JP5259330B2 - 育苗箱ホルダー - Google Patents
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Description
そして、育苗トレイで育成した稲苗は、育苗トレイ内で根が絡み合ったマット状の苗となる。マット状の苗は、根切り器によって育苗トレイから切り離して田植機の苗載せ台に載せ、苗載せ台の下端にある植付け爪によって、順次、少しずつ掻き取って水田に植え付けられる。なお、使用済みの育苗トレイは倉庫等に集中保管されて毎年リサイクル使用されるようになっている。
育苗トレイを用いた育苗では、水気が切れないように灌水する必要があるけれども、水田(苗代田)での灌水は、気象条件による悪影響、その他、モグラによる悪影響等で、所望する水位を保持することができない恐れがあって、安定した灌水管理が困難なものとなっていた。
また、育苗トレイを用いた水田(苗代田)による育苗では、畝立てした箇所に育苗トレイを直置きするが、畝立てした箇所には少なからず高低差があり、畝の低い箇所には空洞部が生じる。そのため、当該空洞部の箇所では稲苗の根張りが悪く、稲苗の生育が不十分なものとなり、本田への植え付けに支障を来たす恐れが生じるものであった。つまり、育苗トレイを用いた水田(苗代田)による育苗では、多数設置された育苗トレイ全体に対して、むらなく均一に安定した灌水処理を施すことが困難なものとなっていた。
また、本願発明の背景となる他の従来技術には、方形状に形成された載置部の周縁部に形成され内部に通水可能な灌水管と、育苗箱を載置するための枠体と、灌水管周面部に接続され前記枠体を水平に支持するための枠体支持具と、灌水管を地面に支持するための脚部から構成され、しかも、灌水管の周面には複数個の灌水ノズルを設けて同ノズルから育苗箱に灌水可能に構成した育苗ベンチがあった(例えば、特許文献2参照)。
さらに、本願発明の背景となる他の従来技術には、育苗中の多数の苗箱が左右と前後に隣り合うようにして前後に長い帯状に並べられ、その複数の苗箱の帯の上で前後方向に移動する散水装置を有し、その散水装置には複数の散水ノズルが横並びに配置され、これらの散水ノズルは苗箱の帯の両端で中央部よりも多量に水を散布するように設けられた育苗施設があった(例えば、特許文献3参照)。
さらに、本願発明の背景となる他の従来技術には、育苗箱を横送する移送台上に設けた潅水パイプと、該潅水パイプに接続される接続パイプと、該接続パイプに接続される水道管またはポンプと、前記接続パイプ内に設けた噴出ノズルおよび負圧室と、該負圧室に接続した混合室と、該混合室に設けた肥料用ホースノズルおよび薬剤用ホースノズルと、該ノズルの下方に配置された肥料溶液タンクおよび薬剤溶液タンクと、前記ノズルから前記タンクに至る吸引ホースとからなる育苗箱用潅水装置があった(例えば、特許文献5参照)。
また、本願発明の背景となる他の従来技術には、栽培建屋内に、上面を育苗箱支持材を有する通風自在の支持面に形成すると共に、四周側面を閉成してなる水蒸気発生室を設け、上記水蒸気発生室内に、多数の微細孔をほぼ均等に有する通気性シートからなる先端をほぼ閉塞した漏風ダクトを支持し、該漏風ダクトの他端に、上記水蒸気発生室外にあって漏風ダクト内に温風を圧送すべき送風機を接続すると共に、該漏風ダクトの外周に水を噴霧すべき噴霧ノズルを配置し、上記育苗箱は、底面に通気孔を設けると共に、箱内に水蒸気が流通自在の育苗培土を入れた育苗装置があった(例えば、特許文献6参照)。
また、本願発明の背景となる他の従来技術には、育苗用プールと、該育苗用プールの底部に敷設され、液体を内部に充填した水袋と、該水袋上に載置され、種籾を播種した育苗箱、または種籾が出芽した育苗箱を並置する平板とから構成され、前記育苗用プールに張った水によって育苗箱中の苗に底面潅水を行って育苗する育苗方法があった(例えば、特許文献8参照)。
