JP5527438B2 - 質量分析装置 - Google Patents
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Description
本発明は、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)などの液体試料中の成分を分析する質量分析装置に関する。
LC/MSにおいて、質量分析装置の各部のチューニングを行う際には成分の種類や濃度が既知である標準試料が質量分析装置に直接導入される(特許文献1など参照)。ここでいうチューニングとは、質量電荷比(m/z)較正、質量分解能調整、感度調整、などを目的として、各部への印加電圧やイオン化プローブの温度などの条件を最適に設定するものである。LC/MSにおけるチューニング時には、標準試料中の既知成分の特定の質量電荷比におけるピークに着目し、そのピーク強度を利用して較正や調整が実施される。また、通常、質量電荷比によって較正や調整のパラメータ値は相違するため、近接しない複数の質量電荷比におけるピークがチューニングに利用される(特許文献2など参照)。
チューニングを高精度で行うには、目的とするイオンのピークの強度ができるだけ高いことが望ましい。しかしながら、LC/MSでは、その較正や調整以前の装置の使用状態や測定条件などによって、標準試料中の目的成分のイオンのピーク強度が大幅に低下する場合がある。これは、主として、配管などに付着していた移動相(溶媒)中の成分が標準試料中の目的成分に付加してしまい、それによって目的イオンの質量電荷比とは異なる質量電荷比にピークが現れることによる。例えば、ペプチドやタンパク質の分析の際には、水やアセトニトリルなどの液体にトリフルオロ酢酸(TFA)などの有機酸を添加したものが移動相として使用されることがよくあるが、こうした場合には、TFAやその解離物が配管内等に残留し、そうした成分が目的成分に結合してしまい高い強度が得られるピークの質量電荷比が変化することがよくある。
上記現象のため、従来、チューニングの際には分析担当者がピークプロファイルやマススペクトルを目視で確認し、チューニングに使用しようとしている目的イオンの質量電荷比に十分な強度のピークが出ずに別の質量電荷比で高い強度のピークが出た場合に、チューニングに使用するピークの質量電荷比を手動で変更するようにしている。
しかしながら、チューニングに使用するイオンの質量電荷比を変更すべきかどうかの判断は難しく、この判断を誤るとチューニングが適切に行われない状態で分析を実行することになるおそれがある。また、マススペクトル上でチューニングに使用しようとしている目的イオンの質量電荷比のほかに複数のピークが現れている場合には、チューニングに使用する質量電荷比をいずれの質量電荷比に変更すべきかを決定する必要があるが、そうした判断も難しく、担当者の経験や知識に拠るところが大きい。また、いずれにしても、こうした担当者による判断を伴う手作業は、分析作業を遅延させスループットの低下に繋がる。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、標準試料を用いたチューニングを行う際に、標準試料中の既知成分に対応した質量電荷比に十分な強度のピークが現れないような場合であっても、分析担当者による手作業を必要とせず、適切なチューニングを行うことができる質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、既知成分を含む標準試料に対する質量分析を行って得られた結果に基づいて各部の調整や較正を含むチューニングを実施する質量分析装置において、
a)当該装置の過去に実施された分析の条件を含む履歴情報の中で移動相又は溶媒の種類の情報に基づき、目的成分に付加する可能性のある別の物質を予測し、目的成分に別の物質が付加した成分に対応した質量電荷比を後記強度抽出手段に情報として与える付加物質予測手段と、
b)質量分析結果から、標準試料中の既知の目的成分に対するイオン強度と、前記付加物質予測手段による情報に基づく、目的成分に別の物質が付加した前記成分に対するイオン強度と、を求める強度抽出手段と、
c)前記強度抽出手段により抽出された複数のイオン強度を比較することにより、チューニングに使用するに適当な質量電荷比を判定する判定手段と、
d)該判定手段による判定結果に基づいてチューニングに用いる質量電荷比を設定する又は変更するチューニング制御手段と、
を備えることを特徴としている。
