以下、図面等を参照して、本開示の配送伝票、および当該配送伝票の製造方法の一例について説明する。ただし、本開示の配送伝票、および当該配送伝票の製造方法は、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状、断面図における各層の厚さ等は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。また、説明の便宜上、紙面に対して上方または下方等という語句を用いて説明することがあるが、上下方向が逆転してもよく、左右方向についても同様とする。
1.第1実施形態
本開示の配送伝票の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の配送伝票である付箋部付き配送伝票1の一例を示す平面図である。図2は、図1の付箋部付き配送伝票1を、左右方向であるB-B線およびC-C線で切った断面を下方から見た断面図(図2(a)および図2(b))と、同じく図1の付箋部付き配送伝票1を、上下方向であるD-D線で切った断面を左方から見た断面図(図2(c))と、を示すものである。図3は、図1の付箋部付き配送伝票1の付箋部5の近辺を拡大したA部拡大図である。また、図4は、図1の付箋部付き配送伝票1に必要な情報がプリンターで印字された、付箋部付き配送伝票1Aを示す平面図および配送物70の箱への貼付を説明する図である。
(a)付箋部付き配送伝票
図1に示すとおり、付箋部付き配送伝票1は、最表面が1枚の略長方形状で、通常は白色の伝票用紙2に必要な情報が印刷等されることにより形成されている。付箋部付き配送伝票1の左側の上方には略長方形状の配達票3が区画配置され、その下方には、略長方形状の貼付票4が区画配置されている。配達票3および貼付票4のそれぞれには、例えば、「お届け先」、「ご依頼主」、「品名」、「受領印」等の記載があらかじめ印刷されており、これに、配送先、依頼者、品名等をプリンターで印字した後で、印字済みの付箋部付き配送伝票1Aから配達票3および貼付票4が一体化した部分を剥がして使用するものである。なお、便宜的に印字前の付箋部付き配送伝票を1、印字後の付箋部付き配送伝票を1Aとしている。
また、配達票3および貼付票4が上下に区画配置された付箋部付き配送伝票1の伝票用紙2の右側には、上下方向に沿って多数個の付箋部5が区画配置されている。各々の付箋部5は、簡単に付箋部付き配送伝票1から剥がすことができ、後述するように、再剥離性を備えた弱粘着性の接着剤が塗布されているため、配送物に貼ったり、配送物の箱を破損することなく再剥離することが可能である。付箋部5は、例えば「商品名」等の記載がされており、梱包予定の商品名等をプリンターで印字した後で、印字済みの付箋部付き配送伝票1Aから剥がして使用するものである。
付箋部付き配送伝票1の、付箋部5までを含む左側の領域と、特に印刷等がされていない右側の領域との境目にはミシン目で形成される分離可能線8bが形成されており、付箋部付き配送伝票1を左右の2片に容易に分離することができる。付箋部付き配送伝票1の右側の領域は配送表記載部7であり、後で配達票3、貼付票4および付箋部5へのプリンターによる印字をする際に、内容物の詳細を示す配送表を印字できるスペースが確保されている。なお、作業者が配送物の箱に対して各々の内容物を過不足なく収納できるよう、収納作業時の内容物のチェックリストとして作成する配送表をピッキングリストともいう。ピッキングリストは、内容物の収納時の確認用としてだけでなく、これを配送物の箱に同梱して、受取人に対する納品書として使用することもある。また、付箋部付き配送伝票1の左側の上下に区画配置された配達票3および貼付票4のさらに下方に、貼付片6が区画配置されている。これは、例えば「ワレもの注意」や「配達指定日」等の注意喚起や特記事項を配送物の箱に貼付する等の用途で用いることができる。
以下、付箋部付き配送伝票1の構成の詳細について説明する。ただし、付箋部付き配送伝票1における配達票3、貼付票4、付箋部5、配送表記載部7や貼付片6の配置や寸法、数量、形状、印刷内容等はあくまで例示であり、本実施形態とは異なる配置や寸法、数量、形状、印刷内容等であってもよく、必要に応じて削除や追加があってもよい。また、配送表記載部7は、当該付箋部付き配送伝票1とは別個のシートに作成されてもよい。
図2(a)は、図1の付箋部付き配送伝票1を、配達票3の下端付近を左右方向に通るB-B線で切ったときの下方から見た断面図である。図2(a)に示すように、付箋部付き配送伝票1には、下端から剥離紙21、粘着剤層22、基材23および目止め印刷層24がこの順に積層された積層用紙20の上層に、左側の領域において第1の接着剤により塗付形成された第1接着層11が、それよりも右側の領域において第1の接着剤とは異なる第2の接着剤により塗付形成された第2接着層12が形成されている。さらにそれより右側の領域において、第1、第2の接着剤とは異なる第3の接着剤により塗付形成された第3接着層13が形成されている。さらにその上層には伝票用紙2が、積層用紙20が存在しない右側の領域にも張り出すように積層されている。なお、伝票用紙2の積層用紙20側の面のうち、第1接着層と向かい合う配達票3の領域にのみ、剥離印刷層14が印刷形成されている。これは、後述するように、配達票3を、伝票用紙2と第1接着層11との界面より分離し易くするためである。
伝票用紙2は、配達票3、貼付票4および付箋部5等としての使用に耐えうる強度とプリンターによる印字および搬送適性を備えるものであれば特に材料の限定はなく、例えば、上質紙、クラフト紙、複写用紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙、合成紙、樹脂フィルムによりラミネートされた紙等の紙を使用することができる。また、セロファン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂フィルムを用いてもよい。伝票用紙2の厚さは、例えば、20μm以上200μm以下程度が好ましい。
