JP5273144B2 - 質量分析データ解析方法及び質量分析データ解析装置 - Google Patents

質量分析データ解析方法及び質量分析データ解析装置 Download PDF

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Description

本発明は、質量分析により収集されたマススペクトルデータを解析処理する質量分析データ解析方法及び質量分析データ解析装置に関し、さらに詳しくは、2以上の電荷を有する多価イオンに由来するピークが現れたマススペクトルを解析処理し、目的化合物の分子量を求めたり目的化合物を同定したりするための質量分析データ解析方法及び質量分析データ解析装置に関する。
液体試料や液体クロマトグラフにより成分分離された溶出液中の分析対象成分をイオン化して質量分析するために、大気圧イオン化インタフェイスが利用されている。代表的な大気圧イオン化法としては、エレクトロスプレイイオン化法(ESI)や大気圧化学イオン化法(APCI)などが知られている。一般に、こうした大気圧イオン化インタフェイスは、四重極型質量分析装置やイオントラップ型質量分析装置、或いは飛行時間型質量分析装置と組み合わせて使用されることが多い。
大気圧イオン化インタフェイス、特にESIインタフェイスは、目的化合物がイオン化する過程で、複数の電荷を有する多価イオンを生成し易いという特性を有する。多価イオンはその価数に応じて元の化合物の分子量よりもm/z値が小さくなるため、分析対象のm/z値の範囲を相対的に低い範囲に限定できるという利点がある。特に蛋白質やペプチドなど、大きな分子量の化合物を分析する場合、1価イオンのm/z値は質量分析装置の測定可能範囲を超えてしまうことがあるが、多価イオンを利用することによりm/z値を質量分析装置の測定可能範囲に収めることができる。こうしたことから、多価イオンを利用した質量分析は分子量の大きな化合物の同定に大きな威力を発揮する。
もちろん、大きな分子量を持つ化合物を質量分析した場合、様々な価数のイオンに由来するピークがマススペクトルに現れる。また、様々な種類の化合物が混合された試料を分析する際には、各化合物由来のピークがマススペクトル上で混在する。そのため、こうしたマススペクトルに対するデータ解析処理は煩雑になる。このような複数の多価イオンピークが観測されるマススペクトルから目的化合物のピークを分離・抽出してそのm/z値を求める手法は、デコンボリューション(Deconvolution)と呼ばれている(非特許文献1など参照)。
ESIなどによるイオン化に際し、目的化合物には様々なイオンが付加又は脱離して多価イオンを生じる。例えば正イオン測定モードでは、目的化合物に1個のプロトン(H+)が付加したプロトン付加イオンのほかに、液体クロマトグラフで使用される移動相中に存在するイオンやその配管の金属によるイオン、例えば、ナトリウム(Na)、アンモニア(NH4)、プロトンとメタノールとの両方、などの各種成分が目的化合物に付加したイオン(アダクトイオン)が検出され得る。一方、負イオン測定モードでは、目的化合物から1個のプロトンが脱離したプロトン脱離イオンのほか、移動相中の酢酸(CH3COOH)、蟻酸(HCOOH)などの成分が目的化合物に付加したアダクトイオンが検出される。
同じ価数のアダクトイオンであっても、目的化合物に付加する又は目的化合物から脱離する物質によってアダクトイオンのm/z値は相違する。したがって、多価イオンのピークが現れているマススペクトルをデコンボリューション処理するには、目的化合物にどのような成分が付加又は脱離しているのかを特定することが必要である。そこで、特許文献1などに記載の従来のデコンボリューション処理では、次のような手順で処理が実施されていた。即ち、まず解析処理実行前に、イオン化の際に目的化合物に付加又は脱離する成分(イオン)の種類をユーザが入力する。それを受けて、データ解析処理装置は、nを自然数、Aを付加したイオンの質量(m/z値)、Mを目的化合物の質量、としたときに、マススペクトル上で観測される多価イオンのピークのm/z値が、(M/n)−A、というn、Mの組合せが整然と成り立つ系列であることを利用して、同一質量Mの化合物に由来する複数のピークを一つにまとめる。そして、その結果に基づき、目的化合物の質量Mを決定し、該化合物を同定する。
しかしながら、上述したような化合物へのイオン付加反応や脱離反応の種類や起こり易さは、化合物の性質やイオン化の条件などによってその傾向が異なる。また、そうしたイオンの付加反応や脱離反応をコントロールすることも難しい。そのため、どのような種類のアダクトイオンが検出されるのかを事前に予測することはかなり難しい作業である。こうした作業には豊富な知識や経験が必要であるため、高い技量を有する担当者が解析作業を担っているのが現状であり、知識や経験が不足している者では精度の高い解析が行えないという問題がある。また、経験を積んだ分析担当者が解析作業を行う場合であっても、或る程度の試行錯誤的な作業が必要になるため、作業に時間が掛かりスループットが低いという問題もある。
