JP5270489B2 - ケービング抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、パンなどの食品のケービング抑制剤、該ケービング抑制剤を添加した生地またはプレミックス、ならびに該生地またはプレミックスを用いて食品を製造する方法に関する。
パン・菓子類等の穀物粉を含有する生地を焼成して製造される食品は、焼成後の冷却過程において、内部の気孔中の水蒸気が液化し、熱膨張していた炭酸ガスや空気が収縮する。このため該気孔の内部は外気圧と比べて減圧の状態となり、気孔が圧縮された状態となることがある。その結果、生地の焼成後から経時的にパンの表面、特に側面がへこむ「ケービング」と呼ばれる現象が生じる。
このようにして発生するケービング(腰折れともいう)は商品価値を損なうのみならず、たとえば食パンからサンドイッチを作る際にはロスが多く、作業性も悪くなるため、結果的に不良品扱いになるという問題も生じる。また、ロールパン等においては、ケービングの結果、型崩れする、すなわち腰持ちが低下し、外見上、好ましくないという問題がある。このため、ケービングの発生は、パンの製造現場では是非とも避けなければならない事項である。
一方で、食品の生産コストを低減させるために生地量を減量する場合、容積不足を補うために、酵素類、酸化剤等が使用され、これに伴ってケービングが発生する可能性が高い。また、低グレード小麦粉や米粉を使用した場合でも、同様のおそれがある。
食品のケービングを抑制する方法としては、ホエー蛋白質及びカルシウム(特許文献1参照)、水不溶性カルシウム(特許文献2参照)、乳化剤およびアミラーゼやプロテアーゼ等の酵素(特許文献3参照)を生地改良剤として、生地に添加する方法等が知られている。
しかし、これらの方法では、パンの風味や食感の低下、生地物性の悪化などが生じることがあり、ケービングを防止する効果も十分ではない。また、製造工程の面からケービング抑制を図る方法もある(特許文献4および5参照)が、製造工程を変更するためには作業費がかかり、工程も増えるので実用化は難しい。
このため、生地物性の悪化や風味・食感の低下を起こすことなく、また、簡便に食品のケービングを抑制できる方法の開発が望まれている。
特開2002−119196号公報 特開2002−186406号公報 特開平5−168394号公報 特開平11−146753号公報 特開昭47−35182号公報
本発明の目的は、簡便かつ効果的に食品のケービングを抑制する方法、該方法に用いるケービング抑制剤、ケービングを起こしにくい食品の製造方法、またはケービングを起こしにくい食品を製造できるプレミックスを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸または油脂のリパーゼ処理物が、パンのケービング現象を有効に抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の(1)〜(13)の発明を包含する。
(1)炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を含有する組成物からなることを特徴とするケービング抑制剤。
(2)前記組成物が、油脂のリパーゼ処理物を含有する、上記(1)のケービング抑制剤。
(3)生地中の炭素数14〜18の直鎖脂肪酸の含有量が穀物粉100重量部に対して0.05〜1重量部となるように、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を含有する組成物を穀物粉生地に添加してなる生地。
(4)前記組成物が、油脂のリパーゼ処理物を含有する、上記(3)の生地。
(5)上記(1)または(2)のケービング抑制剤を穀物粉生地に添加してなる生地。
(6)炭素数14〜18の直鎖脂肪酸の含有量が穀物粉100重量部に対して0.05〜1重量部となるように、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を含有する組成物を穀物粉生地に添加することを特徴とする食品のケービング抑制方法。
(7)前記組成物が、油脂のリパーゼ処理物を含有する、上記(6)の方法。
(8)上記(3)〜(5)のいずれか1つの生地を用いることを特徴とする食品の製造方法。
(9)炭素数14〜18の直鎖脂肪酸含有する組成物からなることを特徴とするプレミックス。
(10)前記組成物が、油脂のリパーゼ処理物を含有する、上記(9)のプレミックス。
(11)上記(1)または(2)のケービング抑制剤を含有することを特徴とするプレミックス。
(12)上記(9)〜(11)のいずれか1つのプレミックスを用いることを特徴とする食品の製造方法。
