以下、本発明による実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明による同期モータの制御方法及び制御装置の第1の実施形態を示す回路構成図であって、1はモータ制御装置、2は制御部、3は電流検出部、4は電力変換部、5U,5Wは電流検出手段、6は3φ/dq変換器、7は軸誤差演算器、8は減算器、9はPLL(フェーズ・ロックド・ループ)制御器、10は切替スイッチ、11は減算器、12は速度制御部、13は切替スイッチ、14a,14bは減算器、15a,15bは電流制御器、16は電圧指令値作成器、17はdq/3φ変換器、18は積分器、19は負荷推定器、20は積分項初期値演算部、21は永久磁石同期モータ、22は未接続検出器、23は警報/表示器である。
なお、この第1の実施形態では、永久磁石同期モータを例にして説明するが、他の同期モータであっても、同様である。
同図において、また、この第1の実施形態では、永久磁石同期モータ21では、起動後の運転中、回転子の位置を検出するセンサを用いずに制御する、いわゆる位置センサレス制御が行なわれる。この位置センサレス制御は、産業機械から家庭用電化製品に至る機器に用いられる永久磁石同期モータの駆動シテムに広く適用されている。
モータ制御装置1は、制御部2と、永久磁石同期モータ21に供給される駆動電流を検出する電流検出部3と、この電流検出部3の検出出力を演算処理し、永久磁石同期モータ21の各相の駆動電流を生成して出力する電力変換部4とから構成されている。
電流検出部3は、電力変換部4から永久磁石同期モータ21に供給されるU,V,W相の3相の交流駆動信号のうちの2相、例えば、U相,W相の交流駆動電流Iu,Iwを検出する電流検出手段5U,5Wと、制御部1の積分器18から供給される推定磁極位置θdcに基づいて、電流検出手段5U,5Wの3相座標(3θ)系の検出電流Iu,Iwを制御座標(dq)系のd軸検出電流Idc,q軸検出電流Iqcに変換する3φ/dq変換器6とから構成されている。
制御部2は、電流検出部3の3φ/dq変換器6からのd軸検出電流Idc,q軸検出電流Iqcと電圧指令作成器16からのd軸電圧指令値Vd*,q軸電圧指令値Vq*とが供給され、これらを演算処理して永久磁石同期モータ21の回転子の実回転位置(実回転座標軸系での回転位置)と仮想回転位置(制御軸系での回転位置)との位置誤差(軸誤差)Δθcを生成する軸誤差演算器7と、この軸誤差Δθcと軸誤差指令値Δθ*との差(通常はゼロ)を求める減算器8と、減算器8で求める差がゼロとなるように、インバータ周波数指令値ω1*を調整するPLL制御器9と、後述する位置決めモードと同期運転モードでは、入力される周波数指令値ω*が供給されるA端子に切り替えられ、これら位置決めモード,同期運転モード後の後述する位置センサレスモードでは、PLL制御器9からの周波数値ω1が供給されるB端子に切り替えられる切替スイッチ10とを備えている。
このインバータ周波数指令値ω1*は、軸誤差演算器7に供給されて軸誤差Δθcの生成に用いられるが、切替スイッチ10が位置決めモードと同期運転モードでA側に閉じているときには、入力される周波数指令値ω*が用いられ、切替スイッチ10が位置センサレスモードでB側に閉じているときには、PLL制御器9からの周波数値ω1が用いられる。
制御部2は、また、入力される周波数指令値ω*と切替スイッチ10で選択されたインバータ周波数指令値ω*1との差を求める減算器11と、この減算器11で求める差がゼロとなるように調整するための比例演算部と積分演算部とが設けられたASR(速度制御部)12と、上記の位置決めモードや同期運転モードでは、入力されるq軸電流初期指令値Iq*0が供給されるA端子に切り替えられ、上記の位置センサレスモードでは、この速度制御部12の出力が供給されるB端子に切り替えられて、夫々をq軸電流指令値Iq*として出力する切替スイッチ13とを備えている。
ここで、制御部2では、上記の同期運転モードにおいて、電流検出部3の3φ/dq変換器6からのd軸検出電流Idc,q軸検出電流Iqcと軸誤差演算器7からの軸誤差Δθcとが負荷推定器19に供給されてq軸電流推定値Iq^が生成され、q軸電流推定値Iq^が積分項初期値演算部20に供給されて演算処理され、速度制御器12の積分演算部の積分項の初期値IOが生成される。この積分項の初期値IOは、速度制御器12の積分演算部に供給される。
制御部2には、さらに、入力されるd軸電流指令値Id*と電流検出部3の3φ/dq変換器からのd軸検出電流Idcとの差を求める減算器14aと、q軸電流指令値Iq*としての切替スイッチ13で選択された入力q軸電流初期指令値Iq*0または速度制御部12の出力と電流検出部3の3φ/dq変換器からのq軸検出電流Iqcとの差を求める減算器14bと、減算器14aの差電流指令値がゼロとなるように、電流指令値Id**を調整する電流制御器15aと、減算器14bの差電流指令値がゼロとなるように、電流指令値Iq**を調整する電流制御器15bと、電流制御器15a,15bからの電流指令値Id**,Iq**と切替スイッチ10で選択されたインバータ周波数指令値ω1*とを用いてベクトル演算を行ない、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*とを作成する電圧指令値作成器16と、電圧指令値作成器16からのこれらd軸電圧指令値Vd*,q軸電圧指令値Vq*を、積分器18でインバータ周波数指令値ω1*を積分して得られる推定磁極位置θdcを用いて、制御座標軸系のU,V,W相の3相座標軸系の3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換し、出力するdq/3φ変換器17が設けられている。これら3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*は電力変換部4に供給される。
