JP5271593B2 - バイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤 - Google Patents

バイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤 Download PDF

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本発明は、脂肪酸メチルエステルを含有するバイオディーゼル燃料用の低温流動性向上剤に関する。
燃料油には、ガソリンや軽油、石油等の化石燃料が主に使用されているが、これらの燃料を消費すると大気中に二酸化炭素が放出され、地球温暖化等の環境問題を引き起こす主な要因になっていると考えられている。こうしたことから、二酸化炭素の環境への放出を少なくするために様々な方法が考えられている。
その一つの方法に、バイオ燃料を使用することが提案されている。バイオ燃料とは、主に植物から得られる燃料油のことであり、エタノールやメタノール、脂肪酸メチルエステル等を100%、あるいは化石燃料と混合して自動車等の燃料に使用するものである。バイオ燃料は大気中の二酸化炭素を消費する植物から作られるため、燃焼によってバイオ燃料が大気中に二酸化炭素として放出されても、バイオ燃料の元となる新たな植物がその二酸化炭素を消費するため、大気中の二酸化炭素は増加しない。こうしたバイオ燃料は、前記のように様々な形態で取り組みが始られているが、既存のエンジンシステムにそのまま対応でき、エンジンの改良等が必要ないため、現在では化石燃料の中に脂肪酸メチルエステル等のバイオ燃料を含有させたバイオディーゼル燃料の検討が最も進んでいる。
例えば、特許文献1には、バイオディーゼル燃料に酸化防止剤を添加したバイオディーゼル燃料組成物であって、上記バイオディーゼル燃料は、オレイン酸メチルエステル及び/又はリノール酸メチルエステルを1%以上含み、主成分として、炭素数がC4〜C25の脂肪酸メチルエステルを1種類又は2種類以上含んで成り、上記酸化防止剤は、天然成分及び/又は合成成分から成り、該脂肪酸メチルエステル合計重量に対して0.001%〜5%の割合で添加されることを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物;前記バイオディーゼル燃料組成物の使用方法であって、該バイオディーゼル燃料組成物を、軽油に対し0.1〜100%の容量比で混合することを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物の使用方法が開示されている。
しかしながら、脂肪酸メチルエステルを含有するバイオディーゼル燃料は、流動点が高く、脂肪酸メチルエステルを高濃度で配合した場合や、低濃度でも寒冷地で使用した場合には、燃料の流動性が悪化するため、フィルターやポンプの目詰まりを引き起こす場合があり、バイオディーゼル燃料を普及させるためには、バイオディーゼル燃料の低温流動性を改善する必要があった。
こうした中、既存のディーゼル燃料には様々な低温流動性向上剤が知られている。例えば、特許文献2には、下記一般式(1)で示される化合物Aと、下記一般式(2)で示される化合物Bを、その重量比(化合物A):(化合物B)が1:99乃至50:50となるように含有する燃料油用低温流動性向上剤:
Figure 0005271593
(式中、nは2以上の整数、X〜Xはそれぞれ独立して、水素、直鎖炭化水素基又は分岐炭化水素基、もしくは炭素数3以上のシクロ炭化水素基を示す。)
Figure 0005271593
(式中、X、X10のうちいずれか一方は炭素数8乃至24の直鎖又は分岐の炭化水素基で、もう一方は水素を示し、X11はNR又はHNR、X12はH、HNHR又はHNである。また、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数8乃至24の炭化水素基を示す。)
が開示されている。
また、特許文献3には、(A)炭素数8〜28の直鎖状飽和脂肪酸及び炭素数8〜28の直鎖状不飽和脂肪酸から選ばれた脂肪酸、並びに(B)流動点降下剤及び低温流動性向上剤から選ばれた少なくとも1種の改質剤を含有し、硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄軽油用油性向上剤;低温流動性向上剤がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキルアクリレート系共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアルキルアクリレート及びアルケニルこはく酸アミドである前記低硫黄軽油用油性向上剤が開示されている。
特開2007−16089号公報 特許請求の範囲 特開2005−187581号公報 特許請求の範囲 特開平10−110175号公報 特許請求の範囲
しかしながら、バイオディーゼル燃料に、上述の特許文献2及び3に記載されているような低温流動性向上剤は、あまり効果がなく、バイオディーゼル燃料用の低温流動性向上剤が望まれている。
従って、本発明の目的は、バイオディーゼル燃料の低温流動性を効率良く改善することができる低温流動性向上剤を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)成分として、下記の一般式(1)で表わされる化合物
Figure 0005271593
(式中、R及びRは、水素原子、または硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選択される1つ以上の原子を含有していてもよい炭化水素基を表わし、R及びRは、水素原子、カルボキシル基、または硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選択される1つ以上の原子を含有してもよい炭化水素基を表わし、R及びR、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、R及びRが同時にカルボキシル基となることはない。);及び