さらにまた様々な化合物が混合した試料を分析する場合には、複数の化合物に由来する多数のピークがマススペクトル上に観測される。そのため、偶発的に誤った価数nを定めてしまい、そのために最終的な質量計算を誤るおそれがある。
米国特許第5130538号明細書 「[技術分類]2−4−1−4 質量分析全般技術/データ処理/スペクトル処理/デコンボリューション」、[online]、特許庁、[平成20年5月1日検索]、インターネット<URL : http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/mass/2-4-1.pdf>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、目的化合物をイオン化する際に付加又は脱離する成分をユーザが推定する労力を省くことにより、高度な化学的知識や分析の経験が乏しい者でも、高い精度で且つ効率良く目的化合物の質量の特定や同定を行うことができる質量分析データ解析方法及び質量分析データ解析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された第1発明は、質量分析により取得された、多価イオンのピークが出現したマススペクトルデータを解析処理することにより、目的化合物の質量を求める質量分析データ解析方法であって、
a)マススペクトル上の同位体クラスタを検出し、各同位体クラスタの価数を推定する価数推定ステップと、
b)検出された前記同位体クラスタ毎に、その同位体クラスタを代表するm/z値を求める代表点決定ステップと、
c)同一の目的化合物に由来すると推定される2個以上の同位体クラスタの代表点及び価数の組み合わせから、イオン化に際して目的化合物に付加した又は目的化合物から脱離した成分のm/z値の候補を求める候補抽出ステップと、
d)複数の同位体クラスタの異なる組み合わせにより得られた複数の前記候補について、その候補のm/z値又はその算出の元となった同位体クラスタの組み合わせの妥当性を評価することにより、最終的に1つの候補を選定する付加/脱離成分選定ステップと、
e)選定した付加/脱離成分のm/z値と価数とから目的化合物の質量を推定する化合物推定ステップと、
を有することを特徴としている。
また第1発明に係る質量分析データ解析方法を具現化した第2発明は、質量分析により取得された、多価イオンのピークが出現したマススペクトルデータを解析処理することにより、目的化合物の質量を求める質量分析データ解析装置であって、
a)マススペクトル上の同位体クラスタを検出し、各同位体クラスタの価数を推定する価数推定手段と、
b)検出された前記同位体クラスタ毎に、その同位体クラスタを代表するm/z値を求める代表点決定手段と、
c)同一の目的化合物に由来すると推定される2個以上の同位体クラスタの代表点及び価数の組み合わせから、イオン化に際して目的化合物に付加した又は目的化合物から脱離した成分のm/z値の候補を求める候補抽出手段と、
d)複数の同位体クラスタの異なる組み合わせにより得られた複数の前記候補について、その候補のm/z値又はその算出の元となった同位体クラスタの組み合わせの妥当性を評価することにより、最終的に1つの候補を選定する付加/脱離成分選定手段と、
e)選定した付加/脱離成分のm/z値と価数とから目的化合物の質量を推定する化合物推定手段と、
を備えることを特徴としている。
また第1発明に係る質量分析データ解析方法はコンピュータ上で動作するプログラムとして記述され、このプログラムをコンピュータで動作させることにより、第2発明に係る質量分析データ解析装置を具現化するものとすることができる。
ここで利用される質量分析装置は、質量分解能や質量精度が高いものである必要がある。具体的には、同位体クラスタを構成する複数の同位体ピークを十分に観測可能な程度に高い分解能や精度が要求される。この点から、一般的には、質量分離器として飛行時間型質量分離器(TOF−MS)を用いるとよい。
また、質量分析装置のイオン源としては、多価イオンのピークが出現したマススペクトルを得易いという点で、エレクトロスプレイイオン化を代表とする大気圧イオン源が用いられる。
第2発明に係る質量分析データ解析装置により具現化される第1発明に係る質量分析データ解析方法において、マススペクトルから同位体クラスタを検出するためには、例えば、本願出願人が国際出願番号PCT/JP2006/308909(国際公開番号WO2006/12928号公報)で提案している手法を利用することができる。即ち、まず、マススペクトル上の各ピークを、そのピークの重心を表すm/z値とそのピーク面積との2つの値で表すセントロイドデータを作成する。そして、そのセントロイドデータ上のピークの出現パターンを利用して、マススペクトル上の同位体クラスタを検出すると同時に、同位体クラスタを構成する複数のピークのm/z間隔から価数を推定する。
試料が単一の化合物を含む場合には、この単一化合物に由来する多価イオンのピークがマススペクトルに現れる。したがって、単一化合物に由来する価数の相違する複数の同位体クラスタが検出される。一方、試料が複数の化合物の混合物である場合には、各化合物に由来する多価イオンのピークがマススペクトルに現れる。したがって、複数の化合物毎に価数の相違する同位体クラスタが存在し得るから、マススペクトルはより複雑なものとなる。