制御部2の多くは、マイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)などの半導体集積回路(演算制御手段)によって構成されており、これにより、制御部2においては、永久磁石同期モータ21の回転子の実回転座標軸系と制御軸系との軸誤差Δθcを算出し、この算出した軸誤差Δθcがゼロとなるように、換言すると、制御座標軸系を永久磁石同期モータ21の回転子の実回転座標軸系と一致させるように、インバータ周波数指令値ω1*をPLL法(PLL制御器9)を用いて補正し、永久磁石同期モータ21の磁極位置を推定することとしている。
この第1の実施形態では、モータ制御装置1に、さらに、未接続検出器22と警報/表示器23とが設けられている。未接続検出器22は、電流検出部3の3φ/dq変換器6から出力されるd軸検出電流Idc及びq軸検出電流Iqcが供給され、位置決めモードでこれらd軸検出電流Idc及びq軸検出電流Iqcの有無を判定することにより、モータ制御装置1と永久磁石同期モータ21との間が未接続か否かを検出する。警報/表示器23は、未接続検出器22の検出結果が供給されて表示され、また、この検出結果が「未接続」である場合、警報が発せられる。
図2は図1における電力変換部4の回路構成を示すブロック図であって、24はドライバ回路、25はインバータ部、26は直流電源、27a〜27c,28a〜28cは半導体スイッチである。
同図において、電力変換部4は、ドライバ回路24とインバータ部25と直流電源26とから構成されており、直流電源26で商用3相交流を整流平滑して得られた直流電圧がインバータ部25に供給される。
インバータ部25は、上アームの並列接続された3個の半導体スイッチ27a〜27cと下アームの並列接続された3個の半導体スイッチ28a〜28cとで構成されており、半導体スイッチ27a,28aが直列接続されて直流源20からの直流電圧が印加され、半導体スイッチ27b,28bが直列接続されて同じ直流電圧が印加され、半導体スイッチ27c,28cが直列接続されて同じ直流電圧が印加される。また、半導体スイッチ27a,28aの接続点が永久磁石同期モータ21のU相の電機子巻線に接続され、半導体スイッチ27b,28bの接続点が永久磁石同期モータ21のV相の電機子巻線に接続され、半導体スイッチ27c,28cの接続点が永久磁石同期モータ21のW相の電機子巻線に接続されている。
ドライバ回路24は、モータ制御装置1(図1)から出力される3相座標軸系の3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を基に、各半導体スイッチ27a〜27c,28a〜28cを夫々オン,オフ制御する3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じたPWM信号Pu,Pv,Pwを生成する。かかるPWM信号Pu,Pv,Pwにより、上アームの半導体スイッチ27a〜27cは、互いに120度ずつ位相がずれて120度の期間オンする動作をし、また、下アームの半導体スイッチ28a〜28cも、同様に、互いに120度ずつ位相がずれて120度の期間オンする動作をするが、直列に接続されている半導体スイッチ27a,28aが、直列に接続されている半導体スイッチ27b,28bが、直列に接続されている半導体スイッチ27c,28cが夫々同時にオンしないように、これら半導体スイッチ27a〜27cと半導体スイッチ28a〜28cとのオン期間の位相が(120度+60度)だけずらされている。
これにより、インバータ部25でU,V,W相の交流駆動電流Iu,Iv,Iwが永久磁石同期モータ21の各相の電機子巻線に供給される。
なお、ドライバ回路25で生成されるPWM信号Pu,Pv,Pwは、dq/3φ変換器17からの3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じた直流電圧や交流電圧を変調信号とし、一定周波数の鋸歯状波信号を搬送波として、これらの比較(即ち、パルス幅変調)によって生成されるものであり、電力変換部4から永久磁石同期モータ21に供給されるU相,V相,W相の交流駆動電流も、その通電期間パルス幅(PWM)変調されている。電流検出部3の3φ/dq変換器6から出力されるd軸検出電流Idcとq軸検出電流Iqcとは、即ち、かかるPWM変調されたU相,W相の交流駆動電流Iu,Iwでの変調信号電流である。