(B)成分として、下記の一般式(2)で表わされる化合物
Figure 0005271593
(式中、R及びRは、水素原子、または酸素原子及び/または窒素原子を含有していてもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表わす。ただし、R及びRが同時に水素原子となることはない。)
を含有してなることを特徴とするバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤にある。
本発明の効果は、バイオディーゼル燃料の低温流動性を効率よく改善させることができる低温流動性向上剤を提供したことにある。
本発明のバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤は、一般式(1)で表わされる化合物よりなる(A)成分と、一般式(2)で表わされる化合物よりなる(B)成分を含有してなるものである:
Figure 0005271593
(式中、R及びRは、水素原子、または硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選択される1つ以上の原子を含有していてもよい炭化水素基を表わし、R及びRは、水素原子、カルボキシル基、または硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選択される1つ以上の原子を含有してもよい炭化水素基を表わし、R及びR、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、R及びRが同時にカルボキシル基となることはない。);
Figure 0005271593
(式中、R及びRは、水素原子、または酸素原子及び/または窒素原子を含有していてもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表わす。ただし、R及びRが同時に水素原子となることはない。)
上記一般式(1)で表わされる化合物において、R〜Rは、水素原子、または硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選択される1つ以上の原子を含有してもよい炭化水素基を表わし、更に、R及びRはカルボキシル基となることもある。これらの基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基や、エーテル基、エステル基、アミド基、ヒドロキシル基、チオール基及びチオエーテル基から選択される1つ以上の基を含有する炭化水素基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜22、好ましくは1〜12の範囲内のもので、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オキチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル(ラウリル)基、トリデシル基、テトラデシル(ミリスチル)基、ペンタデシル基、ヘキサデシル(パルミチル)基、へプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル)基、エイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数1〜22、好ましくは1〜12の範囲内のもので、例えば、ビニル基、1−メチルエテニル基、2−メチルエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数5〜10、好ましくは5〜8の範囲内のもので、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜22、好ましくは6〜12の範囲内のもので、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−ターシャリブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−ドデシルフェニル基等が挙げられる。
また、その他の基としては、例えば、オキシアルキル基、オキシアルケニル基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、チオアルキル基、−ROOCR(R及びRは炭素数1〜21の脂肪族炭化水素基)で表わされるエステル基含有の基、−RNHCOR10(R及びR10は炭素数1〜21の脂肪族炭化水素基)で表わされるアミド基含有の基等が挙げられ、更に、R及びRは、カルボキシル基となる場合もあるが、R及びRが同時にカルボキシル基となることはない。
また、R及びR、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、こうした環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、シクロペンタジエン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、シクロペンタン、シクロヘキサン及び置換基を有するこれらの環等が挙げられる。
上記R〜Rの中でも、R〜Rは水素原子、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、全てが水素原子であることがより好ましい。
また、一般式(1)で表わされる化合物は、特定の位置にカルボキシル基を有するジカルボン酸またはトリカルボン酸となるが、これら特定の構造でない化合物になると、バイオディーゼル燃料の低温流動性を改善する効果がなくなってしまう。本発明に使用できる(A)成分は、他の置換基による影響よりカルボン酸の付加位置による影響が大きく、他の置換基が電荷的に中性であるならば、いずれの置換基でも性能による差異はほとんど見られない。
