JP5256687B2 - ジアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、容器や光ディスク基板等の素材樹脂の材料である、ポリカーボネートの原料となるジアリールカーボネートの製造方法に関する。
芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとの反応により、ジアリールカーボネートが得られることは、従来から知られている(非特許文献1)。
例えば、溶媒を用いて、水酸化ナトリウム溶液存在下、芳香族ヒドロキシ化合物と、ハロゲン化カルボニルであるホスゲンとの反応を行なうことにより、ジアリールカーボネートを得られることが知られている。この反応では溶媒と水酸化ナトリウム溶液とを使用するが、副生物として塩化ナトリウムを大量に生成すること、溶媒を回収しなければならないこと等の課題を有していた。
このような課題に対して、触媒存在下で、芳香族ヒドロキシ化合物と、ハロゲン化カルボニルとを、直接反応させる方法が提案されている。この方法では、溶媒を使用しないため溶媒回収の必要はない。例えば、芳香族ヒドロキシ化合物と、ホスゲンとを直接反応させると、上述の塩化ナトリウムの代わりにハロゲン化水素(塩化水素)を副生する。そのため、別途化学プラント内で塩化水素を再利用すること等により、塩化物をプラント外に排出する必要がなく、廃水処理の負担も低減された。
このように芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを直接反応させる方法としては、気相−気相での反応(気相反応)が提案されている。しかしながら、気相反応は、高い反応温度と高真空度での反応となる傾向があった。
一方、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを直接反応させる別の方法としては、気相−液相での反応(気液反応)が提案されている(特許文献1)。
ここで、上述の反応を気液反応で行なった場合、通常、芳香族ヒドロキシ化合物が液相となる。このとき、原料を効率的に利用するためには、ハロゲン化カルボニルをほぼ完全に反応させることが望ましい。そのため芳香族ヒドロキシ化合物を、ハロゲン化カルボニルに対して大過剰に用いて、反応させることが考えられる。しかしながらこの場合、未反応の芳香族ヒドロキシ化合物を回収する負担が大きくなる傾向があった。
そこで、ほぼ化学量論的な比率で、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを反応させることが望ましい。しかしながら、上述の反応では、ハロゲン化水素が副生するため、反応後半では気相中のハロゲン化カルボニルの濃度が、著しく低下する傾向があった。そのため、気相と液相とを十分な時間接触させ、さらに気相と液相との接触界面を大きくするために、可動部を有する反応器を用いて、強攪拌下にて気泡を小さく砕くという手法が用いられてきた。このような気液反応では、気相と液相との接触界面を大きくするため、通常、攪拌装置による気−液回分反応方式、又は、連続反応方式にて反応が行われていた。
また、不均一触媒を用いて、上述の反応を行なうことも提案されている(特許文献2)。しかしながら、粉末状の不均一触媒を用いた場合、濾過、沈降もしくは遠心分離等の分離工程が必要であった。また、固定床の不均一触媒を用いた場合、触媒効率が低くなり、反応器が大きくなる傾向があった。
特公昭58−50977号公報 特開平9−40617号公報 「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」,日刊工業新聞社,1992年,P47
以上のことから、ジアリールカーボネートを工業的に有利に製造するにあたり、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを、直接反応させる方法が考えられる。
しかしながら、上述のように芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを直接反応させる場合、気相反応であっても、気液反応であっても、例えばホスゲンや塩化水素のような有毒ガスを多量に扱うことになる。そのため、可動部を有する反応器では、有毒ガス漏洩の可能性があり、安全性の面で課題を有していた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、反応塔を用いて安全性に優れ、経済的にも有利なジアリールカーボネートの連続的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは前述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとの反応を、反応器として反応塔を用い、一定条件の下でハロゲン化カルボニルを供給しながら行なうことにより、ジアリールカーボネートを効率よく連続的に製造できることを見いだし、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを反応器に供給して、触媒の存在下で反応させることにより、ジアリールカーボネートを連続的に製造する方法であって、該反応器は、充填物を少なくとも一部に充填した反応塔であり、該反応塔内部の該充填物を充填した部分における空間率が65%以上、且つ該充填物の単位体積あたりの表面積が300m2/m3以上であり、該触媒が均一触媒であることを特徴とするジアリールカーボネートの製造方法に存する(請求項1)。
