まず、本実施例に係る各台計数システムのシステム構成について説明する。この各台計数システムは、遊技台それぞれに計数機能を有する台間機を配置し、各々の遊技席で獲得玉を計数させるものであり、とりわけ計数場所の絶対数が増加する環境の中で不正計数の検出に取り組むものである。
図1は、実施例1に係る各台計数システムのシステム構成図である。同図に示すように、この各台計数システム1には、パチンコ機10と、呼出ランプ20Aと、持ち玉表示装置20Bと、計数機能付きCRユニット30(以下、単にCRユニットと言う)と、島コントローラ40と、景品管理装置50と、景品払出機60と、価値管理装置70と、ホールコンピュータ(以下、H/Cと言う)80とが設けられている。
パチンコ機10は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技者がパチンコ遊技を行う装置であり、本実施例では、プリペイドカード対応のいわゆるCRパチンコ機であるものとしている。
呼出ランプ20Aは、パチンコ機10に付設される従業員の呼出し表示を行う表示装置である。例えば、店員を呼び出すためのボタンの他にワゴンサービス員を呼び出すためのボタンなどが設けられており、これらのボタンが押下された場合に呼出す対象の対応色でランプを点灯または点滅させる。なお、このような呼出し表示の他、パチンコ機10から収集した大当たり回数やスタート回数などの遊技台データを併せて表示するものも存在する。
持ち玉表示装置20Bは、パチンコ機10に付設される持ち玉表示用の表示装置である。具体的には、ペアとして組み合わされるパチンコ機10に関する持ち玉を表示することを基本とし、CRユニット30から通知される持ち玉数を表示したり、また、本日の最高持ち玉数や過去最高持ち玉数などを表示したりする。
CRユニット30は、遊技店内の各パチンコ機10に併設されるカード処理ユニットであり、本実施例では、パチンコ機10の下皿から投入されるパチンコ玉を計数する計数機能をさらに有する。具体的には、自装置が接続されたパチンコ機10で遊技者が獲得したパチンコ玉を計数した上でその計数値を持ち玉としてプリペイドカードに関連付け、持ち玉を関連付けたプリペイドカードを発行する。なお、CRユニット30は、従来と同様、プリペイドカードに価値付けられたプリペイド残額を用いた玉貸しも行う。従って、1枚のプリペイドカードには、持ち玉とプリペイド残額の2つの遊技価値情報が関連付けられる。
島コントローラ40は、周囲を通路に囲まれたスペース(遊技島)に設けられた一群のパチンコ機10及びCRユニット30を束ねる中継装置である。
景品管理装置50は、遊技店内の景品交換カウンタに配設された景品交換用の端末装置であり、交換玉数管理テーブルを用いて持ち玉と景品との交換を管理する。この交換玉数管理テーブルは、景品ごとにその景品との交換に要する交換玉数を対応付けて記憶している。そして、景品交換カウンタ内の従業員が、CRユニット30により発行されたプリペイドカードを遊技客から受け取ると、このプリペイドカードのカードリーダへの読取操作を通じて持ち玉を取得するとともに、遊技客により指定された景品に対応する交換ボタンを押下し、当該景品に相当する交換玉数を持ち玉数から減算する交換制御を実行させ、その後に従業員による手作業で遊技客に受け渡す。また、遊技客が特殊景品への交換を希望する場合には、従業員はこの景品管理装置50に設けられた特殊景品交換ボタンを押下し、交換玉数管理テーブルを参照して持ち玉数に応じた特殊景品の払い出しを景品払出機60に指示する。
価値管理装置70は、価値管理テーブルを用いて、プリペイドカードに関連付けられたプリペイド残額および持ち玉などの遊技価値を管理する装置である。この価値管理テーブルは、プリペイドカードの識別情報(以下、プリペイドカードIDと言う)、プリペイド残額及び持ち玉数を対応付けて記憶している。
例えば、CRユニット30からプリペイド残額の加算依頼(価値付け依頼)を受け付けた場合には、当該加算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応するプリペイド残額に挿入紙幣金額などの価値付け依頼金額を加算更新し、また、プリペイド残額の減算依頼を受け付けた場合には、当該減算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応するプリペイド残額から玉貸しの貸出単位金額等の減算依頼金額を減算更新する。
また、CRユニット30から持ち玉の加算依頼を受け付けた場合には、当該加算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応する持ち玉数に計数値などの加算依頼玉数を加算更新し、また、CRユニット30又は景品管理装置50から持ち玉の減算依頼(持ち玉返却依頼)を受け付けた場合には、当該減算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応する持ち玉数から持ち玉返却の単位玉数もしくは交換対価等の減算依頼玉数を減算更新する。
H/C80は、図示しない遊技台データ管理テーブルを用いて、遊技店における遊技台データを収集・管理する管理装置である。この遊技台データ管理テーブルは、台番号ごとに該台番号の機種名、アウト数、セーフ数及び売上金額などの遊技台データを対応付けて記憶している。そして、パチンコ機10からCRユニット30を経由して収集した各種パルス信号(例えば、セーフ信号、アウト信号及び売上信号など)を解釈して遊技台データ管理テーブル内のセーフ数、アウト数又は売上金額を加算更新する。なお、セーフ数とは、遊技台から賞玉として投出されたパチンコ玉の数量を指し、アウト数とは、遊技台に打ち込まれたパチンコ玉の数量を指し、また、売上金額とは、遊技台で貸し玉の対価として得られた金額を指す。
ここで、本実施例では、複数のパチンコ機10で同一のプリペイドカードを使用する台移動が行われる場合に、判定式に組み込まれる誤差を逆手に取った不正を防止する仕組みにその特徴がある。
すなわち、本実施例に係るCRユニット30は、パチンコ機10またはCRユニット30から払い出されるパチンコ玉の総量と、パチンコ機10に打ち込まれたり景品交換カウンタや台移動により持ち出されるパチンコ玉の総量とが一致するという規則に基づき不正を検出することを原則とする点は上記の従来技術と共通する。
その一方で、本実施例に係るCRユニット30では、計数値Cのうちセーフ玉数S、貸し玉数R及びアウト玉数Oをもとに理論上獲得されたものと推定される推定出玉数を超過する推定出玉の超過分については誤差玉数α以内であっても台移動の移動先にプリペイドカードを通じて持ち越させる点が大きく異なる。
そして、CRユニット30では、台移動ごとに推定出玉を超過した超過玉数を累積加算してその累積超過玉数βと誤差玉数αとを比較判定することにより、各々の遊技台で超過玉数が誤差玉数αを上回るのか否かを局所的に判定するのではなく、遊技を行った全遊技台で超過玉数が誤差玉数αを上回るか否かを大局的に判定することとした。
これを図2を用いて具体的に説明する。この図2に示す例では、拾い玉などの推定出玉に組み込まれていない要素を誤差として取り込むための誤差玉数αを250個と定めた時に台移動を伴う場合の持ち玉遷移の一態様を示している。
図2の(A)に示すように、上記の従来技術の場合には、アウト玉数Oと計数玉数Cの合計からセーフ玉数Sと貸し玉数Rの合計を減算し、その減算結果が予め設定した誤差玉数αを超えるか否か、すなわちO+C−(S+R)<αという不等式を満たすか否かを各々のCRユニット30で判定する。
このため、推定出玉数(=セーフ玉数S+貸し玉数R−アウト玉数)を超過する計数値Cの超過玉数が誤差玉数250個を上回らない限りは不正計数とは判定しないので、台移動の度に最大250個の不正計数を見逃すことになる結果、たとえば図示の例では、100番台、107番台、105番台の各パチンコ機10で190個、221個、203個の偽造または他店のパチンコ玉を計数させる計数ゴトを看過してしまう。
一方、図2の(B)に示すように、本実施例の場合には、計数値Cのうち推定出玉数を超過する超過玉数については、100番台の190個及び107番台の221個を累積加算し、該累積加算した累積超過玉数411個を誤差玉数250個と比較するので、各々の遊技台で超過玉数を誤差玉数250個以内に抑えたとしても、100番台及び107番台の遊技台のトータルで誤差玉数250個を上回る411個もの超過玉数が生じていることを検出することができ、誤差玉数250個を超えた時点で計数ゴトへの対応措置を取ることができる。
