以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では脂肪酸金属塩の表面状態均一性を評価する指標として、水とメタノールの混合溶媒における脂肪酸金属塩の濡れ性を測定する。例えば、脂肪酸金属塩の形状や表面状態が異なるものが少ない場合には、脂肪酸金属塩の濡れ性(沈降度合い)が均一になっている。すなわち、780nmの波長の光の透過率で測定し、透過率が10%のときのメタノール濃度(体積%)と透過率が90%のときのメタノール濃度(体積%)の差が小さいほうが表面状態は均一であることを示している。
脂肪酸金属塩がある特定の濡れ性を有することによりトナーの帯電特性、感光体との親和性や滑り性が安定化し、クリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着、ブレード捲れ、ブレード鳴き、画像濃度、環境安定性に優れた性能を示す。
780nmの波長光の透過率に対する脂肪酸金属塩のメタノール濃度のグラフを図1に示す。透過率が90%を超える領域は脂肪酸金属塩がメタノールにほとんど濡れていないことを表しており、透過率が10%よりも低い領域は脂肪酸金属塩がほぼ完全に濡れていることを表している。
図1のように、本発明の脂肪酸金属塩は、該脂肪酸金属塩のメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定し、透過率がA%のときのメタノール濃度をDs(A)体積%としたとき、Ds(10)−Ds(90)≦4.50である。Ds(10)−Ds(90)≦4.50にすることによってトナーの帯電特性や滑り性が安定化し、クリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着が向上する。更に好ましくはDs(10)−Ds(90)≦3.00である。特にクリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着、ブレード捲れ、ブレード鳴きが良化する。最も好ましくはDs(10)−Ds(90)≦2.00である。特にクリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着、ブレード捲れ、ブレード鳴き、画像濃度、環境安定性が良化する。
このことは、脂肪酸金属塩中のほとんどの粒子が、本発明におけるメタノール濃度差が小さい範囲で濡れていることを示し、脂肪酸金属塩の形状や表面状態が均一であることを示す指標になっている。
本発明における静電潜像担持体の表面層の動摩擦係数は0.00を超え0.80以下であることが好ましい。静電潜像担持体の表面層の動摩擦係数は0.00を超え0.80以下であるとクリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着、ブレード捲れ、ブレード鳴きに効果がある。静電潜像担持体の表面層の動摩擦係数が0.80超の時は静電潜像担持体へのトナーの融着が発生しクリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着、ブレード捲れ、ブレード鳴きを発生する。さらに好ましくは0.00を超え0.40以下である。静電潜像担持体の表面層の動摩擦係数が0.40以下の時はクリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着、ブレード捲れがさらに低減する。最も好ましくは0.00を超え0.20以下である。静電潜像担持体の表面層の動摩擦係数が0.20以下の時はクリーニングブレードセット跡、カブリ、部材汚染、融着、ブレード捲れ、ブレード鳴きがさらに低減する。
このように、形状や表面状態がある程度均一にそろった脂肪酸金属塩をトナーに含有していると、トナー担持体やトナー供給ローラー間でトナーが摺擦される際、滑剤としての効果によりトナーへのダメージを軽減させ部材汚染の抑制を促しているものと考える。また、形状や表面状態がある程度均一にそろっていることからトナー中に均一に存在することが可能となり逆極性のトナーが軽減される。これにより従来の脂肪酸金属塩で発生していたカブリや画像安定性の低下を軽減することができ、長期にわたる高温高湿環境下においても安定した高画質な画像が得られる。
静電潜像担持体表面に残存するトナーをクリーニングブレードにてクリーニングを行なう場合には、低温低湿環境において、長時間プリントをせずに放置させた後プリントを再開するような場合、ブレード材質の剛性が高く、クリーニングがし難く、クリーニングブレードが当接しているエッジ部分の残留トナーや無機微粒子が一気に擦り抜けた画像が出やすい傾向にある。感光体の動摩擦係数を規定することによりプリント停止後再開時に発生しやすいクリーニングブレードセット跡を低減できる。
形状や表面状態がある程度均一にそろった脂肪酸金属塩やこのような脂肪酸金属塩を含有するトナーがあると、感光体とクリーニングブレード間に残留しているトナーや無機微粒子が滑りやすくなり、クリーニングブレードが当接しているエッジ部分の圧力が均一に受けやすくなるため、残留トナーや無機微粒子が擦り抜けることなく感光体上から除去することが可能である。エッジ部からの擦り抜けや融着が低減されることによりスジや感光体帯電不良によるカブリが低減される。
本発明において、脂肪酸金属塩の体積基準におけるメジアン径(D50)は0.15μm以上0.75μm以下が好ましい。メジアン径(D50)が0.15μmより小さいと、粒径が小さいため、滑剤としての働きが低くなり、現像剤担持体等への現像剤の融着の抑制効果が得られにくい。逆に、0.75μmを超える場合は、脂肪酸金属塩がトナー粒子表面において偏って存在し易くなるため、トナー粒子中に帯電分布が生じて逆極性のトナーが増加しやすい。そのため、高温高湿環境下において、脂肪酸金属塩に起因したカブリや画像安定性の低下が発生し易くなる。また、粒径が大きくなるとトナー中での遊離が発生し易くなる傾向にあり、多数枚の印字を行っていくと脂肪酸金属塩がトナーから遊離し融着の抑制効果が薄れ現像剤担持体融着による画像弊害が発生し易くなる。メジアン径(D50)のより好ましい範囲としては0.30μm以上0.65μm以下であり、その範囲であると、より安定して本発明の効果が得られる。
本発明は、前記脂肪酸金属塩の下記(1)式で定義されるスパン値Bが1.75以下であることで、より大きな効果が得られる。
スパン値B=(D95s−D5s)/D50s (1)式
D5s:脂肪酸金属塩の体積基準における5%積算径
D50s:脂肪酸金属塩の体積基準におけるメジアン径(D50)
D95s:脂肪酸金属塩の体積基準における95%積算径
スパン値Bは1.75を超えるとトナー中に存在する脂肪酸金属塩の粒径のバラツキにより帯電性が不安定となり、逆極性トナーが増加しカブリが生じやすくなる。スパン値Bは1.50以下がより好ましく、1.50以下であればより安定した画像が得られる。さらに好ましくは1.35以下である。
また、本発明では、トナー中の脂肪酸金属塩の遊離率が1.0%以上25.0%以下であることが好ましい。遊離率が1.0%以上25.0%以下の範囲である場合、多数枚の印字後であってもトナー粒子表面に脂肪酸金属塩が一定量存在していることとなり、本発明の効果が持続して発揮される。遊離率が1.0%より小さい場合、脂肪酸金属塩がトナー粒子表面中に埋没する程、過剰な力で混合工程が行われたことを意味する。このような場合、添加時の脂肪酸金属塩の粒径が大きなものであったとしても機械的なストレスにより、粒径が小さくなってしまい現像剤担持体への融着抑制効果が得られ難くなる。また、トナー粒子へのストレスがかかっているためワックスの染み出しやトナー粒子の割れが発生し、高温高湿環境下でのカブリや現像スジが発生し易くなる。逆に遊離率が25.0%を超える場合は、脂肪酸金属の遊離によるカブリが増大する。さらに、多数枚の印刷を行っていくと遊離した脂肪酸金属塩が消費されトナーが摺擦される際の滑剤としての効果が薄れていくため現像剤担持体への融着が発生してしまう場合がる。遊離率のより好ましい範囲としては2.0%以上20.0%以下であり、この範囲であるとさらに安定して高画質な画像が得られる。
この方法による脂肪酸金属塩の遊離の定量化は、実際画像形成を行った時のトナー劣化における脂肪酸金属塩の遊離をシミュレーションしている。メッシュにトナーを通過させることにより、付着状態が不十分で遊離しやすい脂肪酸金属塩は、メッシュパス時に粉霧するか、又はメッシュへの付着し減少する。これは画像形成を通してトナーが各摺擦域にて負荷を受け劣化することで脂肪酸金属塩が遊離することを模擬させている。篩前後の脂肪酸金属塩の強度に差分が少ない方が多数印字を行った場合においても脂肪酸金属塩の滑剤効果が発揮され本発明の効果である融着の抑制が得られる。但し、差分が小さ過ぎる場合は上述したとおり混合工程において過剰な力が加わり融着抑制効果が得られる粒径よりも小さくなってしまっていることを示唆する。
本発明における脂肪酸金属は、従来のものと比べ、粒径が小さく分布がある程度揃っているため、トナー粒子への付着がある程度容易に行なうことが可能であるが、粒径を留めながら、本発明の遊離率の範囲内に収めるためには、混合工程条件(温度、回転時間等)の適正化を行なう必要がある。
塩を形成する主たる金属種は、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、ルビニウム、銀、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケルなどが使用可能である。更に、耐久を通してトナーの帯電性や部材汚染を適切な範囲に保つために、亜鉛、カルシウムを用いることが好ましい。
また、主たる金属種と合わせて、他の金属種が含まれるものも良い。このとき、主たる金属種と、他の金属種群の元素比率(全体に占める他の金属比率)は、30%未満であることが好ましい。
定荷重押し出し方式の細管式レオメータによる100℃における粘度が5000乃至50000Pa・s、より好ましくは7500乃至50000Pa・sとすることで、低温定着性かつ画像光沢性が優れ、低温定着性に好ましい画像が得られる。5000Pa・s未満ではメディアへのトナーの浸み込み等によるグロス低下が起こり好ましくない。具体的には長期間に渡る使用に伴い、外添剤として添加した無機微粉体がトナー粒子の表面に埋没し、あるいはトナー粒子が変形して摩擦帯電特性が不均一になる。このため転写材上の非画像部にトナーが付着する現象(以下、カブリと称す)が生じやすいので、好ましくない。50000Pa・sより大きいと、高速低温印刷においては定着工程時にトナー粒子が十分に変形することができず、定着画像の表面を擦った際にトナー画像の剥離が生じやすく、好ましくない。なお、本発明において、定荷重押し出し方式の細管式レオメータによる100℃における粘度は、低分子量樹脂の量や結着樹脂製造時のモノマー種、開始剤量、反応温度及び反応時間により調製することができる。
100℃の粘度はトナ−の定着性(グロス)に相関がある。温度変化による粘度変化を小さくすることによって、定着器の温度変化及び温度や湿度といった使用時の環境変化によるグロスムラを小さくすることができる。
脂肪酸金属の含有率としては、トナー粒子100質量部に対し0.02質量部以上0.50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.05質量部以上0.30質量部以下である。0.02質量部より少ない停止スジが発生しやすい。また、0.05質量部より多いと画像濃度の安定性が得られにくく、カブリを発生しやすくなる。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置で計測される個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおける2μm以上のトナー粒子(円相当径2μm以上の粒子)の平均円形度が部材汚染の観点から0.970以上1.000以下であり、モ−ド円形度が転写性の観点から0.98以上1.00以下であることが好ましい。また、本発明のトナーにおいて、平均円形度は、例えばハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)によって調整することができ、モード円形度は、例えばハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)により調整することができる。
本発明のトナーは示差走査熱量分析(DSC)によって測定される吸熱チャートにおいて、40乃至130℃の範囲の吸熱面積で表される熱量積分値Qがトナー1g当たり10乃至35Jであることが好ましい。本発明において、該吸熱面積はワックス種及びワックス量により調節することができる。
上記したように、特定の条件下において特定のメタノール濡れ性を有し、特定の温度範囲内に吸熱メインピークを有し、GPC―RIにおける測定において、特定の分子量領域にそれぞれメインピークを有するトナーを構成することが好ましい。これにより、部材汚染、低温定着性、耐高温オフセットと耐久性が高性能なトナーを得ることができる。本発明で規定する構成のうち、40乃至130℃の範囲の吸熱面積で表される熱量積分値Qをトナー1g当たり10乃至35Jとすることにより、低温定着時においても良好な離型性を示すことができる。更にワックスをトナーに加える場合には、結着樹脂のポリマー鎖間の分子間力を適度に緩和し、定着時の吸熱によるトナーの軟化とトナーの放熱による樹脂の硬化が適当な状態を形成することができる。該吸熱面積で表される熱量積分値Qは、ワックスの種類やその含有量等を適宜選択することにより、調整することができる。該熱量積分値Qの算出法は後述する。なお、吸熱面積で表される熱量積分値Qは、トナー1g当たり15乃至35Jであることがより好ましい。
尚、該吸熱面積で表される熱量積分値Qがトナー1g当たり10J未満であると、定着性が悪化し、定着画像のグロスは低くなり、また、定着部材等の削れや傷に対する抑制が見込めない。一方、該吸熱面積で表される熱量積分値Qがトナー1g当たり35Jを超えると、ワックスの可塑効果が大きくなりすぎ、耐オフセット性が悪化する。
本発明におけるトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布に関して以下に説明する。
<GPC−RI(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー−屈折率計)測定>
本発明における好ましいトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分について測定した分子量分布のチャートの一例を図2乃至図4に示す。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPCにより測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークp(M1)における分子量をM1とし、そのときの高さをh(M1)[mV]にした時の分子量分布を図3に示した。ここで、h(4000)は分子量4000での高さを示す。
図2に示したトナーのTHF可溶分のGPCにより測定された分子量分布のチャートにおいて、高さをh(M1)[mV]=100に換算した時の分子量分布のチャートを図3に示した。
図3において、メインピークP(M1)での高さをH(M1)(メインピークにおける分子量をM1とする)で示した。また、図4において、分子量4,000での高さをH(4,000)で示した。
また、図4は図3と同じ分子量分布のチャートを示しており、分子量が500乃至2,500の領域の積分値をS1、分子量2,500乃至15,000の領域の積分値をS2、分子量15,000乃至1,000,000の領域の積分値をS3で示した。
図2乃至4で示すような本発明で規定する分子量分布を満足したトナーは、以下に記載する効果を有する。
トナーのTHF可溶分のGPCにおいて測定される分子量分布のチャートにおいて、分子量4,000乃至15,000の領域にある成分を含有したトナーは、低温定着性に効果があり、また溶融粘度が小さく高いグロス画像が得られる。
ここで、H(4,000)及びH(M1)がH(4,000):H(M1)=(0.100乃至0.950):1.00を満足することが好ましい。H(4,000)がH(M1)に対して0.100未満である場合は、低温定着性が悪くなり好ましくない。特に、H(4,000)がH(M1)に対して0.100未満であることは、グロスの向上に有効である低分子量成分の量が少ないことを意味し、グロスが低下してしまう。また、H(4,000)がH(M1)に対して0.950を超える場合には、耐オフセット性が悪化して好ましくない。さらにH(4,000):H(M1)=(0.200乃至0.750):1.00が好ましい。なお、本発明において、H(4000)の値とH(M1)の値は、低分子量樹脂の量や結着樹脂製造時の開始剤量、反応温度及び反応時間により調整することができる。
また、本発明においては、トナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布のチャートにおいて、分子量が300乃至2,000の領域の積分値(S1)と、分子量2,000乃至15,000の領域の積分値(S2)と、分子量15,000乃至1,000,000の領域の積分値(S3)の比がS1:S2:S3=(0.01乃至0.95):1.00:(1.00乃至8.00)であることが好ましい。S1:S2:S3=(0.01乃至0.95):1.00:(1.00乃至8.00)であることにより、トナーに含有される成分がバランスよく含有しているため、低温定着性、耐オフセット性及び定着画像の高グロス化の更なる向上を達成することができる。
S2を1.00としたときにS1が0.01未満であるか、S3が8.00を超える場合は、低温定着性が悪くなることがあり、逆にS1が0.95を超えるか、S3が1.00未満である場合は耐オフセット性が悪化することがある。
本発明では、トナー製造時に荷電制御剤を用いることができ、該荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御するものとしては以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブテン酸、リンタングステンモリブテン酸、タンニン酸、ラウニン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);樹脂系荷電制御剤。
本発明のトナーは、これら荷電性制御剤を単独あるいは2種以上組み合わせて含有することができる。
これらの荷電性制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウム好ましい。最も好ましい荷電性制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
これらの荷電性制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体の0.01乃至10.00質量%が好ましい。
さらに本発明の効果を十分に発揮するためには、荷電性制御剤として硫黄元素含有重合体を含有することが好ましい。硫黄元素含有重合体の極性により着色剤の分散が安定し、トナー表面状態の均一性がさらに良好になり、安定した画像濃度を得ることができる。
さらに、上記硫黄元素含有重合体は、ある程度の酸価を有することが好ましい。一般的に塩基性を有することの多い着色剤との組み合わせにおいて、該重合体の酸と着色剤表面の塩基が結合し、いわば着色剤は表面処理された状態になる。このことにより着色剤を電荷のリークポイントとする電荷のリークが抑制され、トナーの帯電量分布がより均一になり、連続画像出力をした場合においても高い転写性を維持することができるようになる。
次に、本発明において用いられる硫黄元素含有重合体について説明する。
硫黄元素含有重合体をトナーに含有させることにより、摩擦帯電量を高めることができるということは、従来、知られてきた事項であり、本発明においても硫黄元素含有重合体をトナーに含有させることにより、高い帯電量を有するトナーを得ている。
硫黄元素含有重合体としては、スルホン酸基を有する重合体であることが好ましい。スルホン酸基を重合体中に含有することで、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及び燐の如き金属と、より安定した状態をとるようになる。そして、トナー粒子中への着色剤の分散が更に促進され、加えて着色剤の分散による一部のワックスの分散も向上する。
