JPH07103284B2 - 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物

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JPH07103284B2
JPH07103284B2 JP62305838A JP30583887A JPH07103284B2 JP H07103284 B2 JPH07103284 B2 JP H07103284B2 JP 62305838 A JP62305838 A JP 62305838A JP 30583887 A JP30583887 A JP 30583887A JP H07103284 B2 JPH07103284 B2 JP H07103284B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物に関し、詳
しくは主としてシンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系重合体に、特定のゴム状重合体を配合してなる耐熱
性ならびに耐衝撃性にすぐれたポリスチレン系樹脂組成
物に関する。
〔従来技術および発明が解決しようとする課題〕
従来、汎用されてきたポリスチレン系樹脂は、耐衝撃性
に欠けるという大きな欠点を有している。そのためこの
欠点を改善する目的で、ゴム状重合体にスチレンを共重
合させた共重合体(HIPS樹脂,ABS樹脂など)を形成した
り、あるいはゴム状重合体を混合して組成物を製造する
方法が幅広く行われ、これら耐衝撃性の改善されたポリ
スチレン系樹脂又は組成物は成形され、広い用途に供さ
れている。
しかし、用途の多様化に伴い、これらの方法で得られた
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂又は組成物を使用しても、
一方で耐熱性の不足が指摘されるようになった。
ところで、上記従来から汎用されてきたポリスチレン系
樹脂は、ラジカル重合によって得られ、その立体規則性
はアタクチック構造であり、しかも非晶性ものである。
上記ポリスチレン系樹脂自体は、この分子構造や結晶構
造に由来して耐熱性が低く、上記方法により耐衝撃性は
改善できても、耐熱性に関しては改善が困難であった。
従って、従来のポリスチレン系樹脂が本質的に有する物
性改善の限界点を超えて一段と優れた耐熱性を有するポ
リスチレン系樹脂又はその樹脂組成物の出現が強く望ま
れてきた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記のごとく従来のポリスチレン系樹脂
が本質的に有する物性改善の限界点を越えて、一段とす
ぐれた耐熱性を有するポリスチレン系樹脂又はその樹脂
組成物を得るべく鋭意研究を重ねた。
その過程において、本発明者らのグループが先に開発し
たシンジオタクティシティーの高いスチレン系重合体
(以下、SPSという)(特開昭62−104818号公報)は融
点が260〜270℃であって、従来のアタクチック構造のス
チレン系重合体(以下、APSという)に比して耐熱性が
高いものであるが、これに特定のゴム状重合体を組み合
せることにより、優れた耐熱性を保ちつつ耐衝撃性向上
が達成されることを見出した。
本発明はかかる知見に基いて完成したものである。
すなわち本発明の要旨は、(A)主としてシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体100重量部に対し
て(B)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン
−ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−水素化
ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエ
ン−スチレントリブロック共重合体ゴム、スチレン−水
素化ブタジエン−スチレントリブロック共重合体ゴム、
スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン
−水素化イソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン−
アクリル酸−n−ブチル共重合体ゴム、アクリル酸メチ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、(メタ)アク
リル酸メチル−アクリル酸−n−ブチル−スチレン共重
合体ゴム、スチレン−プロピレン共重合体ゴム、天然ゴ
ム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレ
ン、ネオプレン、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、
ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、
ウレタンゴム、シリコーンゴム及びエピクロルヒドリン
ゴムからなる群から選ばれる少なくとも一つのゴム状重
合体を2〜50重量部の割合で配合してなる耐衝撃性ポリ
スチレン系樹脂組成物にある。
本発明の組成物は、上述の如く(A)成分および(B)
