JP2005272856A - アンモニア合成装置、アンモニア合成方法および燃焼装置を含むシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温・高圧条件を用いずに連続的にアンモニアを合成する。
【解決手段】 陰極41、固体電解質42、陽極43、触媒層44から構成される隔壁4の陰極41側に窒素ガス(N2)を接触させ、触媒層44に水素ガス(H2)を接触させる。固体電解質42に電圧を加えると、固体電解質層42において窒素イオンが生成され、さらにこの窒素イオンから原子状窒素N(a)が生成される。他方で、触媒層44では、水素ガスが吸着し、触媒作用によって原子状水素H(a)が生成される。そして、原子状窒素N(a)と原子状水素H(a)とが結合することでアンモニア(NH3)が合成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 陰極41、固体電解質42、陽極43、触媒層44から構成される隔壁4の陰極41側に窒素ガス(N2)を接触させ、触媒層44に水素ガス(H2)を接触させる。固体電解質42に電圧を加えると、固体電解質層42において窒素イオンが生成され、さらにこの窒素イオンから原子状窒素N(a)が生成される。他方で、触媒層44では、水素ガスが吸着し、触媒作用によって原子状水素H(a)が生成される。そして、原子状窒素N(a)と原子状水素H(a)とが結合することでアンモニア(NH3)が合成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アンモニアを合成する技術に係り、特に低温常圧といった温和な条件でアンモニアを連続的に合成することができる技術に関する。
工業レベルにおいて大規模に行われているアンモニアの合成方法として、ハーバー法がある。ハーバー法は、窒素と水素とからアンモニアを合成するもので、鉄系の3元系触媒を用いて行われる。ハーバー法は、温度500℃前後、圧力20MPa程度といった高温・高圧の合成条件下において操業され、また一般にバッチ式等で行われている。ハーバー法を改良した方法として、ファウザー法、ウーデ法あるいは東京工業試験所法等が知られているが、ハーバー法と大同小異である。
近年、鉄系の3元系触媒に代えて、ルテニウム系触媒を使用し、上述のハーバー法における合成条件よりも温度および圧力を下げた温和な条件下でのアンモニア製造技術が報告されている。この方法は、例えば非特許文献1に記載されている。
また、アルカリ金属塩と窒化リチウムとの共晶溶融塩に、窒素と水素とを供給することで、アンモニアを合成する技術も報告されている。この方法では、アルカリ金属塩と窒化リチウムとの共晶溶融塩に、窒素と水素とを供給することで、窒素陰イオンを含有した溶融塩を得、その溶融塩において電気化学的に原子状窒素を発生させ、この原子状窒素と水素とを反応させることで、アンモニアを合成する。この方法は、例えば非特許文献2に記載されている。
NKKグループアラカルト、"オンサイト設置式小型アンモニア製造装置"、エヌケー総合設計(株)、[平成15年7月2日検索]、〈URL:http://www.jfe−holdings.co.jp/archives/nkk_360/No.47/group.html〉
T.Murakami,T.Nishikiori,and Y.Ito,J.Am.Chem.Soc,vol.125(2003)pp.334−355.
一方、上述したような方法で製造されるアンモニアを利用して、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンからの排気ガス中に含まれる窒素酸化物を除去する技術が知られている。この技術は、エンジンの排気ガス中にアンモニア成分を含有する尿素水溶液等を注入することで、排気ガスの熱によりアンモニアガス、水蒸気および二酸化炭素を生成させ、このアンモニアガスを触媒として、窒素酸化物を水と窒素に還元するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンからの排気ガス中から、窒素酸化物を除去することは、環境保全の観点から極めて重要な技術であり、上述した技術の実用化が待ち望まれている。
しかしながら、ハーバー法によるアンモニアの合成技術においては、化学的に安定な窒素分子の解離を促進させるために、500℃前後の温度および約20MPaの圧力という過酷な合成条件を必要とする。このため、合成に多大なエネルギーを必要とし、さらに過酷な合成条件に耐え得る大規模で高価な設備が必要であった。
非特許文献1に記載されているルテニウム系触媒を用いた方法では、ハーバー法に比較すれば、過酷な反応条件は低減されてはいる。しかしながら、後述する理由により、350℃、0.9MPaといった合成条件が必要であり、エネルギー消費が大きい。また、設備が大規模で高価になるという点で満足できるものではなかった。
ルテニウム系触媒を用いた方法において、350℃の温度が必要なのは、水素分子および窒素分子の双方をルテニウム系触媒に接触させた場合、350℃程度の温度に高めなくては窒素分子の活性化が困難であるからである。これは、ルテニウム系触媒を用いた方法では、窒素分子の解離のため、電子依存性の高い塩基性担体およびアルカリ促進剤を添加しているが、材料添加検討のみの窒素分子の活性化では、一定以上の温度を必要とするからである。
また、0.9MPaといった圧力が必要なのは以下の理由による。すなわち、この合成反応では、下記化学式「化1」に示すように、3molの水素と1molの窒素とからなる4molの原料が、2molのアンモニアとなる減容反応となる。
上記の反応は、原料の合計容積に比較して生成物の容積が略半分となる反応であるので、生成されるアンモニアの製造量を増やすために反応圧力を高くする必要がある。そのため、1MPa近くの圧力が必要とされる。
非特許文献2に記載されているアルカリ金属塩と窒化リチウムとの共晶溶融塩を用いるアンモニアの合成方法は、LiCl−KCl−CsCl−Li3Nなどの共晶塩を使用するために450℃の高温を必要とし、また、溶融塩を使用するために液漏れ等の危険性があり、さらに取扱も難しいという問題がある。
以上述べたように、ハーバー法を利用したアンモニア合成技術は、高温・高圧の合成条件が必要であり、そのため多くのエネルギーを必要とし、また大規模な製造設備が必要となる。ルテニウム触媒を使用した方法は、ハーバー法に比較すれば、合成条件は緩和されるが、気相合成の延長線上の技術であり、触媒活性化をするために、それなりの高温・高圧条件が必要とされる。共晶溶融塩を利用した方法は、上述した方法と同様に高温での合成が必要であり、また溶融塩の取扱に注意が必要であった。このため、高コストで大規模な製造設備が必要であった。
前述したように、エンジンからの排気ガス中から、アンモニアを用いて窒素酸化物を除去する技術の実用化が望まれているが、上述したように、現状のアンモニア製造方法は、乗用車やトラックに装備できるようなものではない。
例えば、500℃前後の温度および約20MPaの圧力という過酷な合成条件を必要とするハーバー法を用いた合成装置を乗用車に組み込むことは、コストやスペースの関係から適当ではない。このことは、ルニウム系触媒を用いた方法においても同じである。
また、共晶溶融塩を用いるアンモニアの合成方法も高温を必要とする点で乗用車に合成装置を組み込むことは実用レベルでは困難であり、何より共晶溶融塩を取り扱う装置を乗用車内に配置することは安全性や価格の点から適当ではない。
なお、乗用車やトラック等にアンモニアを充填したボンベを備えさせる方法も考えられるが、アンモニアの補充をどうするのか、といった問題があり実用的ではない。
そこで本発明は、乗用車やトラックに装備できる実用性を有したアンモニア製造装置を提供することを目的とする。すなわち、合成において高温・高圧条件といった過酷な条件を必要とせず、また溶融塩といった取扱に注意が必要な材料を必要とせず、また連続的にアンモニアを得ることができ、さらに構造がシンプルで小型化が可能であるアンモニア製造装置を提供することを発明の目的とする。