(13)上記(12)の方法により得られる食品。
本発明により、簡便かつ効果的に食品のケービングを抑制する方法、該方法に用いるケービング抑制剤、ケービングを起こしにくい食品の製造方法、またはケービングを起こしにくい食品を製造できるプレミックスを提供することができる。
1.ケービング抑制剤
本発明のケービング抑制剤は、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を含有する組成物である。炭素数14〜18の直鎖脂肪酸は、飽和または不飽和のいずれであってもよい。これらの直鎖脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸(炭素数14)、ミリストレイン酸(炭素数14)、ペンタデカン酸(炭素数15)、ペンタデセン酸(炭素数15)、パルミチン酸(炭素数16)、パルミトレイン酸(炭素数16)、ヘプタデカン酸(炭素数17)、ヘプタデセン酸(炭素数17)、ステアリン酸(炭素数18)、オレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)、リノレン酸(炭素数18)等があげられ、好ましくは、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)、オレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)等があげられるが、より好ましくは炭素数16〜18の直鎖脂肪酸が用いられ、特に好ましくは炭素数16の直鎖脂肪酸であるパルミチン酸が用いられる。これらの直鎖脂肪酸としては1種類の直鎖脂肪酸からなるものを用いてもよいし、2種以上の直鎖脂肪酸からなるものを用いてもよい。
炭素数14〜18の直鎖脂肪酸は単独で用いてもよいが、食品の風味や製造に悪影響を及ぼさない範囲で、これらの直鎖脂肪酸で構成されるトリグリセリド、ジグリセリドまたはモノグリセリド、好ましくはモノグリセリドとともに用いてもよい。
本発明のケービング抑制剤は、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を含有していればいずれでもよいが、通常、該直鎖脂肪酸の含有量は、1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10〜90重量%である。
また、本発明のケービング抑制剤としては、油脂のリパーゼ処理物を含有するものが好ましい。
本発明のケービング抑制剤は、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸をそのまま、または必要に応じて他の成分を混ぜ合わせて調製してもよいが、例えば以下に示す方法で、油脂をリパーゼで処理することにより製造したものが好ましい。
リパーゼ処理する油脂としては、本発明に用いられる直鎖脂肪酸で構成されたトリグリセリドを多く含む植物油脂、動物油脂、加工油脂等があげられる。
植物油脂としては、なたね油、パーム油、ひまわり油、オリーブ油、大豆油、コーン油、米ぬか油、サフラワー油、ごま油、綿実油、落花生油等があげられるが、パーム油、大豆油、コーン油、米ぬか油または綿実油が好ましく用いられ、パーム油、米ぬか油または綿実油がより好ましく用いられ、パーム油が特に好ましく用いられる。
動物油脂としては、牛脂、豚脂、魚油等があげられるが、牛脂または豚脂が好ましく用いられる。
加工油脂としては、ショートニング、マーガリン等があげられる。
これらの油脂は、常法により調製して用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。また、これらの油脂は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
油脂のリパーゼ処理に用いるリパーゼとしては、トリアシルグリセロールリパーゼ(E.C.3.1.1.3)活性を有するリパーゼであれば、微生物由来のもの、動物由来のもの等、いずれのリパーゼも用いることができる。
リパーゼは精製されたものであってもよいが、トリアシルグリセロールリパーゼ活性を有する微生物、動物等の細胞、組織、またはこれらの処理物であってもよい。微生物としては、ムコール(Mucor)属、リゾパス(Rizopus)属、キャンディダ(Candida)属、アスペルギルス(Asperugillus)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、アルカリジェネス(Alcaligenes)属等に属する微生物があげられる。動物としては、ブタ、ヒツジ、ウシ、ヤギ等があげられ、これらの組織としては腎臓、咽頭等があげられる。
