以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。カード処理装置100は、カードの挿入および排出を行う挿入排出部1、一括排出する複数枚のカードを重ね合わせるためのカードスタック部2、排出したカードを再度取り込む際にカードを格納するための格納部3、および後方の処理部(図示省略)との間でカードの受け渡しを行う搬送部4の4つのブロックから構成される。
挿入排出部1は、カードの出入口aを開閉するためのシャッタ5と、このシャッタ5を駆動するアクチュエータとしてのソレノイド6とを備えている。ソレノイド6は、コイルへの通電によりプランジャが吸引されてON状態となり、通電の停止により自動復帰用のばね力でプランジャが復帰してOFF状態となる。シャッタ5は、ソレノイド6のプランジャと連動して動作し、ソレノイド6のOFF時はシャッタ5が閉位置(図1)にあり、ソレノイド6のON時はシャッタ5が開位置(図7)へ移動する。カードの挿入・排出時以外は、シャッタ5は閉じている。
カードスタック部2には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ7、8が対向して設けられている。上側の搬送ローラ7は固定式の搬送ローラである。下側の搬送ローラ8は、本発明における可動ローラの一例であって、後述するように、カードの厚みに追従して変位可能となっている。また、カードスタック部2には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持するスタックガイド10、および搬送ローラ8の駆動源となるソレノイド12が設けられている。11は、ソレノイド12により搬送ローラ8を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド12がONすると、搬送ローラ8は、図示しないアームを介して回転支点11を中心として下側に回動する。13は、搬送ローラ7、8の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。センサ13としては、例えば、投光素子と受光素子とを備えた光センサを用いることができる。なお、スタックガイド10は、搬送ローラ8が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド12は、ソレノイド6と同様に、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド12のOFF時には、搬送ローラ8は閉位置(図1)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は近接した状態にある。なお、ここでいう近接とは当接も含む概念である(以下同様)。一方、ソレノイド12のON時には、搬送ローラ8は開位置(図2)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は離間した状態にある。
格納部3には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ18、19が対向して設けられている。上側の搬送ローラ19は、駆動力が付与されない従動ローラであり、下側の搬送ローラ18との間にカードを挟持した状態で、下側の搬送ローラ18の回転に従動して回転する。これらの搬送ローラ18、19は、本発明における第2の搬送ローラの一例である。また、格納部3には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持する格納ガイド20、および搬送ローラ18の駆動源となるソレノイド22が設けられている。21は、ソレノイド22により搬送ローラ18を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド22がONすると、搬送ローラ18は、図示しないアームを介して回転支点21を中心として下側に回動する。23は、搬送ローラ18、19の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。センサ23としては、センサ13と同様の光センサを用いることができる。なお、格納ガイド20は、搬送ローラ18が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド22は、ソレノイド6、12と同様に、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド22のOFF時には、搬送ローラ18は閉位置(図1)にあって、搬送ローラ18と搬送ローラ19は近接した状態にある。一方、ソレノイド22のON時には、搬送ローラ18は開位置(図8)にあって、搬送ローラ18と搬送ローラ19は離間した状態にある。
搬送部4には、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ14、15が対向して設けられており、また、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、搬送されるカードを案内するための下搬送ガイド16、および搬送ローラ7、8、14、15、18を共通に駆動するためのステッピングモータ17を備えている。
上搬送ガイド9と、スタックガイド10、格納ガイド20、および下搬送ガイド16との間に、カードが搬送されるカード搬送路bが形成される。
次に、上述した構成からなるカード処理装置100の動作につき、図2〜図12を参照して説明する。以下では、3枚のカードを取り込み、装置内で必要な処理を実行した後、これらのカードを重ねて一括排出する場合を例に挙げて説明する。
