本発明の画像形成方法および画像形成装置は、トナー担持体上にトナーの薄層を形成させるための規制部材によりトナー層を形成し、感光体に非接触もしくは接触して現像するトナー担持体によりトナーを現像して感光体上にトナー像を得る画像形成方法であって、
前記トナー担持体の摩擦係数μdが1.35〜2.00であり、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤を含有するトナー粒子と、少なくとも無機微粉体を有する一成分現像用トナーであり、
前記トナー担持体上にトナーの薄層を形成させた状態における、前記トナーの摩擦係数
μtが、0.06〜0.35の関係を満たすことにより以下の効果が得られる。
摩擦係数が高いトナー担持体を用いる画像形成方法は、一般的にトナー担持体上に形成されたトナーに対して摩擦帯電が迅速且つ十分に行われるため画像濃度やベタ画像均一性といった点で優れている。しかしながら、摩擦エネルギーが大きいためトナーに対するストレスが大きい。従って長期間にわたって使用する際は、画像濃度やベタ画像均一性において優れた画質を維持できない、。更にカブリ、濃度薄、画像ムラ、フィルミング、トナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等、部材汚染、クリーニング不良並びに転写効率低下といった点でも画質が低下する。これらの課題を解決する方法として、トナー担持体とトナー層規制部材との線圧を下げる方法がある。しかしながら、カブリ並びにトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等に起因する画質低下が発生しないレベルまで単純に線圧を下げると、高温高湿環境下での使用においてボタ落ちが発生する。また、カブリ並びにトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等に起因する画質低下が発生しないレベルまで単純にトナー担持体の摩擦係数を下げる方法の場合は、画像濃度やベタ画像均一性といった点で画質が低下し望ましくない。
それに対してトナー担持体の摩擦係数μdが1.35〜2.00で且つ、トナー担持体上にトナーの薄層を形成させた状態における、トナーの摩擦係数μtが、0.06〜0.35の関係を満たす場合のみ、前述の課題において良好な結果が得られる。つまり、トナー担持体上にトナーの薄層を形成させた状態における、トナーの摩擦係数μtが0.06未満の場合は、トナー担持体の摩擦係数μdを調整してもトナーの摩擦帯電が不十分となり、カブリや画像濃度といった点で不十分となるだけでなく、トナー層厚規制部材による規制が不十分となるためトナーの摩擦帯電が不均一となり、画像均一性が不十分となる。またボタ落ちの発生といった点でも望ましくない。μtが0.06未満且つμdが1.35未満の場合はこの現象がより顕著となる。
それに対してトナー担持体上にトナーの薄層を形成させた状態における、トナーの摩擦係数μtが0.35超である場合、トナー担持体の摩擦係数μdを調整してもトナーに対する摩擦によるストレスが長期使用においては過剰となるため、カブリ並びにトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等の点で望ましくない。μtが0.35超且つμdが2.00超の場合はよりこの現象が顕著となる。
μtが0.06〜0.35であったとしてもμdが1.35未満であると、長期使用において、トナーや無機微粉体による汚染や磨耗に起因するトナー担持体の劣化により、画像濃度やベタ画像均一性といった点で不十分となり望ましくない。また、μtが0.06〜0.35であったとしてもμdが2.00超であると、トナーに対する摩擦によるストレスが過剰となるため、カブリ並びにトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等の点で望ましくない。
本発明におけるトナー担持体の摩擦係数μdは、1.35〜1.70であるとトナーに対する摩擦によるストレスが低減されるため、長期使用においてカブリ並びにトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等の点でより望ましい。また、本発明におけるトナーの摩擦係数μtは、0.06〜0.20であるとトナーに対する摩擦によるストレスが低減されるため、長期使用においてカブリやトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等の点でより望ましい。
更に本発明において、μt/μd=0.04〜0.17であり、且つ△μt=0.01〜0.06であるとより一層望ましい。これは、μt/μdが0.17以下であるとトナー担持体の摩擦に対するトナーによる摩擦力の低減効果がより十分となるため、μdが高いことによる画像濃度やベタ画像均一性といった点での利点を十分に生かした状態でトナーに対する摩擦によるストレスを十分に低減できる。それにより、長期使用においてもカブリやトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等の点でより望ましいためである。
トナー担持体の摩擦係数μdはPETフィルムに対するトナー担持体表面のみの摩擦に起因するものであるのに対し、トナーの摩擦係数μtは(i)トナーとPETフィルムの摩擦、(ii)PETフィルム側に接しているトナーとトナー担持体表面に接しているトナーとの摩擦、(iii)トナーとトナー担持体との摩擦の3つの摩擦に起因している。特に(ii)PETフィルム側に接しているトナーとトナー担持体表面に接しているトナーとの摩擦に関しては、トナー自体は粘着テープなどにより固定されているわけではないためトナー同士は動く状態での摩擦となる。それに対して(iii)トナーとトナー担持体との摩擦はμdに影響を受ける。従ってμdが大きいにも関わらず、μtがかなり小さい場合、つまりμtとμdの差が大きい場合は(i)トナーとPETフィルムの摩擦、(ii)PETフィルム側に接しているトナーとトナー担持体表面に接しているトナーとの摩擦が小さいことになる。従ってμt/μdが0.04以上であるとトナー同士の摩擦帯電やトナー層規制部材とトナーとの摩擦帯電の点で有利であるため望ましい。
更に△μtは、トナー担持体上にトナーの薄層を形成させた状態における、該トナーの摩擦係数の測定範囲における摩擦係数の変動幅である。つまりトナー担持体上にトナーがコートされた状態の均一性を表していることになる。従って△μt=0.01〜0.06であるとトナー担持体上にコートされたトナーが受けるストレスに強弱のムラが無く、且つトナーの帯電性においてもムラが無く、帯電分布がシャープになる。従って、長期使用においても画像濃度、ベタ画像均一性、カブリ並びにトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等の点でより一層望ましい。
本発明におけるトナー担持体の摩擦係数μd、μdを測定したトナー担持体上にトナーの薄層を形成させた状態における、該トナーの摩擦係数μt及び△μtは以下の方法により測定を行った。
摩擦係数μd及びμt並びに△μtは、図11に示す装置を用いて求めた。まずμdの測定時は他端部に重り31を負荷し、もう一方の端部をデジタルフォースゲージ32にセットした、幅3.0cm、厚さ0.10mmのPETフィルム34を現像ローラー8表面にセッティングし、図3中のθを90度に設定した。なお、デジタルフォースゲージ32は、重り31もPETフィルム34も付加しない無負荷時に0値に調整しておく。デジタルフォースゲージ32の値が安定した後、現像ローラー8を図11中の矢印R8方向に60rpmで回転させ、このときの現像ローラー8とPETフィルム34間の摺擦力をデジタルフォースゲージ32で測定する。測定値は、デジタルフォースゲージ32からアナログ出力された値を、レコーダを用いて周波数10Hzでサンプリングし、サンプリングデータをコンピュータ33で以下に示す式(1) により計算し、さらに、図1に示す通りに
測定開始直後の摩擦係数の最初の立ち上がり後の(a)から測定距離500mm分のデータ−についての平均値をμdとした。使用するPETフィルムとしては東レ社製の一般工業用フィルム「ルミラー」の標準グレードであるタイプS10の#100を用いた。
摩擦係数μtの測定は現像器を用い、上記μdを測定したトナー担持体上にトナーを載り量が0.4〜0.5mg/cm2になるようにコートさせ、それをμd測定時の現像ローラー8と同じようにセットして同様に摩擦係数を測定した。測定値は、デジタルフォー
スゲージ32からアナログ出力された値をレコーダで周波数10Hzでサンプリングし、サンプリングデータをコンピュータ33で以下に示す式(1) により計算し、さらに、
図1に示す通りに測定開始直後の摩擦係数の立ち上がり後の(a)から測定距離500mm分のデータ−についての平均値をμtとした。△μtは図1に示すように測定距離500mm分のデータ−における摩擦係数の最大値と最小値の差分として算出した。
μ=(1/θ)・ln(F/W) ・・・(1)
ここで、μ :摩擦係数、
θ :図11中に示す
W :W1とW2の合計値(100.0g)
W1:重りの重量
W2:PETフィルムの重量
F :デジタルフォースゲージの測定値
である。
上述のようにして、PETフィルム34に対して、トナー担持体の摩擦係数μd、トナー担持体上にトナーの薄層を形成させた状態における、トナーの摩擦係数μtを測定した理由は、PETフィルム34に相当する部材に代えて紙等を使用した例もあるが、紙では紙種により表面が粗い紙や滑らかな紙が存在し、一義的に摩擦係数が決められない。また、本発明に用いるトナー担持体は高い摩擦係数を有するので、摩擦係数の測定においてはトナー担持体の回転数を60rpmのように小さくしなければ安定して測定が出来ない。それに対して実際の使用に際してはトナー担持体に対して金属製のトナー層規制部材が当接されるため、測定時におけるトナー担持体の回転数が実際の使用時並みに大きい場合は金属薄板に対する摩擦係数を算出するのが適切であるが、トナー担持体の回転数を60rpmのように小さい場合は適切ではない。そこで、検討を行った結果、PETフィルム34を用いることが適切な条件であると判断したためである。
上記摩擦係数μd、μtを本発明の範囲にすることは、μdに関してはトナー担持体の表面層に使用する樹脂の種類やTg、分子量を調整することにより実現することができる。μtに関してはトナーの強度を調整したり、平均円形度を調整したり、脂肪酸金属塩を含有させたり、前記脂肪酸金属塩の遊離率や粒度分布を調整させたり、トナー粒子に結晶性ポリエステルを含むポリエステル樹脂の種類や含有量、ワックスの種類や含有量を調整させたり、トナー粒子の製造方法を変えることにより、実現することができる。
現像ローラー8の表面粗さとしては、使用するトナーの粒径にもよるが、十点平均粗さRzで0.10〜10.00μmが好ましく、0.30〜7.00μmであるとより好ましく、0.30〜3.00μmであると更に好ましく、0.30〜1.00μmであると一層好ましい。トナー粒径がより小さい場合は十点平均粗さRzをやや小さくすると好ましい。十点平均粗さRzが0.1μm未満であると十分なトナー搬送力が得られず、濃度不足となる傾向にある。一方、10.0μm以上となるとトナーが十分な帯電が得られず、カブリの点で問題となる場合がある。
十点平均粗さRzは、JIS B0601に示されている定義を用い、測定には小坂研究所製の表面粗さ試験器「SE−30H」を使用した。
本発明に用いるトナーは、トナー粒子中に更に脂肪酸金属塩を有するトナーであり、トナー粒子の数平均粒径(D1)をDt(μm)、脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径(D50)をDf(μm)としたとき、
0.022≦Df/Dt≦0.270
3.00≦Dt≦8.00
0.15≦Df≦1.00
の関係を満たすと望ましい。
脂肪酸金属塩は一般的に滑材としての効果があり、トナーへのストレスを軽減する効果がある。本発明に用いるトナーの場合には摩擦係数を制御することも可能である。ただし、長期使用において効果を持続させようとした場合、トナー粒子表面に脂肪酸金属塩がある程度強固に付着している必要がある。というのも脂肪酸金属塩がトナー粒子表面より遊離しやすい場合、まず遊離した脂肪酸金属塩の大半は供給されるとすぐにトナー担持体や潜像担持体に付着し、滑材としての効果を発揮する。この場合、トナー同士の摩擦によるストレスの低減効果は、トナーに付着した脂肪酸金属塩により効果が発揮される部分が大きいため、遊離した脂肪酸金属塩はトナー同士の摩擦によるストレスの低減効果は小さい。また、長期間使用される場合は、トナー担持体や潜像担持体の表面から脂肪酸金属塩が消費され効果が持続しないため望ましくない。一方、脂肪酸金属塩を含有するトナーにおいて、脂肪酸金属塩はその粒子径が小さいほどトナー粒子から遊離しにくい。しかし、脂肪酸金属塩の粒子径が小さすぎるとトナー粒子表面に埋没してしまい、効果を発揮しない。つまり、脂肪酸金属塩の粒子径はトナー粒子の粒子径に対してある一定の比率を有する粒子径であることが好ましい。また、高画質を達成するためにはトナー粒子の粒子径はある程度小さい方が好ましい。具体的に説明すると、高画質を達成するためにはトナー粒子の数平均粒径Dt(μm)をDt≦8.00とすることが好ましい。但し、Dt<3.00であるとトナーの比表面積が大きく、接触面積が大きいことから耐ストレス性の点で脂肪酸金属塩の効能をもってしても不十分となる傾向にある。また、クリーニング不良といった点で望ましくない。
脂肪酸金属塩とトナー粒子の付着性に影響を与える因子のうちトナー粒子の粒子径の因子としては3.00≦Dt≦8.00であることが好ましいのに対して、脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径Dfは0.15≦Df≦1.00であり且つ、0.022≦Df/Dt≦0.270を満たすことで、長期使用においてトナーが受けるストレスに対して、曲率の観点からトナー粒子表面から脂肪酸金属塩が遊離しにくいため好ましい。且つ、トナー粒子表面に脂肪酸金属塩が埋没することも無く、前述の効果が得られることから好ましい。
Df<0.15や、Df/Dt<0.022であると、脂肪酸金属塩がトナー表面に埋め込まれてしまうため脂肪酸金属塩の有する滑材としての効果を発揮できず望ましくない。また、脂肪酸金属塩がトナー表面に埋め込まれた結果、トナーの帯電性も低下することとなり、長期使用に際してカブリや画像濃度に関しても望ましくない。
一方、Df/Dt>0.270であると脂肪酸金属塩がトナー表面から遊離しやすいため、滑材としての効果が持続しにくい。また、トナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着といった点からも望ましくない。加えて、トナーの帯電性にも影響を及ぼし、特に初期の画像濃度の点で望ましくない。
次に脂肪酸金属塩とトナー粒子の付着性が本発明のトナーの効果にどのように影響を与えているかを以下に説明する。脂肪酸金属塩の作用効果として、滑剤としての作用がある。この効果を効率よく得る方法としてトナー母粒子に外添剤を多段処理により添加し、多段処理の最終段階において長鎖脂肪酸またはその金属塩でなる粒子を添加する方法がある。しかし実際には、長鎖脂肪酸またはその金属塩でなる粒子がトナー粒子から遊離してしまい効果が不十分となる。別の方法としてトナーに脂肪酸及び/または脂肪酸金属塩により処理された無機微粉末を含有させる方法があるが、脂肪酸及び/または脂肪酸金属塩が長期使用において無機微粉末から剥離してしまい効果が不十分となる。
一方、脂肪酸金属塩はトナーから遊離していても、トナーと接触していれば滑剤としての効果を発揮する。しかし、遊離した脂肪酸金属塩と、脂肪酸金属塩が付着したトナーと、脂肪酸金属塩が付着していないトナーが混在していると、それぞれの帯電性および流動性に差があるため、摩擦帯電された場合、トナーの帯電分布がブロードになる。更に流動性にムラが生じる。そのため、短期間での使用や通常環境での使用ではトナーの耐久劣化も顕著ではないため差は顕著ではないが、耐久劣化の影響が大きくなる長期間での使用や帯電性の影響が大きくなる高温高湿環境下での使用において望ましくない結果を生じる。
また、画像形成においてトナーが消費されていく過程で、遊離した脂肪酸金属塩は帯電性や流動性の差からトナーと同じ速度では消費されない。そのため、長期使用に際しては、使用初期と使用後期で現像容器内における遊離した脂肪酸金属塩を含めトナーの組成が変化することになる。これによりトナーの帯電性及び流動性が使用初期と使用後期で変化するため、長期使用に際して画質が安定しないため望ましくない。従って、長期使用であっても脂肪酸金属塩が遊離しない、脂肪酸金属塩とトナー粒子との付着性に優れたトナーを用いることによって、長期間での使用や高温高湿環境下での使用において前述の効果を得られるため、好ましい。
更には、トナーの流動性、帯電性を考えた場合、影響を与える因子としてトナー粒子の粒子径分布がある。一般的に粒子径の小さいトナーは帯電性が高く、粒子径の大きいトナーは帯電性が低い。そのため、帯電分布のシャープなトナーを得るためには粒子径の小さい側のトナーの帯電性を低く、粒子径の大きい側のトナーの帯電性を高める必要がある。粒子径の大きい側のトナーは帯電性が低い理由は比表面積が小さく、流動性が悪いためであり、長期使用に際しては、特にトナー表面が平滑ではないものが多くなっているためである。これに対して、本発明に用いるトナーは脂肪酸金属塩がトナー粒子に遊離せずに付着しているため、粒子径が大きく、トナー表面が平滑ではないものであっても脂肪酸金属塩の滑剤作用によって流動性が向上する。そのため長期使用に際しても帯電性の低いトナーが少なくなる。これによりトナーの帯電分布がシャープなまま維持されるため、望ましい。
特に非磁性一成分現像系ではトナー同士の摩擦によってもトナーが帯電するため、帯電性の低いトナーが減少することは、帯電性の低いトナーと摩擦帯電するトナーが減少することになる。通常、非磁性一成分現像系では低帯電性のトナーと摩擦帯電したトナーは高帯電性を有することとなる。従って、帯電性の低いトナーの現象により、高帯電性のトナーも減少することとなる。これによって高帯電側、低帯電側双方のトナーが減少し、トナーの帯電分布がシャープになる効果が顕著となるため特に望ましい。本発明に用いるトナーは脂肪酸金属塩のトナー粒子からの遊離が少ないため長期間にわたってトナーの帯電分布がシャープなまま維持されるため望ましい。
上記脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径Df(μm)は、0.15≦Df≦1.00であることが望ましく、0.15≦Df≦0.75であるとより望ましく、0.30≦Df≦0.65であると特に望ましい。上記脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径Dfを上記範囲にすることは、脂肪酸金属塩製造時に仕込む原料の種類や濃度、反応時間を調整したり、粉砕条件や分級工程を調整することにより、実現することができる。
また、上記脂肪酸金属塩の下記式(1)で定義されるスパン値Bが1.75以下であることが望ましく、1.50以下であるとより望ましく、1.00以下であると特に望ましい。
スパン値B=(D95s−D5s)/D50s (1)
D5s:体積基準における5%積算径
D50s:体積基準におけるメジアン径(D50)
D95s:体積基準における95%積算径
スパン値とは、上記の定義からも理解できるように、その値が小さい程粒径分布が狭く、その値が大きい程粒径分布が広いことを示している。本発明においてスパン値を上記範囲にすると、脂肪酸金属塩の粒径が小さい方がトナー粒子との付着性の点で望ましい。上記脂肪酸金属塩のスパン値を上記範囲にすることは、脂肪酸金属塩製造時に仕込む原料の種類や濃度、反応時間を調整したり、粉砕条件や分級工程を調整することにより、実現することができる。
本発明に用いるトナーは、トナー中における脂肪酸金属塩の遊離率が1.0%以上30.0%以下であると望ましく、1.0%以上25.0%以下であるとより望ましく、2.0%以上20.0%以下であると特に望ましい。
これは、脂肪酸金属塩の遊離率が1.0%未満であるようなトナーを作製しようとすると、トナー粒子に前記脂肪酸金属塩を付着させるために強い力を加えねばならない。結果としてトナーがダメージを受け、耐ストレス性が低下するため望ましくない。特にトナーが、フローテスターにおける100℃時の粘度が65,000Pa・s以下である場合には、その影響が顕著となる。また、仮にトナー製造時にトナーにダメージを与えることなく、トナー中における脂肪酸金属塩の遊離率が1.0%未満にできたとしても、1.0%以上である方が望ましい。これはトナーから遊離した脂肪酸金属塩が潜像担持体に適度に付着することで、潜像担持体のトナー担持体やクリーニング部材との摩擦による発熱を抑えるためである。それにより長期使用におけるトナーへの熱的ダメージを抑制でき、長期間安定した画質が得られる。脂肪酸金属塩の遊離率が30.0%超であると滑材としての効果が低下したり、潜像担持体へのフィルミングが悪化するといった点で望ましくない傾向にある。
なお、上記トナー中における脂肪酸金属塩の遊離率を上記範囲にすることは、脂肪酸金属塩の種類、メジアン径、スパン値、Df/Dtの値及び外添条件を調整するにより実現
することができる。
上記、本発明で用いるトナー粒子は、個数平均粒径(D1)、即ちDtが3.0μm以上8.0μm以下であると望ましく、4.0μm以上7.8μm以下であると更に望ましく、5.0μm以上6.5μm以下であると特に望ましい。これは個数平均粒径Dtが3.0μm未満であるとトナーの比表面積が大きいため長期使用において耐久性や耐熱性において問題が発生しやすく、且つクリーニング不良も発生しやすいため望ましくない。個数平均粒径Dtが8.0μmを超える場合はトナーの着色力及び画像の解像度、細線再現性の点で劣るため望ましくない。また、本発明のトナー粒子は4μm以下の粒子が10〜40個数%であると望ましい。これは、4μm以下の粒子が10個数%以上であるとトナーの着色力及び画像の解像度の点で望ましく、40個数%以下であると長期使用において耐久性や耐熱性において望ましいからである。なお、上記トナー粒子の個数平均粒径を上記範囲にすることは、粉砕トナーの場合はトナーの硬さや粉砕条件を調整したり、分級や篩いなどの手段を用いることにより実現することができ、重合トナーの場合はトナー粒子を製造する際の分散安定剤の種類及び量、撹拌条件、水層のpHを調整したり、生成したトナー粒子を乾燥させた後、分級や篩いなどの手段を用いることにより実現することができる。
<脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径(D50)及びスパン値Bの測定方法>
本発明で用いられる脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径(D50)の測定は、JIS
Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製
作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、ファイル「110A000I」(相対屈折率1.10)を選択する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行なった後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行なう。
(7)ガラス製の100ml平底ビーカーに約60mlのイオン交換水を入れる。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)前記(9)のビーカー内の水溶液に超音波を照射した状態で、約1mgの脂肪酸金属塩を少量ずつ前記ビーカー内の水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、この際に脂肪酸金属塩が固まりとなって液面に浮く場合があるが、その場合はビーカーを揺り動かすことで固まりを水中に沈めてから60秒間の超音波分散を行なう。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した脂肪酸金属塩が分散した水溶液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行なう。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、体積基準のメジアン径(D50)、スパン値Bを算出する。また、ここでいうスパン値Bは下記式で求められる値である。
スパン値B=(D95s−D5s)/D50s (1)式
D5s:体積基準における5%積算径
D50s:体積基準におけるメジアン径(D50)
D95s:体積基準における95%積算径
<脂肪酸金属塩の遊離率の測定方法>
本発明におけるトナー中の脂肪酸金属塩の遊離率は、デジタル振動計(デジバイブロ MODEL 1332)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)と、蛍光X線分析装置 Axios(PANalytical製)及び測定条件設定及び測定データ解析
をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いて蛍光X線の強度差により脂肪酸金属塩の遊離率を求めた。
具体的な測定法としては、パウダーテスターの振動台にこの目開き25μm(635メッシュ)篩をセットする。この目開き25μm(635メッシュ)篩上に正確に秤量した
試料5gを加え、デジタル振動計の振幅が約0.60mmになるように調整し、約2分間振動を加える。上記作業を更に2回繰り返し、試料を25μm(635メッシュ)篩に計3回とおす。次に、得られた試料を直径40mmのアルミリングに約4g載せ、プレス機にて150kNで圧縮しサンプルを作成する。得られたサンプルを蛍光X線分析装置(Axios)で測定した。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。本発明における脂肪酸金属塩の遊離率は、篩前後の脂肪酸金属塩の金属元素のKα線ネット強度(KCPS)を測定して、以下の式より求めた。
遊離率={(篩前の脂肪酸金属塩の金属元素のKα線ネット強度)−(篩後の脂肪酸金属
塩の金属元素のKα線ネット強度)}/(篩前の脂肪酸金属塩の金属元素のKα線ネット
強度)
<トナー及びトナー粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー及びトナー粒子の個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー又はトナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)で、グラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
本発明において、特に好適に用いられるトナー担持体に関して説明する。本発明において好適に用いられるトナー担持体は、芯体の周囲に弾性層及び表面層を有し、前記表面層が樹脂A、Bを含有し、樹脂Aがポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコール骨格からなる熱硬化性ポリエーテルポリウレタン樹脂であり、樹脂BがTgが30℃以上70℃以下、重量平均分子量が30,000以上100,000以下であるアクリル樹脂である。
まず樹脂Aのポリエーテルポリウレタン樹脂について説明する。ウレタン樹脂は主骨格として導入する樹脂種により極性及び機械的物性が変化する。中でもポリプロピレングリコールユニット、またはポリテトラメチレングリコールユニットを主骨格とするウレタン樹脂は柔軟性に優れ、一般的に高極性であるウレタン樹脂の中でも比較的低極性であり、アクリル樹脂との相溶性が良く、アクリル成分の相分離や極端な表面偏在が起こりにくくなる。
次に樹脂Bのアクリル樹脂について説明する。アクリル樹脂はウレタン樹脂に比べ、一般的に低極性である。そのため高極性であるウレタン樹脂と相分離や極端な表面局在化を生じやすい。しかしトナー担持体の表面層として用いる場合、膜の硬度上昇や基材密着性の低下を避け、高次元で諸性能を満足することが可能となる。特にタック性が向上し、トナーの規制部材固着を抑制し現像スジの発生を抑制する。高湿高温下での現像の安定化が得られる。
以下図面を参照し、本発明に好適に用いられるトナー担持体を説明する。
本発明の画像形成装置に用いられるトナー担持体は、その断面構造の一例を図12に示すように導電性軸芯体1の外周に弾性層2を有し、更に表面層3を有する。導電性軸芯体1は、導電性部材の電極および支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロム、又はニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂など導電性の材質で構成される。軸芯体の外径は通常4乃至10mmの範囲とする。
弾性層2は、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを過不足なく供給することができるように、適切なニップ幅とニップ圧をもって感光体に押圧されるような硬度や弾性を現像ローラーに付与するものである。この弾性層は、通常ゴム材の成型体により形成される。上記ゴム材としては、従来より導電性ゴムローラに用いられている種々のゴム材を用いることができる。ゴム材に使用するゴムとしては、以下のものが挙げられる。エチレン
−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。この中でも、特にセット性能の観点からシリコーンゴムを用いることが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体が挙げられる。
弾性層2中には、導電性付与剤が含有されており、さらに非導電性充填剤、架橋剤、触媒の如き各種添加剤が適宜配合される。導電性付与剤としては、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウム、銅の如き導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。このうち、カーボンブラックは比較的容易に入手でき、良好な帯電性が得られるので好ましい。非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛又は炭酸カルシウムが挙げられる。架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又はジクミルパーオキサイドが挙げられる。
