JP3249332B2 - ポンプ組立体 - Google Patents

ポンプ組立体

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JP3249332B2
JP3249332B2 JP04635695A JP4635695A JP3249332B2 JP 3249332 B2 JP3249332 B2 JP 3249332B2 JP 04635695 A JP04635695 A JP 04635695A JP 4635695 A JP4635695 A JP 4635695A JP 3249332 B2 JP3249332 B2 JP 3249332B2
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  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポンプあるいはモータを
内蔵する外ケーシングを備えたポンプ組立体に係り、特
に通常の多段ポンプ又はバランス型の多段ポンプに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポンプあるいはモータを内蔵
する外ケーシングを備えたポンプ組立体は知られてい
る。例えば、特開平6−10890号に示されるよう
に、板金製の外ケーシングにてモータポンプを内包した
全周流型ポンプがある。
【0003】この種のポンプの外ケーシングは、その内
面に取扱液を保持するとともにポンプおよびモータを内
蔵することでこれらを保護している。また内面にシール
用部材を設けることによって、吐出圧力側の液が吸込圧
力側にもれないようにしている。これらの構造は単純な
流れのポンプにとっては極めて好適なものである。つま
り、外ケーシング内に導かれた取扱液が外ケーシングか
ら吐出されるまでの間に、主たる流れは外ケーシング内
面を同一方向に流れるだけである。従って、圧力損失を
伴わず良好な効率を維持することができる。また、外ケ
ーシングが単純形状となるため、板金材をプレス成形し
て製作する上でも都合のよいものであった。
【0004】しかしながら、取扱液を常に外ケーシング
の内面にのみ保持することにこだわるあまり、結果的に
は多様な構造展開への可能性を否定することになってい
た。例えば、バランス型の多段ポンプを設ける際に、外
ケーシング内にて前段から後段への流路を形成しようと
する場合、非常に複雑な構造となり、実質的に製品化で
きないという問題があった。またバランス型ではない通
常のポンプにおいても、全周流型の立型多段ポンプを構
成する場合、取扱液が十分にモータを冷却した後に、下
部の外ケーシングから吐出されるようにするためには、
モータの外側に大きな流路面積を有した環状流路が必要
となり、外ケーシングの外径を大きくする必要があり、
無駄であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題点
に鑑み、下記内容を達成することを目的としている。 (1)外ケーシング内の構造を複雑にすることなく、多
様なポンプ形態(例えば、バランス型の多段ポンプ)を
実現する。 (2)外ケーシングの一般外径を大きくせずに、流路面
積を確保し、小形なポンプを実現する。 (3)モータ軸とポンプ軸を共通にした全周流型のキャ
ンドモータポンプにて、小水量・高揚程を達成できる多
段ポンプを実現する。 (4)バランス型多段ポンプにおけるラジアル荷重の簡
便な相殺方法を実現する。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
め本発明は、外ケーシング内のある空間から外ケーシン
グ内の別の空間へ取扱液の主流を導く連通管を外ケーシ
ングの外面に一体に設けるものである。また、小水量・
高揚程を実現するため、バランス型の多段ポンプを構成
し、軸スラストを軽減している。また、キャンドモータ
の構造に配慮し、全段数合計の吐出圧がキャン等の構造
体に加わらないように、羽根車配列・軸封の位置に配慮
している。さらに、バランス型の多段ポンプにおいて、
簡便且つコンパクトにラジアル荷重を相殺するべく、背
面合わせのボリュートを使用している
【0007】
【作用】本発明によれば、外ケーシングの外側に連通管
を設けることで、外ケーシング内のある空間から外ケー
シング内の別の空間に主流を導くことができる。これに