一方では、米販売の自由化や、海外からの米輸入自由化への要請の高まりによって、それまでの管理価格体制から市場原理の導入による自由価格体制へと移行し、米価は、それまでの高値安定の統制価格から大幅に引き下げられ、農家収入に多大の影響を与える時代へと変貌している。そのため、こうした時代の趨勢に適応できるように、作業性の改善による作業能率の向上および収穫量のアップを早期に実現し、生産コストを大幅に引き下げることが切望されている。しかも、昨今の稲作農家の多くは、既に高齢化や世代交代による兼業化が進んでしまっているため、多大な労力を要する農作業、特に、田植え前の育苗作業等については、より一層の合理化が望まれている。
ところが、それにも拘らず、上記した特許文献1〜特許文献8に示すような従来の育苗技術では、未だ、経営の合理化には結びつかず、上述したような時代の趨勢に対応できていないのが実情である。
請求項1にかかる本願発明では、ホルダー本体に育苗箱が支持されて当該育苗箱に灌水処理が施される。ホルダー本体は、底壁および当該底壁の周囲に立設された側壁を含み、その上面が開放された箱状に形成されるもので、当該ホルダー本体内は貯水槽としての機能を有する。支持部材は、ホルダー本体の底壁と育苗箱の下面(裏面)との間に所定の高さを維持しながら、育苗箱をその下面(裏面)側から支持している。育苗箱は、ホルダー本体の内側上部に嵌め込むようにして、支持部材の上に載置される。育苗箱は、支持部材により、ホルダー本体の底壁から所定の高さをもって支持されているため、ホルダー本体内に貯水された水が育苗箱の上面まで浸水することが防止される。また、灌水管理手段は、ホルダー本体の一方側で且つ支持部材と隔たれた位置に配設され、ホルダー本体に貯水される水の給排水および水位を調整することで、育苗箱への灌水処理を管理している。
請求項1にかかる本願発明では、特に、灌水管理手段において、給水口部は、供給源から供給された水をホルダー本体に給水する。水位規制部材は、ホルダー本体に貯水された水を所定の水位に規制するために、余剰の水を流出口からホルダー外部に流出させる。閉塞部材は、流出口を閉塞可能にしている。排水口部は、ホルダー本体に貯水された水を排出する。開閉部材は、排水口部からの排水量を調整している。
請求項1にかかる育苗箱ホルダーでは、貯水槽となるホルダー本体に簡単な構造の給排水機構,水位規制・調整機構および簡易な灌水管理手段を配備することによって、ホルダー本体の支持部材で支持された育苗箱に灌水処理を施すため、この育苗箱ホルダーを用いれば、従来の苗代田(水苗代、陸苗代、折衷苗代を含む)を用いて、しかも、苗代田に苗代水を引き込まなくても、育苗を行うことが可能となる。また、苗代以外にも、宅地,空き地,畑等の陸地の場所においても支障なく育苗することができる。
請求項2にかかる本願発明は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、育苗箱ホルダーは、複数のホルダー本体を互いに連結して敷設面に敷設する連結手段をさらに含み、連結手段は、複数のホルダー本体の側壁上部に配設される嵌合凹部と、複数のホルダー本体相互の嵌合凹部が隣接して対向するように、複数のホルダー本体を敷設面に敷設して、複数のホルダー本体の嵌合凹部を相互に連結する第1の連結部材と、複数のホルダー本体相互の側壁が隣接して対向するように、複数のホルダー本体を敷設面に敷設して、複数のホルダー本体の側壁を相互に連結する第2の連結部材とを含むことを特徴とする、育苗箱ホルダーである。
請求項2にかかる本願発明では、連結手段によって、複数のホルダー本体を互いに連結して敷設面に敷設することが可能となる。第1の連結部材は、複数のホルダー本体相互の嵌合凹部が隣接して対向するように敷設面に敷設された複数のホルダー本体の嵌合凹部を相互に連結することが可能となる。第2の連結部材は、複数のホルダー本体相互の側壁が隣接して対向するように敷設面に敷設された複数のホルダー本体の側壁を相互に連結することが可能となる。そのため、複数のホルダー本体は、第1の連結部材および第2の連結部材により相互に隣接して敷設面に敷設することができる。