代表点決定ステップは、各同位体クラスタ毎に代表点のm/z値を決定する。同一物質からなる同位体クラスタは、価数が異なる場合でもほぼ同じ分布形状になることが知られている。そこで、通常は、同位体クラスタ中の先頭に現れるピークや、最大強度を示すピークを代表点とすることが多い。しかしながら、先頭に現れるピークは分子量が大きい場合には強度が低くなり、ノイズに埋もれてしまうおそれがある。そのため、先頭ではなく1つ後方のピークを拾ってしまう場合があり得る。また最大強度のピークに関しても、最大強度と2番目に大きな強度とが近い場合に、それらが入れ替わることが容易に考えられる。そこで、好ましい一つの態様として、代表点を安定的に求めるために、最大強度ピーク近傍の複数ピークの重心m/z値を代表点として定めるとよい。或いは、モノアイソトピックイオンのm/z値を利用することも可能である。こうして各同位体クラスタの価数と代表点とが決まる。
同一の化合物に由来する多価イオンは、その価数に拘わらず、同一の成分が化合物に付加して又は脱離して生成されたイオンであると想定できる。もちろん、異なる化合物には別の成分が付加又は脱離して多価イオンが生成されることがある。化合物に付加又は脱離してアダクトイオンを生成する成分の種類は或る程度想定でき、そのm/z値がそれほど大きな値となることはないから、採り得るm/z値の範囲を限定することができる。
候補抽出ステップでは、多数の同位体クラスタに対し、上記付加/脱離成分の採り得るm/z値の範囲を考慮して、それぞれの価数と代表点とから、同一化合物由来であると推定される2以上の同位体クラスタを抽出し、それら同位体クラスタの組み合わせにより付加/脱離成分のm/z値を計算して、これを付加/脱離成分のm/z値の候補とする。同一化合物由来と推定される同位体クラスタの組み合わせであっても、質量の誤差や選択したピークの誤りなどによって候補のm/z値は相違する。したがって、通常、価数の相違する多価イオンが多いほど、得られる候補の数も多くなる。
付加/脱離成分選定ステップでは、複数の付加/脱離成分の候補に対し、各候補の妥当性を評価することにより、1つの候補を選定する。この選定にあたっては、複数の評価基準を利用することができる。例えば、まず或る評価基準で明らかに異常であると推定される候補を除外した上で、残った候補の中について、別の評価基準を適用して最も妥当な候補を選定することができる。
具体的な例を挙げると、複数の候補のm/z値に統計的手法を適用して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することができる。統計的手法とは、例えば、複数の候補のm/z値の分散度合を用い、分散度合が小さいものを妥当性が高いと判断する。
また価数が相違する2つの以上の同位体クラスタであっても、同じ化合物由来のピークが複数存在すれば、その代表点の相対強度比には強い相関がある。そこで、マススペクトル上で、価数を跨った、代表点の強度比又は代表点に直近のピークの強度比を評価することで、同位体クラスタの組み合わせの妥当性を評価し、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外するようにしてもよい。
そうして付加/脱離成分のm/z値が確定したならば、化合物推定ステップでは、その付加/脱離成分のm/z値と、そのm/z値の算出の元となった同位体クラスタにおける価数及び代表点とから、目的化合物の質量を推定し、目的化合物を同定する。
第1発明に係る質量分析データ解析方法及び第2発明に係る質量分析データ解析装置によれば、イオン化の際に目的化合物に付加する又は脱離する成分に関する情報をユーザが入力する必要がなく、最も妥当な付加/脱離成分が自動的に見い出される。したがって、化学的知識や分析経験に乏しい者であっても質量分析作業にあたることができ、しかも信頼度や再現性の高い解析結果を得ることができる。また、マススペクトルの解析にあたって試行錯誤的な作業がなくなるので、解析作業の効率化を図ることができ、解析のスループットを向上させることができる。
本発明の一実施例であるLC/IT−TOFMSの要部の構成図。 本実施例のLC/IT−TOFMSにおけるマススペクトル解析処理の手順を示すフローチャート。 本実施例のLC/IT−TOFMSにおけるマススペクトル解析処理を説明するための概念図。 図2に示すマススペクトル解析処理における同位体クラスタ検出及び価数判定の処理手順を示すフローチャート。 同位体クラスタ検出を説明するための概念図。
符号の説明
1…液体クロマトグラフ(LC)部
11…移動相容器
12…送液ポンプ
13…インジェクタ
14…カラム
2…質量分析(MS)部
21…イオン化室
22…ESIノズル
23…脱溶媒管
24、27…中間真空室
25、28…イオンガイド
26…スキマー
29…分析室
30…イオントラップ
31…飛行時間型質量分離器(TOF)
32…リフレクトロン電極
33…イオン検出器
34…信号処理部