よってバランス型の多段ポンプを構成することができ
る。また、一般の多段ポンプにおいても、連通管を設け
ることで外ケーシングの一般外径を小さくできる。
【0008】また、本発明はモータの固定子外周部に設
けられたモータフレーム外胴との間に環状空間を形成す
る外ケーシングAと、外ケーシングAの軸方向端部のう
ち少なくとも一方に設けられる外ケーシングBとを具備
することにより、全体を全周流型ポンプにまとめること
で、静音化が可能となるばかりでなく周波数変換器等を
用いてポンプを高速回転した場合にも、騒音値を低く抑
えることができる。又、外ケーシングAとBに分割して
おり、配管の都合によって連通管をA又はBのいずれか
の外ケーシングに設ければ良いので、使い勝手に合わせ
て対応が可能である。
【0009】また、本発明は外ケーシングの外面上に連
通管を設けている。外ケーシングは一般に内・外面同一
材質である場合が多い。この際内面ばかりでなく外面に
取扱液が接触しても何らの問題も生じないので、外ケー
シングの外面を一部利用して連通管を設けることで、材
料の節減および小形化が可能となる。
【0010】さらに本発明の1態様におけるように、外
ケーシングを板金製とし、連通管を外ケーシングに溶接
する方法が最も好適である。つまり、板金製の外ケーシ
ングには強度があっても剛性が不十分の場合があるた
め、振動等の不具合を生じ易いが、連通管を溶接するこ
とで剛性が向上し、上記不具合を回避できる。又、製造
上の都合からも連通管なしの外ケーシングに穴あけ・溶
接を加えるだけで、製作できるため、生産性がよい。
【0011】また本発明において、複数段ポンプの上段
側から下段側へ取扱液を導く連通管を設けることで、バ
ランス型の多段ポンプを製作できる。
【0012】また本発明において、逆向きの軸スラスト
を発生する羽根車を設けることで、全体の軸スラストを
軽減することができる。
【0013】また本発明の1態様では、モータの両軸端
にそれぞれ吸込口が逆の羽根車を設けている。これによ
って、モータの両軸端に羽根車を分配できるため、片方
の軸端に付く羽根車の数を減らすことができる。従っ
て、軸受から軸端までのオーバーハングが減り、機械的
な安定性が増す。
【0014】また本発明において、モータにキャンドモ
ータを使用することで、本発明は更に好適なものとな
る。すなわち、軸封装置が不要なため、多段ポンプによ
る高い圧力が発生しても、外ケーシングの外に取扱液が
もれることはない。
【0015】また本発明においては、多段の羽根車の全
段数合計の吐出圧がモータのキャンに作用しないように
構成している。キャンドモータの耐圧はその構造上、固
定子キャンの強度によっておおむね左右される。本発明
では、羽根車最終段の吐出圧、すなわち、全段数合計の
吐出圧が上記キャンに作用することを回避している。例
えば、図1及び図3に示す実施例においては、4段中の
2段分の吐出圧がキャンに作用するのみであり、図4に
示す実施例においては、いずれの羽根車の吐出圧もキャ
ンに作用することはない。このように羽根車の配列を工
夫することで、高い圧力のポンプであってもキャンドモ
ータにて駆動することが可能となる。
【0016】また本発明において、吸込口の向きの異な
る2つの羽根車に対応するシングルボリュートを各々に
設け、且つ両方のボリュートを軸心に対して180°対
称位置に設けることによって、ラジアル荷重を相殺でき
る。この際、シングルボリュートを用いる理由は、図4
の実施例において連通管と吐出管を180°対称位置に
設けた場合にガイドベーンを用いるよりも、都合良く流
れを連通管又は吐出管に導くことができるためである。
【0017】また本発明において、2つのボリュートを
一体に成形すれば、確実に180°対称にでき、位置合
わせ不良等によるラジアル荷重の発生を防ぐことができ
る。この際、2つのボリュートを貫通する軸穴部に軸封
装置を設けることで、コンパクトにもれを防ぐことがで
きる。
【0018】また本発明の1態様においては、片吸込複
数段ポンプ部を備えたポンプ組立体において、羽根車の
中に羽根車吸込口が逆向きの羽根車が少なくとも1つ設
けられている。多段ポンプはその段数に比例して揚程が
増加するわけであるが、吸込口の向きが同一の羽根車を
単純に増加させると、軸推力も段数に比例して増加して
しまう。従って、スラスト軸受の容量は考えられる範囲
の最大段数を目安に決定せざるを得ない。
【0019】軸推力の軽減方法としては、バランスホー