取り込まれた3枚のカードは、搬送部4の後方(図で左側)にある図示しない処理部に保持されている。カードを排出する場合は、まず、図2のように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を搬送ローラ7から離間させ、カードを一時的に保留するための保留部24を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、図3に示すように、処理部から送られてきた1枚目のカード32を、矢印で示す排出方向に搬送する。
搬送された1枚目のカード32が格納部3の搬送ローラ18、19を通過し終ると、カード32は、図4に示すように、保留部24に落とし込まれる。また、センサ23が、1枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過したことを検知(遮光から透光への変化を検知)すると、2枚目のカードの搬送へ移行する。2枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過し終ると、このカードは保留部24に落とし込まれ、1枚目のカードの上に重ねられる。3枚目のカードについても同様に、搬送ローラ18、19を通過し終ると保留部24に落とし込まれ、2枚目のカードの上に重ねられる。この結果、図5に示すように、保留部24には3枚のカード32が重なった状態で保留される。
3枚目のカードの重ね合わせが終わった時点で、ステッピングモータ17を停止する。そして、ソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ8を閉状態に戻し、図6に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持する。このとき、搬送ローラ8は、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、カード32に圧接する。次に、図7に示すように、挿入排出部1のソレノイド6をONしてシャッタ5を開状態にするとともに、ステッピングモータ17を排出方向に駆動して搬送ローラ7、8を回転させ、重ね合わせた3枚のカード32を出入口aから一括排出する。
排出したカード32が抜き取られないまま所定時間が経過し、取り忘れと判断された場合は、カードの再取り込み動作に移行する。まず、図8のように、格納部3のソレノイド22をONして搬送ローラ18を搬送ローラ19から離間させ、再取り込み時のカード32を格納するための再格納エリアとなる空間部25を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、図8に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持して、矢印で示す取り込み方向に搬送する。そして、全てのカード32が搬送ローラ7、8を通過したことをセンサ13が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、搬送ローラ7、8を回転させてカード32の搬送を行う。これにより、カード32は格納部3の空間部25へ送られる。このとき、格納部3の搬送ローラ18、19が離間しているため、空間部25ではカードに対して搬送力は付与されない。したがって、カード32は、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止し、図9に示すように、整列して重なった状態で空間部25に格納される。この空間部25は保留部24(図2)と隣接しているので、保留部24となる空間の一部をカード32の格納空間に利用することができる。したがって、カード32は、空間部25と保留部24とにまたがって格納され、空間部25にはカード32の一部が格納される。
ここで、排出したカード32に対する顧客の操作等に起因して、カード32の重なりにずれが生じ、図10に示すように、上下のカード32a、32cに挟まれた中間のカード32bだけが排出方向に飛び出した状態となった場合を考える。このとき、上下のカード32a、32cは排出搬送ローラ7、8により搬送されるが、格納部3の搬送ローラ18、19が離間しているため、空間部25ではカードに対して搬送力は付与されない。したがって、上下のカード32a、32cは、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止する。
一方、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通過し終わると、搬送ローラ8がソレノイド1の復帰ばね力によりカードの厚みに追従して上方へ変位し、中間のカード32bに圧接する。これにより、カード32bは搬送ローラ7、8に挟持されて、図11に示すように装置内部に取り込まれる。そして、カード32bは、その後端が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点、すなわち先に通過したカード32a、32cと同じ位置まで搬送された時点で停止する。この結果、図9で示したように、3枚のカード32は整列して重なった状態で空間部25に格納される。したがって、再取り込み開始時点でずれた状態にあるカード(図10)と、ずれていないカード(図8)のいずれを再取り込みする場合においても、全てのカード32を取り込んで同一の位置に整列させることができる。