このように、本実施例では、プリペイドカードを介さない現物による台移動や拾い玉の使用を認めながらも、台移動の度に誤差玉数α以内の推定出玉の超過玉数を継続して計数させる不正計数を検出することができ、計数ゴトを洩れなく防止することが可能になる。
続いて、本実施例に係る各台計数システムの要部となるCRユニットの構成を説明する。なお、ここでは、CRユニットの外観構成について説明してから内部構成を説明することとする。
図3は、実施例1に係るCRユニットの外観を示した正面図である。なお、この図3には、CRユニット30が併設されたパチンコ機10を破線で示している。
図3に示すように、CRユニット30は、係員の呼び出し時などに点灯する状態表示部301と、玉貸しのための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部302と、持ち玉の返却(払戻し)要求を受け付ける持玉返却ボタン303と、液晶パネルやディスプレイなどの表示デバイス上で操作入力を受け付けることができる表示可能かつ入力可能なタッチパネル304と、持ち玉を払い出すノズルを備えた持ち玉払出部33bと、プリペイドカード等のカード類の受付/返却を行うカード挿入部305と、獲得玉を計数する計数部33aと、獲得玉を貯留する玉貯留部306とを有する。なお、持ち玉返却ボタン303は、必ずしもCRユニット30に設けられる必要はなく、パチンコ機10や玉貯留部306等の他の箇所に設置することとしてもかまわない。
また、パチンコ機10には、パチンコ遊技に使用するパチンコ玉を貯留する上皿110と、上皿110の許容容量を超えて溢れたパチンコ玉を貯留する下皿120とが設けられており、この上皿110には、プリペイドカードの残度数等を表示する7SEG表示部111と、玉貸し要求を受け付ける玉貸しボタン112と、プリペイドカードの返却要求を受け付ける返却ボタン113とがさらに設けられている。なお、本実施例では、玉貸しボタン112及び返却ボタン113をパチンコ機10に設けることとしたが、必ずしもパチンコ機10側に設ける必要はなく、CRユニット30に設けることとしてもよい。
パチンコ玉を借り受ける際には、遊技客がパチンコ機10側の玉貸しボタン112を押下操作すると、玉貸し操作信号がCRユニット30に転送されてCRユニット30側で玉貸し操作が受け付けられる。このとき、プリペイド残額が存在する場合には、CRユニット30からパチンコ機10に玉投出指示が行われて貸し玉が上皿110に投出されることになる。
また、持ち玉が計数される際には、パチンコ機10の下皿120から獲得玉を玉貯留部306に投入すると、その投入玉が計数部33aに誘導されて獲得玉の数量が計数される。そして、遊技者が持玉返却ボタン303を押下すると、後述する記憶部37によって持ち玉37bとして記憶管理されている玉数の範囲内であれば、持ち玉が持ち玉払出部33b経由でパチンコ機10の上皿110に投出される。
図4は、実施例1に係るCRユニットの内部構成を示す機能ブロック図である。なお、実際のCRユニット30では、図示した機能部以外の機能部(例えば、ビルバリユニットなど)を有するが、図4では、実施例1に係るCRユニット30の特徴を説明するために必要な構成要素のみを抜粋している。
図4に示すように、このCRユニット30は、操作部31と、表示部32と、計数部33aと、持ち玉払出し部33bと、カード処理部34と、パルス受信部35aと、パルス送信部35bと、遊技機用通信I/F部36aと、通信I/F部36bと、記憶部37と、制御部38とを有する。
操作部31は、図3に示した持玉返却ボタン303やタッチパネル304などの各種ボタン群の総称であり、表示部32は、図3に示した状態表示部301やタッチパネル304などの総称である。
計数部33aは、ペアとなるパチンコ機10の下皿120から投入された獲得玉を計数する処理部であり、図示しない持ち玉を計数する計数センサを内在する。具体的には、この計数センサが玉貯留部306から導入した獲得玉の通過経路の近傍に設けられており、この通過経路に赤外線等の発光及びその反射光の受光を併せて行うことで獲得玉の通過を検知し、これらの通過数をカウントアップすることにより計数する。
持ち玉払出し部33bは、持ち玉の投出制御を行う処理部である。具体的には、持玉返却ボタン303の押下操作に応答して記憶部37内の持ち玉37bが制御部38によって減算されるとともに制御部38から減算玉数を含む玉払出し指示が行われるので、この玉払出し指示に含まれる玉数分のパチンコ玉をノズルを介してパチンコ機10の上皿110に投出する。
カード処理部34は、カード挿入部305から挿入された各種カードを取り扱う処理部である。具体的には、プリペイドカードや会員カードなどの各種カードに記録された情報を読み込んだり、また、これらのカードに情報を書き込んだりする。
パルス受信部35aは、パチンコ機10から出力される各種パルス信号を受信する処理部である。具体的には、各パルス信号として受信した特賞パルス、セーフパルス、アウトパルス又はスタートパルスをそのままパルス送信部35bに受け渡すとともに、セーフパルス及びアウトパルスを受信した場合にはセーフパルスまたはアウトパルス信号を受信した旨を後述するパラメータ更新部38aに通知する。
パルス送信部35bは、パルス受信部35aから受け取った各種パルス信号をH/C80に送信する処理部である。また、パルス送信部35bは、CRユニット30が送信元となる種別のパルス、たとえば売上パルス、計数パルスや持ち玉返却パルスについては後述するパラメータ更新部38aからの指示に基づき送信する。
このように、CRユニット30を経由してH/C80に遊技台データを通知する構成は既存のものとして存在するので、本実施例では、かかる構成を流用して、不正計数を検出するための各種のパラメータ(例えば、セーフ玉数やアウト玉数など)をH/C80に依存することなく取得することとした。
遊技機用通信I/F部36aは、当該CRユニット30に併設されるパチンコ機10との間で各種通信(例えば、玉貸し要求や玉投出指示など)を行うためのインターフェースである。
通信I/F部36bは、島コントローラ40、景品管理装置50、価値管理装置70及びH/C80などの他の装置の間で各種通信を行うためのインターフェースである。
記憶部37は、制御部38による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、たとえば不正計数を検出するための各種パラメータ(以下、不正検出パラメータと言う)37aと、プリペイドカードの使用者である遊技客が現時点で保有する持ち玉37bとを併せて記憶する。
この不正検出パラメータ37aは、セーフ玉数S、貸し玉数R、アウト玉数O及び残存計数値Cを含んで構成されるデータであり、後述するパラメータ更新部38aによって更新される。なお、残存計数値Cは、当該CRユニット30の計数部33aで計数された計数値の中で持ち玉返却されずに残存する計数値を指し、意味合いとして持ち玉と類似するものの、残存計数値Cは、自装置だけに完結した計数値であり、持ち玉のように他のCRユニット30の計数値が混在しない点が異なる。
制御部38は、CRユニット30を全体制御する制御部であり、プリペイド残額や持ち玉を更新する機能部を基本機能として有する他、本実施例に特有な機能部として、パラメータ更新部38aと、不正判定部38bと、超過玉数累積加算部38cと、持ち玉関連付け部38dとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、パラメータ更新部38a、不正判定部38b、超過玉数累積加算部38c及び持ち玉関連付け部38dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
パラメータ更新部38aは、不正検出パラメータを更新する処理部である。具体的には、CRユニット30にスタックしている残額なし及び持ち玉なしのプリペイドカードにプリペイド残額が新たに価値付けられた場合或いはプリペイドカードに関連付ける対象となる持ち玉が発生した場合または残高もしくは持ち玉ありのプリペイドカードをCRユニット30に受け入れた場合に、記憶部37からロードされて起動し、起動後には、払出し、打込み、玉貸し、計数、持ち玉返却などのイベントに応答して、そのイベントに対応する不正検出パラメータを更新する。
