JP5262310B2 - パウチ容器 - Google Patents

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Description

本発明は、食品等の包装に用いられるパウチ容器に関する。
液体状の食品等、流動性を有する内容物を収納し長期保存可能とする容器として、性質の異なる複数のフィルム層を積層し貼り合わせたフィルムシートを用い、積層方向に重ね合わせた複数のフィルムシートの外周部を熱シールして封止したパウチ容器なるものが知られている。パウチ容器は、フィルムシートの外周部の溶着された部分(シール部)によって囲まれた未シール部の間に内容物が充填されるように構成されており、開封時には、シール部から未シール部に亘ってフィルムシートを引き裂くことで、はさみやカッター等を使用することなく開封できるようになっている。
従来のパウチ容器を構成するフィルムシートとしては、例えば特許文献1のように、内容物に応じて酸素等を遮断するガスバリア機能や印刷容易性などの所定の機能を有する基材フィルム層(表面フィルム層)と、一方向に易引裂性を有する横方向性フィルム層と、易引裂性を有する易引裂性フィルム層とを順次積層して接着したものがある。このように横方向性フィルム層及び易引裂性フィルム層を積層させてフィルムシートを構成することで、一方向への易引裂性を向上させている。
また、特許文献1以外に、パウチ容器を一方向に容易に開封させるための構成として、例えばレーザー加工を用い、フィルムシートの表面からシートを貫通しない程度の深さでミシン目状に溝を形成することが考えられる。すなわち、複数の溝を、互いに間隔を開け一方向に配列することで、一方向に延びる引裂誘導線を形成し、この引裂誘導線に沿ってフィルムシートを引き裂くことで、易引裂性を確保するものである。
また一般に、パウチ容器のフィルムシートとして、例えば、透明性を有する表面フィルム層と、機械的強度を有する強化フィルムや酸素等を遮断するガスバリア性を有するアルミニウム箔を備えた中間フィルム層と、ヒートシール性を有するシーラントフィルム層とを積層したものが知られている。また、このようなパウチ容器の表面フィルム層又は中間フィルム層には、印刷層が印刷される。
一方、特許文献2,3には、プラスチックフィルム又は貼合紙に印刷デザインを施した後、引き続き印刷インラインでエンボス加工を施す技術が開示されている。
特開2008−1406号公報 特開平4−197775号公報 特開平6−344649号公報
しかしながら、特許文献1のように、一方向への易引裂性を備えさせるため、横方向性フィルム層や易引裂性フィルム層を設けることは、材料費や製作工程を増大させ、製造費用が嵩むという課題を有している。
また、易引裂性を備えさせるため、レーザー加工を用いて、フィルムシートの表面からシートを貫通しない程度の深さで複数の溝を入れ引裂誘導線を形成する場合、溝深さの精度を確保することが困難であり、フィルムシートに過剰に傷を付けてしまい、パウチ容器の強度やガスバリア性を低下させる虞がある。また逆に、溝を浅く形成した場合には、易引裂性が確保できなくなる。
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであって、易引裂性及び強度を同時に確保でき、製造費用を低減可能なパウチ容器を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明のパウチ容器は、透明性を有する表面フィルム層と、印刷層と、中間フィルム層と、熱シール性を有するシーラントフィルム層とが順次積層され、少なくとも前記印刷層が印刷された前記表面フィルム層又は前記中間フィルム層に、積層方向に貫通する複数の線状孔が形成され、複数の前記線状孔が互いに間隔を開けて一方向に配列されることで、前記一方向に延びる引裂誘導線が形成されるフィルムシートを、前記積層方向に複数重ねるとともに、複数のフィルムシートの面方向の外周部を溶着したシール部を形成することで、前記シール部によって囲まれた未シール部の間に内容物が充填されるように構成され、複数の前記フィルムシートに形成された夫々の前記引裂誘導線が、同一方向に延在するとともに積層方向に重なるように配置され、複数の前記フィルムシートが、前記積層方向に重ねられる一対の側面部材及びこれら側面部材の間に二つ折りの状態で介装される底面部材をなし、各側面部材と底面部材とのシール部を底部としたスタンディングパウチが構成されることを特徴とする。
本発明に係るフィルムシートを備えたパウチ容器によれば、印刷層が印刷された表面フィルム層又は中間フィルム層に、積層方向に貫通する複数の線状孔が形成されており、この印刷層が印刷されない表面フィルム層又は中間フィルム層と、シーラントフィルム層とには線状孔が形成されないので、フィルムシートの強度が十分に確保されている。すなわち、複数の線状孔の孔深さは略同一寸法に形成されており、寸法精度が確保されているので、フィルムシートの引裂誘導線に強度のバラつきが生じない。
また、複数の線状孔が互いに間隔を開けて一方向に配列することで、一方向に延びる引裂誘導線を形成しているので、フィルムシートをこの引裂誘導線に沿って一方向に容易に引き裂くことができ、易引裂性が確保されている。従って、フィルムシートに易引裂性を備えさせるために、例えば易引裂性フィルム層等を積層するような必要が無く、よって材料費及び製作工程が低減する。