一方、積層用紙20を構成する剥離紙21、粘着剤層22、基材23および目止め印刷層24についても、本開示の配送伝票としての機能を備える限り、特段の材料限定はないが、使用可能な材料の一例を以下に示す。
剥離紙21は、上述する伝票用紙2で例示した材料と同様のものに、剥離層としてシリコーン剤等が添加された紫外線硬化型インキを印刷、塗付することによって得ることができる。また、剥離紙21として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のオレフィン系(共)重合体や、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、酢酸ビニル重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物からなるフィルムを使用することができる。さらには、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂等から形成されたフィルムを用いてもよい。なお、用途に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、フィラー等が添加されていてもよい。剥離層を形成するための樹脂の塗布量や塗布厚に特に限定はないが、例えば、塗布量が0.1g/m2以上10.0g/m2、かつ、塗布厚が0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。
粘着剤層22は、配送物に貼付票4を貼付可能とする層である。粘着剤層22の材料は、アクリル系粘着剤が最も好ましいが、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤等を選択してもよい。粘着剤層22を形成するための粘着剤の塗布量や塗布厚に特に限定はないが、例えば、塗布量が0.1g/m2以上50.0g/m2、かつ、塗布厚が0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。
基材23としては、上述する伝票用紙2で例示した材料と同様のものを使用することができる。また、基材23の厚さは、例えば、20μm以上200μm以下程度が好ましい。
目止め印刷層24は、積層用紙20の上層に積層される第1接着層11、第2接着層12および第3接着層13を構成する各接着層が基材23に浸透しないように基材23の目止めをするための層である。目止め印刷層24の材料として、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、クレー等を用いることができ、目止め印刷層24を形成するための目止め剤の塗布量や塗布厚に特に限定はないが、例えば、塗布量が0.1g/m2以上20.0g/m2、かつ、塗布厚が0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。また、後述するように、第1接着層11の配達票3の領域部分と対向する基材23の面には、目止め印刷層24とは別に、図示しない広告絵柄等の印刷層が形成されていてもよい。なお、第1接着層11、第2接着層12および第3接着層13の詳細については、後述する。
(i)配達票
図1に示すとおり、付箋部付き配送伝票1の伝票用紙2の左上方に、略長方形状の配達票3が区画配置されている。配達票3には、あらかじめ、配送先、依頼者、品名等の情報をプリンターで印字しておき、後述する貼付票4と一体化した状態で配送物の箱面に貼付する。配達人が、配送物を受取人に手渡す際、当該配達票3を付箋部付き配送伝票1から剥がし、これに受取人の受領印を受けて配達人が受取証明として回収する。
図1において、配達票3は、左右端部において上下方向に延びる分離可能線9aおよび9bと、これらに略直交する配達票3の上下端部において左右方向に延びる分離可能線9eおよび9fとで囲まれた略長方形の分離可能線に囲まれた区画に配置される。また、図2(a)に示すように、分離可能線9aおよび9bは、伝票用紙2および第1接着層11、並びに、積層用紙20のうち剥離紙21を除く目止め印刷層24、基材23および粘着剤層22を厚さ方向に連続的に貫通する態様で形成されている。この分離可能線の態様は、ハーフカットと称する場合もある。また、図2(c)に示すように、図1における配達票3の上端部について左右方向に延びる分離可能線9eも9aおよび9bと同様の深さまで貫通する態様で形成されている。一方、図1における配達票3の下端部、すなわち貼付票4との境界となる左右方向に延びる分離可能線9fは、伝票用紙2のみを厚さ方向に貫通し、少なくともその下層に配置される第1接着層11を貫通しない態様で形成されている。
また、後述するように、貼付票4の左右端部において9aおよび9bに連結して上下方向に延びる分離可能線9cおよび9dと、貼付票4の下端部について左右方向に延びる分離可能線9gとについても、9a、9bおよび9eと同様の深さまで貫通する態様で形成されている。よって、配達票3を付箋部付き配送伝票1から剥がすときには、必ず、配達票3と貼付票4とが一体化した状態で、分離可能線9a、9b、9c、9d、9eおよび9gで囲まれた伝票用紙2と、剥離紙21を除く積層用紙20の区画とが、剥離紙21との界面を基点に分離することとなり、粘着剤層22を介して配達票3と貼付票4とが一体化した部分を配送物に貼付することができる。
さらには、配送物に貼付された配達票3および貼付票4の一体物から、配達票3のみを伝票用紙2と第1接着層11との界面より分離することができる。これより、配送物の受け渡し時に配達票3を貼付票4から分離可能線9fを切断することにより分離させ、配達票3に受領印等を受け、これを受領証明として回収することができる。なお、前述したように、配達票3を剥がした後に露出する積層用紙20の基材23の表面に、目止め印刷層24とは別に、注意喚起用文言や広告絵柄等の印刷層が形成されていてもよい。こうしておくことにより、配送物の箱には、配達票3が剥がされた後の貼付票4の隣接領域にこれらの注意喚起用文言や広告絵柄を視認させることができ、配送物の受取人に対する効果的な情報伝達や広告宣伝を行うことができる。
