JP7426066B2 - アンモニア電解合成用電解質-電極接合体 - Google Patents

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Description

本発明は、アンモニア電解合成用の電解質-電極接合体、及び当該電解質-電極接合体を含む装置に関する。
近年、グローバルな気候変動問題に対処するため、地球温暖化対策に関連する技術の開発が進められている。そのなかでも、水素は温室効果ガスの大規模な削減が要求される将来のエネルギー環境において必要な技術として認識されており、副生水素や褐炭ガス化などの未利用エネルギーからCOフリーで水素に至る技術開発シナリオが検討されている。また、経済的な観点から比較的安価な輸入水素が想定されており、水素の輸送媒体であるエネルギーキャリアとして、アンモニアが有力候補として検討されている。そのため、アンモニア電解合成の研究開発は、電気化学分野の基礎研究の対象であると共に、地球温暖化対策の観点からも社会的な要請が高まっている。
これまで、COフリーのアンモニアの合成は、再生可能エネルギーの電力に基づく水電解によって得られる水素とハーバーボッシュ法を組み合わせたプロセスにより可能であるが、水電解と窒素還元によるアンモニアの直接電解合成は、製造エネルギーの観点からみて有利であると報告されている。さらに、アンモニアの特徴である、常温で比較的低い圧力で液化が可能であることや、エネルギー密度が高いことを生かしたエネルギー貯蔵の観点からも、コンパクトなシステム設計が可能なアンモニア直接電解合成が求められている。
一般に、アンモニア電解合成反応は、水、窒素、および電気エネルギーから直接アンモニアを合成するというものである。図1にプロトン伝導性固体電解質を用いたアンモニア電解合成反応の模式図を示す。陽極(アノード)では水の電気分解が進行し、Oと共にプロトン(H)と電子(e)が生成する(式1)。続いて、生成したプロトンは電解質内を拡散し、電子は外部回路に取り出される。一方、陰極(カソード)では窒素、プロトン、および電子による窒素還元反応が進行し、アンモニアが生成する(式2)。
Figure 0007426066000001
そして、反応系全体では、水と窒素からアンモニアが生成する(式3)。
Figure 0007426066000002
ここで、上記の式2では、カソードにおけるアンモニア生成反応について、電荷移動反応として示しているが、これは仮定であって必ずしも明確とはいえない。例えば、対極であるアノードから拡散してきたプロトンと電子が反応し、カソード側では水素が生成し(式4)、その後、生成した水素が触媒上で窒素と反応し、間接的にアンモニアが生成する反応機構も考えられるためである(式5)。
Figure 0007426066000003
現在多くのアンモニア電解合成の研究が行われているが、本質的に電荷移動反応が関与しているかを解明することは、装置設計にも大きな影響を与えるため、材料開発と共に重要な検討課題である。
一方で、本願発明者らは、セラミックス系電解質に金属を含浸させた複合体である、いわゆるサーメット電極を用いるアンモニアの電解合成について既に報告している(非特許文献1)。しかしながら、かかる既存のサーメット電極を用いる手法では、アンモニア生成速度が未だ十分なものではなかった。
したがって、エネルギーキャリアとしてアンモニアは非常に有望であり、再生可能エネルギーから効率的かつ廉価な製造方法が求められているが、その技術開発は途上であり、今後の大規模な普及に向けては、エネルギー変換デバイス・システムの開発が必要不可欠の状況にあるのが現状である。
Kosakaら、ACS Sustain. Chem. Eng., 5,10439-10446 (2017)
本発明は、廉価な材料を用いつつアンモニアの電解合成における新規な電極材料を開発し、カソード分極の条件下においてより高効率かつ高速な電解合成が可能な方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、従来の三相界面を利用したサーメット電極とは異なり、イオン伝導性固体電解質の表面上に特定の厚さのバルク金属層を設けた構造を有する電解質-電極接合体とすることで、カソード分極の伴う窒素分子の直接解離反応が生じ、アンモニア生成速度等が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一態様において、