本発明に係るパウチ容器によれば、そのシール部及び未シール部にわたって複数のフィルムシートを引裂誘導線の引き裂き方向(一方向)に引き裂くことで、パウチ容器を開封することができる。すなわち、複数のフィルムシートの引裂誘導線が同一方向に延びるとともに積層方向に重なるように配置されているので、これらフィルムシートの引き裂きが纏めて精度よく行われる。そして、パウチ容器を内容物が収容された袋体と、袋体の開口部分から切り離される切れ端とに分離することができる。したがって、パウチ容器の開封後には、内容物を容易に袋体から取り出すことができ、開封時に不意に内容物が漏れてしまうことも容易に防止できる。
さらに、このパウチ容器を構成するフィルムシートは、前述したように、易引裂性及び強度の両方を同時に確保できるため、パウチ容器を加熱処理してもその破袋を防止することができる。
本発明に係るパウチ容器によれば、このパウチ容器を構成するフィルムシートは、前述したように、易引裂性及び強度を同時に確保できるため、少なくともスタンディングパウチとしての自立性を十分に得ることができる。
また本発明に係るパウチ容器において、前記引裂誘導線の延在する前記一方向が、前記底面部材の折り目に交差することとしてもよい。
スタンディングパウチとして構成された前記パウチ容器においては、引裂誘導線の引き裂き方向が底面部材の折り目に交差していても、底面部材及び一対の側面部材を容易に引き裂くことができる。
本発明に係るパウチ容器によれば、易引裂性及び強度を同時に確保でき、かつ、製造費用を低減することができる
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るパウチ容器1は、シート状に形成された一対の側面部材3,5及び底面部材7を備えており、自立性を有するスタンディングパウチとして構成されている。
すなわち、一対の側面部材3,5は互いに積層方向(Z軸方向)に重ねられており、さらに、一対の側面部材3,5の間に底面部材7が二つ折りの状態で介装されている。そして、パウチ容器1は、相互に対向する一対の側面部材3,5の面方向の外周部を溶着したシール部9Aと、相互に対向する各側面部材3,5及び底面部材7の外周部を溶着したシール部9B,9Cとを形成することで、これらシール部9A,9B,9Cによって囲まれた未シール部の間に食材等の内容物が充填されるように構成されている。
さらに具体的に説明すると、一対の側面部材3,5及び底面部材7は平面視略矩形状に形成されており、底面部材7はその対向する一辺7aが互いに重なるように折り曲げられている。そして、底面部材7は、直線状の折り目10と平行に延びる底面部材7の一辺7a(以下、平行辺7aと呼ぶ。)が側面部材3,5の底辺3a,5aに重なるように配されており、底面部材7の平行辺7a部分と各側面部材3,5の底辺3a,5a部分とをそれぞれ溶着した部分がシール部9Bをなしている。なお、相互に対向する底面部材7の平行辺7a同士は溶着されない。また、底面部材7の平行辺7aに隣り合う辺7b(以下、側方辺7bと呼ぶ。)は、側面部材3,5の側辺3b,5bにそれぞれ重なっており、底面部材7の側方辺7b部分及び一対の側面部材3,5の側辺3b,5b部分を一括して溶着した部分がシール部9Cをなしている。
そして、このパウチ容器1は、底面部材7の平行辺7a部分と各側面部材3,5の底辺3a,5a部分とのシール部9Bを底部としたスタンディングパウチとして構成されている。
また、図3及び図4に示すように、他の例のパウチ容器31は、1枚のシート状の外装部材32を折り込んでなる。すなわち、外装部材32の底部が図4に示すように断面略W字状に折り込まれることで、側面部分(側面部材)33,35と、底面部分(底面部材)37とを夫々形成し、自立性を有するスタンディングパウチとして構成されている。
外装部材32は、Z軸方向に複数重ねられており、対面する側面部分33,35の面方向の外周部を溶着したシール部39Aと、相互に対向する各側面部分33,35及び底面部分37のX軸方向の両端の外周部を溶着した夫々のシール部39Cとを形成することで、これらシール部39A,39Cによって囲まれた未シール部の間に食材等の内容物が充填されるように構成されている。
さらに具体的に説明すると、底面部分37はその対向する一辺(平行辺)37aが互いに重なるように折り曲げられており、これら平行辺37aが直線状の折り目10と平行に延びている。底面部分37の平行辺37aに隣り合う側方辺37bは、側面部分33,35の側辺33b,35bにそれぞれ重なっており、底面部分37の側方辺37b部分及び一対の側面部分33,35の側辺33b,35b部分を一括して溶着した部分がシール部39Cをなしている。
そして、このパウチ容器31は、底面部分37の平行辺37a部分を底部としたスタンディングパウチとして構成されている。
パウチ容器1(31)のこれら一対の側面部材3,5(側面部分33,35)及び底面部材7(底面部分37)は、同種のフィルムシートによって構成されており、例えば図5,6に示すように、フィルムシート11,21は複数のフィルム層を積層して構成されている。
図5に示すフィルムシート11は、パウチ容器1(31)の外装をなす表面フィルム層13と、印刷デザインとなる印刷層15と、ガスバリア性フィルム層からなる中間フィルム層17と、シール部9A(39A),9B,9C(39C)を形成するためのシーラントフィルム層19とを順次積層し、これらフィルム層13,17,19の各間に不図示の接着剤を塗布してラミネートしたものである。なお、印刷層15は、表面フィルム層13の表面(図5における下面)に印刷されている。
表面フィルム層13としては、印刷層15を容易に印刷可能な印刷容易性を有すると共に印刷層15を外側から視認可能とする透明性を有するものが用いられる。表面フィルム層13として、具体的には、例えば延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが挙げられる。なお、表面フィルム層13は、種々の目的に合わせ性質の異なる複数のフィルム層を適宜積層して構成することとしても構わない。