第1接着層11を形成する第1の接着剤は、例えば、ウレタン系、アクリル系などの熱可塑性樹脂を使用することができ、フレキソ法、グラビア法などの公知の印刷法又はコーティング法によって積層用紙20の表面に塗布し、接着剤が乾燥していない状態で貼り合わせるウェットもしくはセミウェットラミネート方式によって、または接着剤を乾燥させてから、熱圧着方式や感圧方式によって、積層用紙20を上層の伝票用紙2と貼り合わせる。なお、前述したとおり、伝票用紙2の積層用紙20からの剥離性を向上させるため、伝票用紙2の積層用紙20の第1接着層11と対向する面の配達票3の領域に、公知の剥離剤を用いて剥離印刷層14を形成しておくことができる。
(ii)貼付票
図1に示すとおり、付箋部付き配送伝票1の伝票用紙2の左下方である配達票3の下方に、略長方形状の貼付票4が配置されている。貼付票4は、配達票3と同様に、あらかじめ、配送先、依頼者、品名等の情報をプリンターで印字しておき、配送物に貼付し、配送物の配送先や品名等の識別を外観上、可能とするものである。
図1において、貼付票4は、配達票3と共通して、左右端部について上下方向に延びる分離可能線9cおよび9dと、これらに略直交する貼付票4の上下端部について左右方向に延びる分離可能線9fおよび9gとで囲まれた略長方形の区画に配置される。また、図2(b)に示すように、分離可能線9cおよび9dは、上述の配達票3における分離可能線9aおよび9bと同様、伝票用紙2および第1接着層11、並びに、積層用紙20のうち剥離紙21を除く目止め印刷層24、基材23および粘着剤層22を厚さ方向に連続的に貫通する態様で形成されている。また、図1における貼付票4の上下端部について左右方向に延びる分離可能線9fおよび9gについては、上述したとおりである。よって、貼付票4を付箋部付き配送伝票1から剥がすときには、必ず、配達票3と貼付票4とが一体化した状態で、分離可能線9a、9b、9c、9d、9eおよび9gで囲まれた伝票用紙2と、剥離紙21を除く積層用紙20の区画とが、剥離紙21との界面を基点に分離することとなり、粘着剤層22を介して配達票3と貼付票4とが一体化した部分を配送物に貼付することができる。
(iii)付箋部
図1に示すとおり、付箋部付き配送伝票1の伝票用紙2のほぼ中央の上下方向に沿って、配達票3や貼付票4よりも小さいサイズである略長方形状の付箋部5が、多面付けで形成されている。付箋部5に例示しているような「商品名」等の事前印刷がされている必要はないが、伝票用紙2の当該付箋部5の区画の右側のスペースである配送表記載部7には、配達票3や貼付票4に配送先、依頼者、品名等の情報をプリンターで印字するタイミングで、図4(a)に示すように、対象となる配送物に梱包すべき商品の一覧である配送表7Aが一緒に印字される。このとき、各々の付箋部5に対して、配送表7Aの記載に対応した、配送物の内容の少なくとも一部を示す情報、例えば梱包すべき各々の商品の単位を識別できる情報が同時に印字される。
後述するとおり、図4(a)の印字済みの付箋部付き配送伝票1Aは、左右方向の略中央に形成され、上下方向に延びるミシン目である分離可能線8bにより、左右の紙片に分離させることができる。このとき、伝票用紙2の右側領域には配送表7Aが印字されているため、これを配送物の箱に梱包すべき商品の梱包指示書として梱包作業に使用することができるとともに、これを同梱して受取人に対する納品書として使用することもできる。この配送表7Aに記載された個々の商品のそれぞれに対応する商品名または商品コードが、各々の付箋部5にも印字されることにより、例えば、印字された付箋部5Aを、配送物として箱に梱包すべき各々の商品が確実に梱包されたか否かの確認作業に使用することができる。なお、便宜的に印字前の付箋部を5、印字後の付箋部を5Aとしている。
図1において、付箋部5は、配達票3および貼付票4の右側に上下方向に沿って複数配列されており、左右端部について上下方向に共通して延びる分離可能線8aおよび8bと、これらに略直交する各々の付箋部5の上下端部についての左右方向に延びる分離可能線8cとで囲まれた略長方形の区画に配置される。また、図2(a)の配達票3の断面と同様に、付箋部5の分離可能線8aおよび8bは、伝票用紙2を厚さ方向に貫通する態様で形成されている。ただし、分離可能線8bの下層には支持体としての積層用紙20が存在しないため、当該線はミシン目として形成されている。また、図示しないが、図1における各々の付箋部5の上下端部について左右方向に延びる分離可能線8cも分離可能性8aと同様であり、その下層の第2接着層12および第3接着層13も、当該分離可能線8cにより分離される。
なお、図2(a)にも示すように、付箋部5の右端に形成される分離可能線8bは、下層に配置される積層用紙20の右端部分よりも若干右側に形成されている。これは、積層用紙20と伝票用紙2との貼り合わせ工程において、積層用紙20の貼り合わせ位置が若干右側にずれた場合に、分離可能線8bの下層に積層用紙20が重なる可能性があり、ミシン目である8bに沿って付箋部付き配送伝票1Aの左右片を分離しづらくなること、および、第3接着層13が切り取った付箋部付き配送伝票1Aの左側片から右側にはみ出すこと、を抑制するためである。