再取り込みしたカードを再び排出する場合は、図12に示すように、ソレノイド22をOFFにして、格納部3の搬送ローラ18を閉状態に戻す。このとき、搬送ローラ18は、ソレノイド22の復帰ばね力によりカード32に圧接し、カード32が搬送ローラ18、19に挟持される。また、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を開き、カード32を一時保留する保留部24を確保する。この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、搬送ローラ18、19を回転させて、全てのカード32が搬送ローラ18、19を通過したことをセンサ23が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、カード32の搬送を行う。この結果、カード32は図5で示した状態となるので、以降は図6および図7と同様のカード排出動作を行えばよい。このような再取り込みしたカードの再排出は、金融機関等の係員の操作により行われる。
図24〜図26は、上述したカード処理装置100の動作を示したフローチャートである。これらの手順は、図示しない処理部に備わる制御回路のCPUにより実行される。
図24はカード排出時の手順を示している。ステップS1では、ソレノイド12をONし、カードスタック部2に保留部24を確保する(図2)。ステップS2で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS3で、カードを1枚搬送する(図3)。そして、ステップS4で、カードが搬送ローラ18、19を通過し終わったか否かをセンサ23で監視し、通過が検知されると(図4)、ステップS5で、所定枚数のカードの通過が完了したかどうかを判定する。通過が完了してなければ(ステップS5:NO)、ステップS3へ戻り、通過が完了すれば(ステップS5:YES)、ステップS6へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図5)。
続いて、ステップS7でソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ7、8で保留部24のカード32を挟持し(図6)、ステップS8でソレノイド6をONにして、シャッタ5を開く。そして、ステップS9で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS10で、重なったカード32を排出位置まで搬送する(図7)。排出位置まで搬送したかどうかは、ステッピングモータ17の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。
その後、ステップS11で、排出したカード32が抜き取られたかどうかをセンサ13の出力に基づいて監視し、カードが抜き取られた場合は(ステップS11:YES)、処理を終了する。また、カードが抜き取られなかった場合は(ステップS11:NO)、ステップS12で、所定時間が経過したかどうかを監視する。所定時間が経過しないうちは(ステップS12:NO)、ステップS11、S12を反復する。そして、所定時間が経過すると(ステップS12:YES)、ステップS13のカード再取り込み動作へ移行する。
図25は、ステップS13のカード再取り込み動作の詳細手順である。ステップS21で、ソレノイド22をONして、格納部3に空間部25を確保する(図8)。ステップS22で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、ステップS23で、重なったカード32を搬送ローラ7、8により搬送する(図8、図10、図11)。そして、ステップS24で、全てのカードが搬送ローラ7、8を通過し終わったか否かをセンサ13で監視し、通過が検知されると、ステップS25へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図9)。
図26はカード再排出時の手順を示している。ステップS31で、ソレノイド22をOFFして、搬送ローラ18、19でカード32を挟持し、ステップS32で、ソレノイド12をONして、カードスタック部2に保留部24を確保する(図12)。そして、ステップS33で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS34で、重なったカード32を排出位置まで搬送し(図7)、ステップS35で、ステッピングモータ17を停止する。その後、図24のステップS7へ移り、以降の手順によりカード32を再排出する。
以上述べた第1実施形態のカード処理装置100においては、排出したカード32の再取り込み時には、カード32の厚みに追従して搬送ローラ8が変位するので、図10のように排出方向にずれたカード32bに対しても、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラ7、8を通り抜けたカードは、搬送力のない空間部25に格納されるため、先に通過したカード32a、32cと、ずれにより遅れて搬送されるカード32bとは、いずれも搬送ローラ7、8を通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカード32を確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカード32は整列状態にあるため、再排出が容易となる。
また、第1実施形態では、空間部25がカード搬送路bの途中に設けられており、空間部25を含むカード搬送路bが直線となっている。このため、カードを曲げる等の余分な負荷をカード32に与える必要がないので、カード32に対する負荷が少なくて済み、カード32が搬送路bの途中で引っかかる可能性も低くなる。