<1>アンモニア電解合成用の電解質-電極接合体であって、イオン伝導性固体電解質の表面上に金属層が接合してなる構造を有し、前記イオン伝導性固体電解質と金属層との間の2相界面から金属層の外表面までの最大距離が20μm以下である、該電解質-電極接合体;
<2>前記金属層が、遷移金属若しくはその酸化物の粒子、又は遷移金属とイオン伝導性金属酸化物の複合粒子により形成されている、上記<1>に記載の電解質-電極接合体;
<3>前記遷移金属が、水素分子に対する吸着エンタルピーΔHが1.5~4.0eVの範囲である1種以上の遷移金属である、上記<2>に記載の電解質-電極接合体;
<4>前記遷移金属が、鉄、ルテニウム、ニッケル、ニオブ、タングステン、チタン、モリブデン、パラジウム、及びそれらの組み合わせよりなる群から選択される、上記<2>に記載の電解質-電極接合体;
<5>前記粒子の平均粒径が、1~20μmの範囲である、上記<2>に記載の電解質-電極接合体;
<6>前記金属層が多孔質構造を有する、上記<1>~<5>のいずれか1に記載の電解質-電極接合体;
<7>前記イオン伝導性固体電解質の表面にμmオーダーの電気二重層を形成し得る、上記<1>~<6>のいずれか1に記載の電解質-電極接合体;
<8>前記イオン伝導性固体電解質が、プロトン伝導性材料、リチウムイオン伝導性材料、ナトリウムイオン伝導性材料、又はカリウムイオン伝導性材料である、上記<1>~<7>のいずれか1に記載の電解質-電極接合体;
<9>前記プロトン伝導性材料が、希土類元素をドープしたペロブスカイト型酸化物、又は、希土類元素若しくは遷移金属元素を含む蛍石型酸化物である、上記<8>に記載の電解質-電極接合体;
<10>前記金属層に助触媒成分をさらに含む、上記<1>~<9>のいずれか1に記載の電解質-電極接合体;及び
<11>アンモニア電解合成用の電解質-電極接合体であって、イオン伝導性固体電解質の表面上に金属層が接合してなる構造を有し、前記金属層の厚さが20μm以下である、該電解質-電極接合体
<12>前記金属層に含まれる金属成分が、前記電解質-電極接合体の全体に対して5~50重量%である、上記<1>~<11>のいずれか1に記載の電解質-電極接合体
を提供するものである。
また、別の態様において、本発明は、
<13>上記<1>~<12>のいずれか1に記載のカソードの機能を有する電解質-電極接合体を備える、アンモニア電解合成用の装置;
<14>上記<1>~<12>のいずれか1に記載の電解質-電極接合体を用いることを特徴とする、電解合成反応によるアンモニアの製造方法;
<15>0.5Vから2.5Vのカソード分極の条件下で、アンモニアの生成速度が1.0x10-9~1.0x10-7 mol/cm・sである、上記<14>に記載の製造方法
を提供するものである。
本発明によれば、廉価な材料を用いつつアンモニア電解合成用の電解質-電極接合体を提供することができ、かかる電解質-電極接合体を用いることで、カソード分極の条件下においてより高効率かつ高速なアンモニア電解合成が可能となる。また、本発明によれば、従来の燃料電池の3相界面を利用したサーメット電極と異なり、バルクの金属触媒を用いるコンパクトな装置設計が可能となる。
図1は、プロトン伝導性固体電解質を用いたアンモニア電解合成反応の模式図である。 図2(a)は、本発明のバルク金属層を有する電解質-電極接合体における2相界面近傍での電気二重層形成を示す模式図であり;図2(b)は、従来のサーメット電極における3相界面モデルを示す模式図である。 図3(a)は、バルクFe金属層を有する本発明の電解質-電極接合体の電極表面を示す模式図であり;図3(b)は、BCY多孔質電極にFeを含浸させたカソード電極(Fe含浸電極)表面を示す模式図である。 図4は、アンモニアの電解合成に用いた三極セルの構成を示す外観図である。 図5は、600℃における (a) バルクFe 型電極(実施例1)、(b) Fe含浸型電極(比較例1)のアンモニア生成速度を示すグラフである。 図6は、バルクFe 型電極(実施例1)を用いたセルにおける、(a) NH生成速度、(b) 電流密度、(c) ファラデー効率、および(d) 平衡転化率の電位依存性を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
本発明のアンモニア電解合成用の電解質-電極接合体は、イオン伝導性固体電解質の表面上に特定の厚さのバルク金属層を設けた構造を有する電解質-電極接合体であり、この点で、従来のセラミックス系電解質に金属を含浸させたサーメット電極とは異なる構造を有する。かかる構造を有することにより、カソード分極の伴う窒素分子の直接解離反応が生じ、アンモニア生成速度等を向上させることができる。
