JP5272762B2 - 水素生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水素生成装置、特に自動車に搭載するのに適した水素生成装置に関する。
近年、クリーンエネルギーである水素をエネルギー源として用いることが多く提案されており、特に水素を燃料とする燃料電池で駆動される自動車の開発が活発に行われている。水素を燃料とする燃料電池からの排ガスは、内燃機関からの排ガスに含有されている窒素酸化物、粒子状物質(PM)、二酸化炭素等を含有していないので、このような燃料電池は環境汚染及び地球温暖化を抑制できるクリーンエネルギーとして最適である。
しかしながら水素は貯蔵の際の体積が大きく、特に自動車用の燃料電池にあっては、燃料である水素の供給手段が課題となっている。
これに関して、特許文献1及び2に記載の様に、アンモニア等を分解して水素を生成する方法が注目されている。例えば特許文献1では、触媒反応によりアンモニア及びヒドラジンの少なくとも一方からなる水素源を窒素と水素とに分解して燃料電池に供給する分解器を有する燃料電池用水素生成装置を提案している。ここで、この燃料電池用水素生成装置では、1つの態様において、燃料電池からの排ガス中の未反応のアンモニア及び水素を燃焼器において触媒反応で燃焼させ、そしてこの燃焼器からの排ガスの熱を、アンモニア等を分解する分解器に供給している。特許文献1では、この態様によれば、分解器を加熱するための熱源が不要となりエネルギー効率が向上するとしている。
特開2003−40602号公報 特開2005−145748号公報
本発明では、アンモニアから水素を効率的に生成する水素生成装置を提供する。
本件発明者等は、アンモニアから水素を生成する水素生成装置について検討した結果、下記の本発明に想到した:
本発明の水素生成装置は、アンモニアをアンモニア部分酸化−分解部に供給する、アンモニア供給部;空気をメタン除去部に供給する、空気供給部;空気供給部から供給された空気中のメタンを除去し、そしてメタンを除去したメタン除去空気をアンモニア部分酸化−分解部に供給する、メタン除去部;アンモニア供給部から供給されたアンモニアの一部を、メタン除去部から供給されたメタン除去空気によって酸化させて、酸化熱を発生させ、且つこの酸化熱を用いて、アンモニア供給部から供給されたアンモニアの他の一部を、水素と窒素とに分解する、アンモニア部分酸化−分解部を有する。
本発明の水素生成装置の例を示す図である。 燃料電池と組み合わされた本発明の水素生成装置の例を示す図である。 本発明の水素生成装置で用いられるメタン除去部の例を示す図である。
〈〈本発明の水素生成装置〉〉
本発明の水素生成装置は例えば、図1に示す構成を有することができる。ここで、図1で示される本発明の水素生成装置(10)は、アンモニアをアンモニア部分酸化−分解部(4)に供給する、アンモニア供給部(3);空気をメタン除去部(2)に供給する、空気供給部(1);空気供給部(1)から供給された空気中のメタンを除去し、そしてメタンを除去したメタン除去空気をアンモニア部分酸化−分解部(4)に供給する、メタン除去部(2);アンモニア供給部(3)から供給されたアンモニアの一部を、メタン除去部(2)から供給されたメタン除去空気によって酸化させて、酸化熱を発生させ、且つこの酸化熱を用いて、アンモニア供給部(3)から供給されたアンモニアの他の一部を、水素と窒素とに分解する、アンモニア部分酸化−分解部(4)を有する。
この本発明の水素生成装置によれば、アンモニア部分酸化−分解部において、アンモニアの一部を空気中の酸素によって酸化(下記の式1)させて、酸化熱を発生させ、且つこの酸化熱を用いて、アンモニアの他の一部を、水素と窒素とに分解(下記の式2)することによって、単純な構成でアンモニアから水素を発生させることができる。
NH + 3/4O
→ 1/2N + 3/2HO + 91cal/mol (発熱反応)
… (式1)
NH → 1/2N + 3/2H − 46cal/mol (吸熱反応)
… (式2)
なお、上記の式2で示すアンモニアの分解反応を実質的な速度で進行させるには一般に350℃以上の温度が必要であるが、この反応は吸熱反応であるので、なんらかの手段で反応に必要な熱を供給する必要がある。これに関して、本発明の水素生成装置のアンモニア部分酸化−分解部では、上記の式1で示すようにアンモニアの一部を空気中の酸素によって酸化させて、必要な熱を供給するものである。したがって、例えば本発明の水素生成装置を自動車に搭載する場合において、排ガスの温度が低く、充分な温度の熱源として使用できないときにも、アンモニアを酸化させて必要な熱を供給することができる。