a)当該装置の過去に実施された分析の条件を含む履歴情報の中で移動相又は溶媒の種類の情報に基づき、目的成分に付加する可能性のある別の物質を予測し、目的成分に別の物質が付加した成分に対応した質量電荷比を後記強度抽出手段に情報として与える付加物質予測手段と、
b)質量分析結果から、標準試料中の既知の目的成分に対するイオン強度と、前記付加物質予測手段による情報に基づく、目的成分に別の物質が付加した前記成分に対するイオン強度と、を求める強度抽出手段と、
c)前記強度抽出手段により抽出された複数のイオン強度を比較することにより、チューニングに使用するに適当な質量電荷比を判定する判定手段と、
d)該判定手段による判定結果に基づいてチューニングに用いる質量電荷比を設定する又は変更するチューニング制御手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る質量分析装置において、標準試料に対する質量分析が所定の質量電荷比範囲に亘るスキャン測定により行われる場合には、強度抽出手段は、スキャン測定により得られたマススペクトルから、既知の目的成分に対応した質量電荷比におけるピークのイオン強度と、該目的成分に別の物質が付加した特定成分に対応した質量電荷比におけるピークのイオン強度とを取得する。また、標準試料に対する質量分析が複数の質量電荷比を設定したSIM(選択イオンモニタリング)測定により行われる場合には、既知の目的成分に対応した質量電荷比と特定成分に対応した質量電荷比をSIM測定対象の質量電荷比に設定することにより、強度抽出手段は得られた質量分析結果からそのまま目的成分に対応した質量電荷比におけるイオン強度と、特定成分に対応した質量電荷比におけるイオン強度とを取得することができる。
なお、目的成分は1つとは限らず、複数存在する場合もある。その場合には、異なる目的成分毎に、別の物質が付加した特定成分に対応した質量電荷比におけるピークのイオン強度が求まる。また、或る1つの目的成分に対して別の物質が付加した特定成分は1つとは限らず、目的成分に別の複数の物質がそれぞれ付加した複数の特定成分が存在する場合もあり得る。
一般に、目的成分に付加する別の物質とは、多くの場合、配管内壁等に付着している物質や標準試料の測定時に使用される移動相や溶媒に添加されている物質である。分析担当者が意図しない物質(いわゆる不純物)が移動相や溶媒に混入している場合を除けば、配管内壁等の付着物はその標準試料の測定時よりも前の、つまり過去の測定に使用された移動相や溶媒の種類(添加物含む)に依存することが多い。
そこで本発明に係る質量分析装置では、付加物質予測手段が、当該装置の過去に実施された分析の条件を含む履歴情報に基づいて、目的成分に付加する可能性のある別の物質を予測し、目的成分に別の物質が付加した前記成分に対応した質量電荷比を前記強度抽出手段に情報として与える。
付加物質予測手段は、特に、過去に実施された分析の条件の中で移動相又は溶媒の種類の情報から目的成分に付加する可能性のある別の物質を予測する。
具体的には、前述したように移動相としてTFA等の有機酸が添加された水や有機溶媒が使用された場合にはTFAやその解離物が配管内壁等に付着し易い。そこで、上記付加物質予測手段は、履歴情報から過去の分析条件を調べ、上記のような移動相が頻用されている或いは直前の測定でそうした移動相が使用されていることが判明したならば、目的成分に付加する別の物質としてTFAやその解離物を候補として挙げる。そして、それら物質が目的成分に付加した特定成分がイオン化された際のイオンの質量電荷比を算出し、それを強度抽出手段に情報として与える。
この構成によれば、分析担当者による入力作業に依らず、目的成分に付加する可能性のある物質が自動的に且つ過去の装置の使用実績等に基づいて的確に予測されるので、分析担当者の経験や知識に負うところが一層少なくて済む。また、チューニング作業が一層効率的に行われる。
強度抽出手段により1つの目的成分に対し複数のイオン強度が抽出されると、判定手段はそれら複数のイオン強度を比較することにより、チューニングに使用するのに最も適当な質量電荷比を判定する。最も簡単な方法としては、大きいイオン強度を与える質量電荷比がチューニングに適当な質量電荷比であると判断すればよい。目的成分が複数存在する場合には、目的成分毎に適当な質量電荷比が判断されるから、或る1つの目的成分については付加物質なしの目的成分のそのもののイオンの質量電荷比が適当であると判定され、別の目的成分については或る物質が付加した特定成分のイオンの質量電荷比が適当であると判定されることがあり得る。
