JP5263483B2 - 貴金属の回収方法 - Google Patents
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Description
本発明は、貴金属と共にチタンを含有する廃棄物等から安定に効率よく貴金属を回収する技術に関する。
石油化学や石油精製の各分野では基材に白金族金属を担持させた触媒が広く使用されている。また、自動車の排ガス浄化用触媒として、基材にPt,Pd,Rhなどの貴金属を担持させたものが広く知られており、電子基板やリードフレーム等の電子機器部品には導電材料として貴金属が広く使用されている。
従来、これらの使用済み触媒(触媒廃棄物と云う)などの貴金属含有廃棄物から貴金属を回収する湿式回収方法として、触媒廃棄物を酸に溶解して貴金属を浸出させる方法が知られている(特許文献1)。乾式回収方法としては、白金族金属を含む触媒廃棄物を、銅または酸化銅、フラックス、還元剤と共に加熱して溶融金属銅中に白金族金属を吸収させ、次いで溶融金属銅を部分的に酸化して酸化銅層を形成することによって、白金族金属を金属銅中に濃縮させ、酸化銅を分離して、白金族金属を含有する金属銅を回収する方法が知られている(特許文献2、特許文献3)。
また、自動車用触媒の廃棄物に石灰とコークスを添加して加熱溶融し、鉄を還元して金属状態にして白金族金属を吸収させ、徐冷して自崩壊性スラグを形成させ、このスラグ粉末から磁選によって磁性粉末を回収し、鉄に吸収させた貴金属を回収する方法も知られている(特許文献4)。
特開平02−138424号公報
特開平04−317423号公報
特開平04−318128号公報
特開平07−216467号公報
上記触媒廃棄物には基材にチタンが含まれているものがある。例えば、石油化学用触媒としてチタニア製基材にルテニウムを担持させたもの、アルミナチタニア製基材にルテニウムを担持させたものが広く使用されている。このようなチタンを含む廃棄物から貴金属を回収する場合、この廃棄物を錫または酸化錫と共に還元剤や石灰を加えて加熱溶融し、スラグと共に溶融金属錫を形成し、この溶融金属錫に貴金属を吸収させて回収する乾式法において、生成するカルシウム−シリカ系スラグに含まれるチタン含有量によってスラグの性状が大きく異なるため、流動性の良いスラグが形成されずに金属融体とスラグの分離性が劣り、効率よく貴金属を回収できない場合がある。
具体的には、チタンを含む貴金属含有物を、錫または酸化錫の溶融金属材料と共に、還元剤および石灰などのスラグ形成材料を加えて加熱し還元溶融すると、分離した貴金属は金属溶融錫に吸収され、一方、チタンは酸化されてスラグに吸収され、酸化チタンを含むカルシウム−シリカ系スラグが形成される。このスラグは、CaO−SiO2−TiO2の三元状態図に示されるように、各成分量が近似している中央部分では低融点のスラグが形成されるが、この中央部分から外れて何れかの成分量が多くなるにつれて融点が大幅に高くなり、例えば、酸化チタン含有量が10質量%以下では高融点の珪酸カルシウム(mp.約1390℃〜約2400℃)が形成され、溶融温度を上げないとこの珪酸カルシウムが析出してスラグの流動性が低下する。このため、スラグと金属融体とが分離し難くなると云う問題がある。
例えば、触媒廃棄物にチタニアと共にアルミナが含まれている場合、アルミナ濃度の低い範囲であればCaO−SiO2−TiO2の三元状態図において、各成分量が近似している中央部分よりもチタニア量が少ない領域では低融点のスラグが形成されるが、アルミナ濃度が高い範囲では融点の高いスラグが形成されるようになり、溶融温度を上げないと高融点のアルミノ珪酸カルシウムCaAl2Si2O8が析出してスラグの流動性が低下する。このため、スラグと金属融体とが分離し難くなる。
本発明は、チタンを含む貴金属含有物を金属融体に吸収させて回収する方法おいて、従来の上記問題を解決したものであり、チタンを含むスラグ組成を制御して低融点の流動性の良いスラグを形成し、スラグと金属融体の分離性を高めて安定に効率よく金属融体を分離して貴金属を回収する方法を提供する。なお、本発明の方法において、金、銀および白金族金属を含めて貴金属と云う。
