JP5273677B2 - 液体吐出ポンプ - Google Patents

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本発明は液体吐出ポンプに関する。
シリンダ内へ筒状ピストンと弁座部とを上下動自在に嵌合させると共に、筒状ピストンから吸込孔付きステムを起立させ、かつ筒状ピストンの下端一部を弁部とすると共に、該弁部が嵌合可能な嵌合溝を弁座部に設けて、これら弁部と嵌合溝とで開閉弁を構成させ、ステムの所定距離の下降で、弁座部が筒状ピストンから離脱すると共に筒状ピストンが押下げられることで、ステム内とシリンダ内とが連通してシリンダ内液体が吐出可能に設け、さらにシリンダ下端から吸込弁を起立させて、吸込弁を弁座部の中央孔へ水密かつ上下動自在に挿通させた合成樹脂製の液体吐出ポンプが従来技術として知られている。
実開平05−024569号公報
しかしながら、従来技術は、筒状ピストンの弁部が、嵌合溝を介して接触するところの弁座部のシール部部分の肉厚が大きく、したがって成形時、当該シール部部分にヒケが生じ易く、これが原因で嵌合溝の幅に寸法のばらつきが発生すると、弁座部の嵌合溝と筒状ピストンの弁部とにシール不良が生じるおそれがあり、吸込み工程時や製品の流通時に、シリンダ内液体が弁部と嵌合溝とのシール部およびステムを介してノズルから漏洩するという不具合が生じるため、これを防止すべく弁座部の寸法管理が厳しく行われていた。また弁座部の中央孔へ棒状の吸込弁を上下動自在に挿通させたものでは、吸込弁に対する弁座部の摺動抵抗をできるだけ小さくしてステムの押下げ操作を円滑にすべく弁座部の材質として柔軟性を有するものを選定する必要があることから材料選定の自由度が小さいものとなっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、環状弁座にヒケが生じ難く、かつステムの押下げ操作が円滑な液体吐出ポンプを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、シリンダ内へ上下動自在に嵌合させた筒状ピストン20からステム30を起立させ、該ステム下部内から前記筒状ピストン20を挿通して垂下する垂下筒41に吸込孔42を形成すると共に、該垂下筒下端に連通部付き環状弁座43を設けて、該環状弁座を上方へ弾発付勢させた弁座部材40を有する液体吐出ポンプにおいて、
前記環状弁座43上面に上面開口の嵌合溝47を設けて、該嵌合溝へ前記筒状ピストン20の一部を水密に嵌合させると共に、該嵌合溝より内方の環状弁座部分下面に下面開口のヒケ防止用溝48を設けて、該ヒケ防止用溝上面を前記嵌合溝47下面より上方へ位置させたことを特徴とする。
また、本発明は、前記筒状ピストン20下部を内外二重筒20a、20bに形成して、該内筒下部を前記筒状ピストンの一部となし、かつ該内筒下部内面にシール用突条23を周設して、該突条を前記嵌合溝47内面へ水密に圧接させると共に、該突条シール用突条23の圧接位置より上方へ前記ヒケ防止用溝48上面を位置させたことを特徴とする。
さらに、本発明は、前記環状弁座43は、前記シリンダ内へ上下動自在に嵌合させた嵌合筒部44と、該嵌合筒部上端に付設した内向きフランジ45と、該内向きフランジ内周に付設した上方小径のテーパ筒部46とからなり、前記内向きフランジ45の外周部に前記嵌合溝47を、かつ内周部にヒケ防止用溝48を、それぞれ形成したことを特徴とする。
さらに、本発明は、前記シリンダ下端から吸込弁60を起立させて、該吸込弁を前記テーパ筒部46へ水密かつ上下動自在に挿通させたことを特徴とする。
さらに、本発明は、押圧力による前記ステム30の下降で、該ステム下端が前記筒状ピストン20上面の凹溝21内面に形成した段部へ係合して該筒状ピストンを押下げ可能に、かつ前記環状弁座の嵌合溝47が前記筒状ピストンから離脱し、前記吸込孔42と前記環状弁座の連通部49とが連通してシリンダ内液体が吐出可能に設けたことを特徴とする。
さらに、本発明は、前記ステム30への押圧力解除で、前記環状弁座43が弾発付勢力で上昇して前記ステムを前記凹溝21の段部から離間させると共に、前記嵌合溝47が前記筒状ピストンへ嵌合して前記吸込孔42と連通部49との連通を遮断可能に設けたことを特徴とする。