弾性層2の体積固有抵抗値は、100Vの直流電圧印加時で103乃至108Ω・cmの範囲にあることが好ましい。例えば、導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合は、ゴム材中のゴム100質量部に対して15乃至80質量部配合される。また、弾性層2の厚さは2.0乃至6.0mmの範囲にあることが好ましく、3.0乃至5.0mmの範囲にあることがより好ましい。
表面層3に好ましく含有される樹脂Aはポリプロピレングリコールユニット、またはポリテトラメチレングリコールユニットを主骨格とする柔軟性に優れたウレタン樹脂を用いることが好ましい。アクリル樹脂との相溶性を考慮すると8.4以上8.9以下のSP値とすることが好ましい。それに対し、ポリエチレングリコールはポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコールに比べ高極性になりやすく、また親水性も増すため、高温高湿環境下における物性変動により、耐固着性が大きくなる場合がある。
このようなポリエーテルポリウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオールやウレタン化ポリエーテルポリオールをイソシアネートと反応させることにより得られるが、ウレタン結合の含有量を調整し、機械的強度を低下させない程度にポリエーテル成分の含有量を高くすることにより、より柔軟で低極性にすることが可能となる。具体的にはポリプロピレングリコール骨格及び/またはポリテトラメチレングリコール骨格の含有率を60質量%以上85質量%以下とすることで、より柔軟でアクリル樹脂成分との相溶性にすぐれたウレタン樹脂となる。
ポリオール成分と反応させる架橋剤としてのイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートの如き脂環式ポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びこれらの共重合物や、そのブロック体が用いられる。
また、表面層3に好ましく含有される樹脂Bのアクリル樹脂はポリウレタン原料とアクリル樹脂の極性差やTgや分子量を厳密に制御することでより安定した現像性が得られる。アクリル樹脂のTgは30℃以上70℃以下であることが好ましい。Tgが30℃未満
になるとアクリル樹脂の含有量に関わらず、高温高湿環境下でのトナーとの耐固着性が低下し、また画像形成時にトナー融着を生じやすくなる場合がある。また、Tgが70℃を超えると現像ローラーの表面硬度が上昇し、カブリが発生し、多数枚耐久性の低下を引き起こす場合がある。
アクリル樹脂のSP値は7.5以上8.6以下であることが好ましい。アクリル樹脂はモノマー種の選択により極性の制御が容易である。長鎖アルキル基を有するモノマーユニットを高い比率で含有するものは、Tgを大幅に低下する他に、SP値が低くなるため、現像ローラーとして好適なウレタン樹脂成分との極性差が大きくなり、層分離による外観不良を引き起こしたり、シリコーンゴムの如き低極性な弾性層との密着性低下を示す場合がある。アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は30,000以上100,000以下であることが好ましい。Mwが30,000未満であると、TgとSP値が適正な範囲にあっても高温高湿環境下で充分な耐トナー固着性が得られにくく、Mwが100,000を超えると十分な耐久性が得られない場合がある。
アクリル樹脂の諸物性をこのような現像ローラーとして好ましい範囲にするために、モノマー種の選択が重要である。具体的にはメタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、スチレン、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、アクリロニトリル、アクリルアミドを好適に用いることができる。先に述べたように長鎖アルキル基を有するモノマーや、フッ素、シリコーン成分を有するモノマーはアクリル樹脂のTg、SP値を大幅に低下させる場合がある。メタクリル酸メチル(MMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、スチレンはアクリル樹脂の適正な物性範囲を得るために特に好ましい。また、HEMAの如き水酸基を含有するモノマーユニットを含まないアクリル樹脂は、ウレタン樹脂の架橋反応時にイソシアネートと反応することがないため、膜の硬度上昇を起こしにくく、より好ましい。
また、本発明は、(A)ポリエーテルポリウレタン樹脂の架橋反応前のポリウレタン原料のSP値と(B)アクリル樹脂のSP値との差が0.1以上0.9以下であり、かつ全樹脂成分における(B)アクリル樹脂の含有率が0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。本発明における(A)ポリエーテルポリウレタン樹脂と(B)アクリル樹脂のSP値の差とは〔(A)ポリエーテルポリウレタン樹脂の架橋反応前のポリウレタン原料のSP値〕−〔(B)アクリル樹脂のSP値〕を指す。ウレタン樹脂の架橋反応前のポリウレタン原料のSP値とアクリル樹脂のSP値との差が0.9を超えると、層分離による外観不良や極端な界面への偏在により基材密着性を低下させる場合がある。またSP差が全くない場合は、トナーの融着や他部材との固着を起こす場合がある。アクリル樹脂のSP値の方が大きい場合は不相溶による外観不良を起こす場合がある。
アクリル樹脂の含有量に関しては、全樹脂成分における樹脂(B)の含有率が0.1質量%未満ではアクリル樹脂添加効果が充分得られない場合があり、5.0質量%を超えると、膜の硬度上昇や弾性層との密着性の低下を招く恐れがある。
表面層3には、導電性を付与するために導電性付与剤が含有されることが好ましい。導電性付与剤としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの表面層3中の含有量は、表面層を形成する基体樹脂100質量部に対して、10乃至50質量%であることが、現像ローラーとしての導電性を好ましい範囲にすることができるため好ましい。使用するカーボンブラックの個数平均粒径およびDBP吸油量に特に制限はないが、皮膜強度と導電付与性の点から、個数平均一次粒子径が15乃至50nmであり、DBP吸油量が70乃至150ml/100gであることが好ましい。
表面層3には現像ローラーの表面の粗さ制御のために微粒子を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒径が3乃至20μmであることが好ましい。また、表面層に添加する粒子添加量が、表面層の樹脂固形分100質量%に対し、1乃至50質量%であることが好ましい。さらに、粗さ制御用微粒子の成分としてはポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂を用いることができる。
本発明のトナー粒子中に好ましく含有させる脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びモンタン酸等の一価の飽和脂肪酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸等の多価の飽和脂肪酸、クロトン酸及びオレイン酸等の一価の不飽和脂肪酸、並びにマレイン酸及びシトラコン酸等の多価の不飽和脂肪酸が挙げられ、炭素数が12以上30以下の脂肪酸を有すると望ましく、炭素数が18以上24以下の脂肪酸を有するとより望ましい。これは、前記脂肪酸金属塩は炭素数が12以上の脂肪酸を有する方が前記脂肪酸金属塩の帯電性が高く、静電的な付着効果が高いためであり、炭素数が18以上の脂肪酸を有するとその効果は更に大きくなるためである。また、炭素数12以上の脂肪酸を用いると遊離脂肪酸を抑え易く好ましく用いられる。更に前記脂肪酸金属塩が有する脂肪酸が炭素数30以下の脂肪酸であるとトナーの帯電分布がシャープとなるため望ましい。炭素数24以下の脂肪酸であるとその効果は一層顕著となり、特に望ましい。特に前記脂肪酸金属塩がステアリン酸金属塩であると帯電の立ち上がりが迅速となり効果が大きく最も望ましい。
前記脂肪酸金属塩は遊離脂肪酸が0.20%以下であると望ましい。これは、遊離脂肪酸が0.20%超であると、脂肪酸金属塩の効果が低下するためである。
<脂肪酸金属塩の遊離脂肪酸量の測定方法>
脂肪酸金属塩の遊離脂肪酸量は試料1gを精秤し、エタノールとエチルエーテルの1:1混合液に溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、水酸化カリウム水溶液で中和滴定して、遊離脂肪酸の含有量をステアリン酸の質量百分率で表した。
前記脂肪酸金属塩の融点は、122.0℃以上130.0℃未満であると望ましい。これは、脂肪酸金属塩の融点が122.0℃未満では、現像容器内のトナー攪拌翼や現像ローラーの軸受け近傍へのトナー付着や、製造時の混合翼への脂肪酸金属塩の融着を生じ易い傾向にあるためである。一般的にこのような融点が低い脂肪酸金属塩は、その脂肪酸を構成する脂肪酸原材料の純度が低く、他の低分子成分を不純物として含有する傾向にある。一方、脂肪酸金属塩の融点が130.0℃以上では、トナー搬送部材へのトナーフィルミングを発生する場合があるために好ましくない。
<融点の測定方法>
なお、融点の測定は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、サンプル約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、脂肪酸の融点は、得られた測定結果の吸熱ピーク温度をもって融点とした。なお、測定は1STスキャンにより行った。
前記脂肪酸金属塩のトナー粒子100質量部に対する添加量は、0.02質量部乃至1.00質量部であることが好ましく、0.05質量部以上、0.50質量部であることが
より好ましい。これは脂肪酸金属塩の量が0.02質量部未満ではトナー搬送部材へのトナーフィルミング防止効果が得られない傾向にあるためである。また、脂肪酸金属塩の量が1.00質量部以上では現像容器内でトナーがボタ落ちを起こしやすくなる傾向がある。
自然界に存在する脂肪酸は、炭素数の異なる酸成分を混合物として存在するものが多い。天然物で得られるステアリン酸を例に説明すると、炭素数18のステアリン酸を主成分として、さらに炭素数14、炭素数16、炭素数20、炭素数22等の脂肪酸成分を微量に含むものである。通常は、ある程度精製工程を経て、上記の脂肪酸成分の純度を高めたものが工業的に流通している。さらに、高純度品としては日本薬局方グレード品なども存在するが、これらを使用することも効果を得る上で好ましい。脂肪酸としてステアリン酸を用いる場合、ステアリン酸の純度は、好ましくは全体の90.0質量%以上、より好ましくは99.9質量%以上、95.0質量%以下含有するものである。ステアリン酸の純度が90.0質量%未満では、ステアリン酸金属塩の粒子の耐熱性が悪化し製造時に原材料容器内での固化や、ハンドリングが困難になるために好ましくない。また、ステアリン酸の純度を99.9質量%以上にすることは精製コストがかかるために好ましくない。なお、ここでの脂肪酸の純度とはステアリン酸成分としての純度であり、炭素数18以外の炭素数を有する脂肪酸、及び、その他の有機物、無機物は不純物と考える。
塩を形成する主たる金属種は、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、ルビニウム、銀、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケルなどが使用可能である。更に、耐久を通してトナーの帯電性を適切な範囲に保つために、亜鉛、カルシウムを用いることが好ましい。また、主たる金属種と合わせて、他の金属種が含まれるものも良い。このとき、主たる金属種と、他の金属種群の元素比率(全体に占める他の金属比率)は、30%未満であることが好ましい。
脂肪酸金属塩組成物として最も好ましいものはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムである。
<脂肪酸金属塩の製造方法>
現在行われている代表的な脂肪酸金属塩の製造方法の例としては、脂肪酸のアルカリ金属塩の溶液に、無機金属化合物の溶液を滴下して反応する方法(複分解法)、あるいは、脂肪酸と無機金属化合物を高温下で混錬して反応する方法(溶融法)が挙げられる。本発明で用いられる脂肪酸金属塩は、脂肪酸金属塩の粒子間でばらつきが少なく好ましい製造方法は湿式法であり、中でも複分解法が好ましい。その製造工程は脂肪酸のアルカリ金属塩の溶液に、無機金属化合物の溶液を滴下し、脂肪酸のアルカリ金属を無機金属化合物の金属と置換する工程を含むものである。
本発明に用いるトナーは、トナーに対する微小圧縮試験において、測定するトナーの粒子径をD(μm)、トナーの1粒子に負荷速度9.8×10−5N/secで荷重9.8×10−4Nを負荷したときの最大変位量をX100(μm)、負荷速度9.8×10−5N/secで荷重2.0×10−4Nを負荷したときの最大変位量をX20(μm)としたとき、
D1+0.20≧D≧D1−0.20(D1:トナーの個数平均粒径)
0.40≦X100/D≦0.80
0.020≦X20/D≦0.060
を満たすことが望ましい。
トナーの負荷速度9.8×10−5N/secで荷重9.8×10−4Nを負荷したときの最大変位量/トナーの粒子径(X100/D)が0.40より小さい場合、外添剤の
遊離による濃度低下や解像性の低下が起こり易い。一方、0.80を超える場合、トナー担持体表面の微小硬度が適正な値であっても、現像スジが発生する。また、トナーの負荷速度9.8×10−5N/secで荷重2.0×10−4N負荷時の変位量/トナーの粒子径(X20/D)が0.020より小さい場合、充分な定着性が得られない。一方、0.060を超える場合、耐ストレス性が低下しトナー担持体へのフィルミングが発生する。
なお、上記トナーのX100/D及びX20/Dを上記範囲にすることは、トナーの製造方法、トナー粒子製造時に添加する架橋剤の種類や量、トナーに含有させるワックスやポリエステルの種類や量を調整することにより実現することができる。特にトナーに結晶性ポリエステルや非晶性ポリエステルを含有させ、その含有量を調整すること、また、不飽和二重結合を有するポリエステルを用いることにより、一層適正範囲に調整して、実現することができる。
<トナーの微小圧縮測定方法>
本発明における微小圧縮試験は、「超微小硬度計ENT1100」(エリオニクス社製)を用いて行った。本装置は、圧子を試料へ押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さを負荷時から除荷時まで測定することにより、負荷荷重−押し込み深さ曲線を得、この曲線から微小圧縮硬度・弾性率等のデータを得るものである。該装置を用いた測定方法は、装置に付属の「ENT1100操作マニュアル」に記載されているが、具体的には以下の通りである。
圧子としては接触面が20μm四方の平面である平圧子を用い、温度27℃、湿度60%RHの環境下で測定した。最大荷重を9.8×10−4Nに設定し、荷重0N/secから始めて9.8×10−5N/secの割合で荷重を増加させた。この際、荷重が2.0×10−4Nに達したときの変位量をX20(μm)とした。また、最大荷重(9.8×10−4N)に到達後、0.1secの間、その荷重で保持し、保持後における変位量を最大変位量X100(μm)とした。
実際の測定においては、セラミックセル上にトナーを塗布した後、トナーがセル上に分散するように微弱なエアーを吹き付け、そのセルを装置にセットして、以下のようにして測定を行う。
測定対象の粒子としては、装置付帯の顕微鏡を覗きながら測定用画面にトナー粒子が単独で存在しているもの選択する(外添剤がトナー粒子表面に付着していてもかまわない)。 但し、変位量の誤差を極力無くすため、粒子径(D)が個数平均粒径(D1)の±0.20μmの範囲にあるもの(D1+0.20≧D≧D1−0.20)を選択する。なお、超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定し、それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]をもって粒子径D(μm)とした。また、トナー粒子の個数平均粒径(D1)は、前述する方法により、別途算出した。
測定に際しては、粒子径D(μm)が上記条件を満たす任意のトナー粒子100個を選んで測定を行う。そして、その100個分のデータの内、得られた最大変位量X100(μm)の最大値側、及び最小値側からそれぞれ10個のデータを与えるトナー粒子を除いた残り80個のトナー粒子のデータを有効データとして使用した。得られたデータを用い、選択されたトナー粒子80個それぞれについて、X20および最大変位量X100(μm)を粒子径D(μm)で除した計算値を求め、その計算値の80個の粒子における相加平均値を求め、この平均値をもってX20/D及びX100/Dとした。
本発明に用いるトナーはフローテスターによる測定において100℃での粘度が8,000〜80,000Pa・sであると望ましく、15,000〜65,000Pa・sであるとより望ましく、15,000〜55,000Pa・sであると更に望ましく、15,000〜42,000Pa・sであると一層望ましく、20,000〜42,000P
a・sであるとより一層望ましい。100℃での粘度が8,000Pa・s以上であると保存安定性の点で優れる。且つ、トナー供給部材やトナー規制部材にトナーが融着、固着するなどによる汚染が抑えられるため、長期使用においてもトナーに対して十分に摩擦帯電がなされる点で望ましい。80,000Pa・s以下であると低温での定着性に優れるため望ましい。更に、トナー供給部材およびトナー規制部材およびトナー同士での摩擦帯電において、トナー粒子から無機微粉体が剥離しにくいため本発明の効果が十分得られ、且つ無機微粉体によるトナー供給部材およびトナー規制部材、潜像担持体の汚染を抑制できるため望ましい。
トナーの粘度は以下のように求められる。
<トナーの100℃における粘度の測定方法>
トナーの100℃における粘度の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。尚、本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際の温度とピストンの降下量との関係を計測する。
本発明においては、50℃から200℃までの測定を行い、100℃において算出された見かけの粘度を、トナーの100℃における粘度(Pa・s)とする。100℃における見かけの粘度η(Pa・s)は次のようにして算出する。
まず、下記式(1)よりフローレートQ(cm3/s)を計算する。式中、ピストンの断面積をA(cm2)、100℃時点におけるピストンの位置に対して上下0.10mm(間隔としては0.20mm)の間をピストンが降下するのに要した時間を△t(秒)とする。
Q=(0.20×A)/(10×△t) ・・・ (1)
そして、得られたフローレートQを用いて、下記式(2)より100℃における見かけの粘度ηを算出する。式中、ピストン荷重をP(Pa)、ダイの穴の直径をB(mm)、ダイの長さをL(mm)とする。
η=(π×B4×P)/(128,000×L×Q) ・・・ (2)
測定試料は、約1.0gのトナーを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
本発明に用いるトナーの平均円形度は0.940以上0.995以下であることが望ましく、0.950以上0.995以下であるとより望ましく、0.960以上0.995以下であると更に望ましく、0.970以上0.990以下であると特に望ましい。これ
は、トナーの平均円形度が0.940未満であるとトナーの帯電性および流動性に劣る傾向にあり、0.995超であるとクリーニング性に劣る傾向にあるためである。また特に、0.970以上であると高画質な画像が得られるため望ましい。
<トナーの平均円形度の測定>
フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合には1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
具体的な測定方法としては、まず、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意する。その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させた。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行った。トナーの円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー濃度が3,000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナーを1,000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナーの平均円形度を求めた。
本発明に用いるトナーはの2.0μm以下のトナーの割合が2.0〜20.0個数%であると望ましく、2.0〜10.0個数%であると更に望ましく、且つ該トナーの1.0μm以下のトナーの割合が1.0〜6.0個数%であると望ましい。これは、トナー担持体やトナー規制部材への汚染、融着といった点で望ましく、長期間の使用においてより高画質な画像が得られるためである。
上記トナーの平均円形度の制御方法としては水系媒体中で製造を行なう手法が本発明において望ましい。特に懸濁重合による製造が望ましい。その際トナー製造時に極性樹脂を含有させ、該極性樹脂の酸価や組成、含有量を調整すると本発明のトナーにおいては特に望ましい。
次に、本発明に用いられるトナーは、結晶性ポリエステルを含有すると望ましい。これは、結晶性ポリエステルのシャープメルト性により、定着性と耐久性の両立が高いレベルで達成されるからである。
該結晶性ポリエステルは2価以上の多価カルボン酸とジオールの反応により得ることができる。その中でも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリエステルが、結晶化度が高く好ましい。結晶性ポリエステルは、1種類のみを用いても、複数種を
併用しても良い。更に、結晶性ポリエステルの他に非晶質のポリエステルをトナーに含有させても良い。本発明において結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量測定(DSC)において昇温時に吸熱ピークがあり、降温時に発熱ピークを有するポリエステルを指し、その測定は「ASTM D 3417−99」に準じて行なう。
このような結晶性ポリエステルを得るためのアルコール単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタジエングリコールその他が挙げられる。
また、本発明においては上記の如きアルコール単量体が主成分として用いられるが、上記成分の他に、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の二価のアルコール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価のアルコール等を用いても良い。
上記結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸単量体としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n−ドデシルコハク酸、n−デドセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸の無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、本発明においては上記の如きカルボン酸単量体を主成分として用いるが、上記の成分の他に三価以上の多価カルボン酸を用いても良い。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。
特に好ましい結晶性ポリエステルとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、テトラメチレングリコール及びエチレングリコールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステル、ヘキサメチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、テトラメチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、ジエチレングリコールとデカンジカルボン酸とを反応して得られるポリエステルを挙げることができる。該結晶性ポリエステルは飽和ポリエステルであると一層望ましい。該結晶性ポリエステルが不飽和部分を有する場合と比較して、重合開始剤との反応で架橋反応が起こらないため、該結晶性ポリエステルの溶解性の点で有利なためである。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造する
ことができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコ−ル成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。該触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であると更に望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためであり、また、チタン触媒を用いて作製された結晶性ポリエステルの方が作成中にポリエステル内部に取り込まれたチタンもしくはチタン触媒がトナーの帯電性の点で優れるためである。キレート型チタン触媒であるとそれらの効果が大きく、トナーの耐久性も向上するためである。
結晶性ポリエステルの酸価と水酸価の関係を調整するためには、アルコール単量体の使用量によってこの関係を調整することができる。
すなわち、前記アルコール単量体と前記カルボン酸単量体との比率をモル比で1.01〜1.10:1と、アルコール単量体を多めに使用することで調整することが可能である。酸価自体の調整については、反応を経時で追跡し、酸価が適当な範囲内になった時点でポリエステル化を終了すればよい。
結晶性ポリエステルの融点としては、60〜110℃であることが好ましい。結晶性ポリエステルの融点が60℃より低い場合は、トナーのブロッキングが生じやすくなり、保存性が低下する可能性がある。一方、結晶性ポリエステルの融点が110℃よりも高いと低温定着性が損なわれるため好ましくない。また、本発明において好適なトナーの製造方法である懸濁重合法によりトナーを得る場合においては、結晶性ポリエステルの重合性単量体への溶解性が悪化し易く、着色剤や結晶性ポリエステル等のトナー構成材料の分散性が悪化するため、カブリの増加を生じる。結晶性ポリエステルの融点が、60〜110℃であると、保存性、定着性が維持でき、かつ重合法によりトナー粒子を製造する場合に重合性単量体への溶解性が高くなり、好ましい。結晶性ポリエステルの融点は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。また結晶性ポリエステルの融点は、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合度等によって調整することができる。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は2,000〜10,000であることが好ましい。2,000〜10,000の範囲に数平均分子量を有する結晶性ポリエステルによれば、得られるトナー粒子において、結晶性ポリエステルの分散性が向上され、耐久安定性が向上するため望ましい。
結晶性ポリエステルの数平均分子量が2,000未満の場合では、結晶性ポリエステルの密度が低くなり、耐久安定性は向上しないことがある。一方、結晶性ポリエステルの数平均分子量が10,000を超える場合には、結晶性ポリエステルの溶融に時間がかかり、分散状態が不均一になるために、現像安定性の向上効果が低くなってしまうことがある。結晶性ポリエステルの数平均分子量は、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合時間や重合温度等によって調整することができる。
結晶性ポリエステルの酸価(AV)は0.0〜20.0mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜20.0mgKOH/gであるとより望ましく、1.0〜20.0mgKOH/gであると特に望ましい。酸価を下げることにより、画像形成時におけるトナーと紙との接着性は向上する。また重合法によりトナー粒子を製造する場合、結晶性ポリエステルの酸価(AV)が20.0mgKOH/g以下であると、トナー粒子同士の凝集が起こりにくくなる傾向にあり、また、トナー中における該結晶性ポリエステルの分布状態に偏りが出にくくなるため、帯電安定性及び耐久安定性が向上し望ましい。また、特に該結晶性ポリエステルの酸価が1.0以上であるとトナー中における該結晶性ポリエステルの分布がコア部に集中せず、中間および表層近傍にもある一定割合以上分布するため低温定着性、耐オフセット性およびカブリ、転写性、トナー層規制部材やトナー担持体への融着といった点で望ましい。
結晶性ポリエステルの酸価の測定方法は、特に限定されるものではないが、例えばJIS K0070−1992に示される方法を挙げることができる。また上記の方法によって結晶化ポリエステルの水酸基価を測定することができる。
結晶性ポリエステルのキシレン不溶分は0.1〜5.0質量%であると望ましく、0.1〜2.0質量%であるとより望ましい。これは0.1質量%以上であると耐久性、耐熱性の点で望ましく、5.0質量%以下であると溶解性の点で望ましいからである。
結晶性ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分の割合の測定方法は以下の通りである。
サンプル作製としては、樹脂10.00gをキシレン1000.0gに分散し、72時間静置したものを遠心分離機により、遠心分離を行い、上澄み液を除去した後、40℃で8時間真空乾燥し、キシレン不溶分を得た。
該結晶性ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分の割合=(得られたキシレン不溶分の重量/10.00)×100(wt%)
として算出した。
遠心分離の条件は以下の通りである。
遠心分離機:H−9R(株式会社コクサン製)
回転速度:15000rpm