40…データ処理部
41…マススペクトル作成部
42…デコンボリューション処理部
43…データ記憶部
50…分析制御部
51…中央制御部
52…操作部
53…表示部
本発明に係る質量分析データ解析方法を具現化した質量分析データ解析装置を液体クロマトグラフ/イオントラップ飛行時間型質量分析装置(LC/IT−TOFMS)に適用した一実施例について、添付の図面を参照して説明する。
図1は本実施例のLC/IT−TOFMSの要部の構成図である。このLC/IT−TOFMSは、大別して、液体クロマトグラフ(LC)部1と質量分析(MS)部2とから成り、LC部1とMS部2とを接続する大気圧イオン化インタフェイスには、エレクトロスプレイイオン化(ESI)インタフェイスが用いられている。
液体クロマトグラフ(LC)部1にあって、送液ポンプ12は移動相容器11に貯留されている移動相を吸引し、一定流量でインジェクタ13を通してカラム14へと送給する。インジェクタ13により試料が注入されると、移動相の流れに乗って試料はカラム14へと導入される。カラム14を通過する間に試料中の各種成分は分離され、時間的にずれてカラム14の出口から溶出し、質量分析(MS)部2に導入される。
MS部2は、大気圧雰囲気に維持されるイオン化室21と、ターボ分子ポンプ(図示せず)により真空排気され、高真空雰囲気に維持される分析室29と、を有し、その間には、段階的に真空度が高くされた第1段中間真空室24、第2段中間真空室27が配設されている。イオン化室21と第1段中間真空室24とは細径の脱溶媒管23を介して連通しており、第1段中間真空室24と第2段中間真空室27とは、円錐形状のスキマー26の頂部に穿設された小径のオリフィスを介して連通している。
LC部1から供給された試料成分を含む溶出液がイオン源としてのESIノズル22に達すると、高圧電源(図示せず)から印加されている直流高電圧により、溶出液は電荷を付与される。そして、帯電した微小液滴としてイオン化室21内に噴霧される。この帯電液滴は大気由来のガス分子と衝突してさらに微細な液滴に粉砕され、速やかに乾燥して(脱溶媒化されて)試料分子が気化する。この試料分子はイオン蒸発反応を生じてイオン化される。このESIでは、イオン化の際に、複数の電荷を持つ多価イオンが生じ易いという特性がある。発生したイオンを含む微小液滴は、差圧によって脱溶媒管23内に引き込まれ、脱溶媒管23内を通る間に一層脱溶媒化が進行してイオンが発生する。イオンはイオンガイド25、28でそれぞれ収束されつつ2つの中間真空室24、27を通過し分析室29へ送られる。分析室29内で、イオンは3次元四重極型のイオントラップ30の内部に導入される。
イオントラップ30では、電源(図示せず)より各電極に印加される高周波電圧により形成される四重極電場によって、イオンは一旦捕捉・蓄積される。イオントラップ30の内部に蓄積された各種イオンは、所定のタイミングで一斉に運動エネルギーを付与され、質量分離器としての飛行時間型質量分離器(TOF)31に向けて放出される。つまり、イオントラップ30がTOF31に対するイオンの飛行の出発点となる。TOF31は直流電源(図示せず)から直流電圧が印加されるリフレクトロン電極32を備え、これにより形成される直流電場の作用によってイオンは飛行途中で折り返され、イオン検出器33に到達する。一斉にイオントラップ30から出射されたイオンは質量(厳密にはm/z)の小さいイオンほど速く飛行し、m/zに応じた時間差を以てイオン検出器33に到達する。イオン検出器33は到達したイオン数に応じた電流を検出信号として出力する。
この検出信号は信号処理部34で電圧信号に変換され、デジタル値に変換された後にデータ処理部40に入力される。データ処理部40は、マススペクトル作成部41、デコンボリューション処理部42、などを機能として含む。マススペクトル作成部41は、イオントラップ30からイオンが一斉に出射された時点からイオン検出器33に到達するまでの時間毎のイオンの信号強度を計測し、その時間情報をm/z値に換算して、横軸をm/z値、縦軸を信号強度とするマススペクトルを作成する。イオントラップ30からTOF31へのイオンの出射とTOF31及びイオン検出器33でのイオンの質量分離・検出とは、所定の時間毎に繰り返し行われ、その度に1つのマススペクトルが作成される。作成されたマススペクトルを構成するマススペクトルデータはデータ記憶部43に格納され、例えば質量分析の終了後に、デコンボリューション処理部42によるデータ解析処理に供される。
分析制御部50は中央制御部51からの指示に基づいて、LC/MS分析を実行するためにLC部1及びMS部2の各部の動作を制御する。中央制御部51にはユーザインターフェイスとしての操作部52及び表示部53が接続されており、操作部52によるオペレータの操作を受けて分析のための各種の指令を分析制御部50やデータ処理部40に出力するとともに、マススペクトル等の分析結果を表示部52に出力する。なお、中央制御部51、分析制御部50、及びデータ処理部40の機能の一部又は大部分は、パーソナルコンピュータ上で所定の制御/処理ソフトウエアを実行することにより具現化することができる。