この場合、複数のホルダー本体は、第1の連結部材によって、隣接する嵌合凹部が連結されるため、1つのホルダー本体内に水が給水されると、第1の連結部材を経由して、他のホルダー本体内に水を通水させ供給させることが可能となっている。
請求項3にかかる本願発明は、請求項1または請求項2にかかる発明に従属する発明であって、閉塞部材、第1の連結部材および第2の連結部材が着脱自在に保持されて収納される収納保持手段をさらに含み、収納保持手段は、ホルダー本体の一方側で且つ支持部材と隔たれた位置のホルダー本体の底壁上に配設されることを特徴とする、請求項2に記載の育苗箱ホルダーである。
請求項3にかかる本願発明では、閉塞部材、第1の連結部材および第2の連結部材が、収納保持手段によって、ホルダー本体の一方側で且つ支持部材と隔たれた位置のホルダー本体の底壁上に、着脱自在に保持されて収納される。この場合、収納保持手段は、支持部材で支持された育苗箱とは離れた位置に配置されるため、閉塞部材、第1の連結部材および第2の連結部材の着脱操作が、育苗箱により阻害されることなく簡便に行えるものとなっている。
請求項4にかかる本願発明は、請求項1〜請求項3のいずれかにかかる発明に従属する発明であって、支持部材は、貯水槽となるホルダー本体を複数の貯水部に区画する仕切りパネルを含み、仕切りパネルは、仕切りパネルの上部に配設されて複数の貯水部相互に通水可能な通水凹部、および/または、仕切りパネルの主面に貫通されて複数の貯水部相互に通水可能な通水孔部を含むことを特徴とする、育苗箱ホルダーである。
請求項4にかかる本願発明では、仕切りパネルによって、ホルダー本体の底壁と育苗箱の下面(裏面)との間に所定の高さを維持しながら、育苗箱がその下面(裏面)側から支持されている。また、仕切りパネルは、貯水槽となるホルダー本体内を複数の貯水部に区画している。さらに、通水凹部は、仕切りパネルの上部に配設され、複数の貯水部相互を通水可能とし、通水孔部は、仕切りパネルの主面に貫通され、複数の貯水部相互を通水可能としている。この場合、通水凹部は、各仕切りパネルで区画された複数の貯水部の貯水量を均等にする機能を有し、また、仕切りパネルのホルダー本体の底壁上面からの高さは、例えば、早生のものには低く、中生および晩生のものには高くするなど、稲苗の品種に応じて適宜選択することが可能となる。
請求項5にかかる本願発明は、請求項1〜請求項3のいずれかにかかる発明に従属する発明であって、支持部材は、ホルダー本体の底壁上に所定の間隔を隔てて立設され、その側面に開口部を有する複数の筒状支持体と、筒状支持体の中に収容される毛細管体とを含み、開口部は、その一端が底壁の上面および/または底壁の上面近傍に到達するように、筒状支持体の軸方向に延び設けられることを特徴とする、育苗箱ホルダーである。
請求項5にかかる本願発明では、ホルダー本体の底壁上に所定の間隔を隔てて立設された複数の筒状支持体によって、ホルダー本体の底壁と育苗箱の下面(裏面)との間に所定の高さを維持しながら、育苗箱がその下面(裏面)から支持されている。なお、この筒状支持体のホルダー本体の底壁上面からの高さも、先の仕切りパネルと同様に、稲苗の品種に応じて適宜変更することが可能となっている。
また、ホルダー本体内に貯水された水は、開口部を経由して、筒状支持体の中に収容された毛細管体に吸収される。この場合、毛細管体による毛細管現象によって育苗箱に灌水される。そのため、貯水槽となるホルダー本体内の水位が低下した場合でも、当該ホルダー本体内(貯水槽)の水分は、開口部を介して、毛細管体の毛細管現象によって吸水され、育苗箱に補給される。すなわち、複数の筒状支持体内の毛細管体は、育苗箱への水分補給源となっている。