図3は、図1のA部拡大図であり、図3(a)が、図1の付箋部付き配送伝票1の最表面に形成された付箋部5を示す図であり、図3(b)が、付箋部5の接着層の配置を明示するため、図3(a)の最表面の付箋部5について、伝票用紙2の部分を透視した図である。図2(a)および図3(b)に示すように、付箋部5を形成する伝票用紙2と積層用紙20との間には、左側に配置される第2接着層12と、右側に配置される第3接着層13とが塗付形成されている。第2接着層12は、図3(b)に図示されているとおり、左側の付箋部5の外周に至るほぼ全域に略長方形状に接着剤が塗付されている。一方、第3接着層13は、付箋部5の右端の分離可能線8bよりやや左寄りの位置に、第2接着層12の塗付面積よりもあきらかに小さい面積で、上下方向に沿った略直線状に接着剤が塗付されている。
第1接着層11に使用される接着剤を第1の接着剤とし、第2接着層12に使用される接着剤を第2の接着剤とするとき、第2の接着剤は、第1の接着剤よりも接着力が弱く、再剥離可能な弱粘着性を有することが好ましい。ここで接着力の評価は、規格等に従って厳密に剥離強度等を測定することに限定せず、積層用紙20と伝票用紙2とが、間に接着剤を挟んで互いに接着している場合には、積層用紙20を固定し、伝票用紙2を掴んで積層方向に沿って略直角方向に当該伝票用紙2を剥がしたときの剥がし易さ、および、伝票用紙2の破損状態等の目視観察によって、相対的に判断することも含まれる。
すなわち、積層用紙20と伝票用紙2とが、間に接着剤Aを挟んで互いに接着している部分と、間に接着剤Bを挟んで互いに接着している部分とに分かれている場合、接着剤Aを挟んで接着している部分の伝票用紙2が、接着剤Bを挟んで接着している部分の伝票用紙2よりも簡単に剥がすことができた場合には、接着剤Aは接着剤Bと比較して接着力が弱いと判断することができる。また、伝票用紙2を剥がしたときに、接着剤Aを挟んで接着している部分の伝票用紙2が接着剤Bを挟んで接着している部分の伝票用紙2よりも伝票用紙2の材破した面積(伝票用紙2の一部が、積層用紙20側、または接着剤側に分離した部分の面積)が相対的に少ない場合には、接着剤Aは接着剤Bと比較して接着力が弱いと判断することができる。
また、再剥離可能とは、付箋部付き配送伝票1から付箋部5を剥がして、配送物の箱等に貼付することができ、かつ、配送物の箱等を材破させることを抑制しながら、再度これを剥がすことができる性質を指す。通常、配送物の箱等として、ダンボール、プラスチック等が用いられるが、本開示の第2接着層12に使用される第2の接着剤は、少なくとも、一般的に粘着剤に対して材破しやすいダンボールに対して、配送物の箱等を材破させることを十分に抑制しながら、再度これを剥がすことができる程度の再剥離性を有することが必要である。付箋部5は、後述するとおり、出荷前に配送物の箱等から剥がすことが前提とされるため、配送物の箱等を材破させてしまう強粘着性の接着剤を用いることは好ましくないからである。
第2接着層12に使用される第2の接着剤としては、例えば、球状粘着剤及びエマルジョン型バインダー粘着剤とを含有する粘着剤が、基材シートの片面に塗布されて粘着層が形成され、当該球状粘着剤がエチレン系不飽和単量体成分100質量部に対して0.1質量部以上3質量部以下のポリアクリル酸の存在下でエチレン系不飽和単量体を重合して得られる球状粘着剤、または、エチレン系不飽和単量体を重合して得られる球状粘着剤に球状粘着剤の固形分100質量部に対して0.1質量部以上7質量部以下のポリアクリル酸を添加して得られる球状粘着剤である再剥離性粘着シートを用いてもよい(国際公開第2006/104235A1号)。また、第1接着層11に用いられる接着剤に、シリコーンや、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等の微粒子充填剤を配合するなどして接着性を低下させたものを使用してもよい。
第3接着層13に使用される接着剤を第3の接着剤とするとき、第3の接着剤は、製造時に積層用紙20の搬送方向に沿って線状に塗付できる、いわゆるライングリューと呼ばれるものである。当該接着剤は、第1接着層11、または第2接着層12に使用される接着剤と同様の接着剤を使用してもよく、これらとは異なる接着剤を用いてもよい。第3接着層13は、第2接着層12よりも塗付面積が小さいため、仮に第3の接着層自体の接着力が強くても、比較的容易に付箋部5を付箋部付き配送伝票1から剥がすことができるからである。
本実施形態の付箋部5は、図3(b)で説明したとおり、第2接着層12が付箋部5の外周の一部を含む右側の一定領域に形成されていない。これにより、付箋部5は、右側の第2接着層12の未塗付領域をきっかけとして、作業者が容易にこれを剥がして分離することができる。また、剥がされた付箋部5を一旦、配送物の箱の外面に貼付した後、必要な確認作業を終えて再度剥がす際にも、同様の第2接着層12の未塗付領域をきっかけとして、容易にこれを剥がすことができる。
また、付箋部5の第2接着層12の未塗付領域である、図3(b)の付箋部5の右端よりもやや左寄りの位置であって、付箋部5の右側の外周の一部を含む領域に、第2接着層12に使用される接着剤と同等の、またはこれとは異なる第3の接着剤が使用された、上下方向に沿った線状の領域である第3接着層13が形成されている。これにより、付箋部5の片側領域が完全に積層用紙20に対して接着していないことによる、付箋部5の伝票用紙2の一部の不用意な浮き上がり、折れ曲がり等の不具合が抑制される。
さらに、上下方向に沿った線状の領域である第3接着層13の配置は、付箋部5の右端部分の分離可能線8bよりもやや左寄りである。これより、右側に若干の隙間として設けられた第3接着層13の未塗付領域をきっかけとして、作業者が容易にこれを剥がして分離することができる。また、剥がされた付箋部5を一旦、配送物の箱の外面に貼付した後、必要な確認作業を終えて再度剥がす際にも、同様の第3接着層13の未塗付領域をきっかけとして、容易にこれを剥がすことができる。
(iv)貼付片