成分からなるものであるが、ここで(A)成分である主
としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合
体とは、立体化学構造が主としてシンジオタクチック構
造。即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側
鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向
に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティ
シティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR
法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタ
クティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割
合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリア
ッド,5個の場合はペンタッドによって示すことができる
が、本発明に言う主としてシンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体とは、通常はダイアッドで85%以
上若しくはペンタッド(ラセミペンタッド)で35%以
上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを
有するポリスチレン,ポリ(アルキルスチレン),ポリ
(ハロゲン化スチレン),ポリ(アルコキシスチレ
ン),ポリ(安息香酸エステルスチレン)およびこれら
の混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を指
称する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)として
は、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレ
ン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャ
リーブチルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化ス
チレン)としては、ポリ(クロロスチレン),ポリ(ブ
ロモスチレン)などがある。また、ポリ(アルコキシス
チレン)としては、ポリ(メトキシスチレン),ポリ
(エトキシスチレン)などがある。
また、この(A)成分である主としてシンジオタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体は、分子量や分子量分
布については、特に制限はなく製造すべき組成物に用途
等に応じて適宜定めればよい。
一方、本発明の(B)成分であるゴム状重合体として
は、特定されたゴム状重合体からなる群から選ばれる少
なくと一つが適用されるが、該群を構成するものとして
はスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−水素化ブタジ
エンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−ス
チレントリブロック共重合体ゴム、スチレン−水素化ブ
タジエン−スチレントリブロック共重合体ゴム、スチレ
ン−イソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン−水素
化イソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン−アクリ
ル酸−n−ブチル共重合体ゴム、アクリル酸メチル−ブ
タジエン−スチレン共重合体ゴム、(メタ)アクリル酸
メチル−アクリル酸−n−ブチル−スチレン共重合体ゴ
ム、スチレン−プロピレン共重合体ゴム、天然ゴム、ポ
リブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネ
オプレン、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ポリス
ルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタ
ンゴム、シリコーンゴム及びエピクロルヒドリンゴムで
ある。
(B)成分の配合割合は、ポリスチレン成分としてAPS
を使用した場合の耐衝撃性に劣らない耐衝撃性を持つ範
囲でなければならないことは当然であり、更に、耐熱性
が優れている範囲の選択の必要性から、SPS100重量部に
対し2〜50重量部配合される。(B)成分の配合比が2
重量部未満であれば、耐衝撃性がSPS自体に近い値とな
り、耐熱性の優れたものが得られないばかりか、耐衝撃
性の高いスチレン系重合体さえも得られない。また、50
重量部を超えると耐熱性の低下が著しい他、弾性率の低
下も大きいことからポリスチレン系樹脂特有の性質が発
揮できなくなり、(A),(B)量成分併用の効果がな
くなる。
なお、ゴム状重合体に属するアクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体(ABS)は、上記特定された