チューニングに使用するに適当な質量電荷比が決まると、チューニング制御手段が、その判定結果に基づいて、つまりはチューニングに使用するに適当であると判定された質量電荷比を実際にチューニングに用いる質量電荷比として設定する、或いは他の質量電荷比が既に設定されている場合にはその設定を変更する。これにより、本発明に係る質量分析装置では、チューニングに用いる質量電荷比が自動的に設定される。
ただし、チューニングに用いられる質量電荷比はチューニング時のパラメータの1つであり、また分析担当者が何ら認識せずにチューニングに用いられる質量電荷比が変更されてしまうことが望ましくない場合もあり得る。そこで、本発明に係る質量分析装置では、判定手段による判定結果を表示等によりユーザに通知する通知手段をさらに備える構成とするとよい。この構成によれば、分析担当者がその通知を認識して、チューニングに使用される質量電荷比の変更が不要であると判断すれば、手動で変更を解除したり元に戻したりすることができる。
本発明に係る質量分析装置によれば、十分なイオン強度が得られないピークを用いたチューニングは行われないので、チューニングが適切でない状態で不正確な分析を実行してしまうことを回避することができる。また、標準試料中の既知成分における質量電荷比に十分な強度のピークが現れないような場合であっても、分析担当者がマススペクトル等を観察して判断を行った上で手作業で質量電荷比を変更する必要はなく、目的成分に対応した質量電荷比に代えてチューニングに適切な質量電荷比が自動的に選択される。それにより、チューニングに使用する質量電荷比の選択が担当者の経験や知識などに依存せず、再現性や信頼性が高い分析を実行することができる。さらにまた、チューニング作業の効率化が図れる。
以下、本発明に係る質量分析装置の一実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のLC/MSの概略構成図である。
図1は本実施例のLC/MSの概略構成図である。
LC部10は、移動相が貯留された移動相容器11と、移動相を吸引して一定流量で送給するポンプ12と、移動相中に試料を注入する試料導入部13と、試料中の各種成分を分離するカラム14と、を含む。ポンプ12により試料導入部13を介してカラム14に一定流量で移動相が送給されている状態で試料導入部13から一定量の試料液が移動相中に導入されると、移動相の流れに乗ってカラム14に導入された試料中の各種成分はカラム14を通過する間に時間方向に分離され、時間的にずれてカラム14出口から溶出する。カラム14の出口端には流路切替部15が接続され、この流路切替部15によりカラム14出口からの溶出液と標準試料導入部16から供給される標準試料を含む溶液とが選択されて質量分析部20に導入される。流路切替部15は通常の分析時にはカラム14出口を質量分析部20に接続し、後述する標準試料を用いたチューニング実行時にのみ標準試料導入部16を質量分析部20に接続する。
質量分析部20は、略大気圧であるイオン化室21と図示しない高性能の真空ポンプにより真空排気される高真空の分析室24との間に、段階的に真空度が高められた第1、第2中間真空室22、23を備えた多段差動排気系の構成である。イオン化室21には、試料溶液を噴霧するノズルを含みESIとAPCIとを切り替え可能なイオン化プローブ25、APCI用の針電極26などが設置され、イオン化室21と次段の第1中間真空室22との間は細径の加熱キャピラリ27を通して連通している。第1中間真空室22と第2中間真空室23との間は頂部に小孔を有するスキマー29で隔てられ、第1中間真空室22と第2中間真空室23にはイオンを収束させつつ後段へ輸送するためのイオンレンズ28、30が設置されている。分析室24内には質量電荷比に応じてイオンを分離する四重極マスフィルタ31とイオン検出器32とが設置されている。
質量分析部20において、イオン化プローブ25に液体試料が到達すると、例えばESIモードである場合には、イオン化プローブ25の先端から電荷が付与された液体試料が噴霧される。噴霧された帯電液滴は静電気力により分裂しながら微細化され、その過程で試料成分由来のイオンが飛び出す。またAPCIモードである場合には、イオン化プローブ25の先端から噴霧された液滴中の溶媒が蒸発することで発生した気化試料分子と、針電極26によるコロナ放電の作用で発生したバッファイオンとが反応し、気化試料分子がイオン化されて分子イオンが生成される。いずれにしてもイオン化室21内で生成されたイオンは加熱キャピラリ27を通して第1中間真空室22に送られ、イオンレンズ28で収束されてスキマー29頂部の小孔を経て第2中間真空室23に送られる。そして、試料成分由来のイオンはイオンレンズ30で収束されて分析室24に送られ、四重極マスフィルタ31の長軸方向の空間に導入される。四重極マスフィルタ31の各ロッド電極には所定の電圧が印加され、その電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが四重極マスフィルタ31を通過してイオン検出器32に到達し検出される。