なお、上記装置として具体的には、例えば島津製作所製の液体クロマトグラフ質量分析計LCMS−IT−TOF(インターネット<http://www.an.shimadzu.co.jp/products/lcms/it-tof.htm>参照)などを利用することができる。
上記質量分析装置において、ESIは比較的ソフトなイオン化方法であって、液体試料中の目的とする化合物に移動相(溶媒)中の物質が付加されたり他の金属などが付加されたりしたアダクトイオンが比較的多く発生する。例を挙げると、正イオンでは、プロトンが付加したプロトン付加イオンのほかに、アンモニア付加イオン、ナトリウム付加イオンなどが生成し易い。一方、負イオンでは、プロトンが脱離したプロトン脱離イオンのほかに、塩素付加イオン、酢酸付加イオン、蟻酸付加イオンなどが生成し易い。また、その際に、複数の電荷(負電荷又は正電荷)を有する多価イオンが発生し易い。そのため、マススペクトルには目的化合物に由来する多価のアダクトイオンのピークが出現することになる。こうしたアダクトイオンのうちいずれが出現するかは、化合物の性質、移動相の種類、夾雑物の有無、或いはそれ以外の分析条件などに依存する。
従来のマススペクトル解析処理では、上記のようなアダクトイオンを生成する付加/脱離成分の種類などをユーザが入力設定する必要があった。これに対し、本実施例のLC/IT−TOFMSにおいてデコンボシューション処理部42で実施されるマススペクトル解析処理では、そうしたユーザによる入力設定を不要としている。
次に、この特徴的なマススペクトル解析処理を、図2〜図5を参照して説明する。図2はマススペクトル解析処理の手順を示すフローチャート、図3はマススペクトル解析処理を説明するための概念図、図4はマススペクトル解析処理における同位体クラスタ検出及び価数判定の処理手順を示すフローチャート、図5は同位体クラスタ検出を説明するための概念図である。
解析処理が開始されると、デコンボリューション処理部42はまず、解析対象のマススペクトル上に現れている同位体クラスタを検出し、各同位体クラスタの価数nを求める(ステップS1、S2)。同位体クラスタとは、同一の元素構成を有するイオンに由来し、イオン中の同位体組成の相違によって異なるm/z値を示す複数のピークから成るピーク群である。実際には、マススペクトル上において1つの同位体クラスタは図3(b)に示すように現れる。
同位体クラスタを切り出すには、マススペクトルに出現している多数のピークを同一の同位体クラスタに属するものに区分し、同位体クラスタを構成する複数のピークを確定する必要がある。この具体的な手法の一例として、前述のように、本願出願人が国際出願番号PCT/JP2006/308909(国際公開番号WO2006/12928号公報)で提案している手法を利用することができる。その手法の概要について、図4、図5により説明する。
まず、マススペクトルのプロファイルデータを変換してセントロイドデータを作成する(ステップS21)。図3(c)は図3(b)のプロファイルデータをセントロイドデータに変換した図である。セントロイドデータは、各ピークのm/z値、強度、同位体ピークの場合にはその同位体クラスタのID番号、価数、などの情報を含む構造体のリストから成る(但し、解析前の状態では、同位体クラスタID番号、価数は未知であるため空白である)。
上記セントロイドデータに強度順にアクセスするために、セントロイドデータ上の各ピークの強度が降順になるように並べた各ピークのインデックスリスト(強度降順インデックスリスト)を作成する(ステップS22)。次に、これから見つけようとする同位体クラスタのID番号及び上記強度降順インデックスリストのインデックス値を初期化し(ステップS23、 S24)、セントロイドデータ上で、同位体クラスタパターンを検出するために基準となるピーク(基準ピーク)の候補ピークを決定する(ステップS25)。ここでは、強度の大きい順に基準ピークとなるピークを選択する。最初の処理ではベースピーク(測定されたピークの中で最大の強度を有するピーク、図5ではAのピーク)が基準ピークとなる。2回目以降の処理では、それ以前の処理によって既に同位体クラスタに属するピークとして同定されたピークは、基準ピークの選択対象から除く。
次に、上記基準ピークを中心として、その周りのピークパターンを調べ、各価数の同位体クラスタにおけるピークの出現パターンに、該ピークパターンが一致するか否かを判定する(ステップS26)。この価数パターンマッチングの際のパラメータとしては、価数範囲、質量分解能の許容範囲、同位体クラスタを構成するピーク数の最小値などを適宜の値に設定しておく。
価数パターンマッチングは、基準ピークのm/z値の位置から、該基準ピークが各価数の同位体クラスタに含まれると仮定したときに想定されるステップ幅dずつ離れた位置に、ピークが存在するか否かを調べることによって行われる。例えば、基準ピークが1価の同位体クラスタに含まれる場合には、該同位体クラスタに属する複数のピークは、m/z値が1ずつ異なるピークパターンを示し、ステップ幅dは1となる。2価の同位体クラスタに含まれる場合には、該同位体クラスタに属するピークはm/z値が0.5ずつ異なるピークパターンを示すため、ステップ幅dは0.5となる。価数nは1/dであるが、価数nは整数であるから、1/dが整数にならない場合には適宜に値を丸めて整数化する。