また、表面フィルム層13及び印刷層15には、互いの積層方向(図5における上下方向、図2、図4におけるZ軸方向)に貫通する複数のスリット(線状孔)14が設けられている。図1、図3に示すように、複数のスリット14は、互いに間隔を開けて一方向(図1、図3におけるY軸方向)に配列されており、このようにスリット14がミシン目状に配列されることで、Y軸方向に延びる引裂誘導線8が形成されている。引裂誘導線8は、パウチ容器1、31のY軸方向の外形長さの80%以上の長さに設定されることが好ましい。また、引裂誘導線8は、一方向に直交する方向に間隔を開けて複数設けられている。引裂誘導線8の数量は、3本以上とされることが好ましい。なお、スリット14は、中間フィルム層17及びシーラントフィルム層19には形成されていない。
また、中間フィルム層17を形成するガスバリア性フィルム層としては、少なくともパウチ容器1、31内へのガスの侵入を防止するガスバリア性を有していればよく、例えばアルミニウム箔を採用することが好ましい。なお、中間フィルム層17は、種々の目的に合わせ性質の異なる複数のフィルム層を適宜積層して構成することとしても構わない。
また、シーラントフィルム層19としては、シール部9A(39A),9B,9C(39C)を形成するためのヒートシール性を有していればよいが、特にパウチ容器1、31内に食材が充填される場合には、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを採用することが好ましい。
また、図6に示すフィルムシート21は、パウチ容器1、31の外装をなす透明蒸着フィルム層からなる表面フィルム層23と、印刷層15と、フィルムシート21の機械的強度を向上させる強化フィルム層からなる中間フィルム層27と、シール部9A(39A),9B,9C(39C)を形成するためのシーラントフィルム層19とを順次積層し、これらフィルム層23,27,19の各間に不図示の接着剤を塗布してラミネートしたものである。なお、印刷層15は、中間フィルム層27の表面(図6における上面)に印刷されている。
表面フィルム層23の透明蒸着フィルム層は、基材である基材フィルム層の片面にガスバリア性皮膜層(ガスバリア性フィルム層)を蒸着積層して構成されるものであり、印刷層15を外側から視認可能とする透明性を有する。したがって、この基材フィルム層は、図5に示すフィルムシート11の表面フィルム層13と同様としてもよいが、例えば二軸延伸PETフィルム等の二軸延伸ポリエステルフィルムとすることがより好ましい。また、ガスバリア性被膜層としては、少なくともパウチ容器1、31内へのガス(酸素)の侵入を防止するガスバリア性を有していればよく、例えば酸化珪素、酸化アルミニウムなどの無機酸化物を採用することが好ましい。
中間フィルム層27の強化フィルム層としては、前述した透明蒸着フィルム層の特性を考慮して、印刷層15を容易に印刷可能な印刷容易性を有することが好ましく、例えば延伸ナイロン(NY)フィルムを採用することが好ましい。
また、中間フィルム層27及び印刷層15には、互いの積層方向(図6における上下方向、図2、図4におけるZ軸方向)に貫通する複数のスリット14が設けられており、これらスリット14が引裂誘導線8を形成する。なお、スリット14は、表面フィルム層23及びシーラントフィルム層19には形成されていない。
なお、シーラントフィルム層19は、図5に示す積層構造のフィルムシート11と同様のものである。
また、図1、図3において、パウチ容器1(31)の一対の側面部材3,5(側面部分33,35)及び底面部材7(底面部分37)を構成するフィルムシート11,21に形成される夫々の引裂誘導線8は、同一方向(Y軸方向)に延在するとともに積層方向(Z軸方向)に重なるように配置される。
なお、図1に示すパウチ容器1においては、その下部側に位置するシール部9BにV字形のノッチ(切り口)30が形成されているが、少なくともY軸方向の端部に位置するシール部9Bに開封の開始箇所となる切り口が形成され、また、この切り口からY軸方向に延びる引裂誘導線8がシール部9A,9B及び未シール部に跨って通ると共に底面部材7の折り目10に交差していればよい。
なお、切り口の他の具体例としては、半円形、I字形などのノッチなどが挙げられる。
また、図3に示すパウチ容器31においては、引裂誘導線8のY軸方向の下部側の端部にシール部が形成されないため、ノッチ30は設けられていない。
また、フィルムシート11,21の引裂誘導線8を形成する複数のスリット14の配列は、例えば図7、図8のように形成される。
図7において、一方向(Y軸方向)に延びる夫々の引裂誘導線8を形成する複数のスリット14は、夫々がY軸方向に延在するとともに互いにY軸方向に間隔を開けて配列している。各スリット14のY軸方向の長さL1は、Y軸方向に隣り合う他のスリット14との間隔S1よりも僅かに長く設定される。
また、X軸方向に隣り合う引裂誘導線8は、互いのスリット14のY軸方向の一側(図7における上側)の端部と他側(図7における下側)の端部とをX軸方向に重ねるように、各スリット14を配列している。すなわち、X軸方向に隣り合うスリット14が、所謂互い違いに、略千鳥状に配置されている。
また、図8(a),(b)において、夫々の引裂誘導線8を形成する複数のスリット14は、Y軸方向の一側(図8における上側)から他側(図8における下側)へ向かうに連れY軸方向に対し傾斜するように延在し、Y軸方向に互いに間隔を開けて配列している。また、X軸方向に隣り合う引裂誘導線8同士は、互いのスリット14の傾斜する向きが対称に設定される。各スリット14のY軸方向の長さL2は、Y軸方向に隣り合う他のスリット14とのY軸方向の間隔S2よりも僅かに長く設定される。
