JP5255596B2 - ゴム手袋 - Google Patents

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Description

本発明は、全体がゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成されたゴム手袋に関するものである。
一般家庭用から各種産業における作業用、さらには医療用の手袋として、略筒状の袖部と、前記袖部の一端に連なる手袋本体とを天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等の合成ゴム、あるいは塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂等によって一体に形成し、かつ前記袖部の他端を袖口として開口した、いわゆるゴム手袋が広く普及している。
またゴム手袋としては様々な厚みを有するものがあるが、特に近年は、手に対するフィット性やゴム手袋を装着した状態での作業性等を向上するために、前記ゴムや樹脂の薄い膜のみによって形成された、軟らかく柔軟性のあるゴム手袋に対する需要が増加する傾向にある。
しかし前記膜は柔軟であるほど、また薄いほど剛性が低下する傾向にある。そのため、例えば前記薄手のゴム手袋を装着して実際に使用した際に、手首から前腕にかけてを覆うべき袖部が手袋本体の方にずれ落ちたり、ゴム手袋の全体が手からずれたり外れたりしやすくなって、例えば水仕事に使用した際に中に水が入ってゴム手袋をしている意味がなくなってしまうといった問題がある。
前記問題を解決するため、例えばゴム手袋の袖口をクリップしてずれ落ちを防止するための防止具が提案されているが、ゴム手袋の使用に先立ってかかる防止具を装着したり、使用後に取り外したりするのは面倒である(特許文献1、2等)。
一対のゴム手袋の袖口間を紐体で相互に繋ぎ、この紐体を首にかけてゴム手袋のずれ落ちを防止することも提案されているが、例えば片方のゴム手袋が破損した際に、破損していないもう一方のゴム手袋も一緒に破棄しなければならないという問題がある(特許文献3)。
特開2007−119982号公報 特開2008−2044号公報 実用新案登録第3116303号公報
本発明の目的は、防止具を着脱したり、一対のゴム手袋間を紐体で繋いだりすることなしに、袖部が手袋本体の方にずれ落ちたりゴム手袋の全体が手からずれたり外れたりするのを確実に防止でき、結果的に水等が侵入し難いゴム手袋を提供することにある。
本発明は、略筒状の袖部と、前記袖部の一端に連なる手袋本体とがゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成され、かつ前記袖部の他端が袖口として開口されたゴム手袋であって、前記袖部の最大周長が240mm以上、360mm以下で、かつ前記袖部の途中に、周長が前記最大周長の50%以上、90%以下の最小周長部を備えた絞りが設けられているとともに、前記絞りは、前記手袋本体側から前記最大周長部を経由して最小周長部に向けて周長が徐々に小さくなって前記最小周長部に達し、前記最小周長部から袖口に向けて周長が徐々に大きくなって前記袖口に達する、段差状の形状を有しない形状に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ゴム手袋を装着した際に、前記最小周長部を備えた絞りによって袖部を前腕に固定できる。そのため防止具を装着したり、一対のゴム手袋間を紐体で繋いだりすることなしに、袖部が手袋本体の方にずれ落ちたり、ゴム手袋の全体が手からずれたり外れたりするのを防止して、例えば水仕事に使用した際に中に水が入るのを防ぐことができる。
また前記のように絞りは、前記手袋本体側から前記最大周長部を経由して最小周長部に向けて周長が徐々に小さくなって前記最小周長部に達し、前記最小周長部から袖口に向けて周長が徐々に大きくなって前記袖口に達する、段差状の形状を有しない形状に形成されているため、ゴム手袋をできるだけスムースに着脱することもできる。
ゴム手袋を形成する膜の厚みは任意に設定できるが、前記絞りの機能によって袖部が手袋本体の方にずれ落ちたり、ゴム手袋の全体が手からずれたり外れたりするのを防止しながら、手に対するフィット性やゴム手袋を装着した状態での作業性等を向上することを考慮すると、特に指部、掌部、および袖部において0.1mm以上、2mm以下であるのが好ましい。
本発明によれば、防止具を着脱したり、一対のゴム手袋間を紐体で繋いだりすることなしに、袖部が手袋本体の方にずれ落ちたりゴム手袋の全体が手からずれたり外れたりするのを確実に防止でき、結果的に水等が侵入し難いゴム手袋を提供することができる。
本発明のゴム手袋の、実施の形態の一例を示す斜視図である。 従来のゴム手袋の一例を示す斜視図である。
図1は、本発明のゴム手袋の、実施の形態の一例を示す斜視図である。図1を参照して、この例のゴム手袋1は、略筒状の袖部2と、前記袖部2の一端に連なる手袋本体3とをゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成し、かつ前記袖部2の他端を袖口4として開口したものである。