パラメータ更新部38aは、パルス受信部35aからセーフパルスまたはアウトパルスを受け取った場合には、パチンコ機10との間であらかじめ定められた規定、たとえば1パルスにつき10個の払出しまたは10個の打込みを表すなどの規定に従ってセーフ玉数またはアウト玉数を解釈し、該解釈したセーフ玉数またはアウト玉数を記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれるセーフ玉数Sまたはアウト玉数Oに加算更新する。
パラメータ更新部38aは、制御部38と価値管理装置70との間でプリペイド残額が減算更新された場合には、その減算金額に相当する玉数を貸し玉数として記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれる貸し玉数Rに加算更新する。なお、かかる減算時には、価値管理装置70等の上位装置との間で予め設定された貸出単位金額がプリペイド残額から減算されるものとし、この貸出単位金額分に対応する回数のパルスを送信するようにパルス送信部35bに指示する。
パラメータ更新部38aは、計数部33aによってパチンコ機10の下皿120から投入された獲得玉が計数された場合には、記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれる残存計数値Cにその計数値を加算更新する。なお、かかる計数時には、その計数値に対応する回数のパルスを送信するようにパルス送信部35bに指示する。また、制御部38によって記憶部37内の持ち玉37bにも計数値が加算更新されることは言うまでもない。
パラメータ更新部38aは、持ち玉払出し部33bによって持ち玉が返却された場合には、記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれる残存計数値Cからその返却玉数を減算更新する。なお、かかる持ち玉返却時には、価値管理装置70等の上位装置との間で予め設定された返却単位玉数が減算されるものとし、その返却玉数に対応する回数のパルスを送信するようにパルス送信部35bに指示する。また、制御部38によって記憶部37内の持ち玉37bからも返却玉数が減算更新されることは言うまでもない。
なお、本実施例では、プリペイド残額については、CRユニット30および価値管理装置70の間で常に同期を取りつつ最新の残度数を両者によって管理する一方で、持ち玉については、プリペイドカードの返却が行われるまではCRユニット30内でローカルに管理し、プリペイドカードの返却時に持ち玉をプリペイドカードIDに対応付けて価値管理装置70に通知することとしている。
不正判定部38bは、CRユニット30で不正計数が行われているか否かを判定する処理部である。具体的には、遊技客がパチンコ機10側の返却ボタン113が押下操作するとカード返却要求がCRユニット30に転送されるので、これを契機に記憶部37に記憶された不正検出パラメータS、R、O及びCを読み出すとともに、関連付け対象とされたプリペイドカードに関連付けられた累積超過玉数βを取得し、この累積超過玉数βに計数値Cの推定出玉数超過分である超過玉数を累積加算する超過玉数累積加算部38cと協働して累積超過玉数βを用いた不正判定を行う。
この不正判定について具体的に説明すると、不正判定部38bは、セーフ玉数S、貸し玉数R及びアウト玉数Oから推定される推定出玉数(S+R−O)を計数値Cから差し引き、その算出結果が誤差玉数α以下であるか否か、すなわちC−(S+R−O)≦αであるか否かを判定し、この時、C−(S+R−O)>αである場合には、偽造または他店のパチンコ玉を計数させるなどの不正計数が行われたおそれがあると判定し、不正計数を遊技店の店員に把握させるべく、呼出ランプ20Aに不正報知を要請する。なお、この要請を受け付けた呼出ランプ20Aでは、不正計数を表す表示態様もしくはこれに代用して台異常を表す表示態様でランプを点灯または点滅させる。
そして、不正判定部38bは、計数値Cから推定出玉数(S+R−O)を差し引いた値が誤差玉数α以下である場合でも、計数値Cが推定出玉数(S+R−O)を超えるか否か、すなわちC>(S+R−O)であるか否かをさらに判定し、その結果、計数値Cが推定出玉数(S+R−O)を超える場合には、超過玉数累積加算部38cは、計数値Cのうち推定出玉数を超過した超過玉数C−(S+R−O)を先に取得しておいた累積超過玉数βに累積加算する。
ここで、計数値と推定出玉数の比較判定を行うのは、現在遊技している台で不正計数が行われた余地があるかどうかを判定し、不正計数の余地がある場合、すなわち正の値が発生する場合だけに累積超過玉数βへの累積加算を行うためであるが、計数値Cが推定出玉数を超過するか否かとは無関係に計数値Cから推定出玉数を差し引いた差分値(負の値)を累積加算することもできる。このような累積加算を行った場合には、累積差分値が負になることも起こりうるが、その場合には、落とし玉等の欠損玉が原因で本来得られるはずの推定出玉数よりも計数値Cが少なくなったケースと推定することができるので、累積欠損玉数分の玉を景品交換時に電子的に加算補充する交換制御を行うこともできる。なお、ここで言う「差分値」は、特許請求の範囲に記載の「差分遊技媒体数」に相当し、その値が正の場合に超過玉と言い、負の場合に欠損玉と言うこととする。
続いて、不正判定部38bは、超過玉数累積加算部38cによって累積加算された累積超過玉数βが誤差玉数α以下であるか否か、すなわちβ≦αであるか否かを判定し、その結果、累積超過玉数βが誤差玉数αよりも大きい場合には、台移動の度に誤差玉数α以内の推定出玉の超過玉数を継続して計数させる不正が行われているおそれがあると判定し、不正計数を遊技店の店員に把握させるべく、呼出ランプ20Aに不正報知を要請する。なお、この場合には、計数値Cから推定出玉数(S+R−O)を減算した減算値が誤差玉数αを上回るケースよりも知能犯が行っており、また、余罪を犯している可能性も高いので、より強い報知を行うこととしてもよい。
持ち玉関連付け部38dは、関連付け対象のプリペイドカードに持ち玉を関連付ける処理部である。具体的には、不正判定部38bによって不正計数が行われていないと判定された場合、すなわち計数値Cが推定出玉数(S+R−O)以下である場合、或いは累積超過玉数βが誤差玉数α以下である場合に、関連付け対象のカードIDに記憶部37に記憶された持ち玉37b、そして累積超過玉数βを紐付けた持ち玉関連付け依頼を価値管理装置70に行い、当該カードIDに紐付けて持ち玉および累積超過玉数βを価値管理装置70に記憶管理させる。
なお、本実施例では、価値管理装置70でカードIDに紐付けて持ち玉を記憶管理させることとしたが、プリペイドカードそのものに持ち玉数や累積超過玉数βを書き込んで記録させることとしてもよい。
次に、本実施例に係る各台計数システムの処理の流れについて説明する。なお、ここでは、(1)パラメータ更新処理について説明してから(2)不正判定処理について説明することとする。
(1)パラメータ更新処理
図5は、実施例1に係るパラメータ更新処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、CRユニット30にスタックしている残額なし及び持ち玉なしのプリペイドカードにプリペイド残額が新たに価値付けられた場合或いはプリペイドカードに関連付ける対象となる持ち玉が発生した場合、または、残高もしくは持ち玉ありのプリペイドカードをCRユニット30に受け入れた場合などのように、CRユニット30でプリペイド残額または持ち玉が発生した場合に行われる処理である。
図5に示すように、プリペイド残額または持ち玉が発生すると(ステップS101肯定)、CRユニット30の制御部38は、パラメータ更新部38aを記憶部37からロードして起動する(ステップS102)。
このパラメータ更新部38a起動後に、パチンコ機10と有線接続されるパルス受信部35aからセーフパルスまたはアウトパルスを受け取った場合(ステップS103肯定)には、パラメータ更新部38aは、パチンコ機10との間であらかじめ定められた規定、たとえば1パルスにつき10個の払出しまたは10個の打込みを表すなどの規定に従ってセーフ玉数またはアウト玉数を解釈し、該解釈したセーフ玉数またはアウト玉数を記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれるセーフ玉数Sまたはアウト玉数Oに加算更新する(ステップS104)。