なお、図8(a)では、X軸方向に隣り合うスリット14同士が、互いにX軸方向に重なるように配置されている。一方、図8(b)では、X軸方向に隣り合う引裂誘導線8は、互いのスリット14のY軸方向の一側の端部と他側の端部とをX軸方向に重ねるように、各スリット14を配列している。すなわち、X軸方向に隣り合うスリット14が、所謂互い違いに、略千鳥状に配置されている。
次いで、フィルムシート11,21を製造する手順について説明する。
図9は、フィルム層の印刷装置20の概略構成を示している。この印刷装置20は、フィルム層に各色の印刷インキを印刷する複数の印刷ユニットを備え、最終の印刷を行う最終印刷ユニット40と、最終印刷ユニット40の搬送の下流側に配されるスリット加工ユニット50とを備えている。また、フィルム層を移送するフィルム流れ方向が、図1、図3におけるパウチ容器1、31のX軸方向と同一に設定されている。なお、これら最終印刷ユニット40とスリット加工ユニット50との間に、ドライヤーを備えた乾燥ユニットを設けることとしてもよい。
最終印刷ユニット40は、略円柱状をなすグラビアシリンダーからなる版胴41と、印刷インキを貯留するインキパン42と、インキパン42の印刷インキを強制的に版胴41の外周面に塗布するファニッシャーロール43と、版胴41の外周面の余分な印刷インキを掻き落すドクター44と、版胴41との間にフィルム層を挟み加圧する圧胴45と、を備えている。
スリット加工ユニット50は、版胴41と同一径に形成される略円柱状のスリット加工ロール51と、スリット加工ロール51との間にフィルム層を挟み加圧する圧胴55と、を備えている。また、スリット加工ロール51の外周面には、複数のピナクルダイ52が設けられている。複数のピナクルダイ52は、先端が鋭利に形成されており、圧胴55との間に導かれたフィルム層に、フィルム層の積層方向に貫通するスリット14を夫々開口させるとともに、複数のスリット14からなる引裂誘導線8を形成するよう配設される。
すなわち、これらピナクルダイ52は、スリット加工ロール51の軸線方向に互いに間隔を開けて配列されることで、フィルム層のX軸方向(フィルム流れ方向)に直交するY軸方向に沿って延びる引裂誘導線8を形成するための条をなし、複数の条が周方向に互いに若干の間隔を開けて並び、帯状のブロックを形成している。そして、前記帯状のブロックが、スリット加工ロール51の外周面に周方向等間隔に、かつ、印刷層15の印刷デザインのフィルム流れ方向の印刷ピッチに対応して配置される。
そして、最終印刷ユニット40に表面フィルム層13又は中間フィルム層27が移送されると、版胴41と圧胴45との間に導かれたフィルム層に印刷層15が印刷されて、印刷デザインが施される。最終印刷ユニット40を通過したフィルム層は、次いでスリット加工ユニット50に移送され、スリット加工ロール51と圧胴55との間に導かれて、前述の複数のスリット14からなる引裂誘導線8を形成され、印刷装置20から排出される。すなわち、同一工程(インライン)で印刷とスリット加工とが行われるようになっている。また、フィルム層が印刷装置20から排出された後工程において、表面フィルム層13,23、印刷された印刷層15、中間フィルム層17,27及びシーラントフィルム層19を順次積層しドライラミネートにより貼着することで、フィルムシート11,21が製造される。
次に、上述した構成のフィルムシート11,21の実施例と、これを用いて製造されたパウチ容器1について試験を行った結果について説明する。
実施例のフィルムシートとして、以下の4つを取り上げる。
(実施例1)
実施例1のフィルムシートは、図5に示す積層構造のフィルムシート11であり、具体的には、以下のように製造される。
表面フィルム層13である厚さ12μmの延伸PETフィルムに対し、印刷装置20を用いて、印刷層15であるウレタン系2液硬化型グラビアインキの裏刷りを実施するとともに、印刷のインラインで、前述の図8(b)に示す複数のスリット14からなる引裂誘導線8を複数形成した。なお、引裂誘導線8は11本形成し、これをX軸方向の幅12mm内に収めるように配置した。次いで、表面フィルム層13に印刷された印刷層15を挟み込むように、表面フィルム層13上にガスバリア性フィルム層である厚さ7μmのアルミニウム箔(中間フィルム層17)、シーラントフィルム層19である厚さ60μmのCPPフィルム(東レフィルム加工(株)の「ZK100」)を順次重ねると共に、これら各フィルム層13,17,19の間にウレタン系2液硬化型接着剤(「三井化学ポリウレタン タケラックA505」)を塗布量4g/m、乾燥状態で塗布し、ドライラミネートを実施することで実施例1のフィルムシート11を得た。
(実施例2)
実施例2のフィルムシートは、図5に示す積層構造のフィルムシート11であり、具体的には、以下のように製造される。
表面フィルム層13として、厚さ12μmの延伸PETフィルムと厚さ15μmの延伸NYフィルム(ユニチカ(株)製の「ONBC」)との間にウレタン系2液硬化型接着剤(「三井化学ポリウレタン タケラックA505」)を塗布量4g/m、乾燥状態で塗布し、ドライラミネートし貼着したものを用意した。そして、印刷装置20を用いて、印刷層15であるウレタン系2液硬化型グラビアインキの裏刷りを実施するとともに、印刷のインラインで、図8(b)に示す複数のスリット14からなる引裂誘導線8を複数形成した。これらスリット14及び引裂誘導線8の形状・数量・配置等は、前述の実施例1と同一に設定した。次いで、表面フィルム層13に印刷された印刷層15を挟み込むように、表面フィルム層13上にガスバリア性フィルム層である厚さ7μmのアルミニウム箔(中間フィルム層17)、シーラントフィルム層19である厚さ60μmのCPPフィルム(東レフィルム加工(株)の「ZK100」)を順次重ねると共に、これら各フィルム層13,17,19の間にウレタン系2液硬化型接着剤(「三井化学ポリウレタン タケラックA505」)を塗布量4g/m、乾燥状態で塗布し、ドライラミネートを実施することで実施例2のフィルムシート11を得た。
