JP5904300B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は三連四重極型質量分析装置を含む質量分析装置に関し、さらに詳しくは、液体クロマトグラフのカラム出口からの溶出液又はフローインジェクション法により導入される液体試料中の成分を質量分析する質量分析装置に関する。
液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)において、質量分析装置の各部のチューニングを行う際には成分の種類や濃度が既知である試料が用いられる。ここでいうチューニングとは、質量電荷比(m/z)較正、質量分解能調整、感度調整、などを目的として、各部への印加電圧やイオン化プローブの温度、ガス流量などの分析条件に関する制御パラメータを最適に設定するものである。チューニング実行時には、調整対象である制御パラメータの値を順次変化させながら試料中の目的成分に由来するイオンの量に対応する信号強度を監視し、信号強度が最大になるパラメータ値を探索する。そのため、制御パラメータの最適値を見つけ出すのには或る程度時間を要し、従来一般的に、イオン源への試料の導入にはインフュージョン法が用いられている。インフュージョン法はシリンジポンプ等を用いて連続的に液体試料をイオン源へ導入する手法であり、比較的長い時間に亘って安定した分析が行える反面、試料の消費量が多いという欠点がある。
これに対し、フローインジェクション(FIA)法は一定流量で送給される移動相中に液体クロマトグラフ用のインジェクタなどにより所定量の試料を注入し、移動相の流れに乗せて試料をイオン源に導入する手法である(特許文献1など参照)。このため、上述したインフュージョン法に比べると、試料の使用量は格段に少なくて済む。しかしながら、FIA法の場合には、イオン源に試料が導入される時間がかなり限られ、しかも時間経過に伴って目的成分の濃度は略山型状に変化する。そのため、装置のチューニングのための試料導入をFIA法により行う場合には、インフュージョン法を用いた場合に比べてデータ取得の時間的な制約が大きい。
以下、装置チューニングの一例として、MS/MS分析が可能な三連四重極型質量分析装置において、イオンを衝突誘起解離(CID)させるコリジョンエネルギを最適化する場合を例に挙げて説明する。なお、解離操作の際にイオンがもつコリジョンエネルギは衝突セルやその前段のイオン光学要素等に印加される電圧で決まるから、ここでいうコリジョンエネルギとは実際にはコリジョンエネルギを決める電圧である。
一般に、CIDによるイオンの解離の態様はコリジョンエネルギによって相違する。そのため、プリカーサイオンが同一であっても、コリジョンエネルギの最適値は目的とするプロダクトイオンによって相違する。したがって、例えば多重反応モニタリング(MRM=Multiple Reaction Monitoring)測定などプロダクトイオンの質量電荷比を固定したMS/MS分析では、目的とするプロダクトイオンが複数種ある場合に、プロダクトイオン毎にそれぞれコリジョンエネルギの最適値を調べる必要がある。
予め設定された複数のコリジョンエネルギの下で所定のプリカーサイオンを解離させたときに生成される複数のプロダクトイオンのイオン強度をそれぞれ検出する手法として、特許文献2に記載の方法が知られている。この分析方法では、複数のコリジョンエネルギと複数のプロダクトイオンとの組み合わせの全てについて一通り分析を行ったものを1周期とし、この周期を繰り返すことによりプロダクトイオン毎に異なるコリジョンエネルギの下でのイオン強度を取得できるようにしている。
しかしながら、上述のように網羅的にイオン強度を取得してゆく手法では、適切なコリジョンエネルギの範囲が全く不明である場合に、かなり広いコリジョンエネルギ範囲に亘って比較的狭いステップ幅で以て値を変えながら各プロダクトイオンに対するイオン強度を測定する必要がある。そうなると1周期中で取得すべきデータ点数が多くなり、データの取得時間間隔を一定に維持すると1周期の時間が長くなってしまう。上述したようにFIA法ではイオン源へ導入される試料の成分濃度が略山型状に変化するため、1周期の分析結果だけではコリジョンエネルギの最適値を見つけることは難しい。そのため、数周期程度に亘ってイオン強度を積算してコリジョンエネルギ最適値を見つけ出す必要があるが、上述したように1周期の所要時間が長くなると、目的成分がイオン源に導入されている間に最適値を見つけることができないおそれがある。FIAの1回の試料注入で以てコリジョンエネルギ最適値が見つからない場合には、再度同じ試料を注入して同様の分析を実行する必要があり、試料の消費量が増えるとともにチューニングの所要時間も長くなるという問題がある。
もちろん、上記課題はコリジョンエネルギの最適化に限らず、質量分析装置において最適化が必要な全ての制御パラメータ、例えばイオンレンズに印加されるレンズ電圧、エレクトロスプレイイオン化(ESI)法や大気圧化学イオン化(APCI)法等によるイオン源に用いられるネブライズガスや乾燥ガスのガス流量、そうしたイオン源や生成されたイオンをイオン源から後段へと輸送する加熱キャピラリの加熱温度、さらには大気圧光イオン化(APPI)イオン源が使用される場合のレーザ強度、などについても同様である。