さらに、硫黄元素含有重合体のガラス転移点(Tg)は50℃乃至100℃が好ましい。より好ましくは70℃より高く100℃以下、さらに好ましくは73℃乃至100℃である。ガラス転移点が50℃未満の場合には、トナーの流動性、保存性に劣り、さらに転写性にも劣るようになる。ガラス転移点が100℃を超える場合には、トナー印字率の多い画像の時の定着性に劣るようになる。
硫黄元素含有重合体を製造するために用いられる硫黄元素を含有する単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、或いは、下記構造を有するマレイン酸アミド誘導体、マレイミド誘導体、スチレン誘導体が挙げられる。好ましくは、スルホン酸基を含有する(メタ)アクリルアミドである。
本発明に係る硫黄元素含有重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であることが好ましい。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系芳香族炭化水素、(メタ)アクリル酸エステルの如き重合性単量体が好ましく用いられる。より具体的には、以下に例示する如き単量体を用いることができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチレアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリルレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル酸エステル;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントテラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルが挙げられる。
硫黄元素含有重合体は、硫黄元素を有するモノマーに由来するユニットを0.01乃至20.00質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.05乃至10.00質量%、さらに好ましくは0.10乃至7.00質量%含有することが好ましい。0.01質量%未満の場合には、硫黄元素含有重合体の添加効果が十分に得られず、また20.00質量%を超える場合には、定着性が特に悪化する。
硫黄元素含有重合体の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。
該硫黄元素含有重合体は、下記式の如き構造を有する。カウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンであることが良く、より好ましくは水素イオンである。
X(SO3 -)n・mYk+
(式中、X:前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Y+:カウンターイオンを表し、kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)
硫黄元素含有重合体の酸価(mgKOH/g)は3.0乃至80.0が好ましく、より好ましくは5.0乃至40.0、さらに好ましくは10.0乃至30.0である。
酸価が3.0未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、かつ環境安定性に劣る傾向がある。逆に、酸価が80.0を超える場合には、この様な重合体を含有する組成物を用いて、懸濁重合で粒子を造る場合、トナー粒子がいびつな形状を有する様になる。そして、円形度が小さくなってしまい、含有する離型剤がトナー表面に現れ、現像性の低下を引き起こしやすくなる。
硫黄元素含有重合体は、結着樹脂100質量部当り0.01乃至15.00質量部含有されていることが好ましく、より好ましくは0.1乃至10.00質量部である。
上記硫黄元素含有単量体の含有量が0.01質量部未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、15.00質量部を超えると、懸濁重合法によりトナーの製造を行なう際には、造粒性が低下し、現像性や転写性の低下を引き起こす。
なお上記結着樹脂において、硫黄元素を有するモノマーに由来するユニットの存在やそのモル比については、蛍光X線装置、質量分析装置により求めることができる。
トナー中の硫黄元素含有重合体の含有量は、キャピラリー電気泳動法などを用いて測定することができる。
硫黄元素含有重合体の分子量は、重量平均分子量(Mw)が500乃至100,000が好ましい。より好ましくは1,000乃至70,000であり、さらに好ましくは5,000乃至50,000である。重量平均分子量(Mw)が500未満の場合には、トナーの流動性に劣るようになりやすく、転写性の低下が生じる。重量平均分子量(Mw)が100,000を超える場合には、単量体への溶解に時間がかかることに加え、顔料の分散性を向上させる効果が小さくなり、トナーの着色力が低下してしまう。
硫黄元素含有重合体の揮発分は0.01%乃至2.00%が好ましい。揮発分を0.01%未満とするためには、揮発分除去工程が複雑になり、揮発分が2.00%を超える場合には、高温高湿下での帯電、特に放置後の帯電に関して劣る様になる。尚、揮発分とは、高温(135℃)で1時間加熱したときに減少する質量の割合である。
なお、上記の如き物性を求めるにあたって、硫黄元素含有重合体のトナーからの抽出を必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
本発明のトナーを製造するための製造方法としては、懸濁重合法、界面重合法、分散重合法、溶解懸濁重合法、乳化凝集法の如き、媒体中で直接トナーを製造する方法(以下、重合法とも称する)であることが好ましい。この重合法で得られるトナー(以下、重合トナーとも称する)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っていて帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。特に本発明のトナーを製造するための製造方法として、上記重合法の中でも、懸濁重合法であることが好ましい。
懸濁重合法に関して以下に説明する。
本発明において懸濁重合法は、少なくとも重合性単量体、着色剤を含有する単量体組成物を水系媒体中に分散して、該単量体組成物の液滴を製造する造粒工程、該液滴中の該重合性単量体を重合する重合工程を少なくとも経ることによりトナー粒子を製造する重合法である。後述するように、ワックス、極性樹脂、及び低分子量樹脂を所望により単量体組成物に添加することができる。また、GPCにより求められる該低分子量樹脂のTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)が、2,000乃至6,000であることが、低温定着性及び耐ブロッキンング性といった点で好ましい。
本発明のトナーにおいては、高温時におけるトナーの粘度変化の改良を目的として樹脂成分に反応性官能基を有していても良い。例えば二重結合、イソシアナート基、水酸基、カルボン酸基などが上げられる。特に、付加重合の二重結合、イソシアナート及び水酸基は環境安定性が優れている点で好ましい。
本発明のトナーの製造においては、トナー粒子の形状や材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良を目的として、単量体組成物中に極性樹脂を添加して重合することができる。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、及びニトリル基の如き親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレンの如きビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体の如き共重合体、ポリエステル及びポリアミドの如き重縮合体、あるいは、ポリエーテル及びポリイミンの如き付加重合体の形で使用が可能である。
上記以外に単量体組成物中に添加することができる低分子量樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
低分子量樹脂の中でも、低分子量樹脂のガラス転移点(Tg)が40乃至100℃であることが好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、トナー粒子全体の強度が低下して多数耐久試験時に転写性や現像特性の低下を招きやすい。さらに、高温多湿環境下においてトナー粒子同士が凝集し、保存安定性が低下するという問題も生じる。一方、ガラス転移点が100℃を超えると、定着不良という問題が生じ易くなる。
低温定着性、高グロス画像が得られるといった点から、該低分子量樹脂のガラス転移点は40〜70℃であることがより好ましく、特に好ましくは40乃至65℃である。
該低分子量樹脂の添加量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部中に、好ましくは0.1乃至75質量部である。トナー粒子中の結着樹脂100質量部中に0.1質量部未満では、低分子量樹脂の添加による効果が小さい。
本発明のトナーは、二重結合を有する付加反応性樹脂を含有することが好ましい。したがって、本発明のトナーを製造するに際して、二重結合を有する付加反応性樹脂を用いることが好ましい。二重結合を有する付加反応性樹脂としては、スチレン系樹脂が好ましい。例えば170℃以上の高温下で重合し製造されたスチレン樹脂では、重クロロホルム溶媒を用いた1H−NMRの測定において、4.6乃至4.9ppmと5.0乃至5.2ppmに二重結合に由来するピークが観察される。即ち、上記のようにして得られた付加反応性樹脂は二重結合を有しており、これらの二重結合がトナー粒子の製造時に架橋する。こうして、トナー粒子中に少量の架橋構造が導入されることによって、高温時におけるトナーの粘度変化率をより効果的に小さくすることができる。さらに付加反応性樹脂の重量平均分子量が2,000乃至6,000の場合には、従来用いられてきた低分子の架橋剤、例えばジビニルベンゼンに比べて、分子量が高くて反応性が穏やかなため、微架橋をすることによって、低粘度でありながら温度に依存する粘度変化率の小さい熱特性を有するトナーが得られる。
上記二重結合を有する付加反応性樹脂の数平均分子量は500以上3,000以下であるのが好ましい。付加反応性樹脂の数平均分子量が500より小さい場合には、分子量の小さい成分が多く存在し、その浸みだしにより保存安定性が悪くなる。また、数平均分子量が3,000より大きい場合には、低温定着性が低下する。なお、本発明において、付加反応性樹脂の数平均分子量は、GPCによって測定することができる。
また、本発明において、付加反応性樹脂の数平均分子量は、付加反応性樹脂製造時の溶媒量、溶媒種、反応温度及び開始剤量によって調整することができる。
上記二重結合を有する付加反応性樹脂の重量平均分子量は1,000以上5,000以下であるのが好ましい。付加反応性樹脂の重量平均分子量が1,000より小さい場合には、分子量の小さい成分が多く存在し、その浸みだしにより保存安定性が悪くなる。また、重量平均分子量が5,000より大きい場合には、低温定着性が低下する。なお、本発明において、付加反応性樹脂の重量平均分子量は、GPCによって測定することができる。
また、本発明において、付加反応性樹脂の重量平均分子量は、付加反応性樹脂製造時の溶媒量、溶媒種、反応温度及び開始剤量によって調整することができる。
上記以外に単量体組成物中に添加することができる付加反応性樹脂としては以下のものが挙げられる。ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。単独或いは混合して使用できる。
該付加反応性樹脂のガラス転移点(Tg)は40乃至100℃であることが好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、トナー粒子全体の強度が低下して多数耐久試験時に転写性や現像特性の低下が起こりやすい。さらに、高温多湿環境下においてトナー粒子同士が凝集し、保存安定性が低下するという問題も生じる。一方、ガラス転移点が100℃を超えると、定着不良という問題が生じ易くなる。
低温定着性、高グロス画像が得られるといった点から、該付加反応性樹脂のガラス転移点は40乃至70℃であることがより好ましく、特に好ましくは40乃至65℃である。
該付加反応性樹脂の添加量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部中に、好ましくは0.1乃至75質量部である。トナー粒子中の結着樹脂100質量部中に0.1質量部未満では、付加反応性樹脂の添加による効果が小さい。
本発明のトナーは、少なくともコア部と表層部を有するトナー粒子と無機微粉体を含有するトナーであることが好ましい。該トナー粒子は、コア部を覆うように表層部が存在している。このような構造をとることによりコア部のトナー表面への析出による各環境下における帯電不良やブロッキングを防ぐことができる。この表層部が存在することにより環境安定性、耐久性、耐ブロッキング性をより良化させることができる。
前記表層部を構成する材料は、分子鎖極性構造を有していることが好ましい。本発明において、分子鎖極性構造とは分子内の原子にδ+またはδ−の電子密度状態を多数有している分子構造をいう。
樹脂の分子は、複数の種類の原子から構成されており、その構成原子は固有の電気陰性度を有しており、原子によってその値は大きく異なっている。この電気陰性度の差により分子内では電子が局在化する。このときの局在化は、構成される原子の種類、数、結合様式によって状態が変化し、分子鎖の極性が変化する。
上記分子鎖極性構造として好ましいものは、例えば縮重合や付加重合により形成された結合構造である。具体的には、エステル結合(−COO−)、エ−テル結合(−O−)、アミド結合(−CONH−)、イミン結合(−NH−)、ウレタン結合(−NHCOO−)、ウレア結合(−NHCONH−)が挙げられる。
例えば、エ−テル鎖(−CH2−O−CH2−)などでは炭素原子上の電子が少し欠乏(δ+)していて、酸素原子上の電子は少し過剰(δ-)であり、さらに酸素原子を頂点とした結合角が生じている状態にある。このように分極した分子鎖が多数あれば、分子すなわち樹脂の極性が大きくなり、分極した分子鎖が少なければ小さくなる。また、一般的に炭化水素からなる分子は極性が低い。
上記表層部が分子鎖極性構造を有することによって帯電安定性が向上する。また水系または親水系媒体のような極性溶媒中でトナー粒子が生成される場合、分子鎖極性構造を有する表層部がトナー表面近傍により均一に形成されるため、トナーの高温高湿下、低温低湿下での帯電安定性や高速プリント時の耐久性が向上する。
上記の観点から、本発明のトナーは、ポリエステル樹脂を含有するのが好ましい。本発明のトナーにおいて特に好適な表層部の材料としてはポリエステル樹脂又はその誘導体が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、多価のアルコールと多価のカルボン酸成分とから公知の製法によって構成することができる。ポリエステル樹脂を構成する単量体のうち、多価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、水素化ビスフェノールA、又は下記一般式(I)で表されるビスフェノール誘導体、また、下記一般式(II)で示されるジオール類等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で使用してもよいし、混合状態で使用してもよい。但し、これらに制限されるものではなく、他の三価以上のアルコール成分を架橋成分として用いることができる。
一般式(I)中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。
一般式(II)中、R’は、以下に示すいずれかの基を示す。R’は同一であっても異なっていても良い。
ポリエステル樹脂を構成する単量体のうち、多価のカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸;無水フタル酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸無水物;及びテレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸の低級アルキルエステル;等を挙げることができる。特に、その主成分は、テレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸の低級アルキルエステル又はその誘導体が好適である。
ポリエステル樹脂は下記の三価以上の酸成分を用いることにより、架橋させてもよい。架橋成分としては、トリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリ−n−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリ−n−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリ−n−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリカルボン酸の低級アルキルエステルが使用できる。但し、これらに制限されるものではなく、他の三価以上の酸成分あるいは三価以上のカルボン酸低級アルキルエステルを架橋成分として用いることができる。
また、本発明に用いることのできるポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に、一価のカルボン酸成分、一価のアルコール成分を用いても良い。例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、等のモノカルボン酸;また、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の一種類以上の一官能性モノマー等を添加することができる。
本発明に用いることのできるポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、低沸点の多価アルコール成分を減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得る。エステル化又はエステル交換反応の時には必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等を公知のものを使用することができる。
また、重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
また、上記のポリエステル樹脂がビニル系モノマーにより変性されたビニル変性ポリエステル樹脂であることが特に好ましい。ビニル変性ポリエステル樹脂はポリエステルとビニル系重合体が結合した構造を有し、内部保護性能はポリエステル骨格により与えられ、さらにビニル系重合体ユニットにより帯電安定性を向上させることができる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂の主成分は通常はビニル系重合体であり、ビニル変性ポリエステル樹脂は、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを付加重合したビニル系重合体とポリエステルとが化学的に結合したものであることが好ましい。
本発明で用いることのできる極性樹脂は再沈殿操作や洗浄によって精製したものでもよい。
本発明のトナー粒子を生成するために使用することが出来る重合性単量体として好ましいものに、ビニル系重合性単量体を挙げることができる。好ましいビニル系重合性単量体としては以下のものが挙げられる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
本発明のトナーのシェル部は、これらのビニル系重合性単量体から形成されるビニル系重合体や添加した樹脂によって構成されることが好ましい。これらのビニル系重合体の中でも、内部又は中心部を主に形成しているワックスを効率的に覆うという点から、スチレン重合体若しくはスチレン−アクリル共重合体或いはスチレン−メタクリル共重合体が好ましい。