ステップS26において、基準ピークの周りに同位体クラスタとしてマッチングするピークパターンが一つも存在しなかった場合には(ステップS27でNo)、次のステップS28〜S30をパスしてS31へと進む。マッチングするピークパターンが存在した場合には、基準ピークを中心としたピークパターンとマッチした同位体クラスタ価数パターンのうち、マッチング分解能(同位体クラスタに属する各ピークを探す際の測定値と予測値の差の標準偏差)が最も小さい同位体クラスタ価数パターンを選択することにより、同位体クラスタを同定する(ステップS28)。なお、マッチした価数パターンが一つしかない場合には、それを同位体クラスタとして同定すればよい。
続いて、ステップS28によって選択された価数パターンの価数を、同定された同位体クラスタに属する各ピークの価数として決定し、同定された同位体クラスタに属する各ピークのクラスタID番号、価数、などに関する情報を、上述のセントロイドデータに追加情報として反映させる(ステップS29)。その後、クラスタインデックス値及び強度降順インデックスリストのインデックス値をそれぞれインクリメントする(S30、S31)。そして、強度降順インデックスリストのインデックス値がセントロイドデータ上のデータ数以上であるかを判定することにより、全基準ピークに対する処理が終了したか否かを判断し(ステップS32)、未処理のものがあればステップS25へ戻る。これにより、セントロイドデータ中の全てのピークに対してステップS25〜S31の処理が実行される。
以上の処理により、マススペクトル上のピークの強度順に、順次そのピークを中心とした同位体クラスタのマッチングが行われ、同定された同位体クラスタに属するピークの価数が決定される。これにより、図3(a)、図5に示すように、各価数の同位体クラスタが切り分けられる。
目的化合物がイオン化される際に、目的化合物に付加したり脱離したりした成分(イオン)のm/z値を計算するには、各同位体クラスタのm/z値が重要である。本実施例の処理では、計算を高速化するため、各同位体クラスタの代表点を算出して、その代表点のm/z値を利用する。
一般に、高分子化合物をESI等によりイオン化・質量分析して得られるマススペクトルでは、同位体クラスタのピーク波形形状は図3(b)に示すようにポアソン分布が若干崩れた形となる。そのため、ピークが極大となる位置は一箇所のみであり、この極大の強度を与えるm/z値を代表点として使うことも可能である。しかしながら、同位体クラスタの中で最大強度と2番目に大きな強度との強度差が僅かである場合、測定上の誤差や各種変動要因によりその2つが入れ替わることは十分に起こり得る。そこで、信頼性を高めるために、同位体クラスタを構成する複数のピークの中で、最大強度を与えるピーク(例えば図3(c)中のP1)のm/z値と2番目に大きな強度を与えるピークのm/z値との重心となるm/z値を計算し、それをこの同位体クラスタの代表点として決定する(ステップS3)。
上記処理により、各同位体クラスタの価数と代表点のm/z値とが得られる。これを利用して化合物に付加したイオンのm/z値を推定するわけであるが、同位体クラスタが2つ以上存在しない場合には、後述する手法を適用することができない。そこで、同位体クラスタの数が2以上であるか否かを判定し(ステップS4)、同位体クラスタの数が1である場合にはステップS5〜S14をパスしてS15へと進む。
同位体クラスタの数が2以上であればステップS5以降へと進む。同位体クラスタの価数をn、代表点のm/z値をmとし、目的化合物に付加した成分(イオン)のm/z値をQとすると、目的化合物の質量Mは次の(1)式により、同位体クラスタ毎に求まることになる(なお、目的化合物から或る成分が脱離する場合にはQが負の値であるとして同様に考えることができる)。
M=n×(m−Q) …(1)
イオン化の際に化合物に付加する又は脱離する成分は或る程度限定されるから、この成分のm/z値Qはそれほど大きな値となることはない。したがって、Qが採り得る範囲は予め決めておくことができる。
同一の化合物に対しては同一の成分が付加又は脱離すると推定することができるから、上記(1)式において、Mが同一の場合にはQも同一である。上述のようにQの範囲が決まっていれば、或る同位体クラスタが、他の価数の同位体クラスタと同一化合物由来のものである(つまり、(1)式のMが同じである)とみなせるm/z値の範囲も絞ることができる。そこで、同一化合物由来であるとみなせる2個以上の同位体クラスタの組み合わせにより、付加/脱離成分のm/z値Qの候補を選出する(ステップS5)。通常、同位体クラスタの数が多ければ多いほど、同一化合物由来であると考えられる同位体クラスタの組み合わせの数も増えるため、多くの数の候補が選出されることになる。なお、試料に複数の化合物が含まれる場合には、同一化合物由来の異なる価数の同位体クラスタを判別した上で上記処理を行う必要がある。