特開平6−201650号公報(段落[0015]、図32) 米国特許第7479629号明細書
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、例えばFIA法により試料をイオン源に導入して装置のチューニングを行う際に、できるだけ少ない試料注入回数で以て最適な又はそれに近い制御パラメータを決定することができる質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、1又は複数の試料成分の濃度の時間変化がピークを示すように液体試料がイオン源に導入され、該液体試料中の成分をイオン化して質量分析するべく、イオンを解離させるコリジョンセルを挟んで前段四重極マスフィルタ及び後段四重極マスフィルタが配置された三連四重極型の質量分析装置であって、試料中の既知の成分を質量分析した結果に基づいて各部の制御パラメータを最適化するチューニングを実行する質量分析装置において、 a)調整対象である制御パラメータの1つである、コリジョンセルにおいてイオンが解離する際のコリジョンエネルギの値を所定範囲に亘り所定のステップ幅で変更するパラメータ設定手段と、 b)前記パラメータ設定手段によりコリジョンエネルギの値が変更される毎に質量分析結果を取得する結果取得手段と、 c)前記パラメータ設定手段により前記コリジョンエネルギの値を第1の所定範囲に亘り第1のステップ幅で変更する粗調整モードと、該コリジョンエネルギの値を第1の所定範囲よりも狭い第2の所定範囲に亘り第1のステップ幅よりも狭い第2のステップ幅で変更する微調整モードとを切り替え可能に有し、1回の試料注入に対して該試料中の目的成分がイオン源に導入される期間に、まず前記粗調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記目的成分由来のイオンを解離して生成された複数のプロダクトイオンのそれぞれについて前記コリジョンエネルギの概略値を決定し、それに引き続いて、該複数のプロダクトイオンに対しそれぞれ前記概略値を含むように定めた第2の所定範囲について微調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記複数のプロダクトイオンについてそれぞれ個別に前記コリジョンエネルギの最適値を決定するパラメータ最適化手段と、 を備え、前記結果取得手段は、前記パラメータ設定手段によりコリジョンエネルギの値が前記第1のステップ幅で変更される毎に、前記複数のプロダクトイオンのそれぞれに対する信号強度を取得することによって、前記粗調整モード実行時の質量分析結果を取得することを特徴としている。
本発明に係る質量分析装置は、液体試料中の成分をイオン化する、ESI、APCI、APPI等の大気圧イオン源を具備する。例えばフローインジェクション法により送給される試料液、或いは液体クロマトグラフのカラム出口から溶出した溶出液が、上記イオン源に導入される。いずれの場合でも、移動相(溶媒)の流れに乗って試料中の目的成分はイオン源に導入され、その目的成分の濃度は時間経過に伴って略山型状(ピーク状)に変化する。即ち、イオン源に導入される目的成分の濃度は、濃度が最大を示す時点までは上昇するが、その最大点を過ぎると減少に転じ、或る時間で濃度はゼロになる。
そこで本発明に係る質量分析装置においてパラメータ最適化手段は、試料注入時点以降、まず調整対象であるコリジョンエネルギの値を広い所定範囲に亘って粗いステップ幅で変更しつつ、その変更毎に結果取得手段により質量分析結果、具体的には目的成分由来のイオンの信号強度を取得する。そして、コリジョンエネルギの異なる値の下での質量分析結果を比較し、例えば信号強度に有意の差が現れたならば最大の信号強度を与えるコリジョンエネルギの値を、そのコリジョンエネルギの概略値として決定する。
粗調整モードではステップ幅は粗いため、そのステップの刻みの中間の値が実際には最適値となっている可能性がある。そこで、コリジョンエネルギの概略値が求まったならば、パラメータ最適化手段はモードを粗調整モードから微調整モードに切り替え、コリジョンエネルギの値を上記概略値付近の狭い範囲に絞ってその範囲内で細かいステップ幅で値を変更しつつ、その変更毎に結果取得手段により目的成分由来のイオンの信号強度等の質量分析結果を取得する。微調整モードでは細かいステップ幅で値が変更されるから、少なくとも粗調整モードと比べれば最適な状態に近い値を見い出し得る。そこで、このときに最大の信号強度を与えるコリジョンエネルギの値を、そのコリジョンエネルギの最適値であると判断する。
このようして本発明に係る質量分析装置では、1回の試料注入に対して該試料中の目的成分がイオン源に導入されている期間中に、粗調整モードと微調整モードとの二段階の調整を行うことにより、調整対象のコリジョンエネルギの最適値を決めることができる。
