JP5264113B2 - 光硬化性樹脂組成物及び、成型体及び、成型体の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)(a)1分子中に3以上のアクリル基及び/またはメタクリル基を含有する1種以上の単量体を、20〜60重量%の範囲で含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物であって、(b)光硬化反応によって結合して固形となる成分が98重量%以上であり、(c)25℃における粘度が10mPa・s以下であることを特徴とする、光硬化性樹脂組成物、
(2)N−ビニル化合物である単量体を、5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする、(1)に記載の光硬化性樹脂組成物、
(3)アクリル基及び/またはメタクリル基を含有するシリコン化合物を0.1〜10重量%の範囲で含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の光硬化性樹脂組成物、
(2)成型体を構成する樹脂が(a)1分子中に3以上のアクリル基及び/またはメタクリル基を含有する1種以上のユニットを、20〜60重量%の範囲で含有することを特徴とする、(1)に記載の成型体。
(3)成型体を構成する樹脂がN−ビニル化合物であるユニットを、5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする、(2)に記載の成型体。
(4)成型体を構成する樹脂がアクリル基及び/またはメタクリル基を含有するシリコン化合物を0.1〜10重量%の範囲で含有することを特徴とする、(2)または(3)に記載の成型体。
(5)プラスチックフィルム上に形成され、JIS K−5600−5−6に準拠した碁盤目剥離試験で、分類1以上の基材付着性を示すことを特徴とする、(2)〜(4)に記載の成型体、
(7)前記光硬化性樹脂組成物が、N−ビニル化合物である単量体を、5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする、(6)に記載の成型体の製造方法、
(8)前記光硬化性樹脂組成物が、アクリル基及び/またはメタクリル基を含有するシリコン化合物を0.1〜10重量%の範囲で含有することを特徴とする、(6)または(7)に記載の成型体の製造方法。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記のような、1分子中に3以上のアクリル基及び/またはメタクリル基を含有する1種以上の単量体を、20〜60重量%の範囲で含有する。含有量を20重量%以上とすることで、十分な強度の成型体が得られるうえ、高架橋密度となり、成型体からブリードアウトしてしまうような、低重合度オリゴマーの副生及びブリードアウトを最低限に抑えることができる。また、含有率を60重量%以下とすることで、本発明の光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度を10mPa・s以下とする条件を満たしつつ、組成を設計することが容易になるうえ、成型体の硬化収縮によるそり変形を最低限に抑えることが出来る。より好ましくは25〜50重量%の範囲であり、さらに好ましくは30〜40重量%の範囲である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上述の単量体の他に、粘性の調整及び、硬化物の諸物性を調整する目的で別の単量体を配合することが好ましく、光重合開始剤を配合することも好ましい。
使用できる単量体及びオリゴマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、n−ブトキシエチルアクリレート、ブトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、カプロラクトンアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート4級化物、アクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、PEG#200ジアクリレート、PEG#400ジアクリレート、PEG#600ジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル1,5−ペンタンジオールジアクリレート、2−ブチルー2−エチル1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、2−ヒドロキシー3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、テトラフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、パーフロロオクチルエチルアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴアクリレート、エチルカルビトールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、N−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、イソミリスチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n−ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、カプロラクトンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物、メタクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコールメタクリル酸安息香酸エステル、2−メタクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、PEG#200ジメタクリレート、PEG#400ジメタクリレート、PEG#600ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3−メチル1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、2−ブチルー2−エチル1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシー3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、テトラフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレート、ノニルフェノールEO付加物メタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴメタクリレート、エチルカルビトールオリゴメタクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴメタクリレート、トリメチロールプロパンオリゴメタクリレート、ペンタエリスリトールオリゴメタクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、テトラメチルピペリジルメタクリレート、パラクミルフェノールEO変性メタクリレート、N−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソシアヌル酸EO変性ジメタクリレート、3−エチルー3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチルー3−{〔(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ〕メチル}オキセタン、3−エチルー3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチルー3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチルー3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ〕ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。
また本発明の光硬化性樹脂組成物は、異物(パーティクル)が、ろ過などの手法で除去されているものが好ましい。ろ過の場合、捕捉出来る最小粒子径が1μm以下のフィルターを使用することが好ましく、0.5μm以下のものがさらに好ましい。いずれの最小粒子径でも、フィルターの捕捉効率は99.9%以上であることが好ましい。
該成型体は、使用目的に応じて有機物、無機物を問わず任意の基材の上に成型することが可能であるが、例えば、ロールプロセスによって、大面積の光学部材を製造する場合には、基材としてポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ボリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、嵩高環状オレフィン樹脂等のプラスチックシート及びフィルムを用いることが好ましく、特にトリアセチルセルロース樹脂や、嵩高環状オレフィン樹脂は透明性に優れ、低複屈折率であるために好ましく使用できる。一般に、トリアセチルセルロース樹脂や、嵩高環状オレフィン樹脂は、光硬化性樹脂組成物との付着性が不良であり、成型体が剥離して微粉を発生する問題があるが、光ナノインプリントのプロセスは通常クリーンルーム内で実施されるので、成型体と基材との付着性の改善が求められていた。本発明の成型体のプラスチック基材への付着性は、JIS K−5600−5−6に準拠した碁盤目剥離試験で、分類1以上であることが好ましく、より好ましくは分類0である。
(粘度の測定)
E型粘度計(東機産業製型番RE550L)を用い、試料量1.0mlで評価した。粘度の測定は全て25℃で行った。
1辺3cmの正方形よりも広い面を有する成型体を5枚、同方向に積層した試料について、1辺3cmの正方形の圧縮治具を取り付けた圧縮試験機(インストロン製型番5581)を用い、室温(23℃)にて、試料の厚み方向に所定の圧縮荷重を1時間に渡って加え続けた。荷重を除去した後、成型体の表面凸凹構造の断面形状を走査型電子顕微鏡(日立製型番S4700FE−SEM)で観察し、圧縮処理の前後で変形の無いものを○、変形が認められたものを×とした。
JIS K−5600−5−6に準拠した碁盤目剥離試験で、成型体の表面に2mmの間隔で、クロス状に25マスの切れ込みを入れ、剥離の状況から基材への付着力を評価した。
基材のプラスチックフィルムに光硬化性樹脂組成物を塗布し、これに35mm×100mmの大きさのモールドを押し付けて、基材側からメタルハライドランプ(ウシオ電機製型番UVC−2519−1MNSC7−MS01)で、1J/cm2の光量で光硬化させた試料について、引張試験機(エー・アンド・デイ製型番RTG−1210)を用い、室温(23℃)にて、1m/分の速度で90度剥離試験を行い、モールドからの離型性を評価した。