本発明のアンモニア合成装置は、窒素ガスが供給されるメッシュ状または多孔質状の陰極と、前記陰極上の窒化物固体電解質層と、前記窒化物固体電解質層上に設けられたメッシュ状または多孔質状の陽極と、前記陽極上に設けられ、水素を吸着解離する触媒層とを備えることを特徴とする。
上記本発明のアンモニア合成装置は、陽極に陰極に対して正の電位を加えることで、窒化物固体電解質層において電気化学的に窒素陰イオンを生成し、陽極において前記窒素陰イオンを酸化し原子状窒素を得、陽極において、原子状窒素と触媒層上に吸着解離させた原子状水素とを反応させることでアンモニアを合成する。
すなわち、陰極と陽極との間に直流電圧が加えられることで、窒化物固体電解質層において電気化学的な作用により窒素ガスを原料として窒素陰イオンが生成され、この窒素陰イオンが陽極において電子を失うことで、原子状窒素が生成される。他方で触媒層では、触媒作用により水素ガスを原料として原子状水素が生成され、この原子状水素が吸着状態で移動し、陽極において生成された原子状窒素と反応してアンモニアが合成される。
固体電解質層においては、電圧が加えられることで窒化物固体電解質中の窒化物を窒素陰イオンと化合相手元素の陽イオンとに分解し、この化合相手元素の陽イオンを陰極から電子を供給することにより還元し、この還元された化合相手元素と窒素ガスを反応させることで窒化物固体電解質中の窒化物の再生が行われる。このサイクルを繰り返すことで、窒素ガスを原料として窒化物固体電解質においてアンモニア陰イオンの生成が行われる。
なお、化合相手元素というのは、窒化物固体電解質を構成する窒化物において、窒素と化合する相手元素のこという。例えば、窒化物固体電解質を構成する窒化物としてLi3Nが利用される場合、化合相手元素はLiである。なお、化合相手元素は一種類である必要はなく、複数種類であってもよい。また、窒化物固体電解質は、窒化物以外の材料を含んでいてもよい。
上記アンモニア合成装置におけるアンモニアの合成では、大きな解離エネルギーを必要とする窒素分子の解離を触媒により行うのではなく、窒化物固体電解層における電気化学的な作用によって行うので、従来技術のような高温・高圧条件を必要としない。
また、気相から供給された窒素分子が触媒上において吸着解離する機構と異なり、触媒上での窒素分子の解離は行われないので、触媒上の吸着活性点の利用効率が向上し、また触媒が窒素分子の吸着解離作用をも担う場合に比較して触媒の負荷が低下するため、高効率でアンモニアを合成することができる。
つまり、本発明においては、気相状態からの触媒への吸着解離は、水素分子のみを対象とすればよいので、触媒が水素分子の吸着解離作用と窒素分子の吸着解離作用との両方の役割を担っている場合に比較して、触媒への負担が軽減される。特に窒素分子(N2)の解離エネルギーは、942kJ/molと水素分子(H2)の解離エネルギー(456kJ/mol)に比較して大きいので、触媒に窒素分子の吸着解離を行わせないことは、アンモニアの合成条件を温和にするためには有利となる。
また、本発明のアンモニア合成装置においては、電気化学的な作用によって窒化物固体電解質において窒素陰イオンが生成され、それが陽極に供給されるので、触媒層には、陰極側から窒素以外のガス種が供給され難い構造とすることができる。したがって、触媒の活性を低下させる酸素、水分等の不純物ガスが触媒層に供給され、アンモニアの合成能力が低下してしまう不都合を抑制することができる。
上記本発明のアンモニア合成装置において、陰極は、電極として機能する程度の導電性を有し、また窒素ガスを透過させる物性あるいは構造を備えたものが使用される。陽極は、電極として機能する程度の導電性を有し、また窒素原子を透過させる物性あるいは構造を備えたものが使用される。陰極および陽極の具体的な材料としては、カーボンペーパー、多孔質金属板、多数の穴が形成された金属板、金属メッシュ等が挙げられる。
窒化物固体電解質層を構成する窒素の化合相手となる材料は、窒素との化学反応性の高いリチウム等のアルカリ金属であることが好ましい。
触媒層は、水素分子を吸着解離させ、原子状水素を得る機能を有する材料を多孔質支持層に担持させたもの、あるいはこのような機能を有する材料を多孔質の層に加工したものが利用される。
本発明のアンモニア合成装置は、アンモニアの合成を行う単位セルを積層した構造に拡張することができる。すなわち、本発明のアンモニア合成装置の他の構成は、陰極、窒化物固体電解質層、陽極および前記触媒層によって構成された第1および第2の隔壁を備え、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁とは隙間を有して対向配置されており、前記第1の隔壁の陰極と前記第2の隔壁の陰極とが対向していること、あるいは前記第1の隔壁の触媒層と前記第2の隔壁の触媒層とが対向していることを特徴とする。
この構成によれば、アンモニア合成層として機能する2個の隔壁が、陰極側の面を対向させて配置、あるいは触媒層側(陽極側)の面を対向させて配置されるので、隔壁間の隙間を窒素ガスの流路あるいは水素ガスの流路として共有することができる。そのため、2個の隔壁をその面が同一の向きになるように対向配置した場合と比較して、流路の構造を簡略化でき、またアンモニア合成装置としての厚み寸法を抑えることができる。このことは、構造やガス供給系の簡略化によるコストの削減および小型化に寄与する。この構成は、さらに多くの隔壁を積層配置していった構造に応用することができる。
また本発明のアンモニア合成装置のさらに他の構成は、陰極、窒化物固体電解質層、陽極および触媒層によって構成された2n個(nは0を含まない自然数)の隔壁を備え、前記2n個の隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、mをm≦nを満たす0を含まない自然数として、下層から2m番目の隔壁と2m−1番目の隔壁との互いに対向する面に前記触媒層が配置されることを特徴とする。
この構成によれば、隔壁を多層に積層したスタック構造において、水素ガスの流路が対向配置される2つの隔壁の間に位置するように設定される。特に同じ寸法の隔壁を4層以上積層する場合に、全ての水素流路において触媒層への接触面積を同じにすることができる。このため、装置に供給する水素ガスの流量制御系を複雑化しなくて済む優位性がある。
窒素ガスに比較して水素ガスは貴重であり、コスト的にも高いので、触媒層での利用効率を大きくすることが重要である。そのためには水素ガスの微妙な流量制御が必要とされる。隔壁を多層に積層した構造とした場合に水素流路毎に流す水素ガスの流量が異なることは、流量制御を行うための構成が複雑化することにつながり、コストおよび信頼性の点から好ましくない。上述の構成では、各水素流路において同じ流量の水素ガスを流せばよいので、流量の制御の点で好ましいものとなる。
また本発明のアンモニア合成装置のさらに他の構成は、陰極、窒化物固体電解質層、陽極および触媒層によって構成された2n個(nは0を含まない自然数)の隔壁を備え、前記2n個の隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、下層から奇数番目の前記隙間に水素ガスが供給されることを特徴とする。
この構成においても、水素ガスの流路が対向配置される2つの隔壁の間に位置するように設定され、隔壁を4層あるいは6層と偶数層積層した構造とした場合に、複数の水素流路の流量を同じにできる構造が得られる。
本発明のアンモニア合成装置は、窒化物固体電解質に電圧を加えることで窒素分子を解離して窒素陰イオンを生成する窒素陰イオン生成手段と、前記窒素イオンを酸化し活性な原子状の窒素を生成する原子状窒素生成手段と、水素分子を解離して活性な原子状の水素を生成する原子状水素生成手段とを備え、前記原子状の水素と前記原子状の窒素とを反応させることでアンモニアを合成することを特徴とする構成として把握することもできる。
また本発明は、アンモニア合成方法として把握することもできる。すなわち、本発明のアンモニア合成方法は、窒化物固体電解質に電圧を加えることで窒素陰イオンを生成する窒素陰イオン生成ステップと、前記窒素陰イオンを酸化し活性な原子状の窒素を生成する原子状窒素生成ステップと、活性な原子状の水素を生成する原子状水素生成ステップと前記原子状の水素と前記原子状の窒素とを反応させることでアンモニアを合成するアンモニア合成ステップとを備えることを特徴とする。