より詳細には、本発明のアンモニア電解合成用の電解質-電極接合体は、イオン伝導性固体電解質の表面上に金属層が接合してなる構造を有し、前記イオン伝導性固体電解質と金属層との間の2相界面から金属層の外表面までの最大距離が20μm以下であることを特徴とする。
ここで、「イオン伝導性固体電解質と金属層との間の2相界面」とは、イオン伝導性固体電解質と、その表面に形成された金属層(本明細書では、これを「バルク金属層」と呼ぶ場合がある。)という2つの固体相によって形成される界面を意味する。
一般に、アンモニア電解合成におけるアンモニアの生成機構において、カソード側の反応では、カソード分極で誘起される窒素分子の直接解離反応が主要な機構となることが知られている。そして、上記式2に示したような電荷移動反応(窒素分子への電子注入過程)は、電極と電解質界面の間に形成される電気二重層領域で進行する。ここで、セラミックス系電解質に金属を含浸させた複合体であるサーメット電極を用いる場合には、気相の反応物が電極表面に拡散し、電極―電解質―気相の界面である、いわゆる「3相界面」の領域において電荷移動反応が進行すると考えられており、かかる3相界面の厚みは、通常、数nm~数10nm程度の非常に狭い領域である。
これに対し、本発明では、驚くべきことに、上述のように、イオン伝導性固体電解質の表面上に特定の厚さのバルク金属層を設けた構造とすることで、従来の3相界面を利用したサーメット電極とは異なり、イオン伝導性固体電解質と金属層との間の2相界面の近傍領域において、カソード分極の伴う窒素分子の直接解離反応が生じ、アンモニア生成速度等の向上が得られることを見出したものである。
これは、必ずしも理論に拘束されるものではないが、本発明の電解質-電極接合体では、電解質と電極が特定の距離を有するため、μmオーダーの実効的な電気二重層(本件明細書において、「有効二重層」と呼ぶ場合もある。)が広く電極上に形成されるためと考えられる。この有効二重層は、イオン伝導性固体電解質から供給されたプロトン(H)等のイオンが金属層表面上に拡散し、電気双極子モーメントが金属電極上に広く形成されたためと考えられる。
当該電気二重層形成に関する模式図を図2に示す。図2(a)は、本発明のバルク金属層を有する電解質-電極接合体における2相界面近傍での電気二重層形成を示したものであり、図2(b)は、従来のサーメット電極における3相界面モデルを示したものである。上述のように、サーメット電極の三相界面長(電気化学における電気二重層長さに相当)は数nm~数10nm程度の非常に狭い領域であると考えられているため、本件発明におけるμmオーダー(例えば、数10μm程度)の有効二重層の形成は驚くべきことである。
本発明において、イオン伝導性固体電解質と金属層との間の2相界面から金属層の外表面までの最大距離は、20μm以下であり、好ましくは、1~20μm、より好ましくは、5~15μmの範囲である。最大距離がかかる範囲より大きくなると、窒素分子の直接解離反応のための実効的な電気二重層の形成が得られ難くなり、その結果、好適なアンモニア生成速度が得られないおそれがあり、また、生成したアンモニアの分解が生じる等の可能性もある。また、別の観点からは、イオン伝導性固体電解質の表面上における金属層の厚さが20μm以下という形態で規定することもでき、好ましくは、1~20μm、より好ましくは、2~15μmの範囲である。かかる金属層の厚さは、イオン伝導性固体電解質の表面上における全体の層厚の平均値であることができる。
好ましい態様において、本発明における金属層は、遷移金属若しくはその酸化物の粒子により形成されており、又は、遷移金属とイオン伝導性金属酸化物の複合粒子により形成されている。当該粒子の平均粒径は、好ましくは、1~20μmの範囲であり、より好ましくは、2~15μmの範囲である。
本発明における金属層に用いられる遷移金属は、水素分子に対する吸着エンタルピーΔHが大きな金属であることが好ましく、例えば、ΔHが1.5~4.0eVの範囲である1種以上の遷移金属であることができる。かかる遷移金属の具体例としては、鉄、ルテニウム、ニッケル、ニオブ、タングステン、チタン、モリブデン、パラジウム、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。より好ましくは、鉄(Fe)若しくはルテニウム、又は、それら酸化物である酸化鉄や酸化ルテニウム(Fe、RuO)を用いることができる。