リパーゼとして、リパーゼM「アマノ」10(天野エンザイム社製)、リパーゼA「アマノ」6(天野エンザイム社製)、リパーゼQLM(名糖産業製)等の市販のリパーゼを用いてもよい。
油脂をリパーゼで処理する際、油脂は、該油脂の融点以上で融解して用いることが好ましい。
リパーゼは、あらかじめ水、無機塩水溶液、緩衝液等の水性媒体と混合しておくことが好ましい。この際、混合物中の水性媒体の含有量は、1〜50重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがより好ましい。
油脂のリパーゼ処理は、油脂にリパーゼと水性媒体との混合物を添加し、好ましくはホモジナイザー等を用いて乳化処理を行った後、静置または振とうして行う。
リパーゼの添加量は、油脂の種類、処理条件等により異なるが、通常、油脂1gに対して、10〜1000ユニット(以下、Uと表記する)、好ましくは100〜800U、さらに好ましくは150〜500Uである。なお、1Uとは、油化学、1987年、第36巻、p.821に記載の方法に準じてリパーゼの酵素活性を測定した場合に、1分間に1μmolの脂肪酸を生成するリパーゼの量である。
リパーゼ処理する際の温度は、リパーゼの種類および油脂の種類により異なるが、使用するリパーゼの至適温度付近であって、かつ使用する油脂の融点より高い温度が好ましい。例えば、60〜80℃が好ましく、65〜70℃がさらに好ましい。
リパーゼ処理時のpHは使用するリパーゼの種類および油脂の種類により異なるが、pH5〜10が好ましく、pH6〜9がさらに好ましい。
リパーゼ処理する時間は使用するリパーゼの種類および油脂の種類により異なるが、通常、2〜120時間、好ましくは12〜48時間である。
リパーゼ処理後、得られる処理物はそのまま用いてもよいが、リパーゼを失活させるため、通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃で、5〜60分間加熱処理することが好ましい。
このようにして得られる処理物は、そのまま本発明のケービング抑制剤としてもよいが、沈降分離、遠心濾過、フィルタープレス等の固液分離方法を用いて菌体、細胞等を除去し、これを該抑制剤としてもよい。
また、該処理物を、さらに減圧濃縮等の濃縮処理またはスプレードライ、凍結乾燥等の乾燥処理に供して得られる濃縮物または乾燥物を本発明のケービング抑制剤として用いてもよい。
本発明のケービング抑制剤は、必要に応じて上記モノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリド、水、蛋白質、無機塩、核酸、有機酸、ビタミン、アルコール、糖類、増粘多糖類、調味料、香辛料、賦形剤、乳製品、乳酸菌培養物またはその処理物等を含有してもよい。
蛋白質としては、小麦蛋白質、大豆蛋白質、トウモロコシ蛋白質等の植物蛋白質、乳蛋白質、卵蛋白質、筋肉蛋白質等の動物蛋白質等があげられる。
無機塩としては、食塩、塩化カリウム、塩化アンモニウム等があげられる。
核酸としては、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等があげられる。
有機酸としては、酢酸、乳酸、プロピオン酸等があげられる。
ビタミンとしては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE等があげられる。
アルコールとしては、エタノール、グリセロール等があげられる。
糖類としては、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖等があげられる。
増粘多糖類としてはアラビアガム、アルギン酸、カラギナン、キサンタンガム、グァーガム、タマリンドガム、ペクチン等があげられる。
調味料としては醤油、味噌、エキス等の天然調味料、香辛料としては各種の香辛料があげられる。
賦形剤としてはデキストリン、各種澱粉等があげられる。
乳製品としては牛乳、山羊乳、脱脂乳、加工乳、クリーム、クリームパウダー、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、ホエイパウダー、全粉乳、脱脂粉乳、乳酸菌飲料、乳飲料等があげられる。
乳酸菌培養物としては、乳酸菌を、乳酸菌の培養に用いられる通常の方法に従って培地に培養して得られる培養液があげられる。また、該培養液より遠心分離、ろ過等の方法によって分離して得られる菌体または培養上清も乳酸菌培養物として用いることができる。
乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、テトラゲノコッカス(Tetragenococcus)属等に属する微生物があげられる。これらの乳酸菌は単独で用いてもよいし、2種以上の微生物を組合せて用いてもよい。
乳酸菌培養物の処理物としては、例えば、乳酸菌の培養液、菌体または培養上清の乾燥物、凍結乾燥物、培養液または菌体の酵素処理物、超音波処理物、機械的摩砕処理物、溶媒処理物等があげられる。
上記の各任意成分の含有量は、使用目的に応じて適宜設定することができる。
本発明のケービング抑制剤は、小麦粉生地、ライ麦粉生地、大麦粉生地、オーツ麦粉生地、米粉生地等の穀物粉生地用のケービング抑制剤として好適に用いられる。
本発明のケービング抑制剤は、粉末状、顆粒状、ペースト状、乳液状等いずれの形状を有していてもよい。
2.プレミックス
本発明のプレミックスは、穀物粉を含有し、該穀物粉100重量部に対して、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を0.05〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部、さらに好ましくは0.1〜0.4重量部含有する組成物であればいかなるものであってもよく、必要に応じて糖類、油脂、脱脂粉乳、卵粉、膨張剤、食塩、香料等を含有していてもよい。
本発明のプレミックスは、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸の含有量が上記範囲となるように、該直鎖脂肪酸を穀物粉に添加する以外は、通常のプレミックスの製造方法を用いて製造することができる。該直鎖脂肪酸としては、本発明のケービング抑制剤を用いてもよい。
3.ケービング抑制剤またはプレミックスの利用
本発明のケービング抑制剤またはプレミックスは、そのまま、または必要に応じて、食パン、ロールパン、硬焼きパン、菓子パン、調理パン、むしパン等のパン、まんじゅう等の菓子類、ドーナツ、パイ、スポンジケーキ等の食品の製造に必要な成分、例えば、水、酵母、砂糖、牛乳、脱脂粉乳、卵、イーストフード、ショートニング、バター等を添加して、穀物粉生地の製造に用いることができる。
本発明のケービング抑制剤またはプレミックスの穀物粉生地への添加量は、製パン性も考慮し、生地中の炭素数14〜18の直鎖脂肪酸の含有量が、生地中の穀物粉100重量部に対して、通常0.05〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部、さらに好ましくは0.1〜0.4重量部となる量である。
4.生地
本発明の生地は、穀物粉100重量部に対して、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を0.05〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部、さらに好ましくは0.1〜0.4重量部含有する生地であればいずれのものであってもよく、必要に応じて、生地の製造に必要な成分、例えば、酵母、砂糖、脱脂粉乳、卵、イーストフード、ショートニング、バター等を含有していてもよい。
本発明の生地は、生地中の炭素数14〜18の直鎖脂肪酸の含有量が上記範囲となるように、該直鎖脂肪酸を穀物粉生地に添加する以外は、通常の穀物粉生地の製造方法を用いて製造することができる。該直鎖脂肪酸としては、本発明のケービング抑制剤またはプレミックスを用いてもよい。
本発明の生地は、通常の穀物粉生地と同様に、上記のパン、菓子類、ドーナツ、パイ、ピザ、スポンジケーキ等の食品の製造に用いることができる。
5.ケービング抑制方法、食品の製造方法
本発明のケービング抑制方法としては、生地の調製の際に、穀物粉100重量部に対して炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を、本発明の穀物粉生地における重量部と同様の重量部となるように穀物粉生地に添加すればよく、それ以外は通常の生地調製方法を用いればよい。該直鎖脂肪酸の添加には、本発明のケービング抑制剤またはプレミックスを用いてもよい。
本発明のケービング抑制方法によれば、簡便に食品のケービングを抑制することができる。
本発明の食品の製造方法は、前記の生地またはプレミックスを用いる以外は、その食品の通常の製造方法にて行う。
以下に、本発明の食品の製造方法の例として、パンの製造方法を説明する。パンの製造は、前記の直鎖脂肪酸またはケービング抑制剤を添加したパン生地またはプレミックスを用いる以外は、通常の方法にて行なえばよい。