図3は図1における永久磁石同期モータ21の起動の際の各運転モード(位置決めモード,同期運転モード,位置センサレスモード)の遷移を示すタイミング図であって、同図(a)は制御部2(図1)に入力されるd軸電流指令値Id*の各運転モードでの変化を、同図(b)は制御部2の切替スイッチ13(図1)で選択されたq軸電流指令値Iq*の各運転モードでの変化を、同図(c)は制御部2の切替スイッチ10(図1)で選択されたインバータ周波数指令値ω1*
の各運転モードでの変化を、同図(d)は図1における切替スイッチ10,13での各運転モードでの状態変化を夫々示すものである。
図3に示すように、永久磁石同期モータ21を起動する際の運転モードとしては、永久磁石同期モータ21の各相の電機子巻線によって決められた電流通路に徐々に増加する直流電流を流して、この永久磁石同期モータ21の回転子を所定の位置に固定する位置決めモードと、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*と周波数指令値ω*とに従ってこの永久磁石同期モータ21に印加する弾圧を決定する同期運転モードと、軸誤差Δθcがゼロとなるように、インバータ周波数指令値ω1*を調整する位置センサレスモードとがある。
これらの運転モードは、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*と周波数指令値ω*とのいずれかを変更し、もしくは切替スイッチ10,13を切り替え制御することにより、順次切り替えられる。なお、これら切替スイッチ10,13は、特に断わりがない限り、同時に切り替わる。
図1及び図3において、位置決めモードでは、切替スイッチ10,13がA端子側に切り替えられており、PLL制御器9から出力される周波数値ω1が切替スイッチ10で遮断され、また、速度モータ制御装置12の出力信号が切替スイッチ13で遮断され、入力されたd軸電流指令値Id*が減算器14a,電流制御器15aを介して電圧指令値作成器16に、入力されたq軸電流指令値Iq*が減算器14b,電流制御器15bを介して電圧指令値作成器16に夫々供給される。
ここで、この位置決めモードでは、入力されたq軸電流指令値Iq*は、図3(b)に示すように、ゼロに設定されており、入力されたd軸電流指令値Id*が、図3(a)に示すように、ゼロから直線状に徐々に増加する。このとき、入力された周波数指令値ω*が、インバータ周波数指令値ω1*として、切替スイッチ10を介してこの電圧指令値作成器16に供給されるが、位置決めモードでは、図3(c)に示すように、この周波数指令値ω*がゼロに設定されている。
電圧指令値作成器16では、このd軸電流指令値Id*に応じたd軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*とが作成され、これらがdq/3φ変換器17に供給されることにより、3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が生成されて電力変換部4に供給される。
これにより、d軸電流指令値Id*の増加に伴って、電力変換部4からは永久磁石同期モータ21のU,V,W相の電機子巻線によって形成される所定の電流通路に所定の目的値まで徐々に増加する直流のモータ電流が流れる。このときのモータ電流Iは、
I=√(Idc2+Iqc2)
で表わされる。ここで、Idcはd軸電流指令値Id*に応じた電流であって、上記のように、永久磁石同期モータのU相,W相の交流駆動電流Iu,Iwから電流検出部3の3φ/dq変換器6から得られるd軸検出電流であり、Iqcはq軸電流指令値Iq*に応じた電流であって、同じく3φ/dq変換器6から得られるq軸検出電流である。図1でのモータ制御装置1と永久磁石同期モータ21との間が正常に接続されていれば(より具体的には、電力変換部4であるが、以下では、モータ制御装置1と永久磁石同期モータ21との間の接続,未接続ということにする)、上記のように、q軸電流指令値Iq*はゼロであるが、周波数指令値ω*、従って、電圧指令値作成機16に供給されるインバータ周波数指令値ω1*がゼロに設定されていることから、d軸電流指令値Id*が増加していくことにより、直流のモータ電流Iが、図3(a)に示すのと同様に、増加していく。
ここで、位置決めモードでの位置決めの原理について説明する。
図4は永久磁石同期モータ21の回転子が位置決めモードの動作で位置決めされる状態を示す図であって、29は回転子、30UはU相の電機子巻線(以下、U相巻線という)、30VはV相の電機子巻線(以下、V相巻線という)、30WはW相の電機子巻線(以下、W相巻線という)であり、図2に対応する部分には同一符号を付けている。
同図において、ここでは、電力変換部4のインバータ部25での半導体スイッチ27a,28b,28cがオン状態に設定された状態にあって、半導体スイッチ27aからU相巻線30Uに電流が流れ込み、V,W相巻線30V,30Wからインバータ部25での半導体スイッチ28b,28cに電流が流れ出ているものとする。
ここで、制御座標軸系での制御軸は、制御座標軸系でのU相巻線30Uの軸(以下、U相巻線軸30Uという)とは反対側の位置であり、制御軸からの角度をθとすると、回転子29の所定の磁極の位置(以下、回転子位置という)が制御軸に一致するとき、回転子位置はθ=0度の位置にある。位置決めモードは回転子位置をこのような状態にするものである。なお、この角度θは、また、回転子位置と制御軸とのなす角度(以下、回転子位置角度ともいう)でもある。