このとき、該充填物がセラミックからなることが好ましい(請求項2)。
さらに、該充填物が酸性液により洗浄したものであることが好ましい(請求項3)。
本発明のジアリールカーボネートの製造方法によれば、反応器を用いることができ、経済的に有利で、安全かつ効率的な条件で、連続的にジアリールカーボネートを効率的に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
以下の記載では、まず、本発明のジアリールカーボネートの製造方法(単に「本発明の製造方法」という場合がある。)に使用される原料及び反応器について順に説明し、その上で本発明の製造方法の説明に移るものとする。
[1.原料]
本発明のジアリールカーボネートの製造方法においては、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルを原料として、それらを反応させることによりジアリールカーボネートを製造する。以下、これらの原料について説明する。
[1−1.芳香族ヒドロキシ化合物]
本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合物は、芳香環とヒドロキシ基とを有する化合物であればよく、本発明の効果を著しく損なわない限り、他に制限はない。
芳香環としては、π電子が非局在化している環であれば、その種類は制限されず、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよい。個々の環を構成する原子数は、通常4以上、好ましくは5以上、また、通常7以下、好ましくは6以下である。芳香族複素環の場合、環を構成する炭素以外の原子(ヘテロ原子)としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。また、芳香族ヒドロキシ化合物一分子あたりの環の数も制限されず、単一の芳香環を有していてもよく、一の芳香環に他の一又は二以上の環が縮合してなる縮合環を有していてもよい。縮合環の場合、芳香環に縮合する環の数は制限されないが、通常は2以下、好ましくは1である。
また、ヒドロキシ基は、芳香族ヒドロキシ化合物の一分子中に少なくとも1つ存在すればよく、その上限は制限されないが、好ましくは1つである。また、ヒドロキシ基は通常は上述の芳香環に結合するが、その結合位置も任意である。
本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合物は、上述の芳香環及びヒドロキシ基に加えて、他の置換基を有していてもよい。他の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合物がこれらの置換基を有する場合、これらの置換基を1つのみ有していても良いし、2つ以上の置換基を任意の組み合わせ、及び比率で有していても良い。また、これらの置換基は通常は上述の芳香環に結合するが、その結合位置も任意である。
また、本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合物に複数の立体異性体が存在する場合、いずれの立体構造を有していてもよい。また、複数の立体異性体の混合物であってもよい。
本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合物の例としては、フェノール及びその誘導体と、その他の芳香族ヒドロキシ化合物とが挙げられる。
フェノール及びその誘導体の具体例としては、フェノール;クレゾール、イソプロピルフェノール等のアルキルフェノール;クロロフェノール等のハロゲン化フェノール;メトキシフェノール等のアルコキシフェノール;等が挙げられる。
その他の芳香族ヒドロキシ化合物の例としては、ナフトール等の芳香族炭化水素多環式ヒドロキシ化合物;4−ヒドロキシキノリン等の芳香族複素単環式又は多環式ヒドロキシ化合物;等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシ化合物としては、フェノール及びその誘導体が好ましく、中でも、フェノールが好ましい。
なお、本発明の製造方法において、芳香族ヒドロキシ化合物としては、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、不純物を混有していても良い。ただし、反応効率の向上や、ジアリールカーボネートヘの不純物の持ち込みを極力低減する観点から、芳香族ヒドロキシ化合物の純度は、通常80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。
また、芳香族ヒドロキシ化合物は、本発明の製造方法に用いる際に、触媒を混合した状態で用いても良い。これらについては、後述する。
[1−2.ハロゲン化カルボニル]
本発明に用いられるハロゲン化カルボニルは、カルボニル基とハロゲン原子とが結合した化合物であれば、本発明の効果を著しく損なわない限り、他に制限はない。
本発明に用いられるハロゲン化カルボニルとしては、例えば、ホスゲン、ブロムカルボニル等が挙げられる。中でもホスゲンが特に好ましい。