本発明のトナーのコア部を構成する材料としてはワックスが好ましい。本発明に係わるトナーに使用可能なワックス成分としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂も使用できる。
特にエステルワックスでは、下記式(4)乃至(9)で示す炭素数が10以上の長鎖エステル部分を1個以上有するものが、オーバーヘッドプロジェクター用のトランスペアレンシーフィルム(OHPフィルム)の透明性等を阻害せず好ましい。
(式中、a及びbは独立して0乃至4の整数を示し、a+bは4であり、R
1及びR
2は独立して炭素数が1乃至40の有機基を示し、n及びmは独立して0乃至15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
(式中、a及びbは独立して1乃至3の整数を示し、a+bは4であり、R
1は炭素数が1乃至40の有機基を示しn及びmは独立して0乃至15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
(式中、a及びbは独立して0乃至3の整数を示し、a+bは2または3であり、R
1及びR
2は独立して炭素数が1乃至40の有機基を示し、且つR
1とR
2との炭素数差が10以上である基を示し、R
3は炭素数が1以上の有機基を示し、cは2または1であり、a+b+c=4であり、n及びmは独立して0乃至15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
R1−COO−R2 (7)
(式中、R1及びR2は炭素数が1乃至40の炭化水素基を示し、且つR1及びR2は、お互いに同じでも異なる炭素数でもよい。)
(式中、R
1及びR
2は炭素数が1乃至40の炭化水素基を示し、nは2乃至20の整数であり、且つR
1及びR
2は、お互いに同じでも異なる炭素数でもよい。)
(式中、R
1及びR
2は炭素数が1乃至40の炭化水素基を示し、nは2乃至20の整数であり、且つR
1及びR
2は、お互いに同じでも異なる炭素数でもよい。)
ワックスの分子量としては、重量平均分子量(Mw)が300乃至1,500のものが好ましい。300未満になるとワックスのトナー粒子表面への露出が生じ易く、1,500を超えると低温定着性が低下する。特に400乃至1,250の範囲のものが好ましい。更に、重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.5以下になると、ワックスのDSC吸熱曲線のピークがよりシャープになり、室温時のトナー粒子の機械的強度が向上し、定着時にはシャープな溶融特性を示す特に優れたトナーの特性が得られる。
上記エステルワックスの具体例としては、下記の式で表される化合物が挙げられる。
1)CH3(CH2)20COO(CH2)21CH3
2)CH3(CH2)17COO(CH2)9OOC(CH2)17CH3
3)CH3(CH2)17OOC(CH2)18COO(CH2)17CH3
近年、フルカラー両面画像の必要性も増してきており、両面画像を形成せしめる際においては、最初に表面に形成された転写材上のトナー像が、次に裏面に画像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能性がある。そして、その際のトナーの定着画像の耐高温オフセット性を十分に考慮する必要がある。具体的には、ワックスをトナー粒子中に2乃至30質量%添加することが好ましい。2質量%未満の添加では耐高温オフセット性が低下し、更に両面画像の定着時において裏面の画像がオフセット現象を示す場合がある。30質量%より多い場合は、重合法による製造において造粒時にトナー粒子の合一が起き易く、粒度分布の広いものが生成し易い。
本発明では、トナー粒子の重合の際に、重合開始剤を用いることができる。トナー粒子を重合法で製造する際に用いる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5乃至20.0質量%の添加が好ましく、単独でも又は併用してもよい。
トナー粒子の結着樹脂はビニル系樹脂であることが好ましい。ビニル系樹脂は前述したビニル系重合性単量体の重合により生成される。
トナー粒子の結着樹脂の分子量をコントロールする為に、連鎖移動剤を添加してもよい。好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001乃至15.000質量%である。
トナー粒子の結着樹脂の分子量をコントロールする為に、架橋剤を添加してもよい。架橋性モノマーとしては、以下のものがあげられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性モノマーとしては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001乃至15.000質量%である。
本発明において、重合の際に用いられる媒体が水系分散媒体の場合には、単量体組成物の粒子の分散安定剤として以下のものが用いられてもよい。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。また、有機系の分散剤しては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
また、本発明においては、難水溶性無機分散安定剤を用い、水系媒体を調整する場合に、これらの分散安定剤の使用量は重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至2.0質量部であることが好ましい。また、本発明においては、単量体組成物100質量部に対して300乃至3,000質量部の水を用いて水系媒体を調整することが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系媒体を調整する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定粒子を得るためには、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、難水溶性無機分散剤を生成させて水系媒体を調整してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
本発明では各種特性付与を目的として下記に示す各種無機微粉体をトナーに含有させることができる。該無機微粉体は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この無機微粉体の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これらの特性付与を目的とした無機微粉体としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
1)流動性付与剤:金属酸化物(例えばシリカ,アルミナ,酸化チタン)、カーボンブラック及びフッ化カーボン。それぞれ、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
2)研磨剤:金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,アルミナ,酸化マグネシウム,酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケイ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウム)。
3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(例えばフッ化ビニリデン,ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム)。
4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば酸化錫,酸化チタン,酸化亜鉛,シリカ,アルミナ)、カーボンブラック。
無機微粉体は、トナーの流動性の改良及びトナー粒子の帯電均一化のためにトナー粒子の表面を処理する。無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの帯電性の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての帯電性が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独であるいは併用して用いられても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時にあるいは処理した後に、シリコーンオイルより処理する。シリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナーの帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上で良い。
これら無機微粉体は、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.10乃至10.00質量部が用いられ、より好ましくは0.05乃至3.50質量部含有される。これら無機微粉体は、単独で用いても、又、複数併用しても良い。
ここで、無機微粉体の比表面積BETは、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置「ジェミニ2375 Ver.5.0」(島津製作所社製)を用いて、試料(疎水性シリカAまたはB)表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出することができる。
また、本発明のトナーは、好ましくは3.0乃至8.0μmの重量平均粒径D4を有し、より好ましくは4.0乃至8.0μmの重量平均粒径を有し、さらに好ましくは4.5乃至7.0μmの重量平均粒径(D4)を有することが良い。
本発明のトナーのガラス転移点(Tg)は40乃至100℃、好ましくは40乃至80℃が良い。より好ましくは45乃至70℃が良い。ガラス転移点が40℃未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する。ガラス転移点が100℃を超える場合には、トナーの耐低温オフセット性、オーバーヘッドプロジェクター用フィルムの透過画像の透明性が低下する。
本発明のトナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有量は、トナーの着色剤及び無機微粉体以外のトナー成分に対して16.0質量%未満が好ましい。より好ましくは0.0質量%以上10.0質量%未満、最も好ましくは0.0質量%以上5.0質量%未満である。16.0質量%より大きい場合には、低温定着性が低下する。
トナーのTHF不溶分とは、THF溶媒に対して不溶性となった超高分子ポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)の質量割合を示す。トナーのTHF不溶分とは、以下のように測定された値をもって定義する。
トナー1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mlを用いて20時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、40℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の顔料の如き樹脂成分以外の成分の重量を(W3g)とする。THF不溶分は、下記式から求められる。
THF不溶分(質量%)=(W1−(W3+W2))/(W1−W3)×100
トナーのTHF不溶分は、結着樹脂の重合度、架橋度によって調整することが可能である。
本発明におけるトナーの重量平均分子量(以下、トナー中のテトラヒドロフラン(THF)の可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量ともいう)(Mw)は、15,000乃至80,000であることが好ましい。このようなトナーは、環境安定性と耐久安定性が良好に発現される。さらに、トナー中のテトラヒドロフラン(THF)の可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が20,000乃至60,000であることが好ましい。トナー中のテトラヒドロフラン(THF)の可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が15,000未満であると、耐ブロキング性や耐久性が悪くなりやすく、80,000を超える場合では、低温定着性、高グロス画像が得られにくくなる。なお、本発明において、トナーの重量平均分子量(Mw)は、低分子樹脂の添加量及び重量平均分子量やトナー製造時の反応温度、反応時間、開始剤量、連鎖移動剤量及び架橋剤量により調整することができる。
また、本発明におけるトナー中のテトラヒドロフラン(THF)の可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは、5乃至100が好ましい。より好ましくはMw/Mnが5乃至30である。Mw/Mnが5未満では定着可能温度領域が狭く、100を超える場合では低温定着性が悪くなる。
本発明で用いられる着色剤としては、公知のものを使用することが出来る。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤/赤色系着色剤/青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合して、更には固溶体の状態で用いることが出来る。
本発明においては、着色剤の持つ重合阻害性や分散媒体移行性に注意を払う必要がある。必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面処理を施して表面改質をおこなっても良い。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
染料を処理する好ましい方法として、予めこれらの染料の存在下に重合性単量体を重合し、得られた着色重合体を単量体組成物に添加する。又、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、オルガノシロキサン等)で処理を行ってもよい。
トナー粒子の製造工程中、重合反応後半に昇温しても良い。更に未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、反応後半又は重合反応終了後に一部分散媒体を反応系から留去するのが好ましい。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄、ろ過により回収し、乾燥する。
懸濁重合法においては、単量体組成物100質量部に対して水300乃至3,000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、表面層が下記一般式(2)で示される繰り返し構造単位と、下記一般式(3)で示される繰り返し単位を有し、かつ末端のいずれか一方又は両方の構造が下記一般式(4)であるポリカーボネート重合体を含有し、かつ、下記一般式(3)、(4)における平均繰り返し単位数m、nの関係が、m=nであることが好ましい。
(一般式(2)中、Xは単結合、−O−、−S−又は置換もしくは無置換のアルキリデン基を示す。R
11〜R
18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。)
(一般式(3)中、R
21及びR
22は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。R
23〜R
26は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を示す。aは1以上30以下の正の整数を示し、mは1以上500以下の正の整数を示す。)
(一般式(4)中、R
31及びR
32は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を示す。R
33及びR
34は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。R
35〜R
39は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を示す。bは1以上30以下の正の整数を示し、nは1以上500以下の正の整数を示す。)
まず、上述のポリカーボネート重合体を含有する電子写真感光体が、極めて高い潤滑性を示し、良好な電子写真特性を有する理由について説明する。
本発明にかかるポリカーボネート重合体は、ポリカーボネート樹脂の一方又は両方の末端にポリシロキサン部位を有し、かつポリカーボネート樹脂の主鎖にもシロキサン部位が重合された構造である。
その理由としては末端にポリシロキサン部位を有することで、シロキサン部分の自由度が増加しより表面近傍に局所的に集中するために、非常高い初期潤滑性を示すものと思われる。この時、シロキサン鎖が長い方が、潤滑性向上に有効に作用し、一般式(3)、(4)中の平均繰り返し単位数m、nが10以上の時、特に高い潤滑性を示す。
この場合、純水に対する接触角は100°以上と高くなる。これは、使用初期に最も発生し易いブレード捲れやブレード鳴き等のトラブルを回避に効果的に働く。
クリーニングブレードには、ブレード捲れ防止のために、トナーの他に、フッ化カーボン、酸化セリウム、酸化チタン、シリカ等の無機微粒子をブレードエッジ部に塗布して感光体との潤滑性を高め、使用初期のブレード捲れを防止することが一般的であるが、上述した本発明にかかるポリカーボネート重合体を表面層に含有する電子写真感光体は表面の潤滑性が極めて高いため、クリーニングブレードに潤滑剤を塗布しなくても、ブレード捲れや鳴きが発生せず、良好なクリーニング性能が得られるため特に有用である。
また、シロキサン基が主鎖にも存在することで、共重合体自体がキャスト膜になった場合のひずみである内部応力を緩和する効果があり、仮にある程度薬品が電子写真感光体内部に浸透してもソルベントクラックが起こり難くなるのであると思われる。
本発明におけるポリシロキサン基としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン等より誘導されたものであり、具体的にはポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサン等が挙げられる。これらは2種類以上併用してもよい。ポリシロキサン基の長さは、一般式(3)、(4)中の平均繰り返し単位数であるm及びnで表され、m及びnが1以上500以下の正の整数であり、好適には10以上100以下である。十分なシロキサンの潤滑性を得るためにはある程度、m及びnが大きい方がよいがm及びnが500を超えるようなものでは、不飽和基を有する一官能性フェニル化合物の反応性が劣り、あまり実用的ではない。
また、m及びnの平均繰り返し単位の数値は同じ組み合わせであることが必須である。そうすることにより、表面層の被膜の透明性が大きく高まり、被膜の光学的特性の面からも好ましく、低残留電位で高感度、ゴースト等のメモリー画像の発生を抑制するといった効果が見られる。
以下に、一般式(2)に示される構成単位を有する樹脂構成材料及び、一般式(3)で示される構成単位を有する樹脂構成材料のシロキサン化合物、一般式(4)で示される構成材料のシロキサン化合物、の好ましい具体例を示すが、これらに限られるものではない。
まず、一般式(2)で示される構成単位を有する樹脂構成材料の具体例を示す。
次に、一般式(3)で示される構成単位を有する樹脂構成材料のシロキサン化合物の具体例を示す。mは平均繰り返し数を示す単位数であり、1以上500以下の正の整数を示す。
一般式(3)の平均繰り返し単位数aが3以下であり、R23〜R26がいずれもメチル基である例示化合物(3−1)、(3−2)、(3−5)、(3−6)、(3−8)が好ましく、特に例示化合物(3−1)が好ましい。
次に、一般式(4)で示される構成材料のシロキサン化合物の具体例を示す。nは平均繰り返し数を示す単位数であり、1以上500以下の正の整数を示す。