本発明は、以下の技術構成によって上記課題を解決した貴金属の回収方法に関する。
〔1〕貴金属含有物を溶融金属材料、還元剤、およびフラックスと共に加熱溶融し、金属融体を生成させて貴金属を吸収させる一方、非貴金属をスラグに移行させ、スラグを分離した金属融体を処理して貴金属を回収する方法において、チタンを含む貴金属含有物について、シリカ、ライム、およびチタニアを含有するスラグを形成する際に、該スラグ中のチタニア量を60質量%以下に制御して融点1400℃以下のスラグを形成し、スラグと金属融体の分離性を高めたことを特徴とする貴金属の回収方法。
〔2〕チタン成分と共にアルミニウム成分を含有する貴金属含有物について、形成されるスラグ中のアルミナ含有量20質量%以上の場合に、チタニア含有量1〜20質量%であって融点1400℃以下のスラグを形成する上記[1]に記載する貴金属の回収方法、
〔3〕チタン成分と共にアルミニウム成分を含有する貴金属含有物について、形成されるスラグ中のアルミナ含有量20質量%未満の場合に、チタニア含有量20〜60質量%であって融点1400℃以下のスラグを形成する上記[1]に記載する貴金属の回収方法、
〔4〕金属融体中の貴金属濃度を20質量%未満に制御することによって金属融体の相分離を防止し、金属融体の単一相を形成する上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する貴金属の回収方法。
〔5〕貴金属含有物が、チタニア担体またはチタニアアルミナ担体に白金族金属を含有させた化学触媒廃棄物である上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する貴金属の回収方法。
〔6〕金属材料が錫または酸化錫を主成分とする材料である上記[1]〜上記[5]の何れかに記載する貴金属の回収方法。
〔1〕貴金属含有物を溶融金属材料、還元剤、およびフラックスと共に加熱溶融し、金属融体を生成させて貴金属を吸収させる一方、非貴金属をスラグに移行させ、スラグを分離した金属融体を処理して貴金属を回収する方法において、チタンを含む貴金属含有物について、シリカ、ライム、およびチタニアを含有するスラグを形成する際に、該スラグ中のチタニア量を60質量%以下に制御して融点1400℃以下のスラグを形成し、スラグと金属融体の分離性を高めたことを特徴とする貴金属の回収方法。
〔2〕チタン成分と共にアルミニウム成分を含有する貴金属含有物について、形成されるスラグ中のアルミナ含有量20質量%以上の場合に、チタニア含有量1〜20質量%であって融点1400℃以下のスラグを形成する上記[1]に記載する貴金属の回収方法、
〔3〕チタン成分と共にアルミニウム成分を含有する貴金属含有物について、形成されるスラグ中のアルミナ含有量20質量%未満の場合に、チタニア含有量20〜60質量%であって融点1400℃以下のスラグを形成する上記[1]に記載する貴金属の回収方法、
〔4〕金属融体中の貴金属濃度を20質量%未満に制御することによって金属融体の相分離を防止し、金属融体の単一相を形成する上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する貴金属の回収方法。
〔5〕貴金属含有物が、チタニア担体またはチタニアアルミナ担体に白金族金属を含有させた化学触媒廃棄物である上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する貴金属の回収方法。
〔6〕金属材料が錫または酸化錫を主成分とする材料である上記[1]〜上記[5]の何れかに記載する貴金属の回収方法。
本発明の貴金属回収方法は、チタンを含有する貴金属含有物を溶融金属材料と共に還元溶融して貴金属を金属融体に吸収させて回収する際に、スラグ中のチタニア含有量を制御して融点1400℃以下の低融点スラグを形成するので、スラグの流動性が高く、従ってスラグと金属融体の分離性が良いので、スラグと金属融体を容易に分離することができ、貴金属を吸収した金属融体を安定に効率よく回収することができる。