回転時間:10分
温度 :15℃
本発明のトナーは、結着樹脂に対して結晶性ポリエステルを3.0〜30.0質量%含有することが好ましく、3.0〜25.0質量%含有することがより好ましく、3.0〜20.0質量%含有することが特に好ましい。結晶性ポリエステルの含有量が3.0質量%以上では、定着性がより良好であり、こすり濃度の低下を抑制する点でもより望ましい。また、結晶性ポリエステルは吸湿し易いため、その含有量が結着樹脂に対して30質量%よりも多いとトナーの帯電の均一性が損なわれ易く、カブリの増加等を招くので好ましくない。特に20質量%以下であるとトナーの帯電性に関して望ましい。
一方、結晶性ポリエステルの含有量が30質量部より大きくなる場合には、過剰な結晶性ポリエステルの存在による結着樹脂への相溶が起こりやすくなり、溶融粘度の低下が起こるためにオフセットが発生し易くなる問題がある。さらに、重合トナーでは、トナー粒子の表面形状の平滑性が低下することから、帯電特性が低下し、画像濃度が低下することがあるため望ましくない。
本発明に用いるトナーのBET比表面積は1.5〜3.5(m2/g)であると望ましく、1.7〜3.5(m2/g)であると更に望ましく、1.7〜3.0(m2/g)であると特に望ましい。これはBET比表面積が1.5(m2/g)以上であるとトナーが
長期間にわたって十分な流動性を得られ、3.5(m2/g)以下であるとトナー規制部材や潜像担持体の汚染、クリーニング不良に対して優れた性能を有することになるため望ましい。
<BET比表面積の測定方法>
上記トナーのBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、トナーに窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)とトナーの窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、トナーの表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、トナーのBET比表面積S(m2・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約1.5gのトナーを入れる。
トナーを入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、トナーが真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からトナーの正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のトナーが大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、トナーが入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナーに窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにトナーのBET比表面積を算出する。
本発明に用いるトナーは極性樹脂を有し、該極性樹脂は少なくともチタン触媒を使用して重合した非晶性ポリエステル樹脂であると望ましい。これは、トナーの帯電性、及び耐久性の点で優れているためである。特にキレート型チタン触媒を用いて製造したポリエステル樹脂は耐熱性の点で優れるためである。
特に水系媒体中でトナーを製造する場合は、非晶性ポリエステル樹脂の含有量は0.50〜20.0質量%が望ましく、より望ましくは0.50〜15.0質量%、更に望ましくは1.0〜10.0質量部であり、1.0〜8.0質量部であると特に望ましい。0.50質量%以上では非晶性ポリエステル層が十分な厚みを持ってトナー表面全域を覆え、特に機械的特性、帯電性の点で効果が大きく、望ましい。また、ワックスの内包化が十分なため現像性、耐久性に優れるため望ましい。20.0質量%以下の場合、トナーの低温定着性の点で優れ、更にワックスによる迅速な離型層の形成がなされるため、耐オフセット性の点でも望ましい。更には粒径分布がシャープになり、帯電分布もシャープになること、加えて湿度のトナーへの影響が小さく、トナーの帯電安定性に優れるため望ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂の酸価は3.0〜25.0mgKOH/gであると望ましく、4.0〜20.0mgKOH/gであると更に望ましく、4.0〜15.0mgKOH/gであるとより一層望ましく、4.0〜10.0mgKOH/gであると特に望ましい。酸価が3.0mgKOH/g以上では該非晶性ポリエステルはトナー表面に均一な層を形成する点で望ましく、25.0mgKOH/g以下ではトナー化した際に湿度の影響を受けにくく帯電安定性の点で望ましい。加えて、該非晶性ポリエステル樹脂はトナーと水系媒体との中間の極性を持つことでトナー粒子製造時において分散安定成分としての作用が得られるが、酸価が3.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下では、トナー表層に安定した状態で均一に分布するため効果が大きく、異形粒子発生が抑えられ、トナーの帯電分布において均一となり、望ましい。
本発明のトナーにおいては該非晶質ポリエステルの酸価は該結晶性ポリエステルの酸価より高いことが望ましい。これは結晶性ポリエステルの酸価が非晶性ポリエステルの酸価より高い場合は該結晶性ポリエステルとワックスとの相互作用が低下する為である。
ポリエステル樹脂の酸価は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070−1992に準ずる。
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行なう。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結着樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行なう。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
前記非晶性ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分が5.00質量%以下であると望ましく、2.50質量%であると更に望ましい。これは、キシレン不溶分が5.00質量%以下であると異形粒子を生成しにくく、帯電性や耐久性の点で望ましい。特にカブリ、フィルミングの発生といった点で望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分の割合の測定方法は以下の通りである。
サンプル作製としては、樹脂10.00gをキシレン1,000.0gに分散し、72時間静置したものを遠心分離機により、遠心分離を行い、上澄み液を除去した後、40℃で8時間真空乾燥し、キシレン不溶分を得た。
ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分の割合=(得られたキシレン不溶分の重量/10.00)×100(wt%)
として算出した。遠心分離の条件は以下の通りである。
遠心分離機:H−9R(株式会社コクサン製)
回転速度:15000rpm
回転時間:10分
温度 :15℃
前記非晶性ポリエステル樹脂はガラス転移点(Tg)が、50乃至80℃、好ましくは60乃至80℃が好ましい。より好ましくは65乃至80℃であり、更に好ましくは70
乃至76℃である。特に好ましくは73乃至76℃が良い。ガラス転移点が50℃未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性、耐久性が低下する。ガラス転移点が80℃を超える場合には、トナーの低温での定着性、耐低温オフセット性が低下する。なお、Tgは中点法により求められる値を示す。
前記非晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が6,000乃至100,000であることが好ましく、より好ましくは6,500乃至85,000、更に好ましくは6,500乃至45,000である。
前記非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が6,000未満の場合、連続画像出力においてトナー表面の外添剤が耐久によって埋没しやすく、転写性の低下を招きやすくなる。逆に、重量平均分子量が100,000を超える場合には、重合性単量体に該非晶性ポリエステル樹脂を溶解するのに時間を多く費やしてしまう。さらに、重合性単量体組成物の粘度が上昇し、粒径が小さくかつ、粒度分布の揃ったトナーが得にくくなる。
前記非晶性ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が3,000乃至80,000であることが好ましく、より好ましくは3,500乃至60,000、更に好ましくは3,500乃至12,000である。前記非晶性ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)における分子量分布のメインピーク値(Mp)が、分子量4,500乃至40,000の領域、より好ましくは分子量6,000乃至30,000の領域に存在することが良い。より好ましくは分子量6,000乃至20,000の領域である。上記範囲外であると重量平均分子量の場合と同様の傾向を示す。
前記非晶性ポリエステル樹脂はMw/Mnが1.2乃至3.0、より好ましくは1.5乃至2.5が良い。Mw/Mnが1.2以上の場合には、トナーの多数枚耐久性及び耐オフセット性の点で望ましく、3.0以下の場合には、低温定着性の面で望ましい。
前記非晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、エステル交換反応で製造される。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。好ましくはチタン化合物を用いるのが良い。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
特に好ましい製造方法は、原料の多様性、反応のしやすさからカルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応である。
縮合系樹脂としてポリエステルを用いる際のポリエステルの組成について以下に説明する。
ポリエステルは、全成分中43〜57mol%がアルコール成分であり、57〜43mol%が酸成分であることが好ましい。
アルコール成分としては、エチルグリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(I)
で示されるジオールの如きジオール類が挙げられる。
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジフェニル−P・P′−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸,ジフェニルメタン−P・P′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸,1,2−ジフェノキシエタン−P・P′−ジカルボン酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリエチレンジカルボン酸、マロン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
特に好ましいアルコール成分としては前記化学式(I)式で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸が挙げられる。
前記ポリエステルユニットは、2価のジカルボン酸及び2価のジオールから合成することにより得ることが可能であるが、場合により、3価以上のポリカルボン酸又はポリオールを、本発明に悪影響を与えない範囲で少量使用しても良い。
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシルプロパン、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、スルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、
1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−メタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
前記非晶性ポリエステル樹脂は芳香族系飽和ポリエステルであると望ましい。これは、トナーの帯電性、耐久性、定着性に優れ、トナー及びポリエステルの物性の制御が容易であるためである。特に芳香族の有するπ電子の相互作用により帯電性に優れる。また、不飽和ポリエステルを含有していると、トナーを作製する際に不飽和部が反応し、架橋することでトナーが硬くなるため、特に定着性において劣るため望ましくない。
トナー、ポリエステル樹脂のガラス転移点及びワックスの融点はDSC測定により求められる。
DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン社製のDSC−2920が利用できる。
本発明ではTAインスツルメンツジャパン社製DSC−2920を用いて測定を行なう。
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行なう。測定試料は10mgを精秤する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行なう。この昇温過程で温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。この時の比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移点とする。また、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得る。
本発明に用いられるトナーはスルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂を含有していると望ましい。これは、長期使用において、トナーの帯電性が安定するためである。
更に前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂のガラス転移温度が50〜100℃、より好ましくは50〜80℃であると望ましい。これはガラス転移温度が100℃以上であるとトナーの定着性が低下してしまうためであり、50℃未満では保存安定性が悪く、また画像形成の過程において部材汚染を引き起こし易いため望ましくない。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂は、ある程度の酸価を有することが好ましく、一般的に塩基性を有することの多い着色剤との組み合わせにおいて、該樹脂の酸と着色剤の塩基が結合するように分布するため顔料の電荷リークサイトを該樹脂で覆うためトナーが優れた帯電性を有することとなり好ましい。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂を製造するために用いられる単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、或いは、下記構造を有するマレイン酸アミド誘導体、マレイミド誘導体、スチレン誘導体が挙げられる。好ましくは、スルホン酸基を含有する(メタ)アクリルアミドである。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であることが好ましい。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系芳香族炭化水素、(メタ)アクリル酸エステルの如き重合性単量体が好ましく用いられる。より具体的には、以下に例示する如き単量体を用いることができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリルレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエ
チルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル酸エステル;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントテラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルが挙げられる。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂は、該スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有するモノマーに由来するユニットを0.01乃至20質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.05乃至10質量%、さらに好ましくは0.1乃至7質量%含有することが好ましい。0.01質量%未満の場合には、該スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の添加効果が十分に得られず、また20質量%を超える場合には、トナー化する際に結着樹脂との相溶性が悪化しやすくなるためトナーの形状を制御する上で望ましくない。また、製造時において吸湿性の増大から水分やカウンターイオンなどを保持しやすいため不純物が残留しやすいため望ましくない。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂は、イオン性基および非イオン性の電子供与基および電子吸引基を置換基に有しない芳香族を側鎖に有するモノマーユニットを0.01乃至10質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.10乃至5.0質量%含有するとトナー中における分散状態がより良好となり好ましい。特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル系のモノマーユニットの場合その効果が大きい。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂は、
X(SO3 −)n・mYk+
(X:前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Y+;カウンターイオンを表し、
kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)
の如き構造を有する。カウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンであることが良く、より好ましくは水素イオンである。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の酸価(mgKOH/g)は3乃至80が好ましく、より好ましくは5乃至40、さらに好ましくは10乃至30である。
酸価が3未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、かつ環境安定性に劣る傾向がある。逆に、酸価が80を超える場合には、この様な樹脂を含有する組成物を用いて、懸濁重合で粒子を造る場合、トナー粒子がいびつな形状を有する様になり、円形度が小さくなってしまい、含有する離型剤がトナー表面に現れ、現像性の低下を引き起こしやすくなる。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂は、結着樹脂100質量部当り0.01乃至15質量部含有されていることが好ましく、より好ましくは0.1乃至10質量部が良い。
スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する単量体の含有量が0.01質量部未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、15質量部を超えると、水系媒体中において造粒を行なう際に、造粒性が低下し、現像性や転写性の低下を引き起こす。
更に、本発明においては、結着樹脂100質量部当り0.001乃至3質量部のスルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有するモノマーに由来するユニットを含有していることが好ましく、更には0.005乃至2質量部、特には0.01乃至1.5質量部が好ましい。
トナー中のスルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の含有量は、X線光電子分光分析等の任意の方法により測定される。また、キャピラリー電気泳動法などを用いて測定することもできる。
前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)が500乃至100,000が好ましい。より好ましくは1,000乃至70,000であり、さらに好ましくは5,000乃至50,000である。重量平均分子量(Mw)が500未満の場合には、部材汚染を生じやすく、重量平均分子量(Mw)が100,000を超える場合には、単量体への溶解に時間がかかることに加え、相溶性の低下からトナー中において均一に分散せず、トナーの帯電性において効果が十分に得られず、更には顔料の分散性を向上させる効果が小さくなり、トナーの着色力が低下してしまう。
なお、上記の如き物性を求めるにあたって、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂のトナーからの抽出を必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量(Mw)において、2,000〜5,000の
間に少なくともピークまたはショルダーを有していることが望ましい。これはトナーの低温定着性、耐オフセット性、耐久性において優れるためである。
トナー、スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の分子量及び分子量分布はGPCにより次の条件で測定される。
結着樹脂、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂のGPCによる分子量及び分子量分布は以下の方法で測定される。
GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用いて、下記の測定条件で測定することができる。
<測定条件>
・カラム(昭和電工株式会社製):Shodex GPC KF−801,Shodex GPC KF−802,Shodex GPC KF−803,Shodex GPC KF−804,Shodex GPC KF−805,Shodex GPC KF−806,Shodex GPC KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・温度:40℃
・流速:1.0ml/min
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・検出器:RI
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
試料は以下のようにして作製する。
試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて測定する。
本発明においては、前記非晶性ポリエステル樹脂の酸価(AV1)と前記スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の酸価(AV2)とが、AV1<AV2<3.5×AV1であると望ましく、AV1<AV2<2.5×AV1の関係を満たしているとより望ましく、AV1<AV2<2.0×AV1の関係を満たしていると更に望ましい。この場合には、湿式法によるトナー粒子の製造時の造粒工程において、水系媒体中で、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂が非晶性ポリエステル樹脂と共存しつつ、液滴の最表面に偏在する割合が多くなるため、トナーの帯電能としてはスルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の帯電性能を有効に発揮できるため好ましい。本発明においては特に、AV1<AV2<2.0×AV1の場合は、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の存在状態が最適化されていることから、定着時の熱の伝導が、何れのトナー表面からも均一且つ迅速に行われるため定着性の点でも望ましい。
この効果はトナー中に含有されるワックスがパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックスの場合に顕著である。これは、エステルワックス等と比較すると、ポリメチレンワックスの極性が低く、トナー表面近傍に分布する量が少ないため、結果としてスルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の存在状態の影響が大きくなるためである。この際、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステル基を有する樹脂の酸価の測定方法は非晶性ポリエステル樹脂の酸価の測定方法と同様である。
前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量(Mw)において、2,000〜5,000の間に少なくともピークまたはショルダーを有していることが望ましい。これはトナーの低温定着性、耐オフセット性、耐久性において優れるためである。
ワックスとしては、重量平均分子量(Mw)が350乃至4,000、数平均分子量(Mn)が200乃至4,000であることが好ましく、より好ましくはMwが400乃至3,500、Mnが250乃至3,500である。Mwが350未満、Mnが200未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する傾向にあり、Mwが4,000を超え、Mnが4,000を超える場合には、ワックス自体の結晶性が高まり、OHP定着画像の透明性が低下する傾向にある。
ワックスの分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
ゲルクロマトグラフ用のo−ジクロロベンゼンに、特級2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を濃度が0.10wt/vol%となるように添加し、室温で溶解する。サンプルビンにワックスと上記のBHTを添加したo−ジクロロベンゼンとを入れ、150℃に設定したホットプレート上で加熱し、ワックスを溶解する。ワックスが溶けたら、予め加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPCサンプルとする。尚、サンプル溶液は、濃度が約0.15質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置: HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
検出器: 高温用RI
カラム: TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
温度: 135.0℃
溶媒: ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン(BHT 0.10wt/vol%添加)
流速: 1.0ml/min
注入量: 0.4ml
ワックスの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
本発明のトナーには、必要に応じて低軟化点物質、いわゆるワックスを用いることができる。
本発明で用いるワックスの少なくとも1つは、融点(温度20乃至200℃の範囲にお
けるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30乃至120℃、好ましくは50乃至100℃であるものが良い。また、室温で固体の固体ワックスが好ましく、特に融点50乃至100℃の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点で良い。
本発明のトナーに用いられる離型剤として機能するワックス成分としては、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどの植物系ワックス、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如きポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、ケトン、エーテル、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体などが挙げられ、これらは低分子量成分が除去されたDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。
また、これらワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものも好ましい。
また、これらワックスが適度な防湿性を有していると高温高湿環境下での使用において更に望ましい。
好ましく用いられるワックスとしては、トナー中への内包化に有利で、遊離ワックスがほぼ発生しないため、トナーの現像性を阻害しないことから、少なくとも1つはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックスやエステルワックスが挙げられる。特に望ましくはフィッシャートロプシュワックスである。本発明のトナーにおいては、特にフィッシャートロプシュワックスやエステルワックスであると効果が顕著である。これらのなかでも、融点が60〜100℃の範囲内のものが好ましい。エステルワックスとしては、3官能以上の多価アルコールとカルボン酸とから形成された多官能エステル化合物が、より好ましい。