(実施例3)
実施例3のフィルムシートは、図6に示す積層構造のフィルムシート21であり、具体的には、以下のように製造される。
強化フィルム層(中間フィルム層27)である厚さ15μmの延伸NYフィルム(ユニチカ(株)製の「ONBC」)に対し、印刷装置20を用いて、印刷層15であるウレタン系2液硬化型グラビアインキの表刷りを実施するとともに、印刷のインラインで、図8(b)に示す複数のスリット14からなる引裂誘導線8を複数形成した。これらスリット14及び引裂誘導線8の形状・数量・配置等は、前述の実施例1と同一に設定した。次いで、中間フィルム層27に印刷された印刷層15を挟み込むように、中間フィルム層27上に、表面フィルム23である厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(凸版印刷(株)製、「GL−ARH−F」)を重ね、また中間フィルム層27の印刷層15が配される側と反対側の面に、シーラントフィルム層19である厚さ60μmのCPPフィルム(東レフィルム加工(株)の「ZK100」)を重ね、これら各フィルム層23,27,19の間にウレタン系2液硬化型接着剤(「三井化学ポリウレタン タケラックA505」)を塗布量4g/m、乾燥状態で塗布し、ドライラミネートを実施することで、実施例3のフィルムシート21を得た。
(実施例4)
実施例4のフィルムシートは、図6に示す積層構造のフィルムシート21であり、具体的には、以下のように製造される。
実施例4の中間フィルム層27は、強化フィルム層と、ガスバリア性フィルム層とを備える。
まず、強化フィルム層である厚さ15μmの延伸NYフィルム(ユニチカ(株)製の「ONBC」)に対し、印刷装置20を用いて、印刷層15であるウレタン系2液硬化型グラビアインキの表刷りを実施するとともに、印刷のインラインで、図8(b)に示す複数のスリット14からなる引裂誘導線8を複数形成した。これらスリット14及び引裂誘導線8の形状・数量・配置等は、前述の実施例1と同一に設定した。次いで、強化フィルム層に印刷された印刷層15を挟み込むように、強化フィルム層上に、表面フィルム23である厚さ12μmの延伸PETフィルムを重ね、また強化フィルム層の印刷層15が配される側と反対側の面に、ガスバリア性フィルム層である厚さ7μmのアルミニウム箔、シーラントフィルム層19である厚さ60μmのCPPフィルム(東レフィルム加工(株)の「ZK100」)を重ね、これら各フィルム層23,27,19の間にウレタン系2液硬化型接着剤(「三井化学ポリウレタン タケラックA505」)を塗布量4g/m、乾燥状態で塗布し、ドライラミネートを実施することで、実施例4のフィルムシート21を得た。
また、比較例のフィルムシートとして、以下の2つを取り上げる。
(比較例5)
図10に示すように、比較例5のフィルムシート61は、実施例3と同様の透明蒸着PETフィルム(表面フィルム層23)、強化フィルム層(中間フィルム層27)及びシーラントフィルム層19とを順次積層すると共に、表面フィルム層23と中間フィルム層27との間に印刷層15を配して構成されるものである。なお、実施例3とはスリット14が形成されない点で異なる。このフィルムシート61は、具体的に以下のように製造される。
表面フィルム層23である厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(凸版印刷(株)製、「GL−ARH−F」)に対し、印刷層15であるウレタン系2液硬化型グラビアインキの裏刷りを実施する。次いで、表面フィルム層23に印刷された印刷層15を挟み込むように、表面フィルム層23上に強化フィルム層(中間フィルム層27)である厚さ15μmの延伸NYフィルム(ユニチカ(株)製の「ONBC」)、シーラントフィルム層19である厚さ60μmのCPPフィルム(東レフィルム加工(株)の「ZK100」)を順次重ねると共に、これら各フィルム層23,27,19の間にウレタン系2液硬化型接着剤(「三井化学ポリウレタン タケラックA505」)を塗布量4g/m、乾燥状態で塗布し、ドライラミネートを実施することで比較例5のフィルムシート61を得た。
(比較例6)
図11に示すように、比較例6のフィルムシート71は、実施例4と同様の延伸PETフィルム(表面フィルム層23)、強化フィルム層(中間フィルム層27)、ガスバリア性フィルム層(中間フィルム層27)及びシーラントフィルム層19とを順次積層すると共に、表面フィルム層23と中間フィルム層27との間に印刷層15を配して構成されるものである。なお、実施例4とはスリット74の形成手法が異なる。このフィルムシート71は、具体的に以下のように製造される。