その他に付箋部付き配送伝票1に任意に設けることができるものとして、貼付片6が挙げられる。これは、図2(b)に示す貼付票4とほぼ同様の構成で、分離可能線が、伝票用紙2および第1接着層11、並びに、積層用紙20のうち剥離紙21を除く目止め印刷層24、基材23および粘着剤層22を厚さ方向に連続的に貫通する態様で形成されている。よって、貼付片6を付箋部付き配送伝票1から剥がし、これを、粘着剤層22を介して配送物に貼付することができる。このような貼付片6は、例えば図1や図4(a)に例示するように、「割れ物」である旨の取り扱いの注意を喚起するラベルや、配達指定日を印字して箱に貼付し、配達日の注意喚起を促すラベルとして使用することができる。また、貼付片6を、配達票3と同様に粘着性を付与しないように形成し、受取人に渡すメモや広告等として使用することもできる。
(b)付箋部付き配送伝票の使用方法
(i)付箋部付き配送伝票へのプリンターによる印字
図1に示す付箋部付き配送伝票1は、図4(b)に示すような特定の配送物70と対応付けられて管理される。まず、配送業者の管理サーバー等に記憶されている、配送物70の配送に必要な各種情報、例えば、配送先、依頼者、品名、配達指定日の情報および梱包される内容物の情報等に基づき、付箋部付き配送伝票1に、プリンターによる所定の印字を行う。これより、図4(a)に例示するような印字済みの付箋部付き配送伝票1Aを得る。付箋部付き配送伝票1Aには、配達票3および貼付票4の「お届け先」、「ご依頼主」、「品名」、の欄に、対応する配送先、依頼者、品名等が印字される。また、配達票3、貼付票4および付箋部5が配置されていない、右側の配送表記載部7に、対象となる配送物70に梱包すべき商品の一覧が示された配送表7Aが印字される。
さらには、各々の付箋部5に対して、配送表7Aの記載に対応した、配送物70の内容の少なくとも一部を示す情報、例えば梱包すべき各々の商品の単位を識別できる情報が同時に印字される。例えば、図4(a)では、配送表7Aに、配送物70の内容物の一つである「商品A」が「1個」梱包されるべきことが記載されている。同様に、「商品B」が10個入を1袋として「1袋」梱包されるべきことが記載され、「商品C」が「3個」、「商品D」が「2個」、および、「商品E」が5個入を1箱として「2箱」梱包されるべきことが記載されている。
これに対応するように、各々の付箋部5には、配送表7Aの記載に対応した、各々の商品の商品名および梱包すべき数量が印字され、印字済みの付箋部5Aを形成する。すなわち、第1の付箋部5Aには、「商品A」が「1個」梱包されるべきことが記載され、第2の付箋部5Aには、「商品B」が「1袋」梱包されるべきことが記載されている。同様に、第3、第4および第5の付箋部5Aには、それぞれ「商品C」が「3個」、「商品D」が「2個」、および、「商品E」が「2箱」梱包されるべきことが記載されている。なお、これ以外の付箋部5には、印字がされていない。
(ii)配送物への商品の梱包及び確認作業
次に、印字済みの付箋部付き配送伝票1Aの配送表7Aを使用して、作業者が配送物70に梱包すべき商品を選択し、順次、配送物70の箱内に梱包する。ここで、配送表7Aを使用して、作業者が配送物70に梱包すべき商品を選択し、順次、配送物70の箱内に梱包する。配送表7Aに記載された、配送物70に梱包すべき商品のすべてが確実に選択され、間違いなく配送物70の箱に梱包されたか否かを確認する方法として、例えば、各々の商品を箱に梱包するたびに、配送表7Aにチェックを入れる等の方法も考えられる。しかしながら、作業者の勘違いで異なる商品にチェックを入れてしまったり、チェックを入れ忘れたりするおそれがある。
ここで、本実施形態の印字済みの付箋部付き配送伝票1Aでは、配送表7Aに記載された各々の商品に対応する商品名、数量等が、各々の付箋部5Aの紙片に印字されている。よって、作業者が配送物70に梱包すべき商品を選択し、順次、配送物70の箱内に梱包するにあたり、図4(b)に示すように、該当する商品名、数量等が記載された付箋部5Aを付箋部付き配送伝票1Aから剥がして、配送物70の箱の外面に貼付することができる。このような作業とすることにより、万一、梱包し忘れた商品があった場合、該当する商品名、数量等が記載された付箋部5Aが、付箋部付き配送伝票1Aに残存することにより、梱包漏れが直ちに判明する。
なお、付箋部5Aは、前述のとおり、伝票用紙2の厚さ方向に貫通した分離可能線の加工により、積層用紙20から分離可能に形成されている。また、付箋部付き配送伝票1Aを伝票用紙2側から平面視したとき、付箋部5Aの領域と重なる位置に塗付されている第2の接着剤により形成されている第2接着層12は、配達票3および貼付票4の領域と重なる位置に塗付されている第1の接着剤により形成されている第1接着層11よりも接着層の接着力が弱く、かつ再剥離が可能である。さらに、第2接着層12が存在しない付箋部5Aの外周の一部を含む領域には、第3の接着剤が線状塗付された第3接着層13が形成されている。よって、付箋部5Aは、付箋部付き配送伝票1Aから剥がして、配送物70の箱の外面に貼付すること、および、配送物70の箱に損傷を与えることなく配送物70の箱の外面から剥がすことができる。
さらに、第2接着層12は、付箋部5Aの外周の一部を含む領域に印刷、塗付されていないため、この接着剤が塗付されていない付箋部5Aの外周の一部をきっかけとして、容易に付箋部付き配送伝票1Aから剥がすこと、および、配送物70の箱の外面から剥がすことができる。例えば、図3(b)では、付箋部5の第2接着層12は、付箋部5のおよそ右半分の外周を含む領域全体に塗付されておらず、第3接着層13は、付箋部5の右端よりやや左寄りの上端部および下端部の外周を含む上下に渡る線状領域に塗付されている。よって、付箋部5、5Aは、その右端の未接着領域に指を差し込むことにより、または、その中央部から右端を除く右側の上端部および下端部の未接着領域に指を差し込むことにより、容易に剥がすことができる。