なお、本発明の製造方法において、ハロゲン化カルボニルとしては、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化カルボニルは、本発明の効果を著しく損なわない限り、不純物を混有していても良い。また、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスなどで希釈した状態で用いても良い。ただし、反応効率の向上や、ジアリールカーボネートへの不純物の持ち込みを極力低減する観点から、ハロゲン化カルボニルの純度は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。
[1−3.原料の存在状態]
本発明のジアリールカーボネートの製造方法では、上述の原料(芳香族ヒドロキシ化合物及びハロゲン化カルボニル)を反応器に供給する際の存在状態は任意であるが、通常は、双方の原料を共に気体の状態で反応器に供給して直接反応させる(即ち、気相反応させる)か、何れか一方の原料を気体の状態で、他方を液体の状態で反応器に供給して直接反応させる(即ち、気液反応させる)。
しかし、芳香族ヒドロキシ化合物を気体状態で供給するためには、高い反応温度と高真空度での反応となる傾向があり、工業的に不利となる可能性がある。
従って、本発明のジアリールカーボネートの製造方法においては、芳香族ヒドロキシ化合物を液体状態にて、ハロゲン化カルボニルを気体状態にて、反応器に供給して直接反応させる(即ち、気液反応させる)ことが好ましい。
以下の記載では、芳香族ヒドロキシ化合物を液体状態にて、ハロゲン化カルボニルを気体状態にて、反応器に供給して直接反応させる場合(即ち、気液反応の場合)を中心に説明する。但し、本発明の製造方法は気液反応させる場合に制限されるものではない。
[2.反応器]
本発明の製造方法においては、反応器として反応塔を用いることを特徴としている。ここで、本発明において「反応塔」とは、可動部分を有さない反応器のことをいう。ここで「可動部分」とは、反応器を貫通して反応器に備えられている駆動部のことをいう。駆動部の例としては、攬件装置が挙げられる。
以下、本発明の製造方法で使用される反応塔及びその周辺部品(これらを総称して「反応塔ユニット」という場合がある。)の構成を、代表的な態様を挙げて説明する。但し、本発明の製造方法で使用可能な反応塔ユニットの構成は、以下に挙げる態様に制限されるものではなく、任意の構成とすることができる。
図1は、本発明の製造方法で使用される反応塔ユニットの一態様を模式的に示す側面図である。具体的に、図1に示す反応塔ユニット10は、反応塔1と、供給管2、3と、オーバーフロー管4と、気相管5と、ジャケット6と、調節機構2a、3a、4a、5aとを備えてなる。そして、原料である芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを、共に反応塔1の下部から供給するように構成されている。
(反応塔)
図1において、符号1は、反応塔を示す。反応塔1の内部に上述の原料が供給されることで、反応が進行し、ジアリールカーボネートが製造される。なお、反応時において反応塔1の内部に存在する成分を、本明細書では適宜「反応系」という場合がある。また、反応時に反応系の液相が存在する主な部分を、図1では模式的に斜線を付している。
反応塔1の材質は、本発明のジアリールカーボネートの製造方法を実施できれば、特に制限はない。例としては、ステンレス、ハステロイ等の金属、及びガラス等の材料を用いることができる。また、原料や反応生成物の接触する部分が、前記金属等で保護された材料を用いることもできる。例えば、前記金属でメッキや溶射の処理を行なった材料や、グラスライニング、テフロン(登録商標)ライニング等の処理を行なった材料を用いることもできる。これらの中でも好ましくは、ガラス、グラスライニング処理を施した材料である。なお、反応塔1の材質は、上記の各種の材料(各種処理を行なった材料を含む)のうち、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び、比率で使用してもよい。
反応塔1の壁の厚みは任意であり、反応塔1の材質や、本発明の製造方法の実施時における温度や圧力等の条件を考慮して設定すればよいが、通常1mm以上、40mm以下の範囲である。なお、反応塔1の壁の厚みは、反応塔の全域に亘って均一であってもよく、不均一であってもよいが、反応塔1の壁の厚みが不均一である場合も、反応塔1の壁の通常90%以上、好ましくは99%の厚みが、上記範囲に入っていることが望ましい。
なお、図1においては表記の簡便のため、反応塔1の壁の厚みをないものと見なして、後述のL、H、D等の寸法を表示している。但し、これらはあくまでも模式的な表示であり、実際には反応塔1の壁は厚みを有するため、後述のL、H、D等の寸法はその壁の厚みを考慮して決められることになる。
反応塔1の高さ及び内径は、目的とする生産量や設置場所などの条件により、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意に設定することができる。
反応塔1内部の高さ(図1のL+Hで表わされる距離)とは、反応塔1内の底部と頂上部との距離をいう。なお、「反応塔1内の底部」とは、反応塔1の内部で最も低い部分をいい、「反応塔1内の頂上部」とは、反応塔1の内部で最も高い部分をいう。
反応塔1内部の高さは、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常1m以上、好ましくは3m以上、より好ましくは5m以上、また、通常30m以下、好ましくは20m以下、より好ましくは18m以下である。上記範囲よりも大きすぎると反応塔のサイズが大きくなり、強度等の点でコスト高になる可能性があり、小さすぎると反応が十分に進行しない可能性がある。