表面フィルム層23である厚さ12μmの延伸PETフィルムに対し、印刷層15であるウレタン系2液硬化型グラビアインキの裏刷りを実施する。次いで、表面フィルム層23に印刷された印刷層15を挟み込むように、表面フィルム層23上に強化フィルム層(中間フィルム層27)である厚さ15μmの延伸NYフィルム(ユニチカ(株)製の「ONBC」)、ガスバリア性フィルム層(中間フィルム層27)である厚さ7μmのアルミニウム箔、シーラントフィルム層19である厚さ60μmのCPPフィルム(東レフィルム加工(株)の「ZK100」)を順次重ねると共に、これら各フィルム層23,27,27,19の間にウレタン系2液硬化型接着剤(「三井化学ポリウレタン タケラックA505」)を塗布量4g/m、乾燥状態で塗布し、ドライラミネートを実施してフィルムシート71を製造した。次いで、シール部9A,9B,9Cを形成してパウチ容器1を製造する際に、パウチ容器1の開封部分となるフィルムシート71のY軸方向に沿ってレーザー加工により複数のスリット74を配列することで引裂誘導線を複数形成したものである。ここで、スリット74は、表面フィルム層23から中間フィルム層27の強化フィルム層まで到達する深さを有し、これらスリット74及び引裂誘導線は、図8(b)に示すように、実施例1と平面視で略同一の形状・数量・配置等に設定し形成した。
以上の実施例1〜4及び比較例5,6のフィルムシート11,21,61,71によって製造されるパウチ容器1の寸法については、いずれもX軸方向の長さを160mmとし、また、Y軸方向の長さを120mmとした。また、X軸方向に沿う側面部材3,5の底辺3a,5aから底面部材7の折り目10までの長さを30mmとした。また、パウチ容器1を製造する際には、内容物として蒸留水を200ml充填した。
そして、実施例1〜4及び比較例5,6のフィルムシートからなるパウチ容器に対し、その「開封性」、内容物の「臭気」及び「落下強度」について試験を行い、さらに、パウチ容器の製造に要する「追加コスト」について評価した。その結果を表1にまとめる。
Figure 0005262310
なお、開封性の試験は、図1に示すように、パウチ容器1の下部に形成されたノッチ30からY軸方向に真直ぐ引き裂くことで行われる。そして、表1中における開封性の評価は、パウチ容器を内容物が収容された袋体とその開口部分から切り離される切れ端とに分離でき、さらに開口部分にヒゲや又裂きが生じない場合を「◎」で示し、パウチ容器を袋体と切れ端とに分離できるが、開口部分に小さなヒゲや又裂きが生じた場合を「○」で示している。また、パウチ容器を袋体と切れ端とに分離できず、開口部分に大きなヒゲや又裂きが生じた場合を「×」で示している。
また、臭気の試験は、蒸留水の入ったパウチ容器をレトルト殺菌(121℃×30分)し、その後開封して味覚評価することで行われる。ここで、味覚評価は、従来のレトルト食品に使用されるフィルムシートの積層構造(「PET/NY/AL/CPP」あるいは「透明蒸着PET/NY/CPP」)を基準とする。そして、表1中では、味覚評価の基準に対して差がない場合に「○」で示し、差がある場合に「×」で示している。
さらに、落下強度の試験は、蒸留水の入ったパウチ容器をレトルト殺菌(121℃×30分)し、さらに4℃で24時間保管した後、高さ1mから10回連続で落下し、蒸留水の漏れや破袋の発生を確認して行われる。
また、追加コストの評価は、従来のレトルト食品に使用するレトルトパウチに対して、新たな装置が必要であるか否かであり、表1中では、新たな装置が不要である場合を「○」、新たな装置が必要な場合を「×」で示している。
表1の「開封性」の結果によれば、複数のスリットからなる引裂誘導線を設けていない比較例5では、パウチ容器の開封時の引き裂き方向が安定せず、パウチ容器を袋体と切れ端とに分離することができず、開口部分に大きなヒゲや又裂きが生じる。このため、袋体から内容物が取り出しにくくなってしまう、また、開封時に不意に内容物が漏れてしまう、といった問題が生じる。したがって、比較例5のフィルムシートをパウチ容器に使用することは好ましくない。
これに対して、実施例1〜4及び比較例6では、フィルムシートが引き裂き方向に沿って複数のスリットからなる引裂誘導線を設けているため、引き裂き方向が安定し、パウチ容器を袋体と切れ端とに分離することができる。
また、表1の「臭気」の結果によれば、比較例6のフィルムシートではレーザー加工時にはフィルムシートに焦げが生じるため、この焦げ臭がシーラントフィルム層を介して内容物である蒸留水に移ってしまう、という問題を生じる。すなわち、比較例6のフィルムシートをパウチ容器に使用することは好ましくない。
これに対し、実施例1〜4及び比較例5のフィルムシートは複数のフィルム層を単純に積層して構成されているため、臭気に異常は見られず、この点においてはパウチ容器として使用することができる。
また、表1の「落下強度」の結果によれば、比較例6のフィルムシートでは、内容物の漏れや破袋が発生しているが、これはレーザー加工したスリット74によってフィルムシートの強度が低下することに起因している。すなわち、スリット74のレーザー加工深さが精度よく形成されておらず、引裂誘導線に部分的あるいは全体的な強度不足が生じていることが考えられる。
これに対し、実施例1〜4のフィルムシートでは、スリット14を形成した後に、各フィルム層を積層して貼着しているため、スリット14の積層方向の深さが精度よく形成されており、内容物が漏れたり破袋したりしにくく、パウチ容器として好ましい。また比較例5では、スリットが形成されておらず、スリットに起因した内容物の漏れや破袋は生じない。
また、表1の「追加コスト」の結果によれば、比較例6のフィルムシートでは、レーザー加工を行うレーザー照射装置等が必要となり、追加設備のための設備費用が増大する。
これに対し、実施例1〜4のフィルムシートでは、印刷装置20にインラインでスリット加工ユニット50を形成するのみで足りる。また比較例5では、スリット形成のための設備費用は生じない。
以上の結果を総合すると、実施例1〜4のフィルムシートをパウチ容器として使用することが好ましく、逆に、比較例5,6のフィルムシートについては、パウチ容器として使用することは好ましくない。