ルを設ける等、多様な方式があるが、軸推力そのものを
相殺してしまう方法としては、吸込口の向きの異なる羽
根車を設ける方法が最も効果的である。このバランス型
多段ポンプを全周流型ポンプに取り入れたものは従来無
かった。
【0020】全周流型ポンプは、その構造上、周波数変
換器等を使用して高速回転させ、装置を小形化する上で
好適である。すなわち、高速回転に伴う騒音・振動を取
扱液によって吸収・減衰させることができる(尚、ここ
で言う高速回転とは4000rpm以上のことを云う)。
【0021】一方、スラスト軸受はPV値(摺動面圧×
摺動速度)によって、設計諸元が決定される。高速回転
においては、摺動速度は高い値となるため、摺動面圧を
下げる必要がある。つまり軸推力を軽減させる必要があ
る。この観点から、全周流型ポンプにて、バランス型の
多段ポンプを製作することは非常に有意義と言える。
【0022】本発明において、特に板金製のモータフレ
ーム外胴を使用する場合には、その外面に加わる圧力が
不均一であると歪が内部にまでおよび不都合である。従
って、モータフレーム外胴と外ケーシングAとの間には
環状空間を形成し、環状空間内の圧力はほぼ同一となる
ようにすることが望ましい。
【0023】また本発明の1態様において、図1及び図
3に示すとおり、モータの回転子の両端部の圧力が略同
一になるように構成している。もし、上記圧力が異なる
場合には回転子端面に作用する圧力差によって軸推力が
発生し、バランス型多段ポンプの有効性を阻害してしま
う。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係るポンプ組立体の一実施例
を図1及び図2を参照して説明する。図1は本発明のポ
ンプ組立体の縦断面図、図2は図1のII−II線断面図で
ある。図1及び図2に示されるポンプ組立体は立型多段
ポンプとして構成されている。立型多段ポンプはポンプ
ケーシング1内の中央にキャンドモータ6を備えてお
り、このキャンドモータ6の主軸7の両軸端に、軸方向
外方に開口した吸込部を有する羽根車8A,8B,8
C,8Dがそれぞれ固定されている。
【0025】ポンプケーシング1は、ステンレス鋼板製
の外筒2と、この外筒2の下端にフランジ51,52に
よって接続されたステンレス鋼板製の吸込ケーシング3
と、外筒2の上端にフランジ53,54によって接続さ
れたステンレス鋼板製のカバー4とからなっている。吸
込ケーシング3には吸込ノズル5が固定されるとともに
吸込ケーシング3内には仕切壁9が固定されている。
【0026】また吸込ケーシング3内には、羽根車8A
及び8Bを収容する内ケーシング10が配設されてい
る。そして、内ケーシング10内には、それぞれライナ
リング45,45を保持した保持部材46,46と、第
1段目の羽根車8Aから吐出された流体を第2段目の羽
根車8Bに導く戻り羽根47と、第2段目の羽根車8B
から吐出された流体を半径方向から軸方向に導く案内装
置48とが配設されている。
【0027】一方、キャンドモータ6は、固定子13
と、この固定子13の外周部に嵌着されるモータフレー
ム外胴14と、モータフレーム外胴14の両開放端に溶
接固定されるモータフレーム側板15,16と、固定子
13の内周部に嵌着され上記モータフレーム側板15,
16に溶接固定されるキャン17とを備えている。また
固定子13内に回転可能に収容されている回転子18は
主軸7に焼き嵌め固定されている。モータフレーム外胴
14と外筒2との間には環状流路40が形成されてい
る。
【0028】またキャンドモータ6のモータフレーム側
板16にはリブ16aが形成されており、このリブ16
aに仕切壁50が保持されている。仕切壁50は最終段
の羽根車8Dの外周部を囲むようなボリュート50aを
有している。また仕切壁50の上端にはインローが形成
されており、このインローに、第3段目の羽根車8Cを
収容する内ケーシング55が嵌合され保持されている。
また仕切壁50の内端には軸封装置58が保持されてい
る。
【0029】内ケーシング55は円筒部材55aとカバ
ー55bとにより略円筒容器状をなし、円筒部材55a
の1側部に弾性材からなるシール部材56が固定され、
カバー55bに吸込開口55cが形成されている。シー
ル部材56によって吐出側の取扱液が吸込側に漏れるこ
とを防止している。
【0030】前記内ケーシング55は、カバー4に固定
