JP5264060B2 - 遠心力ポンプの側板を取り付けるための密封装置及びそれに使用される取付ねじ - Google Patents

Description

本発明は、遠心力ポンプのポンプ渦巻きに関連してしばしば使用される側板を取り付けるための密封装置、及びそれに使用される取付ねじに関する。

遠心力ポンプは、知られているように、主に吸引開口部及び排出開口部を有するいわゆる渦巻きと、渦巻きの内側で回転する羽根車とを備えている。ポンプの効率及び能力は、製造者と販売者の両方、及び特にエンド・ユーザにとって重要であるので、羽根車と渦巻きの間の間隙は最適でなくてはならない、すなわち多くの場合できるだけ小さくなくてはならない。最近の製造方法を使用することによって、新しいポンプ内の間隙を最適に製造することが可能である。しかし、異なる懸濁液などの僅かであるが侵食性の流体を汲み上げる場合に、特に渦巻きに面する羽根車の羽根の縁部は磨耗し、それによって渦巻きの前壁部に対する間隙が大きくなり、ポンプの効率が小さくなる。前記欠点を修正するため、例えば、羽根車の羽根に面するポンプ渦巻きの前壁部を調節可能にする。これを可能にするため、取外し可能な側板が渦巻きの前壁部に配置され、側板の位置はポンプの軸方向に調節することができる。

遠心力ポンプの渦巻きの調節可能な側板は、調節を可能にする少なくとも３個のねじでポンプ渦巻きに取り付けられている。側板は、２つのＯリングによって図１に示すように従来技術により密封される。Ｏリングの一方は側板の外縁部に配置され、もう一方は側板の内側円筒表面の直径に配置される。Ｏリングは、ポンプの圧力側と吸引側の両方で側板を密封し、それによって取付ねじとしても働く調節ねじは普通は、汲み上げられる液体に接触しない。Ｏリングがなんらかの理由で漏洩すると、汲み上げられる液体は側板の裏側に漏れ、調節ねじは液体に接触する。これはそれほど有害ではないが問題が起こる。というのは、汲み上げられる液体はポンプの外側に渦巻き内の調節又は取付ねじに配置された開口部を通して漏れる可能性があるからである。もちろん、最近の材料で製造されたＯリングがあり、上記の位置で使用することができるが、リングが大きいので、ポンプの残りとほとんど同じだけ費用がかかる。値段が高いので、このような構造は市場での競争力はない。

本発明の目的は、従来技術とは実質的に異なる、新しい種類の側板の取り付け及び密封方法を導入することによって、従来技術の遠心力ポンプに関する上記問題及び欠点の少なくとも一部を取り除くことである。

本発明の好ましい一実施例によると、ポンプ渦巻き及び側板を備える遠心力ポンプの側板をその取付ねじ、及びケーシングの渦巻き又はカバーに連結して配置されたねじフランジでの取付用密封装置の特徴は、環状シールがねじのフランジと渦巻きの間に配置されていることである。

本発明の別の好ましい実施例によると、その間に配置されたフランジ、及びねじを締め付けるようにねじの一端部に配置された手段を有すると共に、両端部でねじ込まれた、遠心力ポンプのケーシングの渦巻き又はカバーの側板の取付ねじの特徴は、密封リング用溝が締付手段に面する表面のフランジに配置されていることである。

すなわち、大きなＯリングは、本発明の好ましい一実施例によれば、圧力側からポンプの吸引側への漏洩流れを密封及び分離するように側板の外縁部に配置され、小さなＯリングはその間の隙間を密封し、漏洩流体が流出するのを防ぐように取付ねじのフランジとポンプ渦巻きの間に配置されている。大きなＯリングは完全に漏洩防止になっている必要はないが、小さな方のＯリングは機械的及び化学的負荷の両方に耐えなくてはならない。必要に応じて、アグレッシブ化学物質に耐えるＦＦＫＭなどの材料を密封リング材料として使用しなければならない。入手するのに費用がかからない小さなＯリングのおかげで、本発明の構造はかなり費用効率が良くなり、したがってより競争力もあるようになった。

本発明による遠心力ポンプの側板の取付用密封装置、及びそれに使用される取付ねじの他の特徴は、頭記の特許請求の範囲で明らかになる。

本発明による遠心力ポンプの側板の取付用密封装置、及びそれに使用される取付ねじを、例として、添付の図面を参照してより詳細に説明する。

図１によると、従来技術による遠心力ポンプは、吸引開口部１２及び圧力開口部１４を有する渦巻き１０と、渦巻き１０の内側でシャフト１６上に配置された稼動羽根２０を有する羽根車１８と、ポンプ後壁部２２と、軸受を有するポンプ・ケーシング２４とを備えている。図面はまた、少なくとも３つの調節ねじ３２を備えていることが好ましい渦巻きに取り付けられた、渦巻き１０のいわゆる調節可能な側板３０を示している。

