JP5259089B2 - ポリスチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂組成物に関し、詳しくは高度なシンジオタクチック構造を有するスチレン系共重合体にゴム状重合体を配合してなる、耐熱性および耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂組成物に関する。
ポリスチレン系樹脂は、一般に脆く、耐衝撃性に劣るという大きな問題を有し、耐熱性に優れるシンジオタクチックポリスチレンも同様の問題を有している。そこで、このような問題を改善する目的で、スチレン系モノマーとエチレン等のオレフィンとの共重合体が提案されている。(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、これらは、耐衝撃性や耐熱性において十分に満足し得るものではなく、材料に対する高性能化の要求に伴って、さらに優れた耐衝撃性や耐熱性を有するポリスチレン系樹脂が望まれている。
また、耐熱性に優れるシンジオタクチックポリスチレンにゴム状重合体を混合し、耐衝撃性を改善することも提案されているが(例えば、特許文献4参照)、シンジオタクチックポリスチレンとの相溶性を考慮すると、使用できるゴムは種類が限定される。また、耐衝撃性を改善するためにゴム量を多くすると耐熱性が低下し、耐衝撃性と耐熱性とを両立させることは比較的困難である。したがって、さらに優れた耐衝撃性を有するシンジオタクチックポリスチレン系樹脂が望まれている。
国際公開第2006/004068号パンフレット 特開平3−7705号公報 特開平4−130114号公報 特開平1−146944号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、耐熱性および耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の共重合比のスチレン誘導体単位とオレフィン単位とからなり、高度のシンジオタクチック構造を有し、分子量分布が特定の範囲にあるスチレン系共重合体に、特定の割合でゴム重合体を配合することにより、上記目的が達成されることを見出した。すなわち、例えば特開平1−146944号公報に記載のシンジオタクチックスチレン単独重合体をポリスチレン系樹組成物の配合成分とした場合、配合し得るゴム状重合体の種類が限定されていたが、上記スチレン系共重合体を用いることにより、エチレン−プロピレンゴム等の安価なゴム状重合体も配合し得ると共に、ゴム状重合体の配合量が少量であっても優れた耐衝撃性を得ることができるので、耐熱性が低下することなく耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂組成物となり得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下のポリスチレン系樹脂組成物を提供するものである。
1. (A)スチレン誘導体単位5〜99モル%とオレフィン単位95〜1モル%とからなるスチレン系共重合体であって、該スチレン誘導体から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性[rrrr]が80モル%以上であるシンジオタクチック構造を有し、かつその分子量分布が1.3以下であるスチレン系共重合体100質量部、および(B)ゴム状重合体1〜50質量部を配合してなることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物。
本発明によれば、耐熱性および耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物を構成する(A)成分のスチレン系共重合体は、スチレン誘導体単位5〜99モル%とオレフィン単位95〜1モル%とからなる。上記スチレン誘導体単位を形成するスチレン誘導体としては、スチレン、アルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、アルコキシスチレンおよびビニル安息香酸エステル等が使用される。
アルキルスチレンとしては、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレンおよび3,5−ジメチルスチレンなどが挙げられる。上記ハロゲン化スチレンとしては、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレンおよびo−メチル−p−フルオロスチレンなどが挙げられる。アルコキシスチレンとしては、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレンおよびm−メトキシスチレンなどが挙げられる。ビニル安息香酸エステルとしては、p−ビニル安息香酸メチル、m−ビニル安息香酸メチルおよびo−ビニル安息香酸メチルなどが挙げられる。
(A)成分のスチレン系共重合体を構成するオレフィン単位を形成するオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−フェニル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、6−フェニル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン,1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−イコセンなどが挙げられる。本発明においては、炭素数2〜10のものが好ましく、エチレンが特に好ましい。