代表的な食パン、菓子パン等のパンの製造方法としては、ストレート法と中種法があげられる。ストレート法は、製パン用の穀物粉生地(以下、パン生地ともいう)の全原料を最初から混ぜる方法であり、中種法は、穀物粉の一部に酵母および水を加えて中種をつくり、発酵後に残りのパン生地の原料を合わせる方法である。ただし、パンの製造方法はこの方法に限定されるものではない。
パン生地の原料としては、穀物粉、通常小麦粉に、酵母、食塩、水、必要に応じて砂糖、脱脂粉乳、卵、イーストフード、ショートニング、バター等があげられる。
ストレート法では、パン生地の全原料をミキシングした後、25〜30℃で発酵させ、分割、ベンチを行い、成型、型詰めする。ホイロ(25〜42℃)を経た後、焼成(170〜240℃)する。
中種法では、使用する穀物粉の全量の30〜100重量%の穀物粉、酵母、イーストフード等に水を加えミキシングして中種を得て、該中種を25〜35℃で1〜5時間発酵させ、残りのパン生地の原料を追加し、ミキシング(本捏)、フロアータイム、分割、ベンチタイムを行い、成型、型詰めする。ホイロ(25〜42℃)を経た後、焼成(170〜240℃)する。
前記の直鎖脂肪酸またはケービング抑制剤のパン生地への添加は、製パンの工程のいずれの時期であってもよい。
例えば、ストレート法の場合はパン生地の原料中に添加してパン生地を作製してもよいし、原料を混合後にパン生地をミキシングする際に添加してもよい。中種法の場合は中種を作製する原料中に添加してもよいし、中種のミキシング時に添加してもよいし、中種作製後、本捏時にパン生地に添加してもよい。
本発明のプレミックスを用いる場合、本発明のプレミックスに水、牛乳、卵等、必要に応じて、穀物粉、イースト等を加え、混捏し、得られた生地を25〜30℃で発酵させ、分割、ベンチを行い、成型、型詰めする。ホイロ(25〜42℃)を経た後、焼成(170〜240℃)する。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
[実施例1]
1050gの強力粉、30gのイースト、9gのイーストフード、および630gの水を混ぜ合わせた。得られた混合物を、パンミキサーを用いて低速で3分間、中高速で2分間混捏し、捏上温度が28℃となるようにして中種1を得た。
25〜35℃で4時間静置した中種1に、強力粉450g、グラニュー糖75g、食塩30g、脱脂粉乳30g、および390gの水を混ぜ合わせた。得られた混合物を、パンミキサーを用いて低速で3分間、中低速で3分間、中高速で1分間混捏し、75gのショートニングを加えて捏上温度が28℃となるように、低速で2分間、中低速で3分間、中高速で2分間ミキシングをして生地1を得た。
生地1を25〜28℃で20分静置した後に、分割(200gずつ6個)、ガス抜きし、3斤食パン型(プルマン)に入れて成型した後、生地の容積が型容積の80%に達するまで、38℃、相対湿度85%で発酵させた。
得られたパン生地を、オーブンを用いて200℃で30分間焼成して、コントロールの食パンを製造した。
また、中種1の調製において、混合物に第1表記載の直鎖脂肪酸を3g加える以外は同様の操作を行い、食パンA〜Fを製造した。
また、中種1の調製において、混合物にパルミチン酸を1.5gまたは6g加える以外は同様の操作を行い、食パンGおよびHを製造した。
得られたコントロールの食パンおよび食パンA〜Hをそれぞれ18mmの厚さとなるようにスライスした。端部分以外の食パン6枚を使用し、上部および両側面に生じたケービングの深さをノギスを用いて測定し、各食パンにおけるケービング値の平均値を算出した。
結果を第1表に示す。なお、ケービング値は、コントロールの食パンのケービングの深さを100とした場合の相対値を示し、この数値が低いほど、ケービングが抑制されていることを示す。
Figure 0005270489
第1表に示すとおり、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を添加して得られた生地を用いて得られたパンは、いずれもケービングが抑制されていた。
なお、各食パンの風味について、熟練したパネラー15人により、コントロールの食パンの風味を基準として官能評価を行ったところ、いずれの食パンもコントロールの食パンの風味と差が認められなかった。
[実施例2]
90gのパーム油を300ml容の三角フラスコに入れて混合し、90℃で30分間保持して油脂を溶解させた。
処理後、放置し、60℃になった時点で、Alcaligenes属由来のリパーゼ(リパーゼQLM、名糖産業社製)3000Uを混合した10mlの水を添加し、混合した。得られた混合液を60℃で24時間、150rpmで振とうしてリパーゼ処理を行った。
リパーゼ処理後、90℃で30分間加熱してリパーゼを失活させ、水相と油相とに分離させた後、油相部分85gを油脂のリパーゼ処理物として得た。