また、制御部38と価値管理装置70との間でプリペイド残額が減算更新された場合(ステップS105肯定)には、パラメータ更新部38aは、その減算金額に相当する玉数を貸し玉数として記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれる貸し玉数Rに加算更新する(ステップS106)。
また、計数部33aによってパチンコ機10の下皿120から投入された獲得玉が計数された場合(ステップS107肯定)には、パラメータ更新部38aは、記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれる残存計数値Cにその計数値を加算更新する(ステップS108)。
また、持ち玉払出し部33bによって持ち玉が返却された場合(ステップS109肯定)には、パラメータ更新部38aは、記憶部37内の不正検出パラメータ37aに含まれる残存計数値Cからその返却玉数を減算更新する(ステップS110)。
そして、パチンコ機10側の返却ボタン113を介してプリペイドカードの返却要求を受け付けるまでは(ステップS111否定)、パラメータ更新部38aは、上記のステップS103〜ステップS110までの処理を繰り返し行い、カード返却要求を受け付けると(ステップS111肯定)、処理を終了する。
このように、プリペイド残額または持ち玉の発生を契機に記憶部37内の不正検出パラメータの更新を開始することで、一定の精度をもって遊技客個人の遊技開始から不正検出パラメータを更新することができ、さらに、パチンコ機10で発生するアウトまたはセーフ、CRユニット30で発生する貸出し、計数または持ち玉返却などのイベントに応答して、記憶部37内の不正検出パラメータを蓄積して取得することで、不正検出パラメータ37aを正確に更新することが可能になる。
(2)不正判定処理
次に、本実施例に係る不正判定処理について説明する。図6は、実施例1に係る不正判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、遊技客がパチンコ機10で返却ボタン113が押下操作されてカード返却要求がパチンコ機10からCRユニット30に転送された場合に開始される。
図6に示すように、不正判定部38bは、記憶部37に記憶された不正検出パラメータS、R、O及びCを読み出すとともに(ステップS201)、関連付け対象とされたプリペイドカードに関連付けられた累積超過玉数βを取得する(ステップS202)。
続いて、不正判定部38bは、セーフ玉数S、貸し玉数R及びアウト玉数Oから推定される推定出玉数(S+R−O)を残存計数値Cから差し引き、その算出結果が誤差玉数α以下であるか否か、すなわちC−(S+R−O)≦αであるか否かを判定する(ステップS203)。
このとき、残存計数値Cから推定出玉数(S+R−O)を差し引いた値が誤差玉数αよりも大きい場合、すなわちC−(S+R−O)>αである場合(ステップS203否定)には、不正判定部38bは、偽造または他店のパチンコ玉を計数させるなどの不正計数が行われたおそれがあると判定し(ステップS204)、不正計数を遊技店の店員に把握させるべく、呼出ランプ20Aに不正報知を要請し(ステップS205)、処理を終了する。
一方、残存計数値Cから推定出玉数(S+R−O)を差し引いた値が誤差玉数α以下である場合(ステップS203肯定)には、不正判定部38bは、残存計数値Cが推定出玉数(S+R−O)を超えるか否か、すなわちC>(S+R−O)であるか否かをさらに判定する(ステップS206)。
このとき、残存計数値Cが推定出玉数(S+R−O)を超える場合(ステップS206肯定)には、超過玉数累積加算部38cは、残存計数値Cのうち推定出玉数を超過した超過玉数C−(S+R−O)を先に取得しておいた累積超過玉数βに累積加算する(ステップS207)。なお、残存計数値Cが推定出玉数(S+R−O)以下である場合(ステップS206否定)には、不正計数が行われる余地がないのでそのまま持ち玉関連付け(ステップS209)に移行する。
ここで、不正判定部38bは、超過玉数累積加算部38cによって累積加算された累積超過玉数βが誤差玉数α以下であるか否か、すなわちβ≦αであるか否かを判定し(ステップS208)、その結果、累積超過玉数βが誤差玉数αよりも大きい場合(ステップS208否定)には、台移動の度に誤差玉数α以内の推定出玉の超過玉数を継続して計数させる不正が行われているおそれがあると判定し(ステップS204)、不正計数を遊技店の店員に把握させるべく、呼出ランプ20Aに不正報知を要請し(ステップS205)、処理を終了する。
また、累積超過玉数βが誤差玉数α以下である場合(ステップS208肯定)には、持ち玉関連付け部38dは、関連付け対象のカードIDに記憶部37に記憶された持ち玉37b、そして累積超過玉数βを紐付けた持ち玉関連付け依頼を価値管理装置70に行い(ステップS209)、当該カードIDに紐付けて持ち玉および累積超過玉数βを価値管理装置70に記憶管理させてから、プリペイドカードを返却するとともに(ステップS210)記憶部37に記憶された不正検出パラメータ37aをリセットし(ステップS211)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例では、セーフ玉数S、アウト玉数O、貸し玉数Rを取得し、計数値Cのうちセーフ玉数Sと貸し玉数Rとの合計からアウト玉数Oを減算した推定出玉数を超える超過玉数を、プリペイドカードに既に累積加算して関連付けられている累積超過玉数βに累積加算し、累積加算した累積超過玉数βをプリペイドカードに関連付ける一方で、累積加算した累積超過玉数βが誤差玉数αを超えるか否かを判定するようにCRユニット30を構成したので、プリペイドカードを介さない現物による台移動や拾い玉の使用を認めながらも、台移動の度に誤差玉数α以内の推定出玉の超過玉数を継続して計数させる不正計数を検出することができ、計数ゴトを洩れなく防止することが可能である。
また、本実施例では、誤差玉数αを超えると判定した場合に、呼出ランプ20Aをはじめとした音声出力可能または表示出力可能な装置に、不正計数が行われているおそれがある旨を報知させるようにCRユニット30を構成したので、不正計数が行われている事実を遊技店の店員や管理者等の関係者に周知させることができ、計数ゴトを行う遊技客に対して対応措置を取ることが可能になる。
さらに、本実施例では、誤差玉数αを超えると判定した場合に、プリペイドカードの発行を禁止するようにCRユニット30を構成したので、不正計数で得られた持ち玉が関連付けられたプリペイドカードが持ち去られることを防止するとともに、そのプリペイドカードを用いた交換制御を予防することができ、遊技店が計数ゴトに起因する損失を被ることを防止することが可能になる。
また、上記の実施例1では、カード返却時に不正判定処理を行う場合について説明したが、必ずしもカード返却時に限定して行う必要はなく、パラメータ更新部38aによって不正検出パラメータ37aの更新が行われていれば、たとえばパラメータ更新部38aを起動してから所定の周期で不正判定処理を行ったり、計数部33aによって獲得玉が計数された時に不正判定処理を行ったりというように任意のタイミングで不正判定処理を行うことができる。
なお、上記の実施例1では、不正判定処理において計数値Cから推定出玉数(S+R−O)を差し引いた値が誤差玉数αよりも大きいか否かを判定するという従来の不正判定を組んだ場合について説明したが、必ずしも従来の不正判定を含んで行う必要はなく、本実施例特有の不正判定、すなわち累積超過玉数βが誤差玉数α以下であるか否かを判定する不正判定だけを行うようにしてもかまわない。
また、上記の実施例1では、計数値Cが推定出玉数を超過する超過玉数をプリペイドカードに関連付けるに際して、プリペイドカードに既に累積加算して関連付けられている累積超過玉数βに当該超過玉数を累積加算してしたものを関連付けることとしたが、各CRユニット30で算出された超過玉数それぞれを個別に関連付けるようにしてもかまわない。