前記手袋本体3は、従来同様に手の形に対応させて、手首部5を介して袖部2に繋がる掌部6と、前記掌部6に連なる複数の指部7とを備えている。
前記袖部2は、前記手袋本体3側の一端である前記手首部5から袖口4へかけて周長が徐々に大きくなって最大周長部8に達し、前記最大周長部8から絞り9を経て袖口4に達する形状に形成されている。
絞り9は、袖部2のうち袖口4の近傍に設けられるとともに、前記袖部2のうち周長が最も小さい最小周長部10を備えている。そして絞り9は、ゴム手袋1を形成するゴムまたは樹脂の膜のうち、前記最小周長部10の近傍の領域の弾力性によって使用者の前腕にフィットして、袖部2が手袋本体3の方にずれ落ちたりゴム手袋1の全体が手からずれたり外れたりするのを防止する働きをする。
また前記絞り9は、前記手袋本体3側から袖口4に向けて、最大周長部8を経由して、前記最大周長部8から周長が徐々に小さくなって前記最小周長部10に達したのち、前記周長が徐々に大きくなって前記袖口4に達する、段差状の形状を有しない形状に形成されている。これにより絞り9は、図に見るように最小周長部10の前後が、前記最小周長部10を通して手を抜き差しする際のガイドとなるテーパー状とされており、ゴム手袋1をスムースに着脱することが可能となる。
本発明では、前記各部のうち最大周長部8の最大周長Lmaxが240mm以上、360mm以下で、かつ前記最小周長部10の周長(最小周長Lmin)が前記最大周長Lmaxの50%以上、90%以下に限定される。その理由は下記のとおりである。
すなわち最小周長Lminが、前記最大周長Lmaxの50%未満では最小周長部10が細すぎてゴム手袋1の着脱が容易でなくなったり、ゴム手袋1の装着時に使用者が前腕に圧迫感を覚えたりする。
一方、90%を超える場合には、ゴム手袋1を形成するゴムまたは樹脂の膜の弾力性によって前記最小周長部10の近傍の領域を使用者の前腕にフィットさせる力が低下する。そのため、袖部2が手袋本体3の方にずれ落ちたりゴム手袋1の全体が手からずれたり外れたりするのを十分に防止する効果が得られない。
また最大周長Lmaxが240mm未満では袖部2の全体が細すぎてゴム手袋1の着脱が容易でなくなったり、ゴム手袋1の装着時に使用者が前腕に圧迫感を覚えたりする。
一方、360mmを超える場合には、特に袖口4が広くなり過ぎて作業時に何かに引っ掛けやすくなって作業性が低下する。また、袖部2が手袋本体3の方にずれ落ちたりゴム手袋1の全体が手からずれたり外れたりするのを十分に防止する効果が得られない場合もある。
ゴム手袋1を形成する膜の厚みは任意に設定できるが、特に指部、掌部、および袖部において0.1mm以上、特に0.2mm以上であるのが好ましく、2mm以下、特に1.5mm以下であるのが好ましい。
厚みが前記範囲未満では、ゴム手袋1を形成するゴムまたは樹脂の膜の弾力性によって前記最小周長部10の近傍の領域を使用者の前腕にフィットさせる力が低下して、袖部2が手袋本体3の方にずれ落ちたり、ゴム手袋1の全体が手からずれたり外れたりしやすくなるおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、手に対するフィット性やゴム手袋1を装着した状態での作業性等が低下するおそれがある。
なおゴム手袋1の全体が前記厚みの範囲内である必要はなく、例えば袖口4を他の部分より厚肉として適度な剛性を持たせることでさらに着脱を容易としたり、指部7の先端を他の部分より厚肉として指先を保護したりしてもよい。
前記ゴム手袋1は、前記絞り9を有すること以外は従来同様に構成できる。
例えばゴム手袋1は、従来同様に浸漬法によってゴムのラテックスを図1に示すゴム手袋1の形状に成膜するとともにゴムを加硫させるか、あるいは浸漬法によって樹脂のエマルションを前記ゴム手袋1の形状に成膜するとともに樹脂を乾燥固化させることで製造できる。
例えばゴムからなるゴム手袋1を製造する場合には、図1に示すゴム手袋1の形状に対応した型を用意するとともに、前記型の表面を硝酸カルシウム等の凝固剤で処理する。
またゴムラテックスに加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤(活性化剤)、老化防止剤、充填剤、分散剤等の各種添加剤を加えて、未加硫もしくは前加硫状態の浸漬液を調製する。
次に、前記浸漬液に型を一定時間に亘って浸漬したのち引き上げることで、前記型の表面に浸漬液を付着させる。
そして引き上げた型ごと加熱して浸漬液を乾燥させるとともにゴムを加硫させるか、あるいは一旦乾燥させた後に型ごと加熱してゴムを加硫させたのち脱型することにより、図1に示すゴム手袋1が製造される。
前記ゴムとしては天然ゴム、および合成ゴムの中からラテックス化が可能な種々のゴムがいずれも使用可能であり、かかるゴムとしては、例えば天然ゴム、脱蛋白天然ゴム、NBR、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等の1種または2種以上が挙げられる。