一般式(4)の平均繰り返し単位数bが3以下であり、R33〜R39がいずれもメチル基である例示化合物(4−1)、(4−2)、(4−3)が好ましく、特に例示化合物(4−1)が好ましい。
本発明にかかるポリカーボネート重合体中におけるポリシロキサンの質量は10質量%以上60質量%以下が好ましい。なお、本発明におけるシロキサン部位とはSi−O結合の繰り返し単位を指し、Siに直接結合している置換基も含む。シロキサン構造単位の質量構成比がこれよりも少ないと表面層に添加する割合を増やさないと高い潤滑性を発揮し難くなり、耐久性との両立が難しい場合がある。逆に、シロキサン構造単位の質量構成比がこれよりも多いと、表面層を構成する他の材料との相溶性が低下するため、安定した効果が得られない場合があり、また、表面層の透明性が低下し結果、露光光が散乱することにより、光量不足による電子写真特性の悪化や出力画像の画質低下等の弊害が発生する場合がある。ここでの質量構成比率とは、一般式(3)、(4)で示されるシロキサン構造単位から構成された部分の全質量が、重合体全体の質量に対してどれだけの割合を占めているかを、質量%で示したものである。
次に、本発明にかかるポリカーボネート重合体の合成例を以下に示す。
(合成例1)
10%水酸化ナトリウム水溶液500mlに、例示化合物(2−13)で示される樹脂構成材料であるビスフェノール120gを加えて溶解した。この溶液にジクロロメタン300mlを加え撹拌し、溶液温度を10℃以上15℃以下に保ちながら、ホスゲン100gを1時間かけて吹き込んだ。ホスゲンを約70%吹き込んだところで例示化合物(3−1)で示される平均繰り返し単位数m=20のシロキサン化合物10gと例示化合物(4−1)で示される平均繰り返し単位数n=20のシロキサン化合物20gを溶液に加えた。ホスゲンの導入が終了後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、0.2mlのトリエチルアミンを加え、1時間撹拌した。その後ジクロロメタン相をリン酸で中和し、更にpH7程度になるまで水洗を繰り返した。続いてこの液相をイソプロパノールに滴下し、沈殿物をろ過、乾燥することによって、白色粉状の重合体(本発明にかかるポリカーボネート重合体)を得た。
得られた重合体を赤外線吸収スペクトルで分析したところ、1750cm-1にカルボニル基による吸収、1240cm-1にエーテル結合による吸収及びカーボネート結合が確認された。また、3650cm-1以上3200cm-1以下の吸収はほとんどなく、水酸基は認められなかった。更に、1100cm-1以上1000cm-1以下のシロキサンに起因するピークも確認された。1H−NMRにおいてもシロキサン部位及びポリカーボネート部位が存在することが確認された。得られた重合体をMALDI−TOF−MS(BRUKER社製、RFREXIII)で測定したところ、例示化合物(3−1)から形成されたシロキサン部位と例示化合物(4−1)から形成されたシロキサン部位が約1:2であり、平均繰り返し単位数はおよそm:n=20:20であることを確認した。また、粘度平均分子量(Mv)は26000であり、シロキサン部位の質量構成比率は約20%である。従い、このポリカーボネート重合体はポリカーボネート樹脂の両方の末端にポリシロキサン部位を有し、かつポリカーボネート樹脂の主鎖にもシロキサン部位が重合された構造である。
粘度平均分子量は次のように算出した。試料0.5gをジクロロメタン100mlに溶解し、ウベローデ(Ubelode)型粘度計を用いて、25℃における比粘度を測定する。この比粘度から極限粘度を求め、マーク−ホーウィンク(Mark−Houwink)の粘度式のKとaをそれぞれ1.23×10-4と0.83として粘度平均分子量(Mv)を算出した。
(合成例2)
例示化合物(3−1)で示されるシロキサン化合物の平均繰り返し単位数m=40を25gと、例示化合物(4−1)で示されるシロキサン化合物の平均繰り返し単位数n=40を55gとした以外は合成例1と同様にして合成し、本発明にかかるポリカーボネート重合体を得た。粘度平均分子量(Mv)は20600であった。このポリカーボネート重合体の平均繰り返し単位数はおよそm:n=40:40であった。更に、シロキサン部位の質量構成比率は約40%であること、構造はポリカーボネート樹脂の両方の末端にポリシロキサン部位を有し、かつポリカーボネート樹脂の主鎖にもシロキサン部位が重合された構造であることを、MALDI−TOF−MS、赤外線吸収スペクトル及び1H−NMRにて同様に確認した。
本発明にかかるポリカーボネート重合体の粘度平均分子量(Mv)は、1,000以上200,000以下であることが好ましく、特には5,000以上100,000以下であることが合成及び成膜性の観点から好ましい。合成の際は、分子量を調節するために、一官能のシロキサン化合物に加え、他の一官能性化合物を末端停止剤として併用して使用してもよい。このような停止剤としては、例えば、フェノール、p−クミルフェノール、p−t−ブチルフェノール、安息香酸及び塩化ベンジル等の通常ポリカーボネートを製造する際に使用される化合物が挙げられる。
本発明にかかるポリカーボネート重合体は、優れた潤滑性及び優れた強度を有するが、より優れた強度を有する樹脂と混合して用いられることが好ましい。混合比は、本発明にかかるポリカーボネート重合体0.5質量部に対して他の樹脂が1質量部以上99質量部以下であることが好ましい。本発明にかかるポリカーボネート重合体は、表面層の表面近傍に集中し易いために少ないブレンド比でも高い潤滑性を発揮する。
また、上述のポリカーボネート重合体と下記一般式(5)で示されるポリジメチルシロキサンを混合して使用すると、更に高い初期滑り性を発現し、特性の悪化もなく好ましい。
上記一般式(5)中、lは平均繰り返し単位数を示す。
混合比は本発明にかかるポリカーボネート重合体に対して、5.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、かつ、この2種の混合物の含有量は表面層の全固形分に対し0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましい。混合割合が5.0質量%以上20.0質量%以下であることにより、本発明にかかるポリカーカーボネート重合体との相乗効果で、特に電子写真感光体使用時の初期に極めて高い滑り性が発現するのであり、表面層の全固形分に対し0.1質量%以上5.0質量%以下であることによりポリジメチルシロキサンを前述の割合で含有しても、表面層の被膜の白濁を防止し、残電上昇や感度低下といった電子写真特性の悪化を防止するのである。また、一般式(5)中の平均繰り返し単位数lは10以上100以下が好ましい。100を超えるようなものでは、少量添加であっても表面層にした際に被膜が白濁し易く、被膜の光学的特性からも好ましくない。
尚、ポリジメチルシロキサンの単独添加では、本発明にかかるポリカーボネート重合体程、高い滑り性が発現せず、前述したように、少量の添加によっても残留電位が著しく増加し易く、表面層の被膜が白濁し、被膜の光学的特性の面からも、画質が低下し、感度低下による濃度薄やゴースト等のメモリー画像が発生する。しかし、本発明にかかるポリカーボネート重合体と前述の範囲で混合して、前述の割合で表面層に添加すると、そのような弊害が発生せず、低残留電位で、高感度、耐久によるゴースト等のメモリー画像の発生も見られなかった。ここで、前述理由からポリカーボネート重合体同様、ポリジメチルシロキサンとの混合物の状態でも平均繰り返し単位の数値m、n、lは同じ組み合わせであることが好ましい。平均繰り返し単位の数値は、前述のMALDI−TOF−MS(BRUKER社製、RFREXIII)で測定することができる。平均繰り返し単位の数値が同じとは、測定誤差も考慮しおおよそ±3の範囲内であれば同じとみなした。
尚、合成時に二官能のシロキサン化合物(合成例1、2であれば例示化合物(3−1))を加えず、一官能のシロキサン化合物(合成例1、2であれば例示化合物(4−1))のみを用いて合成すると、主鎖にシロキサン構造を持たず、ポリカーボネートの繰り返し単位の末端のいずれか一方又は両方にシロキサン構造を持つポリカーボネート重合体が合成される。このポリカーボネート重合体は、本発明にかかる主鎖と末端の両方にシロキサン構造を持つポリカーボネートと併用してもよい。
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真感光体の表面層は、感光層が電荷輸送材料と電荷発生材料とを同一の層に含有する単層型の場合はその層であり、電荷輸送材料を含有する電荷輸送層と電荷発生材料を含有する電荷発生層とを有する積層型の場合は電荷輸送層である。更には、電荷輸送層上に保護層を設ける場合は、保護層である。保護層は、導電性金属酸化物等の導電性粒子を含有してもよい。本発明においては、電子写真特性の点から積層型であることが好ましい。
以下に、積層型の電子写真感光体構成について説明する。
本発明に用いられる支持体としては、導電性を有するものが好ましく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄等の金属又は合金、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド及びガラス等の絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金等の金属あるいは酸化インジウム、酸化スズ等の導電材料の薄膜を形成したもの、カーボンや導電性フィラーを樹脂中に分散し導電性を付与したもの等が例示できる。これらの支持体表面には、電気的特性改善あるいは密着性改善のために、陽極酸化等の電気化学的な処理を施すことができる。更には、導電性支持体表面をアルカリリン酸塩あるいはリン酸やタンニン酸を主成分とする酸性水溶液に金属塩の化合物又はフッ素化合物の金属塩を溶解してなる溶液で化学処理を施したものを用いることもできる。
また、単一波長のレーザー光等を用いたプリンターに本電子写真感光体を用いる場合には、干渉縞を抑制するために導電性支持体はその表面を適度に粗しておくことが必要である。具体的には上記支持体表面を、ホーニング、ブラスト、切削又は電界研磨等の処理をした支持体もしくは、アルミニウムやアルミニウム合金上に導電性金属酸化物及び結着樹脂からなる導電性皮膜を有する支持体を用いることが必要である。
ホーニング処理としては、乾式及び湿式での処理方法があるがいずれを用いてもよい。湿式ホーニング処理は、水等の液体に粉末状の研磨剤を懸濁させ、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、表面粗さは吹き付け圧力、速度、研磨剤の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重及び懸濁温度等により制御することができる。同様に、乾式ホーニング処理は、研磨剤をエアーにより、高速度で導電性支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。これら湿式又は乾式ホーニング処理に用いる研磨剤としては、炭化ケイ素、アルミナ、鉄及びガラスビーズ等の粒子が挙げられる。
支持体と電荷発生層又は後述の中間層との間には、レーザー光等の散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、金属粒子及び金属酸化物粒子等の導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。好適な金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛や酸化チタンの粒子が挙げられる。また、導電性粒子として、硫酸バリウムの粒子を用いることもできる。導電性粒子には被覆層を設けてもよい。
導電性粒子の体積抵抗率は、0.1Ω・cm以上1000Ω・cm以下の範囲が好ましく、特には1Ω・cm以上1000Ω・cm以下の範囲がより好ましい。この体積抵抗率は、三菱油化(株)製の抵抗測定装置ロレスタAPを用いて測定して求めた値である。測定サンプルは49MPaの圧力で固めてコイン状としたもの。また、導電性粒子の平均粒径は0.05μm以上1.0μ.m以下の範囲が好ましく、特には0.07μm以上0.7μm以下の範囲がより好ましい。この平均粒径は、遠心沈降法により測定した値である。導電層中の導電性粒子の割合は、導電層全質量に対して1.0質量%以上90質量%以下の範囲が好ましく、特には5.0質量%以上80質量%以下の範囲がより好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは単独、混合又は共重合体として1種又は2種以上用いることができる。これらは、支持体に対する接着性が良好であるとともに、導電性粒子の分散性を向上させ、かつ、成膜後の耐溶剤性が良好である。これらの中でも、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリアミド樹脂が好ましい。導電層の膜厚は0.1μm以上30μm以下であることが好ましく、特には0.5μm以上20μm以下であることがより好ましい。
導電層の体積抵抗率は1013Ω・cm以下であることが好ましく、特には105Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲であることがより好ましい。この体積抵抗率は、測定対象の導電層と同じ材料によってアルミニウム板上に被膜を形成し、この被膜上に金の薄膜を形成して、アルミニウム板と金薄膜の両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定して求めた値である。
また、導電層には、必要に応じてフッ素あるいはアンチモンを含有させてもよいし、導電層の表面性を高めるために、レベリング剤を添加してもよい。
また、支持体又は導電層と電荷発生層との間には、必要に応じてバリア機能や接着機能を有する中間層(下引き層、接着層とも呼ばれる。)を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
中間層は、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂等の樹脂、酸化アルミニウム等の材料を用いて形成することができる。
中間層の膜厚は0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、特には0.3μm以上3μm以下であることがより好ましい。
積層型電子写真感光体の場合、支持体、導電層、又は中間層の上には電荷発生層が形成される。電荷発生層は、電荷発生材料を0.3倍以上4倍以下の質量のバインダー樹脂及び溶剤をホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル又は液衝突型高速分散機等を使用してよく分散した分散液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
本発明に用いられる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン及び非対称キノシアニン系の各顔料等が挙げられる。上記の各種電荷発生物質の中でも、高感度であるという点で、近年フタロシアニン顔料が広く使用されている。
代表的なフタロシアニン顔料としては、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン及びヒドロキシガリウムフタロシアニン等が挙げられる。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、セルロース樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、メラミン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルメタクリレート樹脂、ポリビニルアクリレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂及び塩化ビニル樹脂等が挙げられる。特には、ブチラール樹脂等が好ましい。これらは、単独、混合又は共重合体として1種又は2種以上用いることができる。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としては、アルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素及び芳香族化合物等が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.01μm以上2μm以下であることがより好ましく、更には0.05μm以上0.3μm以下であることがより一層好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、電子搬送性剤等を必要に応じて添加することもできる。
電荷発生層上には電荷輸送層が形成される。電荷輸送層には電荷輸送物質が含有され、電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物及びトリアリールメタン化合物等が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。本発明において、電荷輸送層が表面層である場合、少なくとも一般式(1)、(2)、(3)で示されるポリカーボネート重合体を含有する。更に必要に応じて他のバインダー樹脂をブレンドし、適当な溶剤を用いて溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。乾燥温度は100℃以上の温度で乾燥させると、本発明にかかるポリカーボネート重合体が表面に移行し易くなりより高い潤滑性を発揮するのでより好ましい。
本発明にかかるポリカーボネート重合体とブレンドするバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、及び酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。特には、ポリアリレート樹脂やポリカーボネート樹脂等が本発明にかかるポリカーボネート重合体との相溶性や、電子写真特性、耐久性向上の意味でより好ましい。これらは、単独、混合又は共重合体として1種又は2種以上用いることができる。
電荷輸送物質とバインダー樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は5μm以上50μm以下であることが好ましく、特には7μm以上30μm以下であることがより好ましい。
電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、フッ素オイル等の界面活性剤、フッ素樹脂粉体等のフィラー、更にフッ素原子含有化合物等の添加剤が含まれていてもよい。
また、感光層が単層型の場合は、上述のような電荷発生物質や電荷輸送物質を上述のようなバインダー樹脂に分散及び溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、特には15μm以上30μm以下であることが好ましい。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、及びブレードコーティング法等の塗布方法を用いることができる。塗工の際の液粘度は、塗工性の観点から5mPa・s以上500mPa・s以下が好ましい。
本発明の画像形成装置は、特に限定されず、公知の手段や部材などによって構成することができる。
本発明の別のフルカラー画像形成装置としては、図5に示すようなタンデム方式のフルカラー画像形成装置が挙げられる。
図5において、各静電潜像担持体(感光体)及び各現像器はタンデム式に、即ち中間転写体のプロセス進行方向(回転方向)に沿って並んで設置されている。本実施形態の画像形成装置は、感光体1a、1b、1c、1dの周りにそれぞれ現像剤担持体9a〜9d及びトナー供給部材(供給ローラー)8a〜8dとを有する現像器、帯電ローラー3a〜3d、潜像形成手段2a〜2d、転写ローラー24a〜24d、及びクリーニング手段4a〜4dが配されている。感光体、現像器、帯電ローラー、潜像形成手段及びクリーニング手段が、一体的に形成され、プロセスカートリッジを構成していても良い。
一次転写は24a、24b、24c、24dの各転写ローラーにバイアスが印加されることで行われる。このバイアスによって、各現像器の第1〜第4色のトナー像は、感光体1a、1b、1c、1dから中間転写体35へ順次重畳転写されることになる。