三官能以上のアクリレート化合物である単量体としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を20重量%、その他の単量体としてヘキサメチレンジアクリレート(HDDA)を47重量%、ラウリルアクリレートを30重量%、光重合開始剤としてダロキュア1173(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を3重量%配合し、異物をろ過して光硬化性樹脂組成物(組成物1)を作成した。組成物1の粘度は6.8mPa・sであった。組成物1には微量の不純物は含まれるものの、99重量%以上が光硬化反応によって結合して固体となる成分からなる、光硬化性樹脂組成物であった。
また、耐圧縮試験に用いたものと同様にして製造した成型体について、碁盤目剥離試験を実施した結果、分類0(カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。)と判定された。
これらの結果を表1にまとめて示した。
三官能以上のアクリレート化合物である単量体としてTMPTAを32重量%、N−ビニル化合物である単量体としてN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)を33重量%、その他の単量体として1,9ノナンジオールジアクリレートを33重量%、光重合開始剤としてダロキュアTPO(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を2重量%配合し、異物をろ過して光硬化性樹脂組成物(組成物2)を作成した。組成物2の粘度は7.9mPa・sであった。組成物2には微量の不純物は含まれるものの、99重量%以上が光硬化反応によって結合して固体となる成分からなる、光硬化性樹脂組成物であった。
組成物2は、一般に光硬化性樹脂組成物との付着性が不良であるといわれているトリアセチルセルロース樹脂や、嵩高環状オレフィン樹脂への接着も良好であり、プラスチックフィルム基材をトリアセチルセルロースフィルムTD80UL(富士写真フィルム製)及び、嵩高環状オレフィンフィルムARTON(JSR製)に変更した以外、実施例1と同様にして各種評価を実施した。
これらの結果を表1にまとめて示した。
三官能以上のアクリレート化合物である単量体としてTMPTAを32重量%、N−ビニル化合物である単量体としてNVPを33重量%、アクリル基を含有するシリコン化合物としてシリコンジアクリレートを0.5重量%、その他の単量体として1,9ノナンジオールジアクリレートを32.5重量%、光重合開始剤としてダロキュアTPO(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を2重量%配合し、異物をろ過して光硬化性樹脂組成物(組成物3)を作成した。組成物3の粘度は8.0mPa・sであった。組成物3には微量の不純物は含まれるものの、99重量%以上が光硬化反応によって結合して固体となる成分からなる、光硬化性樹脂組成物であった。
組成物3についても、実施例2と同様にトリアセチルセルロースフィルム基材を用いて各種評価を実施した。組成物3は、光硬化物のモールドからの剥離力が著しく低減されており好ましい。これらの結果を表1にまとめて示した。
三官能以上のアクリレート化合物である単量体としてTMPTAを20重量%、アクリル基を含有するシリコン化合物としてシリコンジアクリレートを0.5重量%、その他の単量体としてHDDAを46.5重量%、ラウリルアクリレートを30重量%、光重合開始剤としてダロキュア1173(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を3重量%配合し、異物をろ過して光硬化性樹脂組成物(組成物4)を作成した。組成物4の粘度は6.8mPa・sであった。組成物4には微量の不純物は含まれるものの、99重量%以上が光硬化反応によって結合して固体となる成分からなる、光硬化性樹脂組成物であった。
組成物4は、実施例1と同様にPETフィルム基材を用いて各種評価を実施した。組成物4は、光硬化物のモールドからの剥離力が著しく低減されており好ましい。これらの結果を表1にまとめて示した。
三官能以上のアクリレート及びメタクリレート化合物を含有しないものの、低粘度の光硬化性樹脂組成物の例として、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレートを30重量%、N−ビニル化合物である単量体としてNVPを68重量%、光重合開始剤としてダロキュアTPO(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を2重量%配合し、異物をろ過して光硬化性樹脂組成物(組成物5)を作成した。組成物5の粘度は9.1mPa・sであった。組成物5には微量の不純物は含まれるものの、99重量%以上が光硬化反応によって結合して固体となる成分からなる、光硬化性樹脂組成物であった。
組成物5について、トリアセチルセルロースフィルム基材に塗布すると、基材に浸透して変形させ、平坦性が失われるため、実施例1と同様にPETフィルム基材を用いて各種評価を実施した。組成物5の場合、モールドから離型する際、モールド側に硬化物の付着残りが広範囲に認められた。また、耐圧縮試験では走査型電子顕微鏡観察の結果、微細構造が横倒しになっているなどの変形が認められた。これらの結果を表1にまとめて示した。該成型体には、この他にも著しい吸水膨張の問題や、温水抽出での低架橋度オリゴマーのブリードアウトなどの問題があった。