また、梱包が終了して配送物70の箱を閉じた後でも、配送表7Aに記載された梱包すべき商品のすべてが確実に配送物70の箱に梱包されたか否かの確認を、当該配送表7Aの記載事項と、配送物70の箱の外面に貼付された各々の付箋部5Aの記載事項とを照合することにより、容易に行うことができる。さらには、これらの照合が終わった後で、図4(b)に示すように、付箋部5Aを配送物70の箱の外面から剥がすことができる。あるいは、配送物70の箱を閉じる前に、配送表7Aの記載事項と、配送物70の箱の外面に貼付された各々の付箋部5Aの記載事項とを照合し、問題がないことを確認した上で、付箋部付き配送伝票1Aから当該配送表7Aを分離し、これを納品書として配送物70の箱内に同梱し、箱を閉じた後で付箋部5Aを配送物70の箱の外面から剥がす運用としてもよい。
(iii)付箋部付き配送伝票の製造方法
次に、付箋部付き配送伝票1の製造方法の一例について説明する。図5は、本実施形態の付箋部付き配送伝票1の基となる連続帳票である伝票用紙2Aおよび、同じく、連続帳票である接着層付き積層用紙25について、流れ方向の一部を抜き出した斜視図である。ちなみに、流れ方向は、紙面の右上側と左下側とを結ぶ方向である。図5(a)に示すように、連続帳票である伝票用紙2Aは、流れ方向に直交する幅方向の左端の縁部に沿って、流れ方向に沿った複数の移送孔45を備えた第1マージナル部41を備え、幅方向の右端の縁部に沿って、流れ方向に沿った複数の移送孔46を備えた第2マージナル部42を備えている。
このように、伝票用紙2Aは、両端に移送孔45および46を備えるため、スプロケット状の搬送機構の突起部を当該移送孔に噛み合わせることにより、容易に搬送することができ、これに適宜、必要な印刷や加工をすることができる。伝票用紙2Aの両端に設けられる移送孔45および46の配列方向に沿ったピッチ(隣接する各移送孔の中心間の距離)は、搬送精度を保つため、一定の公差を含む所定ピッチに定められている。伝票用紙2Aには、あらかじめ、配達票3、貼付票4、貼付片6および付箋部5等に、枠線や文字等の必要な印刷等をしておくことができる。
一方、図5(b)に示すように、連続帳票である積層用紙20Aは、図2(a)、(b)に記載の層構成を備えた積層用紙20を連続帳票化したものであり、流れ方向に直交する幅方向の左端の縁部に沿って、流れ方向に沿った複数の移送孔47を備えた第3マージナル部43と、幅方向の右端の縁部に沿って、流れ方向に沿った複数の移送孔48を備えた第4マージナル部44と、を備えている。積層用紙20Aの移送孔47および移送孔48の幅方向の間隔(両孔の中心間の距離)は、前述した、伝票用紙2Aの移送孔45および移送孔46の幅方向の間隔よりもあきらかに短い。これにより、配送表記載部7等の接着する必要がない領域への接着剤の塗付が抑制でき、材料コストの低減が図れる。なお、積層用紙20Aへの接着剤塗付形成や印刷等を行う前に、当該積層用紙20Aの幅方向の右端の縁部に沿って配置された第4マージナル部44を積層用紙20Aの本体から分離する。分離後の積層用紙20Aは、片側の移送孔47にスプロケット状の搬送機構の突起部を当該移送孔に噛み合わせて搬送されるが、当該積層用紙20Aの横幅が比較的狭く、かつ、適度なこしを有するため、搬送する上での支障は生じない。
また、同じく連続帳票である接着層付き積層用紙25は、上述の積層用紙20Aの上面に、第1接着層11、第2接着層12および第3接着層13を塗付形成した後、乾燥することによって得られる。第1接着層11および第2接着層12は、例えば、該当する接着剤をフレキソ法、グラビア法などの公知の印刷法又はコーティング法によって積層用紙20Aの表面に塗布することにより得られ、第3接着層13は、例えば、積層用紙20Aの搬送方向に沿ってライングリューを線状に塗付することにより得られる。
上述した図5(a)に示す、連続帳票である伝票用紙2Aの裏面に、図5(b)に示す、連続帳票である接着層付き積層用紙25を、伝票用紙2Aの第1マージナル部41の移送孔45と、接着層付き積層用紙25の第3マージナル部43の移送孔47と、が重なるように重ねる。この状態で加圧することにより、図1、図2(a)、(b)に示す、付箋部付き配送伝票1に、マージナル部が付加され、連続帳票化された付箋部付き配送伝票1B(図示せず)が形成される。これをマージナル部や流れ方向について断裁することにより、シート状の付箋部付き配送伝票1を得ることができる。
上述した付箋部付き配送伝票1の詳細工程について、図6に基づいて説明する。図6(a)に示すように、あらかじめ、片側のマージナル部がスリットされた連続帳票である積層用紙20Aがロール状の積層用紙巻取51として準備される(工程(A))。積層用紙20Aが積層用紙巻取51から繰り出され、第3接着層13を形成するためのライングリューが、図5(b)の積層用紙20Aの右端からやや左寄りの位置に第3接着層形成装置52によって線状塗付される(工程(B))。その後、下流側で、液状の粘着剤を第2接着層形成装置53のインキパンから印刷ローラに供給し、図5(b)に示すとおり、第3接着層13よりは大きな塗付幅で第2接着層12が形成される(工程(C))。さらに、その下流側で、液状の粘着剤を第1接着層形成装置54のインキパンから印刷ローラに供給し、図5(b)に示すとおり、第2接着層12よりも大きな塗付幅で第1接着層11が形成される(工程(D))。なお、これに追加して、同様の塗付装置により必要箇所に前述した剥離印刷層14を形成してもよい。
一方、図6(b)に示すように、連続帳票である伝票用紙2Aは、ロール状の伝票用紙巻取55として準備される(工程(E))。伝票用紙2Aが伝票用紙巻取55から繰り出されて搬送され、その後、伝票用紙2Aと接着層付き積層用紙25とが、マージナル部の搬送孔を基準に位置合わせされ、丁合部57の加圧ローラに挟まれて圧着される(工程(F))。その後、加熱乾燥部58によって加熱され、接着剤の硬化が促進される(工程(G))。なお、接着剤が紫外線硬化型接着剤である場合は、加熱乾燥部58がUV照射機に置き換えられてもよい。続けて、伝票用紙2Aと接着層付き積層用紙25とが圧着された付箋部付き配送伝票1Bの連続帳票が、ミシン目加工部59で所定箇所にミシン目形成される(工程(H))。例えば、図1(a)に示すような分離可能線8bや、図5(a)、(b)の第1~第4マージナル部の切り取り予定線の形成等が該当する。ミシン目加工部59は、回転ローラに刃が取り付けられたロータリカッターを模擬的に示しているが、これに限らず、上下に刃が移動するパンチング方式でもよく、レーザ照射により形成してもよい。