本実施形態例に係る育苗箱ホルダー10は、たとえば図3,図4に示すように、その内方上側にたとえばトレイ状の育苗箱1(以下、「育苗トレイ1」という。)を支持し、当該育苗トレイ1に灌水処理を施すための育苗箱ホルダー10である。本実施形態例では、たとえば稲苗を育成する育苗トレイ1が育苗箱ホルダー10にセットされ、灌水処理が施されるものである。
仕切りパネル20a,20b,20cは、たとえば図4に示すように、ホルダー本体12の底壁14の上面と育苗トレイ1の下面(裏面)6との間に所定の高さをもって育苗トレイ1をその下面(裏面)6から支持するものである。この場合、ホルダー本体12の底壁14の上面から仕切りパネル20a,20b,20cの上端までの高さh1は、図4に示すように、たとえばホルダー本体12の高さHよりも低く設定され、且つ、ホルダー本体12の上端面12aは、育苗トレイ1の上端面1aよりも上に突出しないよう設定されている。そのため、ホルダー本体12内に貯水された水は、育苗トレイ1の上面まで浸水されることが防止される。
また、貯水槽となるホルダー本体12は、3つの仕切りパネル20a,20b,20cによって、複数の貯水部Pに区画される。本実施形態例では、ホルダー本体12に配置される仕切りパネル20a,20b,20cの範囲(領域)が、たとえば図2に示すように、当該範囲(領域)の長手方向の長さLAとし、当該範囲(領域)の幅方向の長さをWAとしたとき、たとえば図3に示す育苗トレイ1の長手方向の長さLaおよびその幅方向の長さをWaと同様の大きさの範囲(領域)、つまり、LA≒La、および、WA≒Waとなるように設定されている。
本実施形態例では、仕切りパネル20a,20b,20cが、通水凹部22および/または通水孔部24を有するので、仕切りパネル20a,20b,20cで区画された複数の貯水部Pの貯水量を均等にむらなく貯水することができる。また、仕切りパネル20a,20b,20cのホルダー本体12の底壁14上面からの高さは、例えば、早生のものには低く、中生および晩生のものには高くするなど、稲苗の品種に応じて適宜選択することができる。
なお、本実施形態例では、仕切りパネル20a,20b,20cの上部に配設される通水凹部22が、たとえば断面U字形の凹溝で形成されているが、当該通水凹部22の凹溝の断面形状は、断面U字形に限定されるものではなく、たとえば断面「コ」字状,断面V字状,断面半円状等に形成されてもよい。さらに、通水凹部に変えて、当該通水凹部の凹溝を仕切りパネル20a,20b,20cの高さ方向の上端から下端(ホルダー本体12の底壁14の上面)まで到達するように形成してもよい。つまり、「X」字形の仕切りパネル20a,20b,20cを構成する4つの各パネル片の長手方向の中間部をその高さ方向(垂直方向)に切断して分割・離間させるようにしてもよい。この場合、4つのパネル片で囲まれた平面視方形状の囲繞部となる貯水部Pの通水性をより一層良好なものとすることができる。
すなわち、灌水管理手段は、水道給水管等の供給源(図示せず)から供給された水を貯水槽となるホルダー本体12に給水する給水口部30を含む。給水口部30は、図1および図7に示すように、たとえば断面略「C」字形筒状の給水塔32を含む。給水塔32の開放部34の開放方向は、ホルダー本体12の仕切りパネル20a,20b,20c側に向けられたものとなっている。この給水塔32には、たとえば図3および図13に示す、アダプタ36が取外し自在に装着される。給水塔32がその外周面に雌ねじ面32aを有し、一方、アダプタ36がその内周面に雄ねじ面(図示せず)を有することで、給水塔32とアダプタ36とは、ねじ込み方式により取り付け可能となっている。さらに、このアダプタ36には、図3および図14の(A),(B)に示すように、たとえば水道ホースHの一端に取り付けられたソケット38がワンタッチで簡単に着脱自在に差し込まれて取り付けられる。