(B)成分ほどには効果的でない。この理由については
不明であり、現状においては上記特定されたゴム状重合
体のみが耐衝撃性の点で優れていることが判明している
のみである。
本発明の組成物は、上記(A)成分と(B)成分を必須
成分とするものであるが、更に必要に応じて他の添加成
分、例えばタルク等の結晶核剤や酸化防止剤などを適量
配合することができ、これらはニーダーやミキシングロ
ール,押出機などにより混練することにより、あるいは
溶液ブレンド等により均一に調製して使用することがで
きる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説
明する。
(参考例1)(SPSの製造) 反応容器に、溶媒としてトルエン2リットル、触媒成分
としてテトラエトキシチタニウム5ミリモルおよびメチ
ルアミノキサンをアルミニウム原子として500ミリモル
加え、50℃においてこれにスチレン15リットルを加え、
4時間重合反応を行なった。
反応終了後、生成物を塩酸−メタノール混合液で洗浄
し、触媒成分を分解除去した。次いで乾燥し、スチレン
系重合体(PS)2.5kgを得た。次に、この重合体をメチ
ルエチルケトンを溶媒としてソックスレー抽出し、抽出
残分95重量%を得た。このものの重量平均分子量は800,
000であった。また13C−NMRによる分析(溶媒:1,2−ジ
クロロベンゼン)から、シンジオタクチック構造に基因
する145.35ppmに吸収が認められ、そのピーク面積から
算出したラセミペンタッドでのシンジオタクティシティ
ーは96%であった。
(実施例1) 上記参考例1で得られたSPS90重量%およびゴム重合体
としてスチレン−水素化ブタジエン−スチレントリブロ
ック共重合体(シェル化学(株)製,G−1652,重量平均
分子量49,000,水素化ブタジエン量70重量%)10重量
%、並びにこれらの合計100重量部に対して、ビス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト0.1重量部,テトラキス〔メチレン(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメー
ト)〕メタン0.7重量部および平均粒径0.5μmのタルク
0.5重量部を二軸押出機を用いて混練ペレット化した。
このペレットから射出成形により試験片を作成し、アイ
ゾット衝撃強度(ノッチ付き)(JIS−K7110に準拠)お
よび引張弾性率(JIS−K7113に準拠)を測定した。更
に、耐熱性を調べるためにビカット軟化点(JIS−K7113
に準拠)を測定した。結果を第1表に示す。
(実施例2,3および比較例1〜3) 上記参考例1で得られたSPSとゴム状重合体であるスチ
レン−水素化ブタジエン−スチレントリブロック共重合
体(シェル化学(株)製,G−1652,重量平均分子量49,00
0,水素化ブタジエン量70重量%)との配合割合を、第1
表に示す如く変えたこと以外は、実施例1と同様の操作
を行った。結果を第1表に示す。
(実施例4) ゴム状重合体としてアクリル酸メチル−アクリル酸−n
−ブチル−スチレン共重合体(ローム&ハース(株))
製,KM330)を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作
を行った。結果を第1表に示す。
(実施例5) ゴム状重合体としてスチレン−ブタジエン−スチレント
リブロック共重合体(シェル化学(株))製,TR−1102,
重量平均分子量70,000,ブタジエン量70重量%)を用い
たこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を
第1表に示す。
(参考例2)(SPSの製造) 反応容器に、反応溶媒としてトルエン2リットルと触媒
成分としてテトラエトキシチタン5ミリモルおよびメチ
ルアミノキサンをアルミニウム原子として500ミリモル
入れ、55℃においてスチレン15リットルを加え、4時間
重合反応を行った。
反応終了後、生成物を塩酸とメタノールとの混合液で洗
浄して、触媒成分を分解除去した。次いで乾燥すること
により、スチレン系重合体(PS)2.5kgを得た。次に、
この重合体を、メチルエチルケトンを溶媒としてソック
スレー抽出し、抽出残分97重量%を得た。この抽出残分
の重量平均分子量は400,000であった。また、この重合
体は13C−NMRによる分析(溶媒:1,2−ジクロロベンゼ
ン)から、シンジオタクチック構造に基因する145.35pp
mに吸収が認められ、そのピーク面積から算出したラセ
ミペンタッドでのシンジオタクティシティーは98%であ
った。
続いて、得られたPS100重量部に対して、ビス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト0.1重量部およびテトラキス〔メチレン(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメー
ト)〕メタン0.7重量部を単軸押出機を用いて混練して
ペレット化し、PSのペレットを得た。
(実施例6) 参考例2で得られたSPSのペレット87重量%、及びゴム
重合体としてスチレン−ブタジエン−スチレントリブロ
ック共重合体(シェル化学(株)製,D−1101,スチレン