反応塔1の内径(図1のD)とは、反応塔1の内径の平均値をいう。
反応塔1の内径は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常0.05m以上、好ましくは0.1m以上、より好ましくは0.2m以上、また、通常10m以下、好ましくは5m以下、より好ましくは4m以下である。上記範囲よりも大きすぎると反応塔のサイズが大きくなり、気相が反応系に均一に分散しづらくなる傾向があり、小さすぎると内壁の反応系に及ぼす影響が大きくなる傾向がある。
(管)
図1において、符号2〜5は、反応塔1に原料などを供給したり、又は生成物などを取り出したりするための管を示す。これらの管2〜5には、図示するように、開閉する量を調整すること等によって流通量を調節する機構2a〜5a(以下、「調節機構」という)を備えていてもよい。調節機構の例としては、バルブ、弁等が挙げられる。また、この調節機構2a〜5aは、管2〜5を流通する物質の様態(気体、液体、等)や、物理的性質(粘性、圧力、温度、等)、化学的性質(酸化還元性、pH、等)によって最適なものを選択すればよい。また、管2〜5の材質は、上述の反応塔の材質と同様のものを用いることができる。
以下、管2〜5の詳細について説明する。
(芳香族ヒドロキシ化合物の供給管)
図1の管2は、芳香族ヒドロキシ化合物を供給する供給口となる管(以下、反応塔1の内部に原料や触媒等の成分を供給する供給口となる管を、適宜「供給管」ということがある)である。供給管2は、反応塔1の下部に備えられる。具体的には、供給管2の反応塔
1における接触下端が、反応塔1の下部になるように備えられる。ここで、「反応塔の下部」とは、反応塔1内の底部から、反応塔1内部の高さの2分の1までの間の部分をいうものとする。図1中の供給管2に向けられた矢印は、芳香族ヒドロキシ化合物の供給方向を示している。
図1において、供給管2には、芳香族ヒドロキシ化合物の供給量を調節できる調節機構2aが備えられている。なお、供給管2は、この調節機構2aを備えていなくてもよい。但し、供給管2が調節機構2aを備えていないときは、予め供給量を調整された芳香族ドロキシ化合物を、供給管2に供給することが好ましい。
(ハロゲン化カルボニルの供給管)
図1の管3は、ハロゲン化カルボニルを供給する供給管である。供給管3は、反応塔1の下部に備えられる。図1中の供給管3に向けられた矢印は、ハロゲン化カルボニルの供給方向を示している。
図1において、供給管3には、ハロゲン化カルボニルの供給量を調節できる調節機構3aが備えられている。なお、供給管3は、この調節機構3aを備えていなくてもよい。但し、供給管3が調節機構3aを備えていないときは、予め供給量が調整されたハロゲン化カルボニルを、供給管3に供給することが好ましい。
(オーバーフロー管)
図1の管4は、反応塔1の内部の成分について、気相と液相との分離(本明細書ではこれを「気液分離」という場合がある。)を行なった後の、液相を排出するための管(以下、反応塔1の内部の成分の液相を排出するための管を、適宜「オーバーフロー管」ということがある)である。液体状態の芳香族ヒドロキシ化合物と、気体状態のハロゲン化カルボニルとを反応させると、反応後の反応系には液相と気相とが存在する。液相には、反応により主生成したジアリールカーボネートが存在する。また、気相には、反応により副生成したハロゲン化水素が存在し、さらに、過剰に加えられたハロゲン化カルボニルや未反応のハロゲン化カルボニルも存在する。
ここで、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを反応塔1の下部に供給し、該下部から上方に並流させて反応させ、反応塔1の上部(この定義については後述する。)に存在する反応後の液相のみをオーバーフロー管4から溢れ出させることによって、液相と気相との分離(気液分離)を行なうことができる。反応後の液相には、主に主生成物であるジアリールカーボネートが存在するため、各原料を反応塔1の下部から供給管2、3を通じて連続的に供給し、反応後の反応系を反応塔1の上部でオーバーフロー管4により気液分離することで、主生成物のみを連続的に得ることができる。
オーバーフロー管4は、反応塔1の上部に備えられる。具体的には、オーバーフロー管4の反応塔1における接触下端が、反応塔1の上部に位置するように、オーバーフロー管4が反応塔1に備えられる。ここで、「反応塔1の上部」とは、反応塔1内の頂上部から、反応塔1内部の高さの2分の1までの間の部分をいう。
なお、オーバーフロー管4の反応塔1おける接触下端と、反応塔1内の頂上部との距離をL、反応塔1の内径をDとした場合に、L/Dの値が通常1以上、好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.2以上、また、通常10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは2以下、となる位置にオーバーフロー管4を備えることが好ましい。L/Dの値が大きすぎると、反応塔が大きくなり、コスト高になる傾向がある。また、L/Dの値が小さすぎると、反応液が泡立つために、気液分離が困難になる傾向がある。
さらに、反応塔1内の底部から反応時における反応系の液相の液面(これを以下「反応系の液面」という場合がある。反応系の液面は、即ち、オーバーフロー管4の反応塔1における接触下端と概ね等しくなる。)までの高さをH、該反応塔1の直径をDとした場合に、H/Dの値が通常10以上、好ましくは20以上、さらに好ましくは40以上、また、通常100以下、好ましくは70以下、さらに好ましくは50以下となる位置にオーバーフロー管4を備えることが好ましい。