その後、回転ローラに刃が取り付けられたロータリカッターであるフォームカッター60にて、連続帳票である付箋部付き配送伝票1Bを各々の付箋部付き配送伝票1に切断、分離し(工程(I))、分離された付箋部付き配送伝票1を搬送し(工程(J))、積み上げられた束として回収する(工程(K))。
本実施形態の付箋部付き配送伝票1は、剥離紙21、粘着剤層22および基材23がこの順に積層された積層用紙20と、配達票3および貼付票4の印刷が第1面にされた伝票用紙2の少なくとも一部とが、積層用紙20の基材23に近い方の面と、伝票用紙2の第1面とは反対の第2面とが対向するように、接着剤を介して接着している。また、配達票3および貼付票4が一体化した部分の周囲には、伝票用紙2、基材23および粘着剤層22の厚さ方向に貫通した態様の分離可能線9a、9b、9c、9d、9eおよび9gが形成されている。これにより、当該配達票3および貼付票4が一体化した部分の粘着剤層22と、剥離紙21との界面を基点として、当該配達票3および貼付票4が一体化した部分を、元の付箋部付き配送伝票1から分離させ、これを配送物に貼付することができる。
また、配達票3と貼付票4との境界に、伝票用紙2の厚さ方向に貫通した態様の分離可能線9fが形成されていることにより、配達票3および貼付票4が一体化した部分から、配達票3のみを、積層用紙20に形成された第1接着層11と伝票用紙2との界面を基点として分離することができる。伝票用紙2には、配達票3および貼付票4が形成されない領域に複数の付箋部5が形成され、各々の付箋部5の周囲に、伝票用紙2の厚さ方向に貫通した態様の分離可能線8a、8bおよび8cが形成されていることにより、元の付箋部付き配送伝票1から当該付箋部5を、積層用紙20に形成された第2接着層12と伝票用紙2との界面を基点として分離することができ、これを配送物に貼付すること、および、再剥離すること、とができる。
付箋部付き配送伝票1を伝票用紙2側から平面視したとき、配達票3および貼付票4の領域と重なる位置に塗付されている接着剤は第1の接着剤であり、第1接着層11を形成する。また、付箋部5の領域と重なる位置に塗付されている接着剤は、第1の接着層よりも接着力が弱く、かつ再剥離が可能な第2の接着剤を含み、当該第2の接着剤は、第2接着層12を形成する。さらに、第2の接着剤が塗付されていない、付箋部5の外周の一部を含む領域には、線状の第3の接着剤が塗付されており、当該第3の接着剤は、第3接着層13を形成する。
本実施形態の付箋部付き配送伝票1には、配送表記載部7に、配送物70に梱包すべき各々の商品の情報として配送表7Aを印字でき、かつ、これと対応する各々の商品に対応する情報が、各々の付箋部5に印字され得る。また、当該付箋部5には、接着力が弱く、再剥離が可能な第2の接着剤を含む第2接着層12が形成され、当該第2接着層12は、付箋部5の外周の一部を含む領域に塗付されず、付箋部5の外周の一部を含む領域以外の領域にのみ塗付されている。よって、この接着剤が塗付されていない付箋部5の外周の一部をきっかけとして、容易に付箋部付き配送伝票1から剥がすこと、および、配送物70の箱の外面から剥がすことができる。
これにより、作業者が配送物70に梱包すべき商品を選択し、順次、配送物70の箱内に梱包するにあたり、該当する商品名、数量等が記載された付箋部5Aを付箋部付き配送伝票1Aから剥がして、配送物70の箱の外面に貼付することができる。このため、配送表7Aの記載商品の情報と、配送物70の箱の外面に貼付された付箋部5Aの記載商品の情報との比較照合により、配送物70への商品の梱包が正しく行われたことが客観的に確認できる。また、万一梱包し忘れた商品があっても、これを付箋部付き配送伝票1Aの残存状態から直ちに判別することができ、配送物70への梱包すべき商品の過不足を事前に是正することが可能となる。
2.第1実施形態の変形例
上述した第1実施形態は、種々の変形や変更が可能であり、それらも本開示の範囲内である。下記に、本開示の付箋部付き配送伝票1における、付箋部の裏面の接着層の形状に関する変形例を説明する。
図7(a)、(b)、(c)、および(d)は、変形例に係る付箋部付き配送伝票1C、1D、1Eおよび1Fについての図3(b)に対応する付箋部5C、5D、5Eおよび5F付近の拡大図である。なお、図3(b)と同様、伝票用紙2を透視した図としている。図7(a)に示す変形例1に係る付箋部付き配送伝票1Cでは、第2接着層12が、付箋部5Cの左側の略半分の領域では外周を含む全範囲に至る略長方形状に塗付されている。一方、付箋部5Cの右側の略半分の領域では第2接着層12が外周を含む一定範囲に塗付されず、中央寄りに小さな略長方形状に塗付されている。変形例1では、このような塗付パターン32を形成することにより、第2の接着剤は、付箋部5Cの左端から右端に向かうにつれて、付箋部5Cの面積に対する塗付の面積の比率が段階的に減少するように塗付されている。
ここで、付箋部の面積に対する塗付の面積の比率の計算例について図7(a)に基づき説明する。付箋部5Cの左端かつ下端に原点をとり、右側にX軸、上側にY軸をとる。付箋部5Cの左側の略半分の領域の第2接着層12の略長方形状の横幅をw2、縦幅を付箋部5Cの縦幅と同じでh1とする。また、付箋部5Cの右側の略半分の領域に第2接着層12が形成された中央寄りの小さな略長方形状の横幅をw3、縦幅をh2とする。また、付箋部5Cの横幅をw1とする。