3官能以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ペンタグリセロールなどの脂肪族アルコール;フロログルシトール、クエルシトール、イノシトールなどの脂環式アルコール;トリス(ヒドロキシメチル)ベンゼンなどの芳香族アルコール;D−エリトロース、L−アラビノース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ラムノース、サッカロース、マルトース、ラクトース等の糖;エリトリット、D−トレイット、L−アラビット、アドニット、キシリットなどの糖アルコール;などを挙げることができる。これらの中でも、ペンタエリスリトールが好適である。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸、アラキジン酸、セロチン酸、メリキシン酸、エリカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニル酸、テトロル酸、キシメニン酸などの脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸などの脂環式カルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸、トリメリト酸、ヘミメリト酸などの芳香族カルボン酸;などを挙げることができる。これらの中でも、炭素原子数が好ましくは10〜30個、より好ましくは13〜25個のカルボン酸が好適であり、該炭素原子数の脂肪族カルボン酸がより好ましい。脂肪族カルボン酸の中でも、ステアリン酸及びミリスチン酸が特に好ましい。多官能エステル化合物としては、
下記式(I)
(ただし、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基であり、アルキル基またはフェニル基の炭素原子数は、好ましくは10〜30個、より好ましくは13〜25個である。)で表される化合物が好ましい。
多官能エステル化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラステアレート〔式(I)中、R1、R2、R3、及びR4のいずれもがCH3(CH2)16基である化合物〕、ペンタエリスリトールテトラミリステート〔式(I)中、R1、R2、R3、及びR4のいずれもがCH3(CH2)12基である化合物〕、グリセロールトリアラキン酸などを挙げることができる。多官能エステル化合物は、重合性単量体に容易に溶解するものが好ましい。
多官能エステル化合物の中でも、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等ジペンタエリスリトールエステルが、重合安定性、重合トナーの保存時の耐ブロッキング性、低温定着性が優れることから、特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
更には、トータルの炭素数が同一のエステル化合物を50〜95質量%(ワックス基準)含有しているエステルワックスが中でも好ましい。トータルの炭素数が同一のエステル化合物の含有量は、下記に説明するガスクロマトグラフィー法(GC法)によって測定することができる。
ガスクロマトグラフィー法(GC法)による炭素数が同一のエステル化合物の含有量の測定には、GC−17A(島津製作所製)が用いられる。試料は、予めトルエンに1質量%濃度で溶解させた溶液1μlをオンカラムインジェクターを備えたGC装置に注入する。カラムは、0.5mm径×10m長のUltraAlloy−1(HT)を用いる。カラムは初め40℃から40℃/min.の昇温スピードで200℃迄昇温させ、更に15℃/min.で、350℃迄昇温させ、次に7℃/min.の昇温スピードで450℃迄昇温させる。キャリアガスは、Heガスを50kPaの圧力条件で流す。化合物種の同定は、別途炭素数が既知のアルカンを注入し同一の流出時間同士を比較したり、ガス化成分をマススペクトマトグラフィーに導入することで構造を同定する。エステル化合物の含有量はクロマトグラムの総ピーク面積に対するピーク面積の比を求めることで算出する。
重合法により、トナーを生成する場合には、ワックスは、重合性単量体100質量部に対して1乃至40質量部、より好ましくは、10〜30質量部配合することが好ましく、トナーとしては、結着樹脂100質量部当りワックス1乃至40質量部、より好ましくは、10〜30質量部含有されるのが良い。
溶融混練粉砕法による乾式トナー製法に比べ、重合法によるトナー製法においては、極
性樹脂によりトナー内部に多量のワックスを内包化させ易いので乾式トナー製法と比較し、一般に多量のワックスを用いることが可能となり、定着時のオフセット防止効果は更に優れたものとなる。
ワックスの添加量が下限より少ないとオフセット防止効果が低下しやすい。逆に上限を超える場合では耐ブロッキング効果が低下し耐オフセット効果にも悪影響を与えやすいばかりでなく、トナーのドラム融着、トナーの現像スリーブ融着を起こしやすく、重合法によりトナーを生成する場合には粒度分布の広いトナーが生成する傾向にある。
本発明に使用されるワックスは、135℃における溶融粘度は1〜300cPsであることが好ましく、更に好ましくは3〜50cPsを有するワックスが特に好ましい。1cPsより低い溶融粘度を有する場合は、非磁性一成分現像方式で塗布ブレード等により現像スリーブにトナー層を薄層コーティングする際、機械的なズリカによりスリーブ汚染を招きやすい。300cPsを超える溶融粘度を有する場合には、重合法を用いてトナーを製造する際、重合性単量体組成物の粘度が高くなり、粒度分布のシャープな微小粒径のトナーを得ることが困難となる。
ワックスの溶融粘度は、HAAKE社製VP−500にてコーンプレート型ローター(PK−1)を用いて測定することができる。
また、ワックスの針入度は、14以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下が望ましい。針入度が14を超える場合には、感光ドラム表面上にフィルミングを発生し易くなる。尚、針入度の測定は、JIS−K2235に準ずる。
なお、上記の如き物性を求めるにあたって、ワックスのトナーからの抽出を必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。一例を挙げると、所定量のトナーをトルエンにてソックスレー抽出し、得られたトルエン可溶分から溶剤を除去した後、クロロホルム不溶分を得る。その後、IR法などにより同定分析をする。また、定量に関しては、DSCなどにより定量分析を行なう。
本発明のトナーは、荷電制御剤を使用しても良い。トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、下記の物質が挙げられる。例えば、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、けい素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体が挙げられる。これらの中でも、本発明のトナーにおいては含金属サリチル酸系化合物の如き荷電制御剤が好ましく用いられる。本発明のトナーを懸濁重合により作製する場合は特に好ましい。
又、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、下記の物質がある。例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;これらを単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
荷電制御剤は、トナー中の結着樹脂100質量部当り、0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部となる様に含有させるのが良い。
本発明に用いられる結着樹脂としては、特に制限されるものではなく、トナー用樹脂として一般に用いられている樹脂が使用できる。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。これらは、単独あるいは混合して使用できる。
特に本発明のトナーにおいては2,000≦Mw≦6,000の樹脂を含有させることで該トナーのフローテスターで測定した場合の粘度を所望の範囲にしても良く、その際には優れた定着性および耐久性を両立させやすいため望ましい。
本発明のトナーは、着色剤を含有している。黒色着色剤としては、カーボンブラック、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.PigmentYellow 3,7,10,12,13,14,15,17,23,24,60,62,74,75,83,93,94,95,99,100,101,104,108,109,110,111,117,123,128,129,138,139,147,148,150,166,168,169,177,179,180,181,183,185,191:1,191,192,193,199が好適に用いられる。染料系としては、例えば、C.l.solventYellow33,56,79,82,93,112,162,163、C.I.disperse Yellow42.64.201.211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましい。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、
7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し1乃至20質量部となる様に添加して用いられる。
本発明における重合法を用いてトナーを得る場合、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。好ましくは、着色剤の表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。着色剤を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら着色剤の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体組成物に添加するのが好ましい。また、カーボンブラックについては、上記着色剤と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等でグラフト処理を行ってもよい。
次に、本発明のトナーに好適に用いられる製造方法について説明する。本発明のトナーに好適に用いられる製造する方法としては、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に記載されている懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法によるトナー化;単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナーを生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法によるトナー化;マイクロカプセル製法のような界面重合法、in site重合法によるトナー化;コアセルベーション法によるトナー化;特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報に開示されている様な少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る会合重合法によるトナー化;単分散を特徴とする分散重合法によるトナー化;非水溶性有機溶媒に必要な樹脂類を溶解させた後水中でトナー化する乳化分散法によりトナーを得る方法が挙げられる。
中でも、懸濁重合法、会合重合法、乳化分散法によるトナーの製造が好ましい。より一層好ましくは小粒径のトナーが容易に得られる懸濁重合方法が望まれる。さらに一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。このとき、吸着せしめる単量体中に、極性を有する化合物を分散あるいは溶解させて使用することも可能である。
トナーの製造方法として懸濁重合を利用する場合には、以下の如き製造方法によって直接的にトナーを製造することが可能である。単量体中に離型剤、着色剤、重合開始剤、架橋剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を有する水系媒体中に通常の攪拌機またはホモミキサー、ホモジナイザーにより分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナーのサイズを有するように攪拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行なえば良い。重合温度は40℃以上、通常50〜95℃(好ましくは55〜85℃)の温度に設定して重合を行なう。重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じpHを変更しても良い。更に、定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。
造粒中の水系媒体中のpHは特に制約は受けないが、好ましくは、pH4.5〜13.0、更に好ましくは4.5〜12.0、特に好ましくは4.5〜11.0、最も好ましく
は4.5〜7.5である。pHが4.5未満の場合は分散安定剤の一部に溶解がおこり、分散安定化が困難になり、造粒出来なくなることがある。またpHが13.0を超える場合はトナー中に添加されている成分が分解されてしまうことがあり、十分な帯電能力が発揮出来なくなることがある。造粒を酸性領域で行った場合には、分散安定剤に由来する金属のトナー中における含有量が過剰となるのを抑制することができ、本発明の規定を満たすようなトナーが得られやすくなる。
また、トナー粒子の洗浄をpH3以下、より好ましくは、pH1.5以下の酸を用いて行なうことが好ましい。トナー粒子の洗浄を酸で行なうことにより、トナー粒子表面に存在する分散安定剤を低減することができる。洗浄に用いる酸としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸の如き無機酸を用いることができる。これによりトナー粒子の帯電性を所望の範囲に調整することも可能である。
本発明に用いられる分散安定剤としては、例えばリン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイドなどが挙げられる。
又、分散安定剤としては、少なくともマグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、燐のいずれかが含まれているものが用いられるが、好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、燐のいずれかが含まれていることが望まれる。
上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。
これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01〜2.00質量部を使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため0.001〜0.100質量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
本発明のトナーを重合法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。
前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン,p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメ
チルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2′−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルが挙げられる。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。更にこれらにマクロモノマーを組み合わせて使用することも可能である。
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、本発明で用いられるもの以外にも本発明の効果を阻害しない範囲であれば油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が適宜用いることが可能である。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルの如きアゾ化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジt−ブチルパーオキシイソフタレート、ジt−ブチルパーオキサイドの如き過酸化物などが挙げられる。
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1
−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−
アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、塩酸塩硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
また本発明においては、架橋剤を用いて架橋を有する樹脂とすることもでき、架橋剤として、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いることができる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独もしくは混合物として用いられる。
本発明のトナー粒子の形状係数を制御する方法としては、例えば、乳化重合、懸濁重合、分散重合などによる重合法によりトナー粒子を製造する際の重合条件をコントロールしてトナーを製造する方法が挙げられる。
具体的にはトナー粒子を製造する際の分散安定剤の種類及び量、撹拌条件、水層のpH及び重合条件、添加剤の分子量をコントロールすることにより、トナー粒子の形状係数を調整することができる。更には生成したトナー粒子を乾燥させた後、分級や篩いなどの手段を用いることで所望の粒度、粒度分布、円形度のトナー粒子を得ることも可能である。
また、懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る方法においては、重合単量体の重合反応を阻害無く行わせしめるという観点からも、極性樹脂を同時に添加することが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,スチレンと不飽和カルボン酸エステル等との共重合体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量体、アクリル酸或はメタクリル酸等の不飽和カルボン酸、その他不飽和二塩基酸及び不飽和二塩基酸無水物、ニトロ系単量体等の重合体若しくはこれらの単量体とスチレン系単量体等との共重合体、マレイン酸共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。これらの極性重合体及び/又は共重合体の添加量としては、重合性単量体の0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%であると特に好ましい。
本発明のトナーにおいては各種特性付与を目的として様々な無機、有機の添加剤を用いることが可能である。用いる添加剤としては、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、走査型電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした添加剤としては、例えば、以下のようなものが用いられるが、特に何ら限定するものではない。
1)流動性付与剤としては:金属酸化物(シリカ、疎水性シリカ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなど)、カーボンブラック、フッ化カーボンなど。それぞれ、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
2)研磨剤としては:金属酸化物(チタン酸ストロチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)などが
好ましい。
3)滑剤としては:フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)などが好ましい。
4)荷電制御性粒子としては:金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)、カーボンブラックなどが好ましい。
また他にも、有機微粒子としては、例えば乳化重合法やスプレードライ法による、スチレン、アクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートの如きトナー用結着樹脂に用いられるモノマー成分の単独重合体あるいは共重合体を適宜用いることが出来る。
これら添加剤は、トナー100質量部に対し、0.01〜5質量部(好ましくは0.02〜3質量部)用いられるのが良い。これらの添加剤は単独で用いても、複数併用しても良い。これらの添加剤のうち無機微粒子は疎水化処理されていると望ましい。疎水化度の範囲としては20%以上99%以下が望ましく、より望ましくは40%以上99%以下であり、特にシリカの場合は80%以上が望ましい。
<無機微粉体の疎水化度の測定方法>
メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する無機微粉体の疎水化度を確認する実験的試験である。処理された無機微粉体の疎水化度を評価するための“メタノール滴定試験”は次の如く行なう。供試無機微粉体0.2gを容器中の水50mlに添加する。メタノールをビュレットから無機微粉体の全量が湿潤されるまで滴定する。この際、容器内の溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終点は無機微粉体の全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は、終点に達した際のメタノール及び水の液状混合物中のメタノールの百分率として表わされる。
前記無機微粒子の疎水化処理方法としては、従来公知の方法が使用される。例えば具体的には、あらかじめ上記の酸化チタン微粒子を真空下で100〜150℃に加熱し、デシケーター中に貯蔵することによって処理し、水を除去しておく。例えば、脱水処理した酸化チタン微粒子とシランカップリング剤とを、トルエン中で反応させ、酸化チタン表面のOH基を疎水化処理する方法(溶剤湿式処理法)が挙げられる。その他にも溶剤乾式噴霧法、水系エマルジョン処理法、水系加水分解法などが挙げられる。
無機微粒子の疎水化処理を行なう疎水性処理剤としては以下のようにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどが利用できる。
シランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメト
キシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ポリエチレンイミン含有シラン等が挙げられる。好ましくはオクチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、更に好ましくはγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
チタンカップリング剤としては、例えばビス〔ジオクチルパイロホスフェート〕オキシアセテートチタネート、ビス〔ジオクチルパイロホスフェート〕エチレンチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート等が挙げられる。特に好ましくはビス〔ジオクチルパイロホスフェート〕エチレンチタネートである。
更に、トナー粒子にシリコーンオイル処理されているシリカ微粉体を外添すると望ましい。
本発明に用いられる無機微粉体は疎水性であることが好ましく、シランカップリング剤、チタンカップリング剤など各種カップリング剤を用いることが可能であるが、シリコーンオイルで疎水化度を高くすることで、高湿下での無機微粉体の水分吸着を抑制し、更には規制部材や帯電部材などの汚染が抑制されるため高品位の画像が得られるためより好ましい。
シリコーンオイルとしては例えばジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられ、特にクロロフェニルシリコーンオイルやメチルフェニルシリコーンオイルのごとき芳香族を含有する官能基を有するものやアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルが好ましいが、上記のものに限定されるわけではない。
上記シリコーンオイルは温度25℃における粘度が50乃至1,000mm2/sの物が好ましい。50mm2/s未満では熱が加わることにより一部揮発し、帯電特性が劣化しやすい。1,000mm2/sを超える場合では、処理作業上取扱いが困難となる。シリコーンオイル処理の方法としては、公知技術が使用できる。例えば、ケイ酸微粉体とシリコーンオイルとを混合機を用い、混合する。ケイ酸微粉体中にシリコーンオイルを、噴霧器を用い噴霧する。或いは溶剤中にシリコーンオイルを溶解させた後、ケイ酸微粉体を混合する方法が挙げられる。処理方法としてはこれに限定されるものではない。
次に本発明のトナーは、例えば次のような画像形成方法、プロセスカートリッジ及び現像装置に適応できる。以下に詳細について説明する。
まず、図2は本発明に適用される非磁性一成分接触現像方式での画像形成方法および現像装置の具体例である。図2において、現像装置13は、一成分現像剤として非磁性トナー17を収容した現像剤容器23と、現像剤容器23内の長手方向に延在する開口部に位置し潜像担持体(感光ドラム)10と対向設置されたトナー担持体14とを備え、潜像担持体10上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。感光体接触帯電部材11は潜像担持体10に当接している。感光体接触帯電部材11のバイアスは電源12により印加されている。
トナー担持体14は、上記開口部にて図に示す右略半周面を現像容器23内に突入し、
左略半周面を現像剤容器23外に露出して横設されている。この現像容器23外へ露出した面は、図2のように現像装置13の図中左方に位置する潜像担持体10に当接している。
トナー担持体14は矢印B方向に回転駆動され、またその表面は、トナー17との摺擦確率を高くし、かつ、トナー17の搬送を良好に行なうための適度な凹凸を有している。トナー担持体14は、図2のようにトナー担持体14を潜像担持体10に当接させて用いる場合は、一例として、NBRの基層にエーテルウレタンを表層コートした、直径14〜25mm、表面粗さRzが0.1〜10μm、抵抗が104〜108Ωの弾性ローラーを用いることができる。潜像担持体10の周速は50〜170mm/s、トナー担持体14の周速は潜像担持体10の周速に対して1〜2倍の周速で回転させている。
トナー担持体14の上方位置には、SUS等の金属板や、ウレタン、シリコーン等のゴム材料または、バネ弾性を有するSUSまたはリン青銅の金属薄板を基体とし、トナー担持体14への当接面側にゴム材料を接着したもの等からなる規制部材16が、ブレード支持板金24に支持され、自由端側の先端近傍をトナー担持体14の外周面に面接触にて当接するように設けられており、その当接方向としては、当接部に対して先端側がトナー担持体14の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向になっている。トナー規制部材の一例としては、厚さ1.0〜1.5mmの板状のウレタンゴム等をブレード支持板金24の当接部分もしくは全面に接着した構成で、トナー担持体14に対する当接圧を、適宜設定したものである。なお、線圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、中央の1枚をばねばかりで引き抜いた値から換算した。また、規制部材16についてはL字型形状の金属板を用い、L字の曲がり角に相当する部分をトナー担持体14に当接する方式を用いても良い。
弾性ローラー15は、トナー規制部材16のトナー担持体14表面との当接部に対しトナー担持体14の回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。この構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、トナー担持体14へのトナー17の供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましく、弾性ローラーの一例としては、芯金15a上にポリウレタンフォームを設けた直径12〜18mmの弾性ローラー15を用いた。この弾性ローラー15のトナー担持体14に対する当接幅としては、0.5〜8mmが有効で、またトナー担持体14に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましい。
この現像部において、トナー担持体14上に薄層形成されたトナー層は、図2に示すように、電源27によってトナー担持体14と潜像担持体10の両者間に印加された直流バイアスによって、潜像担持体10上の静電潜像にトナー像として現像される。
なお、以上は現像方法および画像形成装置本体に着脱可能な現像装置からなるプロセスカートリッジに適用した場合について説明したが、画像形成装置本体内に固定され、トナーのみを補給するような構成の現像装置に適用してもよい。また、少なくとも上記現像装置を備え、必要に応じ感光ドラム、クリーニングブレード、廃トナー収容容器、帯電装置の全てを、あるいはいくつかを一体で形成し画像形成装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジに適用してもよい。
更に、ブレード状のクリーニング部材を感光体に圧接配置するなどして転写されずに感光体上に残留したトナーをクリーニングする工程が存在する場合、クリーニング工程の前段階においてはクリーニングを容易にするために感光体表面を除電する除電工程を付加することが望ましい。
更に、電源9を用いてトナー供給部材である弾性ローラー15やトナー規制部材16にバイアスを印加することが可能であり、図2では印加バイアスが交流バイアスに直流バイアスを重畳したバイアスを印加させる場合であり、図3は直流バイアスのみを印加する場合の画像装置の概略図である。