中間転写体35上に転写された合成カラートナー像の転写材34への転写は次のように行われる。即ち、二次転写ローラー29が中間転写体35に当接され、中間転写体35と二次転写ローラー29との当接ニップに所定のタイミングで記録媒体である転写材34が給送され、二次転写バイアスがバイアス電源から二次転写ローラー29に印加される。この二次転写バイアスにより中間転写体35から転写材34へ合成カラートナー像が二次転写される。尚、符号26は二次転写対向ローラーであり、符号27及び28は中間転写体35を掛け渡すローラーである。
転写材34上に転写された合成カラートナー像は、転写材が加熱ローラー30と加圧ローラー31の間を通過することにより定着されて永久画像となる。なお、加熱加圧定着手段としては、ここに示したハロゲンヒーター等の発熱体を内蔵した加熱ローラー30と抑圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラー31を基本構成とする熱ローラ方式以外に、フィルムやゴムベルトを介してヒーターにより加熱定着する方式も用いられる。
尚、前記一次転写ローラーとしては、特に限定されるものではないが、芯金上に導電性微粉末を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM、NBR、ヒドリン系等のゴム層を被覆形成したものが用いられる。また、ローラー表面に体積抵抗率を適宜調整したフッ素系の樹脂等をコーティングした、多層構造を有するものでも良い。ローラー硬度はアスカーCで25°〜45°であり、その抵抗値は24mm/秒の周速で回転駆動される直径30mmのアルミニウムシリンダーに、一次転写ローラーを両端荷重500gで当接させると共にアルミニウムシリンダーと1次転写ローラーの間に50Vを印加した条件で測定して、1×105〜1×108Ωのものが好適に用いることができる。なお、一次転写ローラーは両端に設けられたバネにより、2〜50Nの力で中間転写体の裏面に当接され、高圧電源より+100〜+1500Vの一次転写電圧が印加される。
二次転写ローラーも一次転写ローラーと同様に、芯金上に導電性微粉末を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM、NBR、ヒドリン系等のゴム層を長手方向に被覆形成したものが用いられる。また、ローラー表面に体積抵抗率を適宜調整したフッ素系の樹脂等をコーティングした、多層構造を有するものでも良い。ローラー硬度はアスカーCで25°〜45°、抵抗値は1×105〜1×108Ωのものが好適に用いることができる。なお、二次転写ローラーも両端に設けられたバネにより、二次転写工程時には2〜60Nの力で中間転写ベルの表面に当接され、高圧電源より+500〜+4500Vの二次転写電圧が印加される。
本発明の画像形成装置に用いられる、現像装置に関して説明する。
本発明の画像形成方法においては、現像剤担持体は円筒形状を有しており、その表面が感光体表面に接触して設けられているいわゆる非磁性一成分接触現像方式が最も好ましい。接触現像方式は、トナーが潜像担持体に直接供給されるため、画像への飛散等の弊害が生じ難く、また、ラインや文字などが再現良く印字できるため、本発明の目的である長期に亘って画像品質を維持する上で好ましいが、本発明の画像形成装置は非磁性一成分接触現像方式に限定さてるものでは無い。
接触一成分現像方法としては、非磁性トナーを用いて、例えば図6に示すような現像装置90を用い現像することが可能である。
現像装置90は、非磁性トナーである一成分現像剤98(以下、単に「現像剤」と表記することがある)を収容する現像容器91、現像容器91に収納されている一成分現像剤98を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体92、現像剤担持体上に現像剤を供給するための供給ローラー95、現像剤担持体上の現像剤層の厚みを規制するための現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード96、現像容器91内の現像剤98を撹拌するための撹拌部材97を有している。
現像剤担持体92としては、ローラー基体93上に、発泡シリコーンゴム等の弾性を有するゴム又は樹脂等の弾性部材によって形成された弾性層94を有する弾性ローラーを用いることが好ましい。
この弾性ローラー(92)は、潜像保持体である感光体としての感光体99の表面に圧接して、弾性ローラー表面に塗布されている一成分系現像剤98により感光体に形成されている静電潜像を現像すると共に、転写後に感光体上に存在する不要な一成分現像剤98を回収する。
本発明において、現像剤担持体92は実質的に感光体99の表面と接触している。これは、現像剤担持体から一成分系現像剤を除いたときに現像剤担持体が感光体と接触しているということを意味する。このとき、現像剤を介して、感光体と現像剤担持体との間に働く電界によってエッジ効果のない画像が得られると同時にクリーニングが行われる。現像剤担持体としての弾性ローラー表面或いは、表面近傍が電位を持ち感光体表面と弾性ローラー表面との間で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、又は導電性ローラーの表面層に薄層の誘電層を設ける方法も利用できる。さらには、導電性ローラー上に感光体表面と接触する側の面を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブ或いは、絶縁性スリーブで感光体と接触しない側の面に導電層を設けた構成も可能である。
この一成分系現像剤を担持する弾性ローラーは、感光体と同方向に回転しても良いし、逆方向に回転しても良い。その回転が同方向である場合、感光体の周速に対して、周速比で100%より大きいことが好ましい。100%以下であるとラインの鮮明性が悪いなどの画像品質に問題を生じやすい。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給される現像剤の量は多く、静電潜像に対し現像剤の脱着頻度が多くなり、不要な部分の現像剤は掻き落とされ、必要な部分には現像剤が付与されるという繰り返しにより、静電潜像に忠実な画像が得られる。さらに好ましくは周速比として100%以上が良い。
現像剤層厚規制部材96は、現像剤担持体92の表面に弾性力で圧接するものであれば、弾性ブレードに限られることなく、弾性ローラーを用いることも可能である。
弾性ブレード、弾性ローラーとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBR等のゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂弾性体;ステンレス、鋼等の金属弾性体が使用できる。さらに、それらの複合体であっても使用できる。
弾性ブレードの場合には、弾性ブレード上辺部側である基部は現像剤容器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性に抗して現像スリーブの順方向或いは逆方向にたわみ状態にしてブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリーブ表面に適度に弾性押圧をもって当接させる。
供給ローラー95はポリウレタンフォーム等の発泡材より成っており、現像剤担持体に対して、順又は逆方向に0でない相対速度をもって回転し、一成分系現像剤の供給とともに、現像剤担持体上の現像後の現像剤(未現像現像剤)の剥ぎ取りも行っている。
現像領域において、現像剤担持体上の一成分系現像剤によって感光体の静電潜像を現像する際には、現像剤担持体と感光体との間に直接及び/又は交流の現像バイアスを印加して現像することが好ましい。
本発明の感光体に関する物性の測定方法及び評価方法について以下説明する。
本発明における動摩擦係数の測定方法は以下の方法による。測定器はヘイドン製表面性試験機14型をドラム状の試料測定用に改造(図7)した。図中、6はサンプルを示すが、ドラム状、平板状のサンプルのいずれも測定可能である。測定はウレタンゴムブレード7を用いる。ウレタンゴム(バンコラン、バンドー化学(株)製)はゴム硬度65±3°、寸法は幅5mm、長さ20mm、自由長10mm、厚さ2mm(図8)、角度30°(図9)。荷重は10g、サンプル6が巻かれた試料ドラムはブレード7と順方向で、母線方向に動かす。この時の荷重を摩擦力として読み取る。また、基準材料として25μmのポリエチレンテレフタレート(マイラー)フィルムを用い、試料と同じ直径のシリンダーに巻きつけて、全く同一の条件で摩擦力を測定する。
動摩擦係数はポリエステルフィルム基準なので、多少の測定条件のバラツキには影響されない。また、感光の直径にも影響されず、一定の値を示す。次のような条件の範囲が許容される。
ウレタンゴム:硬度62〜72°、厚み1〜5mm、バンドー化学(株)の他、北辰ゴム(株)、東海ゴム(株)など
ポリエチレンテレフタレートフィルム:東レ(株)(ルミラー)、帝人(株)、デュポン(マイラー)など、厚み10〜50μm
ドラム直径:20〜200mm(ドラムの径を変化させてもポリエステル基準の摩擦係数は変化しない。
本発明のトナーに関する物性の測定方法及び評価方法について以下説明する。
<脂肪酸金属塩の濡れ性の測定方法>
測定装置として、例えば(株)REHSCA(レスカ)社製の粉体濡れ性試験機WET−101Pを用いることができ、具体的な測定操作としては、以下に例示する方法が挙げられる。
まず、メタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール液70mlを容器中に入れ、超音波分散器で5分間分散させて溶液中の気泡等を除去する。この溶液中に検体である脂肪酸金属塩を0.5g添加して浮遊させ、脂肪酸金属塩の表面状態の均一度を測定するためのサンプル液を調製する。なお、サンプル液を調製して測定する容器として、円形直径5cm、高さ88mmのガラス製のフラスコを用いることができる。
次に、この調製された測定用サンプル液を6.67s-1の速度で撹拌しながら、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加し、浮遊している脂肪酸金属塩を沈降・溶媒中に分散させる。メタノールを滴下する間、測定用サンプルの、波長780nmの光の透過光強度を測定して透過率を求め、メタノール滴下透過率曲線を作成する。ここで撹拌は、マグネティックスターラー(例えば、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形であり、テフロン(登録商標)コーティングを施されたもの)を用いて行なうことができる。そして、透過率が10%のときのメタノール濃度(体積%)から透過率90%のときのメタノール濃度(体積%)を引いた値を、その脂肪酸金属塩の表面状態の均一度として算出する。
脂肪酸金属塩の表面状態の均一度の測定において、検体である脂肪酸金属塩の透過率90%のメタノール濃度(体積%)が50%未満である場合は、メタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール溶液に該検体を添加すると、溶媒中にすぐ分散してしまい、透過率曲線を求めることができない。そのため、検体である無機微粉体の疎水化度が50%未満である場合は、初期溶液のメタノール濃度を0%又は25%に設定して測定した。
<脂肪酸金属塩のメジアン径とスパン値Bの測定方法>
本発明で用いられる脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径の測定は、JIS Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows(登録商標) WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、ファイル「110A000I」(相対屈折率1.10)を選択する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行なった後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行なう。
(7)ガラス製の100ml平底ビーカーに約60mlのイオン交換水を入れる。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)前記(9)のビーカー内の水溶液に超音波を照射した状態で、約1mgの脂肪酸金属塩を少量ずつ前記ビーカー内の水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、この際に脂肪酸金属塩が固まりとなって液面に浮く場合があるが、その場合はビーカーを揺り動かすことで固まりを水中に沈めてから60秒間の超音波分散を行なう。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した脂肪酸金属塩が分散した水溶液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、5%積算径、50%積算径(メジアン径(D50))および95%積算径を算出する。得られた各値をD5s、D50s、D95sとし、これらよりスパン値Bを求める。
<脂肪酸金属塩の遊離率>
本発明におけるトナー中の脂肪酸金属塩の遊離率は、デジタル振動計(デジバイブロ MODEL 1332)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)と、蛍光X線分析装置 Axios(PANalytical製)及び測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いて蛍光X線の強度差により脂肪酸金属塩の遊離率を求めた。
具体的な測定法としては、パウダーテスターの振動台に目開き25μm(635メッシュ)篩をセットする。この目開き25μm(635メッシュ)篩上に正確に秤量した試料5gを加え、デジタル振動計の振幅が約0.60mmになるように調整し、約2分間振動を加える。上記作業を更に2回繰り返し、試料を25μm(635メッシュ)篩に計3回とおす。次に、得られた試料を直径40mmのアルミリングに約4g載せ、プレス機にて150kNで圧縮しサンプルを作成する。得られたサンプルを蛍光X線分析装置(Axios)で測定した。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
脂肪酸金属塩の遊離率は、篩前後の脂肪酸金属塩の金属元素のKα線ネット強度(KCPS)を測定して、下記式より求めた。
{(篩前のトナーにおける脂肪酸金属塩の金属元素のKα線ネット強度)−(篩を通過したトナーにおけるの脂肪酸金属塩の金属元素のKα線ネット強度)}/(篩前のトナーにおける脂肪酸金属塩の金属元素のKα線ネット強度)
<トナーの100℃における粘度の測定方法>
トナーの100℃における粘度の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。尚、本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダーに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダー底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際の温度とピストンの降下量との関係を計測する。
本発明においては、50℃から200℃までの測定を行い、100℃において算出された見かけの粘度を、トナーの100℃における粘度(Pa・s)とする。
100℃における見かけの粘度η(Pa・s)は次のようにして算出する。まず、下式(6)よりフローレートQ(cm3/s)を計算する。式中、ピストンの断面積をA(cm2)、100℃時点におけるピストンの位置に対して上下0.10mm(間隔としては0.20mm)の間をピストンが降下するのに要した時間をΔt(秒)とする。
Q=(0.20×A)/(10×Δt) ・・・ (6)
そして、得られたフローレートQを用いて、下式(7)より100℃における見かけの粘度ηを算出する。式中、ピストン荷重をP(Pa)、ダイの穴の直径をB(mm)、ダイの長さをL(mm)とする。
η=(π×B4×P)/(128000×L×Q) ・・・ (7)
測定試料は、約1.0gのトナーを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。 CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(商品名、シスメックス社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
<トナーの平均円形度の測定方法>
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.40乃至1.00を0.01ごとに等分割したクラスに分け、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行なう。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(商品名、日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26乃至27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行なう。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像分析装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000乃至1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。なお、本発明のトナーのモード円形度は、円形度頻度分布において、もっとも頻度が高い円形度の値である。
さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来トナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度の向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な捕捉を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA−2100の方が有用である。
<分子量の測定>
本発明のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
<分子量(RI)測定>
<測定条件>
・カラム(昭和電工株式会社製):Shodex GPC KF−801,Shodex GPC KF−802,Shodex GPC KF−803,Shodex GPC KF−804,Shodex GPC KF−805,Shodex GPC KF−806,Shodex GPC KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1質量%の試料を10μl
サンプル調製は、測定対象のトナー試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、トナー用樹脂0.04gをTHF20mlに分散し溶解後、24時間静置した後、0.2μmフィルター(たとえば、マイショリディスクH−25−2(東ソー社製)、エキクロディスク25CRゲルマン(サイエンスジャパン社製)などが好ましく利用できる)で濾過し、その濾液を試料として用いる。検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、たとえば、東ソー社製TSKスタンダードポリスチレンF−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500を用いて検量線を作成することができ、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。トナー用樹脂0.04gをTHF20mlに分散し溶解後、24時間静置した後、0.2μmフィルター(たとえば、マイショリディスクH−25−2(東ソー社製)、エキクロディスク25CRゲルマン(サイエンスジャパン社製)などが好ましく利用できる)で濾過し、その濾液を試料として用いる。