されたボルト57によって下方に押されることにより仕
切壁50とともにモータフレーム側板16に支持されて
いる。そして、内ケーシング55内には、それぞれライ
ナリング45,45を保持した保持部材46,46と、
第3段目の羽根車8Cから吐出された流体を最終段の羽
根車8Dに導く戻り羽根47とが配設されている。
【0031】また外筒2の上部側には、2つの連通孔2
a,2bが形成されており、外筒2の外側にはこれら連
通孔2a,2bを接続する連通管60が溶接によって固
定されている。さらに外筒2には吐出窓2cが形成され
ており、この吐出窓2cを覆うように外筒2に吐出管6
1が溶接によって固定されている。そして、吐出管61
の下部には吐出口61aが形成されるとともに吐出ノズ
ル62が固定されている。
【0032】次に主軸の一方側にある軸受周辺部につい
て説明する。軸受ブラケット21には、ラジアル軸受2
2と、固定側スラスト軸受23が設けられている。ラジ
アル軸受22の端面は、固定側スラスト摺動部材として
の機能も付与されている。固定側スラスト軸受23に対
向して、回転側スラスト摺動部材である回転側スラスト
軸受24が設けられている。回転側スラスト軸受24は
スラストディスク26に固定されている。
【0033】前記軸受ブラケット21はモータフレーム
側板16に設けられたインローに弾性材からなるOリン
グ29を介して挿入されている。また軸受ブラケット2
1は弾性材からなるガスケット30を介してモータフレ
ーム側板16に当接している。なお、図中31はラジア
ル軸受22と摺動部を形成するスリーブである。
【0034】次に、主軸の他方側にある軸受周辺部につ
いて説明する。軸受ブラケット32には、ラジアル軸受
33が設けられている。図中34はラジアル軸受32と
摺動部を形成するスリーブであり、スリーブ34は座金
35に当接し、この座金35は羽根車8B、スリーブ4
2及び羽根車8Aを介して主軸7の端部に設けられたネ
ジおよびナット36によって固定されている。軸受ブラ
ケット32は、モータフレーム側板15に設けられたイ
ンローに弾性材からなるOリング37を介して挿入され
ている。そして、軸受ブラケット32はモータフレーム
側板15に当接している。
【0035】次に、前述のように構成された立型多段ポ
ンプの作用を説明する。ポンプ吸込口3aより吸い込ま
れた流体は、仕切壁9に形成された吸込開口9aを通っ
て羽根車8A,8Bにより昇圧される。2段目の羽根車
8Bから吐出された流体は、案内装置48を経て遠心方
向から軸方向に流れ方向が転換された後、外筒2とキャ
ンドモータ6のモータフレーム14外胴との間に形成さ
れた環状流路40に流入し、この流路40から外筒2の
連通孔2a、連通管60及び連通孔2bを通って外筒2
とカバー4とで囲まれた空間に流入する。さらに流体は
羽根車8C,8Dにより昇圧された後、ボリュート50
aに案内されて吐出窓2cより吐出管61に吐出され
る。吐出管61に流入した流体は、吐出口61aを通っ
て吐出ノズル62より吐出される。
【0036】本実施例によれば、外ケーシングを構成す
る外筒2の外側に連通管60を設けることで、羽根車8
A,8Bで昇圧された流体を外筒2内の環状空間40か
ら外筒2内の別の空間に導き、更に羽根車8C,8Dに
導くことができる。これによってバランス型の多段ポン
プを構成することができる。
【0037】また、本実施例はモータの固定子外周部に
設けられたモータフレーム外胴14との間に環状空間を
形成する外ケーシングAを構成する外筒2と、外筒2の
軸方向端部のうち少なくとも一方に設けられる外ケーシ
ングBを構成する吸込ケーシング3又はカバー4とを具
備することにより、全体を全周流型ポンプにまとめるこ
とで、静音化が可能となるばかりでなく周波数変換器等
を用いてポンプを高速回転した場合にも、騒音値を低く
抑えることができる。又、外ケーシングを外ケーシング
AとBに分割しており、配管の都合によって連通管60
をA又はBのいずれかの外ケーシングに設ければ良いの
で、使い勝手に合わせて対応が可能である。
【0038】また、本実施例は外ケーシングを構成する
外筒2の外面上に連通管60を設けている。外筒2から
なる外ケーシングは一般に内・外面同一材質である場合
が多い。この際内面ばかりでなく外面に取扱液が接触し
ても何らの問題も生じないので、外ケーシングの外面を
一部利用して連通管を設けることで、材料の節減および
小形化が可能となる。