(A)成分である一般式(1)で表わされる化合物の構造と性能の関係について更に詳しく説明する。R〜Rが全て水素原子の場合、一般式(1)で表わされる化合物はイソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)となり、RまたはRがカルボキシル基の場合は、トリメリット酸(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)となる。イソフタル酸には、フタル酸及びテレフタル酸等の異性体が、また、トリメリット酸にはヘミメリット酸及びトリメシン酸等の異性体が存在するが、軽油や重油等の化石燃料にこれらの化合物を使用した場合、いずれの化合物であっても低温流動性向上剤としてはほぼ同等の性能を発揮する。しかし、脂肪族メチルエステル100質量%あるいは脂肪族メチルエステルと軽油等が混合されたバイオディーゼル燃料では、フタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸及びトリメシン酸等の異性体を用いても低温流動性向上剤として十分な効果を得ることができず、イソフタル酸あるいはトリメリット酸を使用したものだけが十分な効果を発揮する。
上記一般式(2)で表わされる化合物において、R及びRは、水素原子、または酸素原子及び/または窒素原子を含有してもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表わす。炭素数8〜22の炭化水素基としては、例えば、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドテシル(ラウリル)基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル(ミリスチル)基、ペンタデシル基、ヘキサデシル(パルミチル)基、ペプタデシル基、オクタデシル(ステアリル)基、エイコシル基、ドコシル基等のアルキル基;オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基等のアルケニル基;ナフチル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−ターシャリブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−ドデシルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。これらの中でも、流動点を降下させる効果に優れていることから、炭素数10〜20の直鎖脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数10〜20の直鎖アルキル基がより好ましい。
また、酸素原子及び/または窒素原子を含有してもよい炭素数8〜22の直鎖脂肪族炭化水素基としては、−R11OOCR12(R11及びR12は炭素数1〜21の脂肪族炭化水素基)で表わされるエステル基含有の基、−R13NHCOR14(R13及びR14は炭素数1〜21の脂肪族炭化水素基)で表わされるアミド基含有の基、−R15OH(R15は炭素数2〜22の脂肪族炭化水素基)で表わされるアルコール等が挙げられる。
上記R及びRの両方が、酸素原子及び/または窒素原子を含有してもよい炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基の場合、(B)成分は2級アミン化合物となり、R又はRのどちらかが水素原子の場合、(B)成分は1級アミン化合物となる。
本発明のバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤は、上記の(A)成分としての一般式(1)で表わされる化合物及び(B)成分としての一般式(2)で表わされる化合物の混合物であるが、(A)成分と(B)成分を単に混合すると、中和塩となる。ここで、(A)成分がジカルボン酸の場合をイソフタル酸誘導体、トリカルボン酸の場合をトリメリット酸誘導体とするが、低温流動性向上剤としての性能が良好なことから、(A)成分がイソフタル酸誘導体の場合には、(B)成分は2級アミンが好ましい。また、(A)成分がトリメリット酸誘導体の場合には、(B)成分は1級アミンが好ましい。
次に、(A)成分と(B)成分の配合割合について説明する。(A)成分がイソフタル酸誘導体の場合は、(A)成分1モルに対して(B)成分を1〜3モル配合することが好ましく、1.5〜2.5モル配合することがより好ましく、2〜2.5モル配合することが更に好ましい。(B)成分が1モル未満であると、低温流動性向上剤としての効果を発揮できないことがあるために好ましくない。また、3モルを超えると、配合量に見合う効果が上がらないことがあるために好ましくない。また、(A)成分がトリメリット酸誘導体の場合には、(A)成分1モルに対して(B)成分を1.5〜4.5モル配合することが好ましく、2〜4モル配合することがより好ましく、3〜3.5モル配合することが更に好ましい。(B)成分が1.5モル未満であると、低温流動性向上剤としての効果を発揮できないことがあるために好ましくなく、また、4.5モルを超えても、配合量に見合う効果が上がらないことがあるために好ましくない。
本明細書に記載する述語「バイオディーゼル燃料」とは、100質量%の脂肪酸メチルエステルまたは軽油と脂肪酸メチルエステルを含有する燃料であり、軽油としては、JIS K2204で規格化されている1号軽油、2号軽油及び3号軽油等のディーゼルエンジンに使用できる一般的な軽油であればいずれも使用することができる。
また、脂肪酸メチルエステルとしては、植物から得られる天然油脂を原料にしたもの、動物から得られる天然油脂を原料にしたもの、及びこれらの食油からの廃食油を原料にしたものであればいずれも使用することができる。植物系の天然油脂としては、例えば、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ脂、カポック油、白カラシ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、シアナット油、シナキリ油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油、及びこれらの混合物等が挙げられる。脂肪酸メチルエステルの製造方法は公知の方法であればいずれの方法で製造してもよく、例えば、上記の天然油脂とメタノールとを、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒下で加熱してエステル交換をし、不純物としてでるグリセリンを除去して得る方法が挙げられる。