図1において、オーバーフロー管4には、例えばバルブのような、オーバーフロー管4
の開閉量を調節できる調節機構4aが備えられている。但し、オーバーフロー管4は、この調節機構4aを有していなくてもよい。
また、図中のオーバーフロー管4から伸びている矢印は、液相の排出方向を示している。
(気相管)
図1の管5は、気液分離された気相を排出する管(以下、反応塔1の内部の成分の気相を排出するための管を、適宜「気相管」ということがある)である。気相管5は、反応塔1の上部に備えられる。なお、図中の気相管5から伸びている矢印は、気相の排出方向を示している。
図1において、気相管5には、例えばバルブのような、気相管5の開閉量を調節できる調節機構5aが備えられている。但し、気相管5は、この調節機構5aを有していなくてもよい。
(ジャケット)
図1において、符号6は、ジャケットを示す。ジャケット6は、反応塔1の外側面の少なくとも一部を覆うように設けられ、反応塔1を保温、加熱、又は、冷却等することにより、反応塔1内部の温度を制御するものである。
なお、図1では図示の明確化のため、反応塔1の図中手前側に存在するジャケット6の一部を一点鎖線で透視して示している。また、図1の反応塔ユニット10では反応塔1がオーバーフロー管4を有しているため、ジャケット6はそのオーバーフロー管4の反応塔1に対する取り付け部を避けて設けられている。
ジャケット6の例としては、電熱線式ジャケット、熱媒体循環式ジャケット等が挙げられるが、熱媒体循環式ジャケットが好ましい。熱媒体としては、オイル、水、水蒸気などの使用が可能であるが、中でもオイルが好ましい。高温でも使用可能だからである。
液体状態の芳香族ヒドロキシ化合物と、気体状態のハロゲン化カルボニルとの反応を行う場合、ジャケット6の温度(惹いては、ジャケット6によって制御される反応塔1内部の温度)は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上、また、通常500℃以下、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは170℃以下である。温度が高すぎるとジアリールカーボネートの品質に影響を与える可能性がある。ま
た、低すぎると内液が固化、閉塞し、反応率が低下する傾向がある。
(充填物)
なお、反応塔1内部の少なくとも一部に、充填物(図1に図示しない)を充填する。液体状態の芳香族ヒドロキシ化合物と、気体状態のハロゲン化カルボニルとを反応させるには、反応塔1内において反応系をよく混合し、液相と気相との接触面積を大きくすることが好ましい。そのために、反応塔1に充填物を充填し、それにより混合性を高め、より小さな反応塔1で高反応率を達成することができる。以下、充填物について説明する。
充填物は、規則充填物であってもよく、不規則充填物であってもよいが、不規則充填物であることが好ましい。
充填物の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、例えば、ガラス、セラミック、プラスチック等を用いることができる。中でも、セラミックが好ましい。
また、反応塔1内部の充填物を充填した部分の体積に対する、充填物の存在しない間隙部分の割合(空間率)は65%以上とされ、好ましくは70%以上、また、通常90%以下、好ましくは80%以下である。また充填物の単位体積当りの表面積は、300m2/m3以上とされ、好ましくは500m2/m3以上、さらに好ましくは600m2/m3以上である。
上記空間率は、反応塔の充填物を充填する部分の体積から、充填物の体積を引いて空間の体積を計算し、それを充填物を充填する部分の体積で割り、算出される値である。なお、充填物の体積は、例えば反応塔の充填物非充填時に満液まで満たした水の体積から、充填物充填時に満液まで満たした水の体積を引くことによって求めることができる。
また上記表面積は、充填物一個あたりの表面積を実際の形状から計算し、この表面積を単位体積あたりの充填物個数にかけて算出される。単位体積あたりの充填物個数は、反応塔に充填された単位体積あたりにおける充填物重量を充填物一個あたりの重量で割り、算出される。
なお、充填物が多孔性の場合、充填物内の空隙も「充填物の存在しない間隙部分」に含まれるものとする。
充填物は上記反応を行う前に酸性液で処理することが好ましい。酸性液としては、硫酸、塩酸、硝酸、りん酸等が挙げられ、その中でも特に塩酸、りん酸が好ましい。また酸性液の濃度は限定されるものではないが、通常5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。酸性液で処理しないと反応初期に充填物から金属分等の不純物が溶出され、得られるジアリールカーボネートの品質に重大な影響を及ぼし、初期生成物を廃棄しなければならない場合がある。上記酸性液による処理は、充填物を反応塔に充填する前に行ってもよく、また充填物を充填した後に行ってもよい。
(その他)
本発明における、反応器は、上述の構成の他、コンデンサー、ガススパージャー、目皿等のその他の構成を備えていてもよい。
[3.ジアリールカーボネートの製造方法]
本発明のジアリールカーボネートの製造方法では、上述した反応器(反応塔)に芳香族ヒドロキシ化合物と、ハロゲン化カルボニルとを供給することで、ジアリールカーボネートを連続的に製造することができる。以下、上記の原料の供給方法、触媒等、ジアリールカーボネートの製造方法について説明する。