図5は位置決めモードでの回転子位置角度θとモータの出力トルクTmとの関係を示す図であって、回転子位置角度θを横軸に示し、モータ出力トルクTmを縦軸に示している。ここでは、回転子29を時計方向に回転させるモータ出力トルクTmを正としている。
同図において、回転子位置角度θが0度と±180度との間にあるときには、図4に示すように、U相巻線30U,V相巻線30V,W相巻線30Wに電流が流れると、正または負のモータ出力トルクTmが発生し、回転子29は時計方向または反時計方向に回転する。また、流れる電流の大きさを変えると、発生するモータ出力トルクTmの大きさも変化する。
しかし、回転子位置角度θが0度近傍となると、U相巻線30U,V相巻線30V,W相巻線30Wに流れる電流の大きさにかかわらず、モータ出力トルクTmは発生しない。このため、回転子29は回転することができず、停止する。かかる状態が、位置決めモードでの回転子位置が目標とする位置に位置決めされた状態である。
図6は図4での位置決めモードで各相に流れる電流の変化を示す図である。
同図において、U相巻線30Uに流れる電流を−Iとすると、V相巻線30V,W相巻線30Wに流れる電流は、ともに、I/2である。かかる電機子巻線による磁束の方向は、θ=0度の方向である。そして、U相巻線30Uに流れる電流(=−I)を増加させていくと、V相巻線30V,W相巻線30Wに流れる電流(=I/2)も同様に増加し、回転子位置が目標位置(θ=0度)にない場合には、時刻T1,T2,T3,T4での電流とともに、図5でT1,T2,T3,T4として示すように、モータ出力トルクTmが増加していく。これにより、回転子29がθ=0度となる方向に回転し、モータ出力トルクTmの増加とともに、回転速とが速くなる。
位置決めモードでは、例えば、このように、U相巻線30UからV相巻線30V,W相巻線30Wへの電流の通流経路が形成されて固定され、これにモータ電流Iが流れるものである。
そして、回転子位置が目標位置(θ=0度)近傍になると、各相に流れる電流の大きさにかかわらず、モータ出力トルクTmがゼロとなり、回転子29は停止する。これにより、回転子29は、その位置が目標位置に位置決めされることになる。
この第1の実施形態では、かかる位置決めモードで永久磁石同期モータのモータ制御装置1との未接続の有無を検出するものであるが、その未接続検出方法について説明する。
図1において、電源が投入されるとともに、上記のように、位置決めモードが設定され、次いで、同期運転モード,位置センサレスモードへと遷移していくが、この電源投入とともに、モータ制御装置1の未接続検出部22が起動し、電流検出部3の3φ/dq変換器6からd軸検出電流Idcが供給され、図3(a)に示すd軸電流指令値Id*の増加とともに、増加する。なお、位置決めモードでは、q軸検出電流Iqcをゼロとしてd軸の電流指令のみで起動するd軸起動方法と、d軸検出電流Idcをゼロとしてq軸の電流指令のみで起動するq軸起動方法と、q軸及びd軸両方の指令値を使用する起動方法とがあるため、q軸検出電流Iqc及びd軸検出電流Idcを未接続検出部22に供給する必要がある。
未接続検出部22では、予め所定の閾値(例えば、位置決めモードでd軸検出電流Idcが最大となる電流値の1/2の値)が設定されており、d軸検出電流Idcの電流値を検出し、所定時間(例えば、0.2秒)検出したこの電流値とこの閾値とを比較し、検出した電流値がこの閾値を越えたときには、モータ制御装置1と永久磁石同期モータ21との接続が正常と判定するが、検出した電流値がこの閾値を越えないときには、モータ制御装置1と永久磁石同期モータ21との接続がなされていない未接続と判定する。
この未接続検出部22の判定結果は警報/表示器23に供給され、警報/表示器23では、この判定結果が表示されるとともに、未接続の場合には、音声やランプなどによる警報も発せられる。
ここで、未接続検出部22は、モータ制御装置1に電源が投入されるとともに、起動し、電源投入後の位置決めモードの上記所定時間で未接続の判定動作を行ない、その判定結果を警報/表示器23に供給するが、判定結果を警報/表示器23に供給し終わると、未接続検出部22は、次に電源の投入があるまで、判定動作を停止する。
このように、この第1の実施形態では、永久磁石同期モータを位置センサレス制御する際に必要となる位置決めモードという特徴的な起動方法を利用することにより、この永久磁石同期モータとモータ制御装置1との未接続の有無を検出するものであり、起動後直ちに未接続の有無が検出できるものである。起動時に位置決めモードがないような、例えば、誘導電動機の場合は、どのような電流が電機子巻線に流れるかは、電動機の負荷によるものであり、このため未接続の有無を判断するためのモータ電流に対する閾値を決定することは困難であり、検出精度を高めることができず、誤検出する可能性がある。
なお、未接続の状態にあっても、位置決めモードでノイズが発生して、これを検出してしまうこともあり、このため、検出されるモータ電流がゼロとなるわけではなく、ある程度の電流値を検出してしまい、モータ電流がゼロのときに未接続と判断することはできない。