本発明は、嵌合溝より内方の環状弁座部分にヒケ防止用溝を設けて、該ヒケ防止用溝上面を嵌合溝下面より上方へ位置させたので、環状弁座にヒケが発生することが防止され、この結果嵌合溝内面の変形が防止されて嵌合溝の幅に寸法のばらつきが生ずることが抑制されるため、環状弁座の嵌合溝と筒状ピストンの弁部とにシール不良が生じることがなく、このため環状弁座の寸法管理を柔軟なものとすることができる。
また、本発明は、上記のように環状弁座にヒケ防止用溝を設けたので、シリンダ下端から吸込弁60を起立させて、該吸込弁を環状弁座のテーパ筒部46へ水密かつ上下動自在に挿通させた場合には、テーパ筒部46が弾性変形容易となるため、吸込弁に対する環状弁座の摺動抵抗が減少してステムの押下げ操作が円滑となり、このため環状弁座の材質として必ずしも柔軟性を主眼とする必要がないことから、環状弁座の材料選定の自由度が増大する。
本発明に係る液体吐出ポンプの断面図である。 要部拡大断面図である。 吐出動作初期の状態を示す作用説明図である。 吐出動作終了時の状態を示す作用説明図である。 吸込開始の状態を示す作用説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
1はシリンダで、パッキンを介して容器体の口頸部2上端へ載置させた外向きフランジ3内周から周壁4を垂下して、周壁4の下端部を下方小径のテーパ筒部5に形成すると共に、テーパ筒部5の上端部内面に上向き段部6を形成し、また周壁4下面を閉塞する底壁7の中央部に吸込孔8を形成すると共に、周壁4下端部に複数の突条9を縦設して、突条下面を後述する吸込弁の弁座9aとなし、さらに吸込孔8周縁から吸上げパイプ嵌合筒10を垂下させている。
20は筒状ピストンで、シリンダ1内へ上下動自在に嵌合されていて、その上面には上面開口の凹溝21を周設し、かつ該凹溝より内方の筒状ピストン部分は外方の筒状ピストン部分より高く形成させている。また筒状ピストン下部を内外二重筒20a、20bに形成して、内筒20a下端部内面にシール用突条23を周設して、該突条を後述の嵌合溝内面へ水密に圧接させている。
30はステムで、筒状ピストン20の上端部へ上下動自在に嵌合させた大内径部30a上端からテーパ部を介して小内径部30bを起立する。
40は弁座部材で、ステム30下部内へ上部を嵌着させて垂下する垂下筒41を筒状ピストン20内へ挿通させると共に、垂下筒41下方部に吸込孔42を形成し、さらに垂下筒41下端に環状弁座43を備えている。
環状弁座43は、シリンダ1内へ嵌合筒部44を上下動自在に嵌合させ、該嵌合筒部上端に内向きフランジ45を付設すると共に、該内向きフランジ45内周に上方小径のテーパ筒部46を形成させ、さらに内向きフランジ45の外周部上面に上面開口の嵌合溝47を、かつ内周部下面に下面開口のヒケ防止用溝48を、それぞれ形成すると共に、内向きフランジ内周部上面に垂下筒41を起立させている。
ヒケ防止用溝48上面は嵌合溝47下面より上方、好ましくは嵌合溝47内面に対するシール用突条23の圧接位置よりも上方へ位置させる。なお、嵌合筒部44の外周部には周方向に所定の間隔をおいて連通部としての複数の連通溝49を縦設する。また環状弁座43は、下端を上向き段部6へ、上端を内向きフランジ45下面へ、それぞれ当接させたコイルスプリング50で上方へ弾発付勢させる。
60は吸込弁で、突条9下面が構成する弁座9a内へ下端部を上下動自在に嵌合させた筒弁部61の上面から棒状部62を起立させ、かつ該棒状部62の上部を環状弁座43のテーパ筒部46内へ上下動自在に嵌合させている。
70はステム抜止め筒で、シリンダ1の外向きフランジ3へ載置させた鍔部内周へ貫設させた下方大径の嵌合筒71下端を筒状ピストン20上端へ当接させている。
80は装着筒で、容器体口頸部2外面へ螺合させた周壁81上端から内向きフランジを介して案内筒82を起立させている。
90はノズルヘッドで、頂壁91から内外二重筒92、93を垂下して、内筒92をステム30上部へ嵌合させると共に、外筒93を案内筒82へ遊嵌させ、さらに内外筒へノズル94を貫設させてステム30へ連通させている。
100は吸上げパイプで、吸上げパイプ嵌合筒10へ上部を嵌合させて容器体内へ垂下する。
次に作用について説明する。