付加/脱離成分のm/z値について複数の(通常は多数の)候補が挙げられた後、最も妥当性が高いものを一つ選択するために、まず明らかに異常である候補を除去するための絞り込み操作を、次の3つの手順で行う(ステップS6)。
同一化合物由来の同位体クラスタが3個以上ある(つまり価数が3種類以上ある)場合には、付加/脱離成分のm/z値の候補が複数得られる。上記理由により、理想的にはそれらは一致する筈であるが、実際には、測定上の誤差や代表点として選んだピークの間違いなどの要因により、m/z値が一致しないことが多い。誤差が大きい場合や選択したピークが間違っていたような場合には、それに基づいて算出された候補のm/z値は他の候補のm/z値に比べて極端にずれている可能性がある。そこで、複数の候補のm/z値の分散度を調べ、その分散度に基づいてm/z値が極端に外れる候補を除外する(ステップS7)。
価数の相違する同位体クラスタに属する幾つかのピークが同一化合物に由来するものであれば、それら同位体クラスタの代表点の相対強度には強い相関がみられる。そこで、これを利用して異なる同位体クラスタの代表点の相対強度の類似度に閾値を設け、この閾値を下回るような代表点を持つ同位体クラスタの組み合わせに基づいて得られた候補を除外する(ステップS8)。
また、異なる同位体クラスタ間において、同位体クラスタを構成する複数のピークの分布形状(強度パターン)の類似性が高いものは、候補の信頼性が高いと考えられる。このことを利用して、ピークの分布形状の類似性が低い同位体クラスタの組み合わせに基づいて得られた候補を除外することができる(ステップS9)。具体的には、異なる同位体クラスタ間のピーク分布形状の相関係数などの指標値を求め、これを利用して相関性の低い候補を除外してもよいが、ここではより簡便な方法を採用する。
上述のように、各同位体クラスタの代表点の位置(m/z値)は、最大強度を与える位置と2番目に大きな強度を与える位置との重心点である。したがって、2番目に大きな強度点の最大強度に対する位置関係とその強度比とが、重心点の位置に反映されている。そこで、代表点、最大点、2番目に大きな強度を与える点、の位置関係が大き崩れるような同位体クラスタに基づいて得られた候補を除外する。これにより、実質的にピーク分布形状が大きく異なる同位体クラスタの組み合わせに基づいて得られた候補を除去することができる。
上述のような三段階の絞り込みを行って候補の数を減らす。なお、ステップS7〜S8の実行順序には特に意味はなく、入れ替えることができる。それから、最終的に最も妥当性の高い候補を1つ選定する(ステップS10)。まず、同位体クラスタの数が3以上であるか否かを判定し(ステップS11)、同位体クラスタの数が3以上であれば上記ステップS7の選別基準において条件が最良の候補を選定する。即ち、複数の候補の中でm/z値の分散度が最も小さくなるものを選定する(ステップS12)。
ステップS11で同位体クラスタの数が3未満(実際には2のみ)であれば、上記ステップS8の選別基準において条件が最良の候補を選定する。即ち、各同位体クラスタ毎に代表点の相対強度の類似性が最も高い同位体クラスタの組み合わせを見つけ、その組み合わせにより得られた候補を選定する(ステップS13) 。
ステップS12又はS13により、目的化合物がイオン化される際にその化合物に付加した又は脱離した成分のm/z値Qが確定する(ステップS14)。なお、ステップS4においてNOと判断された場合、つまり多価イオンが発生せず同位体クラスタが1個しか存在しない場合には、上記のような手法で付加/脱離成分のm/z値を求めることができない。その場合には、推定される付加/脱離成分の入力をユーザに対し求める、等の別の方法で付加/脱離成分を決める(ステップS15)。そうして付加/脱離成分のm/z値が決まったならば、上記(1)式に基づいて、目的化合物の質量を計算し、この結果を表示部52などに出力する(ステップS16)。
以上のように、このマススペクトル解析処理によれば、多価イオンによるピークが現れているマススペクトルから、イオン化に際し目的化合物に付加した又は脱離した成分を自動的に特定し、その結果を利用して目的化合物の質量を求めることができる。これにより、化合物に付加する又は脱離する成分を分析担当者が推定する必要がなくなるので、そうした推定に必要な化学的知識や経験の乏しい者でも、解析作業にあたることができる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更、修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。

Claims (11)

  1. 質量分析により取得された、多価イオンのピークが出現したマススペクトルデータを解析処理することにより、目的化合物の質量を求める質量分析データ解析方法であって、
    a)マススペクトル上の同位体クラスタを検出し、各同位体クラスタの価数を推定する価数推定ステップと、
    b)検出された前記同位体クラスタ毎に、その同位体クラスタを代表するm/z値を求める代表点決定ステップと、