また、第1実施形態では、空間部25を保留部24に隣接して設けており、空間部25をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部24となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部25のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
さらに、第1実施形態では、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位させるようにしているので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係るカード処理装置の概略構成図である。図13において、図1と同一部分または対応部分には、同一符号を付してある。カード処理装置200は、挿入排出部1、カードスタック部2、格納部3、および搬送部4の4つのブロックから構成される。挿入排出部1と搬送部4の構成は図1と同じであるが、カードスタック部2と格納部3の構成は図1と異なっている。したがって、以下では挿入排出部1と搬送部4についての説明は省略し、カードスタック部2と格納部3について説明する。
格納部3において、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ18、26が対向して設けられている。搬送ローラ18、26のそれぞれには、ステッピングモータ17により駆動力が付与される。また、格納部3には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9と下搬送ガイド20、再取り込み時のカードを格納するための再格納エリアとなる空間部25、空間部25に格納したカードを押し出すための押し板29、押し板29に連結されたタイミングベルト30、およびタイミングベルト30を駆動するためのギアモータ31が設けられている。ここでは、空間部25は、下搬送ガイド20を延長してU字形に折曲することにより形成されているが、下搬送ガイド20とは別に設けたU字形の部材により空間部25を形成してもよい。23は搬送ローラ18、26の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。
カードスタック部2において、カードの挟持および搬送を行うための一対の搬送ローラ7、8が対向して設けられている。この搬送ローラ7、8は、図1のものと同じである。また、カードスタック部2には、カードの搬送方向を規制するための上搬送ガイド9、重なったカードを保持するスタックガイド10、および搬送ローラ8の駆動源となるソレノイド12が設けられている。11は、ソレノイド12により搬送ローラ8を下側に開く際の回転支点であり、ソレノイド12がONすると、搬送ローラ8は、図示しないアームを介して回転支点11を中心として下側に回動する。13は、搬送ローラ7、8の横に配置され、カードが通過したことを検知するためのセンサである。スタックガイド10は、搬送ローラ8が開閉する動作に追従して、上下にスライド可能となっている。ソレノイド12は、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド12のOFF時には、搬送ローラ8は閉位置(図13)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は近接した状態にある。一方、ソレノイド12のON時には、搬送ローラ8は開位置(図14)にあって、搬送ローラ7と搬送ローラ8は離間した状態にある。以上に関しては、図1と基本的に同じである。
カードスタック部2には、さらに、カードを再取り込みする際に搬送方向を切り替えて、カードを空間部25に導くための案内部材27と、この案内部材27の駆動源となるソレノイド28とが設けられている。ソレノイド28は、ばね力によりOFF状態へ自動復帰するソレノイドである。ソレノイド28のOFF時には、案内部材27は図13の状態にあって、取り込まれたカードを格納部3および搬送部4の搬送路bに案内する。一方、ソレノイド28のON時には、案内部材27は下方へ回動して図19の状態に切り替わり、取り込まれたカードを格納部3の空間部25へ案内する。
次に、上述した構成からなるカード処理装置200の動作につき、図14〜図23を参照して説明する。以下では、3枚のカードを取り込み、装置内で必要な処理を実行した後、これらのカードを重ねて一括排出する場合を例に挙げて説明する。
取り込まれた3枚のカードは、搬送部4の後方(図で左側)にある図示しない処理部に保持されている。カードを排出する場合は、まず、図14のように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を搬送ローラ7から離間させ、カードを一時的に保留するための保留部24を確保する。そして、この状態で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、処理部から送られてきた1枚目のカード32を、矢印で示す排出方向に搬送する。
搬送された1枚目のカード32が格納部3の搬送ローラ18、19を通過し終ると、カード32は、図15に示すように、保留部24に落とし込まれる。また、センサ23が、1枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過したことを検知(遮光から透光への変化を検知)すると、2枚目のカードの搬送へ移行する。2枚目のカードが搬送ローラ18、19を通過し終ると、このカードは保留部24に落とし込まれ、1枚目のカードの上に重ねられる。3枚目のカードについても同様に、搬送ローラ18、19を通過し終ると保留部24に落とし込まれ、2枚目のカードの上に重ねられる。この結果、図16に示すように、保留部24には3枚のカード32が重なった状態で保留される。