加硫剤としては硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。前記加硫剤の添加量は、ゴムラテックス中の固形分(ゴム分)100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下程度であるのが好ましい。
加硫促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)等の1種または2種以上が挙げられる。
前記加硫促進剤の添加量は、ゴムラテックス中のゴム分100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下程度であるのが好ましい。
加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華(酸化亜鉛)やステアリン酸等の1種または2種が挙げられる。前記加硫促進助剤の添加量は、ゴムラテックス中のゴム分100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下程度であるのが好ましい。
老化防止剤としては、一般に非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。前記老化防止剤の添加量は、ゴムラテックス中のゴム分100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下程度であるのが好ましい。
充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム等の1種または2種以上が挙げられる。前記充填剤の添加量は、ゴムラテックス中のゴム分100質量部あたり10質量部以下程度であるのが好ましい。
分散剤は、前記各種添加剤をゴムラテックス中に良好に分散させるために添加されるものであり、前記分散剤としては、例えば陰イオン系界面活性剤等の1種または2種以上が挙げられる。前記分散剤の添加量は、分散対象である成分の総量の0.3質量部以上、1質量部以下程度であるのが好ましい。
一方、樹脂からなるゴム手袋を製造する場合は、図1に示すゴム手袋1の形状に対応した型を用意するとともに、前記型の表面を硝酸カルシウム等の凝固剤で処理する。
また樹脂エマルションに老化防止剤、充填剤、分散剤等の各種添加剤を加えて浸漬液を調製する。
次に、前記浸漬液に型を一定時間に亘って浸漬したのち引き上げることで、前記型の表面に浸漬液を付着させる。
そして一旦乾燥させた後に必要に応じて型ごと加熱して樹脂を固化させるか、あるいは引き上げた型ごと加熱して浸漬液を乾燥させるとともに樹脂を固化させたのち脱型することにより、図1に示すゴム手袋1が製造される。
樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等の、エマルション化が可能な樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
老化防止剤としては、先に例示した非汚染性のフェノール類やアミン類等の1種または2種以上が挙げられる。前記老化防止剤の添加量は、樹脂エマルション中の固形分(樹脂分)100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下程度であるのが好ましい。
充填剤としては、前記例示の充填剤の1種または2種以上が挙げられる。前記充填剤の添加量は、樹脂エマルション中の樹脂分100質量部あたり10質量部以下程度であるのが好ましい。
分散剤としては、前記例示の陰イオン系界面活性剤等の1種または2種以上が挙げられる。前記分散剤の添加量は、分散対象である成分の総量の0.3質量部以上、1質量部以下程度であるのが好ましい。
本発明のゴム手袋1は、基本的に前記ゴムまたは樹脂の薄い膜のみによって単層構造に形成するのが好ましいが、必要に応じて繊維等で補強してもよい。すなわち繊維製の編手袋と、ゴムまたは樹脂の膜とを一体化させた、いわゆるサポートタイプのゴム手袋を構成してもよい。
前記サポートタイプのゴム手袋を製造するには、前記型の表面にあらかじめ編手袋を装着した状態で、先に説明した浸漬法によりゴムまたは樹脂の膜を形成するとともに編手袋と一体化させればよい。
前記編手袋としては、例えば綿、ナイロン、ポリエステル等の繊維を編み上げたシームレス編手袋やメリヤス編手袋等が挙げられる。
〈実施例1〉
(浸漬液の調製)
天然ゴムラテックスに、前記天然ゴムラテックス中のゴム分100質量部あたり、硫黄(加硫剤)1質量部、加硫促進剤BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)1質量部、亜鉛華(加硫促進助剤)1質量部、および老化防止剤(p−クレゾールとジクロロペンタジエンのブチル化生成物)適量を添加したのち30℃で24〜48時間前加硫させて浸漬液を調製した。
(ゴム手袋の製造)
型としては陶器製で、図1に示すゴム手袋1の形状に対応し、かつ製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが240mm、絞り9のうち最小周長部10の最小周長Lminが前記最大周長Lmaxの50%となるように各部の寸法を設定したものを用意した。