また本発明は、合成したアンモニアを利用した燃焼装置からの窒素酸化物を浄化するシステムとして把握することもできる。すなわち、本発明の燃焼装置を含むシステムは、燃焼を行う燃焼装置と、アンモニアを用いて前記燃焼装置からの窒素酸化物を浄化する排気ガス浄化装置と、アンモニアを製造するアンモニア合成装置と、前記排気ガス浄化装置にアンモニアを制御して添加するアンモニア供給装置とを備えることを特徴とする。
アンモニア合成装置としては、上述した本発明のアンモニア合成装置のバリエーションの中から任意のものを選択して利用することができる。
ここで燃焼装置とは、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン等の内燃機関、燃料やゴミ廃棄物等を燃やすボイラー、その他燃料となる物質を燃焼させる機能を有する装置のことをいう。
(従来技術と比較した優位性)
以下、本発明と従来技術とを比較し、本発明の優位性について説明する。一般に非特許文献1に記載されているような触媒を利用して水素と窒素を分解し、アンモニアを合成する反応過程は、下記化学式「化2」〜「化6」に示す反応が行われることで行われる。下記の化学式において、「site」は触媒上の吸着活性点を示し、「(a)」は、その元素が触媒上に吸着(adsorption)し、活性な原子状態であることを示す。たとえば、H(a)は、水素原子が活性な状態で触媒上に存在していることを意味する。
以下、本発明と従来技術とを比較し、本発明の優位性について説明する。一般に非特許文献1に記載されているような触媒を利用して水素と窒素を分解し、アンモニアを合成する反応過程は、下記化学式「化2」〜「化6」に示す反応が行われることで行われる。下記の化学式において、「site」は触媒上の吸着活性点を示し、「(a)」は、その元素が触媒上に吸着(adsorption)し、活性な原子状態であることを示す。たとえば、H(a)は、水素原子が活性な状態で触媒上に存在していることを意味する。
非特許文献1に記載されているような触媒を利用して水素と窒素を分解し、アンモニアを合成する反応過程では、化学式「化1」および「化2」に示すように、水素分子と窒素分子が気体状態から触媒表面上において吸着解離し、触媒の作用によって原子状水素と原子状窒素とが得られる。そして、この原子状水素と原子状窒素とが反応して化学式「化4」〜「化6」に示すようにNH等の中間生成物を経て、アンモニアが生成される。
つまり、非特許文献1に記載されている方法では、触媒の機能により、水素分子(H2)から原子状水素(H(a))を得、さらに窒素分子(N2)から原子状窒素(N(a))を得ていた。
これに対して、本発明の反応では、原子状窒素を得る方法が異なっている。すなわち、本発明を利用した場合、例えば図4に示すように、固体電解質層42において窒素分子(N2)を原料として窒素陰イオン(N3−)が生成され、その窒素陰イオンが陽極43に電子を放出することで原子状窒素(N(a))を得ている。つまり、本発明においては、触媒の作用によって窒素分子を解離させているのではなく、固体電解質層を利用した電気化学的な反応を利用して原子状窒素を得ている。
なお本発明において、原子状水素と原子状窒素を得た後は、「化4」〜「化6」の反応が逐次行われ、アンモニアが合成される。
上述した従来技術における「化2」〜「化6」の反応過程を経てアンモニアを合成する技術においては、特に「化3」で示される触媒上における反応が律速反応となることが知られている。
窒素分子の三重結合の解離エネルギーは942kJ/molと非常に強固なものであり、触媒上において「化3」に示す反応により原子状窒素を得る方法は、極めて効率が悪い。このことが、従来のアンモニア合成技術における高温・高圧条件の必要性の要因となっていた。
すなわち、従来技術においては、「化3」に示す触媒を利用した窒素分子の解離による原子状窒素の生成過程が律速となり、アンモニア合成効率を制限しているので、アンモニアの合成効率を高めるために、「化3」の反応を高温・高圧の雰囲気下において行うことで、原子状窒素の生成効率を高める必要があった。また、従来技術においては、「化2」および「化3」の吸着解離は同一反応過程において同時に行われるので、触媒の表面上において双方のガス吸着が起こり、触媒の吸着点を2種類のガスが奪うことになる。このため、効率的に片方のガスの吸着解離を行うことができない。
これに対して、本発明においては、原子状窒素を得るための窒素分子の解離を固体電解質層(例えば図4の符号42を参照)において電気化学的な作用を利用して行っている。このため、窒素分子を解離させるために高温・高圧の条件は必要とされない。
また、「化1」に示す反応を利用した従来技術においては、3molの水素と1molの窒素とからなる4molの原料が、2molのアンモニアとなる減容反応であるので、アンモニアの合成効率を高めるために加圧下における反応が有利であった。
これに対して、本発明における反応では、図4に例示されるように、触媒層44に窒素分子が供給される訳ではなく、陽極で生成された原子状窒素と触媒層で生成された原子状水素とが反応する合成反応であるので、触媒層44における反応として考えたアンモニア合成の反応は下記化学式「化7」で示されるものとなる。
「化7」で表される反応は、窒素は気体(窒素分子)として供給されず、そのため1.5molの水素分子と1molの原子状窒素(吸着窒素原子)とが反応して1molのアンモニアになることを意味している。この反応では、「化1」が意味する減容反応に比較して、減容の程度が低いものとなる。このことから、本発明を利用したアンモニア合成は、「化1」で示される従来技術におけるアンモニアの合成に比較して、反応平衡論的に低圧での反応に有利なものとなる。したがって、本発明は、非特許文献1に記載されているような従来技術に比較して、より低圧の条件であっても、より高い反応効率でアンモニアを合成することが可能となる。
さらに、非特許文献1に記載されているルテニウム系触媒を用いる方法は、ルテニウム金属の水素分子に対する吸着解離能力が非常に高いために、触媒活性点となるルテニウム金属表面の大部分を吸着解離した原子状水素が覆う状態となり、このため窒素の吸着解離するサイト数が相対的に減少し、窒素分子の解離効率が低下してしまう不都合が発生する。このことは、アンモニアの生成効率を低下させる要因となる。この現象は、水素被毒として知られ、高圧での反応において特に顕著になる。
これに対して、本発明を利用したアンモニアの合成においては、固体電解質層(例えば図4の符号42を参照)において電気化学的な作用によって生成された窒素陰イオンが陽極(例えば図4の符号43を参照)において酸化されて原子状の窒素となり、他方で触媒層(例えば図4の符号44を参照)において水素分子が解離吸着することで生成された原子状の水素が陽極43上にスピルオーバーすることで、原子状窒素と原子状水素との反応が起こり、アンモニアが合成される。
すなわち、本発明では、触媒層の作用によって窒素分子の解離を行わず、他の部位の機能によって原子状窒素の生成が行われる。したがって、触媒層の多くの面積が原子状水素で覆われていたとしても、原子状窒素の生成効率が低下する訳ではなく、それ故アンモニアの合成効率の低下が抑えられる。つまり、本発明では水素被毒の問題を緩和することができる。
さらに、非特許文献2に挙げられているアンモニアの合成では、窒素陰イオンの供給を行うために、高温のLiCl−KCl−CsCl−Li3N等の共晶溶融塩を用いている。高温状態の共晶溶融塩は、腐食性が高く、装置の破損や配管の緩み等に起因した漏洩に非常に注意しなければならない。
これに対して、本発明においては、窒素陰イオンの供給を固体電解質における電気化学的な方法で行うので、共晶溶融塩のような取り扱いに注意を要する物質を用いる必要はなく、安全性の点で有利である。またそのために、装置構造の簡素化、軽量化を図れ、より低コスト化を追及できる。
以上述べたように、本発明を利用したアンモニアの合成技術は、水素ガスと窒素ガスを連続的に供給することで、従来技術に比較してより温和な条件(高温・高圧を必要としない条件)でアンモニアを連続的に合成することができる優位性がある。