軽油と脂肪酸メチルエステルを配合する場合、バイオディーゼル燃料全量に対して脂肪酸メチルエステルが2質量%以上になるように配合することが好ましい。脂肪酸メチルエステルの配合量が2質量%未満であると、化石燃料の使用量を削減して二酸化炭素排出量を低減するという、バイオディーゼル燃料本来の目的を達成することができず、バイオディーゼル燃料の意義が薄れてしまうために好ましくない。
本発明のバイオディーゼル燃料組成物は、上記のバイオディーゼル燃料と、本発明の低温流動性向上剤とを含有してなるものである。バイオディーゼル燃料に対する本発明の低温流動性向上剤の配合量は特に限定されるものではないが、バイオディーゼル燃料全量に対して0.005〜3質量%配合することが好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。配合量が0.005質量%未満になると十分な効果が現れない場合があり、3質量%を超えると、配合量に見合った効果が得られない場合や、バイオディーゼル燃料の種類によっては不溶物が発生する場合があるために好ましくない。
本発明のバイオディーゼル燃料組成物には、必要に応じてセタン価向上剤を配合することができる。セタン価向上剤としては、軽油のセタン価向上剤として知られる各種の化合物を任意に使用することができ、例えば、2−クロロエチルナイトレート、2−エトキシエチルナイトレート、イソプロピルナイトレート、ブチルナイトレート、第一アミルナイトレート、第二アミルナイトレート、イソアルミナイトレート、第一ヘキシルナイトレート、第二ヘキシルナイトレート、n−ヘプチルナイトレート、n−オクチルナイトレート、2−エチルヘキシルナイトレート、シクロヘキシルナイトレート、エチレングリコールジナイトレート等を挙げることができるが、特に、炭素数6〜8のアルキルナイトレートが好ましい。セタン価向上剤の配合量は、バイオディーゼル燃料組成物全量に対して500〜1400質量ppm、好ましくは600〜1250質量ppm、更に好ましくは700〜1100質量ppmの範囲内である。セタン価向上剤を配合する場合、その配合量が500質量ppm未満であると、十分なセタン価向上効果が得られず、ディーゼルエンジン排出ガス中の粒子状物質(PM)、アルデヒド類、さらにはNOxを十分に低減できないことがあるために好ましくない。また、セタン価向上剤の配合量が1400質量ppmを超えても、それに見合う効果が期待できず、経済的に不利になるために好ましくない。
また、本発明のバイオディーゼル燃料組成物には、必要に応じて清浄剤を配合することができる。清浄剤としては、例えば、イミド系化合物;ポリブテニルコハク酸無水物とエチレンポリアミン類とから合成されるポリブテニルコハク酸イミドなどのアルケニルコハク酸イミド;ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとポリブテニルコハク酸無水物から合成されるポリブテニルコハク酸エステルなどのコハク酸エステル;ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピロリドンなどとアルキルメタクリレートとのコポリマーなどの共重合系ポリマー;カルボン酸とアミンの反応生成物等の無灰清浄剤等が挙げられ、中でもアルケニルコハク酸イミド及びカルボン酸とアミンとの反応生成物が好ましい。これらの清浄剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。清浄剤の配合量は、特に限定されるものではないが、清浄剤を配合した効果、具体的には、燃料噴射ノズルの閉塞抑制効果を引き出すため、清浄剤の配合量は、バイオディーゼル燃料組成物全量に対して30〜300質量ppm、好ましくは60〜200質量ppmの範囲内である。清浄剤の配合量が30質量ppm未満の場合、上記の効果が発現しない場合があり、また、300質量ppmを超えても、それに見合う効果が期待できず、逆に、ディーゼルエンジン排出ガス中のNOx、PM、アルデヒド類等を増加させる場合があるために好ましくない。
更に、本発明のバイオディーゼル燃料組成物には、性能を更に高める目的で、その他の公知の燃料油添加剤を単独で、または数種類組み合わせて添加することもできる。その他の添加剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサン、トルエン等の溶剤;フェノール系、アミン系などの酸化防止剤;サリチリデン誘導体などの金属不活性剤;ポリグリコールエーテルなどの氷結防止剤;脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステルなどの腐食防止剤;アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤;アゾ染料などの着色剤;シリコン系などの消泡剤等が挙げられる。その他の添加剤の配合量は、特に限定されるものではないが、バイオディーゼル燃料組成物全量に対してそれぞれ0.001〜0.5質量%、好ましくは0.001〜0.2質量%の範囲内である。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において、「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
以下に、実施例で使用した(A)成分及び(B)成分の化合物を記載する。尚、述語「中和塩」は、(A)成分と(B)成分の混合物を示す。
低温流動性向上剤
(a−1)イソフタル酸:ジドデシルアミン=1:2(モル比)からなる中和塩
(a−2)イソフタル酸:ジステアリルアミン=1:2(モル比)からなる中和塩
(a−3)イソフタル酸:ジデシルアミン=1:2(モル比)からなる中和塩