(A)成分のスチレン系共重合体は、スチレン誘導体単位5〜99モル%とオレフィン単位95〜1モル%とからなるものであるが、オレフィンの単位の含有割合は、好ましくは50〜5モル%、より好ましくは30〜5モル%である。オレフィン単位の含有割合が1モル%以上であると、(A)成分のスチレン系共重合体の靭性が充分なものとなるため、本発明のポリスチレン系樹脂組成物における耐衝撃性が充分なものとなる。また、オレフィン単位の含有割合が95モル%以下であると、(A)成分のスチレン系共重合体の耐熱性が充分なものとなるため、本発明のポリスチレン系樹脂組成物における耐熱性が充分なものとなる。
(A)成分のスチレン系共重合体は、上記スチレン誘導体から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性[rrrr]が80モル%以上であることを要し、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上である。この立体規則性[rrrr]が80モル%以上であると、(A)成分のスチレン系共重合体において、シンジオタクチックポリスチレンとしての物性が発現される。この立体規則性[rrrr]は、スチレン系共重合体のNMR(特に13C−NMR)を測定して得られるデータから算出することができる。
また、(A)成分のスチレン系共重合体は、分子量分布が1.3以下である。この分子量分布が1.3以下であると、後述する(B)ゴム状重合体を配合した際の、本発明のポリスチレン系樹脂組成物における均一性が維持される。(A)成分のスチレン系共重合体の分子量は特に限定されないが、耐衝撃性の観点から、重量平均分子量で10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
なお、上記分子量分布は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法(ポリスチレンを標準物質、1,2一ジクロロベンゼンを溶出液として、145℃で測定)により測定される、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比を意味し、例えばGPC測定装置(TOSOH HLC 8121 GPC/HT)を用いて測定することができる。
(A)成分のスチレン系共重合体は、上記のオレフィンおよびスチレン誘導体を、例えば国際公開第2006/004068号パンフレットに記載の触媒組成物を用いて重合することにより製造することができる。この触媒組成物は、
1)第3族金属原子またはランタノイド金属原子である中心金属M、該中心金属に結合した置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル誘導体を含む配位子Cp*、モノアニオン配位子Q1およびQ2、ならびにw個の中性ルイス塩基Lを含む、一般式(I)で表されるメタロセン錯体、および
2)非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物
を含む重合触媒組成物である。
Figure 0005259089
一般式(1)において、Mはメタロセン錯体における中心金属である。中心金属Mは第3族金属またはランタノイド金属であり、特に限定されない。本発明で用いるメタロセン錯体は、重合触媒組成物の一構成成分として用いることができるので、中心金属Mは、重合させようとするモノマーの種類などによって適宜選択される。中心金属Mとしては、例えばスカンジウムSc、ガドリニウムGd、イットリウムY、ホルミウムHo、ルテチウムLu、エルビウムEr、ジスプロシウムDy、テルビウムTbおよびツリウムTmなどが挙げられるが、上記スチレン系共重合体の製造には、Sc、Gd、YおよびLuが好ましく、特にScが好ましい。
一般式(1)において、Cp*はシクロペンタジエニル誘導体を含む配位子であり、中心金属Mにπ結合している。該配位子は、好ましくは非架橋型配位子である。ここで非架橋型配位子とは、シクロペンタジエニル誘導体が中心金属にπ結合して、シクロペンタジエニル誘導体以外の配位原子または配位基を有さない配位子を意味する。
Cp*に含まれるシクロペンタジエニル誘導体とは、シクロペンタジエニル環のほか、シクロペンタジエニルを含む縮合環(インデニル環、フルオレニル環を含むがこれらに限定されない)などが挙げられる。最も好ましいシクロペンタジエニル誘導体は、シクロペンタジエニル環である。
一般式(1)において、Q1およびQ2は、同一または異なるモノアニオン配位子である。モノアニオン配位子としては、1)ヒドリド、2)ハライド、3)置換または無置換の、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、4)アルコキシ基またはアリールオキシ基、5)アミド基、および6)ホスフィノ基などが挙げられるがこれらに限定されない。
また、Q1およびQ2は互いに結合するか、あるいは一緒になって、いわゆるジアニオン性の配位子となっていてもよい。ジアニオン性の配位子としては、アルキリデン、ジエン、シクロメタル化されたヒドロカルビル基、または二座のキレート配位子などが挙げられる。
一般式(1)において、Lは中性ルイス塩基である。中性ルイス塩基としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウムなどが挙げられる。また、Lは、Q1および/またはQ2と結合して、いわゆる多座配位子となっていてもよい。一般式(1)において、wは、中性ルイス塩基Lの個数を表す。wは0〜3の整数であり、好ましくは0〜1である。
上述したように、本発明で用いる触媒組成物はイオン性化合物を含む。ここでイオン性化合物とは、非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物を含む。該イオン性化合物は、上記したメタロセン錯体と組み合わされることにより、上記メタロセン錯体に重合触媒としての活性を発揮させる。そのメカニズムとして、イオン性化合物が、メタロセン錯体と反応し、カチオン性の錯体(活性種)を生成させると考えることができる。