また、より温和な条件でよいこと、さらに取り扱いに注意を要するような物質を用いないことから、構造がよりシンプルで、小型軽量化、さらに低コストを追及したアンモニア合成装置を提供することができる。
本発明によれば、大きな解離エネルギーを必要とされる窒素分子の解離を、窒化物固体電解質に電圧を加えることによる電気化学的な方法を利用して行うので、高温・高圧の反応条件を必要とせずに温和な条件において、水素と窒素とからアンモニアを合成することができる。また、溶融塩といった取扱に注意が必要な材料を必要とせず、また連続的にアンモニアを得ることができる。
そのため、本発明を利用することで、乗用車やトラックに装備できる実用性を有したアンモニア製造装置を提供することができる。さらに構造がシンプルで小型化、低コスト化が可能であるアンモニア製造装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を利用した一つの例であり、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
1−1.第1の実施形態の概略
図1は、本実施形態のアンモニア合成装置の概略を示す斜視図である。図1(a)は装置の全容を示し、図1(b)は図1(a)の符号11の部分を拡大したものを示す。図2は、本実施形態のアンモニア合成装置の積層構造を示す分解斜視図である。図3は、図1(a)のX−X線で切った断面を示す断面図である。図4は、窒素ガス(N2)と水素ガス(H2)とからアンモニアガスを合成するメカニズムを概念的に示す概念図である。なお、説明の都合上、図1に示すように、長さ方向、幅方向、厚さ方向、上流および下流を設定する。
1−1.第1の実施形態の概略
図1は、本実施形態のアンモニア合成装置の概略を示す斜視図である。図1(a)は装置の全容を示し、図1(b)は図1(a)の符号11の部分を拡大したものを示す。図2は、本実施形態のアンモニア合成装置の積層構造を示す分解斜視図である。図3は、図1(a)のX−X線で切った断面を示す断面図である。図4は、窒素ガス(N2)と水素ガス(H2)とからアンモニアガスを合成するメカニズムを概念的に示す概念図である。なお、説明の都合上、図1に示すように、長さ方向、幅方向、厚さ方向、上流および下流を設定する。
図1〜図4に示すように本実施形態のアンモニア合成装置1は、窒素ガス(N2)が供給される多孔質状の陰極41と、陰極41上の窒化物固体電解質層42と、窒化物固体電解質層41上に設けられた多孔質状の陽極43と、陽極43上に設けられ、水素ガス(H2)が供給される触媒層44とを備えている。
そして、陽極43に陰極41に対して正の電位を加えることで、窒化物電解質層42において電気化学的に窒素陰イオン(N3−)を生成し、この生成した窒素陰イオンを陽極43において酸化し原子状窒素(N(a))を得る。他方で、触媒層44上に吸着解離させた原子状水素(H(a))は、陽極43にスピルオーバーし、陽極43において原子状窒素(N(a))と反応する。これによりアンモニア(NH3)の合成が行われる。
この際、陰極41と陽極43との間に直流電圧を加えることで、窒化物固体電解質層(Li3N)42中に窒素陰イオン(N3−)と、陽イオン化した化合相手元素(Li+)とを生成し、陽イオン化した化合相手元素(Li+)に陰極41から電子(e−)を供給することによりこれを還元し、この還元された化合相手元素(Li)と窒素ガス(N2)を反応させることで窒化物固体電解質42を構成する窒化物(Li3N)を再生する。このサイクルにより、窒素ガスを原料として原子状窒素の生成が行われる。
また、本実施形態のアンモニア合成装置1は、窒化物電解質層42に電圧を加えることで窒素陰イオン(N−3)を生成する窒素陰イオン生成手段と、窒素イオン(N−3)を酸化し活性な原子状の窒素(N(a))を生成する原子状窒素生成手段と、活性な原子状の水素(H(a))を生成する原子状水素生成手段とを備え、前記原子状水素(H(a))と前記原子状窒素(N(a))とを反応させることでアンモニア(NH3)を合成するアンモニア合成装置として把握することもできる。
この場合、陰極41と陽極43とによって窒化物固体電解質層42が挟まれた構造が窒素陰イオン生成手段の一例として把握される。陽極43が窒素イオン(N−3)を酸化し活性な原子状の窒素(N(a))を生成する原子状窒素生成手段の一例として把握される。また、触媒層44が原子状水素生成手段の一例として把握される。
1―2.第1の実施形態の構成
以下、本実施形態のアンモニア合成装置の構成について説明する。図1に示すアンモニア合成装置1は、アンモニアを合成する機能を有する単位セルとなる。図1に示すように、アンモニア合成装置1は、窒素ガス流路側部材2、ガスケット3、隔壁4、ガスケット5および水素ガス流路側部材6が順に積層された構造を有している。
以下、本実施形態のアンモニア合成装置の構成について説明する。図1に示すアンモニア合成装置1は、アンモニアを合成する機能を有する単位セルとなる。図1に示すように、アンモニア合成装置1は、窒素ガス流路側部材2、ガスケット3、隔壁4、ガスケット5および水素ガス流路側部材6が順に積層された構造を有している。
窒素ガス流路側部材2は、窒素ガス導入口2aおよび窒素ガス排出口2bを備えている。また、水素ガス流路側部材6は、水素ガス導入口6aおよび水素およびアンモニアガス排出口6bを備えている。窒素ガス流路側部材2および水素ガス流路側部材6は、耐腐食性および耐圧性を考慮してステンレス(SUS316)で構成されている。
隔壁4は、図1(b)に示すように、陰極(カソード)41、窒化物固体電解質層42、陽極(アノード)43および触媒層44が順に積層された構造を有している。隔壁4は、後述するような仕組みにより、窒素ガスと水素とガスを原料としてアンモニアを合成するアンモニア合成層として機能する。
陰極41と陽極43は、多孔質の膜状の導電性材料で構成されている。ここでは、多孔質の膜状の導電性材料として、水素ガスおよびアンモニアガスを透過する多孔質構造の金属メッシュを利用している。陰極41および陰極43としては、導電性、ガス透過性および耐食性を有する材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ステンレス製のメッシュを挙げることができる。
また、陰極41には、図示しない直流電源の負電圧出力(例えば接地電位)が接続され、陽極43は、この直流電源の正電圧出力が接続される。つまり、陽極43には、陰極41に対して正の直流電圧を加えることが可能な構成となっている。
窒化物固体電解質層42は、直流電圧が加えられることで、後述する電気化学的な作用によって、窒素ガスを原料にして原子状の窒素を生成する反応に寄与する。
窒化物固体電解質層42は、金属窒化物であるLi3Nにより構成されている。窒化物固体電解質層42を構成する材料としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)等のアルカリ金属と窒素(N)との化合物であるAM3N(AM:アルカリ金属)材料を用いることができる。また、AM3N材料において、アルカリ金属の一部を、(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等の希土類金属、またはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)等の希土類金属、またはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属から選ばれた一種または複数種類の元素で置き換えた材料を用いることもできる。
ガスケット3および5は、窒素ガス流路側部材2と隔壁4、さらに隔壁4と水素ガス流路側部材6との密着性を高め、窒素ガス、水素ガスおよびアンモニアガスが外部に漏れないようにシールする役割を果たしており、同時に絶縁機能を有している。本実施形態においては、耐圧性、耐食性、耐熱性を考慮してガスケット3および5として、カーボンでアルミナを挟んだ構造のものを採用している。