イオン検出器32による検出信号はA/D変換器40においてデジタルデータに変換され、データ処理部41に入力されてデータ格納部42に一旦保存される。データ処理部41は、本実施例の構成に特徴的な要素であるチューニング用m/z判定処理部43を機能ブロックとして含み、チューニング用m/z判定処理部43は装置使用履歴記憶部44に格納されているデータを用いて後述する特徴的な動作を実行する。分析制御部45はLC部10や質量分析部20などの各部の動作をそれぞれ制御する。中央制御部46には入力部47や表示部48が付設され、入出力のインターフェースや分析制御部45のさらに上位の制御を担う。なお、中央制御部46、分析制御部45、データ処理部41などの機能の一部は、汎用のパーソナルコンピュータをハードウエア資源とし該コンピュータに予めインストールされた専用のアプリケーションソフトウエアをコンピュータ上で実行することにより各機能が実現されるものとすることができる。
次に、本実施例のLC/MSにおいて特徴的なチューニング実行時のデータ処理及び制御動作について、図2及び図3を参照して説明する。図2は本実施例のLC/MSにおいて実施される調整用m/z自動設定処理のフローチャート、図3は調整用m/z自動設定処理の説明に用いるマススペクトルである。いま、ここでは、質量電荷比M1が既知である目的成分を含む標準試料をチューニングに用いるものとする。
チューニング用m/z判定処理部43は、標準試料の分析に先立って、装置使用履歴記憶部44から当該装置の過去の(通常は最近の)分析条件データを読み出し、移動相の種類に関する情報を取得する。そして、移動相に特定の物質(具体的には、TFA、酢酸、又はそのほかの有機酸など)が添加されているか否かを判定し、添加されている場合にはそれら添加物質を目的成分に付加する可能性のある物質として抽出する。そして、目的成分にそうした物質が付加した特定成分のイオンの質量電荷比を予測し、その質量電荷比をリスト化する(ステップS1)。例えば付加する物質自体が1種類であったとしても、イオン化によって多価イオンの発生が予想される場合には、リストに挙げられる質量電荷比は複数になる。いまここでは、質量電荷比がM1である目的成分Aに所定の物質が付加した特定成分Cに対応する質量電荷比がM3であり、また目的成分Aにその所定の物質の解離物が付加した特定成分Bに対応する質量電荷比がM2であるものとする。この2つの質量電荷比M2、M3が、チューニングに使用する質量電荷比M1に対応した別の候補である。
次に、分析制御部45の制御の下に標準試料の質量分析が実行される(ステップS2)。この際に、チューニング用m/z判定処理部43は目的成分Aに対する質量電荷比M1のほかに、予想される物質が付加した特定成分B、Cに対する質量電荷比M2、M3をSIM測定対象の質量電荷比とするように分析制御部45に指示を与える。分析が開始されると、流路切替部15は標準試料導入部16と質量分析部20とを接続し、標準試料導入部16は所定の標準試料を略一定流量で質量分析部20へ送給する。質量分析部20において四重極マスフィルタ31は、例えば質量電荷比M1のイオンが所定時間選択的に通過するように駆動された後、質量電荷比M2のイオンが所定時間選択的に通過するように駆動され、さらに質量電荷比M3のイオンが所定時間選択的に通過するように駆動される。したがって、データ格納部42には、標準試料に対し質量電荷比M1のイオン強度データ、質量電荷比M2のイオン強度データ、及び質量電荷比M3のイオン強度データがそれぞれ格納される。
チューニング用m/z判定処理部43はデータ格納部42に格納されている1つの目的成分Aに対するイオン強度データと2つの特定成分B、Cに対するイオン強度データとを読み出し(ステップS3)、目的成分Aに特定物質が付加した特定成分B、Cに対応する質量電荷比M2及びM3のピークが実質的に存在するか否かをチェックするために、それらイオン強度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。イオン強度が所定の閾値未満の場合には、それら質量電荷比M2、M3のイオンは実質的に検出されていないとみなし、ステップS5、S6を飛ばしてステップS7へと進む。そして、目的成分Aの質量電荷比M1をチューニング用の目的イオンの質量電荷比として設定する(或いは、目的成分Aの質量電荷比M1がチューニング用目的イオンの質量電荷比として既に設定されている場合には、その設定を変更せずにそのままとする)。そのあと、未処理の他の目的成分があるか否かを判定し(ステップS9)、もし他の目的成分があればステップS3へ戻る。