更に非磁性一成分系現像剤を用いる非磁性一成分非接触現像による画像形成方法および現像装置について図4に示す概略構成図に基づいて説明する。
現像装置170は、非磁性トナーとしての非磁性一成分系現像剤176を収容する現像容器171、現像容器171に収容されている一成分系非磁性現像剤176を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体172、現像剤担持体上に一成分系非磁性現像剤を供給するための供給ローラー173、現像剤担持体上の現像剤層厚を規制するための現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード174、現像容器171内の一成分系非磁性現像剤176を攪拌するための攪拌部材175を有している。
169は静電潜像を担持するための潜像担持体であり、潜像形成は図示しない電子写真プロセス手段または静電記録手段によりなされる。172は現像剤担持体としての現像スリーブであり、アルミニウムあるいはステンレスからなる非磁性スリーブからなる。もしくは図2に記載のトナー担持体14のような弾性ローラーを現像剤担持体として用いる場合もある。一般的に現像スリーブは、アルミニウム、ステンレスの粗管をそのまま用いたものや、その表面をガラスビーズで吹きつけて均一に荒らしたものや、鏡面処理したもの、あるいは樹脂でコートしたものがある。但し、本発明においてはμdを1.35以上と
するには不適であり、弾性ローラーを現像剤担持体として用いる。
一成分系非磁性現像剤176は現像容器171に貯蔵されており、供給ローラー173によって現像剤担持体172上へ供給される。供給ローラー173はポリウレタンフォームの如き発泡材より成っており、現像剤担持体に対して、順または逆方向に0でない相対速度をもって回転し、現像剤の供給とともに、現像剤担持体172上の現像後の現像剤(未現像現像剤)のはぎ取りも行っている。現像剤担持体172上に供給された一成分系非磁性現像剤は現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード174によって均一かつ薄層に塗布される。
この非磁性一成分非接触現像方法において、ブレードにより現像剤担持体上に一成分系非磁性現像剤を薄層コートする系においては、十分な画像濃度を得るために、現像剤担持体上の一成分系非磁性現像剤層の厚さを現像剤担持体と潜像担持体との対抗間隙αよりも小さくし、この間隙に交番電場を印加することが好ましい。すなわち図4に示すバイアス電源により、現像スリーブ172と潜像担持体169との間に交番電場または交番電場に直流電場を重畳した現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ上から像担持体上への一成分系非磁性現像剤の移動を容易にし、更に良質の画像を得ることができる。
本発明においては、潜像担持体と現像剤担持体との間隙αは、例えば50〜500μmに設定され、現像剤担持体上に担持される現像剤層の層厚は、例えば40〜400μmに設定されることが好ましい。
現像スリーブは潜像担持体に対し、100〜200%の周速で回転される。交番バイアス電圧は、ピークトゥーピークで0.1kV以上、好ましくは0.2〜3.0kV、更に好ましくは0.3〜2.0kVで用いるのが良い。交番バイアス周波数は、1.0〜5.0kHz、好ましくは1.0〜3.0kHz、更に好ましくは1.5〜3.0kHzで用いられる。交番バイアス波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波の如き波形が適用できる。さらに、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。直流
バイアスを重畳するのも好ましい。
更に、電源9を用いてトナー供給部材である供給ローラー173や弾性ブレード174にバイアスを印加することが可能であり、図4では印加バイアスが交流バイアスに直流バイアスを重畳したバイアスを印加させる場合であり、図5は直流バイアスのみを印加する場合の画像装置の概略図である。
非磁性一成分系現像剤においては非磁性一成分接触現像においても非磁性一成分非接触現像においても、トナー層規制部材と現像剤担持体との当接圧力は、現像剤担持体母線方向の線圧P(nip)[N/m]が10≦P(nip)≦45の条件を満足する線圧で当接されていることが好ましい。当接圧力が10N/mより小さい場合、一成分系非磁性現像剤の均一塗布が困難となり、一成分系非磁性現像剤の帯電量分布がブロードとなりカブリや飛散の原因となる。当接圧力が45N/mを超えると、一成分系非磁性現像剤に大きな圧力がかかり、一成分系非磁性現像剤が劣化するため、カブリや一成分系非磁性現像剤の凝集やトナー層規制部材及びトナー担持体へのトナーの融着が発生するなど好ましくない。また、現像剤担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。即ち、当接圧力を10〜45N/mに調整することで、本発明のトナーを用いた一成分系非磁性現像剤の凝集を効果的にほぐすことが可能になり、さらに一成分系非磁性現像剤の帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。
トナー層規制部材としての弾性ブレードとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドの如きエラストマー;ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用でき、さらにそれらの複合体であっても使用できる。好ましくは、バネ弾性を有するSUSまたはリン青銅の金属薄板上にウレタン、シリコーン等のゴム材料やポリアミドエラストマー等の各種エラストマーを射出成型して設けたものが良い。
また、十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつカブリや一成分系非磁性現像剤の凝集やトナー層規制部材及びトナー担持体へのトナーの融着のない現像を行なうために、トナー担持体とトナー層規制部材の接触幅(現像ニップ)を好ましくは0.20mm以上1.50mm以下にすること望ましく、0.20mm以上1.10mm以下であるとより望ましく、0.25〜0.80mmであると更に望ましい。現像ニップが0.20mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、1.50mmより広いと、現像剤へのストレスが大きくなるため、カブリや一成分系非磁性現像剤の凝集やトナー層規制部材及びトナー担持体へのトナーの融着の点で望ましくない。現像ニップの調整方法としては、トナー層規制部材とトナー担持体との距離を調整することでニップ幅を適宜調整する。
上記のいずれの現像方式においても、転写後に感光体ドラム上に残存する転写残トナーを、転写工程における転写部と帯電工程における帯電部との間及び帯電部と現像工程における現像部との間に、感光体ドラムの表面に当接するクリーニング部材を設けずに、現像工程において現像装置が回収する現像同時クリーニングを行なうことができる。
現像同時クリーニング方式においては、潜像担持体の移動方向に対して、現像部、転写部及び帯電部の順で位置しており、転写部と帯電部との間及び帯電部と現像部との間に、潜像担持体の表面に当接して潜像担持体の表面に存在する転写残トナーを除去するためのクリーニング部材を有していない。
現像同時クリーニング方式を用いた画像形成方法について、現像工程において、トナーの帯電極性と潜像担持体の静電潜像の帯電極性が同極性で現像を行なう反転現像を例に挙
げて説明すると、ネガ帯電性の感光体及びネガ帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、ポジ極性の転写部材によって可視化された像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率の違い)と画像面積の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、ネガ帯電性の感光体を帯電する際のネガ極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてネガ極性に振れていたとしても、一様にネガ側へ帯電極性を揃えることが出来る。それゆえ、現像時に一様にネガ極性に帯電したトナー粒子が感光体表面に存在していても、現像方法として反転現像を用いた場合、ネガに帯電された転写残余のトナーは、トナーの現像されるべき明部電位部には残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には残らず、現像電界の関係上、現像剤の磁気ブラシ又は現像剤担持体の方に引き寄せられ、残留しない。また、現像同時クリーニングではないが、別の方法としては、ネガ帯電性の感光体を帯電する際のネガ極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてポジ極性に振れていたとしても、一様にネガ側へ帯電極性を揃える工程までは現像同時クリーニング方式と同じである方法がある。転写残トナーを一様にネガ側へ帯電極性を揃えた後、ネガ帯電性の感光体を帯電する際のネガ極性の帯電部材とは別の帯電部材を感光体に当接し、その別の帯電部材をマイナスに帯電することでプラス側へ帯電極性を揃えた転写残トナーを一度回収する。その後、非印刷時に転写残トナーを回収した帯電部材をプラスに帯電させることで、回収していた転写残トナーを転写残トナー回収容器に吐き出させたり、転写残トナーを回収した帯電部材に対してゴムブレードなどを当接して転写残トナーをはぎ落とす方法がある。これらのクリーニング方法は感光体に直接クリーニングブレードなどを当接しないため感光体が磨耗するなどのダメージを受けないため長期使用の際望ましい。
上記いずれの画像形成方法および画像形成装置の場合においても、本発明のトナーを用いる場合は、該トナーが中間転写体を介して被転写体に転写される画像形成方法および画像形成装置であると、本発明のトナーの優れた転写効率およびクリーニング性のため望ましい。これは、トナー中における結晶性ポリエステル、着色剤、ワックスなどの原材料の分散状態が均一であり、帯電性が高く、且つ帯電分布がシャープであるため、また、耐熱性、耐久性に優れるため長期間の使用および高温高湿環境下や低温低湿環境下での使用に際しても、転写効率が高く、且つ中間転写体へのトナーの融着なども抑制されるためであり、望ましい。
図6は、中間転写ドラムを用い中間転写ドラム上に一次転写された4色のカラートナー画像を記録材に一括して二次転写する際の二次転写手段として、転写ベルトを用いた画像形成装置の説明図である。
図6に示す装置システムにおいて、現像器244−1、244−2、244−3、244−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、感光体241に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体241上に形成される。感光体241はa−Se、Cds、ZnO2 、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ
感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体241は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
感光体241としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層と電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されてい
る構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性、クリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体241とは非接触である方式と、ローラー等を用いる接触型の方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図5に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
帯電ローラー242は、中心の芯金242bとその外周を形成した導電性弾性層242aとを基本構成とするものである。帯電ローラー242は、感光体241面に押圧力をもって圧接され、感光体241の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜をもうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
感光体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写ドラム245に転写される。転写後の感光体表面は、クリーニングブレード248を有するクリーニング手段249でクリーニングされる。
中間転写ドラム245は、パイプ状の導電性芯金245bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層245aからなる。芯金245bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
中抵抗の弾性体層245aは、シリコーンゴム、テフロンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
中間転写ドラム245は感光体241に対して並行に軸受けさせて感光体241の下面部に接触させて配設してあり、感光体241と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
感光体241の面に形成担持された第1色のトナー像が、感光体241と中間転写ドラム245とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写ドラム245に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写ドラム245の外面に対して順次に中間転写されていく。
必要により、着脱自在なクリーニング手段280により、転写材へのトナー像の転写後に、中間転写ドラム245の表面がクリーニングされる。中間転写ドラム上にトナー像がある場合、トナー像を乱さないようにクリーニング手段280は、中間転写体表面から離される。
中間転写ドラム245に対して並行に軸受けさせて中間転写ドラム245の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段は例えば転写ローラー又は転写ベルトであり、中間転写ドラムと同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段は直接中間転写ドラムと接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写ドラムと転写手段との間に接触するように配置されても良い。
転写ローラーの場合、中心に芯金とその外周を形成した導電性弾性層とを基本構成とするものである。
中間転写ドラム及び転写ローラーとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写ドラムの弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラーへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
中間転写ドラム及び転写ローラーの硬度は、JIS K−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写ドラムは、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ローラーの弾性層の硬度は、中間転写ドラムの弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写ドラムへの転写材の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写ドラムと転写ローラーの硬度が逆になると、転写ローラー側に凹部が形成され、中間転写ドラムへの転写材の巻き付きが発生しやすい。
図6では中間転写ドラム245の下方には、転写ベルト247が配置されている。転写ベルト247は、中間転写ドラム245の軸に対して並行に配置された2本のローラー、すなわちバイアスローラー247aとテンションローラー247cに掛け渡されており、駆動手段(不図示)によって駆動される。転写ベルト247は、テンションローラー247c側を中心にしてバイアスローラー247a側が矢印方向に移動可能に構成されていることにより、中間転写ドラム245に対して下方から矢印方向に接離することができる。バイアスローラー247aには、二次転写バイアス源247dによって所望の二次転写バイアスが印加されており、一方、テンションローラー247cは接地されている。
次に、転写ベルト247であるが、本実施の形態では、熱硬化性ウレタンエラストマーにカーボンを分散させ厚さ約300μm、体積抵抗率108〜1012Ω・cm(1kV印加時)に制御した上に、フッ素ゴム20μm、体積抵抗率1015Ω・cm(1kV印加時)に制御したゴムベルトを用いた。その外径寸法は周長80×幅300mmのチューブ形状である。
上述の転写ベルト247は、前述のバイアスローラー247aとテンションローラー247cによって約5%延ばす張力印加がなされている。
転写手段247は中間転写ドラム245と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写材246は中間転写ドラム245と転写手段247との間に搬送されると同時に、転写手段247にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを二次転写バイアス源247
dから印加することによって、中間転写ドラム245上のトナー像が転写材246の表面側に転写される。
転写用回転体の材質としては、帯電ローラーと同様のものも用いることができ、好ましい転写のプロセス条件としては、ローラーの当接圧が5〜500g/cm2で、直流電圧が±0.2〜±10kVである。
例えば、バイアスローラー247aの導電性弾性層247a1 はカーボン等の導電材
を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106〜1010Ω・cm程度の弾性体でつくられている。芯金247a2
には定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜
±10kVが好ましい。
次いで転写材246は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵させた加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーとを基本構成とする定着器281へ搬送され、加熱ローラーと加圧ローラー間を通過することによってトナー像が転写材に加熱加圧定着される。フィルムを介してヒータにより定着する方法を用いても良い。
本発明において、画像形成装置を構成する部材としては例えば次のようなものが用いられる。
本発明に用いられる電子写真感光体の感光層は、単層または積層構造を有する。単層構造の場合、感光層はキャリアを生成する電荷発生材料とキャリアを輸送する電荷輸送材料とを共に含有する。積層構造の場合、キャリアを生成する電荷発生材料を含有する電荷発生層と、キャリアを輸送する電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とが積層されて感光層が構成される。表面層を形成するのは電荷発生層または電荷輸送層どちらの場合もある。
単層感光層は5〜100μmの厚さが好ましく、特には10〜60μmであることが好ましい。また、電荷発生材料や電荷輸送材料を層の全質量に対し20〜80質量%含有することが好ましく、特には30〜70質量%であることが好ましい。単層感光層は、前記電荷発生材料、電荷輸送材料以外にバインダー樹脂を含有し、必要に応じて紫外線吸収剤や酸化防止剤、その他の添加剤等を含有することができる。
積層感光層においては、電荷発生層の膜厚は0.001〜6μmであることが好ましく、特には0.01〜2μmであることが好ましい。電荷発生材料の含有量は層の全質量に対し10〜100質量%であることが好ましく、特には40〜100質量%であることが好ましい。電荷発生層は電荷発生材料のみで構成される場合もあるが、それ以外の場合には上記バインダー樹脂等を含有することができる。電荷輸送層の膜厚は5〜100μmであることが好ましく、特には5〜19μmであることが好ましい。電荷輸送材料の含有量は20〜80質量%であることが好ましく、特には30〜70質量%であることが好ましい。電荷輸送層は電荷輸送材料以外にバインダー樹脂を含有し、上記同様のその他任意成分を含有することができる。
本発明に用いられる電子写真感光体は、上述の様に感光層の上に保護層を積層してもよい。保護層の膜厚は、0.01〜20μmであることが好ましく、特には0.1〜10μmであることが好ましい。保護層は通常バインダー樹脂に電荷発生材料または電荷輸送材料や、金属およびその酸化物、窒化物、塩、合金、更にはカーボン等の導電材料等が分散された構成を有する。保護層に用いるバインダー樹脂、電荷発生材料、電荷輸送材料としては、上記感光層に用いられる材料と同様のものが挙げられる。
本発明に用いられる電子写真感光体に用いられる導電性支持体は、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、スズ、アンチモン、インジウム、鉛、亜鉛、金および銀等の金属や合金、あるいはそれらの酸化物やカーボン、導電性樹脂等が使用可能である。形状は円筒形、ベルト状やシート状のものがある。また、前記導電性材料は、成型加工される場合もあるが、塗料として塗布したり、蒸着してもよい。なお、本例に用いられている導電性支持体は、直径約30mmの円筒形のものである。
また、上述の様に導電性支持体と感光層との間に、下引層を設けてもよい。下引層は主にバインダー樹脂からなるが、前記導電性材料やアクセプター性の化合物を含有してもよい。下引層を形成するバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ボリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂およびブチラール樹脂等が挙げられる。
さらに、上述の様に導電性支持体と感光層との間に、導電層を設けてもよい。感光体が下引層と導電層を共に有する場合には、通常、導電性支持体、導電層、下引層、感光層の順に積層される。導電層は、一般的には、上記下引層に用いられるのと同様なバインダー樹脂に前記導電性材料が分散された構成を有する。
本発明に用いられる電子写真感光体を製造する方法としては、通常、導電性支持体上に下引層、感光層および保護層等を、蒸着や塗布等で積層する方法が用いられる。塗布にはバーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、アトライター、スプレー、浸漬塗布、静電塗布および粉体塗布等が用いられる。また、上記下引層、感光層および保護層等を塗布法により形成させるには、各層毎にその構成成分を、有機溶媒等に溶解、分散させた溶液、分散液等を上記の方法により塗布した後、溶媒を乾燥等によって除去すればよい。あるいは、反応硬化型のバインダー樹脂を用いる場合には、各層の構成成分を樹脂原料成分および必要に応じて添加される適当な有機溶媒等に溶解、分散させた溶液、分散液等を上記の方法により塗布した後、例えば、熱や光等により樹脂原料を反応硬化させ、さらに必要に応じて溶媒を乾燥等によって除去すればよい。
感光体接触帯電部材としては、ローラーまたはブレードの場合は、導電性基体として、鉄、銅、ステンレス等の金属、カーボン分散樹脂、金属あるいは金属酸化物分散樹脂などが用いられ、その形状としては棒状、板状等が使用できる。例えば、弾性ローラーの構成としては、導電性基体上に弾性層、導電層、抵抗層を設けたものが用いられ、ローラー弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム、ブチルゴムなどのゴム又はスポンジや、スチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢ビサーモプラスチックエラストマー等のサーモプラスチックエラストマーなどで形成することができ、導電層としては、体積抵抗率を107Ω・cm以下、望ましくは106Ω・cm以下である。例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂、導電性樹脂等が用いられ、具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅、鉄等の蒸着膜、導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、ニッケル、酸化チタンなどの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂中に分散したものなどが挙げられる。導電性樹脂としては、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。抵抗層は、例えば、体積抵抗率が106〜1012Ω・cmの層であり、半導性樹脂、導電性粒子分散絶縁樹脂等を用いることができる。半導性樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン
、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン、カゼイン等の樹脂が用いられる。導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム、酸化チタンなどの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル等の絶縁性樹脂中に少量分散したものなどが挙げられる。
帯電部材としてのブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。また導電材としては、これも一般に知られている導電材が使用可能であり、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の金属あるいは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の金属酸化物、さらにはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電粉は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。ブラシの形状としては、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当り1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
本発明の画像形成方法においては感光体接触帯電部材としてはローラーであると帯電の均一性に優れているので望ましい。
以下、本明細書中における実施例で用いる評価方法について詳細に説明をする。
カブリの測定は、画像形成装置として後述の評価機を用い、常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)および低温低湿環境下(L/L:温度10℃、湿度10%RH)にて印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久10,000枚印字後に各環境下において6日間放置し、その後の1枚目の画像サンプルのカブリ量を東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して測定し、下記式より算出した。数値が小さい程、カブリが少ない。カブリ量が2%以下を実用上問題無しとした。耐久試験に用いた転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
カブリ量(%)=(プリントアウト前の白色度)−(プリント後の記録材の非画像形成部(白地部)の白色度)
ボタ落ちは常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久10,000枚印字後、各環境下に6日間放置し、その後1枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:全く発生せず
B:画像上に1つ存在
C:画像上に2〜3つ存在するが実用上問題無し
D:発生し、実用上問題あり
画像濃度低下は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久5,000枚目及び8,000枚目の画像サンプルについて東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して濃度を測定し、その濃度差を評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:濃度低下なし
B:濃度低下が0.02以下
C:濃度低下が0.03以上0.05以下
D:濃度低下が0.06以上0.07以下
E:濃度低下が0.08以上0.10以下
F:濃度低下が0.11以上
ベタ画像均一性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字で耐久試験を行い、10枚目と4,000枚目の画像を印字した直後および4,000枚印字後7日間各環境下に放置した後に、それぞれ全面ベタチャートを1枚印字し、画像評価を行った。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。画像サンプルについて以下のように評価した
A :全面が均一にトナーが転写され着色されている
B :画像先端から50mm以降において濃度の薄い個所が部分的に存在する
C :画像先端から50mm以降においてトナーが紙に転写されておらず紙の地肌が露出している箇所が存在する
画像ムラは常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)および低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字で6,000枚印字後、2日間各環境下にて放置し、その後の1枚目のハーフトーン画像について評価を行った。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。評価画像としては、全面に50%濃度のハーフトーン画像を印字している画像を用いた。