ガスケット3および5は、カーボン製に限定されない。また、本発明を利用したアンモニア合成装置は、100℃以下の温度で動作させることが可能であるので、ガスケットとしてテトラフルオロエチレン、シリコーンゴム等の樹脂材料を用いることもできる。
触媒層44は、多孔質支持体に触媒として機能する活性物質を保持させた多孔質構造を有する。触媒層44は、水素ガスを吸着解離させ、原子状の水素を生成する機能を有する。本実施形態においては、触媒層44として、多孔質構造のマグネシア(MgO)にルテニウム(Ru)を保持させたものを用いている。
触媒層44を構成する多孔質支持体(多孔質担体)としては、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al2O3)、セリア(CeO2)、シリカ(SiO2)、活性炭等から選ばれた一種または複数種類の材料、あるいはこれらの材料の複数種類からなる化合物を利用することができる。
触媒層44を構成する活性物質としては、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ウラン(U)、セリウム(Ce)、レニウム(Re)等から選ばれた一種または複数種類のものを採用することができる。また、触媒層44にカリウム(K)、セシウム(Cs)等の化合物を添加して、触媒活性を高めてもよい。
以下、触媒層44の作製方法について説明する。ここでは活性物質としてルテニウム(Ru)、多孔質支持体としてマグネシア(MgO)を選択した場合の例を説明する。この場合、まずルテニウム化合物の粉末、THF溶液を所定の割合で配合し、この溶液にマグネシアの粉末を添加配合して調製する。そして、この調製物を水素透過膜の片面に所定量塗布し、所定の温度で乾燥および焼成させる。こうして膜状の触媒層を得る。なお、マグネシアの出発材料として水酸化マグネシウム(Mg(OH2))を使用することも可能である。
以上説明した各部材は、図1(b)に示す状態で積層されアンモニア合成装置1を構成している。なお、各部材は図示しない締結手段(ボルト)によって固定される。
次に窒素ガス流路側部材2と水素ガス流路側部材6の構造の詳細について説明する。図3に示すように、窒素ガス流路側部材2の水素ガス流路側部材6に対向する面側には、凹部2cが形成され、水素ガス流路側部材6の窒素ガス流路側部材2に対向する面側には、凹部6cが形成されている。この構造に関しては、図2にも記載されている。すなわち図2には、窒素ガス流路側部材2の水素ガス流路側部材6に対向する面側に、凹型にくりぬかれた凹部2cが形成されている構造が記載されている。
図3に示すように、水素ガス(H2)は、水素ガス導入口6aから凹部6cに流れ込み、隔壁4を構成する触媒層44(図1(b)または図4参照)に接触する。凹部6cに導入された水素ガスの一部はアンモニアガス(NH3)の合成に利用され、残部は未反応ガスとして水素およびアンモニアガス排出口6bから排出される。窒素ガス(N2)は、窒素ガス導入口2aから導入されて凹部2cに流れ込み、隔壁4を構成する陰極41(図1bまたは図4参照)に接触する。凹部6aに導入された窒素ガスの一部はアンモニアガスの合成に利用され、残部は未反応ガスとして窒素ガス排出口2bから排出される。また、後述する仕組みにより合成されたアンモニアガスは、水素およびアンモニアガス排出口6bから排出される。
1−3.第1の実施形態の動作
以下、図1〜図3に示すアンモニアガス合成装置1におけるアンモニアガスの合成メカニズムについて、図4を用いて詳細に説明する。
以下、図1〜図3に示すアンモニアガス合成装置1におけるアンモニアガスの合成メカニズムについて、図4を用いて詳細に説明する。
アンモニアの合成に際しては、図示しない直流電源の負極を陰極41に接続し、正極を陽極43に接続し、陽極43に陰極41に対して正の電位を加える。この状態において、凹部2cに窒素ガスを流入させ、凹部6cに水素ガスを流入させる。すなわち、陽極43に陰極41に対して正の直流電位を加えた状態で陰極41側に窒素ガスを、触媒層44側に水素ガスを流す。
なお、Li3Nは水素ガス中に含まれる水分と容易に反応し、LiOHを生成するため、水素ガスの供給に際しては、その前段階としてドライヤー等を使用し、水分を除去しておくことが望ましい。
このようにして、窒化物固体電解質42には直流電界が加わるので、窒化物固体電解質42中のLi3NがLi+(リチウム陽イオン)とN3−(窒化物陰イオン)とに電離する。電離したLi+は、陰極41から電子(e−)を受け取り、Li3(リチウム)還元される。この際、陰極を介して凹部2cから窒素ガス(N2)が供給され、またLiは窒素との化学反反応性が高いので、この還元されたLi3と外部から供給されたN2とが反応し、LiNが再生される。
また先にLi3Nから電離したN3−は、正電位にある陽極43に引かれ、陽極43において電子を放出し、原子状窒素N(a)となる。ここで、(a)という表記は、物質への化学吸着状態を示す意味で用いている。
このようにして、窒化物固体電解質42に対して、電圧を加えながら同時に陰極41側からN2を供給することで、電気化学的に原子状窒素N(a)を陽極43において連続的に生成することができる。
他方で、水素ガス(H2)が触媒層44を構成するルテニウム(Ru)の触媒作用により解離し、原子状水素(H(a))が触媒層44に吸着する。
前述したように、陽極43では、原子状窒素(N(a))が生成されている。したがって、触媒層44において吸着解離した原子状水素(H(a))が陽極43上に移動し、陽極43上で生成された原子状窒素(N(a))と反応することで、前述の化学式「化4」〜「化6」で示される反応を経て、アンモニア(NH3)が合成される。
合成されたアンモニアは、触媒層44から凹部6cに放出され、未反応の水素ガスの流れによって運ばれて、水素およびアンモニアガス排出口6b(図1参照)からアンモニア合成装置1の外部に排出される。
このようにして、陽極43と陰極41との間に直流電圧を加えた状態において、窒素ガスと水素ガスとを原料として、アンモニアが合成される。
1−4.アンモニアの合成実験結果
図1〜図3に示すアンモニア合成装置1において、陰極41の厚さを0.1mm、固体電解質層42の厚さを2mm、陽極43の厚さを0.1mm、および触媒層44の厚さを2μmとし、また陰極41、窒化物固体電解質層42、陽極43および触媒層44の有効寸法を100mm径とした試験サンプルを作製した。
図1〜図3に示すアンモニア合成装置1において、陰極41の厚さを0.1mm、固体電解質層42の厚さを2mm、陽極43の厚さを0.1mm、および触媒層44の厚さを2μmとし、また陰極41、窒化物固体電解質層42、陽極43および触媒層44の有効寸法を100mm径とした試験サンプルを作製した。
この試験サンプルでは、陽極41および陰極として、金属メッシュを用い、窒化物固体電解質層として窒化リチウム(Li3N)を円板状に成形したものを用いた。
また、6Nの高純度窒素ガスを10ml/minの流量で流し、また6Nの高純度水素ガスを10ml/minの流量で流した。また、陽極43と陰極41との間には、DC100Vを加え、イオン伝導率4.78×10−5S/cmを得た。
以上の条件において、水素およびアンモニアガス排出口6bから約10μmol/cm2・hのアンモニアを連続的に得ることができた。このアンモニアの合成においては、アンモニア合成装置1の窒化物固体電解質層42の温度を80℃に維持した状態で実験を行った。
このように、アンモニアの合成に従う温度の上昇は認められたが、特に加熱および加圧を行わない常温・常圧におけるアンモニアの連続合成を行うことができた。
1−5.第1の実施形態の優位性
図4から明らかなように、窒素は陽極41において、水素は触媒層44において、それぞれ独立して活性状態となる。しかも、大きな解離エネルギーを必要とする窒素分子(N2)の解離は、電圧が加えられた固体電解質層42における電気化学的な作用によって行われる。このため、触媒の作用で窒素分子を解離させる従来のアンモニア合成方法に比較して、温和な条件(例えば常圧(約0.1MP)、200℃以下)でのアンモニアの合成が可能になる。