本発明の貴金属回収方法は、具体的には、チタンを含む貴金属含有物について、シリカ、ライム、およびチタニアを含有するスラグ形成において、該スラグ中のチタニア量を60質量%以下に制御して融点1400℃以下の低融点スラグを形成する。また、チタン成分と共にアルミニウム成分を含有する貴金属含有物について、スラグ中のアルミナ含有量に応じてスラグ中のチタニア−ライム含有量を調整することによって流動性が高いスラグを形成してスラグと金属有低の分離性を高める。
具体的には、スラグ中のアルミナ含有量20質量%以上の場合に、チタニア含有量を1〜20質量%に調整して融点1400℃以下のスラグを形成する。また、スラグ中のアルミナ含有量20質量%未満の場合に、チタニア含有量を20〜60質量%に調整して融点1400℃以下のスラグを形成する。このように形成されるスラグの融点が低いので、スラグの流動性が良く、スラグと金属融体を容易に分離することができるので、貴金属を吸収した金属融体を安定に効率よく回収することができる。
さらに、本発明の貴金属回収方法は、金属融体中の貴金属濃度を20質量%未満に制御することによって、金属融体の相分離を防止して金属融体の単一相を形成するので高融点金属相が生成せず、貴金属の回収が安定する。
本発明の貴金属回収方法は、チタンを含有する貴金属含有物を原料として、貴金属を吸収した金属融体をスラグから分離性良く回収することができるので、例えば、チタニア製基材またはアルミナチタニア製基材に白金族金属を担持させた石油化学触媒などの廃棄物を原料として白金族金属を効率よく回収することができる。
溶融金属材料として錫または酸化を主成分とする材料、例えば、錫スクラップ、錫アノード残基などを用いることよって、経済的に貴金属を回収することができる。例えば、金属材料として錫アノード残基を用いる場合には、貴金属を吸収した溶融金属錫を鋳造して錫アノードを形成し、この錫アノードを用いて錫電解精製を行うことによって良好な貴金属アノードスライムが生じるので、容易に貴金属を回収することができ、またこの錫アノード残基を再び貴金属吸収用の金属材料として再利用することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の貴金属回収方法は、貴金属含有物を、溶融金属材料、還元剤、およびフラックスと共に加熱溶融し、生成した金属融体に貴金属を吸収させると共に非貴金属をスラグに移行させ、上記金属融体とスラグを分離して貴金属を回収する方法において、チタンを含む貴金属含有物について、スラグ中のチタニア量を60質量%以下に制御して融点1400℃以下の低融点スラグを形成し、スラグと金属融体の分離性を高めたことを特徴とする貴金属の回収方法である。
本発明の貴金属回収方法は、貴金属含有物を、溶融金属材料、還元剤、およびフラックスと共に加熱溶融し、生成した金属融体に貴金属を吸収させると共に非貴金属をスラグに移行させ、上記金属融体とスラグを分離して貴金属を回収する方法において、チタンを含む貴金属含有物について、スラグ中のチタニア量を60質量%以下に制御して融点1400℃以下の低融点スラグを形成し、スラグと金属融体の分離性を高めたことを特徴とする貴金属の回収方法である。
本発明の貴金属回収方法で用いるチタンを含有する貴金属含有物としては石油化学触媒廃棄物などが挙げられる。例えば、チタニア製基材にルテニウムを担持させた触媒、または、アルミナチタニア製基材にルテニウムを担持させた触媒が石油化学触媒として広く用いられている。本発明のチタンを含む貴金属含有物としてこれらの触媒廃棄物等を用いることができる。このうち、一般に用いられている石油化学用のアルミナチタニア系触媒には、概ねRuが約2質量%程度含まれており、基材の成分は概ねアルミナ50質量%−チタニア50質量%である。本発明の貴金属回収方法は、これらの白金族金属と共にチタニアを含む触媒廃棄物などに対して広く適用することができる。
本発明の貴金属回収方法において、貴金属の吸収材料として用いられる金属材料は金属融体を形成し、貴金属を吸収する金属であればよい。例えば、溶融金属材料として錫または酸化錫を主成分とする材料を用いることができる。金属錫を主成分とする材料として錫アノード残基を用いることができる。錫アノード残基は錫電解精製における錫アノードの電解後の残分である。一般に錫電解精製では縦横1m、厚さ3cm程度の錫アノードを用いており、電解後は錫アノードが厚さ5mm程度まで溶解された薄い板状のアノード残基が残る。この錫アノード残基は薄板であるので溶融しやすく、容易に金属錫溶融層を形成することができる。