本発明における金属層は、多孔質構造であることが好ましい。これにより、アンモニア生成の反応効率を向上させることができる。かかる多孔質構造は、典型的には、金属層として、遷移金属若しくはその酸化物の粒子、又は遷移金属とイオン伝導性金属酸化物の複合粒子を用いることで得ることができる。多孔質構造としては、例えば、空孔率が20~70%のものを用いることが好ましい。
また、本発明における金属層とイオン伝導性固体電解質との割合について、当該金属層に含まれる金属成分は、好ましくは、電解質-電極接合体の全体に対して5~50重量%、より好ましくは、10~30重量%の含有量であることができる。
必要に応じて、金属層には、助触媒成分をさらに含むこともできる。かかる助触媒成分としては、カリウムやセシウム等のアルカリ金属の塩や、タングステン、チタン、ニオブ等の遷移金属などを挙げることができる。
好ましい態様において、本発明では、かかる金属層を用いることにより、イオン伝導性固体電解質の表面にμmオーダーの電気二重層を形成することできる。かかる電気二重層の形成により、上述のように、バルク金属層の場合であっても、カソード分極の伴う窒素分子の直接解離反応が生じることができ、アンモニア生成速度等の著しい向上が得られる。好ましくは、電気二重層は、1~20μmの範囲であり、より好ましくは2~15μmの範囲である。
本発明の電解質-電極接合体におけるイオン伝導性固体電解質としては、イオン伝導性を有する当該技術分野において公知の材料を用いることができるが、例えば、プロトン伝導性材料、リチウムイオン伝導性材料、ナトリウムイオン伝導性材料、又はカリウムイオン伝導性材料を用いることができる。プロトン伝導性材料としては、プロトン伝導性固体電解質型燃料電池(p-FC)において用いられるプロトン伝導性電解質を用いることができ、好ましくは、希土類元素をドープしたペロブスカイト型酸化物、又は、希土類元素若しくは遷移金属元素を含む蛍石型酸化物を用いることができる。かかる希土類元素をドープしたペロブスカイト型酸化物の具体例としては、本願の実施例で用いられている[BaCe0.90.1](BCY)や[BaZr0.90.1](BZY)を挙げることができる。なお、イオン伝導性固体電解質として、2種以上の異なるイオン伝導性材料の組み合わせを用いてもよい。
本発明の電解質-電極接合体は、当該技術分野において公知の手法により作製することができる。典型的には、イオン伝導性材料の粉末を焼成及び圧縮成形してペレット状の固体電解質を作製したうえで、得られたペレットにドクターブレード法等の任意の手法により金属粒子を塗布し、焼成後、還元することで、イオン伝導性固体電解質の表面上に金属層が接合した電解質-電極接合体を得ることができる。金属層の形成には、ドクターブレード法の他、スクリーン印刷法、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法、又はスパッタ法などを用いることができる。焼成工程は、その組成などに応じて最適な温度を用いることができる。また、イオン伝導性固体電解質は、ペレット状の他、板状等、所望の形状に成形することもできる。
別の態様において、本発明は、上記電解質-電極接合体を備えるアンモニア電解合成用の装置にも関する。当該装置において、電解質-電極接合体はカソード(作用極)機能を有するものとして用いられる。
当該アンモニア電解合成用装置におけるアノード(対極)としては、当該技術分野において公知の電極材料を用いることができるが、典型的には、典型的には、金属酸化物を含むことができる。具体的には、アノードは、ペロブスカイト(perovskite)型の結晶構造を有する金属酸化物粒子が用いられ、(Sm,Sr)CoO3、(La,Sr)MnO3、(La,Sr)CoO3、(La,Sr)(Fe,Co)O3、(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3、(Ba,Sr)(Fe,Co)O3などの金属酸化物粒子が挙げられ、前記金属酸化物は、単独または2種以上を混合して用いてもよい。また、アノードを形成する材料として、白金、ルテニウム、パラジウムなどの貴金属を含むことができる。さらに、アノードを形成する材料として、ストロンチウム、コバルト、鉄などがドープされたランタンマンガナイトが用いられる。例えば、アノードは、SrFe0.95Nb0.053-δ (SFN)、La0.8Sr0.2MnO3(LSM)、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23(LSCF)などが挙げられる。
また、本発明のアンモニア電解合成用装置は、対極側に参照極として金属電極を設けた3極セルとすることもできる。かかる金属としては、アノードと同様に、Ni、Ni合金、Co、Ru、Pt、Pd、Nb合金、V合金などを用いることができる。