この第1の実施形態では、このような誤検出を防止するために、位置決めモードという、モータ電流Iが徐々に増加する特有の起動方法を利用しているものであり、位置決めモードでは、モータ電流が徐々に増加することから、この位置決めモードで上記のような比較的高い所定の閾値を設定することにより、モータ制御装置1と永久磁石モータ21とが正常に接続されていれば、モータ電流が必ずこの閾値を越えることから、未接続を精度良く検出できるものである。
そして、起動直後の位置決めモードで未接続の有無を検出するものであるから、永久磁石同期モータ21が、電源投入しても、駆動されない原因(未接続)を作業者に認識させることができる。そして、従来では、永久磁石同期モータが駆動できない原因がその未接続であることに気が付かず、その原因究明に労力や時間を費やしていたが、この第1の実施形態では、かかる労力や時間を回避することが可能となる。
また、永久磁石同期モータ21の通常の起動時に、モータ電流Iの電流値を検出して閾値と比較するという簡単な構成の未接続検出器22をに設けるだけで、その未接続の有無を検出するものであるから、特別な検出回路を設ける必要もない。
図1に戻って、位置決めモードが終了すると、同期運転モードに移る。この同期運転モードでは、切替スイッチ10,13をA端子側に保持したまま、図3(b)に示すように、d軸電流指令値Id*0をゼロに保持して、図3(a)に示すように、d軸電流指令値Id*を位置決めモードの終了時の値に保持し(この起動方法をId起動という)、周波数指令値ω*を徐々に増加させて電圧指令値作成器16に供給されるインバータ周波数指令値ω1*を徐々に増加させるものである。これにより、永久磁石同期モータ6は回転を開始し、インバータ周波数指令値ω1*に追従して加速されていく。
インバータ周波数指令値ω1*が位置センサレス制御が可能な周波数値となると、切替スイッチ10,13がB端子側に切り替わり、位置センサレスモードに移行する。これにより、減算器8で得られる軸誤差Δθcと軸誤差指令値Δθ*(=通常はゼロ)との差からPLL制御器9で得られる周波数値ω1が、切替スイッチ10を通り、インバータ周波数指令値ω1*として、電圧指令値作成器16に供給されるとともに、減算器11で周波数指令値ω*と減算処理されて、その減算結果が速度モータ制御装置12に供給されてq軸電流指令値Iq*が生成され、切替スイッチ13,減算器14b及び電流制御器15bを介して電圧指令値作成器16に供給される。
このような構成となった位置センサレスモードでは、減算器8で得られる軸誤差Δθcと軸誤差指令値Δθ*(=通常はゼロ)との差がゼロとなるように、PLL制御器9が周波数値ω1を調整するとともに、減算器11で検出される周波数指令値ω*とインバータ周波数指令値ω1*との差がゼロとなるように、速度モータ制御装置12がq軸電流指令値Iq*を調整する。q軸電流指令値Iq*は加速トルク分と負荷トルク分とに相当する値になり、これの加速トルクによって永久磁石同期モータ21は加速する。そして、加速トルクがゼロとなる状態に加速されると、永久磁石同期モータ21は、負荷トルク分に相当する値でq軸電流指令値Iq*が一定となり、この状態で回転する。
以上のように、この第1の実施形態では、運転起動時の位置決めモード,同期運転モード,位置センサレスモードのうちの、最初の位置決めモードでモータ制御装置1と永久磁石同期モータ21との未接続の有無を検出するものであり、迅速かつ確実に、しかも、精度良く未接続を検出することができるものである。
図7は本発明による同期モータの制御方法及び制御装置の第2の実施形態を示す構成図であって、ファンフィルタユニットに用いられる永久磁石同期モータに関するものであり、33はファンフィルタユニット(以下、FFユニットという)、31は区画、32はクリーンルーム、34は天井、35は通気孔、36は空気通路である。
同図において、建屋のある区画31には、クリーンルーム32が設けられ、その天井34に複数のFFユニット33が取り付けられている。ここで、クリーンルーム32は、空気清浄度が確保された部屋であって、例えば、半導体製造工場などでは、必須のものである。
FFユニット33は、ファンと高性能なフィルタとを備えたものであって、クリーンルーム32の天井34側からその室内に清浄な空気を送り込む。この清浄な空気はクリーンルーム32の床に向かって送り込まれ、クリーンルーム32を通った空気は、クリーンルーム32の床に設けられた多数の通気孔35から排出され、クリーンルーム32の外側に設けられた空気通路36を通ってクリーンルーム32の天井34側に戻る。この戻った空気は、FFユニット33に再び吸い込まれて清浄度が高い空気となり、クリーンルーム32内に送り込まれる。
図8は図7におけるFFユニット33の一具体例を示す外観斜視図であって、37はケーシング、38は空気吸込口、39は網である。
同図において、ケーシング37の一面には、空気吸込口38が設けられ、この空気吸込口38に金網などの網39が取り付けられている。ケーシング37内には、図示しないが、この空気吸込口38に対向してファンやこれを回転駆動する永久磁石同期モータ21が取り付けられ、また、図1に示すモータ制御装置1が取り付けられている。さらに、ケーシング37の裏面には、図示しないが、空気吹出口が設けられ、ケーシング37内に、この空気吹出口を塞ぐように、フィルタ部が設けられている。