(芳香族ヒドロキシ化合物の供給方法)
本発明の製造方法では、反応器内における連続相が、芳香族ヒドロキシ化合物であることが好ましい。ここで、連続相とは、反応塔内において一連の相を形成している相のことをいう。
これは、未反応芳香族ヒドロキシ化合物は、原料としてリサイクルすることが可能であるが、未反応ハロゲン化カルボニルは、副生したハロゲン化水素と混合して回収が困難となるためである。そのため、可能な限りハロゲン化カルボニルの反応率を向上させることが好ましく、このとき、芳香族ヒドロキシ化合物がハロゲン化カルボニルよりモル当量以上過剰に用いられてもよい。
なお、反応後の液相には、主に主生成物であるジアリールカーボネートが存在するため、材料を反応塔下部から連続的に供給し、反応後の反応系を気液分離することで、主生成物のみを連続的に得ることができる。そのため、芳香族ヒドロキシ化合物を、オーバーフロー管に至るまでに反応が完了する速度で、連続的に供給することが好ましい。
反応器に供給する芳香族ヒドロキシ化合物の温度は、通常40℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上、また、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは170℃以下である。温度が高すぎると沸点に近く、取り扱いが困難になる傾向がある。また、低すぎると固化する傾向がある。
芳香族ヒドロキシ化合物の反応塔内における滞留時間は、好ましくは0.5時間以上、さらに好ましくは1時間以上、また、好ましくは4時間以下、さらに好ましくは3時間以下である。
滞留時間は、反応器に供給する芳香族ヒドロキシ化合物の流量や、該反応塔の底部から反応系の液面までの高さを調整することにより、調整できる。
(ハロゲン化カルボニルの供給方法)
反応器に供給するハロゲン化カルボニルの流量(G[m3/秒])と、反応器の水平方向の塔内断面積(A[m2])との比(G/A[m/秒])の値は、通常0.01m/秒以上、好ましくは0.015m/秒以上、さらに好ましくは0.2m/秒以上、また、通常0.10m/秒以下、好ましくは0.05m/秒以下、さらに好ましくは0.03m/秒以下である。G/A[m/秒]の値が大きすぎると、フラッティングに似た現象が起こる可能性がある。また、上述の範囲を下回るには、反応塔が大きくなる傾向がある。なお、本発明において、反応器に供給するハロゲン化カルボニルの流量(G[m3/秒])とは、特に断り書きのない限り、気体の標準状態(273.15K,105Pa)に換算した値をいうものとする。
反応塔内の気相体積(Vg)に対する、反応塔内の空間体積(VV)の比率(Vg/VV)の値は、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.10以上、また、通常0.70以下、好ましくは0.50以下、さらに好ましくは0.30以下である。この比率の値が大きすぎると気相滞留時間が短くなる傾向がある。また、小さすぎると反応効率が低下する傾向がある。
ここで、「反応塔内の空間体積」とは、反応塔の液体部分の容積を意味する。図1を例に説明すると、高さHで表わされる部分の容積を意味する。なお、反応塔に充填剤が充填されている場合には、反応塔の液体部分の容積から充填剤の体積を除いた値とする。また、多孔性の充填剤の場合、充填剤の空隙は充填剤の体積には含まない。
また、「反応塔の気相体積」とは、反応塔の液相部分に存在する気体の体積をいう。図1を例に説明すると、高さHで表わされる部分の容積のうち、気泡として存在する気体の体積である。
(並流形式)
本発明のジアリールカーボネートの製造方法では、反応塔に材料が供給されれば、その供給方法に制限はない。例えば、芳香族ヒドロキシ化合物を反応塔上部から供給し、ハロゲン化カルボニルを反応塔下部から供給することができる。また、両方の材料を、反応塔の下部から供給することもできる。中でも、後者の方が好ましく、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルを反応器の下部に供給し、下部から上部に並流させて反応させることが好ましい。
(触媒)
本発明において、反応を触媒の存在下で行うことが好ましい。本発明に用いられる触媒は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、均一触媒を用いることが好ましい。
このような触媒としては、例えば、芳香族含窒素複素環化合物及びその塩、第3級窒素塩基、アルカリ金属塩、等が挙げられる。中でも芳香族含窒素複素環化合物及びその塩が好ましい。
芳香族含窒素複素環化合物は、窒素原子を含有する芳香族複素環(これを「芳香族含窒素複素環」という。)を有する化合物である。芳香族含窒素複素環の員数は制限されないが、通常は6員環または5員環である。また、芳香族含窒素複素環の中に含まれる窒素原子の数は一つでもよく、二つ以上でもよい。更には、環の中に窒素原子以外のヘテロ原子(例えばイオウ原子、酸素原子等)を含んでいても良い。また、芳香族含窒素複素環化合物一分子あたりの環の数も制限されず、単一の芳香族含窒素複素環からなっていてもよいが、芳香族含窒素複素環が他の一又は二以上の環と縮合して縮合環を形成していてもよい。縮合環の場合、環の数は制限されない。また、芳香族含窒素複素環化合物は、その触媒とし一又は二以上の任意の置換基を有していてもよい。置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられるが、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