当該アンモニア電解合成用装置における単セルは、セパレータ(インターコネクタ)を介して複数を電気的に直列に接続して使用することができる。セパレータは、ガス流路が形成された導電性材料よりなる。セパレータを構成する材料としては、Cr鋼に代表されるステンレス鋼、あるいはCr系合金、Ni系合金等の耐熱金属材料を例示することができる。これらよりなる板状の材料に、プレス加工、エッチング加工等によってガス流路を形成し、セパレータとすることができる。単セルとセパレータを、適宜集電材を介在させながら、交互に積層することで、セルスタックを構築することができる。
また、更なる態様において、本発明は、上記電解質-電極接合体を用いることを特徴とする電解合成反応によるアンモニアの製造方法にも関する。当該製造方法には、上記のアンモニア電解合成用装置を反応器として用いることができる。
本発明の製造方法では、典型的には、作用極側に窒素ガスと水素ガスが供給され、対極側に水蒸気、或いは水蒸気と水素の混合ガスが供給される。好ましくは、これらの混合ガスには、アルゴン等の希ガスを含有してもよい。これにより、カソード分極の伴う窒素分子の直接解離反応が生じ、反応系全体では、水と窒素からアンモニアを電解合成することができる。
本発明の製造方法では、好ましくは、0.5Vから2.5Vのカソード分極の条件下で、アンモニアの生成速度が1.0x10-9~1.0x10-7 mol/cm・sである。
本発明の製造方法における反応温度は、180~600℃の範囲とすることができるが、好ましくは、500℃以下、より好ましくは250℃以下である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
1.本発明の電解質-電極接合体の作製
以下の手順で、本発明の電解質-電極接合体を作製した。固体電解質として500℃前後で高いプロトン伝導性を示す[BaCe0.90.1](BCY)を使用した。硝酸塩を用いた共沈法により作製したBCY前駆体粉末を焼成することでBCY 粉末を作製した。得られたBCY 粉末を、1 軸加圧と冷間等方圧加圧法(CIP)によりBCY圧粉体を成型し、 1600℃ で焼成を行うことでNH電解合成用BCY電解質ペレットを作製した。
得られたBCYペレットに多孔質のFe金属層の電極を次の方法で形成した。ドクターブレード法によりFe粉末をBCYペレット上に塗布し、900℃ で焼成することでFe金属層(電極触媒層)を形成した。その後、900℃水素雰囲気中で還元することで、バルクFe金属層を有する本発明の電解質-電極接合体カソードセルを得た(図3(a))。
比較例1
2.サーメット型電極(比較例)の作製
また、比較用として、BCY多孔質電極にFeを含浸させたカソード電極(Fe含浸電極(図3(b))を次の方法で形成した。まずBCY粉末を分散させたスラリー溶液をドクターブレード法により所望のサイズでBCYペレット上に塗布した。その後、1300℃での焼成により有機物の除去と焼結を行うことで、多孔質のBCY層を形成した。電極触媒は含浸法により多孔質BCY層に担持した。Fe(NO水溶液を多孔質BCY層に滴下し、大気中での熱処理および水素アニールによる還元を行うことで触媒担持BCYカソードを得た。触媒はFe担持量10wt%となるように調整した。
3.本発明の電解質-電極接合体を用いたアンモニアの電解合成
実施例1で作製した本発明の電解質-電極接合体を用いてNH電解合成の検討を行った。石英管から構成される反応装置にセル設置して500℃~650℃で行なった。電極配置はFe|BCY|Ptとし、対極側に参照極としてPt電極を設けた三極セルとした(図4)。全圧1atmで作用極に10%~50%H/N balance を供給し、対極に3%HO/20%H/77%Ar を供給して電気化学測定を行った。アンモニア生成量の定量にはイオンクロマトグラフを用いた。
図5 に600℃での (a) バルクFe 型電極(実施例1)、(b) Fe含浸型電極(比較例1)におけるアンモニア生成速度の比較結果を示す。両者ともにカソード分極に伴うNH生成速度の向上が見られており、電場印加によるNH生成反応の促進効果が確認された。また、実施例1のバルクFe型電極ではアンモニア生成速度が大きく向上していることが示された。
図6にバルクFe 型電極(実施例1)を用いたセルにおける、(a) NH生成速度、(b) 電流密度、(c) ファラデー効率、および(d) 平衡転化率の電位依存性を示す。反応温度500℃、50%H、カソード混合ガス(H/N)の供給速度を通常の2倍である40sccm にしたところ、電極電位-1.5Vにおけるアンモニア生成速度は約1.1x10-8 mol/cm・sに到達し、極めて高い値が観測された。