    c)同一の目的化合物に由来すると推定される2個以上の同位体クラスタの代表点及び価数の組み合わせから、イオン化に際して目的化合物に付加した又は目的化合物から脱離した成分のm/z値の候補を求める候補抽出ステップと、
    d)複数の同位体クラスタの異なる組み合わせにより得られた複数の前記候補について、その候補のm/z値又はその算出の元となった同位体クラスタの組み合わせの妥当性を評価することにより、最終的に1つの候補を選定する付加/脱離成分選定ステップと、
    e)選定した付加/脱離成分のm/z値と価数とから目的化合物の質量を推定する化合物推定ステップと、
    を有することを特徴とする質量分析データ解析方法。
  2. 請求項1に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記付加/脱離成分選定ステップは、複数の候補のm/z値に統計的手法を適用して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析方法。
  3. 請求項2に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記付加/脱離成分選定ステップは、複数の候補のm/z値の分散度合を評価して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析方法。
  4. 請求項1に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記付加/脱離成分選定ステップは、価数を跨った、代表点の強度比又は代表点に直近のピークの強度比を評価して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析方法。
  5. 請求項1に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記付加/脱離成分選定ステップは、異なる同位体クラスタについて、その同位体クラスタを構成する複数のピークの全て又は一部のパターン形状の類似性を評価して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析方法。
  6. 請求項1に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記代表点決定ステップは、同位体クラスタ中の最大強度ピーク付近の複数のピークの重心のm/z値を代表点とすることを特徴とする質量分析データ解析方法。
  7. 質量分析により取得された、多価イオンのピークが出現したマススペクトルデータを解析処理することにより、目的化合物の質量を求める質量分析データ解析装置であって、
    a)マススペクトル上の同位体クラスタを検出し、各同位体クラスタの価数を推定する価数推定手段と、
    b)検出された前記同位体クラスタ毎に、その同位体クラスタを代表するm/z値を求める代表点決定手段と、
    c)同一の目的化合物に由来すると推定される2個以上の同位体クラスタの代表点及び価数の組み合わせから、イオン化に際して目的化合物に付加した又は目的化合物から脱離した成分のm/z値の候補を求める候補抽出手段と、
    d)複数の同位体クラスタの異なる組み合わせにより得られた複数の前記候補について、その候補のm/z値又はその算出の元となった同位体クラスタの組み合わせの妥当性を評価することにより、最終的に1つの候補を選定する付加/脱離成分選定手段と、
    e)選定した付加/脱離成分のm/z値と価数とから目的化合物の質量を推定する化合物推定手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析データ解析装置。
  8. 請求項7に記載の質量分析データ解析装置であって、
    前記付加/脱離成分選定手段は、複数の候補のm/z値に統計的手法を適用して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析装置。
  9. 請求項8に記載の質量分析データ解析装置であって、
    前記付加/脱離成分選定手段は、複数の候補のm/z値の分散度合を評価して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析装置。
  10. 請求項7に記載の質量分析データ解析装置であって、
    前記付加/脱離成分選定手段は、価数を跨った、代表点の強度比又は代表点に直近のピークの強度比を評価して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析装置。
  11. 請求項7に記載の質量分析データ解析装置であって、
    前記付加/脱離成分選定手段は、異なる同位体クラスタについて、その同位体クラスタを構成する複数のピークの全て又は一部のパターン形状の類似性を評価して、妥当性の高い候補を選定する又は妥当性の低い候補を除外することを特徴とする質量分析データ解析装置。
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