イオン性化合物の構成成分である非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが好ましく、テトラ(フェニル)ボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレートおよびトリデカハイドライドー7,8一ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。
これらの非配位性アニオンのうち、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
イオン性化合物の構成成分であるカチオンには、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオンおよび遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが含まれる。
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンが挙げられる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンとしては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオンおよびトリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n一ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N一ジメチルアニリニウムカチオン、N,N一ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6一ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N一ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
これらのカチオンのうち、好ましくはアニリニウムカチオンまたはカルボニウムカチオンであり、さらに好ましくはトリフェニルカルボニウムカチオンが挙げられる。すなわち、本発明の触媒組成物に含まれるイオン性化合物は、上記した非配位性アニオンおよびカチオンからそれぞれ選ばれるものを組み合わせたものであり得る。
好ましくは、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N一ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’一ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示される。これらのイオン性化合物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのイオン性化合物のうち、特に好ましいものとしては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。また、遷移金属化合物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させることができるルイス酸である、B(C653、Al(C653などをイオン性化合物として用いてもよく、これらを上記のイオン性化合物と組み合わせて用いてもよい。
さらに、アルキルアルミニウム化合物(アルミノキサン、好ましくはメチルアルミノキサン(MAO)またはイソブチル修飾メチルアルミノキサン(MMAO))、またはアルキルアルミニウム化合物とボレート化合物の組み合わせも、イオン性化合物として用いることができ、また他のイオン性化合物と組み合わせて用いてもよい。特に、上記した本発明で用いる錯体(一般式(1))のモノアニオン配位子Qが、アルキルまたはヒドリド以外である場合(例えばハロゲンである場合)は、アルキルアルミニウム化合物、またはアルキルアルミニウム化合物とボレート化合物の組み合わせを用いることが好ましいと考えられる。
本発明で用いる触媒組成物は、メタロセン錯体及びイオン性化合物以外にも、任意の成分を含むことができる。任意の成分としては、シラン化合物および水素などが挙げられる。シラン化合物としては、フェニルシランなどが挙げられる。
触媒組成物中のイオン性化合物としては、[Ph3C][B(C654]などの4価のホウ素アニオンとカルボニウムカチオンからなる化合物が好ましい。錯体とイオン性化合物は、モル比で1:1程度とすることが好ましい。
以下、上記スチレン系共重合体のうちのスチレン−エチレン共重合体の製造方法について説明する。スチレン−エチレン共重合体を製造する具体的な手順としては、例えば、スチレンを含む溶液(好ましくはトルエン溶液)中に、エチレンガスを連続的に供給する。これに、上記触媒組成物を加える。反応温度は25〜35℃程度に調整されることが好ましい。
スチレンの使用量は、錯体(またはイオン性化合物)に対して、モル比で1,000〜70,000倍程度にすればよい。スチレンの量を増やせば、得られる共重合体の分子量を上げることができ、またスチレン単位含有率を高めることができる。
供給されるエチレンガスの圧力は任意に調整することができるが、通常0.01〜0.2MPa程度である。この圧力を調整することで、共重合体の分子量を調整したり、エチレン単位含有率を調整することができる。
触媒組成物は、予め溶媒(好ましくはトルエン)中で錯体とイオン性化合物を反応させて得られた溶液(好ましくは活性種を含む溶液)として加えられることが好ましい。反応時間は数秒〜1時間程度とすることが好ましく、特にSc錯体を用いた場合には1〜20分程度とすることが好ましい。