ただし、実際には、もともと目的成分の濃度が低く目的成分由来のイオンが十分に検出できない、コリジョンエネルギの複数の異なる値に対して明確な信号強度差が現れない、等の理由によって、コリジョンエネルギの概略値の決定に手間取る、つまりは時間が掛かることがある。上述したようにイオン源に導入される目的成分の濃度は時間経過に伴って山型状に変化するため、その濃度変化の最大点を過ぎてしまった後にコリジョンエネルギの概略値が決まった場合、それ以降は成分濃度が減少する一方であるので、微調整モードを実行してもコリジョンエネルギの最適値を見い出せる可能性は低くなる。
そこで本発明に係る質量分析装置の好ましい一実施態様として、上記パラメータ最適化手段は、イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点以前に前記粗調整モードの下でコリジョンエネルギの概略値を決定する構成とするとよい。
さらにまた、上記パラメータ最適化手段は、イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点以前に粗調整モードによってコリジョンエネルギの概略値が決まらない場合、引き続いて粗調整モードを実行することによって1回目の試料注入に対して得られた質量分析結果に基づいて前記概略値を決定し、同一試料の2回目の注入に対して前記目的成分がイオン源に導入されている期間中に、前記概略値を含むように定めた第2の所定範囲について微調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記コリジョンエネルギの最適値を決定する構成とするとよい。
この構成によれば、1回の試料注入でコリジョンエネルギの最適値を求めることはできない場合であっても、同一試料を2回注入することにより、コリジョンエネルギの最適値を求めることが可能となる。
ここで「イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点」を認識する方法として、既知の情報を利用して予め計算により求める方法と、分析実行中に検出器で得られる検出信号に基づいてリアルタイムに求める方法とが考えられる。
例えばフローインジェクション法の場合、インジェクタで試料が移動相に注入された時点から試料成分がイオン源に導入され始めるまでの時間や、試料成分がイオン源に導入され始めた時点からその濃度がほぼ最大になるまでの経過時間については、主として移動相の移動速度に依存する。この移動速度は配管のサイズ(内径、長さ等)、移動相の供給流量などから求まるから、これら分析条件から上記時間を求めることは容易である。また、カラム出口からの溶出液中の目的成分を用いてチューニングを行う場合には、カラムでの目的成分の保持時間等が分かっていれば、同様に上記時間を求めることは比較的容易である。
一方、質量分析結果に基づいて例えばコリジョンエネルギの同一値の下でのトータルイオンクロマトグラムや抽出イオンクロマトグラム、若しくは、コリジョンエネルギの複数の異なる値の下でのイオン強度を合算して求めたトータルイオンクロマトグラムや抽出イオンクロマトグラムをリアルタイムで作成し、そのクロマトグラムに対しピーク検出を行ってピークトップを求めたりカーブの傾斜からピークトップに至る前にその位置を予測したりすることにより、イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点を求めることが可能である。
なお、上述のように本発明に係る質量分析装置が三連四重極型質量分析装置である場合に、コリジョンセルにおいてイオンが解離する際のコリジョンエネルギを上記制御パラメータとすることができるが、その場合、複数のプロダクトイオン毎にコリジョンエネルギの最適値を求めるようにするとよい。
本発明に係る質量分析装置によれば、多くの場合、1回の試料注入によってコリジョンエネルギの最適値を決定することができ、また1回の試料注入によってコリジョンエネルギの最適値を決定できない場合でも、最大2回の試料注入によってコリジョンエネルギの最適値を決定することができる。したがって、装置をチューニングするために必要な試料の量が少なくて済むとともに、チューニングに要する時間も短くて済むので効率的な分析作業が行える。
特に検出対象であるイオンの質量電荷比毎に最適値が異なるようなコリジョンエネルギについてチューニングを行う際には、検出対象の質量電荷比毎に最適なコリジョンエネルギ値を求める必要があるため、異なる質量電荷比をもつイオンを同時にチューニングする場合、質量電荷比毎の最適なコリジョンエネルギ値を取得するまでに時間が掛かる。その場合でも、本発明に係る質量分析装置によれば、効率良く、つまりは総体的に少ないデータ取得回数で以てコリジョンエネルギの最適値に辿り着くことができるので、チューニングに無駄な時間を費やさずに済む。