図２は、従来技術による前記側板３０の構造及び取り付けをより詳細に示す。側板３０は、２つの径方向外側開口円筒表面３４、３６を備える環状部材である。表面３４は側板３０の外縁部に配置され、そこから小さな間隙内で渦巻き１０のより大きな円筒表面の内側に側板３０を案内する。より小さい直径を有する側板３０の第２の円筒表面３６は、そこから小さな間隙内で渦巻き１０の対応する円筒表面に対して配置される。この図に示されたポンプでは、側板３０の表面３４、３６は、ポンプの渦巻き１０に側板３０を取り付けるように中で機械加工されたねじ付き穴４０を有するほぼ径方向表面３８により連結されている。側板３０の内側円筒表面３６は、平面３８の反対側の端部で側板３０の端部表面４２で終端し、端部表面４２は前記円筒表面３６から、この構造代替形態では、渦巻きの吸引開口部１２の直径にほぼ径方向に内側に延びる。最後に、羽根車の稼動羽根２０の外縁部の形状にしたがう湾曲表面４４は、前記ほぼ径方向平面４２の径方向内側縁部を径方向平面３８の反対側の側板３０の外側円筒表面３４の縁部に連結させる。図１及び２に示す方法で、側板３０の湾曲表面４４は、稼動羽根２０の外縁部のほぼ全長に沿って延びて、稼動羽根とそれ自体の間に適当な作動間隙を残す。

側板３０は２個のＯリング４６、４８で密封されており、大きい方のＯリング４６は外径、又は表面３４の溝５０内で側板３０の外縁部に配置されており、小さい方のＯリング４８は側板の内側円筒表面３６の溝５２に配置されている。Ｏリング４６、４８は、ポンプの圧力側及び吸引側の両方から側板３０を密封し、それによって取付／調節ねじ３２は普通は、汲み上げられる液体に接触しない。いくつかの場合では、従来のＯリングは汲み上げられる化学物質に耐えず、漏洩し始め、それによって取付ねじが化学物質の影響を受ける一方、ポンプは側板がポンプの渦巻きに取り付けられる取付開口部を通して漏洩し始める。この種類の応用例では、より優れた品質のＯリングを使用することが可能であるが、ポンプの残りとほぼ同じだけ費用がかかる大きなリングであり、それによって価格が高いので、この種類の構造は実際不可能である。

遠心力ポンプの渦巻きの調節可能な側板３０は、ねじ付き穴４０を使用することによって、少なくとも３つの取付又は調節ねじ３２でポンプの渦巻き１０に取り付けられる。ポンプの渦巻き１０内の取付ねじに対する非ねじ付き開口部があるように、取り付けが行われる。各取付ねじ３２は、側板に面する渦巻き１０の壁部に支承するように配置されたフランジ６４を有する。各取付ねじ３２は、側板に面する端部のその先端までほぼフランジから延びるねじ付き部を有し、それによってねじ３２を側板３０内のねじ付き穴４０内に旋回させることができる。取付ねじ３２は、その反対側端部にねじ付き部６６を備えており、完全にその端部に、ソケット頭部、四角頭部、六角頭部、ねじ頭部など６８を備えている。側板３０の取り付け及び調節は以下のように行われる。側板３０を渦巻き１０に取り付ける場合、取付ねじ、すなわち調節ねじ３２は渦巻き内の開口部に挿入され、フランジは渦巻き壁部に対して挿入され、Ｏリングを有する側板は渦巻き内の適切な位置に渦巻き１０の円筒表面によって押され、案内され、ねじ３２は側板３０内のねじ付き穴４０内に旋回される。側板の設置は、反対の順序でも行なうことができる。すなわち、ねじ３２を最初に側板３０内のねじ付き穴内に旋回され、その後ねじが渦巻き内の開口部に挿入され、Ｏリングを有する側板は、ねじフランジが渦巻き壁部に達するまで、渦巻き内の位置に押される。渦巻き１０がその後、ポンプ羽根車を囲むようにポンプ・ケーシング２４の上でその位置に設定及び取り付けられると、調節／取付ねじ３２は、側板３０をポンプの羽根車１８に向かって押すように締め付けられる。側板３０が羽根車の稼動羽根に接触すると、間隙が閉じる。ねじをこの位置から特定の度数後側に旋回させることによって、所望の稼動間隙が得られる。その後、ねじ３２のねじ付き部６６に対して駆動されるナット７０は、側板３０が軸方向に移動することができないように、渦巻きの表面に対して締め付けられる。上記から分かるように、側板を取り付けるのに使用される渦巻き内の開口部は決して密封されず、側板と渦巻きの間で漏洩する液体は前記開口部から比較的自由に流れることが可能になる。