このような芳香族含窒素複素環化合物及びその塩としては、例えば、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピコリン、アクリジン、ピラジン、ピリミジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−メトキシピリジン、2−ヒドロキシピリジン、等が挙げられる。中でも、ピリジン、α−ピコリン、β,γ−混合ピコリン、イソキノリン、2−ヒドロキシピリジン、イミダゾールが好ましく、その中でも、ピリジンが特に好ましい。
また、例えば、ポリビニルピリジンのように、ポリマー状に成形した上記化合物も同様に触媒として使用できる。
なお、本発明の製造方法において、これらの触媒は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の製造方法において触媒を使用する場合、その供給方式は特に制限されない。通常は反応前又は反応中に反応塔内に供給すればよいが、中でも芳香族ヒドロキシ化合物を液体状態で反応塔内に供給する場合であって、触媒として芳香族含窒素複素環化合物を使用する場合等には、芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族含窒素複素環化合物とを混合し、溶液又は分散液の状態として反応塔内に供給することが好ましい。
この場合、芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族含窒素複素環化合物との混合比は、所望の反応効率が得られれば制限されないが、芳香族ヒドロキシ化合物に対する芳香族含窒素複素環化合物の割合を通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下の範囲とすることが望ましい。芳香族含窒素複素環化合物の割合が低過ぎると反応効率が低下する傾向がある。また、芳香族含窒素複素環化合物割合を高くしても反応効率が頭打ちになったり、触媒回収を行なう場合には触媒回収に負荷がかかったりする場合がある。
(反応条件)
上述の条件を満たす限り、本発明の製造方法におけるその他の反応条件は制限されないが、代表的な条件は以下の通りである。
反応塔内の温度は、通常120℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下とすることが望ましい。反応塔内の温度が高すぎると、芳香族ヒドロキシ化合物の沸点に近くなり、取り扱いが難しくなる傾向がある。また、反応塔内の温度が低すぎると、反応効率が低下する傾向かある。
また、各原料、特に液体状態で供給される芳香族ヒドロキシ化合物については、その供給前に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスでバブリングし、残存する酸素等の活性気体等を概ね除去した状態としてから、反応塔に供給することが好ましい。
(後処理)
本発明の製造方法により主生成物として得られるジアリールカーボネートは、通常は、反応後の反応系の液相中に液体の状態で含まれることになる。よって、反応後の反応系の液相を回収することにより、ジアリールカーボネートを得ることができる。
回収後の液相に含まれるジアリールカーボネートを、その状態のまま目的とする用途に用いてもよいが、必要に応じて単離・精製等の後処理を加えてもよい。
(本発明の利点)
本発明のジアリールカーボネートの製造方法によれば、反応塔を用いることができるため、毒性の高い原料が漏出する可能性が低まり、また作業者が可動部による負傷すること等が防げるため、安全性が高い。
また、効率的な条件で連続的にジアリールカーボネートを製造することができるため、歩留まりが高く、経済的に有利である。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
(塩化カルボニル未反応率)
反応器から抜き出された気相を、容量既知のガラス製容器に充分な時間供給させ、密閉した後、30容量%アニリン/アセトニトリル溶液を50mL加えて、塩化カルボニルとアニリンとを反応させ、未反応の残存塩化カルボニルを全量ジフェニルウレアへと変換した。この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所社製、型番LC6A;カラムはGLサイエンス社製、型番MCI GEL ODS−1HU;移動相は50%アセトニトリル/水(0.1mol/l酢酸アンモニウム含有))で定量分析し、ジフェニルウレアの量を測定した。得られた測定値から、未反応の塩化カルボニルの量を算出した。
この算出された未反応の塩化カルボニルの量から、以下式を用いて塩化カルボニル未反応率(%)を求めた。
Figure 0005256687
[実施例]
<実施例1>
反応器として、反応塔の内径(D)が0.05m(水平方向の塔内断面積(A)が0.00196m2)のオイル循環式ジャケット付きガラス製反応塔を、160℃のオイルを循環させ、充填物として35%塩酸にて30分間浸漬処理したインタロックスサドル1/2インチ(セラミック製、充填物が充填された部分(充填部)における空間率75%、単位体積当りの充填物の表面積623m2/m3)1078gを、反応塔の底部から0.1m〜1.1mの部分に充填した状態で使用した。