以上説明したように、上記実施形態のフィルムシート11,21及びこれを備えるパウチ容器1、31によれば、印刷層15が印刷された表面フィルム層13,23又は中間フィルム層17,27に、積層方向に貫通する複数のスリット14が形成されており、この印刷層15が印刷されない表面フィルム層13,23又は中間フィルム層17,27と、シーラントフィルム層19とにはスリット14が形成されないので、フィルムシート11,21の強度が十分に確保されている。すなわち、複数のスリット14の孔深さは略同一寸法に形成されており、寸法精度が確保されているので、フィルムシート11,21の引裂誘導線8に強度のバラつきが生じない。
また、複数のスリット14が互いに間隔を開けて一方向(Y軸方向)に配列することで、Y軸方向に延びる引裂誘導線8を形成しているので、フィルムシート11,21をこの引裂誘導線8に沿ってY軸方向に容易に引き裂くことができ、易引裂性が確保されている。従って、フィルムシート11,21に易引裂性を備えさせるために、例えば易引裂性フィルム層等を積層させるような必要が無く、よって材料費及び製作工程が低減する。
また、図7に示したように、各スリット14を、Y軸方向に延在して形成することとすれば、Y軸方向への易引裂性をより向上することができる。
また、図8(a),(b)に示したように、各スリット14を、Y軸方向の一側から他側へ向かうに連れY軸方向に対し傾斜するように延在して形成することとすれば、これらスリット14が形成する引裂誘導線8上に沿ってフィルムシート11,21が折れ曲がることが抑制される。従って、フィルムシート11,21の引裂誘導線8に沿った折れ曲がりに対する強度が確保され、折れ曲がりに起因した強度低下を防止できる。
また、引裂誘導線8が、Y軸方向に直交するX軸方向に間隔を開けて複数設けられているので、フィルムシート11,21をY軸方向に沿って引き裂いた際、引き裂かれた先端部分の進行方向がY軸方向に対し傾斜するように進路を変えた場合でも、隣り合う引裂誘導線8に該先端部分が進路を矯正されるようにY軸方向へと誘導され、引き裂きの進行方向が安定する。よって、フィルムシート11,21の引き裂きがより精度よく行える。
ここで、引裂誘導線8の数量を3本以上とすれば、引き裂き方向が安定し、開封性が向上するのでより好ましい。また、引裂誘導線8のY軸方向の長さをパウチ容器1、31のY軸方向の外形長さの80%以上に設定すれば、引き裂き方向が安定するので、より確実にパウチ容器を開封させることができる。
また、パウチ容器1(31)を構成する側面部材3,5(側面部分33,35)及び底面部材7(底面部分37)のフィルムシート11,21に形成された夫々の引裂誘導線8が、同一方向(Y軸方向)に延在するとともに積層方向(Z軸方向)に重なるように配置されるので、パウチ容器1(31)のシール部9A(39A),9B及び未シール部にわたって複数のフィルムシート11,21を引裂誘導線8の引き裂き方向(Y軸方向)に引き裂くことで、側面部材3,5(側面部分33,35)及び底面部材7(底面部分37)の引き裂きが纏めて行われ、パウチ容器1(31)を開封することができる。そして、パウチ容器1(31)を内容物が収容された袋体と、袋体の開口部分から切り離される切れ端とに分離することができる。したがって、パウチ容器1(31)の開封後には、内容物を容易に袋体から取り出すことができ、開封時に不意に内容物が漏れてしまうことも容易に防止できる。
さらに、このパウチ容器1、31を構成するフィルムシート11,21は、易引裂性及び強度の両方を同時に確保できるため、パウチ容器1、31を加熱処理してもその破袋を防止することができる。また、強度が確保されることで、パウチ容器1、31はスタンディングパウチとしての自立性を十分に得ることができる。
また、スタンディングパウチとして構成されたパウチ容器1(31)においては、引裂誘導線8の引き裂き方向が底面部材7(底面部分37)の折り目10に交差していても、底面部材7(底面部分37)及び一対の側面部材3,5(側面部分33,35)を容易に引き裂くことができる。
また、フィルムシート11,21の製造が、印刷装置20で印刷層15を表面フィルム層13,23又は中間フィルム層17,27に印刷し、印刷された表面フィルム層13,23又は中間フィルム層17,27に複数のスリット14を形成する工程の後、表面フィルム層13,23、印刷された印刷層15、中間フィルム層17,27及びシーラントフィルム層19を順次貼着する工程を備えるので、フィルムシート11,21に形成されるスリット14の積層方向の深さが精度よく設定される。また、本実施形態のように、印刷層15を印刷する工程と、複数のスリット14からなる引裂誘導線8を形成する工程とが同一工程(インライン)で行えるので、生産性が向上し、設備費用を削減可能である。また、このように印刷層15を印刷する工程と引裂誘導線8を形成する工程とを同一工程で行うこととすれば、印刷デザインと引裂誘導線8との見当合わせが簡便かつ正確に行える。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、フィルムシート11,21に形成されるスリット14の形状や配列等は、図7及び図8に示す以外にも、種々様々に設定可能である。
また、複数のスリット14で形成される引裂誘導線8は、パウチ容器1、31のY軸方向の外形長さの80%以上でなくともよく、また2本以下であっても構わない。
また、スリット14は、少なくとも印刷層15が印刷された表面フィルム層13,23又は中間フィルム層17,27に形成されていればよく、印刷層15が印刷されない表面フィルム層13,23又は中間フィルム層17,27に形成されても構わない。