画像サンプルについて以下のように評価した
A :画像上にムラは全く無い
B :画像上に軽微にムラが存在するが、実用上問題ない
C :画像上にムラが存在し、実用上問題あり
初期画像濃度は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字で耐久試験を行い、耐久試験前および耐久試験10枚目、100枚目の画像を印字した直後において、それぞれ全面ベタチャートを1枚印字し、各画像の画像濃度を測定した。画像サンプルの濃度については東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して濃度を測定した。画像濃度が1.20以上の場合を実用上問題無しとした。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:濃度1.30以上
B:濃度1.25以上1.29以下
C:濃度1.20以上1.24以下
D:濃度1.15以上1.19以下
E:濃度1.14以下
定着性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、マシンおよびトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れウェイトアップ直後に200μm幅の横線パターン(横幅200μm、間隔200μm)をプリントアウトし、50枚目のプリント画像を定着性の評価に用いた。定着性の評価は画像をシルボン紙で5往復100g荷重でこすり、画像のはがれを反射濃度の低下
率(%)の平均で評価した。
評価には表面平滑度10〔sec〕以下のボンド紙を用いた。以下に評価基準を示す。A…濃度低下率3%未満
B…濃度低下率3%以上5%未満
C…濃度低下率5%以上10%未満
D…濃度低下率10%以上15%未満
E…濃度低下率15%以上20%未満
耐オフセット性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、マシンおよびトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れウェイトアップ直後に全面ベタ画像を100枚プリントアウトし、その画像サンプルについて評価を行った。
評価にはOHPフィルム(CG3700、住友スリーエム株式会社製)を用いた。以下に評価基準を示す。
A…オフセットは全く発生せず
B…オフセットは極軽微に発生したが実用上問題無し(かつ発生枚数1枚)
C…オフセットは極軽微に発生したが実用上問題無し(かつ発生枚数2枚)
D…オフセットは極軽微に発生したが実用上問題無し(かつ発生枚数3〜4枚)
E…オフセットが発生し、実用上問題あり
トナー層規制部材へのトナーの融着や固着は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久8,000枚目の画像サンプル及びトナー層規制部材について目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:全く発生せず
B:トナー層規制部材上は軽微に発生したが画像上には発生せず
C:画像上に軽微に発生したが実用上問題無し(端部に1本の軽微なスジ)
D:画像上に軽微に発生したが実用上問題無し(端部に2〜3本の軽微なスジ)
E:画像上に発生し、実用上問題あり
潜像担持体へのフィルミングは常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字にて耐久試験を行い、初期から耐久2,000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:全く発生せず
B:極軽微に発生したが実用上問題無し
C:軽微に発生したが実用上問題無し
D:発生し、実用上問題あり
クリーニング性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率2%で連続4,000枚プリントアウトし、クリーニング性と画質を目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。(クリーニングが良好なものはA
、不良なもの、即ち、ブレードの弾性が低下し、トナーがすり抜けることにより画像に黒い横スジが軽微に発生したが、実用上問題の無いものはB、発生し、実用上問題のあるものはCで示した。)
転写効率は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久10,000枚印字後、各環境下において2日間放置した後において潜像担持体から中間転写体(1次転写)および中間転写体から転写材(2次転写)への転写効率を測定した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。転写効率の算出方法は以下の通りである。
10cm2のベタ画像を感光体上に形成し、感光体上のトナーの量(W1)と、転写後の紙上のトナーの量(W2)を用い、両者の比:W2/W1×100(%)より算出した。
耐久試験終了後に、画像面積比5%の帯状ベタ画像の画像形成を行い、その際の転写前のトナー画像におけるトナー量(単位面積あたり)と、転写後のトナー量(単位面積あたり)を測定し、その値から以下のようにして転写効率を算出した。尚、画像形成は、1次転写評価用と2次転写評価用として、それぞれ1枚ずつ行った。
1次転写効率(%)
={(中間転写体上のトナー量)/(感光体上の転写前のトナー量)}×100A:92%以上
B:88%〜92%未満
C:84%〜88%未満
D:84%未満
本発明において、細線再現性は次に示すような方法によって測定を行なった。すなわち、正確に幅100μmとした細線のオリジナル原稿を、適正なる複写条件でコピーした画像を測定用サンプルとし、測定装置として、ルーゼックス450粒子アナライザーを用いて、拡大したモニター画像から、インジケーターによって線幅の測定を行なう。この時、線幅の測定位置はトナーの細線画像の幅方向に凹凸があるため、凹凸の平均的線幅をもって測定点とする。これより、細線再現性の値(%)は、下記式によって算出する。
A:鮮明な画像
B:細線再現性が若干劣るものの良好な画像
C:細線再現性が劣るものの実用的には問題の無いレベル
D:細線再現性が悪く、不均一な画像
トナー担持体のフィルミング評価はトナー担持体表面の目視及び画像で評価を行った。初期、2万枚、4万枚印字後のハーフトーン画像において、1%印字画像部と非印字画像部の間で濃淡ムラが発生していないか目視で評価した。その後、トナー担持体表面のトナーをエアーで吹き、トナー担持体表面の観察を行った。
A:画像上に濃淡ムラの発生がなく、トナー担持体表面も良好
B:画像上に濃淡ムラの発生はないが、トナー担持体表面に若干のフィルミングが確認される。
C:画像上に極軽度な濃淡ムラ発生するが問題無し
D:画像上に軽度な濃淡ムラ発生するが問題無し
E:画像上に醜い濃淡ムラ発生し、問題有り
以下、発明を実施例により具体的に説明するがこれは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例等における「部」は「質量部」である。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例1〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に
・ セバシン酸ジメチル:200質量部
・ セバシン酸:50質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール:145質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.45質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で8時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で3.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例2〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に
・ セバシン酸:210質量部
・ コハク酸ジメチル:15質量部
・ 1、10−デカンジカルボン酸:25質量部
・ トリエチレングリコール:120質量部
・ ジエチレングリコール:35質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.60質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例1〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に
・ テレフタレート:20質量部
・ イソフタレート:20質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:59質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物:37質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.025質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で22時間反応を行い、更に10〜20mmHgの減圧下で2時間反応させた。その後、190℃に降温し、無水トリメリット酸を1.5質量部添加して、190℃で1.5時間反応させ、非晶性
ポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例2〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に
・ テレフタル酸:24質量部
・ イソフタル酸:24質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:87.5質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物:20.5質量部
・ ビスフェノールA−エチレンオキサイド2モル付加物:2.5質量部
・ ネオペンチルグリコール:1質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.035質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で210℃で23時間反応を行い、その後シュウ酸チタン酸カリウムを0.005質量部追加し、220℃で1.0時間反応させ、更に10〜20mmHgの減圧下で1.5時間反応させた。その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.10質量部添加して、180℃で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例3〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に
・ テレフタル酸:21質量部
・ イソフタル酸:21質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:120質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.030質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で15時間反応を行い、更に10〜20mmHgの減圧下で0.5時間反応させ、その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.01質量部添加して、180℃で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂3を得た。得られたポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例4〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に
・ テレフタル酸:45.0質量部
・ フマル酸:3質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:55質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物:64質量部
・ ジブチル錫オキサイド:0.030質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で18時間反応を行い、更に10〜20mmHgの減圧下で1時間反応させた。その後、170℃に降温し、無水トリメリット酸を0.08質量部添加して、170℃で1.5時間反応させ、ポリエステル樹脂4を得た。得られたポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂(以下、負帯電性荷電制御樹脂ともいう。)製造例1〕
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン100部、メタノール350部、スチレン470部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸40部、アクリル酸−2−エチルヘキシル70部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド10部を仕込み、攪拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、イソプロピルアルコールで洗浄後、40℃で96時間減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間減圧乾燥した。スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1を製造した。得られた樹脂の物性は、Mw=24,000、Tg=67℃、残存モノマー=350ppmであった。また、得られたスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1の酸価は、20mgKOH/gであった。
〔スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂製造例2〕
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン300部、メタノール150部、スチレン470部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸40部、アクリル酸−2−エチルヘキシル70部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド7部仕込み、攪拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、40℃で減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間減圧乾燥した。スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2を製造した。得られた樹脂の物性は、Mw=40,000、樹脂Tg=68℃、残存モノマー=380ppmであった。また、得られたスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2の酸価は、18mgKOH/gであった。
〔疎水性シリカ製造例1〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)をヘキサメチルジシラザン10部で処理して疎水性シリカ1を得た。一次粒子径は12nm、疎水化度=70であった。
〔疎水性シリカ製造例2〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)をヘキサメチルジシラザン10部およびメチルフェニルシリコーンオイル15部で処理して疎水性シリカ2を得た。一次粒子径は12nm、疎水化度=97であった。
〔疎水性酸化チタン製造例1〕
酸化チタン(P25、日本アエロジル製)をトルエン中においてγ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン20部で処理した後濾過、乾燥して疎水性酸化チタン1を得た。一次粒子径は25nm、疎水化度=60であった。
次に、本発明で用いる脂肪酸金属塩の製造例について述べる。
<脂肪酸金属塩1の製造>
攪拌装置付きの受け容器を用意し、攪拌機を350rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500質量部と投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525質量部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて105℃で乾燥した。その後、ナノグラインディングミル〔NJ−300〕(サンレックス社製)にて風量6.0m3/min.、処理速度80kg/hの条件で粉砕した後、リスラリーして湿式遠心分級機を用いて微粒子、粗粒子の除去を行った後、連続瞬間気流乾燥機を用いて80℃で乾燥して脂肪酸金属塩1を得た。得られた脂肪酸金属塩1の体積基準のメジアン径(D50)は0.47μmであった。脂肪酸金属塩1の物性を表3、粒度分布を図7に示す。
<脂肪酸金属塩2の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を2.0質量%ステアリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を1.0質量%塩化カルシウム水溶液に変更した。また、5分間の熟成で反応を終結させた。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩2を得た。得られた脂肪酸金属塩2の体積基準のメジアン径(D50)は0.60μmであった。脂肪酸金属塩2の物性を表3、粒度分布を図8に示す。
<脂肪酸金属塩3の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.3質量%塩化リチウム水溶液に変更した。それ以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩3を得た。得られた脂肪酸金属塩3の体積基準のメジアン径(D50)は0.33μmであった。脂肪酸金属塩3の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩4の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.2質量%硫酸マグネシウム水溶液に変更した。それ以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩4を得た。得られた脂肪酸金属塩4の体積基準のメジアン径(D50)は0.47μmであった。脂肪酸金属塩4の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩5の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.5質量%ラウリン酸ナトリウムに変更した以外、脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩5を得た。得られた脂肪酸金属塩5の体積基準のメジアン径(D50)は0.62μmであっ
た。脂肪酸金属塩5の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩6の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.25質量
%ラウリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.15質量%硫酸亜鉛水溶液に、また、粉砕の条件を風量10.0m3/min.にし、粉砕工程を3回行な
うように変更した。得られた脂肪酸金属塩6の体積基準のメジアン径(D50)は0.16μmであった。脂肪酸金属塩6の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩7の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.22質量
%ラウリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.12質量%硫酸亜鉛水溶液に変更すること以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩7を得た。得
られた脂肪酸金属塩7の体積基準のメジアン径(D50)は0.28μm、脂肪酸金属塩7の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩8の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.26質量
%ラウリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.16質量%硫酸亜鉛水溶液に変更すること以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩8を得た。得られた脂肪酸金属塩8の体積基準のメジアン径(D50)は0.32μmであった。脂肪酸金属塩8の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩9の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.0質量%ラウリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.4質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、15分間の熟成で反応を終結させた。また、粉砕の条件を風量4.0m3/min.にした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩9を得た。得られた脂肪酸金属塩9の体積基準のメジアン径(D50)は0.73μmであった。脂肪酸金属塩9の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩10の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.0質量%ラウリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.4質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、粉砕工程を行った後の分級工程は行なわず脂肪酸金属塩10を得た。得られた脂肪酸金属塩10の体積基準のメジアン径(D50)は0.63μmであった。脂肪酸金属塩10の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩11の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.35質量
%ステアリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.25質量%硫酸亜鉛水溶液に変更すること以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩11を得た。得られた脂肪酸金属塩11の体積基準のメジアン径(D50)は0.47μmであった。脂肪酸金属塩11の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩12の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.26質量
%ラウリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.16質量%硫酸亜鉛水溶液に変更すること、硫酸亜鉛水溶液を30分かけて滴下したこと以外は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩12を得た。得られた脂肪酸金属塩12の体積基準のメジアン径(D50)は0.32μmであった。脂肪酸金属塩12の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩13の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を0.25質量
%ラウリン酸ナトリウム水溶液に、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.15質量%硫酸亜鉛水溶液に変更し、硫酸亜鉛水溶液を30分かけて滴下したこと、更に、粉砕の条件を風量10.0m3/min.にし、粉砕工程を3回行なうように変更したこと以外は脂肪酸
金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩13を得た。得られた脂肪酸金属塩13の体積基準のメジアン径(D50)は0.14μmであった。脂肪酸金属塩13の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩14の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.0質量%
ラウリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.4質量%硫酸亜鉛水溶液に変更し、硫酸亜鉛水溶液を30分かけて滴下したこと。また、15分間の熟成で反応を終結させた。また、粉砕の条件を風量4.0m3/min.にした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩14を得た。得られた脂肪酸金属塩14の体積基準のメジアン径(D50)は0.78μmであった。脂肪酸金属塩14の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩15の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.1質量%ラウリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.45質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、15分間の熟成で反応を終結させた。また、粉砕の条件を風量3.5m3/min.にした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩15を得た。得られた脂肪酸金属塩15の体積基準のメジアン径(D50)は0.95μmであった。脂肪酸金属塩15の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩16の製造>
脂肪酸金属塩1において、0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液を1.2質量%ラウリン酸ナトリウムに変更し、0.2質量%硫酸亜鉛水溶液を0.5質量%硫酸亜鉛水溶液に変更した。また、15分間の熟成で反応を終結させた。また、粉砕の条件を風量3.3m3/min.にした。それ以外の工程は脂肪酸金属塩1と同様にして、脂肪酸金属塩16を得た。得られた脂肪酸金属塩16の体積基準のメジアン径(D50)は1.20μmであった。脂肪酸金属塩16の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩17>
市販されているステアリン酸亜鉛(MZ2 日本油脂製)を脂肪酸金属塩17とする。体積基準のメジアン径(D50)は1.29μmであった。脂肪酸金属塩17の物性を表3に示す。粒度分布を図9に示す。
<脂肪酸金属塩18>
市販されているステアリン酸亜鉛(SZ2000 堺化学工業製)を脂肪酸金属塩18とする。体積基準のメジアン径(D50)は5.30μmであった。脂肪酸金属塩18の物性を表3に示す。粒度分布を図10に示す。
次に、本発明の画像形成方法で用いるトナー担持体の製造例について述べる。
[ウレタン樹脂原料の合成例]
<ポリウレタン原料U−1の合成>
ポリテトラメチレングリコール〔PTG1000SN(商品名)、保土谷化学社製〕100.0質量部に、イソシアネート化合物〔コスモネートMDI(商品名)、三井化学ポリウレタン社製〕24.4質量部をメチルエチルケトン(MEK)溶媒中で段階的に混合し、窒素雰囲気下温度80℃にて5時間反応させて重量平均分子量Mw=9,000、水酸基価22のポリウレタンポリオールを得た。次にこのポリウレタンポリオール100.0質量部に対し、イソシアネート〔コロネート2521(商品名)、日本ポリウレタン工業社〕)41.5質量部を撹拌モーターにより充分に混合撹拌し、ポリウレタン原料U−1を得た。
<ポリウレタン原料U−2の合成>
ポリプロピレングリコール〔アクトコールDiol−1000(商品名)、三井化学ポリウレタン社製〕100.0質量部に、イソシアネート化合物〔タケネートD140N(商品名)、三井化学ポリウレタン社製〕19.0質量部をMEK溶媒中で段階的に混合し、窒素雰囲気下80℃にて5時間反応させて重量平均分子量Mw=11,000、水酸基価24のポリウレタンポリオールを得た。次にこのポリウレタンポリオール100.0質量部に対し、イソシアネート〔コロネート2521(商品名)、日本ポリウレタン工業社製〕34.2質量部を撹拌モーターにより充分に混合撹拌し、ポリウレタン原料U−2を得た。
<ポリウレタン原料U−3の合成>
イソシアネート化合物〔コスモネートMDI〕を22.1質量部、イソシアネート〔コロネート2521〕を34.8質量部に変更した以外はU−1と同様にして、ポリウレタン原料U−3を得た。
<ポリウレタン原料U−4の合成>
イソシアネート化合物〔コスモネートMDI〕を18.8質量部、イソシアネート〔コロネート2521〕を33.3質量部に変更した以外はU−1と同様にして、ポリウレタン原料U−4を得た。
<ポリウレタン原料U−5の合成>
イソシアネート化合物〔コスモネートMDI〕を30.9質量部、イソシアネート〔コロネート2521〕を44.3質量部に変更した以外はU−1と同様にして、ポリウレタン原料U−5を得た。
[アクリル樹脂の合成例]