図4から明らかなように、窒素は陽極41において、水素は触媒層44において、それぞれ独立して活性状態となる。しかも、大きな解離エネルギーを必要とする窒素分子(N2)の解離は、電圧が加えられた固体電解質層42における電気化学的な作用によって行われる。このため、触媒の作用で窒素分子を解離させる従来のアンモニア合成方法に比較して、温和な条件(例えば常圧(約0.1MP)、200℃以下)でのアンモニアの合成が可能になる。
また、原子状窒素の基となる窒素陰イオンは、固体電解質42において生成され、さらにこの窒素陰イオンは、陽極43において電子を放出して原子状窒素となるので、触媒を用いて水素と窒素とを活性化させアンモニアを合成する際に問題となる水素被毒の悪影響を抑制することができる。すなわち、本実施形態においては、触媒層44において窒素の活性化による原子状窒素の生成を行っていないので、触媒層44の触媒活性点が吸着解離した水素原子で覆われることに起因する窒素の吸着解離サイト数の相対的な減少によるアンモニアの生成活性の低下現象(所謂水素被毒)が抑制される。
また、本実施形態においては、窒素陰イオンの供給を固体電解質層42において行い、溶融塩等の取り扱いに注意が必要な材料を用いていないので、取り扱いの容易性と高い安全性を得ることができる。
また、本実施形態においては、窒素ガスと水素ガスとを同一の向きに流す構造としているので、窒素および水素は、図示する上流側で相対的に濃度が高くなる濃度勾配となる。このため、高い効率でアンモニアを得ることができる。
また、図1〜図3に示す構造から明らかなように、面でアンモニア合成を行うので装置全体を薄型にでき、さらに高圧・高温に耐えるための構造、高圧を発生させるための装置、高温を発生させるための装置等を必要としない。そのため、装置の寸法に対するアンモニアの合成効率を高くすることができ、相対的に装置の小型化を図ることができる。
以上述べたように、本発明を利用したアンモニア合成装置は、小型化を計ることが容易であり、装置コストや運転コストが低コストであり、そして安全性の高いものとできる。
2.第2の実施形態
第2の実施形態は、第1の実施形態の構造を単位構造として、それを2単位積層したものである。また、単に2単位積層しただけではなく、窒素流路側を共通の構造とし、アンモニアを合成する2つの隔壁を背中合わせに所定の間隔でもって配置したものである。
第2の実施形態は、第1の実施形態の構造を単位構造として、それを2単位積層したものである。また、単に2単位積層しただけではなく、窒素流路側を共通の構造とし、アンモニアを合成する2つの隔壁を背中合わせに所定の間隔でもって配置したものである。
この構造では、窒素の流路を2つの単位合成ユニットで共有する。したがって、2単位の合成ユニットを積層した構造であるにも係わらず、厚さが単純に2倍ならず、1.5倍で済み、装置の小型化を計ることができる。つまり、コンパクト化を計りつつアンモニアの生産量を増やすことができる。
図5は、第2の実施形態に示すアンモニア合成装置の概略の構成を示す斜視図である。図5(a)は全体の概要し示し、図5(b)は図5(a)の符号60で示される部分を拡大したものを示す。図6は、図5(a)に示すアンモニア合成装置を分解した状態を示す分解斜視図である。図7は、図5のX―Xの断面構造を示す断面図である。
本実施形態のアンモニア合成装置50は、水素流路側部材51上にガスケット52を介して、第1の隔壁53が配置され、第1の隔壁53上にガスケット52を介して窒素流路側部材55が配置され、窒素流路側部材55上にガスケット52を介して第2の隔壁54が配置され、第2の隔壁54上にガスケット52を介して水素流路側部材59が配置された構造を有している。
第1の隔壁53および第2の隔壁54は、陰極41、窒化物固体電解質層42、陽極43および触媒層44によって構成されている。また、第1の隔壁53と第2の隔壁54とは、互いの陰極41が向かい合うように配置されている。
この構造においては、窒素は上流側から空間55aに流入し、隔壁53および54の陰極41に供給される。他方で、水素は凹部51aおよび59aに流入し、隔壁53および54の触媒層44に供給される。
隔壁53および54においては、図4を用いて説明した仕組みにより窒素と水素とからアンモニアが合成される。合成されたアンモニアは、未反応の水素と一緒に下流側から排出される。
本実施形態のアンモニア合成装置は、第1の実施形態に比較して、約2倍の生産量を確保することができる。また、第1の実施形態に比較して、生産量は2倍であるが、窒素流路を2つのセルで共有しているので、装置全体の厚みは、第1の実施形態に比較して1.5倍に抑えられる。こうして、生産量を増やしかつ装置全体の大型化を抑えた構成が実現される。
本実施形態においては、アンモニアの合成時において、流路を共有している窒素の消費量が第1の実施形態の場合に比較して約2倍になるので、窒素の流量を第1の実施形態の場合に比較して約2倍にする。
図示する構造では、窒素ガスの流路を上下の単位合成ユニットが共有した構造となっているが、水素の流路を共有する構造としてもよい。つまり、窒素ガスと水素ガスの流路を入れ替えた構造としてもよい。この場合、隔壁53および54を、その面を反転させた配置にすればよい。
3.第3の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態で説明した構成を単位合成ユニットとして、それを4層に重ねた場合の構造に関する。図8は、本実施形態におけるアンモニア合成装置の構造を示す斜視図である。図8(a)は、全体の概要を示す斜視図であり、図8(b)は図8(a)の符号91の部分を拡大した斜視図である。図9は、本実施形態におけるアンモニア合成装置の構造を示す分解斜視図である。
本実施形態は、第1の実施形態で説明した構成を単位合成ユニットとして、それを4層に重ねた場合の構造に関する。図8は、本実施形態におけるアンモニア合成装置の構造を示す斜視図である。図8(a)は、全体の概要を示す斜視図であり、図8(b)は図8(a)の符号91の部分を拡大した斜視図である。図9は、本実施形態におけるアンモニア合成装置の構造を示す分解斜視図である。
図8および図9に示すアンモニア合成装置80は、窒素流路側部材81、隔壁83、水素流路側部材84、隔壁85、窒素流路側部材86、隔壁87、水素流路側部材88、隔壁89および窒素流路側部材90が、間にガスケット82を介して積層された構造を有している。
隔壁83、85、87および89は、アンモニア合成層として機能する積層構造体であり、陰極83a、固体電解質層83b、陽極83cおよび触媒層83dと積層された構造を有している。
隔壁83と85は、水素流路側部材84内の空間84aに触媒層83dが面する向きになるように向かい合わせで配置されている。隔壁87と89は、水素流路側部材88内の空間88aに触媒層83dが面する向きになるように向かい合わせで配置されている。また、隔壁85と87は、窒素流路側部材86内の空間86aに陰極83aが面する向きになるように向かい合わせで配置されている。
この構造においては、窒素流路側部材81の凹部81a、窒素流路側部材86の空間86a、窒素流路側部材90の図示しない凹部に窒素ガスを流し、水素流路側部材84の空間84a、水素流路側部材88の空間88aに水素ガスを流し、各隔壁において同時にアンモニアの合成を行う。
この構造は、空間84aが隔壁83と85の両方に水素ガスを供給するための水素流路として機能し、空間86aが隔壁85と87の両方に窒素ガスを供給するための窒素流路として機能し、空間88aが隔壁87と89の両方に水素ガスを供給するための水素流路として機能する。こうすることで、隔壁が4つあるにも係わらず水素流路は2つ、窒素流路は3つで済まし、装置全体の厚み寸法を抑えることに成功している。
すなわち、単位合成セルが4段積層された構造でありながら、2箇所の水素流路および1箇所の窒素流路を上下に隣接するセル間で共有することで、単純にセルを積層する場合に比較して、全体の厚みを薄くしている。