さらに、上記の実施例1では、不正判定処理をCRユニット30で行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、持ち玉の流れから言えばCRユニット30よりも下流に位置付けされる景品管理装置50においてプリペイドカードに関連付けられた累積超過玉数βと予め定められた誤差玉数αを比較判定させた場合でも、不正計数な持ち玉が関連付けられたプリペイドカードが持ち込まれたことを報知したり、不正計数で得られた持ち玉の交換制御を禁止することができ、実施例1と同様に、計数ゴトを洩れなく防止することが可能である。
また、上記の実施例1では、パラメータ更新部38aによって不正検出パラメータとして更新させる残存計数値Cを不正判定に用いることとしたが、カード受入時にその時点でプリペイドカードに関連付けられている受入時の持ち玉数と、以降に更新されていく現在の持ち玉数とを区別して記憶管理しておき、これらの絶対値の大きい方から小さい方を減算すれば残存計数値Cと略同一の値を得ることができるので、その減算値を用いて不正判定を行うようにしてもかまわない。
なお、上記の実施例1では、呼出ランプ20Aに不正計数を報知させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、CRユニット30の表示部32、価値管理装置70が有する音声出力部または表示部に不正報知させたり、さらには、従業員が所持するインカムに不正報知させたりすることもできる。
また、上記の実施例1では、予め定められた一定値を誤差玉数αとして用いる場合について説明したが、必ずしも誤差玉数αが静的な値である必要はなく、たとえば台移動する回数が多くなるにつれて拾い玉の個数が多くなることも考えられるので、カード返却操作を受け付ける度に台移動回数を加算更新してプリペイドカードに関連付けておき、不正判定時には、プリペイドカードに関連付けられた台移動回数に応じて誤差玉数αを動的に変更するようにしてもかまわない。つまり、1回の計数時の誤差は、αとして判定するが、累積誤差の判定にはα´(>α)とするようにしてもよい。
なお、上記の実施例1では、CRユニット30がパチンコ機10からセーフ玉数S、アウト玉数Oなどの不正検出パラメータを直接取得することとしたが、各パチンコ機10からH/C80に収集されたものをCRユニット30が呼び出すように構成することで、不正検出の仕組みをH/C80を含んだシステムとして構築するようにしてもかまわない。
また、本発明では、CRユニット30によってプリペイドカードに関連付けられた各台での超過玉数もしくは累積超過玉数βを景品管理装置50に設けられた表示部等で表示させることもできる。
すなわち、遊技客の中には、1度目の来店では不正せずともそれを様子見に以降に不正を働こうとする者もいるが、各台での超過玉数もしくは累積超過玉数βを遊技客を対象にした表示部に表示させることにより、精緻な不正検出を行っていることを印象付けることができる結果、不正を行う意欲を削ぐことができ、計数ゴトの抑止効果を得ることができる。
さて、上記の実施例1では、累積超過玉数βが誤差玉数α以下であるか否かを不正判定する場合について説明したが、かかる不正判定に依らずとも計数ゴトを防止することができる。そこで、実施例2では、カード返却(発行)時に遊技店の店員の操作を介在させることによって店員が不正検出を行っている事実を遊技客に印象付け、もって計数ゴトの抑止効果を得る場合について説明する。
このように、カード返却時に遊技店の店員の操作を介在させる場合には、計数ゴトの抑止効果を得ることができる反面で、遊技客がプリペイドカードの返却を受ける度に呼出ランプ20Aを通じて店員を呼び出し、持ち玉のチェックを受けなければならず、台移動や景品交換を行う遊技客にとっては呼出しの労力やその待ち時間などが煩わしく、また、店員にとっても呼出し回数が増大し、さらには、チェックの労力もかかることになり、計数ゴトの抑止効果のために必要な対価としては大きすぎるという問題がある。
そこで、本実施例に係る各台計数システム3では、プリペイドカードの返却操作が遊技店の店員になされた操作または遊技客になされた操作であるのかを判別し、店員になされた操作であると判別した場合にだけ、店員による持ち玉の確認がなされた旨を示す確認済み情報をプリペイドカードに関連付けることとした。
これを図7を用いて具体的に説明すると、同図に示すように、CRユニット90上に設置されたタッチパネル304には、台移動を行う場合と景品交換を行う場合とで区別したカード返却ボタンを表示させておき、タッチパネル304上で台移動用のカード返却ボタンが押下された場合には、記憶部内に記憶した持ち玉だけをプリペイドカードに関連付けてカード返却させる一方で、タッチパネル304上で景品交換用のカード返却ボタンが押下された場合には、店員が所持する携帯端末であるリモコン100を介して持ち玉確認操作を受け付けることを要件として、記憶部内に記憶した持ち玉とともに店員確認済み情報をプリペイドカードに関連付けてカード返却させる。
すなわち、台移動用のカード返却ボタンが押下された場合には、店員操作を介することなくそのままカード返却させることで、台移動だけが許可されるプリペイドカードが発行されることになり、一方、景品交換用のカード返却ボタンが押下された場合には、リモコン100を介して持ち玉確認操作を行わせ、景品管理装置300で交換制御が許可される店員確認済み情報が関連付けられたプリペイドカードが返却させることで、台移動と景品交換の両方が許可されるプリペイドカードが発行されることになる。
したがって、本実施例では、景品交換を行わずに台移動を行う限りは、店員を呼び出す必要がなくなる一方で、最終的に景品交換を行う場合には、少なくとも1度はカード返却時に持ち玉を店員に確認させることができ、遊技客及び店員の呼出しに関する時間や労力の手間を最小化しつつ、計数ゴトの抑止効果を得ることが可能になる。
次に、本実施例に係る各台計数システムを構成する各装置、すなわちCRユニット90、価値管理装置200及び景品管理装置300の構成について説明する。なお、以下では、上記の実施例1に係る各台計数システム1と対比しながら説明を進めることとし、同様の機能を発揮するものについては実施例1と同一の符号を付してその説明を省略する。
図8は、実施例2に係るCRユニットの内部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、CRユニット90は、図4に示したCRユニット30に比較して、店員が所持するリモコン100の間で赤外線等を介して通信するリモコン受光部91をさらに有する点が異なる。
また、CRユニット90は、プリペイドカードの受入時点で保有されているスタート持ち玉92aと、プリペイドカードの使用者である遊技客が現時点で保有する現在持ち玉92bとを記憶部92内に記憶する点、さらには、操作主体判別部93aと、対表示装置連携部93bと、フラグ更新依頼部93cと、持ち玉関連付け部93dとを制御部93内に内在する点が異なる。
操作主体判別部93aは、カード返却操作が店員または遊技客のいずれによってなされた操作であるのかを判別する処理部である。具体的には、CRユニット90のタッチパネル304上に表示された台移動用のカード返却ボタンを受け付けた場合には、遊技客によるカード返却操作であると判別し、CRユニット90のタッチパネル304上に表示された景品交換用のカード返却ボタンを受け付けた場合であっても、リモコン受光部91を介して店員コードを受け付けない限りは、遊技客によるカード返却操作であると判別し、リモコン受光部91を介して店員コードを受け付けた場合に初めて店員によるカード返却操作であると判別する。
対表示装置連携部93bは、呼出ランプ20A等の他の表示装置と連携する処理部である。具体的には、リモコン100上で各種持ち玉の閲覧操作がなされると、その閲覧要求がリモコン受光部91を介して対表示装置連携部93bに転送されるので、この閲覧要求に基づき、記憶部92に記憶されたスタート持ち玉92a、現在持ち玉92b、さらには、これらスタート持ち玉92aと現在持ち玉92bの差分値である当該CRユニット90での獲得玉数を表示させる(図14参照)。
フラグ更新依頼部93cは、プリペイドカードに関連付けられている店員チェックフラグの更新依頼を価値管理装置200に行う処理部である。具体的には、操作主体判別部93aによって店員によるカード返却操作であると判別された場合に、店員チェックフラグをON状態に更新するように価値管理装置200に依頼する。なお、この更新依頼時には、リモコン受光部91を介して受け付けた店員コードも価値管理装置200に通知する。