<アクリル樹脂A−1の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にトルエン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)18.8質量部、スチレン23.2質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)44.0質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)14.5質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.3質量部の混合物を1.5時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに2時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−1を得た。
<アクリル樹脂A−2の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にトル
エン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)8.7質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)17.2質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)10.9質量部、ステアリルメタクリレート(SMA)63.2質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.4質量部の混合物を1.5時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに2時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−2を得た。
<アクリル樹脂A−3の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にトルエン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)20.7質量部、スチレン38.7質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)24.5質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)16.1質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.35質量部の混合物を1.2時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに1時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−3を得た。
<アクリル樹脂A−4の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にトルエン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)8.7質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)17.2質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)10.9質量部、ステアリルメタクリレート(SMA)63.2質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.1質量部の混合物を1.5時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに2時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−4を得た。
<アクリル樹脂A−5の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にトルエン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)27.9質量部、スチレン24.9質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)31.6質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)15.6質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.08質量部の混合物を3時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに5時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−5を得た。
<アクリル樹脂A−6の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にトルエン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)14.5質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)28.8質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)56.7質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.4質量部の混合物を3時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに5時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−6を得た。
<アクリル樹脂A−7の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にト
ルエン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)20.0質量部、スチレン13.9質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)66.1質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.1質量部の混合物を4時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに7時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−7を得た。
<アクリル樹脂A−8の合成>
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にトルエン300.0質量部を仕込み、窒素ガス気流下で温度120℃に昇温した。次にメタクリル酸メチル(MMA)33.9質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)66.1質量部、開始剤〔カヤエステルO(商品名)、化薬アクゾ社製〕0.2質量部の混合物を2時間かけて滴下し、温度を120℃に保ったままさらに3時間加熱還流した。次に温度を50℃まで下げた後、減圧下トルエンを200.0質量部留去した。放冷して温度を室温まで下げ、アクリル樹脂A−8を得た。
[トナー担持体の製造例]
<トナー担持体の製造例1>
図12における導電性軸芯体1としてSUS製の直径8mmの芯金にニッケルメッキを施し、さらにプライマ−〔DY35−051(商品名)、東レダウコーニングシリコーン社製〕を塗布、焼付けしたものを用いた。ついで、導電性軸芯体1を金型に配置し、液状シリコーンゴム材料〔SE6724A/B(商品名)、東レ・ダウコーニングシリコーン社製〕100質量部に対し、カーボンブラック〔トーカブラック#7360SB(商品名)、東海カーボン社製〕を35質量部、耐熱性付与剤としてシリカ粉体を0.2質量部、および白金触媒0.1質量部を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを温度150℃、15分間加硫硬化し、脱型した後、さらに温度180℃、1時間加熱し硬化反応を完結させ、弾性層2を導電性軸芯体1の外周に設けた。
次に、ポリウレタン原料U−1 200質量部に対し、カーボンブラック〔Specialblack4(商品名)、デグサジャパン社製〕24.0質量部及びアクリル樹脂A−1の4.4質量部を撹拌モーターにより充分に混合撹拌した。次に総固形分比30質量%になるようにMEKに溶解混合し、横型連続式ビーズミル〔NVM−03(商品名)、アイメックス社製〕にて2時間分散し、分散液を得た。さらに、この分散液を粘度7乃至10cpsにMEKで希釈後、前記弾性層上に浸漬塗工した後乾燥させ、温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層2外周に膜厚約10μmの表面層3を設け、トナー担
持体1を得た。
<トナー担持体の製造例2>
アクリル樹脂をA−2に変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー
担持体2を得た。
<トナー担持体の製造例3>
ウレタン樹脂をU−2、アクリル樹脂をA−3に変更し、アクリル樹脂の含有量を表5のとおり変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体3を得た。
<トナー担持体の製造例4>
ウレタン樹脂をU−3、アクリル樹脂をA−4に変更し、アクリル樹脂の含有量を表5のとおり変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体4を得た。
<トナー担持体の製造例5>
ウレタン樹脂をU−4、アクリル樹脂をA−5に変更し、アクリル樹脂の含有量を表5のとおり変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体5を得た。
<トナー担持体の製造例6>
ウレタン樹脂をU−5、アクリル樹脂をA−6に変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体6を得た。
<トナー担持体の製造例7>
アクリル樹脂をA−3に変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体7を得た。
<トナー担持体の製造例8>
アクリル樹脂をA−7に変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体8を得た。
<トナー担持体の製造例9>
アクリル樹脂をA−8に変更し、アクリル樹脂の含有量を表5のとおり変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体9を得た。
<トナー担持体の製造例10>
アクリル樹脂をA−8に変更し、アクリル樹脂の含有量を表5のとおり変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体10を得た。
<トナー担持体の製造例11>
ウレタン樹脂をU−5、アクリル樹脂をA−6に変更し、アクリル樹脂の含有量を表5のとおり変更した以外はトナー担持体の製造例1と同様にして、トナー担持体11を得た。得られたトナー担持体1〜11についてのデータを組成と共に表5に示す。
次に、本発明に用いることのできるトナー供給ローラーの作製例を以下に示す。ポリオール(商品名:FA908、三洋化成工業社製)90質量部、ポリオール(商品名:POP34−28、三洋化成工業社製)10質量部、TOYOCAT−ET(東ソー株式会社製商品名、第3級アミン触媒)0.1質量部、TOYOCAT−L33(東ソー株式会社製商品名、第3級アミン触媒)0.5質量部、水(発泡剤)2.5質量部、シリコーンとポリエーテル共重合体としてSH190(東レダウコーニングシリコーン社製商品名)1質量部を予め混合した。その後、この混合物にポリイソシアネートとしてコロネート1021(日本ポリウレタン工業株式会社製商品名、NCO%=45)を24質量部加えて、混合攪拌し、次いで、上記成形型にて発泡成形することにより外径5mm芯金の周りに、厚さ4.5mmのポリウレタンスポンジからなる発泡弾性層を一体的に形成せしめてなるトナー供給ローラー1を作製した。
次に、実施例で使用したトナーの製造例について説明する。
(トナー製造例1)
反応容器中のイオン交換水1,000質量部に、リン酸ナトリウム15.3質量部ならびに10%塩酸を4.9質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に8.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−89) 0.20質量部
続いて上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・非晶性ポリエステル樹脂3 2.5質量部
・結晶性ポリエステル2 10質量部
・合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃) 12質量部
・負帯電性荷電制御樹脂2 1.0質量部
・低分子量スチレン−アクリル樹脂1 20質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を69℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)2.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌し、pH5.5で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、反応容器を冷却し、10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1,000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ2を1.5質量部、脂肪酸金属塩1を0.10質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー1を得た。得られたトナー1の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例2)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩2に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー2を得た。得られたトナー2の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例3)
非晶性ポリエステル樹脂3を5.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を10質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)2.0質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー3を得た。得られたトナー3の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例4)
非晶性ポリエステル樹脂3を5.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を10質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)3.0質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー4を得た。得られたトナー4の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例5)
非晶性ポリエステル樹脂3を2.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社
製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を13質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)3.0質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー5を得た。得られたトナー5の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例6)
非晶性ポリエステル樹脂3を2.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を14質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)2.0質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー6を得た。得られたトナー6の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例7)
非晶性ポリエステル樹脂3を6.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を9質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)1.7質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー7を得た。得られたトナー7の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例8)
非晶性ポリエステル樹脂3を2.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を14質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)1.7質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー8を得た。得られたトナー8の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例9)
非晶性ポリエステル樹脂3を2.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を14質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)3.5質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー9を得た。得られたトナー9の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例10)
非晶性ポリエステル樹脂3を9.0質量部に、合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)を9質量部、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)3.5質量部に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー10を得た。得られたトナー10の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例11)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩3に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー11を得た。得られたトナー11の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例12)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩4に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー12を得た。得られたトナー12の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例13)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩5に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー13を得た。得られたトナー13の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例14)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム20.5質量部ならびに10%塩酸を6.2質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に11.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩6に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー14を得た。得られたトナー14の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例15)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム11.3質量部ならびに10%塩酸を3.7質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に6.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩6に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー15を得た。得られたトナー15の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例16)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム20.5質量部ならびに10%塩酸を6.2質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に11.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩7に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー16を得た。得られたトナー16の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例17)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム9.0質量部ならびに10%塩酸を3.0質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に5.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩7に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー粒子17を得た。得られたトナー17の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例18)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩6に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー18を得た。得られたトナー18の組成や物性等については表6及び7に
記載した。
(トナー製造例19)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩7に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー19を得た。得られたトナー19の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例20)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム20.5質量部ならびに10%塩酸を6.2質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に11.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩8に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー20を得た。得られたトナー20の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例21)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム9.0質量部ならびに10%塩酸を3.0質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に5.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩8に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー21を得た。得られたトナー21の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例22)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム20.5質量部ならびに10%塩酸を6.2質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に11.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩9に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー22を得た。得られたトナー22の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例23)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム9.0質量部ならびに10%塩酸を3.0質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に5.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩9に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー23を得た。得られたトナー23の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例24)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩8に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー24を得た。得られたトナー24の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例25)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩10に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添
剤を有するトナー25を得た。得られたトナー25の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例26)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム9.0質量部ならびに10%塩酸を3.0質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に5.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩11に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー26を得た。得られたトナー26の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例27)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム20.5質量部ならびに10%塩酸を6.2質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に11.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩11に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー27を得た。得られたトナー27の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例28)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩12に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー28を得た。得られたトナー28の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例29)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩6に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー29を得た。得られたトナー29の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例30)