また、この本発明の水素生成装置によれば、メタン除去部において、空気中のメタンを除去し、そしてメタンを除去したメタン除去空気をアンモニア部分酸化−分解部に供給することによって、アンモニア部分酸化−分解部におけるメタン、アンモニア及び酸素の反応(下記の式3)によってシアン化水素が発生することを抑制できる。
CH + NH + 1/2O → HCN HO + 2H … (式3)
上記式3の反応によってシアン化水素が発生し得ることは、特開平11−292532号公報に記載されている。なお、シアン化水素は、毒性が非常に高いことが知られており、例えば水質汚濁防止法では、0.5ppmの排出基準が定められている。また、一般に大気空気中には一般に微量のメタンが含有されており、例えば日本では1.782ppmのメタンが大気空気中に含有されている。したがって、周囲雰囲気から取り込んだ空気をそのままアンモニアの部分酸化のために用いる場合、上記式3の反応によって好ましくない量のシアン化水素が生成する可能性がある。
これに対して、本発明の水素生成装置でのように、空気中からメタンを除去したメタン除去空気を、アンモニアの部分酸化に用いることによって、上記式3の反応によるシアン化水素の生成を防ぐことができる。
本発明の水素生成装置は、燃料電池、特に自動車のための燃料電池に水素を供給するために用いることができる。この場合、例えば図2に示すようにして、本発明の水素生成装置を用いることができる。
図2に示す態様では、点線で囲まれている本発明の水素生成装置(10)で得られる水素含有ガスを燃料電池(5)のアノード側に供給し、且つ空気供給部(1’)から燃料電池(5)のカソード側に空気を供給して、燃料電池(5)で電力を発生させることができる。ここで、燃料電池のための空気供給部(1’)は、本発明の水素生成装置のための空気供給部(1)と共通であってもよい。また、燃料電池のアノード側からの排ガスには、未反応の水素及びアンモニアが含有されていることから、これらの成分を排ガス燃焼部(6)において燃焼させ、それによって排気を浄化し、且つ/又は熱エネルギーを得ることができる。なお、随意に排ガス燃焼部(6)で得られた熱エネルギーをアンモニア部分酸化−分解部に供給して、アンモニアの酸化及び分解反応を促進することができる。
また、本発明の水素生成装置は、アンモニアを燃料として用いるアンモニア燃焼エンジン、特に自動車用のアンモニア燃焼エンジンのために用いることができる。エンジンにおいてアンモニアを燃料として用いる場合、アンモニアは着火性が低いことから、エンジンの低負荷運転時及び高負荷運転時には、アンモニアの燃焼が不充分となることがある。したがってこの場合、アンモニアの燃焼を補助するために、助燃剤を添加する必要がある。この助燃剤としては、炭化水素化合物及び水素を挙げることができる。ここで、本発明の水素生成装置によってアンモニアを分解して得た水素を、アンモニア燃焼のための助燃剤として用いる場合、助燃剤の先駆物質及び燃料として、アンモニアのみを用いることができる点で好ましい。なお、随意に、エンジンからの排ガスの熱エネルギーをアンモニア部分酸化−分解部に供給して、アンモニアの酸化及び分解反応を促進することができる。
〈本発明の水素生成装置の各部〉
以下では、本発明の水素生成装置の各部について説明する。
(アンモニア供給部)
本発明の水素生成装置で用いられるアンモニア供給部は、アンモニアをアンモニア部分酸化−分解部に供給できる任意の部分であってよい。したがって、このアンモニア供給部は例えば、アンモニアタンク、特に液体状のアンモニアを保持しているアンモニアタンクであってよい。また、この場合、アンモニア供給部は随意に、ポンプ、弁等を有して、アンモニアの供給量を制御できるようにすることが好ましい。
(空気供給部)
本発明の水素生成装置で用いられる空気供給部は、空気をメタン除去部に供給できる任意の部分であってよい。したがって、この空気供給部は、周囲雰囲気から空気を取り込む空気取り込み口、ポンプ、弁等からなっていてよい。
(メタン除去部)
本発明の水素生成装置で用いられるメタン除去部は、空気供給部から供給された空気中のメタンを除去し、そしてメタンを除去したメタン除去空気をアンモニア部分酸化−分解部に供給できる任意の部分であってよい。したがって例えば、このメタン除去部は、メタンを除去するために、メタン分離膜、及び/又はメタン酸化触媒を有することができる。なお、メタン除去部においては、アンモニア部分酸化−分解部において分解してメタンを生成する可能性のある他の炭化水素成分を除去することもできる。