3枚目のカードの重ね合わせが終わった時点で、ステッピングモータ17を停止する。そして、ソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ8を閉状態に戻し、図17に示すように、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持する。このとき、搬送ローラ8は、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、カード32に圧接する。次に、図18に示すように、挿入排出部1のソレノイド6をONしてシャッタ5を開状態にするとともに、ステッピングモータ17を排出方向に駆動して搬送ローラ7、8を回転させ、重ね合わせた3枚のカード32を出入口aから一括排出する。ここまでの動作は、第1実施形態の場合(図2〜図7)と基本的に同じである。
排出したカード32が抜き取られないまま所定時間が経過し、取り忘れと判断された場合は、カードの再取り込み動作に移行する。まず、図19のように、ソレノイド28をONして案内部材27を下げ、再取り込みされるカード32の搬送方向を空間部25側に切り替える。そして、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、搬送ローラ7、8により3枚のカード32を挟持して、矢印で示す取り込み方向に搬送する。そして、全てのカード32が搬送ローラ7、8を通過したことをセンサ13が検知(遮光から透光への変化を検知)するまで、搬送ローラ7、8を回転させてカード32の搬送を行う。これにより、カード32は、案内部材27に案内されて格納部3の空間部25へ送られる。このとき、空間部25には搬送力を付与する手段がないので、カード32は、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止し、図20に示すように、整列して重なった状態で空間部25に格納される。この空間部25は保留部24(図14)と隣接しているので、保留部24となる空間の一部をカード32の格納空間に利用することができる。したがって、カード32は、空間部25と保留部24とにまたがって格納され、空間部25にはカード32の一部が格納される。
ここで、排出したカード32に対する顧客の操作等に起因して、カード32の重なりにずれが生じ、図21に示すように、上下のカード32a、32cに挟まれた中間のカード32bだけが排出方向に飛び出した状態となった場合を考える。このとき、上下のカード32a、32cは排出搬送ローラ7、8により搬送されるが、空間部25ではカードに搬送力が付与されないため、上下のカード32a、32cは、その後端(図では右端)が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点で、搬送力を受けなくなって停止する。
一方、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通過し終わると、搬送ローラ8がソレノイド1の復帰ばね力によりカードの厚みに追従して上方へ変位し、中間のカード32bに圧接する。これにより、カード32bは搬送ローラ7、8に挟持されて、図22に示すように装置内部に取り込まれる。そして、カード32bは、その後端が搬送ローラ7、8を通過し終わった時点、すなわち先に通過したカード32a、32cと同じ位置まで搬送された時点で停止する。この結果、図20で示したように、3枚のカード32は整列して重なった状態で空間部25に格納される。したがって、再取り込み開始時点でずれた状態にあるカード(図21)と、ずれていないカード(図19)のいずれを再取り込みする場合においても、全てのカード32を取り込んで同一の位置に整列させることができる。
再取り込みしたカードを再び排出する場合は、図23に示すように、カードスタック部2のソレノイド12をONして搬送ローラ8を開き、カード32を一時保留する保留部24を確保する。そして、この状態でギアモータ31を駆動し、タイミングベルト30を介して、押し板29を矢印で示すカード排出方向に移動させ、空間部25のカード32を保留部24へ押し出す。この結果、カード32は図16で示した状態となるので、以降は図17および図18と同様のカード排出動作を行えばよい。このような再取り込みしたカードの再排出は、金融機関等の係員の操作により行われる。なお、図23では、案内部材27が下がった状態となっているが、案内部材27を上がった状態にしてもよい。
図27〜図29は、上述したカード処理装置200の動作を示したフローチャートである。これらの手順は、図示しない処理部に備わる制御回路のCPUにより実行される。
図27はカード排出時の手順を示している。ステップS41では、ソレノイド12をONし、カードスタック部2に保留部24を確保する(図14)。ステップS42で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS43で、カードを1枚搬送する(図14)。そして、ステップS44で、カードが搬送ローラ18、26を通過し終わったか否かをセンサ23で監視し、通過が検知されると(図15)、ステップS45で、所定枚数のカードの通過が完了したかどうかを判定する。通過が完了してなければ(ステップS45:NO)、ステップS43へ戻り、通過が完了すれば(ステップS45:YES)、ステップS46へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図16)。