反応終了後、反応混合物をメタノールなどに投入することにより、生成した共重合体を沈殿させることができる。沈殿した共重合体をろ取し、乾燥させることによりスチレンーエチレン共重合体を得ることができる。このようにして製造されるスチレンーエチレン共重合体は、ランダム共重合体であって、高いシンジオタクチシティーを有し得る。好ましい態様においては、シャープな分子量分布を有し得る。
一方、スチレンを含む溶液(好ましくはトルエン溶液)中に、上記触媒組成物を加えて重合させ、系中のスチレンが消失した後(数分で消失しうる)、続いてエチレンガスを供給することにより、スチレンーエチレンブロック共重合体が得られる。なお、エチレンを重合させた後、スチレンを供給して重合させてもよい。
このようにして得られるスチレンーエチレン共重合体は、スチレンブロック鎖が高いシンジオタクチシティーを有し、かっシャープな分子量分布を有し得る。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物を構成する(B)成分のゴム状重合体としては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのスチレン系ゴム、さらにはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、直鎖状低密度ポリエチレン系エラストマー等のオレフィン系ゴム、あるいはブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−シロキサンをはじめとするシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプの粒子状弾性体、またはこれらを変性したゴム等が挙げられる。これらは一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中で、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEBS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)およびエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物において、(B)成分のゴム状重合体の配合量は、(A)スチレン系共重合体100質量部に対して、1〜50質量部であることを要し、好ましくは3〜40質量部である。(B)成分の配合量が1質量部以上であると、ポリスチレン系樹脂組成物における耐衝撃性の向上効果が発現される。また、(B)成分の配合量が50質量部以下であると、ポリスチレン系樹脂組成物における耐熱性の低下が抑制される。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種添加成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、相溶化剤、核剤、滑剤、無機充填剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤および着色剤などを適宜含有させることができる。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物の調製方法に特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、(A)成分のスチレン系共重合体、(B)成分のゴム状重合体、および所望により用いられる各種成分を、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いて、好ましくは使用するスチレン系共重合体の融点以上の温度で、かつ樹脂成分が分解を起こさない温度で溶融混練することにより、所望のポリスチレン系樹脂組成物を得ることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1(触媒の合成)
(1)LiCH264N(CH32−oの合成
N,N−ジメチル−o−トルイジン18ml(0.12mmol)のヘキサン(50ml)−ジエチルエーテル(16ml)溶液に、n−BuLi 2.6mol/Lのヘキサン溶液50mlを25分かけて滴下した。45時間撹拌した後、沈殿をろ別した。得られた固体を、ヘキサン40mlで3回洗浄した後に減圧乾燥し、LiCH264N(CH32−oを13g得た(収率77%)。
(2)Sc(CH264N(CH32−o)3の合成
無水ScCl3(1.0g)6.6mmolのTHF(テトラヒドロフラン)懸濁液(10ml)を室温で1時間撹拌し、ここへ上記(1)で得られたLiCH264N(CH32−o 2.8g(20mmol)のTHF溶液を滴下し、12時間撹拌した。溶媒を留去した後に目的物をトルエンにより抽出した。この目的物を再結晶により精製し、淡黄色の結晶を得た。収率は45%であった。
(3)Cp´Sc(CH264N(CH32−o)4の合成
上記(2)で得られたSc(CH264N(CH32−o)3 2.0g(4.5mmol)のTHF溶液(10ml)に、市販Cp´H=(C5(CH34H(Si(CH33))1.1g(5.4mmol)のTHF溶液を加えた。70℃において12時間撹拌し、反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、トルエンで目的物[(1,2,3,4‐テトラメチル−5−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム]を抽出した。目的物は再結晶により精製し、淡黄色の結晶を1.7g得た。収率は67%であった。