永久磁石同期モータによって駆動されてファンが回転しているときには、空気吸込口38から空気通路36(図7)を通って戻ってきた空気が吸い込まれ、フィルタ部で塵,埃などが除かれて濾過された清浄な空気となり、空気吹出口からクリーンルーム32(図7)内に吹き出される。
このFFユニット33に設けられている永久磁石同期モータは、図1に示した永久磁石同期モータ21であって、同じくモータ制御装置1によって制御されるものであり、モータ電流Iが流れ込む電機子巻線やモータ電流Iが流れ出す電機子巻線が決められてモータ電流Iの通流経路が固定されて直流のモータ電流Iが徐々に増加する位置決めモードと、この位置決めモードに続く、電流を一定として周波数を徐々に高めていく同期運転モードと、さらに、これに続く位置センサレスモードとによって起動されるものである。
FFユニット33に設けられている永久磁石同期モータ21とモータ制御装置1との未接続の有無を検出するときには、この永久磁石同期モータ21を起動する際に、また、位置決めモードで起動開始し、このとき、さきに説明したように、永久磁石同期モータ21に設定される上記の通流通路の電流値をモータ制御装置1の電流検出部3(図1)で検出し、未接続検出部22(図1)でこの検出された電流値と予め設定された上記の閾値と所定期間比較され、電流値がこの閾値を越えたときには、正常に接続されたと判定し、越えない場合には、未接続と判定して、その判定結果を警報/表示器23(図1)に供給する。永久磁石同期モータ21がモータ制御装置1に未接続のFFユニット33に対しては、電源をオフにし、未接続を解消するための所定の処置を行なうことができる。
かかる永久磁石同期モータ21のモータ制御装置1との未接続の有無の判定は、FFユニット33毎に行なわれ、また、警報/表示器23も、FFユニット33毎に設けられている。
図8から明らかなように、FFユニット33に内蔵されている永久磁石同期モータ21が未接続か否かを外観から判断できるものではない。また、かかる永久磁石同期モータ21を内蔵したFFユニット33は、天井や屋根裏などに設置される場合が多いため、図7に示すように、複数のFFユニット33を用いるような場合には、永久磁石同期モータ21がモータ制御装置1に接続されているものとしてFFユニット33が設置されると、永久磁石同期モータ21がモータ制御装置1に未接続であることに気付きにくい。このような状態でFFユニット33を動作させようとしても、永久磁石同期モータ21がモータ制御装置1に未接続であるため、このFFユニット33は動作しないことになるが、複数のFFユニット33の中で1つだけ動作できなくても、気が付かない場合もあるし、また、気が付いても、その原因究明が困難となる場合もある。
この第2の実施形態においても、先の第1の実施形態と同様、永久磁石同期モータ21のモータ制御装置1との未接続を検出することができるので、ほとんど電源投入とともに確実に未接続であることを認識することができ、駆動できないときの原因究明に手間や時間を要することなく、永久磁石同期モータ21とモータ制御装置1との接続を行なって再起動するといった対応が即座にできるものである。
図9は本発明による同期モータの制御方法及び制御装置の第3の実施形態を示す構成図であって、FFユニット監視制御システムでのFFユニットに用いられる永久磁石同期モータに関するものであり、40−1−1〜40−1−n1,40−2−1〜40−2−n2,……,40−m−1〜40−m−nkはFFユニット、41はファン本体、42はFFユニットコントローラ、43−1〜43−mはゾーンコントローラ、44は中央監視制御部、45はキーボード、46はモニタ、47は総括コントローラ、48はネットワークである。
同図において、このFFユニット監視制御システムは、キーボード45やモニタ46を備えた中央監視制御部44で各ゾーン1〜mのFFユニットを監視制御するものであって、これらゾーン1〜mは、例えば、図7で示したクリーンルーム32や工場内などであって、ここでは、夫々のクリーンルームなどを個々のゾーンとしている。このゾーン1〜mの個数mとしては、1から数十までの間の所定の個数である。
ゾーン1には、FFユニット40−1−1〜40−1−n1のn1個のFFユニット40(FFユニットの総称。以下同様)が、例えば、クリーンルームの天井などに設置されており、ゾーン2には、FFユニット40−2−1〜40−2−n2のn2個のFFユニット40が、……、ゾーンmには、FFユニット40−m−1〜40−m−nkのnk個のFFユニット40が夫々、例えば、クリーンルームの天井などに夫々設置されているものとする(なお、これらFFユニットを総称したとき、FFユニット40という)。各ゾーン1〜mの各FFユニット40は、ファン本体41にFFユニット40を制御して運転を継続させるプログラムを備えたFFコントローラ42が設けられたものである。ここでのファン本体41は、図1で示す構成のモータ制御装置1を備えた図8に示す構成のFFユニット33であり、FFユニットコントローラ42はそのケーシング37内に収納されている。1つのゾーンでのFFユニット40の個数n1,n2,……,nk、即ち、1ゾーン当たりのFFユニットの台数は、例えば、100から千数百までの間の所定の個数である。