【0039】さらに本実施例におけるように、外筒2か
らなる外ケーシングを板金製とし、連通管60を外ケー
シングに溶接する方法が最も好適である。つまり、板金
製の外ケーシングには強度があっても剛性が不十分の場
合があるため、振動等の不具合を生じ易いが、連通管を
溶接することで剛性が向上し、上記不具合を回避でき
る。又、製造上の都合からも連通管なしの外ケーシング
に穴あけ・溶接を加えるだけで、製作できるため、生産
性がよい。
【0040】また本実施例によれば、複数段ポンプの上
段側から下段側へ取扱液を導く連通管60を設けること
で、バランス型の多段ポンプを製作できる。
【0041】また本実施例によれば、羽根車8A,8B
と羽根車8C,8Dとが互いに逆スラストを発生するよ
うに配設されている。このように逆向きの軸スラストを
発生する羽根車を設けることで、全体の軸スラストを軽
減することができる。
【0042】また本実施例によれば、モータの両軸端に
それぞれ吸込口が逆の羽根車8A,8Bと8C,8Dと
を設けている。これによって、モータの両軸端に羽根車
を分配できるため、図4の実施例(後述する)に比較し
て片方の軸端に付く羽根車の数を減らすことができる。
従って、軸受から軸端までのオーバーハングが減り、機
械的な安定性が増す。
【0043】また本実施例によれば、モータにキャンド
モータ6を使用しているため、軸封装置が不要となり、
多段ポンプによる高い圧力が発生しても、外ケーシング
の外に取扱液がもれることはない。
【0044】また本実施例においては、多段の羽根車8
A,8B,8C,8Dの全段数合計の吐出圧がモータの
キャン17に作用しないように構成している。キャンド
モータの耐圧はその構造上、固定子キャンの強度によっ
ておおむね左右される。例えば、図1及び図2に示す実
施例においては、4段中の2段分の吐出圧がキャンに作
用するのみである。このように羽根車の配列を工夫する
ことで、高い圧力のポンプであってもキャンドモータに
て駆動することが可能となる。
【0045】また本実施例において、図1及び図2に示
すとおり、モータの回転子18の両端部の圧力が略同一
になるように構成している。もし、上記圧力が異なる場
合には回転子端面に作用する圧力差によって軸推力が発
生し、バランス型多段ポンプの有効性を阻害してしまう
が、これを避けることができる。
【0046】図3は本発明のポンプ組立体の第2実施例
を示す縦断面図である。図3に示されるポンプ組立体は
多段水中ポンプとして構成されている。図3において、
図1の構成要素と同一の作用又は機能を有する構成要素
には同一符号を付し説明を省略する。多段水中ポンプは
ポンプケーシング1内にキャンドモータ6を備えてお
り、このキャンドモータ6の主軸7の両軸端に、軸方向
外側に開口した吸込部を有する羽根車8A,8B,8
C,8Dがそれぞれ固定されている。
【0047】ポンプケーシング1は、ステンレス鋼板製
の外筒2と、この外筒2の下端にフランジ51,52に
よって接続されたステンレス鋼板製の吸込ケーシング3
Aと、外筒2の上端にフランジ53,54によって接続
されたステンレス鋼板製の吐出ケーシング4Aとから構
成されている。吸込ケーシング3Aにはストレーナ3s
が形成され、吐出ケーシング4Aには吐出口4aが形成
されている。また、吐出ケーシング4Aには、2つの連
通孔4b,4cが形成されており、吐出ケーシング4A
の外側にはこれら連通孔4b,4cを接続する連通管6
0Aが溶接によって固定されている。さらに吐出ケーシ
ング4Aには、2つの連通孔4d,4eが形成されてお
り、吐出ケーシング4Aの外側にはこれら連通孔4d,
4eを接続する連通管60Bが溶接によって固定されて
いる。吐出ケーシング4Aには、シール部材65を保持
した仕切壁66が配設されている。その他の構成は図1
及び図2に示す実施例と同様である。
【0048】次に、前述のように構成された多段水中ポ
ンプの作用を説明する。ストレーナ3sより吸い込まれ
た流体は、仕切壁9に形成された吸込開口9aを通って
羽根車8A,8Bにより昇圧される。2段目の羽根車8
Bから吐出された流体は、案内装置48を経て遠心方向
から軸方向に流れ方向が転換された後、外筒2とキャン
ドモータ6のモータフレーム外胴14との間に形成され
た環状流路40に流入し、この流路40から吐出ケーシ
ング4Aの連通孔4b、連通管60A及び連通孔4cを
通って仕切壁66と内ケーシング55とで囲まれた空間