本発明の一実施例である液体クロマトグラフ三連四重極型質量分析装置の概略構成図。 本実施例の液体クロマトグラフ三連四重極型質量分析装置においてコリジョンエネルギ最適化のチューニングを実施する際の制御及び処理のフローチャート。 図2に示したコリジョンエネルギ最適化のチューニングの際のクロマトグラムの一例を示す図。 図2に示したコリジョンエネルギ最適化のチューニングの際の粗調整モードの動作説明図。 図2に示したコリジョンエネルギ最適化のチューニングの際の微調整モードの動作説明図。
以下、本発明の一実施例である液体クロマトグラフ三連四重極型質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例の液体クロマトグラフ三連四重極型質量分析装置の概略構成図である。
液体クロマトグラフ10は、移動相が貯留された移動相容器11と、移動相を吸引して一定流量で送給するポンプ12と、移動相中に予め用意された所定量の試料を注入するインジェクタ13と、後述する質量分析装置20に試料を導入する導入配管14と、を含む。ポンプ12は移動相容器11から移動相を吸引して一定流量で導入配管14に送給する。インジェクタ13から一定量の試料液が移動相中に導入されると、移動相の流れに乗って試料は導入配管14を通過し、質量分析装置20に導入される。
質量分析装置20は、略大気圧であるイオン化室21と図示しない高性能の真空ポンプにより真空排気される高真空の分析室24との間に、段階的に真空度が高められた第1、第2中間真空室22、23を備えた多段差動排気系の構成である。イオン化室21には、試料溶液に電荷を付与しながら噴霧するESI用イオン化プローブ25が設置され、イオン化室21と次段の第1中間真空室22との間は細径の加熱キャピラリ26を通して連通している。第1中間真空室22と第2中間真空室23との間は頂部に小孔を有するスキマー28で隔てられ、第1中間真空室22と第2中間真空室23にはそれぞれ、イオンを収束させつつ後段へ輸送するためのイオンレンズ27、29が設置されている。分析室24には、多重極イオンガイド32が内部に設置されたコリジョンセル31を挟んで、質量電荷比に応じてイオンを分離する前段四重極マスフィルタ30と同じく質量電荷比に応じてイオンを分離する後段四重極マスフィルタ33、さらにはイオン検出器34が設置されている。
質量分析装置20において、ESI用イオン化プローブ25に液体試料が到達すると、該プローブ25先端から電荷が付与された液体試料が噴霧される。噴霧された帯電液滴は静電気力により分裂しながら微細化され、その過程で試料成分由来のイオンが飛び出す。生成されたイオンは加熱キャピラリ26を通して第1中間真空室22に送られ、イオンレンズ27で収束されてスキマー28頂部の小孔を経て第2中間真空室23に送られる。そして、試料成分由来のイオンはイオンレンズ29で収束されて分析室24に送られ、前段四重極マスフィルタ30の長軸方向の空間に導入される。なお、ESIに限らず、APCIやAPPIによりイオン化を行ってもよいことは当然である。
MS/MS分析時には、前段四重極マスフィルタ30及び後段四重極マスフィルタ33の各ロッド電極にはそれぞれ所定の電圧(高周波電圧と直流電圧とが重畳された電圧)が印加され、コリジョンセル31内には所定ガス圧となるようにCIDガスが供給される。前段四重極マスフィルタ30に送り込まれた各種イオンの中で、前段四重極マスフィルタ30の各ロッド電極に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが該フィルタ30を通過し、プリカーサイオンとしてコリジョンセル31に導入される。コリジョンセル31内でプリカーサイオンはCIDガスに衝突して解離し、各種のプロダクトイオンが生成される。このときの解離の態様は、コリジョンエネルギやコリジョンセル31内のガス圧などの解離条件に依存するから、コリジョンエネルギを変化させると生成されるプロダクトイオンの種類も変化する。生成された各種プロダクトイオンが後段四重極マスフィルタ33に導入されると、後段四重極マスフィルタ33の各ロッド電極に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみが該フィルタ33を通過し、イオン検出器34に到達し検出される。
イオン検出器34による検出信号はA/D変換器40においてデジタルデータに変換され、データ処理部41に入力される。データ処理部41は、本実施例に特徴的な構成要素であるチューニング時データ処理部42を機能ブロックとして含む。また液体クロマトグラフ10や質量分析装置20などの各部の動作をそれぞれ制御する分析制御部43は、本実施例に特徴的な構成要素であるチューニング時制御部44を機能ブロックとして含む。中央制御部45には入力部46や表示部47が付設され、入出力のインタフェイスや分析制御部43のさらに上位の制御を担う。なお、中央制御部45、分析制御部43、データ処理部41などの機能の一部は、汎用のパーソナルコンピュータをハードウエア資源とし該コンピュータに予めインストールされた専用のアプリケーションソフトウエアをコンピュータ上で実行することにより実現されるものとすることができる。