このとき、付箋部5Cの面積に対する塗付の面積の比率Pは、X方向の座標xの関数P(x)として表すことができる。すなわち、原点からx座標の値までのX軸に沿った区間とY軸の全区間で挟まれた付箋部5Cの面積および接着剤の塗付面積を計算し、その比を求める。具体的には、xが0以上w2以下の場合には、P(x)=h1×x/(h1×x)=1であり、xがw2以上w2+w3以下の場合には、P(x)=(h1×w2+h2×(x-w2))/(h1×x)である。xがw2+w3以上w1以下の場合には、P(x)=(h1×w2+h2×w3))/(h1×x)となる。
これより、P(x)の値は、x=w2までは一定だが、その後、減少し、x=w2+w3以上でさらに減少する。すなわち、第2の接着剤は、付箋部5Cの左端から右端に向かうにつれて、付箋部5Cの面積に対する塗付の面積の比率が段階的に減少するように塗付されている。付箋部5Cの接着剤の塗付形状をこのような構成とすることにより、線状の第3接着層13を設けなくても、付箋部5が不用意に捲れあがって折れ曲がる等の不具合となることが抑制される。
図7(b)に示す変形例2に係る付箋部付き配送伝票1Dでは、第2接着層12が、付箋部5Dの左側の略半分の領域では、変形例1と同様、外周を含む全範囲に至る略長方形状に塗付されている。一方、付箋部5Dの右側の略半分の領域では、第2接着層12が外周を含む一定範囲に塗付されず、中央寄りに、かつ、頂点の一つが右寄りとなる小さな略三角形状に塗付されている。変形例2では、このような塗付パターン33を形成することにより、付箋部5Dの面積に対する塗付の面積の比率が段階的かつ滑らかに減少することとなり、線状の第3接着層13を設けなくても、付箋部5Dの左寄りの領域での接着面積をより確保でき、付箋部5Dが不用意に捲れあがって折れ曲がる等の不具合となることが一層抑制される。
図7(c)に示す変形例3に係る付箋部付き配送伝票1Eでは、第2接着層12が、付箋部5Eの左側の略半分の領域は変形例1、2と同様であるが、付箋部5Eの右側の略半分の領域では、第2接着層12が外周を含む一定範囲に塗付されず、中央寄りに小さな略楕円の一部の形状に塗付されている。変形例3では、このような塗付パターン34を形成することにより、付箋部5Eの面積に対する塗付の面積の比率が段階的かつ連続的に減少することとなり、線状の第3接着層13を設けなくても、付箋部5E接着面積をさらに確保でき、付箋部5Eが不用意に捲れあがって折れ曲がる等の不具合となることがより一層抑制される。また、付箋部5Eの右側の略半分の領域の第2接着層12の形状は、略長円の一部の形状や略円の一部の形状でもよい。
また、図7(d)に示す変形例4に係る付箋部付き配送伝票1Fのように、第2接着層12が、付箋部5Fの右側の略半分の領域では、第2接着層12が外周を含む一定範囲に塗付されず、中央寄りに独立した小さな略楕円形状が島状に複数分布した配置となるようにしてもよい。変形例4では、このような塗付パターン35を形成することにより、付箋部5Fの面積に対する塗付の面積の比率が段階的かつ連続的に減少することとなり、かつ、第2接着層12の未塗付領域を複雑に配置できる。よって、第2接着層12自体の接着力のコントロールが困難な場合においても、塗付パターン35の形状や配置を工夫することによって、付箋部5Fの接着力の調整が容易となる。
3.第2実施形態
次に、本開示の付箋部付き配送伝票の第2実施形態について説明する。図8(a)は、第2実施形態の配送伝票である付箋部付き配送伝票1Gの一例を示す平面図である。図8(b)は、図8(a)の付箋部付き配送伝票1Gを、E-E線で切った断面を下方から見た断面図である。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図8(a)に示すとおり、付箋部付き配送伝票1Gは、分離可能線8bを境に、左側の領域と右側の領域とに分かれるが、第1実施形態では付箋部付き配送伝票1の左側の領域にのみ配置されていた貼付片6が、付箋部付き配送伝票1Gでは右側の領域にも貼付片6bとして、左側の領域に配置された貼付片6aとは別個に設けられている点が異なる。貼付片6aおよび6bは、前述のとおり、貼付票4とほぼ同様の構成であり、貼付片6a、6bを付箋部付き配送伝票1Gから剥がし、これを、粘着剤層22を介して配送物に貼付することができる。
図8(b)に示すように、伝票用紙2の右側の領域の下層側には、第1実施形態の付箋部付き配送伝票1では配置しなかった追加の第1接着層11の第2領域11bが配置され、さらにその下層側に伝票用紙2とほぼ同面積に渡る積層用紙20が配置されている。すなわち、積層用紙20の上層には、第1接着層11が二分割されて第2領域11bが追加され、左側の領域である第1領域11aおよび右側の領域である第2領域11bとして配置されている。第1領域11aおよび第2領域11bの間には、第1実施形態と同様に、第2接着層12および線状の第3接着層13が配置されている。
ここで、伝票用紙2を平面視、かつ、透視したときに、伝票用紙2の面積の値に対する、第1領域11aおよび第2領域11bの面積の値を合算した第1接着層11の面積の値と、第2接着層12の面積の値との和の比が0.8以上であることが好ましい。このように、伝票用紙2の面積と、接着剤の塗付された面積との比を1に近づけることにより、付箋部付き配送伝票1Gの層構成や厚さの分布が全面に渡ってほぼ均等となり、付箋部付き配送伝票1Gを加工する際の搬送適性の向上や、付箋部付き配送伝票1Gを積み上げて保管する際の傾きの低減、および、付箋部付き配送伝票1Gにプリンター印字する際の搬送適性の向上が図れる。
また、付箋部付き配送伝票1Gの右側の領域には、貼付片6bが設けられるだけでなく、例えば、配送表記載部7を、ハーフカット加工等をすることにより、貼付片6bと同様に剥がすことができて、配送物70や別の対象物に貼り付ける運用とすることもできる。また、左側の領域に形成した配達票3や貼付票4を右側の領域にも形成して、複数の配送物に配達票3および貼付票4を貼れるようにしてもよい。また、本実施形態についても、第1実施形態の変形例と同様に、第3接着層13を形成しない形態としたり、第2接着層12の形状を任意に変更することが可能である。