に流入する。さらに流体は羽根車8C,8Dにより昇圧
された後、ボリュート50aに案内されて連通孔4d、
連通管60B、連通孔4eを通って吐出ケーシング4A
と仕切壁66との間の空間に流入し、吐出口4aより吐
出される。
【0049】本実施例によれば、外ケーシングを構成す
る吐出ケーシング4Aの外側に連通管60A,60Bを
設けることにより、羽根車8A,8Bで昇圧された流体
を、外筒2及び吐出ケーシング4A内の環状空間40か
ら吐出ケーシング4A内の羽根車8C,8Dに導き、更
に最終段羽根車8Dから吐出された流体を吐出ケーシン
グ4Aの吐出口4aに導くことができる。これによって
バランス型の多段ポンプを構成することができる。本実
施例のその他の作用効果は図1および図2に示した実施
例と同様である。
【0050】図4及び図5は本発明のポンプ組立体の第
3実施例を示す図であり、図4はその縦断面図、図5は
図4のV−V線断面図である。図4及び図5に示される
ポンプ組立体は立型多段ポンプとして構成されている。
図4において、図1の構成要素と同一の作用又は機能を
有する構成要素には同一符号を付し説明を省略する。立
型多段ポンプはポンプケーシング1内にキャンドモータ
6を備えており、このキャンドモータ6の主軸7の一方
の軸端に、軸方向内方に開口した吸込部を有する羽根車
8A,8Bと軸方向外方に開口した吸込部を有する羽根
車8C,8Dとがそれぞれ固定されている。
【0051】ポンプケーシング1は、ステンレス鋼板製
の外筒2と、この外筒2の下端にフランジ51,52に
よって接続されたカバー3Bと、外筒2の上端にフラン
ジ53,54によって接続されたカバー4Bとが構成さ
れている。外筒2には吸込ノズル5が固定されている。
【0052】また外筒2の上部側には、2つの連通孔2
a,2bが形成されており、外筒2の外側にはこれら連
通孔2a,2bを接続する連通管60Cが溶接によって
固定されている。さらに外筒2には吐出窓2cが形成さ
れており、この吐出窓2cを覆うように外筒2に吐出管
61が溶接によって固定されている。そして、吐出管6
1の下部には吐出口61aが形成されるとともに吐出ノ
ズル62が固定されている。
【0053】第2段目の羽根車8Bと第4段目の羽根車
8Dとの間には仕切壁67が配設されている。仕切壁6
7には、図4及び図5に示すように相反する向きに設け
た2個の羽根車8B,8Dに対応するシングルボリュー
ト67a(図5において実線で示す)及び67b(図5
において破線で示す)が形成されている。2つのボリュ
ート67a,67bの巻き始め及び/又は巻き終わりは
略180゜対称に位置している。仕切壁67の内端には
軸封装置58が保持されている。
【0054】またキャンドモータ6のモータフレーム側
板16には、リブ16aが形成されており、このリブ1
6aには、第1段目の羽根車8Aを収容するシール部材
68を保持した円筒状の内ケーシング69が保持されて
いる。また仕切壁67の上端には第3段目の羽根車8C
を収容する内ケーシング70が保持されている。内ケー
シング70は円筒部材70aとカバー70bとにより略
円筒容器状をなし、円筒部材70aの1側部に弾性材か
らなるシール部材71が固定され、カバー70bに吸込
開口70cが形成されている。
【0055】各羽根車8A,8B,8C,8Dの吸込口
にはライナリング45が配置されこのライナリング45
は保持部材46により保持されている。また第1段目羽
根車8Aと第3段目羽根車8Cの後流側には戻り羽根4
7が配設されている。その他の構成は図1及び図2に示
す実施例と同様である。
【0056】次に、前述のように構成された多段ポンプ
の作用を説明する。吸込ノズル5を経て外筒2の吸込口
2dより吸い込まれた流体は、環状流路40を通ってモ
ータフレーム側板16と保持部材46との間の流路を通
って第1段目の羽根車8A内に流入する。そして、羽根
車8A,8Bによって昇圧された流体は、ボリュート6
7aに案内されて連通孔2a,連通管60C、連通孔2
bを通ってカバー4Bと内ケーシング70とで囲まれた
空間に流入する。さらに流体は羽根車8C,8Dにより
昇圧された後、ボリュート67bに案内されて吐出窓2
cを通って吐出管61内に流入し、吐出管61の吐出口
61aより吐出される。
【0057】本実施例によれば、外ケーシングを構成す
る外筒2の外側に連通管60Cを設けることにより、羽
根車8A,8Bで昇圧された流体を外筒2内の空間から