なお、給水塔32とアダプタ36との接続方式は、ねじ込み方式以外にも、嵌め込み方式を採用することも可能である。
このオーバーフロー管40の流出口42には、当該流出口42を閉塞可能にする閉塞部材として、たとえば図12の(A),(B)に示す、たとえば断面逆U字状キャップ形の閉塞キャップ46が流出口42に着脱自在に取り付けられる。
本実施形態例では、上述したように、貯水槽となるホルダー本体12に簡単な構造の給排水機構および簡易な灌水管理手段を配備することによって、ホルダー本体12の支持部材18で支持された育苗トレイ1に灌水処理を施すため、この育苗箱ホルダー10を用いれば、従来の苗代田を用いて、しかも、苗代田に苗代水を引き込まなくても、育苗を行うことができる。また、この育苗箱ホルダー10を用いることによって、苗代以外にも、宅地,空き地,畑等の陸地の場所においても支障なく育苗することができる。
嵌合凹部80は、周壁16を構成する4つの側壁16a〜16dの内、たとえば互いに対向配置される2つの側壁16bおよび側壁16dに配設される。この嵌合凹部80は、側壁16bおよび側壁16dの内壁面側に位置するU字状の段差面86aと、側壁16bおよび側壁16dの外壁面側に位置するU字状の段差面86bと、側壁16bおよび側壁16dの上端面側に位置する平面視矩形の段差面86cとで構成されている。
なお、本実施形態例では、嵌合凹部80の切欠き部84がたとえば断面半円状に形成されているが、当該切欠き部84は、それ以外にも、断面U字状,断面「コ」字状,断面V字状等に形成されてもよい。また、凹溝86は、U字状に形成されているが、当該凹溝86も切欠き部84の形状に応じて、断面U字状,断面「コ」字状,断面V字状等に形成されてもよい。さらに、嵌合凹部連結クリップ90のクリップ本体91の3つの枠片93a,93b,93cは、断面半円状に形成されているが、当該3つの枠片93a,93b,93cの形状も、切欠き部84の形状に応じて、断面U字状,断面「コ」字状,断面V字状等に形成されてもよい。
また、図1,図2等に示す実施形態例では、複数のホルダー本体12がその幅方向(横方向)に連結して敷設される態様となっているため、1つのホルダー本体12において、2つの嵌合凹部80がホルダー本体12の長手方向の一方側で、且つ、その幅方向に対向するように配置されているが、嵌合凹部80は、それに限定されるものではなく、複数のホルダー本体12をたとえばその長手方向(縦方向)に連結して敷設する場合には、1つのホルダー本体12において、2つの嵌合凹部80をホルダー本体12の長手方向に対向して配置するようにしてもよく、また、複数のホルダー本体12を縦横に連結して敷設する場合には、嵌合凹部80をホルダー本体12の側壁16a,16b,16c,16dにそれぞれ配設するようにしてもよい。すなわち、嵌合凹部80は、複数のホルダー本体12の連結方向(配列方向)に応じて、適宜、その配設位置および数等が変更可能となっている。
すなわち、本実施形態例にかかる育苗箱ホルダー10では、複数のホルダー本体12は、嵌合凹部連結クリップ90によって、隣接する嵌合凹部80が連結されるため、1つのホルダー本体12内に水が給水されると、嵌合凹部連結クリップ90を経由して、他のホルダー本体12内に水を通水させ供給させることができるものとなっている。
側壁連結クリップ96は、図9に示すように、適度な弾性を有するたとえばプラスチック材料で「コ」字状に形成され、対向する2つの挟持片96a,96bを有するものである。2つの挟持片96a,96b間の間隔97は、ホルダー本体12の側壁16の厚みと略同じかあるいは僅かに小さくなるように形成されている。
そして、たとえば図1に示すように、隣接された一方のホルダー本体12の側壁16bと他方のホルダー本体12の側壁16dとは、側壁連結クリップ96の2つの挟持片96a,96b間で挟持されることによって連結される。