ステップS4において特定成分に対応した質量電荷比M2、M3のイオン強度の少なくとも一方が所定の閾値以上であると判定されると、次に、目的成分Aに対する質量電荷比M1におけるイオン強度Ia、特定成分Bに対する質量電荷比M2におけるイオン強度Ib、及び、特定成分Cに対する質量電荷比M3のイオン強度Icを比較し、目的成分のイオン強度が最大、つまりIa≧Ib、Icであるか否かを判定する(ステップS6)。図3(a)に示すように、Ia≧Ib、Icであれば目的成分Aに対応した質量電荷比M1のイオンがチューニング用目的イオンとして適当であると判断し、この質量電荷比M1をチューニング用目的イオンの質量電荷比として設定する(ステップS7)。
これに対し、図3(b)に示すように、Ib又はIcの少なくとも一方がIaよりも大きい場合には、ステップS6においてNoと判定され、最も高い強度を与える(Ib又はIcのいずれか)質量電荷比M2又はM3をチューニング用目的イオンの質量電荷比として設定し(ステップS8)、ステップS9へと進む。図3(b)の例では、Icが最大強度であるから、質量電荷比M3をチューニング用目的イオンの質量電荷比として設定する。即ち、ステップS6→S8→S9と進んだ場合には、標準試料に含まれる目的成分に対応した質量電荷比ではなく、この目的成分に例えば移動相由来の物質が付加した特定成分に対応した質量電荷比がチューニング用目的イオンの質量電荷比として設定されることになる。
以上のようにして各成分毎にチューニング用目的イオンの質量電荷比が定まったならば、その質量電荷比におけるピークを利用したチューニングが実行される(ステップS10)。質量分析部20の各部のチューニング自体は従来と何ら変わらず、チューニングによってイオン源等の各部のパラメータが最適化される。
なお、上述の処理では、目的成分に対するイオン強度よりも特定成分に対するイオン強度が大きい場合に自動的にチューニング用目的イオンの質量電荷比が変更されるが、そうした変更がなされたことを分析担当者に知らせるために、チューニング用目的イオンの質量電荷比が本来の目的成分に対応したものから変更されたときに変更後の質量電荷比などを表示部48に表示するようにしてもよい。これにより、こうした自動的な変更が分析担当者の意図しないものであった場合や不適切な変更であった場合に、分析担当者が手動でチューニング用目的イオンの質量電荷比を設定し直すことができる。
上述の処理の具体例について図4を参照して説明する。図4は負イオン検出モードで標準試料としてラフィノースを用いて得られるマススペクトルの一例を示す図である。
この場合、一般的には、m/z=503.15、1007.3の2つの質量電荷比がチューニング用に使用される。しかしながら、酢酸を含む移動相がチューニング実行前の分析で使用されていると目的成分に酢酸が付加し、図示するようにm/z=563.15、1067.30にイオンが検出される場合がある。また、TFAを含む移動相がチューニング実行前の分析で使用されていると、目的成分にTFAが付加してm/z=617.15、1121.35にイオンが検出される場合がある。こうした酢酸やTFAの付加はチューニング実行前の分析で使用された移動相の種類から想定されるから、上記処理によれば、酢酸やTFAが付加した特定成分に対応するイオン強度が目的成分に対応するイオン強度よりも高くなった場合には、目的成分に対する質量電荷比m/z=503.15、1007.3に代えて、酢酸やTFAが付加した特定成分に対する質量電荷比563.15又は617.15、1067.30又は1121.35のピークを用いたチューニングが実行されることになる。
この場合、一般的には、m/z=503.15、1007.3の2つの質量電荷比がチューニング用に使用される。しかしながら、酢酸を含む移動相がチューニング実行前の分析で使用されていると目的成分に酢酸が付加し、図示するようにm/z=563.15、1067.30にイオンが検出される場合がある。また、TFAを含む移動相がチューニング実行前の分析で使用されていると、目的成分にTFAが付加してm/z=617.15、1121.35にイオンが検出される場合がある。こうした酢酸やTFAの付加はチューニング実行前の分析で使用された移動相の種類から想定されるから、上記処理によれば、酢酸やTFAが付加した特定成分に対応するイオン強度が目的成分に対応するイオン強度よりも高くなった場合には、目的成分に対する質量電荷比m/z=503.15、1007.3に代えて、酢酸やTFAが付加した特定成分に対する質量電荷比563.15又は617.15、1067.30又は1121.35のピークを用いたチューニングが実行されることになる。