次いで前記型を硝酸カルシウム水溶液に浸漬し、引き上げたのち乾燥させることで、前記型の表面を凝固剤としての硝酸カルシウムによって処理した。
次いで前記型を、液温を25℃に保持した先の浸漬液に一定の速度で浸漬し、30秒間保持したのち一定の速度で引き上げることで、前記型の表面に浸漬液を付着させた。
そして引き上げた型ごと100℃に加熱したオーブン中に入れて60分間加熱して浸漬液を乾燥させるとともにゴムを加硫させたのち脱型して、図1に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈実施例2〉
製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが240mmで、かつ絞り9のうち最小周長部10の最小周長Lminが前記最大周長Lmaxの90%となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈比較例1〉
製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが240mmで、かつ絞り9のうち最小周長部10の最小周長Lminが前記最大周長Lmaxの40%となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈比較例2〉
図2に示すように、袖部2が絞り9を有さず、前記袖部2の周長が最大周長部8から袖口4まで等しい従来のゴム手袋1を製造した。すなわち製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが240mmで、かつ最小周長部に対応する位置10′の周長が前記最大周長Lmaxの100%となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図2に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈実施例3、4、比較例3〉
製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが360mmで、かつ絞り9のうち最小周長部10の最小周長Lminが前記最大周長Lmaxの40%(比較例3)、50%(実施例3)、または90%(実施例4)となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈比較例4〉
製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが360mmで、かつ最小周長部に対応する位置10′の周長が前記最大周長Lmaxの100%となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は比較例2と同様にして、図2に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈比較例5、6〉
製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが230mmで、かつ絞り9のうち最小周長部10の最小周長Lminが前記最大周長Lmaxの50%(比較例5)、または90%(比較例6)となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈比較例7、8〉
製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが370mmで、かつ絞り9のうち最小周長部10の最小周長Lminが前記最大周長Lmaxの50%(比較例7)、または90%(比較例8)となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈実施例5〉
製造するゴム手袋1の最大周長部8の最大周長Lmaxが300mmで、かつ絞り9のうち最小周長部10の最小周長Lminが前記最大周長Lmaxの70%となるように各部の寸法を設定した型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示す立体形状を有する、天然ゴムの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈実施例6〉
浸漬液として、NBRラテックスに、前記NBRラテックス中のゴム分100質量部あたり、硫黄(加硫剤)1質量部、加硫促進剤BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)1質量部、亜鉛華(加硫促進助剤)1質量部、および老化防止剤(p−クレゾールとジクロロペンタジエンのブチル化生成物)適量を添加して調製したものを用いたこと以外は実施例5と同様にして、図1に示す立体形状を有する、NBRの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈実施例7〉