4.反応機構の考察
電解合成におけるアンモニア生成速度に対する電気化学的促進効果は大きく二つ考えられる。一つ目は、プロトンあるいは水素原子と窒素分子の会合反応によってNH*の様な会合分子種が生成し、その後続の反応で窒素の三重結合の解離が生じる機構(会合反応機構)である。
Figure 0007426066000004
あるいは、二つ目の機構として、吸着窒素分子N*の反結合軌道に対する電子の逆供与によって、Nの3重結合の解離が促進される可能性(直接解離機構)も考えられる。この機構によっても図6で観測された著しい電気化学的促進効果の現象を説明することができる。
これらのうちいずれの機構が支配的なのかについて検討した。
1)比較例1のFe含浸型電極と比較して、実施例1のバルクFe型電極でアンモニア電解合成が加速した。この結果は、電極の三相界面での反応機構(式7)の会合反応機構ではなく、むしろFeのカソード分極に伴う窒素分子の解離が進行する、直接解離機構(式9)を支持する結果である。
2)カソード側の水素濃度を増加させた場合、アンモニア生成速度も上昇したという結果が得られたことから(データはここでは示していない)、カソード側からの水素との反応(式11)が支配的であることを示唆する。
3)さらに、赤外分光を用いた実験では、アノード側から重水素Dを供給し、カソード側からHを供給した場合に、一部NDHの生成が観測されたが、大部分はNH であった。この結果からも、式11 が支配的であることが示唆される。
以上の考察から、水素の電極反応の電極電位(式4)を基準として、Feの電極電位をカソード方向(マイナス方向)に分極させることで、N分子の反結合性π*軌道に金属から電子が逆供与され、式9の窒素分子の直接解離が促進されると考えられる。従って、従来の燃料電池の3相界面を利用したサーメット電極上の反応機構に加え、本発明のようにバルク金属層を用いる装置設計が可能であることが示された。
以上の結果は、本発明の電解質-電極接合体を用いることで、カソード分極の条件下においてより高効率かつ高速なアンモニア電解合成が可能となることを実証するものである。

Claims (10)

  1. アンモニア電解合成用の、カソードの機能を有する電解質-電極接合体であって、
    イオン伝導性固体電解質の表面上に金属塗布層が接合してなる構造を有し、
    前記イオン伝導性固体電解質が、プロトン伝導性材料であり、
    前記金属塗布層が、遷移金属若しくはその酸化物の粒子、又は遷移金属とイオン伝導性金属酸化物の複合粒子を含み、
    前記イオン伝導性固体電解質と金属塗布層との間の2相界面から金属塗布層の外表面までの最大距離が20μm以下である、
    該電解質-電極接合体。
  2. 前記遷移金属が、水素分子に対する吸着エンタルピーΔHが1.5~4.0eVの範囲である1種以上の遷移金属である、請求項1に記載の電解質-電極接合体。
  3. 前記遷移金属が、鉄、ルテニウム、ニッケル、ニオブ、タングステン、チタン、モリブデン、パラジウム、及びそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項1に記載の電解質-電極接合体。
  4. 前記粒子の平均粒径が、1~20μmの範囲である、請求項1に記載の電解質-電極接合体。
  5. 前記金属塗布層が多孔質構造を有する、請求項1~のいずれか1に記載の電解質-電極接合体。
  6. 前記プロトン伝導性材料が、希土類元素をドープしたペロブスカイト型酸化物、又は、希土類元素若しくは遷移金属元素を含む蛍石型酸化物である、請求項1に記載の電解質-電極接合体。
  7. 前記金属塗布層に、アルカリ金属塩から選択される助触媒成分をさらに含む、請求項1~のいずれか1に記載の電解質-電極接合体。
  8. 前記金属塗布層に含まれる金属成分が、前記電解質-電極接合体の全体に対して5~50重量%である、請求項1~のいずれか1に記載の電解質-電極接合体。
  9. 請求項1~のいずれか1に記載の電解質-電極接合体を用いることを特徴とする、電解合成反応によるアンモニアの製造方法。
  10. 0.5Vから2.5Vのカソード分極の条件下で、アンモニアの生成速度が1.0x10-9~1.0x10-7 mol/cm・sである、請求項9に記載の製造方法。
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