一般に、GPCの分子量分布の測定では、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立ち上がり開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。
<DSC測定>
本発明において、示差走査熱量計(DSC)としてM−DSC(商品名、TA−インストルメンツ社製)を用いた。測定するトナー試料6mgを精秤する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20乃至200℃の間で、昇温速度1℃/分、常温常湿下で測定を行なう。このときのモジュレーション振幅±0.5℃、周波数1/minで測定する。得られるリバーシングヒートフロー曲線から最大ガラス転移点Tg(℃)を計算する。Tgは、吸熱前後のベースラインと吸熱による曲線の接線との交点の中心値をTg(℃)として求めたものである。
また、DSCによって測定される昇温時の吸熱チャートにおいて、吸熱メインピークのピーク面積で表される吸熱量(J)をトナー1g当たりの熱量に換算した熱量積分値Q(J/g)を測定した。トナーのDSC測定によって得られたリバーシングヒートフロー曲線の一例を図6に示した。熱量積分値Q(J/g)は、上記の測定から得られたリバーシングヒートフロー曲線を用いて求める。計算には解析ソフトユニバーサルアナリシスVer.2.5H(TAインスツルメンツ社製)を用い、IntegralPeakLinearの機能を用いて、35℃と135℃での測定点を結ぶ直線と吸熱曲線とで囲まれた領域から熱量積分値Q(J/g)を求める。
<トナーの重量平均粒径(D4)測定>
トナーの粒度分布の測定
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.11ml加え、さらに測定試料を5mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数をチャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
チャンネルとしては、2.00乃至2.52μm;2.52乃至3.17μm;3.17乃至4.00μm;4.00乃至5.04μm;5.04乃至6.35μm;6.35乃至8.00μm;8.00乃至10.08μm;10.08乃至12.70μm;12.70乃至16.00μm;16.00乃至20.20μm;20.20乃至25.40μm;25.40乃至32.00μm;32.00乃至40.30μmの13チャンネルを用いる。
<1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定>
次の条件で測定した。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
データポイント:32768
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :10000回
測定温度 :60℃
試料 :測定試料50mgを直径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDCl3を添加し、これを60℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
1H−NMR測定による2重結合に由来するメチン基(−CH=CH−)のプロトンの存在比率の決定:
1H−NMRスペクトルにおける4.6乃至4.9ppmのメチン基の水素(各1H相当)のシグナルと5.0乃至5.2ppmのメチン基の水素(各1H相当)のシグナルとの強度比、S4.6乃至4.9/S5.0乃至5.2を求める。
A:ピークあり
B:ピークなし
以下に、本発明につき実施例をもって説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。なお、実施例及び比較例中で使用する部はすべて質量部を示す。
次に、本発明で用いる感光体の製造例について述べる。
(感光体1の製造例)
直径24.4mm、長さ257mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
次に、10質量%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粒子50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メトキシプロパノール30部、メタノール30部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量:3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを140℃で20分間硬化させることによって、膜厚が20μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化6ナイロン5部をメタノール95部に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。この中間層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを100℃で20分間乾燥させることによって、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、下記構造式(13)で示される構造を有する化合物0.1部、
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部を溶解させ、その後、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを100℃で10分間乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次いで、電荷輸送物質として下記構造式(14)で示される化合物35部、
下記構造式(15)で示される化合物5部と、
下記構造式(16)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量:115000、テレフタル酸骨格とイソフタル酸骨格のモル比:テレフタル酸骨格/イソフタル酸骨格=50/50)50部、
及び、表1に示されるような構成の本発明にかかるポリカーボネート重合体4部をモノクロルベンゼン400部に溶解した溶液(粘度220mPa・s)を、前記電荷発生層の上に浸漬塗布し、120℃で1時間加熱乾燥し、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体とした。
このようにして、支持体、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体1を作製した。
(感光体2)
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3,000)0.001部をφ1mmガラスビーズ入りサンドミル装置で2時間分散して導電層用塗料を調製した。この塗料を24.4φのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥して、膜厚20μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製した。この塗料を前記の導電層上に浸漬塗布方法によって塗布し、100℃で20分間乾燥し、0.6μの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)3.24部、下記構造式(13)のアゾキシ顔料0.36部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)3部をシクロヘキサノン110部に溶解させた後に高圧分散機(マイクロフルイタイザー、Microfluidics社製)にて分散したあと構造式(14)の硫黄系添加剤0.66部及びエチルアセテート250部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記構造式の化合物8部、
次いで、下記構造式の化合物1部、
構成単位例100で示される重合体(粘度平均分子量4.01×104)10部とシリコーン化合物(GS101、東亞合成)0.30部をジメトキシメタン30部、モノクロルベンゼン40部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上に浸漬塗布方法で塗布し、120℃で60分間乾燥して、膜厚27μmの電荷輸送層を形成し、感光体2を作製した。
(感光体製造例3)
感光体製造例2で、電荷輸送層に加えたシリコーン化合物(GS101、東亞合成)0.30部を0.20部に変更した以外は、感光体2と同様に感光体3を作製し、評価を行った。
(感光体製造例4)
感光体製造例2で、導電層に加えたシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3,000)0.001部を0.000部、電荷輸送層に加えたシリコーン化合物(GS101、東亞合成)0.30部を0.10部に変更した以外は、感光体2と同様に感光体4を作製し、評価を行った。
(感光体製造例5)
感光体製造例2で、導電層に加えたシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3,000)0.001部を0.000部、電荷輸送層に加えたシリコーン化合物(GS101、東亞合成)0.30部を0.00部に変更した以外は、感光体2と同様に感光体5を作製し、評価を行った。
次に、本発明で用いる脂肪酸金属塩の製造例について述べる。
<脂肪酸金属塩1の製造>
撹拌装置付きの受け容器を用意し、撹拌機を340rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500部を投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。
次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて105℃で乾燥した。その後、ナノグラインディングミル〔NJ−300〕(サンレックス社製)にて風量5.8m3/min、処理速度80kg/hの条件で粉砕した後、リスラリーして湿式遠心分級機を用いて微粒子、粗粒子の除去を行った後、連続瞬間気流乾燥機を用いて80℃で乾燥し、目開き25μm(635メッシュ)篩を3回通して脂肪酸金属塩1を得た。得られた脂肪酸金属塩1の体積基準のメジアン径(Dm50)は0.55μm、スパン値は1.10であった。脂肪酸金属塩1の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩2の製造>
撹拌装置付きの受け容器を用意し、撹拌機を340rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500部を投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。
次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて105℃で乾燥した。その後、ナノグラインディングミル〔NJ−300〕(サンレックス社製)にて風量5.6m3/min、処理速度73kg/hの条件で粉砕した後、リスラリーして湿式遠心分級機を用いて微粒子、粗粒子の除去を行った後、連続瞬間気流乾燥機を用いて80℃で乾燥し、目開き25μm(635メッシュ)篩を1回通して脂肪酸金属塩2を得た。得られた脂肪酸金属塩2の体積基準のメジアン径(Dm50)は0.56μm、スパン値は1.60であった。脂肪酸金属塩2の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩3の製造>
撹拌装置付きの受け容器を用意し、撹拌機を340rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500部を投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。
次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて105℃で乾燥した。その後、ナノグラインディングミル〔NJ−300〕(サンレックス社製)にて風量5.2m3/min、処理速度70kg/hの条件で粉砕した後、リスラリーして湿式遠心分級機を用いて微粒子、粗粒子の除去を行った後、連続瞬間気流乾燥機を用いて80℃で乾燥し、目開き25μm(635メッシュ)篩を6回通して脂肪酸金属塩3を得た。得られた脂肪酸金属塩3の体積基準のメジアン径(Dm50)は0.55μm、スパン値は1.72であった。脂肪酸金属塩3の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩4の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.7質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.3質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕の条件を風量4.0m3/min、処理速度50kg/hとした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩4を得た。得られた脂肪酸金属塩4の体積平均粒径(Dvs)は0.69μm、スパン値は1.14であった。脂肪酸金属塩4の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩5の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.05質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、また0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.02質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕の条件を風量9.8m3/min、にし、3回粉砕工程を施した。その後、分級工程は行なわず、目開き25μm(635メッシュ)篩を3回通し粗粒を除去し、脂肪酸金属塩5を得た。得られた脂肪酸金属塩5の体積平均粒径(Dvs)は0.15μm、スパン値は1.14であった。脂肪酸金属塩5の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩6の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を2.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を1.0質量%塩化カルシウム水溶液に変更した。また、5分間の熟成で反応を終結させた。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩6を得た。得られた脂肪酸金属塩の体積平均粒径(Dvs)は0.55μm、スパン値は1.69であった。脂肪酸金属塩6の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩7の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.5質量%硫酸マグネシウム水溶液に変更した。また、5分間の熟成で反応を終結させた。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩7を得た。得られた脂肪酸金属塩の体積平均粒径(Dvs)は0.64μm、スパン値は1.71であった。脂肪酸金属塩7の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩8の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.4質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕工程を行った後目開き25μm(635メッシュ)篩を2回通し脂肪酸金属塩8を得た。得られた脂肪酸金属塩8の体積平均粒径(Dvs)は0.62μm、スパン値は1.70であった。脂肪酸金属塩8の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩9の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.7質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.3質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕の条件を風量3.0m3/min、処理速度35kg/hとした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩9得た。得られた脂肪酸金属塩9体積平均粒径(Dvs)は0.96μm、スパン値は1.18であった。脂肪酸金属塩9の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩10の製造>
撹拌装置付きの受け容器を用意し、撹拌機を340rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500部と活性剤(1)であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名 エマルゲンLS106 花王株式会社)0.025部を投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525部と活性剤(1)であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名 エマルゲンLS106 花王株式会社)0.025部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。
次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて105℃で乾燥して脂肪酸金属塩10を得た。得られた脂肪酸金属塩10の体積基準のメジアン径(Dm50)は0.55μm、スパン値は1.81であった。脂肪酸金属塩10の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩11>
市販されているステアリン酸亜鉛(MZ2 日本油脂製)を目開き25μm(635メッシュ)篩を2回通したステアリン酸亜鉛を脂肪酸金属塩11とする。体積平均粒径(Dvs)は1.10μm、スパン値は1.86であった。脂肪酸金属塩11の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩12>
市販されているステアリン酸亜鉛(MZ2 日本油脂製)を脂肪酸金属塩12とする。体積平均粒径(Dvs)は1.20μm、スパン値は1.95であった。脂肪酸金属塩12の物性を表4に示す。
<脂肪酸金属塩13>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を2.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を1.0質量%硫酸マグネシウム水溶液に変更した。また、5分間の熟成で反応を終結させた。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩13を得た。得られた脂肪酸金属塩の体積平均粒径(Dvs)は1.42μm、スパン値は2.41であった。脂肪酸金属塩13の物性を表4に示す。
{樹脂の合成例}
(スチレン系樹脂(1)の製造例)
滴下ロート、リービッヒ冷却管及び撹拌機を備えた耐圧反応機にキシレン40部を入れて200℃まで昇温した。このときの圧力は0.30MPaであった。これにスチレンモノマー100部及びn−ブチルアクリレート0.15部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド3.8部の混合物を滴下ロートに仕込み、205℃のキシレンに3.5時間かけて加圧下(0.30MPa)で滴下した。滴下後、更に205℃で2時間反応を行い、重合を完了して、キシレンを除去した。得られたスチレン系樹脂の重量平均分子量は2,700で、Tgは57℃であった。これをスチレン系樹脂(1)とする。