次に、均一触媒としてピリジンを3.0モル%含有するフェノールを、150℃に加熱した状態で、該反応塔の塔下部より、1720g/時で連続的に供給した。
そこへ、塩化カルボニルを、該反応塔の塔下部より、830g/時(該フェノールに対して0.46モル当量)で連続的に供給し、反応液を塔下部より抜き出した。なお、塔下部より反応液を抜き出す速度を調整し、該ガラス製反応塔の底部から反応系の液面までの高さ(H)を1.1mになるようにした。また該反応塔には反応塔との接触下端と反応塔頂との距離(L)が0.1mであって、反応塔との接触下端と反応塔の底部との距離が1.1mである位置にオーバーフロー管が備えられ、該オーバーフロー管により気液分離した。反応液の色調は薄黄色透明であった。
連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率を、上述の測定方法に従って分析し、算出す
ると6.9%であった。
<比較例1>
充填物として35%塩酸にて30分間浸漬処理したインタロックス1/4インチ(セラミック製、充填部の空間率57%、単位体積当りの充填物の表面積980m2/m3)1881gを用いた以外は実施例1と同様にして実施した。
連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率を、上述の測定方法に従って分析し、算出す
ると9.1%であった。
<比較例2>
充填物として35%塩酸にて30分間浸漬処理したインタロックス1インチ(セラミック製、充填部の空間率80%、単位体積当りの充填物の表面積256m2/m3)890gを用いた以外は実施例1と同様にして実施した。
連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率を、上述の測定方法に従って分析し、算出す
ると13.5%であった。
<比較例3>
充填物として35%塩酸にて30分間浸漬処理したラシヒリング6×6mmΦ(セラミック製、充填部の空間率58%、単位体積当りの充填物の表面積712m2/m3)1989gを用いた以外は実施例1と同様にして実施した。
連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率を、上述の測定方法に従って分析し、算出す
ると11.2%であった。
実施例2
充填物を酸処理を実施しなかった以外は実施例1と同様にして実施したところ、塩化カルボニル未反応率は実施例1と同様であったが、初期の反応液の色調が黄土色透明であった。30分以上連続的に反応を実施すると、実施例1と同様の薄黄色透明の反応液となった。
実施例1および比較例1〜3の結果について、表1に示す。
Figure 0005256687
以上の結果から、以下のことが分かる。
まず、実施例1と比較例1〜3との塩化カルボニル未反応率を比較すると、充填部の空間率を65%以上とし、且つ該充填物の単位体積あたりの表面積を300m2/m3以上とすることにより最も効率的に塩化カルボニルが生成されることが分かった。比較例3で示されるように、空間率のみを大きくしても反応率は向上せず、また、比較例2で示されるように充填物の表面積のみを大きくしても反応率は向上しない。実施例1に示すように、これら両条件を適切に選定することにより、効率的な製造が可能となった。また実施例1と実施例2の比較により、酸性液により処理した充填物を使用することによって定常的に製造した場合と同じ品質が反応開始初期から製造できることを見出し、より効率的なジアリールカーボネートの製造が可能となった。
本発明は、容器や光ディスク基板等の素材樹脂の材料である、ポリカーボネートの原料となるジアリールカーボネートの製造方法に有用に用いられる。
本発明のジアリールカーボネートの製造方法で使用される反応塔ユニットの一態様を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1 反応塔
2 供給管(芳香族ヒドロキシ化合物の供給管)
3 供給管(ハロゲン化カルボニルの供給管)
4 オーバーフロー管
5 気相管
6 ジャケット
2a、3a、4a、5a 調節機構
10 反応塔ユニット
D 反応塔の内径
L オーバーフロー管の反応塔における接触下端と、反応塔内の頂上部との距離
H 反応塔内の底部から反応系の液面までの高さ

Claims (3)

  1. 芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを反応器に供給して、触媒の存在下で反応させることにより、ジアリールカーボネートを連続的に製造する方法であって、
    該反応器は、充填物を少なくとも一部に充填した反応塔であり、
    該反応塔内部の該充填物を充填した部分における空間率が65%以上、
    且つ該充填物の単位体積あたりの表面積が300m2/m3以上であり、
    該触媒が均一触媒である
    ことを特徴とするジアリールカーボネートの製造方法。
  2. 該充填物がセラミックからなる
    ことを特徴とする請求項1記載のジアリールカーボネートの製造方法。
  3. 該充填物が酸性液により洗浄したものである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
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