次に、本実施例の三連四重極型質量分析装置において特徴的なチューニング実行時のデータ処理及び制御動作について、図2〜図5を参照して説明する。図2は本実施例の三連四重極型質量分析装置において実施されるコリジョンエネルギ最適化処理のフローチャート、図3〜図5はコリジョンエネルギ最適化処理の説明に用いられる図である。
この例では、試料に含まれる目的成分に由来する特定の、つまり質量電荷比が固定されたプリカーサイオンを解離させたときに生成される、質量電荷比が相違するA、B、Cなる3種のプロダクトイオンについてそれぞれコリジョンエネルギの最適値を求めるものとする。ただし、プロダクトイオンは1種類のみでもよく、またさらに多くの種類であってもよいことは当然である。
コリジョンエネルギ最適化処理の実行が指示されると、チューニング時制御部44の制御の下に、インジェクタ13から移動相中に所定の試料が注入される。またこれとほぼ同時に、又はこれよりも適宜先行した若しくは遅れた適宜の時点で、質量分析装置20は粗調整モードでのMRM測定によるMS/MS分析を開始する(ステップS1)。この例では、各プロダクトイオンA、B、Cについて適切なコリジョンエネルギが全く不明であるものとし、1回目の試料インジェクションに対して当初実行されるMRM測定では、広いエネルギ範囲に亘り粗いステップ幅でコリジョンエネルギの設定値を変化させるようにする。具体的には、図4に示すように、エネルギ範囲をCE1〜CE5、ステップ幅をΔE1とし、CE1、CE2、CE3、CE4、CE5の5段階にコリジョンエネルギを変化させるようにする。
また、質量分析装置20では、目的成分由来の特定の質量電荷比を有するイオンが前段四重極マスフィルタ30を通過するように、前段四重極マスフィルタ30のロッド電極に印加される電圧は設定される。一方、上記5段階のコリジョンエネルギCE1、CE2、CE3、CE4、CE5のそれぞれについて、プロダクトイオンA→プロダクトイオンB→プロダクトイオンCの順に後段四重極マスフィルタ33を通過するイオンの質量電荷比が切り替わるように、後段四重極マスフィルタ33のロッド電極に印加される電圧は設定される。即ち、図4に示すように、まず最低のコリジョンエネルギCE1の下で生成された各種プロダクトイオンの中で、プロダクトイオンA→プロダクトイオンB→プロダクトイオンCが順に通過するように後段四重極マスフィルタ33が切り替えられ、各プロダクトイオンに対する信号強度データが取得される。その後、コリジョンエネルギをCE2に変更し、そのコリジョンエネルギCE2の下で同様に3種のプロダクトイオンに対する信号強度データが取得される。このようにコリジョンエネルギを変更しつつ検出対象のプロダクトイオンの変更を行うことにより、5段階のコリジョンエネルギCE1〜CE5と3種類のプロダクトイオンA、B、Cとの全ての組み合わせに対する信号強度データを順次取得する。これが1周期の測定であり、インジェクタ13において移動相中に試料が注入され、最適化処理が開始された時点からこれを繰り返す(ステップS2)。
1周期の測定毎にコリジョンエネルギとプロダクトイオンとの組み合わせ毎の信号強度データが得られるから、データ処理部41においてチューニング時データ処理部42は、測定の周期毎に、同一コリジョンエネルギ、同一プロダクトイオンに対する信号強度データを積算し、図4中に示すように、プロダクトイオン毎に異なるコリジョンエネルギに対するデータ積算値を比較し、最大のイオン強度を与えるコリジョンエネルギを見出す(ステップS3)。図3は試料注入時点から時間経過に伴ってイオン化プローブ25に導入される目的成分の濃度の変化の一例を示す図である。例えば目的成分に対するトータルイオンクロマトグラムや目的成分中に対する特定の質量電荷比における抽出イオンクロマトグラムを作成すれば、そのカーブは図3に示すような形状になる筈である。この図3に示すように、目的成分の濃度は当初は低いが、徐々に上昇する。したがって、上述したイオン強度の積算値は周期を増すに伴い増加し、コリジョンエネルギの相違に起因するイオン強度の差異が明確になる。
チューニング時データ処理部42は周期終了毎に、上述したように異なるコリジョンエネルギに対するデータ積算値を比較し、例えばデータ積算値の最大のものとその次に大きなものとの差が所定以上になったならば(つまり有意な差がついたならば)、その最大のデータ積算値に対応するコリジョンエネルギが暫定的な最適値であると判断し、これをコリジョンエネルギの概略値として決定する。もし、データ積算値の中で上記条件を満たすものがなければ、その時点ではコリジョンエネルギ概略値を未定とする。そして、全プロダクトイオンに対するコリジョンエネルギ概略値が決まったか否かを判定し(ステップS4)、もし未定のものがあれば次に、モード切替え限界時点を経過したか否かを判定する(ステップS5)。