続いて、ステップS47でソレノイド12をOFFにして、搬送ローラ7、8で保留部24のカード32を挟持し(図17)、ステップS48でソレノイド6をONにして、シャッタ5を開く。そして、ステップS49で、ステッピングモータ17を排出方向に駆動し、ステップS50で、重なったカード32を排出位置まで搬送する(図18)。排出位置まで搬送したかどうかは、ステッピングモータ17の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。
その後、ステップS51で、排出したカード32が抜き取られたかどうかをセンサ13の出力に基づいて監視し、カードが抜き取られた場合は(ステップS51:YES)、処理を終了する。また、カードが抜き取られなかった場合は(ステップS51:NO)、ステップS52で、所定時間が経過したかどうかを監視する。所定時間が経過しないうちは(ステップS52:NO)、ステップS51、S52を反復する。そして、所定時間が経過すると(ステップS52:YES)、ステップS53のカード再取り込み動作へ移行する。
図28は、ステップS53のカード再取り込み動作の詳細手順である。ステップS61で、ソレノイド28をONして案内部材27を下げ(図19)、ステップS62で、ステッピングモータ17を取り込み方向に駆動し、ステップS63で、重なったカード32を搬送ローラ7、8により搬送する(図19、図21、図22)。そして、ステップS64で、全てのカードが搬送ローラ7、8を通過し終わったか否かをセンサ13で監視し、通過が検知されると、ステップS65へ進んで、ステッピングモータ17を停止する(図20)。
図29はカード再排出時の手順を示している。ステップS71で、ソレノイド12をONして、カードスタック部2に保留部24を確保する(図23)。ステップS72で、ギアモータ31を駆動し、ステップS73で、押し板29をカード排出方向に移動して、重なったカード32を押し出す(図23)。そして、ステップS74で、押し板29が所定量移動したかどうかを判定する。この判定は、ギアモータ31の回転数に基づいて判断してもよいし、図示しないセンサの検知出力に基づいて判断してもよい。押し板29が所定量移動してなければ(ステップS74:NO)、ステップS73へ戻り、所定量移動すれば(ステップS74:YES)、ステップS75で、ソレノイド28をOFFするとともに、ステップS76で、押し板29を元の位置へ戻す。その後、図27のステップS47へ移り、以降の手順によりカード32を再排出する。
以上述べた第2実施形態のカード処理装置200においては、排出したカード32の再取り込み時には、カード32の厚みに追従して搬送ローラ8が変位するので、図21のように排出方向にずれたカード32bに対しても、上下のカード32a、32cが搬送ローラ7、8を通り抜けた後に搬送力を伝えることができ、その結果、全てのカード32を搬送ローラ7、8を通り抜けるまで搬送することができる。そして、搬送ローラ7、8を通り抜けたカードは、搬送力のない空間部25に格納されるため、先に通過したカード32a、32cと、ずれにより遅れて搬送されるカード32bとは、いずれも搬送ローラ7、8を通り抜けた時点で停止することになる。したがって、全てのカード32を確実に装置内の同一位置に整列状態で取り込むことができる。また、取り込まれたカード32は整列状態にあるため、再排出が容易となる。
また、第2実施形態の場合は、空間部25がカード搬送路bから分岐した位置に設けられているため、カードの再取り込み時にカード32を曲げることになり、カード32の負荷が増加するが、押し板29の可動範囲を空間部25の後端からカード排出時のカード後端位置までの範囲に設定しておき、カード排出時にローラ7、8による搬送と合わせて、押し板29によるカードの押し出す動作を行うことにより、排出搬送力が大きくなって、より確実にカードを排出することができる。また、保留部24に保留されている重なったカード32を押し板29で押すことで、カード32を容易に整列させることもできる。さらに、第2実施形態では、搬送ローラ18、26の離間により空間部25を形成する必要がないので、搬送ローラ18、26を接離させるための駆動機構が不要となる。
また、第2実施形態においても、空間部25を保留部24に隣接して設けており、空間部25をカード全体が格納可能な大きさにしなくても、保留部24となる空間の一部をカード取り込み時の格納空間に利用することができる。このため、空間部25のスペースが少なくて済み、装置の大型化を抑制することができる。
また、第2実施形態においても、ソレノイド12の自動復帰用のばね力により、搬送ローラ8をカード32の厚みに追従して変位させるようにしているので、この追従のための専用部品が不要となり、部品点数の増加を抑制することができる。
本発明では、以上述べた以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、前記各実施形態においては、搬送ローラ7と搬送ローラ8の双方がステッピングモータ17の駆動力により回転する方式を例に挙げたが、片方の搬送ローラのみが回転する機構であっても、同様の効果が期待できる。
また、前記各実施形態においては、ソレノイド6、12、22、28、ステッピングモータ17、タイミングベルト30、ギアモータ31などの駆動手段を用いたが、これらの駆動手段は、同等の機能を有する他の駆動手段であってもよい。
また、前記各実施形態においては、キャッシュカードと振込みカードを例に挙げたが、本発明のカード処理装置で取り扱うカードは、クレジットカード、ICカード、IC付き磁気カード、非接触カード等であってもよい。
さらに、前記各実施形態においては、金融機関等のATMに搭載されるカード処理装置を例に挙げたが、本発明は、交通機関で用いられる定期券発行機などに搭載されるカード処理装置にも適用することができる。