含量30%,重量平均分子量100,000)13重量%並びにこ
れらの合計100重量部に対して、安定剤としてスミライ
ザーGM(住友化学(株)製)を1重量部加え、ダルメー
ジ型スクリューを備えた単軸押出機で混練しペレット化
した。
次に、このペレットを用いて射出成形した後、アイゾッ
ト衝撃強度(JIS−K7110に準拠)及び曲げ試験(JIS−K
7203に準拠)を行って機械的性質を測定し、またビカッ
ト軟化点(JIS−K7206に準拠)により熱的性質を測定し
た。結果を第2表に示す。
(実施例7) ゴム重合体としてスチレン−ブタジエンブロック共重合
体(日本ゼオン(株)試作,SN−0245,スチレン含量35
%,重量平均分子量230,000,分子量分布(Mw/Mn)1.0
9)を用いたこと以外は、実施例6と同様の操作を行っ
た。結果を第2表に示す。
(実施例8) ゴム重合体としてスチレン−水素化ブタジエン−スチレ
ントリブロック共重合体(シェル化学(株)製,D−165
1,スチレン含量30%,重量平均分子量170,000)を用
い,安定剤を加えなかったこと以外は、実施例6と同様
の操作を行った。結果を第2表に示す。
(実施例9) 参考例2で得られたSPSのペレット80重量%を用い、ゴ
ム重合体としてスチレン−水素化ブタジエン−スチレン
トリブロック共重合体(シェル化学(株)製,G−1650,
スチレン含量30%,重量平均分子量70,000)を20重量%
用い、安定剤を加えなかったこと以外は、実施例6と同
様の操作を行った。結果を第2表に示す。
(比較例4) ポリスチレン系重合体として、APS(商品名:出光スチ
ロール,US−305B,重量平均分子量420,000)のペレット8
7重量%及びゴム状重合体としてスチレン−ブタジエン
−スチレントリブロック共重合体(シェル化学(株)
製,D−1101,スチレン含量30%,重量平均分子量100,00
0)13重量%、並びにこれらの合計100重量部に対して、
安定剤としてスミライザーGM(住友化学(株)製)を1
重量部加え、ダルメージ型スクリューを備えた単軸押出
機で混練しペレット化した。
次に実施例1〜9と同様に射出成形し物性を測定した。
結果を第2表に示す。
(比較例5,6) 上記参考例2で得られたSPSとゴム状重合体であるアク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム(日
本合成ゴム(株)製,ABS15)との配合割合を、第2表に
示す如く変えたこと以外は、実施例2,3と同様の操作を
行った。結果を第2表に示す。
〔発明の効果〕 以上の如く、本発明の樹脂組成物の如く、シンジオタク
チック構造のスチレン系重合体に特定のゴム状重合体を
特定割合で配合すれば、従来のアタクチック構造のスチ
レン系重合体の場合と同様に耐衝撃性が向上し、かつ耐
熱性も大幅に向上させることができる。
したがって、本発明の樹脂組成物は、射出成形あるいは
押出成形等の産業用資材として、従来のポリスチレン系
樹脂組成物に比べて一層幅広くかつ有効な利用が期待さ
れる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)主としてシンジオタクチック構造を
    有するスチレン系重合体100重量部に対して(B)スチ
    レン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン
    ブロック共重合体ゴム、スチレン−水素化ブタジエンブ
    ロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン
    トリブロック共重合体ゴム、スチレン−水素化ブタジエ
    ン−スチレントリブロック共重合体ゴム、スチレン−イ
    ソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン−水素化イソ
    プレンブロック共重合体ゴム、スチレン−アクリル酸−
    n−ブチル共重合体ゴム、アクリル酸メチル−ブタジエ
    ン−スチレン共重合体ゴム、(メタ)アクリル酸メチル
    −アクリル酸−n−ブチル−スチレン共重合体ゴム、ス
    チレン−プロピレン共重合体ゴム、天然ゴム、ポリブタ
    ジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレ
    ン、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ポリスルフィ
    ドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴ
    ム、シリコーンゴム及びエピクロルヒドリンゴムからな
    る群から選ばれる少なくとも一つのゴム状重合体を2〜
    50重量部の割合で配合してなる耐衝撃性ポリスチレン系
    樹脂組成物。
JP62305838A 1986-05-06 1987-12-04 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物 Expired - Fee Related JPH07103284B2 (ja)

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