このモード切替え限界時点は例えば図3に示した目的成分濃度が最大を示す時点に決められ、そのために例えばチューニング時データ処理部42は1周期内で或る1つのコリジョンエネルギに対する3種のプロダクトイオンA、B、Cのイオン強度の総和の時間的変化を監視し、その変化が増加から減少に転じた時点で濃度最大点を通過したと判断する。或いは、増加の変化率が急激に小さくなったことを検出することにより、より早い時点、つまりは濃度最大点を通過する前に濃度最大点に近いことを認識することができる。また、1周期内で得られる全てのイオン強度信号データを加算し、その加算値の時間的変化に基づいてモード切替え限界時点を判断するようにしてもよい。いずれにしても、モード切替え限界時点は、目的成分の濃度が最大点を通過し大きく減じる前の時点に設定されている必要がある。そして、ステップS5でNoと判定される、つまり未だモード切替え限界時点に至っていなければステップS2へ戻る。
図3中に示すように、モード切替え限界時点に至る前にステップS4でYesと判定された場合には、全てのプロダクトイオンについてコリジョンエネルギ概略値が求まっているから、ステップS4からS6へと進み、チューニング時データ処理部42は、プロダクトイオン毎に、上記粗調整モードに引き続き実行される微調整モードでのコリジョンエネルギの変化範囲とステップ幅ΔE2とを決定する。
例えば、コリジョンエネルギ変化範囲は、上記概略値を中心値とし、粗調整モードにおけるステップ幅ΔE1に1未満の所定の係数を乗じて求めた値を上記中心値に対する上下の変動幅として設定して決めることができる。この場合、微調整モードでのコリジョンエネルギの最大変化範囲は2×ΔE1である。また、この範囲内でコリジョンエネルギの最適値にできるだけ近い値を見つけるために、ステップ幅ΔE2はΔE1よりも小さい適宜の値に設定する。例えば、ステップ幅ΔE2はΔE1に1よりも小さい所定の係数を乗じて求めてもよいし、或いは、予めステップの段数を決めておき、上記のように定められたコリジョンエネルギ変化範囲をステップ段数で除してステップ幅ΔE2を導出してもよい。このコリジョンエネルギの変化範囲とステップ幅ΔE2の求め方は適宜に定めることができるが、いずれにしても微調整モードでは粗調整モードに比べて、より狭い範囲内を細かい刻みでコリジョンエネルギを変化させるものとする。
図5は、上述した粗調整モードでの処理の結果、プロダクトイオンAではコリジョンエネルギCE2、プロダクトイオンBではコリジョンエネルギCE4、プロダクトイオンCではコリジョンエネルギCE5が概略値として得られた場合の、微調整モードにおけるコリジョンエネルギの変化範囲及びステップ幅ΔE2の設定例である。このように微調整モードにおいて変化させるコリジョンエネルギの値がプロダクトイオン毎に決まったならば、チューニング時制御部44は粗調整モードから微調整モードへの切替えを実施し、上述した粗調整モードと同様に、プロダクトイオンの種類と異なるコリジョンエネルギとの組み合わせに対してそれぞれ信号強度データを取得し、周期毎に、同一コリジョンエネルギ、同一プロダクトイオンに対する信号強度データを積算してゆく(ステップS7)。そして、目的成分の導入が終了した時点で、プロダクトイオン毎に、異なるコリジョンエネルギに対するデータ積算値を比較し、データ積算値が最大となるコリジョンエネルギを最適値として決定する(ステップS8)。これにより、プロダクトイオンA、B、Cに対するコリジョンエネルギの最適値(厳密に言えば調べた中で最適値に最も近い値)が得られる。
一方、ステップS4でYesと判定される前にモード切替限界時点に達してしまった場合、つまりステップS5でYesと判定された場合には、それ以降は目的成分の濃度が下がるために、仮に粗調整モードから微調整モードに移行したとしても微調整モードで適切なコリジョンエネルギを見つけられる可能性が低くなる。そこで、ステップS5でYesと判定された場合には、1回目の試料注入に対する分析の中で微調整モードまで実行することは諦め、チューニング時制御部44は目的成分の導入終了点まで粗調整モードを継続するように制御を切り替える(ステップS9)。そして、目的成分の導入が終了した時点で、プロダクトイオン毎に、異なるコリジョンエネルギに対するデータ積算値を比較し、データ積算値が最大となるコリジョンエネルギを見出してこれを概略値として定め、ステップS6と同様に、この概略値に基づいて微調整モードでのコリジョンエネルギの変化範囲とステップ幅ΔE2とを決定する(ステップS10)。
その後、チューニング時制御部44の制御の下に、インジェクタ13から移動相中に同じ試料が注入され(ステップS11)、この2回目の試料注入に対して、ステップS7、S8と同様のステップS12、S13の処理を実行し、微調整モードにおいて、プロダクトイオンA、B、Cに対するコリジョンエネルギの最適値を求める。
以上のように、上述したコリジョンエネルギ最適化処理によれば、1回目の試料注入時において例えば目的成分由来のイオンの信号強度が最大となる時点までに各プロダクトイオンの概略値が求まれば、その1回の試料注入に対する分析で全てのプロダクトイオンについてのコリジョンエネルギ最適値を求めることができる。また、1回目の試料注入時において目的成分由来のイオンの信号強度が最大となる時点までに各プロダクトイオンの概略値が求まらない場合でも、2回の試料注入に対する分析で全てのプロダクトイオンについてのコリジョンエネルギ最適値をそれぞれ求めることができる。