外筒2内の別の空間に導き、更に羽根車8C,8Dに導
くことができる。これによってバランス型の多段ポンプ
を構成することができる。また本実施例においては、い
ずれの羽根車の吐出圧もキャン17に作用することはな
く、高い圧力のポンプであってもキャンドモータにて駆
動することが可能となる。
【0058】また本実施例において、吸込口の向きの異
なる2つの羽根車8B,8Dに対応するシングルボリュ
ート67a,67bを各々に設け、且つ両方のボリュー
トを軸心に対して180°対称位置に設けることによっ
て、ラジアル荷重を相殺できる。この際、シングルボリ
ュートを用いる理由は、図4及び図5の実施例において
連通管60Cと吐出管61を180°対称位置に設けた
場合にガイドベーンを用いるよりも、都合良く流れを連
通管60C又は吐出管61に導くことができるためであ
る。
【0059】また本実施例において、2つのボリュート
67a,67bを一体に成形すれば、確実に180°対
称にでき、位置合わせ不良等によるラジアル荷重の発生
を防ぐことができる。この際、2つのボリュート67
a,67bを貫通する軸穴部に軸封装置58を設けるこ
とで、コンパクトにもれを防ぐことができる。本実施例
のその他の作用効果は図1および図2に示した実施例と
同様である。
【0060】図6は本発明のポンプ組立体の第4実施例
を示す縦断面図である。図6に示されるポンプ組立体は
片吸込多段ポンプとして構成されている。図6におい
て、図1の構成要素と同一の作用又は機能を有する構成
要素には同一符号を付し説明を省略する。片吸込多段ポ
ンプはポンプケーシング1内にキャンドモータ6を備え
ており、このキャンドモータ6の主軸7の一方の軸端
に、軸方向外側に開口した吸込部を有する羽根車8A,
8B,8C,8Dがそれぞれ固定されている。
【0061】ポンプケーシング1は、ステンレス鋼板製
の外筒2と、この外筒2の下端にフランジ51,52に
よって接続されたステンレス鋼板製の吸込ケーシング3
と、外筒2の上端にフランジ53,54によって接続さ
れたステンレス鋼板製のカバー4とからなっている。吸
込ケーシング3には吸込ノズル5が固定されるとともに
吐出ノズル62が固定されている。また吸込ケーシング
3内には仕切壁9が固定されている。
【0062】また吸込ケーシング3内には、羽根車8A
〜8Dを収容する内ケーシング10Aが配設されてい
る。そして、内ケーシング10A内には、それぞれライ
ナリング45を保持した保持部材46と、上段の羽根車
から吐出された流体を下段の羽根車に導く戻り羽根47
と、最終段の羽根車8Dから吐出された流体を半径方向
から軸方向に導く案内装置48とが配設されている。
【0063】また、外筒2の上部側には複数の連通孔2
aが形成され、下部側には複数の連通孔2bが形成され
ている。そして、連通孔2aと2bとを接続する連通管
60Dが溶接によって固定されている。その他の構成は
図1および図2に示す実施例と同様である。
【0064】次に、前述のように構成された片吸込多段
ポンプの作用を説明する。ポンプ吸込口3aより吸い込
まれた流体は、仕切壁9に形成された吸込開口9aを通
って羽根車8A,8B,8C,8Dにより昇圧される。
最終段の羽根車8Dから吐出された流体は、案内装置4
8を経て遠心方向から軸方向に流れ方向が転換された
後、外筒2とキャンドモータ6のモータフレーム外胴1
4との間に形成された環状流路40に流入し、この流路
40から外筒2の連通孔2a、連通管60及び連通孔2
bを通って外筒2,吸込ケーシング3と内ケーシング1
0Aとで囲まれた空間に流入する。さらに流体は前記空
間を通って吐出ノズル62より吐出される。
【0065】本実施例によれば、外ケーシングを構成す
る外筒2の外側に連通管60Dを設けることにより、外
筒2とモータフレーム外胴14との間に形成された環状
流路40から外筒2,吸込ケーシング3と内ケーシング
10Aとの間に形成された空間に主流を導くことができ
る。このように、連通管60Dを設けることで、外ケー
シングを構成する外筒2の一般外径を小さくできる。そ
の他の作用効果は図1および図2に示した実施例と同様
である。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、以
下に列挙する効果を奏する。 (1)外ケーシング内の構造を複雑にすることなく、多
様なポンプ形態(例えば、バランス型の多段ポンプ、一