本発明の貴金属回収方法は、チタンを含む貴金属含有物を溶融金属材料と共に、フラックスおよび還元剤を加えて加熱溶融する。還元剤としてはコークスなどの炭素材料を用いればよい。フラックス(スラグ形成材料)として珪砂、石灰石、生石灰などを用い、シリカ−ライム−チタニア系スラグを形成させる。
溶融金属材料の量は貴金属含有物から溶出する貴金属を吸収するのに十分な量であれば良い。また、フラックスおよび還元剤の量は貴金属などを十分に還元し、適当なスラグ層を形成する量が用いられる。溶融炉に貴金属含有物、溶融金属材料、フラックスおよび還元剤を装入し、加熱還元して溶融する。溶融炉は溶融した金属材料が酸化されず、また酸化物スラグが還元されない程度の雰囲気を保つ密閉型電気炉などを用いると良い。
加熱処理によって溶融金属材料、例えば、錫アノード残基が溶融して金属錫溶融層(金属融体)が生成し、さらに触媒廃棄物等に含有されている貴金属が還元されて分離し、この分離した貴金属が上記金属錫溶融層(金属融体)に吸収される。一方、酸化物(スラグ)が生成し、これは金属融体より比重が小さいので、金属錫溶融層の上にスラグ層が形成される。
本発明の貴金属回収方法は、上記加熱溶融処理において、チタンを含む貴金属含有物について、シリカ−ライム−チタニアを含有するスラグを形成する際に、該スラグ中のチタニア量を60質量%以下に制御して融点1400℃以下の低融点スラグを形成する。シリカ−ライム−チタニア系スラグにおいて、チタニア含有量が60質量%を上回るとスラグの融点が1400℃より高くなり、スラグの流動性が低下するので、好ましくない。
貴金属含有物がチタン成分と共にアルミニウム成分を含有する場合、例えば、チタニアアルミナ基材触媒などを溶解する場合、形成されるスラグのアルミナ含有量によってもスラグの融点が異なり、流動性が変化するので、スラグのアルミナ含有量の範囲に応じてチタニア含有量を制御する。
例えば、スラグ中のアルミナ含有量20質量%以上の場合にはチタニア含有量を1〜20質量%に調整する。実施例に示すように、スラグ中のアルミナ含有量が20質量%以上のときに、スラグのチタニア含有量が20質量%より多いとスラグの融点が1400℃より高くなり、流動性が低下する。スラグのチタニア含有量が1〜20質量%の範囲であれば融点1400℃以下の流動性のよいスラグを形成することができる。
また、スラグ中のアルミナ含有量20質量%未満の場合にはチタニア含有量を20〜60質量%に調整する。実施例に示すように、スラグ中のアルミナ含有量が20質量%未満のときに、スラグのチタニア含有量が70質量%より多いとスラグの融点が1400℃より高くなり、流動性が低下する。スラグのチタニア含有量が20〜60質量%の範囲であれば融点1400℃以下の流動性のよいスラグを形成することができる。
スラグ中のチタニア含有量を上記範囲に調整するには、貴金属含有物に含まれるスラグ成分の含有量に応じて、上記フラックスの添加量(珪砂、石灰石、生石灰などの添加量)を調整すれば良い。チタニア含有量を上記範囲に調整したスラグは流動性が良く、スラグと金属融体を容易に分離することができるので、貴金属を吸収した金属融体を安定に効率よく回収することができる。
触媒廃棄物などから分離した貴金属はスラグ層には殆ど移行せず、下層の金属融体に吸収されるので、溶融炉を傾けて上側のスラグ層を流し出し、あるいは溶融炉を設置したままスラグ層を湯面から掻き出して金属融体をスラグから分離して回収する。
金属材料として錫または酸化錫を用いた場合、金属錫溶融層には触媒廃棄物等から分離した貴金属が吸収されており、回収し冷却した貴金属含有金属錫は金属銅結晶の間に貴金属結晶が点在した組織、あるいは金属錫と貴金属が化合した合金結晶から構成される組織を有している。この含有されている貴金属は、電解処理または酸溶解などの方法によって金属錫から分離し、回収することができる。