なお、上記実施例では、目的成分の濃度の時間変化にほぼ追従すると想定される実測イオン強度データに基づいて粗調整モードから微調整モードへの移行可能なタイミングを決めていたが、これを予め時間によって決めることもできる。即ち、質量分析装置に導入される目的成分の濃度の時間的な変化は、ポンプ12により送給される移動相の流速、導入配管14の長さ等のサイズ、などに依存する。したがって、こうした分析条件が分かれば、計算により試料注入時点から目的成分濃度がほぼ最大になる時点までの所要時間がおよそ求まる。そこで、このような所要時間を予め計算により求めておき、ステップS5の処理ではその所要時間に達したときにモード切替限界時点に達したと判断すれば、上記と同様に、最大2回の試料注入によりコリジョンエネルギの最適値を求めることが可能である。
また、上記実施例の液体クロマトグラフ質量分析装置では、液体クロマトグラフ10において試料中の成分分離を行わず、移動相に注入された試料を該移動相の流れに乗せてそのまま質量分析装置20に導入していたが、液体クロマトグラフ10においてカラムにより試料中の成分分離を行い、その溶出液を質量分析装置20に導入してもよい。その場合には、試料に複数の成分が含まれる場合でも、その中の特定の成分に由来するピークについて上記のような最適化処理を適用することができる。また、1又は複数の試料成分の濃度の時間変化がピークを示すように液体試料がイオン源に導入されるものであれば、イオン源への試料導入手法は上記記載のものに限らないことも明らかである。
また、上記実施例は本発明の一例であるから、上記記載以外の点において、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
10…液体クロマトグラフ
11…移動相容器
12…ポンプ
13…インジェクタ
14…導入配管
20…質量分析装置
21…イオン化室
22…第1中間真空室
23…第2中間真空室
24…分析室
25…ESI用イオン化プローブ
26…加熱キャピラリ
27…イオンレンズ
28…スキマー29…イオンレンズ
30…前段四重極マスフィルタ
31…コリジョンセル
32…多重極イオンガイド
33…後段四重極マスフィルタ
34…イオン検出器
40…A/D変換器
41…データ処理部
42…チューニング時データ処理部
43…分析制御部
44…チューニング時制御部
45…中央制御部
46…入力部
47…表示部

Claims (8)

  1. 1又は複数の試料成分の濃度の時間変化がピークを示すように液体試料がイオン源に導入され、該液体試料中の成分をイオン化して質量分析するべく、イオンを解離させるコリジョンセルを挟んで前段四重極マスフィルタ及び後段四重極マスフィルタが配置された三連四重極型の質量分析装置であって、試料中の既知の成分を質量分析した結果に基づいて各部の制御パラメータを最適化するチューニングを実行する質量分析装置において、
    a)調整対象である制御パラメータの1つである、コリジョンセルにおいてイオンが解離する際のコリジョンエネルギの値を所定範囲に亘り所定のステップ幅で変更するパラメータ設定手段と、
    b)前記パラメータ設定手段によりコリジョンエネルギの値が変更される毎に質量分析結果を取得する結果取得手段と、
    c)前記パラメータ設定手段により前記コリジョンエネルギの値を第1の所定範囲に亘り第1のステップ幅で変更する粗調整モードと、該コリジョンエネルギの値を第1の所定範囲よりも狭い第2の所定範囲に亘り第1のステップ幅よりも狭い第2のステップ幅で変更する微調整モードとを切り替え可能に有し、1回の試料注入に対して該試料中の目的成分がイオン源に導入される期間に、まず前記粗調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記目的成分由来のイオンを解離して生成された複数のプロダクトイオンのそれぞれについて前記コリジョンエネルギの概略値を決定し、それに引き続いて、該複数のプロダクトイオンに対しそれぞれ前記概略値を含むように定めた第2の所定範囲について微調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記複数のプロダクトイオンについてそれぞれ個別に前記コリジョンエネルギの最適値を決定するパラメータ最適化手段と、
    を備え、