上記実施例では、装置使用履歴記憶部44に格納されている当該装置の過去の分析条件データを利用して目的成分に付加する可能性のある物質が推定されるため、この推定処理に関して分析担当者は特段の操作や入力を要しない。ただし、分析に使用された移動相の種類などの情報が記録されていないなど、当該装置の過去の分析条件データを利用することができない場合には、目的成分に付加する可能性のある物質の推定を自動的に行うことはできない。そこで、そうした自動的な推定ができない状況である場合には、当該装置で過去に使用した移動相の種類などの入力を促すような表示を表示部48の画面上に表示し、それに応じて入力部47から入力された情報に基づいて目的成分に付加する可能性のある物質を推定するようにしてもよい。
また上記実施例において図2のステップS2では、標準試料に対するSIM測定を実行していたが、標準試料に対してスキャン測定を実行し、そのスキャン測定により得られたマススペクトルデータの中で目的成分に対応する質量電荷比付近及び特定成分に対応する質量電荷比付近のピークを抽出してそれぞれイオン強度を求めるようにしてもよい。
また、上記実施例は本発明の一例であるから、上記記載以外の点において、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
10…液体クロマトグラフ(LC)部
11…移動相容器
12…ポンプ
13…試料導入部
14…カラム
15…流路切替部
16…標準試料導入部
20…質量分析(MS)部
21…イオン化室
22…第1中間真空室
23…第2中間真空室
24…分析室
25…イオン化プローブ
26…針電極
27…加熱キャピラリ
28、30…イオンレンズ
29…スキマー
31…四重極マスフィルタ
32…イオン検出器
40…A/D変換器
41…データ処理部
42…データ格納部
43…チューニング用m/z判定処理部
44…装置使用履歴記憶部
45…分析制御部
46…中央制御部
47…入力部
48…表示部
11…移動相容器
12…ポンプ
13…試料導入部
14…カラム
15…流路切替部
16…標準試料導入部
20…質量分析(MS)部
21…イオン化室
22…第1中間真空室
23…第2中間真空室
24…分析室
25…イオン化プローブ
26…針電極
27…加熱キャピラリ
28、30…イオンレンズ
29…スキマー
31…四重極マスフィルタ
32…イオン検出器
40…A/D変換器
41…データ処理部
42…データ格納部
43…チューニング用m/z判定処理部
44…装置使用履歴記憶部
45…分析制御部
46…中央制御部
47…入力部
48…表示部
Claims (2)
- 既知成分を含む標準試料に対する質量分析を行って得られた結果に基づいて各部の調整や較正を含むチューニングを実施する質量分析装置において、
a)当該装置の過去に実施された分析の条件を含む履歴情報の中で移動相又は溶媒の種類の情報に基づき、目的成分に付加する可能性のある別の物質を予測し、目的成分に別の物質が付加した成分に対応した質量電荷比を後記強度抽出手段に情報として与える付加物質予測手段と、
b)質量分析結果から、標準試料中の既知の目的成分に対するイオン強度と、前記付加物質予測手段による情報に基づく、目的成分に別の物質が付加した前記成分に対するイオン強度と、を求める強度抽出手段と、
c)前記強度抽出手段により抽出された複数のイオン強度を比較することにより、チューニングに使用するに適当な質量電荷比を判定する判定手段と、
d)該判定手段による判定結果に基づいてチューニングに用いる質量電荷比を設定する又は変更するチューニング制御手段と、
を備えることを特徴とする質量分析装置。 - 請求項1に記載の質量分析装置であって、
前記判定手段による判定結果をユーザに通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする質量分析装置。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2011/052886 WO2012108034A1 (ja) | 2011-02-10 | 2011-02-10 | 質量分析装置 |
Publications (2)
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