持ち玉関連付け部93dは、記憶部92に記憶された現在持ち玉92bをプリペイドカードに関連付ける処理部である。具体的には、関連付け対象のカードIDに記憶部92に記憶された現在持ち玉92bを紐付けた持ち玉関連付け依頼を価値管理装置200に行い、当該カードIDに紐付けて現在持ち玉92bを価値管理装置200に記憶管理させる。なお、持ち玉関連付けの終了後には、発行カードのプリペイドカードID、当該CRユニット90の台番号及び現在持ち玉92b(発行計数値)とともに、カード返却時のスタート持ち玉92aと現在持ち玉92bの差分値である最終残存計数値(当台番号での獲得玉数)を利用履歴として価値管理装置200に通知する。
次に、本実施例に係る価値管理装置の構成を説明する。図9は、実施例2に係る価値管理装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この価値管理装置200は、CRユニット90及び景品管理装置300などの他の装置との通信を行うためのインターフェースである通信I/F部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。
記憶部220は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、例えば、プリペイドカードに関連付けられたプリペイド残額及び持ち玉などの遊技価値を管理する価値管理テーブル220aと、プリペイドカードに関する利用履歴を管理する利用履歴管理テーブル220bとを併せて記憶する。
価値管理テーブル220aは、図10に示すように、プリペイドカードIDごとにプリペイド残額、持ち玉、店員コード、店員チェックフラグを記憶したテーブルである。ここで、店員チェックフラグは、カード返却時に遊技店の店員が持ち玉確認を行ったか否かを表すフラグである。図10の例では、プリペイドカードID「987654」のカードだけが店員コード「abcabc」の店員によって持ち玉確認が行われたことを示している。
利用履歴管理テーブル220bは、図11に示すように、時刻、台番号、発行計数値及び最終残存計数値を含んで構成される利用履歴を記憶したテーブルである。図11に示す例では、利用履歴の一例としてプリペイドカードID「987654」の利用履歴を示しており、15時20分に25番台で1000個の最終残存計数値(獲得玉)を得て1000個の持ち玉が関連付けられ、18時40分に460番台で500個の最終残存計数値(獲得玉)を得て1500個の持ち玉が関連付けられ、さらに、20時10分に230番台で1000個の最終残存計数値(獲得玉)を得て2500個の持ち玉が関連付けられたことを示している。なお、最終残存計数値とは、1台の遊技で完結して得られた計数値であってカード返却時に持ち玉返却分を除いて最終的に残っている計数値を指す。
制御部230は、価値管理装置200を全体制御する制御部であり、価値高更新部230aと、店員情報登録部230bと、履歴収集部230cと、呼出しデータ応答部230dとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、価値高更新部230a、店員情報登録部230b、履歴収集部230c及び呼出しデータ応答部230dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
価値高更新部230aは、価値管理テーブル220aを用いて、プリペイド残額または持ち玉などの遊技価値の更新を行う処理部である。例えば、CRユニット90からプリペイド残額の加算依頼(価値付け依頼)を受け付けた場合には、当該加算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応するプリペイド残額に挿入紙幣金額などの価値付け依頼金額を加算更新し、また、プリペイド残額の減算依頼を受け付けた場合には、当該減算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応するプリペイド残額から玉貸しの貸出単位金額等の減算依頼金額を減算更新する。
また、CRユニット90から持ち玉の加算依頼を受け付けた場合には、当該加算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応する持ち玉に計数値などの加算依頼玉数を加算更新し、また、CRユニット90又は景品管理装置300から持ち玉の減算依頼(持ち玉返却依頼)を受け付けた場合には、当該減算依頼に含まれるプリペイドカードIDに対応する持ち玉から持ち玉返却の単位玉数もしくは交換対価等の減算依頼玉数を減算更新する。
店員情報登録部230bは、CRユニット90から受け付けた店員に関する情報を価値管理テーブル220aに登録する処理部である。具体的には、フラグ更新依頼部93cによってプリペイドカードIDを含む店員チェックフラグの更新依頼を受け付けた場合に、当該プリペイドカードIDに対応する店員チェックフラグをON状態に更新するとともに、同時又は前後して受け付けた店員コードを登録する。
履歴収集部230cは、プリペイドカードの利用履歴を収集して利用履歴管理テーブル220bに登録する処理部である。具体的には、持ち玉関連付け部93dによって利用履歴の登録依頼を受け付けた場合に、該登録依頼を受け付けた時刻、登録依頼に含まれる台番号、発行計数値及び最終残存計数値を当該プリペイドカードIDの利用履歴に追加登録する。
呼出しデータ応答部230dは、CRユニット90や景品管理装置300などの他装置から関連付けデータの呼出し(問合せ)に応答する処理部である。例えば、景品管理装置300からプリペイドカードIDを含む関連付けデータの問合せを受け付けた場合には、当該プリペイドカードIDに対応するプリペイド残額及び持ち玉の遊技価値と店員チェックフラグのON状態/OFF状態と店員コードとを価値管理テーブル220aから取得するとともに、当該プリペイドカードIDに対応する利用履歴を利用履歴テーブル220bから取得し、このようにして取得した関連付けデータ(上記の遊技価値、フラグのON状態/OFF状態、利用履歴などのデータ)を景品管理装置300に応答する。
次に、本実施例に係る景品管理装置の構成を説明する。図12は、実施例2に係る景品管理装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、景品管理装置300は、従業員用タッチパネル310aと、遊技客用タッチパネル310bと、通信I/F部320と、カード処理部330と、印字部340と、記憶部350と、制御部360とを有する。
従業員用タッチパネル310aは、液晶パネルやディスプレイなどの表示デバイス上で操作入力を受け付けることができる表示可能かつ入力可能な従業員用デバイスであり、例えば、プリペイドカードの受付時には、プリペイドカードの読込枚数、総獲得玉数、残数等の交換制御に関係する項目を含んだ交換画面の表示に併せて、後述する関連付けデータ取得部360aによって取得された関連付けデータ(例えば、遊技価値、フラグのON状態/OFF状態、利用履歴などのデータ)をポップアップ画面として表示する(図16参照)。
遊技客用タッチパネル310bは、液晶パネルやディスプレイなどの表示デバイス上で操作入力を受け付けることができる表示可能かつ入力可能な遊技客用デバイスであり、従業員用タッチパネル310aと同様の表示を行うことを基本とするが、両者の表示内容は必ずしも内容が同一である必要はなく、交換業務を行う従業員に表示する画面(図16参照)よりも簡易な情報を表示させるようにしてもよい。
通信I/F部320は、当該景品管理装置300と他の装置(例えば、CRユニット90、価値管理装置200及び景品払出機60などの他の装置)との間で各種通信を行うためのインターフェースである。
カード処理部330は、挿入された各種カードを取り扱う処理部である。具体的には、プリペイドカードや会員カードなどの各種カードに記録された情報を読み込んだり、また、これらのカードに情報を書き込んだりする。
印字部340は、印刷データをレシートに印字処理する印字装置であり、例えば、景品管理装置300にて交換制御が行われた内容(例えば、交換日時、従業員名、総獲得玉数、交換景品及び交換玉数などの項目)を印字して景品交換レシートとして発行したり、また、遊技店の営業終了後には、景品の入出庫管理(例えば、景品出庫による粗益管理)に係る情報を締上げ票として発行したりする。