したがって、本実施形態例にかかる育苗箱ホルダー10では、上記した嵌合凹部連結クリップ90および側壁連結クリップ96を用いることによって、必要量の複数のホルダー本体12を相互に隣接して敷設面に敷設することができる。
すなわち、図17,図18に示す育苗箱ホルダー10では、たとえば横長矩形状の1つの保持パネル108が配設されている。保持パネル108は、ホルダー本体12の長手方向の一方側の底壁14の上面で、且つ、その幅方向に所定の長さをもって延び設けられている。嵌合凹部閉鎖クリップ98は、その挟持片98a,98bで、保持パネル108を挟み込むように差し込むことによって、当該保持パネル108の長手方向に縦並びに収納・保持される。
本実施形態例にかかる育苗箱ホルダー10は、図1,図2等に示す上述した実施形態例と比べて、特に、支持部材の構造が相違する。図1,図2等に示す上述の実施形態例では、支持部材18が仕切りパネル20a,20b,20cを含む構成であったが、図21に示す実施形態例では、支持部材110が、仕切りパネル20a,20b,20cに変えて、たとえば複数の筒状支持体で構成されている。
すなわち、支持部材110は、ホルダー本体12の底壁14の上面に所定の間隔を隔てて立設され、その側面に開口部112を有する複数の筒状支持体114を含む。複数の筒状支持体114は、それぞれ、たとえば円筒状に形成され、開口部112は、それぞれ、その一端が底壁14の上面に到達するように、筒状支持体114の軸方向に延び設けられている。また、開口部112は、たとえば図23に示すように、筒状支持体114の軸方向の中間部に配置され、且つ、その一端が底壁14の上面と所定の間隔を隔てた位置まで配設されるようしてもよい。さらに、筒状支持体114は、たとえば図24に示すように、断面略「C」字形の筒状体に形成されてもよい。
この場合、図25,図26および図27で示した育苗箱ホルダー10のホルダー本体12では、それぞれ、図1,図2等に示すホルダー本体12と同様に、給水口部30,オーバーフロー管40,排水口部50,開閉コック60等の灌水管理手段および閉塞キャップ保持部材100,連結クリップ保持部材102となる保持パネル102a,102b,106a,106b,108等の収納保持手段が備えられているが、これらのホルダー本体12を嵌合凹部連結クリップ90(第1の連結部材)および側壁連結クリップ96(第2の連結部材)で連結されるホルダー本体12に用いる場合には、上記した給水口部30,オーバーフロー管40,排水口部50,開閉コック60を配備せず、仕切りパネル20a,20b,20cおよび筒状支持体114等の支持部材18、嵌合凹部80(連結部)および連結クリップ保持部材102を配備したもの、あるいは、仕切りパネル20a,20b,20cおよび筒状支持体114等の支持部材18、嵌合凹部80(連結部)だけを配備したものとすることも可能となっている。
なお、上述の各実施形態例では、嵌合凹部連結クリップ90,側壁連結クリップ96および嵌合凹部閉鎖クリップ98が、たとえば弾性を有するプラスチック材料で形成されたが、特に、合成ゴム,天然ゴム等のゴム材料で形成されてもよく、この場合、密封性(シール性)に優れたものとなり、連結部の水漏れ防止に有効なものとなる。
2 トレイ本体
3 底面
4 周側面
5 排水孔
6 貫通孔
7 調整シート
8 育苗容器
10 育苗箱ホルダー
12 ホルダー本体
14 底壁
16 周壁
16a,16b,16c,16d 側壁
18,110 支持部材
20a,20b,20c 仕切りパネル
22 通水凹部
24 通水孔部
30 給水口部
32 給水塔
32a 雌ねじ面
34,92 開放部
36 アダプタ
38 ソケット
40 オーバーフロー管
42 流出口
44 流出孔
46 閉塞キャップ
50 排水口部
52 排水塔
54,64,112 開口部
56 排水孔
60 開閉コック
62 コック本体
70 支柱部材取付け穴
72 支柱部材