製造例2(シンジオタクチック構造を有するスチレン−エチレン共重合体の製造)
加熱乾燥した1Lのオートクレーブに、窒素雰囲気下、室温で脱水トルエン350mlおよびスチレン47mlを加えた。攪拌しながら温度を30℃に調整した後、上記製造例1で得られた(1,2,3,4‐テトラメチル−5−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム0.021mmolとトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.021mmolとを予め混合した溶液15mlを加えた。続いてエチレンを導入し、圧力を0.03MPa(0.3kg/cm2)に保ちながら5分間重合した。重合反応終了後、反応生成物をメタノールと塩酸の混合溶液中に投入し、充分に攪拌した後にろ別し、さらにメタノールで充分に洗浄した後、乾燥させ、スチレン−エチレン共重合体35.6gを得た。得られた共重合体は、エチレン単位含有量9モル%およびスチレン単位含有量91モル%、融点265℃、重量平均分子量(Mw)188,000、分子量分布(Mw/Mn)1.3であり、ペンタッドラセミ分率[rrrr]は99.0%を超えていた。
製造例3(シンジオタクチック構造を有するスチレン−エチレン共重合体の製造)
加熱乾燥した1Lのオートクレーブに、窒素雰囲気下、室温で脱水トルエン340mlおよびスチレン47mlを加えた。攪拌しながら温度を30℃に調整した後、上記製造例1で得られた(1,2,3,4‐テトラメチル−5−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウム0.021mmolとトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.021mmolとを予め混合した溶液15mlを加えた。5分間スチレンを単独重合し、続いてエチレンを導入し、圧力を0.1MPa(1.0kg/cm2)に保ちながら5分間重合した。重合反応終了後、反応生成物をメタノールと塩酸の混合溶液中に投入し、充分に攪拌した後にろ別し、さらにメタノールで充分に洗浄した後、乾燥させ、スチレン−エチレン共重合体32.6gを得た。得られた共重合体は、エチレン単位含有量8.5モル%およびスチレン単位含有量91.5モル%、融点266℃、重量平均分子量(Mw)138,000、分子量分布(Mw/Mn)1.23であり、ペンタッドラセミ分率[rrrr]は99.0%を超えていた。
実施例1
上記製造例2で得られたスチレン−エチレン共重合体80質量部およびゴム状重合体としてSEBS(クラレ社製、商品名 Septon8006)20質量部の合計100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.2質量部、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ・アーガス社製、商品名 PEP36)0.2質量部、および造核剤として(旭電化社製、商品名 NA11)0.5質量部を、ラボプラストミルを用いて混練した。混練条件は、設定温度290℃、混練時間3分間、トルク50min-1とした。上記混練により得られたポリスチレン系樹脂組成物を、熱プレス成形機を用いて成形し、下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
(1)引っ張り物性(引張弾性率、引張破断強さ、引張破断伸びおよび引張降伏強さ)
厚さ1mmの試験片を作製し、引っ張り試験機(インストロン社製、1157)を用いてJIS K 7113に準拠して測定した。
(2)アイゾット衝撃強度
厚さ12mmの試験片を作製し、万能衝撃試験機(東洋精機社製)を用いてJIS K 7110に準拠して測定した。
(3)熱分解温度
測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TG−DTA6300)を用いJIS K 7120に準拠して、ポリスチレン系樹脂組成物の質量を測定し、加熱前の質量と比較して質量が5質量%減少した温度を熱分解温度とした。
実施例2
実施例1において、製造例2で得られたスチレン−エチレン共重合体の代わりに、製造例3で得られたスチレン−エチレン共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を製造し、同様の方法で物性を評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、製造例2で得られたスチレン−エチレン共重合体の代わりに、シンジオタクチックポリスチレン(出光興産社製、商品名 ザレック 130ZC)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を製造し、同様の方法で物性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005259089
本発明のポリスチレン系樹脂組成物は、耐熱性と耐衝撃性とを同時に必要とする用途に好適である。

Claims (1)

  1. (A)スチレン誘導体単位5〜99モル%とオレフィン単位95〜1モル%とからなるスチレン系共重合体であって、該スチレン誘導体から構成される繰り返し単位連鎖の立体規則性[rrrr]が80モル%以上であるシンジオタクチック構造を有し、かつその分子量分布が1.3以下であるスチレン系共重合体100質量部、および(B)ゴム状重合体(但し、前記(A)成分を除く)1〜50質量部を配合してなることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物。
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