記憶部350は、制御部360による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、交換レシート等に印字するフォーマット及びその印字内容等の情報の他、景品との交換に要する交換玉数を管理する交換玉数管理テーブル350aを記憶する。
制御部360は、景品管理装置300を全体制御する制御部であり、関連付けデータ取得部360aと、表示制御部360bと、交換制御部360cとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、関連付けデータ取得部360a、表示制御部360b及び交換制御部360cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
関連付けデータ取得部360aは、プリペイドカードに関連付けられた関連付けデータを取得する処理部である。具体的には、カード処理部330によってプリペイドカードから読み取られたプリペイドカードIDに対応する関連付けデータ(例えば、遊技価値、フラグのON状態/OFF状態、利用履歴などのデータ)を価値管理装置200に問い合わせることによって取得する。
表示制御部360bは、従業員用タッチパネル310a及び遊技客用タッチパネル310bの表示制御を行う処理部である。例えば、従業員用タッチパネル310aには、プリペイドカードの読込枚数、総獲得玉数、残数等の交換制御に関係する項目を含んだ交換画面の表示に併せて、関連付けデータ取得部360aによって取得された関連付けデータ(例えば、遊技価値、フラグのON状態/OFF状態、利用履歴などのデータ)をポップアップ画面として表示させる一方で(図16参照)、遊技客用タッチパネル310bには、交換業務を行う従業員に表示する画面よりも簡易な情報を表示させる。
交換制御部360cは、交換玉数管理テーブル350aを用いて持ち玉(獲得玉)と景品の交換制御を行う処理部である。具体的には、関連付けデータ取得部360aによって関連付けデータの1つとして取得された店員チェックフラグがOFF状態であった場合には、従業員用タッチパネル310aを介して店員の確認操作が行われるまで交換制御を許可せず、その後に店員の確認操作が行われた場合や関連付けデータ取得部360aによって取得された店員チェックフラグがON状態であった場合には、既存と同様の交換制御を実行する。
この交換制御の一例としては、持ち玉数を総獲得玉数とし、その総獲得玉の残数が最小交換可能玉数(本例では、景品に交換することができる最小の玉数を指す)未満になるまで、遊技店の店員から遊技客指定の景品に対応する交換ボタンの押下操作を受け付け、当該景品に相当する交換玉数を持ち玉数から減算する交換制御を行い、持ち玉数が最小交換可能玉数未満になった場合には、交換日時、従業員名、総獲得玉数、交換景品及び交換玉数などの項目が印字された景品交換レシートを発行するように印字部340に指示する。
次に、本実施例に係る各台計数システムの処理の流れを説明する。なお、ここでは、CRユニット90によって行われる(1)カード返却処理を説明してから、景品管理装置300によって行われる(2)交換制御許可処理を説明する。
(1)カード返却処理
図13は、実施例2に係るカード返却処理の手順を示すフローチャートである。同図に示すように、CRユニット90のタッチパネル304上に表示された台移動用のカード返却ボタンもしくは景品交換用のカード返却ボタンが押下されると(ステップS301肯定)、操作主体判別部93aは、リモコン100からリモコン受光部91を経由して店員コードが転送されるのを待機する(ステップS302)。
ここで、景品交換用のカード返却ボタンが押下された場合には、遊技店の店員は、リモコン100への操作を介して各種持ち玉の閲覧を行うことができる。例えば、図14に示すように、リモコン100上で持ち玉ボタンが1回押下されると、現在持ち玉の閲覧要求がリモコン受光部91を介して対表示装置連携部93bに転送されるので、対表示装置連携部93bによって記憶部92に記憶された現在持ち玉92bが持ち玉表示装置20Bに表示され、さらに、持ち玉ボタンがもう1回押下されると、スタート持ち玉の閲覧要求がリモコン受光部91を介して対表示装置連携部93bに転送されるので、対表示装置連携部93bによって記憶部92に記憶されたスタート持ち玉92aが持ち玉表示装置20Bに表示され、さらに、持ち玉ボタンがもう1回押下されると、当該CRユニット90での獲得玉数の閲覧要求がリモコン受光部91を介して対表示装置連携部93bに転送されるので、対表示装置連携部93bによって記憶部92に記憶されたスタート持ち玉92aと現在持ち玉92bの差分値である当該CRユニット90での獲得玉数が持ち玉表示装置20Bに表示される。
例えば、このような各種持ち玉の閲覧中には、店員が持ち玉表示装置20Bの表示で閲覧した現在持ち玉、スタート持ち玉や獲得玉をH/C80を操作する管理者にインカム等を介して口頭伝達し、管理者は、持ち玉表示装置20Bに表示されていた現在持ち玉、スタート持ち玉や獲得玉が遊技台データと比較して異常であるか否か、たとえば獲得玉が推定出玉数を超えていないかどうかなどを確認し、不正計数が行われているおそれがある場合には、店員に遊技客を確保するように指示する一方で、不正計数が行われている余地がない場合には、プリペイドカードの発行を許可する。このように管理者によってプリペイドカードの発行が許可されると、店員は、リモコン100上の持ち玉確認済みボタンを押下し、この押下操作に応答して当該店員に割り振られた店員コードがCRユニット90に送信される。
図13の説明に戻り、台移動用のカード返却ボタンもしくは景品交換用のカード返却ボタンのいずれが押下された場合でも、リモコン受光部91を介して店員コードを受け付けたならば(ステップS302肯定)、操作主体判別部93aは、店員によるカード返却操作と判別する。
店員による操作と判別後には、フラグ更新依頼部93cは、店員チェックフラグをON状態に更新するように価値管理装置200に依頼するとともに(ステップS303)、リモコン受光部91を介して受け付けた店員コードも価値管理装置200に通知する(ステップS304)。
一方、景品交換用のカード返却ボタンが押下された場合でも、リモコン受光部91を介して店員コードを受け付けなかったならば(ステップS302否定)、操作主体判別部93aは、遊技客によるカード返却操作と判別する。なお、この場合には、店員チェックフラグの更新依頼や店員コードを価値管理装置200に通知しないまま、持ち玉関連付け依頼(ステップS305)が行われることになる。
その後、持ち玉関連付け部93dは、関連付け対象のカードIDに記憶部92に記憶された現在持ち玉92bを紐付けた持ち玉関連付け依頼を価値管理装置200に行い(ステップS305)、当該カードIDに紐付けて現在持ち玉92bを価値管理装置200に記憶管理させてからカード処理部34にプリペイドカードを返却させ(ステップS306)、処理を終了する。
このようにして、遊技客によってカード返却操作が行われた場合には、台移動だけが許可されるプリペイドカードが発行される一方で、店員によってカード返却操作が行われた場合には、景品管理装置300での交換制御が許可されるように店員チェックフラグがON状態に更新されたプリペイドカードが発行される。
(2)交換制御許可処理
次に、本実施例に係る交換制御処理を説明する。図15は、実施例2に係る交換制御許可処理の手順を示すフローチャートである。同図に示すように、景品管理装置300でプリペイドカードが受け付けられると(ステップS401肯定)、関連付けデータ取得部360aは、カード処理部330によってプリペイドカードから読み取られたプリペイドカードIDに対応する関連付けデータを価値管理装置200に問い合わせることによって取得する(ステップS402)。
そして、表示制御部360bは、プリペイドカードの読込枚数、総獲得玉数、残数等の交換制御に関係する項目を含んだ交換画面の表示に併せて、関連付けデータ取得部360aによって取得された関連付けデータ(例えば、遊技価値、フラグのON状態/OFF状態、利用履歴などのデータ)をポップアップ画面として従業員用タッチパネル310a及び遊技客用タッチパネル310bに表示させる(ステップS403)。