また、引裂誘導線8の引き裂き方向は、図1、図3に示すパウチ容器1、31において、Y軸方向に設定されるとしたが、例えばX軸方向に設定されていてもよく、すなわち、フィルムの流れ方向に一致していてもよい。この場合、開封の開始場所となるノッチ30等の切り口は、X軸方向の端部に位置するシール部9A(39A),9C(39C)に形成されればよく、この切り口からX軸方向に延びる引裂誘導線8がシール部9A(39A),9C(39C)及び未シール部の両方に跨って通っていればよい。なお、この場合、引裂誘導線8は一対の側面部材3,5(側面部分33,35)のみを引き裂くように設定されてもよいし、一対の側面部材3,5(側面部分33,35)及び底面部材7(底面部分37)の両方を引き裂くように設定されてもよい。
また、フィルムシート11,21は、上記実施形態の積層構成に限らず、表面フィルム層13,23や中間フィルム層17,27として、ガスバリア性フィルム層や強化フィルム層等を、種々の目的に合わせ積層して形成しても構わない。また、積層するフィルム層の数は限定されない。
また、印刷層15を表面フィルム層13,23又は中間フィルム層17,27に印刷する工程と、複数のスリット14からなる引裂誘導線8を形成する工程とは、インラインでなくともよい。
また、スリット14を、ピナクルダイ52で形成せずに、エンッチング等と削り出しにより形成しても構わない。
また、パウチ容器1,31の形状は、本実施形態に限定されるものではない。
図12(a),(b)に示すものは、パウチ容器の変形例であり、図12(a)のパウチ容器81は、同種のフィルムシート11,21からなりシート状に形成された一対の側面部材83,85及び底面部材87を備えており、自立性を有するスタンディングパウチとして構成されている。
パウチ容器81は、Y軸方向の外形長さ(幅)が、X軸方向の一方側(図12における右側)の端部近傍と他方側(図12における左側)の端部近傍とで異なって設定されており、これら異なる幅を有する端部同士を繋ぐように、一方側から他方側に向かうに連れ漸次Y軸方向の幅を狭めるように傾斜して形成される2つの傾斜部88を有している。これら傾斜部88の他方側の端部近傍には、Y軸方向に対向するノッチ30が夫々設けられている。また、これらノッチ30を繋ぐように複数の引裂誘導線8が形成されている。これら引裂誘導線8は、X軸方向に延在する底面部材87の折り目10には交差していない。 このようなパウチ容器81によれば、開封時に、より確実にヒゲや又裂きの発生を防止できる。
また、図12(b)の本発明の参考例のパウチ容器91は、同種のフィルムシート11,21からなりシート状に形成され対面する一対の側面部材93,95の外周部を熱シールしてなる。このパウチ容器91は、Y軸方向の外形長さに対しX軸方向の外形長さが比較的長く設定されており、X軸方向に延在するように形成される。そして、X軸方向の他方側の端部近傍には、Y軸方向に延在する複数の引裂誘導線8が形成される。
この発明の一実施形態に係るパウチ容器の一例を示す概略平面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 この発明の一実施形態に係るパウチ容器の他の例を示す概略平面図である。 図3のB−B矢視断面図である。 この発明の一実施形態に係るパウチ容器を構成するフィルムシートの積層構造の一例を示す模式図である。 この発明の一実施形態に係るパウチ容器を構成するフィルムシートの積層構造の他の例を示す模式図である。 この発明の一実施形態に係るパウチ容器を構成するフィルムシートのスリット及び引裂誘導線の配列の一例を示す模式図である。 この発明の一実施形態に係るパウチ容器を構成するフィルムシートのスリット及び引裂誘導線の配列の他の例を示す模式図である。 フィルム層の印刷装置の概略構成を示す説明図である。 フィルムシートの積層構造の比較例を示す模式図である。 フィルムシートの積層構造の比較例を示す模式図である。 この発明の一実施形態に係るパウチ容器の変形例を示す概略平面図である。
符号の説明
1,31,81,91 パウチ容器
3,5,83,85,93,95 側面部材
7,87 底面部材
8 引裂誘導線
9A,9B,9C,39A,39C シール部
10 折り目
11,21 フィルムシート
13,23 表面フィルム層
14 スリット(線状孔)
15 印刷層
17,27 中間フィルム層
19 シーラントフィルム層
33,35 側面部分(側面部材)
37 底面部分(底面部材)

Claims (2)

  1. 透明性を有する表面フィルム層と、印刷層と、中間フィルム層と、熱シール性を有するシーラントフィルム層とが順次積層され、
    少なくとも前記印刷層が印刷された前記表面フィルム層又は前記中間フィルム層に、積層方向に貫通する複数の線状孔が形成され、
    複数の前記線状孔が互いに間隔を開けて一方向に配列されることで、前記一方向に延びる引裂誘導線が形成されるフィルムシートを、前記積層方向に複数重ねるとともに、
    複数のフィルムシートの面方向の外周部を溶着したシール部を形成することで、前記シール部によって囲まれた未シール部の間に内容物が充填されるように構成され、
    複数の前記フィルムシートに形成された夫々の前記引裂誘導線が、同一方向に延在するとともに積層方向に重なるように配置され、
    複数の前記フィルムシートが、前記積層方向に重ねられる一対の側面部材及びこれら側面部材の間に二つ折りの状態で介装される底面部材をなし、
    各側面部材と底面部材とのシール部を底部としたスタンディングパウチが構成されることを特徴とするパウチ容器。
  2. 前記引裂誘導線の延在する前記一方向が、前記底面部材の折り目に交差することを特徴とする請求項に記載のパウチ容器。
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