(スチレン系樹脂(2)の製造例)
滴下ロート、リービッヒ冷却官、窒素封入管(窒素流量100ml/min)及び撹拌機を備えた反応機にキシレン610部を入れて140℃まで昇温した。これにスチレンモノマー100部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド8.0部の混合物を滴下ロートに仕込み140℃のキシレンに1.5時間かけて常圧で滴下した。更にキシレン還流下(137℃乃至145℃)で2時間反応を行い、溶液重合を完了して、キシレンを除去した。得られたスチレン系樹脂の重量平均分子量は8,100で、Tgは58℃であった。これをスチレン系樹脂(2)とする。
(スチレン系樹脂(3)の製造例)
キシレン20部、スチレン80部、n−ブチルアクリレート20部、開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイド2.1部の混合物を、リービッヒ冷却官及び撹拌機を備えた反応機に仕込み重合温度100℃にて24時間で重合を行った。その後、キシレンを除去してスチレン系樹脂(3)を得た。得られたスチレン系樹脂の重量平均分子量は42万で、Tgは62℃であった。これをスチレン系樹脂(3)とする。
(スチレン系樹脂(4)の製造例)
キシレン20部、スチレン80部、n−ブチルアクリレート20部、開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイド1.4部の混合物を、リービッヒ冷却官及び撹拌機を備えた反応機に仕込み重合温度100℃にて24時間で重合を行った。その後、キシレンを除去してスチレン系樹脂(4)を得た。得られたスチレン系樹脂の重量平均分子量は72万で、Tgは63℃であった。これをスチレン系樹脂(4)とする。
表2に、上記で得られたスチレン系樹脂(1)乃至(4)の物性を合わせて示す。
(負荷電性制御樹脂の製造例)
還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管,滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール255部、2−ブタノン145部及び2−プロパノール100部、モノマーとしてスチレン88部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.2部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5.1部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続し、更に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して重合を終了した。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕した。その微粉体を250メッシュの篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に該粒子を10%の濃度になるようにMEKを加え溶解し、前述の溶液をMEKの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、ろ過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥した。
さらに前述の真空乾燥後の粒子を10%の濃度になるようにMEKを加え再溶解し、前述の溶液をMEKの20倍量のn−ヘキサン中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のn−ヘキサンで洗浄し、ろ過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥した。こうして得られた極性重合体はTgが約83℃であり、メインピーク分子量(Mp)が21,400、Mn11,100、Mw33,200であり、酸価は14.5であった。また、1H−NMR(日本電子社製EX−400:400MHz)で測定された組成は仕込み量どおりであった。得られた樹脂を負荷電性制御樹脂1とする。
(ポリエステル系樹脂(1)の製造例)
・テレフタル酸 :11.1mol
・ビスフェノールA−プロピレンオキシド2モル付加物(PO−BPA)
:10.1mol
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着し、窒素雰囲気下、減圧しながら、常法に従って195℃でTgが68〜75℃になるまで反応を行い、ポリエステル系樹脂1を得た。重量平均分子量(Mw)は10700、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=3.23、ガラス転移点(℃)は70℃であった。
(トナー粒子1の製造例)
四つ口容器中にイオン交換水720部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液920部と1.0モルリットルのHCl水溶液15.0部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液75部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
スチレンモノマー 64.0部
n−ブチルアクリレート 16.0部
銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.50部
スチレン系樹脂(1) 20部
(Mw=2700、Mw/Mn=1.68)
ポリエステル系樹脂(1) 5部
負荷電性制御剤1(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
0.5部
負荷電性制御樹脂1 0.5部
ワックス〔フィシャートロップシュワックス(1)、吸熱メインピーク温度78.2℃〕 10部
上記単量体混合物1をアトライターで3時間分散させた単量体混合物1に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート6.0部を添加した単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、高速撹拌装置の回転数を12,000rpmに維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内温を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら5時間反応させた。原材料及び重合条件を表2、スチレン系樹脂の物性及び原料を表3に示した。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して3時間維持し、その後毎分1℃の冷却速度で徐々に30℃まで冷却し、スラリー1を得た。スラリー1を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去せしめた。更に、ろ別、洗浄、乾燥して重量平均粒径が5.8μmの重合体粒子(トナー粒子1)を得た。
(トナー粒子2の製造例)
トナー粒子1の製造例のスチレン64.0部を54.0部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート6.0部を10.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー粒子2を得た。原材料及び重合条件を表2に示す。
(トナー粒子3の製造例)
トナー粒子1の製造例の1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート6.0部を4.8部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー粒子3を得た。原材料及び重合条件を表2に示す。
(トナー粒子4の製造例)
トナー粒子1の製造例のジビニルベンゼン 0.0部を0.25部、スチレン系樹脂(1)20.0部を0.0部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート6.0部を2.8部、70℃5時間の反応を65℃5時間に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー粒子4を得た。原材料及び重合条件を表2に示す。
(トナー粒子5の製造例)
トナー粒子1の製造例で得られたスラリー1(100.0部)に対して、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体で表面被覆した、粒径40μmのフェライトキャリア(500.0部)加え、撹拌羽根を用いて均一に撹拌しながら55℃で1時間撹拌した。30℃に冷却後、希塩酸を添加して分散安定剤を除去せしめた。更に、ろ別、洗浄、乾燥してトナー粒子5を得た。
(トナー粒子6の製造例)
スチレン系樹脂(2) 60部
スチレン系樹脂(3) 40部
ポリエステル系樹脂(1) 5.0部
銅フタロシアニン顔料 6.5部
負荷電性制御剤1(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
0.5部
負荷電性制御樹脂1 0.5部
ワックス〔フィッシャートロプシュワックス(1)、吸熱メインピーク温度78℃〕
10部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、130℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行い、混練物を冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕して、更に風力分級機を用いて分級することによって、重量平均粒径6.2μmのトナー粒子6を得た。
(トナー粒子7の製造例)
[樹脂微粒子分散液1の調整]
スチレン 360g
nブチルアクリレート 40g
アクリル酸 7g
ドデカンチオール 25g
4臭化炭素 2.5g
上記の材料を混合溶解したものを、非イオン性界面活性剤ノニポール400(商品名、東邦化学工業株式会社製)を7.1gおよびアニオン性界面活性剤ネオゲンSC(商品名、第一工業製薬株式会社製)を10.6gイオン交換水550.0gに溶解したものにフラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム4.1gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換をおこなった。そののちフラスコを撹拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、中心径148nm、ガラス転移点54℃、Mw12,100のアニオン性樹脂微粒子分散液1を得た。
[樹脂微粒子分散液2の製造]
スチレン 280g
nブチルアクリレート 120g
アクリル酸 7.0g
上記の材料を混合溶解したものを、非イオン性界面活性剤ノニポール400を7.0gおよびアニオン性界面活性剤ネオゲンSCを12.2gイオン交換水550.0gに溶解したものにフラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム3.2gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換をおこなった。そののちフラスコを撹拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、中心径102nm、ガラス転移点53℃、Mw51万のアニオン性樹脂微粒子分散液2を得た。
[着色剤分散液の製造]
銅フタロシアニン顔料 PV FAST BLUE(BASF) 20g
アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 2.4g
イオン交換水 80g
上記の材料を混合し、本田電子(株)製超音波洗浄機W−113にて発振周波数28kHzで10分間分散して着色剤分散液を得た。このサンプルの粒度分布を堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は155nmであり、また1μmの粗大粒子は観察されなかった。
[離型剤分散液1の製造]
パラフィンワックスHNP0190(融点85℃ 日本精蝋) 200g
アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 11g
イオン交換水 780g
上記の材料を95℃に加熱し、ゴーリンホモジナイザーで560×105N/m2の吐出圧力で乳化した後、急冷し、離型剤分散液を得た。このサンプルを堀場製作所(株)製粒度測定装置LA−700で測定したところ体積平均粒径は128nmであり、また0.8μm以上の粗大粒子は5%以下であった。
[トナー粒子7の製造]
樹脂微粒子分散液1 225g
樹脂微粒子分散液2 35g
着色剤分散液 30g
離型剤分散液1 30g
サニゾールB50(一般名 花王株式会社製) 1.5g
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、ウルトラタラックスT50で混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら50℃まで加熱した。50℃で1時間保持した後、ネオゲンSC3.3gを追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄を行い、トナー粒子7を得た。
(トナー粒子8の製造例)
<懸濁造粒法>
(トナーバインダーの合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物660部,ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸290部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れ、220℃の常圧で12時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で6.5時間反応した後、190℃まで冷却して、これに30部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート180部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次いでプレポリマー(1)265部とイソホロンジアミン15部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量68000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物625部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸140部、イソフタル酸140部を常圧下、230℃で5時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5.5時間反応して、ピーク分子量6500の変性されていないポリエステル(a)を得た。
ウレア変性ポリエステル(1)250部と変性されていないポリエステル(a)750部とをテトラヒドロフラン溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
前記トナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液240部、C.I.Pigment Blue15:3顔料5.3部、ワックス〔フィシャートロップシュワックス(1)、吸熱メインピーク温度78.2℃〕10部を入れ、55℃にてTK式ホモミキサーを用いて12000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水710部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)295部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.19部を入れ均一に溶解した。ついで55℃に昇温して、TK式ホモミキサーで12000rpmに撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子8を得た。
(トナー粒子9の製造例)
スチレン系樹脂(2) 60部
スチレン系樹脂(4) 40部
ポリエステル系樹脂(1) 5.0部
銅フタロシアニン顔料 6.5部
負荷電性制御剤1(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
0.5部
負荷電性制御樹脂1 0.5部
ワックス〔フィッシャートロプシュワックス(1)、吸熱メインピーク温度78℃〕
10部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、130℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行い、混練物を冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕して、更に風力分級機を用いて分級することによって、重量平均粒径6.2μmのトナー粒子9を得た。
(トナー粒子10の製造例)
トナー粒子1の製造例で得られたスラリー1(100.0部)に対して、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体で表面被覆した、粒径40μmのフェライトキャリア(500.0部)加え、撹拌羽根を用いて均一に撹拌しながら58℃で1時間撹拌した。30℃に冷却後、希塩酸を添加して分散安定剤を除去せしめた。更に、ろ別、洗浄、乾燥してトナー粒子10を得た。
<トナーの製造例>
(トナー1の製造例)
トナー粒子(1)100部に対し、BET法による比表面積が200m2/g、疎水化度81である疎水性シリカ1.2部とBET法による比表面積が100m2/g、疎水化度62である酸化チタン0.1部と脂肪酸金属塩1 0.15部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用い4000rpmで140秒間混合工程を行なう(混合工程1)。その後、120秒間の休止工程とる(休止工程1)。120秒間の休止工程後、直ちに混合工程を再開し、160秒間の混合工程を行なう(混合工程2)。その後、120秒間の休止工程とる(休止工程2)。120秒経過後、直ちに混合を再開し、160秒間混合を継続した(混合工程3)。その後、120秒間の休止工程とる(休止工程3)。120秒経過後、直ちに混合を再開し、160秒間混合を継続した(混合工程4)。
上記のように混合工程と休止工程を繰り返すことにより槽内の最高到達温度は約32℃であった。このようにして得られたトナーをトナー1とする。得られたトナー1の物性を表5に示す。
(トナー2の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)を脂肪酸金属塩(2)に変更した以外は同様にして、トナー2を得た。得られたトナー2の物性を表5に示す。
(トナー3の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)を脂肪酸金属塩(3)に変更した以外は同様にして、トナー3を得た。得られたトナー3の物性を表5に示す。
(トナー4の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)を脂肪酸金属塩(4)に変更した以外は同様にして、トナー4を得た。得られたトナー4の物性を表5に示す。
(トナー5の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)を脂肪酸金属塩(5)に変更した以外は同様にして、トナー5を得た。得られたトナー5の物性を表5に示す。
(トナー6の製造例)