図３は、本発明の好ましい一実施例による、遠心力ポンプの調節可能な側板１３０の取付用密封装置を示している。側板１３０は基本的に、従来技術の図１及び２に示す側板と同じ形状をしている。すなわち、側板１３０は外側円筒表面１３４と、中に環状溝１５０と、この実施例では、従来技術の側板より軸方向長さが短い内側円筒表面１３６とを有する。というのは、Ｏリングの使用は前記内側表面１３６に関連して必要ないからである。同様に、本実施例で径方向に示す表面１３８、１４２と、湾曲表面１４４はまた、図１及び２の構造に対応する。しかし、所望の場合、側板はまたポンプ軸からさらに離れて、すなわち外側円筒表面１３４の外側で径方向に延びることができることを理解すべきである。すなわち、円筒表面１３４は側板の径方向の最も外側の部分である必要はない。

従来技術の解決法に対する実際の相違点は、ねじ１３２のフランジ１６４とポンプの渦巻きの間にＯリング・シール１８０を配置することによって、本発明の好ましい実施例による調節又は取付ねじ１３２に関連して、ポンプの密封に注意を払うことである。すなわち、調節／取付ねじの基本的構造及び使用はまた、従来技術のねじと同様である。前記シール１８０は極めて小さく、したがってまた入手するのに費用がかからない。それによって、汲み上げられる流体内の化学物質にできるだけ耐えるＯリングを、費用を考慮する必要なく、各応用例に対するシールとして選択することができる。したがって、極めて攻撃的な化学物質にさえも耐える、ＦＦＫＭなどの材料を選択することが可能である。シール１８０は、ねじ１３２のフランジ１６４の上部に直接配置することができる。しかし、シール１８０用のねじフランジ１６４内に溝を配置することが有利であり、それによってシール１８０はねじ１３２をナット１７０に係止することから生じる締付負荷全体を受けるだけではない。前記溝は、フランジの外縁部又は内周面、又はフランジの径方向表面の中心領域の何れかに作ることができる。しかし、これらの構造的代替形態で最も重要なことは、全ての場合において、Ｏリングの内側又は外側、又はその両側の何れかの径方向表面の少なくとも一部のフランジは、フランジに面する渦巻きの表面上にあることができる。それによって、Ｏリングは確実に密封に最適な角度だけ圧縮される。また、ポンプの渦巻きの面又は壁面内の対応する環状溝を対応する位置に選択的又は追加的の何れかに配置することは自然なことであり、それによってシールを渦巻き溝内で特定の範囲まで押して、ねじのフランジはポンプの渦巻きの反対側表面に支持される。それによって、自然に、溝の直径は高々ねじのフランジの外径と等しくなくてはならない。

いくつかの応用例では、圧縮に十分耐えるので、ねじのフランジ、又はポンプの渦巻き内の何れかで溝を機械加工する必要がないシールを使用する可能性もある。

本発明のさらに別の好ましい実施例によると、シール用溝は、締付手段を備えるねじのヘッドに向かってフランジから見える円筒部内、渦巻き内の開口部の対応する部分内、又はケーシングのカバー内の何れかに配置される。この場合、シール・リングは、開口部内にねじを組み付ける又は挿入する前に、このような溝に配置することができる。

例えば、側板と渦巻きの間の空間に逃げるポンプの圧力を防ぎ、ポンプの圧力側からポンプの吸引側の漏洩流れを密封及び防止するため、大きなＯリング１４６を側板１３０の外側円筒表面で表面１３４内の溝１５０、又は渦巻きの反対側の表面で機械加工される対応する溝の何れかに配置することによって、側板１３０の密封の残りが注意を払われる。大きなＯリング１４６は、完全に漏洩防止である必要はなく、かなり少ない内部漏洩が可能である。これに対して、側板を吸引側から密封する必要は全くない。というのは、側板と渦巻きの間の取付／調節ねじの空間を漏洩防止にすることは、本発明の目的ではないからである。同様に、いくつかの場合では、側板１３０の外側円筒表面を全く密封しないことが可能であり、それによって表面内でシール用溝を機械加工する必要さえない。