(メタン除去部(メタン分離膜))
メタン分離膜としては、メタンを空気中から分離できる任意の膜を用いることができ、例えば有機膜、無機膜、メタン発酵層等を挙げることができる。このようなメタン分離膜は、製造コスト、システムの簡素さ等に関して好ましいことがある。
メタン分離膜を使用する際の膜厚、配置、形状等は特に制限されないが、圧力損失を抑え且つ分離効率を上げるためには、中空糸状の形状で用いることが好ましい。また、メタン分離膜の目詰まり、劣化等の際の交換を容易にするためには、メタン分離膜をカートリッジ状で用いることが好ましい。
例えばメタン分離膜は、図3に示す様式で用いることができる。ここでこの図3においては、メタン除去部(2)に供給された空気(21)がメタン分離膜(2a)を透過することによって、メタン除去空気(22)となっていることが示されている。
なお、メタン分離膜を用いる場合には、メタンだけでなく、空気中の浮遊粒子状物質(SPM)等の除去も同時に行うことができる。また当然に、空気中の浮遊粒子状物質(SPM)等の除去は、メタン分離膜とは別のフィルターで予め行うこともできる。
(メタン除去部(メタン酸化触媒))
メタン酸化触媒としては、メタンを酸化(下記の式4)して除去できる任意の触媒を用いることができ、例えば貴金属である白金、ルテニウム等、及び卑金属である鉄、コバルト、ニッケル等を用いることができる。
CH + 2O → CO + 2HO … (式4)
必要に応じて、メタン酸化反応を促進するために、メタン酸化触媒の温度を高めることができる。メタンの酸化を高温で行う場合、及び/又はメタンの酸化によって有意の熱が発生する場合、メタン酸化触媒のための基材としては耐熱性を有する材料、例えばカーボン等の無機材料、ステンレス、合金等の金属等を用いることが好ましい。
なお、空気中のメタンの濃度は非常に小さいので、メタンを充分に除去するためには、メタンを含有する空気とメタン酸化触媒との接触面積を大きくし、且つ反応流路を長くする必要がある。接触面積を大きくするためには例えば、メタン酸化触媒をペレット状の触媒担体に担持し、これを反応容器に充填すること、メタン酸化触媒を粉末状の触媒担体に担持し、これをハニカム状の担体基材又は網状状担体にコートすること等ができる。また、反応流路を長くするためには例えば、反応流路を蛇行させること等ができる。
(アンモニア部分酸化−分解部)
本発明の水素生成装置で用いられるアンモニア部分酸化−分解部は、アンモニア供給部から供給されたアンモニアの一部を、メタン除去部から供給されたメタン除去空気によって酸化させて、酸化熱を発生させ、且つこの酸化熱を用いて、アンモニア供給部から供給されたアンモニアの他の一部を、水素と窒素とに分解できる任意の部分であってよい。
このアンモニア部分酸化−分解部におけるアンモニア分解に関しては、例えば特許文献1を参照することができ、したがって例えばアンモニア分解触媒としは、貴金属である白金、ルテニウム等、及び卑金属である鉄、コバルト、ニッケル等を用いることができる。また、このアンモニア部分酸化−分解部におけるアンモニアの部分酸化は、上記の触媒、特に貴金属によって達成することができる。
アンモニア部分酸化−分解部において酸化されるアンモニアの割合は、アンモニア分解反応の進行に必要な熱量に依存して決定することができ、またアンモニア部分酸化−分解部に供給される空気の量を制御して調節できる。
1、1’ 空気供給部
2 メタン除去部
2a メタン分離膜
3 アンモニア供給部
4 アンモニア部分酸化−分解部
5 燃料電池
6 排ガス燃焼部
10 本発明の水素生成装置
21 空気
22 メタン除去空気

Claims (1)

  1. アンモニアをアンモニア部分酸化−分解部に供給する、アンモニア供給部;
    空気をメタン除去部に供給する、空気供給部;
    前記空気供給部から供給された空気中のメタンを除去し、そしてメタンを除去したメタン除去空気をアンモニア部分酸化−分解部に供給する、メタン除去部;
    前記アンモニア供給部から供給されたアンモニアの一部を、前記メタン除去部から供給されたメタン除去空気によって酸化させて、酸化熱を発生させ、且つ前記酸化熱を用いて、前記アンモニア供給部から供給されたアンモニアの他の一部を、水素と窒素とに分解する、アンモニア部分酸化−分解部、
    を有する、水素生成装置。
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