各ゾーン1〜mには夫々、ゾーンコントローラ43(ゾーンコントローラ43−1,43−2,……,43−mの総称)が設けられ、各FFユニット40のFFユニットコントローラ42は該当するゾーンでのゾーンコントローラ43に接続されている。即ち、ゾーン1では、夫々のFFユニット40−1−1〜40−1−n1のFFユニットコントローラ42がゾーンコントローラ43−1に接続されてそれら間の通信を可能とし、ゾーン2では、夫々のFFユニット40−2−1〜40−2−n2のFFユニットコントローラ42がゾーンコントローラ43−2に接続されてそれら間の通信を可能とし、……、ゾーンmでは、夫々のFFユニット40−m−1〜40−m−nkのFFユニットコントローラ42がゾーンコントローラ43−mに接続されてそれら間の通信を可能としている。
各ゾーン1〜mのゾーンコントローラ43−1,43−2,……,43−mは、ミットワーク48を介して総括コントローラ47に通信可能に接続されており、また、この総括コントローラ47は中央監視制御部44と通信可能に接続されている。
このFFユニット監視制御システムでは、キーボード45の所定操作により、中央監視制御部44が総括コントローラ47,ネットワーク48,ゾーンコントローラ43−1〜43−mを介して通信を行なうことにより、夫々のゾーン1〜mでのFFユニット40の起動や停止制御を行なうことができるし、また、夫々のFFユニット40からその運転状態や故障状態を示す情報を取り込み、これをモニタ46で表示して監視することができる。
キーボード45の操作による指示により、中央監視制御部44は各ゾーン1〜mの各FFユニット40に対し、順番に問い合わせるポーリングを行なうが、総括コントローラ47は、所定のポーリング速度(例えば、30〜100msec)のデータ送受信により、データ整理を行なう。総括コントローラ47から送信される問い合わせ情報は、ネットワーク48で送信された後、この問い合わせ情報によって指定されたゾーンのゾーンコントローラ43で受信され、指定されたFFユニット40に送られる。これにより、このFFユニット40のFFユニットコントローラ42が起動し、ファン本体41の状態を示す情報の送信や起動,停止の要求情報などを応答情報として、上記の通信径路を介して、中央監視制御部45に送信する。これに対して、中央監視制御部45は、このFFユニット40からの要求を許可する情報を同様にして送信すると、要求したFFユニット40のFFユニットコントローラ42が許可されたファン本体41の状態を示す情報の送信や起動,停止を実行する。
以上のポーリングは、各ゾーン1〜m毎に順番に、そして、各ゾーン1〜mでは、各FFユニット40毎に順番に行なわれる。
このようにして、FFユニット40の台数は、システム全体として、(n1+n2+……+nk)台×mゾーン、上記の例では、(100〜千数百)台×(1〜数十)ゾーン≒(100〜十数万)台であり、かかる台数のFFユニット40に対し、FFユニット40毎に上記のポーリング速度で送受信を行なうものである。
FFユニット監視制御システムでは、このような膨大な台数のFFユニット41に対し、監視及び制御を行なうものであり、従来では、かかる監視により、FFユニット40が正常に動作するか、異常であるかの判定をすることができるものであった。
しかし、異常の要因についてまでは特定することができず、中央監視制御部44がFFユニット40が設置されているゾーンから遠く離れている場合が多く、場合によっては、FFユニット40が設置されている建屋とは別の建屋に設置されていることもある。このため、異常の原因が永久磁石モータ21とモータ制御装置1とが未接続であるという簡単な原因である場合でも、場所が遠く離れているため、その原因を特定することは困難であり、異常状態にあるFFユニット40の設置現場に出向いても、先の第の実施形態でも述べたように、FFユニット21の外見からその原因を判断することはできないから、原因究明に多くの労力を要することになる。
これに対し、この第3の実施形態では、FFユニット40は、先の第1の実施形態で示した構成のモータ制御装置1を用いた先の第2の実施形態(図8)の構成を有するものであるから、永久磁石同期モータ21(図1)の起動時の位置決めモードで、この永久磁石同期モータ21とモータ制御装置1との未接続を検出できるものであり、この検出結果が中央監視制御部44に送られてモニタ46に表示され、また、警報が発せられる。このため、この中央監視制御部44の設置場所に居ながらにして、オペレータはFFユニット40毎の未接続の有無を認識できる。従って、異常が未接続による場合の異常の原因を労力を費やすことなく究明することができ、従って、その復旧も速やかに行なうことができる。
半導体工場でFFユニット40が停止すると、生産工程の停止に至る場合もあり、原因究明に要する時間は短いほどよい。このことから、この第3の実施形態では、永久磁石同期モータ21とモータ制御装置1との未接続が発生すれば、これを速やかに特定できるものであるから、生産が停止する時間を極めて短縮することが可能となる。
次に、各FFユニット40での永久磁石モータ21とモータ制御装置1との未接続の検出のタイミングについて、説明する。