    前記結果取得手段は、前記パラメータ設定手段によりコリジョンエネルギの値が前記第1のステップ幅で変更される毎に、前記複数のプロダクトイオンのそれぞれに対する信号強度を取得することによって、前記粗調整モード実行時の質量分析結果を取得することを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記パラメータ最適化手段は、イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点以前に前記粗調整モードの下でのコリジョンエネルギの概略値を決定することを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記パラメータ最適化手段は、1回の試料注入に対して該試料中の目的成分がイオン源に導入される期間中に定められた所定のモード切替限界時点を経過した時点以前に粗調整モードによってコリジョンエネルギの概略値が決まらない場合、引き続いて粗調整モードを実行することによって1回目の試料注入に対して得られた質量分析結果に基づいて前記概略値を決定し、同一試料の2回目の注入に対して前記目的成分がイオン源に導入されている期間中に、前記概略値を含むように定めた第2の所定範囲について微調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記コリジョンエネルギの最適値を決定することを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項3に記載の質量分析装置であって、
    前記モード切替え限界時点は、イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点に設定されることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項2又は4に記載の質量分析装置であって、
    前記パラメータ最適化手段は、既知の情報を利用し予め計算によって、イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点を推定することを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項2又は4に記載の質量分析装置であって、
    前記パラメータ最適化手段は、分析実行中に検出器で得られる検出信号に基づいて、イオン源に導入される目的成分の濃度が最大となる時点をリアルタイムで求めることを特徴とする質量分析装置。
  7. 1又は複数の試料成分の濃度の時間変化がピークを示すように液体試料がイオン源に導入され、該液体試料中の成分をイオン化して質量分析するべく、イオンを解離させるコリジョンセルを挟んで前段四重極マスフィルタ及び後段四重極マスフィルタが配置された三連四重極型の質量分析装置であって、試料中の既知の成分を質量分析した結果に基づいて各部の制御パラメータを最適化するチューニングを実行する質量分析装置において、
    a)調整対象である制御パラメータの1つである、コリジョンセルにおいてイオンが解離する際のコリジョンエネルギの値を所定範囲に亘り所定のステップ幅で変更するパラメータ設定手段と、
    b)前記パラメータ設定手段によりコリジョンエネルギの値が変更される毎に質量分析結果を取得する結果取得手段と、
    c)前記パラメータ設定手段により前記コリジョンエネルギの値を第1の所定範囲に亘り第1のステップ幅で変更する粗調整モードと、該コリジョンエネルギの値を第1の所定範囲よりも狭い第2の所定範囲に亘り第1のステップ幅よりも狭い第2のステップ幅で変更する微調整モードとを切り替え可能に有し、1回の試料注入に対して該試料中の目的成分がイオン源に導入される期間に、まず前記粗調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記目的成分由来のイオンを解離して生成された複数のプロダクトイオンのそれぞれについて前記コリジョンエネルギの概略値を決定し、それに引き続いて、該複数のプロダクトイオンに対しそれぞれ前記概略値を含むように定めた第2の所定範囲について微調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記複数のプロダクトイオンについてそれぞれ個別に前記コリジョンエネルギの最適値を決定するパラメータ最適化手段と、
    を備え、
    前記パラメータ最適化手段は、1回の試料注入に対して該試料中の目的成分がイオン源に導入される期間中に定められた所定のモード切替限界時点を経過した時点以前に粗調整モードによってコリジョンエネルギの概略値が決まらない場合、引き続いて粗調整モードを実行することによって1回目の試料注入に対して得られた質量分析結果に基づいて前記概略値を決定し、同一試料の2回目の注入に対して前記目的成分がイオン源に導入されている期間中に、前記概略値を含むように定めた第2の所定範囲について微調整モードを実行して該モード実行時に前記結果取得手段により得られる質量分析結果に基づいて前記コリジョンエネルギの最適値を決定することを特徴とする質量分析装置。
  8. 請求項1〜7に記載の質量分析装置であって、
    前記コリジョンエネルギの概略値は、前記粗調整モードにおいて設定される前記コリジョンエネルギに対応した前記複数のプロダクトイオンの信号強度が最大のものと、その次に大きいものとの差が所定値以上になった時点で、その最大の信号強度に対応するコリジョンエネルギをコリジョンエネルギの概略値として決定することを特徴とする質量分析装置。
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