ここで、従業員用タッチパネル310aで表示される関連付けデータの一例としては、図16に示すような交換画面が表示される。図16に示す例では、カード情報としてカードID「987654」と持ち玉2500個とを表示させ、店員による持ち玉確認が行われた否かを表すチェック可否とチェックが行われている場合にはその店員コードを表示させ、さらに、カード履歴として、時刻、台番号、発行計数値及び最終残存計数値を含んで構成される利用履歴を表示させる。
このような表示を従業員用タッチパネル310aで行えば、景品カウンタでも持ち玉の確認を行うことができるので、CRユニット90でカード返却を行う際に店員による持ち玉確認を受けていない遊技客のプリペイドカードであっても景品管理装置300で受け付けた際に確認したものとして救済し、交換制御を許可することもできる。また、かかる表示を遊技客用タッチパネル310bで行えば、カード返却時に遊技席で行われる店員立会いの持ち玉確認と併せて、遊技店全体で精緻な不正監視が行われていることを遊技客に強く印象付けることができ、計数ゴトの抑止効果を相乗的に高めることができる。
図15の説明に戻り、関連付けデータ取得部360aによって関連付けデータの1つとして取得された店員チェックフラグがOFF状態であった場合(ステップS404否定)には、交換制御部360cは、従業員用タッチパネル310aを介して店員の確認操作が行われるまでは(ステップS407)、当該プリペイドカードを用いた交換制御を許可しない。なお、このまま店員の確認操作が所定時間の間行われなかった場合には自動的に処理を終了する。
また、関連付けデータ取得部360aによって取得された店員チェックフラグがON状態であった場合または従業員用タッチパネル310aを介して店員の確認操作が事後的に行われた場合(ステップS404肯定またはステップS407肯定)には、交換制御部360cは、当該プリペイドカードを用いた交換制御を許可し(ステップS405)、後述する交換制御を実行し(ステップS406)、処理を終了する。
ここで、図15で示したステップS406で行われる交換制御処理について具体的に説明する。図17は、実施例2に係る交換制御処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、図15で示したステップS406の処理に対応し、店員チェックフラグに基づく交換制御の許可を経てはじめて行われるものである。
図17に示すように、交換制御部360cは、関連付けデータ取得部360aによって関連付けデータとして取得された持ち玉が最小交換可能玉数以上であるか否かを判定する(ステップS501)。
このとき、持ち玉が最小交換可能玉数以上である場合(ステップS501肯定)には、交換制御部360cは、従業員用タッチパネル310a又は遊技客用タッチパネル310bに表示される交換ボタンの押下操作を通じて景品の指定を受け付ける(ステップS502)。なお、持ち玉が最小交換可能玉数を下回る場合(ステップS501否定)には、後述するステップS505に移行する。
続いて、指定を受け付けた景品に要する玉数以上の持ち玉が残っていれば(ステップS503肯定)、交換制御部360cは、当該景品に相当する交換玉数を持ち玉から減算する(ステップS504)。
その後、持ち玉が最小交換可能玉数を下回るまでは(ステップS501肯定)、交換制御部360cは、上記のステップS502〜ステップS504までの処理を繰り返し行う。
ここで、持ち玉が最小交換可能玉数を下回った場合に景品交換が行われていれば(ステップS501否定かつステップS505肯定)、交換制御部360cは、ステップS504で内部減算しておいた交換対価を挿入中のプリペイドカードの持ち玉数から減算するように価値管理装置200に依頼し(ステップS506)、交換日時、従業員名、総獲得玉数、交換景品及び交換玉数などの項目が印字された景品交換レシートを印字部340に印字させる(ステップS507)。
このとき、カードにプリペイド残額または持ち玉が関連付けられていなければ(ステップS508否定)、そのまま処理が終了されるが、カードにプリペイド残額または持ち玉が関連付けられていれば(ステップS508肯定)、交換制御部360cは、当該プリペイドカードをカード処理部330に返却させ(ステップS509)、処理を終了する。
一方、持ち玉が最小交換可能玉数を下回った場合に景品交換が行われていなければ(ステップS501否定かつステップS505否定)、景品交換レシートを発行する必要がないので、カードにプリペイド残額または持ち玉が関連付けられていなければ(ステップS508否定)、交換制御部360cは、そのまま処理が終了する一方で、カードにプリペイド残額または持ち玉が関連付けられていれば(ステップS508肯定)、当該プリペイドカードをカード処理部330に返却させてから(ステップS509)処理を終了する。
このように、景品交換レシート発行後もしくは景品交換なしのいずれのケースで処理が終了された場合であっても、プリペイドカードにプリペイド残額または持ち玉のいずれかの価値高が残っていれば、係員によってプリペイドカードが遊技客に返却される。
上述してきたように、本実施例では、プリペイドカードの返却操作が遊技店の店員になされた操作または遊技客になされた操作であるのかを判別し、店員になされた操作であると判別した場合に、店員による持ち玉の確認がなされた旨を示す確認済み情報をプリペイドカードに関連付けるようにCRユニット90を構成したので、景品交換を行わずに台移動を行う限りは、店員を呼び出す必要がなくなる一方で、最終的に景品交換を行う場合には、少なくとも1度はカード返却時に持ち玉を店員に確認させることができ、遊技客及び店員の呼出しに関する時間や労力の手間を最小化しつつ、計数ゴトの抑止効果を得ることが可能である。
また、本実施例では、リモコン100を経由してカード発行操作を受け付けた場合に、当該カード発行操作が店員によってなされたものであると判別するように構成したので、遊技店で元来使用されており、かつ店員にしか所持できないリモコン100を使用させるだけで店員による操作と判別することができ、たとえば店員と遊技客を区別するためにCRユニット90に対する操作入力を過度に複雑化したり、店員に認証情報(例えば、店員コードやパスワード)などを別途入力させる必要がなくなる結果、簡易な構成で操作主体を精度よく判別することが可能である。
さらに、本実施例では、リモコン100を介して受け付けた店員コードをプリペイドカードに関連付けるように構成したので、カード返却時に立ち会った店員に詳細な状況を事後的に問い合わせたり、たとえ計数ゴトに店員が介在してしたとしてもその不正な店員に対して対応を取ることが可能である。
なお、上記の実施例2では、何度台移動された場合であっても1度店員による持ち玉確認を受けていれば、カード返却後に景品交換されずに台移動が行われた場合でも店員チェックフラグのON状態を有効とすることとしたが、店員チェックフラグのON状態で他のCRユニット90にカードが挿入されるとOFF状態に更新することにより、景品管理装置300に持ち込まれる直前のカード返却で店員による持ち玉確認が行われないとそれ以前の店員確認を無効とするようにしてもよい。また、台移動が行われる度に店員チェックフラグを個別に関連付けておき、台移動回数の総計に対して所定の割合(例えば、8割など)について持ち玉確認が行われていないと、交換制御を許可しないように景品管理装置300を構成するようにてしてもよい。
また、上記の実施例2では、上記の実施例1と排他的に実施する場合について説明したが、両実施例を組み合わせて実施できるのは言うまでもない。
また、上記の実施例1及び2では、価値管理装置でプリペイド残額および持ち玉を統合管理する場合について説明したが、必ずしも統合管理する必要はなく、持ち玉管理装置及び残額管理装置に持ち玉またはプリペイド残額を分散して管理させるようにしてもよい。
また、上記の実施例1及び2では、各台計数機をCRユニット内下部に設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各台計数機がCRユニットと別体に設けられ、CRユニットと通信可能に接続されている各台計数システムにも本発明を同様に適用することができる。
また、上記の実施例1及び2では、本発明をパチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチスロ遊技のみを対象とした場合にも本発明を同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。