ノズルヘッド90を押下げると、図3および図4に示すようにステム30と共に環状弁座43が下降して筒状ピストン20から下方へ離間する一方、ステム30は筒状ピストン20の凹溝21内面に形成した段部へ当接して筒状ピストン20を押下げる。するとシリンダ内液体が加圧されて連通部49および吸込孔42を介してステム30内へ流入しノズル94から吐出される。
ノズルヘッド90の押下げを解除すると、図5および図2右半部に示すように環状弁座43がコイルスプリング50の付勢力で上昇し、これと共にステム30も上昇して筒状ピストン20の凹溝21内面に形成した段部から離脱する一方、環状弁座43の嵌合溝47内へ筒状ピストン20の内筒20a下端が嵌合してシール用突条23が嵌合溝47の内面へ水密に圧接して連通部49と吸込孔42との連通を遮断する。
上記のように環状弁座43にはヒケ防止用溝48が形成されているから、嵌合溝47の内壁にはヒケが生じ難く、したがってシール用突条23と嵌合溝47との間にシール不良が生じるおそれがなく、またヒケ防止用溝48を形成することでテーパ筒部46が弾性変形し易く、このため吸込弁60に対するテーパ筒部46の摺動が円滑であり、したがってノズルヘッド90の押下げ操作が円滑に行える。
本発明は、液体吐出ポンプを備えた容器の分野に利用することができる。
20 筒状ピストン
20a、20b 内外二重筒
21 凹溝
23 シール用突条
30 ステム
40 弁座部材
41 垂下筒
42 吸込孔
43 環状弁座
44 嵌合筒部
45 内向きフランジ
46 テーパ筒部
47 嵌合溝
48 ヒケ防止用溝
49 連通溝(連通部)
60 吸込弁

Claims (6)

  1. シリンダ内へ上下動自在に嵌合させた筒状ピストン20からステム30を起立させ、該ステム下部内から前記筒状ピストン20を挿通して垂下する垂下筒41に吸込孔42を形成すると共に、該垂下筒下端に連通部付き環状弁座43を設けて、該環状弁座を上方へ弾発付勢させた弁座部材40を有する液体吐出ポンプにおいて、
    前記環状弁座43上面に上面開口の嵌合溝47を設けて、該嵌合溝へ前記筒状ピストン20の一部を水密に嵌合させると共に、該嵌合溝より内方の環状弁座部分下面に下面開口のヒケ防止用溝48を設けて、該ヒケ防止用溝上面を前記嵌合溝47下面より上方へ位置させた
    ことを特徴とする液体吐出ポンプ。
  2. 前記筒状ピストン20下部を内外二重筒20a、20bに形成して、該内筒下部を前記筒状ピストンの一部となし、かつ該内筒下部内面にシール用突条23を周設して、該突条を前記嵌合溝47内面へ水密に圧接させると共に、該シール用突条23の圧接位置より上方へ前記ヒケ防止用溝48上面を位置させたことを特徴とする請求項1記載の液体吐出ポンプ。
  3. 前記環状弁座43は、前記シリンダ内へ上下動自在に嵌合させた嵌合筒部44と、該嵌合筒部上端に付設した内向きフランジ45と、該内向きフランジ内周に付設した上方小径のテーパ筒部46とからなり、前記内向きフランジ45の外周部に前記嵌合溝47を、かつ内周部にヒケ防止用溝48を、それぞれ形成した
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出ポンプ。
  4. 前記シリンダ下端から吸込弁60を起立させて、該吸込弁を前記テーパ筒部46へ水密かつ上下動自在に挿通させたことを特徴とする請求項3記載の液体吐出ポンプ。
  5. 押圧力による前記ステム30の下降で、該ステム下端が前記筒状ピストン20上面の凹溝21内面に形成した段部へ係合して該筒状ピストンを押下げ可能に、かつ前記環状弁座の嵌合溝47が前記筒状ピストンから離脱し、前記吸込孔42と前記環状弁座の連通部49とが連通してシリンダ内液体が吐出可能に設けた
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の液体吐出ポンプ。
  6. 前記ステム30への押圧力解除で、前記環状弁座43が弾発付勢力で上昇して前記ステムを前記凹溝21の段部から離間させると共に、前記嵌合溝47が前記筒状ピストンへ嵌合して前記吸込孔42と連通部49との連通を遮断可能に設けたことを特徴とする請求項5記載の液体吐出ポンプ。


































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