浸漬液として、CRラテックスに、前記CRラテックス中のゴム分100質量部あたり、硫黄(加硫剤)1質量部、加硫促進剤BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)1質量部、亜鉛華(加硫促進助剤)1質量部、および老化防止剤(p−クレゾールとジクロロペンタジエンのブチル化生成物)適量を添加して調製したものを用いたこと以外は実施例5と同様にして、図1に示す立体形状を有する、CRの膜のみからなる単層構造のゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは0.45mmであった。
〈実施例8〉
あらかじめ型にメリヤス編手袋を装着したこと以外は実施例5と同様にして、図1に示す立体形状を有し、かつ前記メリヤス編手袋と天然ゴムの膜とが一体化されたサポートタイプのゴム手袋1を製造した。
前記ゴム手袋1のうち絞り9を含む袖部2の厚みを、マイクロメータを用いて測定したところ平均厚みは1mmであった。
〈評価試験〉
(ずれ防止効果の評価)
実施例、比較例で製造したゴム手袋を被験者に装着してもらい、腕を10回上げ下ろしした後、装着直後と比べて袖口が手袋本体の方にずれた距離を計測して、下記の基準でずれ防止効果を評価した。
×:5cm以上。ずれ防止効果不良。
△:3cm以上、5cm未満。ずれ防止効果やや不良。
○:1cm以上、3cm未満。ずれ防止効果良好。
◎:1cm未満。ずれ防止効果極めて良好。
(圧迫感の有無)
実施例、比較例で製造したゴム手袋を被験者に装着してもらって10分後に、上腕に圧迫感があるかないかを下記の基準で評価してもらった。
×:圧迫感があった。
△:圧迫感が少しあった。
○:圧迫感は殆どなかった。
◎:圧迫感は全くなかった。
(着脱性評価)
実施例、比較例で製造したゴム手袋を被験者に10回着脱を繰り返してもらい、その間に要した時間を計測して、下記の基準で着脱性を評価した。
×:40秒以上。着脱性不良。
△:30秒以上、40秒未満。着脱性やや不良。
○:20秒以上、30秒未満。着脱性良好。
◎:20秒未満。着脱性極めて良好。
(作業性評価)
実施例、比較例で製造したゴム手袋を被験者に装着してもらい、障害物の置いてある机上にて物を左右に動かす作業をしてもらって、作業のしやすさを下記の基準で評価してもらった。
×:非常に作業しにくかった。作業性不良。
△:作業しにくかった。作業性やや不良。
○:作業しやすかった。作業性良好。
◎:非常に作業しやすかった。作業性極めて良好。
以上の結果を表1に示す。なお表中の被験者の欄の符号は下記のとおり。カッコ内は「『日本人の人体計測データ Japanese body size data 1992-1994』社団法人 人間生活工学研究センター」を参照して位置づけを判断した。
(1) 前腕の最大周長180mm(成人女性の最小値の近似値)。
(2) 前腕の最大周長235mm(成人男女平均値の近似値)。
(3) 前腕の最大周長314mm(成人男性の最大値の近似値)
Figure 0005255596
表1の比較例1〜4の結果より、袖部の最大周長が240mm以上、360mm以下の範囲内であっても、最小周長Lminが最大周長Lmaxの50%未満では着脱性が低下したり上腕に圧迫感を感じたりし、90%を超える場合にはずれ防止効果が得られないことが判った。
また比較例5〜8の結果より、最小周長Lminが最大周長Lmaxの50%以上、90%以下の範囲内であっても、袖部の最大周長が240mm未満では着脱性が低下したり上腕に圧迫感を感じたりし、360mmを超える場合には作業性が低下したり、ずれ防止効果が得られなかったりすることが判った。
これに対し、実施例1〜8の結果より、袖部の最大周長が240mm以上、360mm以下の範囲内で、かつ最小周長Lminが最大周長Lmaxの50%以上、90%以下の範囲内であれば、良好な着脱性、作業性を維持し、かつ圧迫感を感じない状態で、良好なずれ防止効果が得られることが確認された。
また実施例5〜8の結果より、ゴム手袋を形成するゴムは天然ゴムには限られず各種のゴムで同様の効果が得られ、ゴム手袋の構造もゴムの膜のみからなる単層構造には限定されず、サポートタイプのゴム手袋でも同様の効果が得られることが確認された。
1 ゴム手袋
2 袖部
3 手袋本体
4 袖口
5 手首部
6 掌部
7 指部
8 最大周長部
9 絞り
10 最小周長部

Claims (2)

  1. 略筒状の袖部と、前記袖部の一端に連なる手袋本体とがゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成され、かつ前記袖部の他端が袖口として開口されたゴム手袋であって、前記袖部の最大周長が240mm以上、360mm以下で、かつ前記袖部の途中に、周長が前記最大周長の50%以上、90%以下の最小周長部を備えた絞りが設けられているとともに、前記絞りは、前記手袋本体側から前記最大周長部を経由して最小周長部に向けて周長が徐々に小さくなって前記最小周長部に達し、前記最小周長部から袖口に向けて周長が徐々に大きくなって前記袖口に達する、段差状の形状を有しない形状に形成されていることを特徴とするゴム手袋。
  2. 前記膜の厚み0.1mm以上、2mm以下である請求項1に記載のゴム手袋。
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