本実施形態は、陰極、窒化物固体電解質層、陽極および触媒層によって構成された2n個(nは0を含まない自然数)の隔壁を備え、前記2n個の隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、mをm≦nを満たす0を含まない自然数として、下層から2m番目の隔壁と2m−1番目の隔壁との互いに対向する面に前記触媒層が配置される構造のn=2である場合の例である。
また本実施形態は、陰極、窒化物固体電解質層、陽極および触媒層によって構成された2n個(nは0を含まない自然数)の隔壁を備え、前記2n個の隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、下層から奇数番目の前記隙間に水素が供給される構造のn=2である場合の一例である。
すなわち、図8および図9に示すアンモニア合成装置80は、陰極83a、窒化物固体電解質層83b、陽極83cおよび触媒層83dによって構成された4個の隔壁83、85、87および89を備え、前記4個の隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、下層から数えて2層目の隔壁85と1層目の隔壁83との互いに対向する面に触媒層83dが配置され、さらに下層から数えて4層目の隔壁89と3層目の隔壁87との互いに対向する面に触媒層83dが配置された構造を有している。
また、図8および図9に示すアンモニア合成装置80は、陰極83a、窒化物固体電解質層83b、陽極83cおよび触媒層83dによって構成された4個の隔壁83、85、87および89を備え、これらの隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、下層から数えて1および3番目(つまり奇数番目)の隙間に水素が供給される構造を有している。
ここで、下層から1番目の隙間は、第1の隔壁83と第2の隔壁85との間における水素流路側部材84中の空間84aであり、下層から3番目の隙間は、第3の隔壁87と第4の隔壁89との間における水素流路側部材88中の空間88aである。
空間84aと空間88aとにおいて、触媒層83dに対する接触面積は同じである。水素の反応効率は、触媒層83dへの接触面積に依存するので、空間84aと空間88aにおける水素の反応効率(供給量と反応量との比)は同じとなる。したがって、空間84aと空間88aに供給すべき水素の流量は同じになる。触媒層83dの触媒性能を最大限有効に引き出すには、水素ガスの流量を精密に制御することが重要であるので、2つの流路への水素ガスの供給量を同じにできることは、流量制御をシンプルな構成によって精密に行い易いという点で有利となる。
仮に、図8および図9に示す構造において、水素ガスと窒素ガスの流路を交換し、各隔壁をひっくり返した配置とするとする。この場合、凹部81aと空間86aには、水素ガスが流入することになるが、凹部81aにおける触媒層への接触面積に比較して、空間86aにおける触媒層への接触面積は2倍となる。したがって、水素の反応効率を追求する場合、空間86aに対する水素ガスの供給量を凹部81aに対する水素ガスの供給量に比較して約2倍にしなくてはならない。こうなると、流量の制御を個別に行わなくてはならず、流量の制御系が複雑になる。このことは、システムの小型化や低コストを求める場合のマイナス要因となる。
このように、図8および図9に示す構造を採用した場合、供給流量の精密な制御が要求される水素ガスの供給系をシンプルにできる優位性が得られ、無駄なく反応させることが求められる水素ガスの利用効率を追求し易い構成を実現することができる。つまり低コストで小型化を図ると共に触媒性能を最大限発揮させやすい構成を得ることができる。
ここでは、単位合成セルを4段に積層した場合の例を説明したが、さらに多段に積層した構造とすることも可能である。
4.第4の実施形態
本実施形態は、本発明のアンモニア合成技術を乗用車の排気ガス浄化システムに適用した場合の例である。図10は、本発明を利用したアンモニア合成装置を備えた自動車を示すブロック図である。
本実施形態は、本発明のアンモニア合成技術を乗用車の排気ガス浄化システムに適用した場合の例である。図10は、本発明を利用したアンモニア合成装置を備えた自動車を示すブロック図である。
図10に示す自動車101において、ガソリンエンジン102の駆動力は、発電機103を駆動し、またその駆動力はクラッチ104を経て変速機105に伝わり、車輪106を駆動する。発電機103の発電電力はバッテリー107に蓄えられ、その一部は電源回路108に送られ、アンモニア合成装置109に供給される。
アンモニア合成装置109では、第1の実施形態において説明した原理によりアンモニアの合成が行われる。アンモニア合成装置109は、第1の実施形態において説明した構造、あるいは第2、第3の実施形態において説明したような複数の合成ユニットを組み合わせた構造を採用することができる。
窒素供給装置111は、アンモニア合成装置109に窒素ガスを供給するための装置である。窒素ガスを供給する方法としては、窒素ガスを充填したボンベを用いる方法、窒素分離膜の作用により空気中から窒素ガスを分離する方法等が挙げられる。窒素分離膜としては、たとえばポリイミド等を用いることができる。
この窒素供給装置111は、水分、二酸化炭素および酸素を除去する機能を有している。Li3Nは水と反応してLiOHとNH3とに分解し、二酸化炭素とも反応してLi2CO3となる。また酸素存在下で温度が上がると容易に酸化されLi2Oとなる。一旦、LiOH、Li2CO3あるいはLi2Oに変化すると、前述のLi窒化物の再生が行われなくなり、窒素陰イオンの生成効率が低下する。これを防止するために十分に長いポリイミド中空糸ユニットを用いたフィルターを窒素供給装置111中に配置し、水分、二酸化炭素および酸素を窒素ガス中から除去する。また、このフィルターに加えてさらに、水分、二酸化炭素および酸素を除去する吸着フィルターを併用して使用してもよい。
水素ガス供給装置110は、アンモニア合成装置109に水素ガスを供給するための装置である。水素ガスを供給する方法としては、水素を溜めたタンクから水素を供給する方法、水素貯蔵合金を用いた水素貯蔵装置を用いる方法、水の電気分解、あるいはエタノールや化石燃料の改質により水素ガスを得る方法等が挙げられる。なお、Li3Nは水素ガス中に含まれる水分と容易に反応し、LiOHを生成するため、水素ガスの供給に際しては、その前段階としてドライヤー等を使用し、水分を除去しておくことが望ましい。
アンモニア合成装置109からは、未反応の窒素、さらに未反応の水素と一緒に合成されたアンモニアが排出される。未反応の窒素は窒素供給装置111に戻され、再利用が行われる。また、アンモニア合成装置109から排出される水素とアンモニアの混合気体は、水素分離装置112に導かれ、水素分離装置112は水素とアンモニアを分離し、水素は水素供給装置110に戻され、アンモニアはアンモニアの供給量を制御して添加するアンモニア供給装置115を介して排気ガス浄化装置113に送られる。
水素分離装置112は、水素分子を分離する水素分離膜の機能によって水素とアンモニアの混合気体中から水素分子を分離する。水素分離膜としては、たとえば気体分離膜としてポリイミドPd膜を利用することができる。また、水素を選択的に除去する手段として、水トラップを用いることもできる。
排気ガス浄化装置113では、エンジン102からの排気ガス中にアンモニアガスが注入され、同時に水が噴霧される。この際、アンモニアガスが還元剤となり窒素酸化物が水蒸気と窒素ガスとに還元される。こうして窒素酸化物が分解され無害化される。
窒素酸化物が分解除去され、浄化された排気ガスは、マフラー114を通り、車外に排気される。なお、図示省略しているが、排気ガス浄化装置113には、公知の触媒コンバータおよび粉塵フィルターが配置されており、アンモニアを用いた以外の方法によるガス浄化処理が排気ガスに対して施される。
本発明を利用したアンモニア合成装置は、従来技術のような高温・高圧を必要としない温和な条件(例えば常温・常圧)において連続的にアンモニアを合成することができる。また、温和な条件で合成が行えるので、高温や高圧に耐えるような容器や配管等を必要とせず、そのため高コストな装置を必要としない。また、合成条件が温和であるので、必要とするエネルギーも小さくてよい。さらに、溶融塩のような取り扱いに注意を要するような物質を利用しなくてもよい。このため、本実施形態に示すように、乗用車に搭載することが可能となる。