FFユニット監視制御システムは、電源の投入により、立ち上げが開始し、立ち上げが完了すると、FFユニット40毎にポーリングを行なってその永久磁石同期モータを起動させる。この起動のときに、先の第1の実施形態のように、運転モードが設定されて、その位置決めモードでが設定されて永久磁石モータ21とモータ制御装置1との未接続の有無の検出が行なわれる。そして、次のポーリングがあったとき、この検出結果が中央監視制御部44に送信され、モニタ46に表示される。未接続がある場合には、警報が発せられる。
また、FFユニット監視制御システムが電源の投入があってから立ち上げが完了するまで長時間を要するものであるが、より迅速にFFユニット40の運転開始とこの未接続の有無を検出することができるようにすることができる。
即ち、電源の投入とともに、FFユニットコントローラ42がモータ制御装置1に指令を送り、永久磁石同期モータ21を起動させて運転を開始させる。この場合、FFユニット監視制御システムは立ち上がっておらず、制御を行なうことはできないが、とりあえず永久磁石同期モータ21が起動するように設定されるものである。
そして、FFユニット監視制御システムが立ち上がり完了したときには、各FFユニット40では、永久磁石同期モータ21は既に起動が完了して回転状態にあるが、FFユニット監視制御システムは、立上りを完了すると、各FFユニット40に対してポーリングを行ない、これを受けたFFユニット40では、FFユニットコントローラ42の指令により、モータ制御装置1が永久磁石同期モータ21に上記の位置決めモードと同様の、通常運転の場合には必要のない徐々に増加する直流のモータ電流Iを流すモードに所定時間設定し、このモード中に、モータ制御装置1により、上記のようにして、永久磁石同期モータ1とモータ制御装置との未接続の有無を検出するものである。
これにより、FFユニット監視制御システムでは、その立ち上げ後のポーリングを持つことなく、永久磁石同期モータ1が運転状態にあって、FFユニット40は稼働状態にあり、最初のポーリングで永久磁石同期モータ1とモータ制御装置との未接続の有無を検出を行なうことができることになる。
次に、本発明による同期モータの制御方法及び制御装置の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、FFユニットのエラー警報動作が正常に行なわれるものであるか否かを、容易に確認できるようにするものである。ここで、エラー警報動作とは、エラーが生じた際に、それを検出して間違いなく警報を発する動作である。
FFユニットをクリーンルームなどに設置する場合、規模の大きいクリーンルームなどの場合、1万台以上のFFユニットが設置されることもある。このようにFFユニットを設置する際には、夫々毎にエラー警報動作が正常に行なわれるか、確認する場合がある。FFユニットでは、例えば、永久磁石同期モータで過電流が検出されたときなどで、エラー信号を発生して警報を発生させるようにしたエラー警報手段が備わっているが、このエラー警報手段が正常に動作するかどうかを確認するために、永久磁石同期モータに過電流を発生させて警報が発生するか否かを試すようにしている。しかし、クリーンルームなどのエリアでかかるFFユニットを数多く使用する場合には、FFユニット1台1台について、このように過電流を発生されてかかるエラー警報手段の動作の確認作業を行なうのは、非常な手間と時間がかかるものである。
この第4の実施形態では、FFユニットに図1に示す構成が用いられているものとして、かかるエラー警報手段の確認作業を容易に行なうことができるようにするために、FFユニットでの図1での警報/表示器23を通常設けられているエラー警報手段とするものである。即ち、この警報/表示器23は、永久磁石同期モータ21に過電流が発生するなどのエラーが発生した場合、これを検出することによって得られるエラー信号によって警報を発するものであって、第4の実施形態では、この警報/表示器23に未接続検出器22を接続し、この未接続検出器22が、上記のようにして、永久磁石同期モータ21とモータ制御装置1との未接続を検出した場合も、このことを表示し、警報を発するものである。
かかる構成において、警報/表示器23の動作が正常か否かを検出確認する場合には、永久磁石同期モータ21の電力変換部4との接続を外し、かかる状態で電源を投入して永久磁石同期モータ21を起動させる。この場合、永久磁石同期モータ21はモータ制御装置1と未接続の状態にあるから、これが、上記のように、未接続検出器22によって検出され、警報/表示器23が正常に動作するものであれば、警報が発せられるものであり、警報/表示器23が異常であれば、警報は発せられないことになる。
このように、この第4の実施形態では、永久磁石同期モータ21とモータ制御装置1との接続を外し、永久磁石同期モータ21を起動させるだけという簡単な作業でもって、エラー警報手段が正常に動作するものか否かを迅速に確認することができるものであり、例えば、1万台という多数のFFユニットについて、エラー警報動作が正常であるか否かの確認も、手間が掛からず、迅速に行なうことができる。
なお、上記第2〜第4の実施形態では、FFユニットを例に説明したが、本発明は、これに限らず、空気圧縮器やポンプなどの永久磁石同期モータが搭載された機器に同様に適用可能である。