般の多段ポンプ等)を実現することができる。 (2)外ケーシングの一般外径を大きくせずに、流路面
積を確保し、小形なポンプを実現することができる。 (3)モータ軸とポンプ軸を共通にした全周流型のキャ
ンドモータポンプにて、小水量・高揚程を達成できる多
段ポンプを実現することができる。 (4)バランス型多段ポンプにおけるラジアル荷重を簡
便に相殺することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポンプ組立体の一実施例を示す縦
断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明に係るポンプ組立体の第2の実施例を示
す縦断面図である。
【図4】本発明に係るポンプ組立体の第3実施例を示す
縦断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明に係るポンプ組立体の第4実施例を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1 ポンプケーシング 2 外筒 3,3A 吸込ケーシング 4 カバー 4A 吐出ケーシング 6 キャンドモータ 7 主軸 8A,8B,8C,8D 羽根車 9 仕切壁 10 内ケーシング 13 固定子 14 モータフレーム外胴 15,16 モータフレーム側板 17 キャン 18 回転子 21,32 軸受ブラケット 22,23 ラジアル軸受 23 固定側スラスト軸受 24 回転側スラスト軸受 40 環状流路 45 ライナリング 47 戻り羽根 48 案内装置 55 内ケーシング 58 軸封装置 60,60A,60B,60C,60D 連通管 61 吐出管 67 仕切壁 67a,67b シングルボリュート 70 内ケーシング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊勢本 耕司 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社 荏原総合研究所内 (72)発明者 上井 圭太 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社 荏原総合研究所内 (72)発明者 宮崎 義晶 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社 荏原総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−213192(JP,A) 特開 平6−88586(JP,A) 実開 昭52−111902(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04D 13/06 F04D 1/08 F04D 29/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 羽根車を収容する内ケーシングと、該内
    ケーシングを囲む外ケーシングを備えたポンプ組立体に
    おいて、外ケーシング内のある空間から外ケーシング内
    の別の空間へ取扱液の主流を導く連通管を外ケーシング
    の外面に一体に設けたことを特徴とするポンプ組立体。
  2. 【請求項2】 前記外ケーシングは、モータの固定子外
    周部に設けられたモータフレーム外胴との間に環状空間
    を形成する外ケーシングAと、外ケーシングAの軸方向
    端部のうち少なくとも一方に設けられる外ケーシングB
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のポンプ組立
    体。
  3. 【請求項3】 モータの固定子外周部に設けられたモー
    タフレーム外胴と、該モータフレーム外胴外周面との間
    に環状空間を形成する外ケーシングAと、外ケーシング
    Aの軸方向端部のうち少なくとも一方に設けられる外ケ
    ーシングBと、上記環状空間に取扱液を導くポンプ部を
    備えたポンプ組立体において、外ケーシング内のある空
    間から外ケーシング内の別の空間へ取扱液の主流を導く
    連通管を外ケーシングの外面に一体に設けたことを特徴
    とするポンプ組立体。
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