三官能以上のアクリレートを過剰に含有する例として、TMPTAを70重量%、N−ビニル化合物である単量体としてNVPを28重量%、光重合開始剤としてダロキュアTPO(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を2重量%配合し、異物をろ過して光硬化性樹脂組成物(組成物6)を作成した。組成物6の粘度は12.9mPa・sであった。組成物6には微量の不純物は含まれるものの、99重量%以上が光硬化反応によって結合して固体となる成分からなる、光硬化性樹脂組成物であった。
組成物6について、実施例2と同様にトリアセチルセルロースフィルム基材を用いて各種評価を実施した。組成物6の成型体は脆く、碁盤目剥離試験の際、微粉が多量に発生する問題があった。また硬化収縮による成型体の反りが大きく、平坦なものが得られなかった。これらの結果を表1にまとめて示した。
従来の高粘度の光硬化性樹脂組成物の例として、PAK−01(東洋合成製)を使用した。この樹脂組成物の粘度は72.0mPa・sであった。
PAK−01について、実施例1と同様にPETフィルム基材を用いて各種評価を実施した。該樹脂の場合、粘度が高いので、モールドを押し付けるときの樹脂の脱泡や、均一な厚みの塗膜形成に注意を要した。また、モールドから離型する際、離型力が大きいうえモールド側に硬化物の付着残りが複数個所に認められる問題があった。これらの結果を表1にまとめて示した。
前記の組成物3を用い、以下のロールプロセスによって、連続的に成型体を製造した。連続的に搬送されるトリアセチルセルロール樹脂のロールフィルムに、組成物3を連続的に塗布し、次いで表面に高さ240nm、幅120nm、ピッチ240nmのライン・アンド・スペース構造を有するニッケル製の、幅100mm、直径80mmの円筒型の、45〜55℃の範囲で温度調節された、回転するモールドに押し付けて、フィルム側から1J/cm2の光量で光照射して連続的に硬化させ、連続的にモールドから剥離して、成型体をロール状に巻き取った。
成型は2時間以上安定的に実施でき、計画的に停止出来た。成型後のモールドには硬化物の付着残りは全く認められなかった。また製造された成型体の平坦性も、微細凸凹構造の転写性も良好であった。
前記の組成物4を用い、基材としてPETフィルムを用いた以外、実施例5と同様のロールプロセスで、連続的に成型体を製造した。
成型は2時間以上安定的に実施でき、計画的に停止出来た。成型後のモールドには硬化物の付着残りは全く認められなかった。また、微細凸凹構造の転写性も良好であり、特に成型体の平坦性及び膜厚み均一性の調整が、実施例5よりも容易に出来た。
参考として、組成物4に代えて組成物6を用いた以外、実施例6と同様のロールプロセスで、成型体の製造を試みたところ、モールド側に硬化物の付着残りが発生したため、連続的な製造は出来なかった。また、成型体の、モールド側の硬化物付着残りの影響を受ける以前の、初めて転写された部分についても厚みむらや気泡の混入が顕著に認められた。
Claims (7)
- (a)1分子中に3以上のアクリル基及び/またはメタクリル基を含有する1種以上の単量体を、20〜60重量%の範囲で含有し、(b)光硬化反応によって結合して固形となる成分が98重量%以上であり、(c)25℃における粘度が10mPa・s以下である光硬化性樹脂組成物を光硬化することで形成された膜状の成型体であって、
表面に規則的に形成された微細な凸凹構造を有し、凸凹構造は、深さが0.01〜20μmの範囲であり、少なくとも1方向のピッチが0.01〜20μmの範囲である、該成型体の厚み方向について0.5MPa以上の耐圧縮性能を有することを特徴とする成型体。 - 前記光硬化性樹脂組成物が、N−ビニル化合物である単量体を、5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする、請求項1に記載の成型体。
- 前記光硬化性樹脂組成物がアクリル基及び/またはメタクリル基を含有するシリコン化合物を0.1〜10重量%の範囲で含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の成型体。
- プラスチックフィルム上に形成され、JIS K−5600−5−6に準拠した碁盤目剥離試験で、分類1以上の基材付着性を示すことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の成型体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の成型体を製造する方法であって、該成型体の表面構造の反転形状である、凹凸構造を有するモールドに、(a)1分子中に3以上のアクリル基及び/またはメタクリル基を含有する1種以上の単量体を、20〜60重量%の範囲で含有し、(b)光硬化反応によって結合して固形となる成分が98重量%以上であり、(c)25℃における粘度が10mPa・s以下である光硬化性樹脂組成物を流し込み、光硬化させ、該モールドの温度を25〜100℃の範囲に保つことを特徴とする、成型体の製造方法。
- 前記光硬化性樹脂組成物が、N−ビニル化合物である単量体を、5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする、請求項5に記載の成型体の製造方法。
- 前記光硬化性樹脂組成物が、アクリル基及び/またはメタクリル基を含有するシリコン化合物を0.1〜10重量%の範囲で含有することを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の成型体の製造方法。
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