織であった。さらにこの線材を熱間で線引き加工して直径0.6mmの線材を得た。
この際の加工はひずみを蓄積しないように、1000℃以上、1パスごとのリダクションを10%以下の条件で行った。
以上の加工により得られた線材を0.6mmのチップ形状に切断し、前記と同じ高温酸化消耗試験を行い、酸化揮発させた後に重量を測定し、消耗率を算出した。以上の結果をそれぞれ表1、実施例No.5に示す。
これらの素材〜熱間線引き加工度〜熱処理条件と硬度との関係について、表1のデータにより作成した硬度変化を図5に示す。
本発明の加工条件による場合、加工素材の硬度から線引き加工後の硬度への硬化の度合いに対して、加工後の消耗試験の1100℃、20hrの熱処理後の硬度低下が小さいことが解る。
これに対して、比較例のものはいずれも、線引き加工による硬度の上昇と加工後の消耗試験の1100℃、20hrの熱処理後の硬度低下の度合いが大きく、特に熱処理後の値がほとんど加工前の硬度近傍にまで下がっていることが解る。
以上から、素材が柱状晶であっても溶解凝固法など柱状晶の度合いによって差があると共に、伸線加工による加工硬化によっても左右され、特に加工後の硬度と熱処理後の硬度の変化の間で明確な相関関係があることがわかる。
図5による硬度変化の関係によれば、比較例のものはいずれの溶解・凝固法による組織であっても伸線加工後の硬度が高く、また、その硬度から酸化消耗試験の熱処理後の硬度への硬度の低下が著しく、ほとんど加工前の硬度近傍にまで戻っている。これに対して本発明実施例は、熱間伸線加工時の加工硬化が低く抑えられているが、酸化消耗試験後の硬さへの低下が少なく、その硬さを維持していることがわかる。
表1のデータに基づいて、これらの硬度変化と消耗率の関係を図6のグラフに表す。
すなわち、これらの硬度変化と消耗率との関係は、これらの硬度変化を
硬化率=(加工後の硬度/酸化消耗試験後の硬度)×100%
とすると、130(%)を境に酸化消耗率(%)の値に明瞭な差が表れている。
これらの関係を表2に示す。
表2から、溶解凝固法により得られる素材の結晶組織が長大な柱状晶であること、それと同時に加工条件が加工歪が一定以上大きくならない条件で加工することが必要であることが分かる。
すなわち、加工による硬化が大きくても、消耗試験後の硬度低下が小さい場合は、いずれも良好な結果となっており(実施例1〜5)、これに対して加工後の硬度が高く、或いはそれほど高くなくとも、消耗試験後の硬度低下が大きいものはすべて良い結果が得られない〈比較例1〜4〉。
これらの効果は、合金組成によっても異なるが、同様の組成である場合は、硬化率による差が著しいことが解る。
この加工条件は、相関関係を保って変わるため一定条件として規定することが困難であるが、以上の結果から、その度合いが上記の1100℃、20hrの高温酸化消耗試験の条件下で熱処理を受けた後の硬度との関係、すなわち、これらの硬化率(%)によって確認できる。表1,2、及び図6によれば、消耗率の向上効果が表れる消耗率50%以下の条件を満たすこれらの好適範囲は130%以下であるから、その関係は次のようになる。
(加工後の硬度Hv)/(使用条件を模した1100℃、20hrの熱処理 後の硬度Hv)×100(%)≦130%
以上から、本発明のプラグチップ材料は、チップとしての金属組織が加工素材の柱状晶に由来する長大な柱状の結晶であることであり、図4に見るとおり、ほぼチップ全長に至る長大な柱状の結晶であった。
この様な組織が得られれば、前述の高温酸化消耗試験において内燃機関用プラグ材料として本発明の目的とする優れた性能を発揮できるのであり、また、その製造方法として、加工素材において長大な柱状晶の組織であること、その線引き加工工程において、残留する加工歪を抑制することが必要であり、そのために熱間線引き加工において温度、加工度を加工後の硬度がその使用環境に準じた条件である、1100℃、20hrの熱処理後の硬度に対して130%以下であることによって規定されるのである。
なお、プラグチップ材料の伸線方向に垂直な方向の断面の結晶粒子数は1個以上750個以下、望ましくは1個以上、350個以下、より好ましくは1個以上200個以下であると好適な結果が得られる。
本発明の電極材料は、酸化消耗に対して耐久性が高く、内燃機関の燃焼効率向上に寄与し、また耐用寿命が長いため、これらの動力を用いる分野において効率向上に寄与することが期待される。

Claims (4)

  1. チップ長さにわたる柱状の結晶を有し、熱間線引き加工による最終線引き加工後の硬度とその使用条件を模した1100℃、20hrの加熱処理後の硬度との比である硬化率が、130%以下である、Irを主成分とする内燃機関用プラグ電極材料。
  2. 一方向凝固組織を有する被加工材料を熱間線引き加工により線材に加工することを特徴とする、請求項1記載の内燃機関用プラグ電極材料の製造方法。
  3. 被加工材料を融点近傍の高温で線材長手方向に順次部分的熱処理を行って一方向に冷却して結晶粒の方向を長手方向に揃えた素材を熱間線引き加工により線材に加工することを特徴とする、請求項1記載の内燃機関用プラグ電極材料の製造方法。
  4. 上記熱間線引き加工における残留加工ひずみを抑制するため、加工条件を加工後の硬度が使用条件を模した1100℃、20hrの加熱処理後の硬度に対して130%以下とすることを特徴とする、請求項1〜3記載の内燃機関用プラグ電極材料の製造方法。
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