5.第5の実施形態
本実施形態は、本発明のアンモニア合成技術を発電システムに適用した場合の例である。図11は、本発明のアンモニア合成装置を組み込んだ発電システムを示すブロック図である。
本実施形態は、本発明のアンモニア合成技術を発電システムに適用した場合の例である。図11は、本発明のアンモニア合成装置を組み込んだ発電システムを示すブロック図である。
図11に示す発電システム121においては、ディーゼルエンジン122によって発電機123が駆動され、発電機123で生成された発電電力は、電力制御装置124を経て外部に出力される。他方で、電力制御装置124から一部の電力が電源回路125に送られ、アンモニア合成装置129を動かす電力が生成される。アンモニア合成装置は、例えば第1〜第3の実施形態に示したものが採用される。アンモニア合成装置126には、水素供給装置127から水素が、窒素供給装置128から窒素が供給され、アンモニアの合成が行われる。なお、窒素供給装置128は、水分、二酸化炭素および酸素を除去する機能を有している。
アンモニア合成装置126からは、未反応の水素と一緒に合成されたアンモニアが排出され、水素分離装置129において水素が分離され、分離された水素は水素供給装置127に戻される。また、アンモニア合成装置126から排出された未反応の窒素は、窒素供給装置128に戻される。
水素が分離されることで得たアンモニアは、アンモニアの供給量を制御して添加するアンモニア供給装置132を介して、排気ガス浄化装置130に送られ、ディーゼルエンジン122からの排気ガス中の窒素酸化物を分解除去する浄化作用に利用される。窒素酸化物が除去された排気ガスは、マフラー131を経て外部に排出される。
本発明を利用したアンモニアガス合成装置は、小型化が可能である。このため、従来から広く利用されているディーゼルエンジンを用いた発電装置や発電設備に取り入れることが容易に行える。
ここでは、ディーゼルエンジンを用いた発電設備に本発明のアンモニア合成装置を利用する例を説明したが、火力発電設備や各種のプラント設備等における燃焼装置から排出される排気ガス中における窒素酸化物を分解する用途に本発明を適用してもよい。
本発明は、アンモニアを合成する技術に利用することができる。本発明は、燃焼装置からの排気ガス中に含まれる窒素酸化物を分解除去するガス浄化技術におけるアンモニアの発生源としての利用に適している。例えば、本発明は、自動車の排気ガス浄化システムに組み込んで利用することができる。
1…アンモニア合成装置、2…窒素流路側部材、2a…窒素ガス導入口、2b…窒素ガス排出口、2c…凹部、3…ガスケット、4…隔壁(アンモニア合成層)、5…ガスケット、6…水素流路側部材、6a…水素ガス導入口、6b…水素およびアンモニアガス排出口、6c…凹部、11…拡大部分、41…陰極(カソード)、42…窒化物固体電解質層、43…陽極(アノード)、44…触媒層、50…アンモニア合成装置、51…水素流路側部材、51a…凹部、52…ガスケット、53…第1の隔壁、54…第2の隔壁、55…窒素流路側部材、55a…空間、59…水素流路側部材、59a…凹部、60…拡大部分、80…アンモニア合成装置、81…窒素流路側部材、82…ガスケット、83…第1の隔壁、83a…陰極、83b…固体電解質層、83c…陽極、83d…触媒層、84…水素流路側部材、84a…空間、85…第2の隔壁、86…窒素流路側部材、86a…空間、87…第3の隔壁、88…水素流路側部材、88a…空間、89…第4の隔壁、90…窒素流路側部材、91…拡大部分、101…自動車、102…ガソリンエンジン、103…発電機、104…クラッチ、105…変速機、106…車輪、107…バッテリー、108…電源回路、109…アンモニア合成装置、110…水素供給装置、111…窒素供給装置、112…水素分離装置、113…排気ガス浄化装置、114…マフラー、121…発電装置、122…エンジン、123…発電機、124…電力制御装置、125…電源回路、126…アンモニア合成装置、127…水素供給装置、128…窒素供給装置、129…水素分離装置、130…排気ガス浄化装置、131…マフラー。
Claims (9)
- 窒素ガスが供給されるメッシュ状または多孔質状の陰極と、
前記陰極上の窒化物固体電解質層と、
前記窒化物固体電解質層上に設けられたメッシュ状または多孔質状の陽極と、
前記陽極上に設けられ、水素を吸着解離する触媒層と
を備えることを特徴とするアンモニア合成装置。 - 前記陽極に前記陰極に対して正の電位を加えることで、
前記窒化物固体電解質層において電気化学的に窒素陰イオンを生成し、
前記陽極において前記窒素陰イオンを酸化し原子状窒素を得、
前記陽極において、前記原子状窒素と前記触媒層上に吸着解離させた原子状水素とを反応させることでアンモニアを合成することを特徴とする請求項1に記載のアンモニア合成装置。 - 前記電位を加えることで、窒化物固体電解質中の窒化物を窒素陰イオンと化合相手元素の陽イオンとに分解し、
前記化合相手元素の陽イオンを前記陰極から電子を供給することにより還元し、
前記還元された化合相手元素と前記窒素ガスを反応させることで前記窒化物固体電解質中の窒化物を再生することを特徴とする請求項2に記載のアンモニア合成装置。 - 前記陰極、前記窒化物固体電解質層、前記陽極および前記触媒層によって構成された第1および第2の隔壁を備え、
前記第1の隔壁と前記第2の隔壁とは隙間有して対向配置されており、
前記第1の隔壁の陰極と前記第2の隔壁の陰極とが対向していること、あるいは前記第1の隔壁の触媒層と前記第2の隔壁の触媒層とが対向していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニア合成装置。 - 前記陰極、前記窒化物固体電解質層、前記陽極および前記触媒層によって構成された2n個(nは0を含まない自然数)の隔壁を備え、
前記2n個の隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、
mをm≦nを満たす0を含まない自然数として、下層から2m番目の隔壁と2m−1番目の隔壁との互いに対向する面に前記触媒層が配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニア合成装置。 - 前記陰極、前記窒化物固体電解質層、前記陽極および前記触媒層によって構成された2n個(nは0を含まない自然数)の隔壁を備え、
前記2n個の隔壁は、互いに隙間を有した状態で積層されており、
下層から奇数番目の前記隙間に水素ガスが供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニア合成装置。 - 窒化物固体電解質に電圧を加えることで窒素分子を解離して窒素陰イオンを生成する窒素陰イオン生成手段と、
前記窒素イオンを酸化し活性な原子状の窒素を生成する原子状窒素生成手段と、
活性な原子状の水素を生成する原子状水素生成手段と
を備え、
前記原子状の水素と前記原子状の窒素とを反応させることでアンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成装置。 - 窒化物電解質に電圧を加えることで窒素陰イオンを生成する窒素陰イオン生成ステップと、
前記窒素陰イオンを酸化し活性な原子状の窒素を生成する原子状窒素生成ステップと、
活性な原子状の水素を生成する原子状水素生成ステップと、
前記原子状の水素と前記原子状の窒素とを反応させることでアンモニアを合成するアンモニア合成ステップと
を備えることを特徴とするアンモニア合成方法。 - 燃焼を行う燃焼装置と、
アンモニアを用いて前記燃焼装置からの窒素酸化物を浄化する排気ガス浄化装置と、
アンモニアを製造する前記請求項1〜7のいずれかに記載されたアンモニア合成装置と、
前記排気ガス浄化装置にアンモニアを制御して添加するアンモニア供給装置と
を備えることを特徴とする燃焼装置を含むシステム。
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