上記から分かるように、側板の従来技術の取り付けの欠点をなくす新しい種類の遠心力ポンプの側板の取付用密封装置と、それに使用される取付ねじが開発された。本発明による側板の取り付けにより、側板の取り付け、また化学的に需要のある液体を汲み上げる場合の密封が可能になり、それによって高品質の安価のシールを使用することが可能になる。上記のことは、主に遠心力ポンプの調節可能な側板に関するが、上記取付及び密封方法はまた、固定側板に関連して使用することもできることに留意しなければならない。上記のことが羽根車の前のポンプの側板のことを論じているのと正確に対応する方法で、羽根車の後の側板の取付及び密封でも、本発明による密封装置を使用することが完全に可能である。それによって、側板がそれに連結して取り付けられる問題の部分は、ポンプの後壁部だけであり、これはより一般的にはケーシングのカバーとも言われる。本発明を現時点で好ましい実施例であると考えられるものに関連して例として本明細書に説明したが、本発明は開示した実施例に限るものではなく、頭記の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲内のその特徴の様々な組合せ及び／又は変更形態及びその他の応用例を含むことを意図しているものと理解されたい。

従来技術の遠心力ポンプの一部略断面図である。 図１のポンプ渦巻きを示すが、特に渦巻きのいわゆる調節可能な側板の取り付けを示す略図である。 本発明の好ましい一実施例による、ポンプ渦巻きの調節可能な側板の密封を示す略図である。

符号の説明

１０ 渦巻き
１２ 吸引開口部
１４ 圧力開口部
１６ シャフト
１８ 羽根車
２０ 稼動羽根
２２ ポンプ後壁部
２４ ポンプ・ケーシング
３０ 側板
３２ 調節ねじ
３４ 円筒表面
３６ 円筒表面
３８ 平面
４０ ねじ付き穴
４２ 端部表面、平面
４４ 湾曲表面
４６ Ｏリング
４８ Ｏリング
５０ 溝
５２ 溝
６４ フランジ
６６ ねじ付き部
７０ ナット
１３０ 側板
１３２ ねじ
１３４ 円筒表面
１３６ 円筒表面
１３８ 表面
１４２ 表面
１４４ 湾曲表面
１５０ 環状溝
１６４ フランジ
１８０ Ｏリング・シール

Claims (10)

1. 少なくともポンプ渦巻き（１０）と、前記渦巻き（１０）又はケーシングのカバーに連結して配置された側板（１３０）とを備えた、遠心力ポンプの側板を取り付けるための密封装置であって、前記側板（１３０）は、両端部のねじ付き部とその間に配置されたフランジ（１６４）とをそれぞれ備えた取付ねじ（１３２）を有する、密封装置において、前記取付ねじ（１３２）には、前記取付ねじ（１３２）と前記渦巻き（１０）又は前記ケーシングの前記カバーとの間においてそれぞれの前記取付ねじ（１３２）の周囲に配置された個別の環状シール（１８０）がそれぞれ備えられていることを特徴とする密封装置。
2. 前記環状シール（１８０）は、前記ねじ（１３２）の前記フランジ（１６４）と前記ケーシングの前記渦巻き（１０）又は前記カバーの間に配置されたことを特徴とする、請求項１に記載の密封装置。
3. 前記ねじ（１３２）は、前記シール（１８０）用環状溝を備えていることを特徴とする、請求項１に記載の密封装置。
4. 前記ねじ（１３２）の前記フランジ（１６４）は、前記シール（１８０）用環状溝を備えていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の密封装置。
5. 前記ケーシングの前記ポンプ渦巻き（１０）又は前記カバーは、前記シール（１８０）用環状溝を備えていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の密封装置。
6. 前記環状溝は直径が、高々前記フランジ（１６４）の外径に等しいことを特徴とする、請求項４又は５に記載の密封装置。
7. 前記側板は、前記側板と前記渦巻き（１０）又は前記ケーシングの前記カバーとの間を密封するための側板シール（１４６）用密封溝（１５０）を備えた外側円筒表面（１３４）を有することを特徴とする、請求項１から６までの一項に記載の密封装置。
8. 両端部のねじ付き部と、その間に配置されたフランジ（１６４）と、一端部にねじを締め付ける手段を備える、遠心力ポンプの側板の取付ねじであって、前記ねじ（１３２）内に、シール・リング（１８０）用の溝が配置されることを特徴とする取付ねじ。
9. シール・リング（１８０）用の溝が、前記フランジ（１６４）の、前記締め付ける手段側に配置されることを特徴とする、請求項８に記載の取付ねじ。
10. 前記溝は、前記フランジの径方向内側フランジ面、前記フランジの外縁部、又はその間の領域内に配置されることを特徴とする、請求項８に記載の取付ねじ。
    

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