金属融体中の吸収される貴金属の量は20質量%未満に制御するのが好ましい。金属融体中の貴金属濃度が20質量%を上回ると金属融体が相分離を生じる場合があるので、好ましくない。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。%は質量%である。
〔実施例および比較例〕
密閉型電気炉に、化学工業用触媒廃棄物1(Ru:2%、基材:アルミナ40〜62%およびチタニア36〜50%)および化学工業用触媒廃棄物2(Ru:2%、基材:チタニア100%)を5mm以下に粉砕した触媒廃棄物1000kg、およびスズアノード残基250kgを装入し、フラックスとして硅砂、炭酸カルシウムを加え、さらに還元剤としてコークス50kgを加え、炉内をスズが酸化されず、かつ酸化鉄が還元されない雰囲気に保ち、1400℃で4時間加熱し、装入物の全量を溶融した。このとき、フラックスの添加量を調整してスラグに含まれるアルミナ量およびチタニア−シリカ−ライムの含有量が表1に示す範囲になるようにスラグを形成した。次いで、生成したスラグ層を除去した後に、溶融金属層に空気を吹き込んで酸化スズのスラグ層を形成し、これを除去した後に、貴金属のルテニウムを吸収した溶融スズを回収した。スラグ組成およびルテニウムの回収率を表1に示した。
〔実施例および比較例〕
密閉型電気炉に、化学工業用触媒廃棄物1(Ru:2%、基材:アルミナ40〜62%およびチタニア36〜50%)および化学工業用触媒廃棄物2(Ru:2%、基材:チタニア100%)を5mm以下に粉砕した触媒廃棄物1000kg、およびスズアノード残基250kgを装入し、フラックスとして硅砂、炭酸カルシウムを加え、さらに還元剤としてコークス50kgを加え、炉内をスズが酸化されず、かつ酸化鉄が還元されない雰囲気に保ち、1400℃で4時間加熱し、装入物の全量を溶融した。このとき、フラックスの添加量を調整してスラグに含まれるアルミナ量およびチタニア−シリカ−ライムの含有量が表1に示す範囲になるようにスラグを形成した。次いで、生成したスラグ層を除去した後に、溶融金属層に空気を吹き込んで酸化スズのスラグ層を形成し、これを除去した後に、貴金属のルテニウムを吸収した溶融スズを回収した。スラグ組成およびルテニウムの回収率を表1に示した。
表1に示すように、スラグのチタニア−シリカ−ライムの含有範囲が本発明の範囲を外れる比較例(B1)はスラグの流動性が低く、スラグを分離する際に溶融スズの一部がスラグと共に流出するので、ルテニウムの回収率が低い。
Claims (6)
- 貴金属含有物を溶融金属材料、還元剤、およびフラックスと共に加熱溶融し、金属融体を生成させて貴金属を吸収させる一方、非貴金属をスラグに移行させ、スラグを分離した金属融体を処理して貴金属を回収する方法において、チタンを含む貴金属含有物について、シリカ、ライム、およびチタニアを含有するスラグを形成する際に、該スラグ中のチタニア量を60質量%以下に制御して融点1400℃以下のスラグを形成し、スラグと金属融体の分離性を高めたことを特徴とする貴金属の回収方法。
- チタン成分と共にアルミニウム成分を含有する貴金属含有物について、形成されるスラグ中のアルミナ含有量20質量%以上の場合に、チタニア含有量1〜20質量%であって融点1400℃以下のスラグを形成する請求項1に記載する貴金属の回収方法、
- チタン成分と共にアルミニウム成分を含有する貴金属含有物について、形成されるスラグ中のアルミナ含有量20質量%未満の場合に、チタニア含有量20〜60質量%であって融点1400℃以下のスラグを形成する請求項1に記載する貴金属の回収方法、
- 金属融体中の貴金属濃度を20質量%未満に制御することによって金属融体の相分離を防止し、金属融体の単一相を形成する請求項1〜請求項3の何れかに記載する貴金属の回収方法。
- 貴金属含有物が、チタニア担体またはチタニアアルミナ担体に白金族金属を含有させた化学触媒廃棄物である請求項1〜請求項4の何れかに記載する貴金属の回収方法。
- 金属材料が錫または酸化錫を主成分とする材料である請求項1〜5の何れかに記載する貴金属の回収方法。
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