脂肪酸金属塩1を脂肪酸金属塩14に変更した以外はトナー製造例9と同様にして外添剤を有するトナー30を得た。得られたトナー30の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例31)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム20.5質量部ならびに10%塩酸を6.2質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に11.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩14に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー31を得た。得られたトナー31の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例32)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム9.0質量部ならびに10%塩酸を3.0質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水1
0質量部に5.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩15に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー32を得た。得られたトナー32の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例33)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム9.0質量部ならびに10%塩酸を3.0質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に5.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩14に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー粒子33を得た。得られたトナー33の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例34)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム11.3質量部ならびに10%塩酸を3.7質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に6.4質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩6に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー34を得た。得られたトナー34の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例35)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム19.3質量部ならびに10%塩酸を6.1質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に10.6質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩15に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー35を得た。得られたトナー35の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例36)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム7.3質量部ならびに10%塩酸を2.3質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に4.0質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩6に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー粒子36を得た。得られたトナー36の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例37)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム20.5質量部ならびに10%塩酸を6.2質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水
10質量部に11.5質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩15に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー粒子37を得た。得られたトナー37の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例38)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム23.3質量部ならびに10%塩酸を7.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に13.0質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩13に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー38を得た。得られたトナー38の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例39)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム23.3質量部ならびに10%塩酸を7.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に13.0質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩16に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー39を得た。得られたトナー39の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例40)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム7.3質量部ならびに10%塩酸を2.3質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に4.0質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩13に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー40を得た。得られたトナー40の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例41)
分散媒の調製を以下の様に変更し;リン酸ナトリウム7.3質量部ならびに10%塩酸を2.3質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に4.0質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した、及び疎水性酸化チタン1を0.3質量部から0.6質量部に、脂肪酸金属塩5を脂肪酸金属塩16に変更した以外はトナー製造例13と同様にして、トナー41を得た。得られたトナー41の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例42)
反応容器中のイオン交換水1,000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオ
ン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
・スチレン 48質量部
・着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(融点=66℃、分子量1514)
9.0質量部
・荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
・負帯電性荷電制御樹脂1 0.50質量部
・ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亞合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃) 0.15質量部
・結晶性ポリエステル1 10質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)4.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1,000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を1.5質量部、脂肪酸金属塩13を0.10質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー42を得た。得られたトナー42の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例43)
<樹脂粒子分散液1の調製>
・スチレン 75質量部
・n−ブチルアクリレート 25質量部
・アクリル酸 3質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム1.5質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーシクロND−40E」、分子量:313、10時間半減期温度:41.4℃、活性酸素量:2.05%)2.5質量部を5分間ゆっくり撹拌しながら更に添加した。その後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.29μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
<樹脂粒子分散液2の調製>
・スチレン 40質量部
・n−ブチルアクリレート 58質量部
・ジビニルベンゼン 0.03質量部
・アクリル酸 3質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム2.4質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.31μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
<樹脂粒子分散液3の調製>
・スチレン 73質量部
・n−ブチルアクリレート 25質量部
・ジビニルベンゼン 0.25質量部
・アクリル酸 3質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム1.9質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.31μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液3を調製した。
<着色剤粒子分散液1の調製>
・C.I.ピグメントレッド122 20質量部
・アニオン性界面活性剤 3質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<離型剤粒子分散液の調製>
・離型剤 No.5(融点=70℃) 50質量部
・アニオン性界面活性剤 7質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.5μmである離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液を調製した。
<帯電制御粒子分散液の調整>
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5質量部
(帯電制御剤、ボントロンE−88、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この帯電制御粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる帯電制御粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<混合液調製>
・樹脂粒子分散液1 280質量部
・樹脂粒子分散液2 100質量部
・着色剤分散液1 40質量部
・離型剤分散液 70質量部
以上を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1N−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
<凝集粒子形成>
この混合液に凝集剤として、8%塩化ナトリウム水溶液150質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら55℃まで加熱した。この温度の時、樹脂粒子分散液3を3質量部と帯電制御剤粒子分散液を10質量部とを加えた。55℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約3.3μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
<融着工程>
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を追加した後、ステンレス製フラスコ中で磁力シールを用いて撹拌を継続しながら95℃まで加熱し、12.5時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、45℃で流動層乾燥を行い、スプレードライヤーで200〜300℃の気相中に分散させることより形状を調整し、トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を2.5質量部、脂肪酸金属塩15を0.10質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー43を得た。得られたトナー43の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例44)
反応容器中のイオン交換水1,000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
・スチレン 48質量部
・着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(融点=66℃、分子量1514)
9.0質量部
・荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
・負帯電性荷電制御樹脂1 0.50質量部
・ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亞合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃) 0.20質量部
・非晶性ポリエステル4 2.50質量部
・結晶性ポリエステル1 15質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)1.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1,000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を2.5質量部、脂肪酸金属塩13を0.10質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー44を得た。得られたトナー44の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例45)
・スチレン−n−ブチルアクリレート−ヒドロキシエチルアクリレート−アクリル酸オクチル共重合体(Tg61.5℃,分子量:Mw53,000) 80質量部
・スチレン−n−ブチルアクリレート−テトラフルオロプロピルメタクリレート共重合体(Tg64.5℃,分子量:Mw55,000) 20質量部
・着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド57=1/1
)
5質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物 (ボントロンE−88:オリエント化学社製)
1質量部
・ポリプロピレンワックス(m.p.115℃) 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、該混練物を125℃で三本ロールミルによって溶融混練して混練物排出部より混練物を排出し、更に該混練物を120℃で三本ロールミルによる溶融混練を2回繰り返し行った。さらに該混練物を135℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行った。得られた混練物を所定温度まで急冷後、室温にて放置して徐冷した後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、更にハイブリダイザー(奈良機械製作所製)を用いて球形化した後に、更にカッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、風力分級することで、マゼンタ着色トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を7.5質量部、脂肪酸金属塩13を0.20質量部、1次粒径100nmのメチルメタクリレート−ペンタフルオロオクチルアクリレート共重合体の樹脂粒子(Tg74.5℃,分子量:Mw25000)を0.2質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー45を得た。得られたトナー45の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例46)
<トナーバインダーの合成>
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物660部,ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸290部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れ、常圧で220℃で12時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で6.5時間反応した後、190℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート180部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次いでプレポリマー(1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量65,000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物624部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸138部、イソフタル酸138部を常圧下、230℃で5時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5.5時間反応して、ピーク分子量6,300の変性されていないポリエステル(a)を得た。ウレア変性ポリエステル(1)250部と変性されていないポリエステル(a)750部とをテトラヒドロフラン溶剤2,000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
<トナーの作成>
ビーカー内に前記のトナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液240部、C.I.ピグメントレッド122顔料4部、帯電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学工業社製)3部、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート
(日本油脂社製、商品名「パーシクロND」、分子量:313、10時間半減期温度:41.4℃、活性酸素量:3.58%)1.0質量部を入れ、55℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.17部を入れ均一に溶解した。ついで55℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12,000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を4.5質量部、脂肪酸金属塩13を0.40質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー46を得た。得られたトナー46の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例47)
トナー製造例43と同様にトナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を5.5質量部、脂肪酸金属塩15を0.30質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー47を得た。得られたトナー47の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例48)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体(Tg57.1℃,分子量:Mw27000)
100質量部
着色剤(C.I.ピグメントレッド122/C.I.ピグメントレッド57=1/1)
5質量部
荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 1.5質量部
ポリプロピレンワックス(m.p.115℃) 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、125℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行い、混練物を室温まで徐々に冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、風力分級することで、トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を3.5質量部、脂肪酸金属塩17を0.70質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー48を得た。得られたトナー48の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例49)
脂肪酸金属塩17を脂肪酸金属塩18に変更した以外はトナー製造例48と同様にして、外添剤を有するトナー49を得た。得られたトナー49の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例50)
<トナーバインダーの合成>
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキ
サイド2モル付加物660部,ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸290部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れ、常圧で220℃で12時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で6.5時間反応した後、190℃まで冷却して、これに40部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート180部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次いでプレポリマー(1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量72,000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物624部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸138部、イソフタル酸138部を常圧下、230℃で5時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5.5時間反応して、ピーク分子量6,300の変性されていないポリエステル(a)を得た。ウレア変性ポリエステル(1)220部と変性されていないポリエステル(a)750部と非晶性ポリエステル6を30部とをテトラヒドロフラン溶剤2,000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
<トナーの作成>
ビーカー内に前記のトナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液240部、C.I.ピグメントレッド122顔料4部、帯電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学工業社製)3部、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーシクロND」、分子量:313、10時間半減期温度:41.4℃、活性酸素量:3.58%)1.0質量部を入れ、55℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.17部を入れ均一に溶解した。ついで55℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12,000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を6.5質量部、脂肪酸金属塩17を1.2質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー50を得た。得られたトナー50の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例51)
脂肪酸金属塩17を使用しなかった以外はトナー製造例48と同様にして、外添剤を有するトナー51を得た。得られたトナー51の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例52)
反応容器中のイオン交換水1,000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
・スチレン 48質量部
・着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサミリステート(融点=66℃、分子量1,514)
9.0質量部
・荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
・負帯電性荷電制御樹脂1 0.50質量部
・非晶性ポリエステル1 2.50質量部
・非晶性ポリエステル2 2.50質量部
・非晶性ポリエステル4 2.50質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)2.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1,000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2,000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、トナー粒子を得た。
得られたマゼンタ着色トナー粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を6.5質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー52を得た。得られたトナー52の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例53)
疎水性シリカ1を4.0質量部にし、脂肪酸金属塩17を使用しなかった以外はトナー製造例48と同様にして、外添剤を有するトナー53を得た。得られたトナー53の物性等については表7に記載した。
(トナー製造例54)
疎水性シリカ1を4.5質量部に変更した以外はトナー製造例52と同様にして、外添剤を有するトナー54を得た。得られたトナー54の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(トナー製造例55)
疎水性シリカ1を5.5質量部に変更した以外はトナー製造例52と同様にして、外添剤を有するトナー55を得た。得られたトナー55の組成や物性等については表6及び7に記載した。
(評価機)
本発明の実施例の評価に用いた評価機について説明する。市販のHP Color L
aser Jet 3500(HP社製)のプロセススピードを150mm/sに改造し
、外部電源を設置して図2のようにトナー規制部材にバイアスを印加できるようにし、評価機とした。トナー規制部材にはトナー担持体に印加されるバイアスの−100V分のバイアスを印加した。また、その市販のマゼンタカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー規制部材の表面にラミネートされている樹脂フィルムを剥がし、トナー担持体およびトナー供給ローラー1を適宜付け替え、本発明のトナーを100g充填し、その他のシアン、イエロー、ブラックのカートリッジについては製品トナーを抜いて各ステーションに挿入して、評価を行った。
<実施例1〜64>
表7に記載されたトナー及びトナー担持体を用い、前記の評価機でもって表7に記載の設定条件で各種評価を行った。その評価結果を表8、9及び10に示す。
なお、実施例53〜64を、それぞれ、参考例53〜64とする。
<比較例1〜8>
表7に記載されたトナー及びトナー担持体を用い、前記の評価機でもって表7に記載の設定条件で各種評価を行った。その評価結果を表8、9及び10に示す。