トナー1の製造例において、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3500rpmに変更した以外は同様にして、トナー6を得た。得られたトナー6の物性を表5に示す。
(トナー7の製造例)
トナー1の製造例において、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3200rpmに変更した以外は同様にして、トナー7を得た。得られたトナー7の物性を表5に示す。
(トナー8の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子2に変更した以外は同様にして、トナー8を得た。得られたトナー8の物性を表5に示す。
(トナー9の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子3に変更した以外は同様にして、トナー9を得た。得られたトナー9の物性を表5に示す。
(トナー10の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子4に変更した以外は同様にして、トナー10を得た。得られたトナー10の物性を表5に示す。
(トナー11の製造例)
トナー1の製造例と同様にして、トナー11を得た。得られたトナー11の物性を表5に示す。
(トナー12の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)を脂肪酸金属塩(6)に変更した以外は同様にして、トナー12を得た。得られたトナー12の物性を表5に示す。
(トナー13の製造例)
トナー1の製造例と同様にして、トナー13を得た。得られたトナー13の物性を表5に示す。
(トナー14の製造例)
トナー12の製造例と同様にして、トナー14を得た。得られたトナー14の物性を表5に示す。
(トナー15の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)0.15部を脂肪酸金属塩(2)0.48部に変更した以外は同様にして、トナー15を得た。得られたトナー15の物性を表5に示す。
(トナー16の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)0.15部を脂肪酸金属塩(2)1.15部に変更した以外は同様にして、トナー16を得た。得られたトナー16の物性を表5に示す。
(トナー17の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩(1)を脂肪酸金属塩(7)に変更した以外は同様にして、トナー17を得た。得られたトナー17の物性を表5に示す。
(トナー18の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子5に変更した以外は同様にして、トナー18を得た。得られたトナー18の物性を表5に示す。
(トナー19の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子6に変更した以外は同様にして、トナー19を得た。得られたトナー19の物性を表5に示す。
(トナー20の製造例)
トナー1の製造例において、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3500rpmに変更した以外は同様にして、トナー20を得た。得られたトナー20の物性を表5に示す。
(トナー21の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩8に変更した以外は同様にして、トナー21を得た。得られたトナー21の物性を表5に示す。
(トナー22の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩5、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3200rpmに変更した以外は同様にして、トナー22を得た。得られたトナー22の物性を表5に示す。
(トナー23の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子7、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩5、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3500rpmに変更した以外は同様にして、トナー23を得た。得られたトナー23の物性を表5に示す。
(トナー24の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子8、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩5、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3500rpmに変更した以外は同様にして、トナー24を得た。得られたトナー24の物性を表5に示す。
(トナー25の製造例)
トナー1の製造例において、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3500rpm、混合工程1の混合時間140秒を180秒、混合工程2〜4の混合時間160秒間をそれぞれ190秒間に変更した以外は同様にして、トナー25を得た。得られたトナー25の物性を表5に示す。
(トナー26の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩1 0.15部を脂肪酸金属塩2 0.03部に変更した以外は同様にして、トナー26を得た。得られたトナー26の物性を表5に示す。
(トナー27の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩9に変更した以外は同様にして、トナー27を得た。得られたトナー27の物性を表5に示す。
(トナー28の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩10に変更した以外は同様にして、トナー28を得た。得られたトナー28の物性を表5に示す。
(トナー29の製造例)
トナー1の製造例において、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩11に変更した以外は同様にして、トナー29を得た。得られたトナー29の物性を表5に示す。
(トナー30の製造例)
トナー29の製造例と同様にして、トナー30を得た。得られたトナー30の物性を表5に示す。
(トナー31の製造例)
トナー29の製造例と同様にして、トナー31を得た。得られたトナー31の物性を表5に示す。
(トナー32の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子6、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩12、混合工程1〜4の回転数4000rpmを3700rpmに変更した以外は同様にして、トナー32を得た。得られたトナー32の物性を表5に示す。
(トナー33の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子9、脂肪酸金属塩1 0.15部を脂肪酸金属塩13 1.15部、混合工程1〜4の回転数 4000rpmを3700rpmに変更した以外は同様にして、トナー33を得た。得られたトナー33の物性を表5に示す。
(トナー34の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子7、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩11、混合工程1〜4の回転数 4000rpmを3700rpmに変更した以外は同様にして、トナー34を得た。得られたトナー34の物性を表5に示す。
(トナー35の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子8、脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩11、混合工程1〜4の回転数 4000rpmを3700rpmに変更した以外は同様にして、トナー35を得た。得られたトナー35の物性を表5に示す。
(トナー36の製造例)
トナー1の製造例において、トナー粒子1をトナー粒子10に変更した以外は同様にして、トナー36を得た。得られたトナー36の物性を表5に示す。
<実施例1>
図5のような構成を有するタンデム方式のHewlett−Packard社製 HP COLOR LASERJET 3500のトナーカートリッジを用い、動摩擦係数が0.09の感光体1とトナー1 140gを装填した。感光体の動摩擦係数を表6に示した。そして、図5のような構成を有するタンデム方式のHewlett−Packard社製 HP COLOR LASERJET 3500のプロセススピードを240mm/secに改造して低温低湿(15℃/15%RH)、常温常湿(25℃/60%RH)、高温高湿(32℃/80%RH)の環境下にて1%の印字比率の画像を15,000枚までプリントアウトして、初期と15,000枚出力時のベタ画像濃度の評価を行った。その結果を表7に示した。
<画像濃度測定>
画像濃度については、マクベス濃度計(RD−914;マクベス社製)を用いて、SPI補助フィルターを用い、図5のような構成を有するタンデム方式のHewlett−Packard社製 HP COLOR LASERJET 3500のプロセススピードを240mm/secに改造して低温低湿(L/L)(15℃/15%RH)、常温常湿(N/N)(25℃/60%RH)及び高温高湿(H/H)(32℃/80%RH)の各環境下で出力した画像の定着画像部の画像濃度を測定した。
<耐久画像濃度測定>
以下に本発明のトナーを、レーザービームプリンタに適用した例について説明する。
図5のような構成を有するタンデム方式のHewlett−Packard社製 HP COLOR LASERJET 3500のトナーカートリッジを用い、トナー140gを装填した。そして、図5のような構成を有するタンデム方式のHewlett−Packard社製 HP COLOR LASERJET 3500のプロセススピードを240mm/secに改造して、低温低湿(15℃/15%RH)、常温常湿(25℃/60%RH)、高温高湿(32℃/80%RH)の各環境下で1%の印字比率の画像を15,000枚まで記録紙(LETTERサイズ 75mg/cm2)を用いてプリントアウトした。そして、初期と15,000枚出力時のベタ画像濃度(トナー載り量0.35mg/cm2)の評価を、次の評価基準で行った。
ランクA:1.30以上
ランクB:1.29乃至1.20
ランクC:1.19乃至1.10
ランクD:1.09以下
<カブリ評価>
「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出した。記録紙はLETTERサイズ 75mg/cm2を用いた。初期と15,000枚出力時のカブリ評価を次の評価基準で行った。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好 (1.5%以上、2.5%未満)
C:実用可 (2.5%以上、4.0%未満)
D:実用不可 (4%以上)
<感光体融着評価>
感光体融着は、上記耐久試験で15000枚耐久後の感光体表面を目視で観察し、さらに画像欠陥を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:感光体表面、画像ともに欠陥は全く認められない。実用上全く問題のないレベル。
B:耐久後半、感光体表面に汚れが若干認められるが、画像には現れない。実用上全く問題のないレベル。
C:耐久後半、感光体表面に汚れが若干認められ、画像にも若干のムラが生ずる。実用上問題のないレベル。
D:耐久後半、感光体表面の汚れがひどく、画像にもムラが生ずる。実用不可。
<クリーニングブレード捲れ>
上記耐久試験で用いた改造機(HP COLOR LASERJET 3500)を使用し、低温低湿(15℃/15%RH)、常温常湿(25℃/60%RH)、高温高湿(32℃/80%RH)の各環境下にて、LETTERサイズの75g/m2の転写紙を用いて、印字比率1%の連続両面印字の印字試験を行い、以下の基準でクリーニングブレードめくれを評価した。
A:発生なし。
B:12,500枚以上の印字枚数でクリーニングブレードめくれが発生する。
C:10,000枚以上12,500枚未満の印字枚数でクリーニングブレードめくれが発生する。
D:7,500枚以上10,000枚未満の印字枚数でクリーニングブレードめくれが発生する。
E:7,500枚未満の印字枚数でクリーニングブレードめくれが発生する。
<クリーニングブレードセット跡評価>
図5のような構成を有するタンデム方式のHewlett−Packard社製 HP COLOR LASERJET 3500のトナーカートリッジを用い、トナー140gを装填した。そして、低温低湿(15℃/15%RH)、常温常湿(25℃/60%RH)、高温高湿(32℃/80%RH)の各環境下において1%の印字比率の画像を15,000枚まで記録紙(75mg/cm2)を用いてプリントアウトした。各々の環境下において15日間放置した後、トナーカ−トリッジにセットし、ベタ画像(トナー載り量0.35mg/cm2)を出力しクリーニングブレードセット跡(排紙方向に対して垂直なスジ)の有無を目視により評価した。
A:感光体上にも、ベタ部の画像上にも排紙方向に対して垂直なクリーニングブレードセット跡は見られない。実用上全く問題のないレベル。
B:感光体上に周方向に対して垂直なクリーニングブレードセット跡があるものの、ベタ部の画像上に排紙方向に対して垂直なクリーニングブレードセット跡は見られない。実用上全く問題のないレベル。
C:感光体上に周方向に対して垂直なクリーニングブレードセット跡があり、ベタ部の画像上に排紙方向に対して垂直なクリーニングブレードセット跡が少し見られる。しかし、画像処理で消せるレベルで実用上問題のないレベル。
D:感光体上に周方向に対して垂直なクリーニングブレードセット跡があり、ベタ部の画像上に排紙方向に対して垂直なクリーニングブレードセット跡が見られる。画像処理でも消せない。実用不可。
<実施例2>
実施例1のトナー1をトナー2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例3>
実施例1のトナー1をトナー3に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例4>
実施例1のトナー1をトナー4に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例5>
実施例1のトナー1をトナー5に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表75に示した。
<実施例6>
実施例1のトナー1をトナー6に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例7>
実施例1のトナー1をトナー7に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例8>
実施例1のトナー1をトナー8に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例9>
実施例1のトナー1をトナー9に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例10>
実施例1のトナー1をトナー10に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例11>
実施例1のトナー1をトナー11、感光体1を感光体2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例12>
実施例1のトナー1をトナー12、感光体1を感光体2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例13>
実施例1のトナー1をトナー13、感光体1を感光体3に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例14>
実施例1のトナー1をトナー14、感光体1を感光体3に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例15>
実施例1のトナー1をトナー15に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例16>
実施例1のトナー1をトナー16に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例17>
実施例1のトナー1をトナー17に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例18>
実施例1のトナー1をトナー18に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例19>
実施例1のトナー1をトナー19に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例20>
実施例1のトナー1をトナー20、感光体1を感光体4に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例21>
実施例1のトナー1をトナー21、感光体1を感光体4に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例22>
実施例1のトナー1をトナー22に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例23>
実施例1のトナー1をトナー23に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例24>
実施例1のトナー1をトナー24に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例25>
実施例1のトナー1をトナー25に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例26>
実施例1のトナー1をトナー26に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例27>
実施例1のトナー1をトナー27に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例28>
実施例1のトナー1をトナー28に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<比較例1>
実施例1のトナー1をトナー29に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<比較例2>
実施例1のトナー1をトナー30、感光体1を感光体2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<比較例3>
実施例1のトナー1をトナー31、感光体1を感光体5に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<比較例4>
実施例1のトナー1をトナー32、感光体1を感光体2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<比較例5>
実施例1のトナー1をトナー33、感光体1を感光体2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<比較例6>
実施例1のトナー1をトナー34、感光体1を感光体2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<比較例7>
実施例1のトナー1をトナー35、感光体1を感光体2に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。
<実施例29>
実施例1のトナー1をトナー36に変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果を表7に示した。