該油脂のリパーゼ処理物をガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィーに供したところ、遊離脂肪酸として、パルミチン酸およびステアリン酸が、それぞれ33%および35%検出された。その他、モノパルミチンおよびモノステアリンがそれぞれ2.8%および4.5%、ミリスチン酸が1%未満検出された。
実施例1の生地1の調製工程において、混合物に第2表に示す添加物をそれぞれ添加する以外は同様の操作を行い、食パン(1)〜(4)を製造した。
実施例1で得たコントロールの食パンおよび食パン(1)〜(4)をそれぞれ18mmの厚さとなるようにスライスし、実施例1記載の方法に準じて、各食パンのケービングの深さを測定した。
また、各食パンの風味について熟練したパネラー15人により、コントロールの食パンの風味を基準として、以下の基準により官能評価を行った。
+:コントロールより好ましい
±:コントロールと同程度
−:コントロールより劣る
結果を第2表に示す。
Figure 0005270489
第2表に示すとおり、油脂のリパーゼ処理物を添加して得られた食パンはコントロールと比較してケービングが抑制されており、また風味の低下も認められなかった。
[実施例3]
実施例1における中種1の調製において強力粉450gのかわりに、米粉300gおよび強力粉150gを用い、また、生地1の分割を220gずつ6個とする以外は同様の操作を行って米粉入り食パンを調製した。
また、該米粉入り食パンの調製において、実施例2で得た油脂のリパーゼ処理物6gを中種1に添加する以外は同様の操作を行って米粉入り食パン(油脂のリパーゼ処理物使用)を製造した。
実施例1記載の方法に準じて、これらの食パンのケービングの深さを測定したところ、米粉入り食パンのケービング値は111であって、小麦粉だけを使用する場合と比べてケービングが悪化していた。これに対し、実施例2で得た油脂のリパーゼ処理物を含有する生地を用いて得られた米粉入り食パン(油脂のリパーゼ処理物使用)のケービング値は85であり、ケービングが抑制されていた。また、油脂のリパーゼ処理物の使用による風味の悪化は認められなかった。
[実施例4]
1000gの強力粉、30gのイースト、1gのイーストフード、120gのグラニュー糖、15gの食塩、30gの脱脂粉乳および620gの水を混ぜ合わせた。
得られた混合物をパンミキサーを用いて低速で3分間、中高速で3分間混捏し、80gのショートニングを加え、さらに低速で2分間、中高速で3分間、中高速で5分間ミキシングをして、捏上温度が28℃となるようにして生地2を得た。
上記生地2を25〜28℃で60分静置した後に、分割(50gずつ)、ガス抜きし、ロール状に成型した後、38℃、相対湿度85%の条件で65分発酵させた。
得られたパン生地を、オーブンを用いて200℃で10分間焼成して、コントロールのロールパンを製造した。
また、生地2の調製において、混合物に実施例2記載の油脂のリパーゼ処理物を4g加える以外は同様の操作を行い、ロールパン(a)を製造した。
得られたコントロールのロールパンおよびロールパン(a)の高さ(mm)および幅(mm)をノギスを用いて測定した。また、各ロールパンにおける高さ÷幅を、「腰持ち」の指標として算出した。
その結果、コントロールのロールパンの「腰持ち」の値を100とした場合、油脂のリパーゼ処理物を用いて得られたロールパンの「腰持ち」の値は106であって、危険率5%以下でコントロールに対して有意差が認められた。なお、油脂のリパーゼ処理物の使用による風味の悪化は認められなかった。
本発明のケービング抑制剤を添加した生地を用いて焼成したパンは、表面が内側にへこむケービング(腰折れ)が有意に抑制される。従って、本発明は、パン、菓子類などの食品製造分野に利用できる。

Claims (5)

  1. 炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を含有する組成物からなることを特徴とするケービング抑制剤。
  2. 前記組成物が、油脂のリパーゼ処理物を含有する、請求項1記載のケービング抑制剤。
  3. 炭素数14〜18の直鎖脂肪酸の含有量が穀物粉100重量部に対して0.05〜1重量部となるように、炭素数14〜18の直鎖脂肪酸を含有する組成物を穀物粉生地に添加することを特徴とする食品のケービング抑制方法。
  4. 前記組成物が、油脂のリパーゼ処理物を含有する、請求項記載の方法。
  5. 請求項1または2記載のケービング抑制剤を含有することを特徴とするプレミックス。
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