74 保護カバー
80 嵌合凹部
82 切欠き端面
84,104a,104b 切欠き部
86 凹溝
86a,86b,86c 段差面
88 段差溝部
90 嵌合凹部連結クリップ
91 クリップ本体
93a,93b,93c 枠片
94
96 側壁連結クリップ
96a,96b,98a,98b 挟持片
98 嵌合凹部閉鎖クリップ
98c 接続片
100 閉塞キャップ保持部材
102a,102b,106a,106b,108 保持パネル
114 筒状支持体
116 毛細管体
P 貯水部
Claims (5)
- 育苗箱を支持して前記育苗箱に灌水処理を施すための育苗箱ホルダーであって、
前記育苗箱ホルダーは、
底壁および前記底壁の周囲に立設された側壁を有し、上面が開放された箱状の貯水槽となるホルダー本体、
前記ホルダー本体の底壁上に配設され、前記ホルダー本体の底壁と前記育苗箱の下面との間に所定の高さをもって前記育苗箱をその下側から支持する支持部材、および
前記ホルダー本体の一方側で且つ前記支持部材と隔たれた位置に配設され、前記ホルダー本体に貯水される水の給排水および水位を調整し、前記育苗箱への灌水処理を管理する灌水管理手段を含み、
前記灌水管理手段は、
供給源から供給された水を前記ホルダー本体に給水する給水口部、
前記ホルダー本体に貯水された水を所定の水位に規制するために、余剰の水を前記ホルダー外部に流出させる流出口を備えた水位規制部材、
前記水位規制部材の前記流出口に着脱自在に取り付けられ、前記流出口を閉塞可能にする閉塞部材、および
前記ホルダー本体に貯水された水を排出する排水口部、
前記排水口部に着脱自在に取り付けられ、前記排水口部からの排水量を調整する開閉部材を含むことを特徴とする、育苗箱ホルダー。 - 前記育苗箱ホルダーは、複数の前記ホルダー本体を互いに連結して敷設面に敷設する連結手段をさらに含み、
前記連結手段は、
前記複数のホルダー本体の側壁上部に配設される嵌合凹部、
複数の前記ホルダー本体相互の前記嵌合凹部が隣接して対向するように、前記複数のホルダー本体を敷設面に敷設して、前記複数のホルダー本体の前記嵌合凹部を相互に連結する第1の連結部材、および
複数の前記ホルダー本体相互の側壁が隣接して対向するように、前記複数のホルダー本体を敷設面に敷設して、前記複数のホルダー本体の前記側壁を相互に連結する第2の連結部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の育苗箱ホルダー。 - 前記閉塞部材、前記第1の連結部材および前記第2の連結部材が着脱自在に保持されて収納される収納保持手段をさらに含み、
前記収納保持手段は、前記ホルダー本体の一方側で、且つ、前記支持部材と隔たれた位置の前記ホルダー本体の前記底壁上に配設されることを特徴とする、請求項2に記載の育苗箱ホルダー。 - 前記支持部材は、貯水槽となる前記ホルダー本体を複数の貯水部に区画する仕切りパネルを含み、
前記仕切りパネルは、前記仕切りパネルの上部に配設されて前記複数の貯水部相互に通水可能な通水凹部、および/または、前記仕切りパネルの主面に貫通されて前記複数の貯水部相互に通水可能な通水孔部を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の育苗箱ホルダー。 - 前記支持部材は、
前記ホルダー本体の前記底壁上に所定の間隔を隔てて立設され、その側面に開口部を有する複数の筒状支持体、および
前記筒状支持体の中に収容される毛細管体を含み、
前記開口部は、その一端が前記底壁の上面および/または前記底壁の上面近傍に到達するように、前記筒状支持体の軸方向に延び設けられることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の育苗箱ホルダー。
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