(a−4)イソフタル酸:ドデシルアミン=1:2(モル比)からなる中和塩
(a−5)トリメリット酸:ドデシルアミン=1:3(モル比)からなる中和塩
(a−6)イソフタル酸:ジドデシルアミン=1:1.5(モル比)からなる中和塩
(a−7)イソフタル酸:ジドデシルアミン=1:2.5(モル比)からなる中和塩
(b−1)フタル酸:ジドデシルアミン=1:2(モル比)からなる中和塩
(b−2)テレフタル酸:ジドデシルアミン=1:2(モル比)からなる中和塩
(b−3)ポリメタクリレート系流動点降下剤(重量平均分子量400000)
(b−4)エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン含量65質量%、酢酸ビニル含量3 5質量%、重量平均分子量=3500)
(b−5)融点61℃、25℃の針入度11、ガスクロマトグラフィーによる重量平均分 子量が404である日本精蝋製ノルマルパラフィンワックス140/コハク酸 誘導体=20/80(質量比)
なお、(b−5)中のコハク酸誘導体は、下記の方法によって合成した:
撹拌装置、窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた反応設備に、中和価535mgKOH/gのオクテニルコハク酸無水物210g(1モル)を仕込み、撹拌を継続しつつ、全アミン価215mgKOH/gの水添タローアミン(花王製ファーミンT、アルキル基の代表組成が、C14:4%、C16:30%、C18:66%のモノアルキルアミン)470g(1.8モル)を仕込み、80℃に昇温し、80℃にて3時間熟成して目的とするコハク酸誘導体を得た。
<流動点試験>
上記低温流動性向上剤を表1に示した配合で、基油1(廃食油由来脂肪酸メチルエステル100%)または基油2(廃食油由来脂肪酸メチルエステルを5%含む軽油)を用いてバイオディーゼル燃料組成物を調製し、JIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に記載の方法で測定を行った。即ち、試験管に45mlの試料(バイオディーゼル燃料組成物)を入れて45℃に加温し、次いで、冷却浴を用いて試料を冷却する。試料の温度が2.5℃低下する毎に試験管を冷却浴から取り出して傾け、試料が5秒間、全く動かなくなった時の温度を読み取り、この値に2.5℃を加えた値を流動点とした。なお、実験に使用した軽油は、JIS K2204で規格化されている1号軽油に相当するものであった。
Figure 0005271593
表1より、本発明品(a−1ないしa−7)の低温流動性向上剤を使用したバイオディーゼル燃料組成物は、流動点が低下しており、低温流動性が向上していることがわかる。また、軽油に対しては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びトリメリット酸のいずれの変性物であっても同様の効果しかなく、イソフタル酸の変性物あるいはトリメリット酸の変性物のみがバイオディーゼル燃料に対して特異的な効果をもつことがわかる。
本発明のバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤は、脂肪族メチルエステルを含むバイオディーゼル燃料の低温流動性を向上させるために好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. (A)成分として、下記の一般式(1)で表わされる化合物
    Figure 0005271593
    (式中、R及びRは、水素原子、または硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選択される1つ以上の原子を含有していてもよい炭化水素基を表わし、R及びRは、水素原子、カルボキシル基、または硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選択される1つ以上の原子を含有してもよい炭化水素基を表わし、R及びR、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、R及びRが同時にカルボキシル基となることはない。);及び
    (B)成分として、下記の一般式(2)で表わされる化合物
    Figure 0005271593
    (式中、R及びRは、水素原子、または酸素原子及び/または窒素原子を含有していてもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表わす。ただし、R及びRが同時に水素原子となることはない。)
    を含有してなることを特徴とするバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤。
  2. 一般式(1)で表わされる化合物は、イソフタル酸またはトリメリット酸である、請求項1記載のバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤。
  3. 一般式(2)で表わされる化合物において、R及びRは、水素原子、または炭素数8〜16の直鎖アルキル基である、請求項1または2記載のバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のバイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤と、バイオディーゼル燃料とを含有することを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物。
  5. 更に、セタン価向上剤及び/または清浄剤を配合してなる、請求項4記載のバイオディーゼル燃料組成物。
  6. 更に、溶剤、酸化防止剤、金属不活性剤、氷結防止剤、腐食防止剤、帯電防止剤、着色剤及び消泡剤からなる群から選択される1種または2種以上のその他の添加剤を配合してなる、請求項4または5記載のバイオディーゼル燃料組成物。
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