JP6435435B1 - 作業用手袋 - Google Patents

作業用手袋 Download PDF

Info

Publication number
JP6435435B1
JP6435435B1 JP2018115490A JP2018115490A JP6435435B1 JP 6435435 B1 JP6435435 B1 JP 6435435B1 JP 2018115490 A JP2018115490 A JP 2018115490A JP 2018115490 A JP2018115490 A JP 2018115490A JP 6435435 B1 JP6435435 B1 JP 6435435B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
finger
glove
skirt
peripheral length
forearm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018115490A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019218648A (ja
Inventor
典子 藤岡
典子 藤岡
将哉 秋田
将哉 秋田
亨 射和
亨 射和
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Glove Co
Original Assignee
Showa Glove Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Glove Co filed Critical Showa Glove Co
Priority to JP2018115490A priority Critical patent/JP6435435B1/ja
Priority to JP2018212174A priority patent/JP7386497B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6435435B1 publication Critical patent/JP6435435B1/ja
Priority to CN201910496016.9A priority patent/CN110613195B/zh
Publication of JP2019218648A publication Critical patent/JP2019218648A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A41WEARING APPAREL
    • A41DOUTERWEAR; PROTECTIVE GARMENTS; ACCESSORIES
    • A41D19/00Gloves
    • A41D19/0055Plastic or rubber gloves
    • A41D19/0058Three-dimensional gloves
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A41WEARING APPAREL
    • A41DOUTERWEAR; PROTECTIVE GARMENTS; ACCESSORIES
    • A41D2500/00Materials for garments
    • A41D2500/50Synthetic resins or rubbers
    • A41D2500/52Synthetic resins or rubbers in sheet form

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Gloves (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、着脱の容易性を維持しつつ、作業中に裾部が手首方向にずれ落ちることを抑止できる手袋の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の手袋は、指先端方向からの平面視で、第2指部及び第5指部の基端の中心間を結ぶ直線と、第1指部及び第2指部の基端の中心間を結ぶ直線とのなす角度が60度以上120度以下であり、第3指部先端と第1指部基端との第3指部の軸方向の間隔をDとするとき、第3指部先端を基点とする裾部側への第3指部の軸方向の距離が1.3×D以上1.8×D以下の範囲にある手首領域において周囲長が最小となる最細位置での周囲長aと、上記軸方向の距離が上記最細位置の上記軸方向の距離に対して1.6倍となる前腕末端位置での周囲長bとの比b/aが1.10以上1.32以下であり、上記最細位置と上記前腕末端位置との間の領域の平均厚みが0.20mm以上0.80mm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、手袋に関する。
炊事、掃除、洗濯等の作業に用いられる手袋として、手首から前腕を覆う裾部を有する手袋が公知である(例えば特開平10−72713号公報参照)。この手袋では、上記袖部により例えば着用者の洋服の袖を濡らしてしまうことを防ぐ。
このような従来の手袋では、着脱が容易であり、かつ長袖の衣服の着用時であっても着用者の洋服の袖口部分を確実に覆うことができるように、手首部分から開口部に向かって放物線状に外方へ膨らんだ形状となるように形成されている。なお、この形状は、主として手袋がよく使用される冬の季節に上着の袖を手袋の裾部に入れて作業することを想定して決定されたものである。
炊事、掃除、洗濯等の作業は、通常腕部よりも手首側が下方となるような姿勢で行われる。上記従来の手袋を用いてこの作業を行うと、着用時点においては着用者の洋服の袖口部分を確実に覆っているものの、作業を継続して行うにつれ、裾部が手首方向にずれ落ちていく。このため、袖口部分を濡らさないように作業を行うためには、作業途中にこの袖部のずれを頻繁に元に戻す必要がある。
特開平10−72713号公報
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、着脱の容易性を維持しつつ、作業中に裾部が手首方向にずれ落ちることを抑止できる手袋の提供を目的とする。
本発明者らが、手袋の裾部が作業中に手首方向にずれ落ちる原因について鋭意検討した結果、腕部よりも手首側が下方となるような姿勢で手を握ったり開いたりすることを繰り返し行うと、この腕部の筋肉の伸縮により手袋の裾部が移動することを知得した。そして、本発明者らは、作業中は腕部よりも手首側が下方となるような姿勢であるため、上記筋肉の伸縮による手袋の裾部の移動は、重力の影響で、下方、すなわち手首側への移動が大きくなり、結果として裾部が手首方向にずれ落ちてしまうという結論に至った。
さらに、本発明者らが、この裾部のずれ落ちの抑止について鋭意検討した結果、着脱の容易性を低下することなく、裾部のずれ落ちを抑止できる手袋の形状が存在することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち上記課題を解決するためになされた発明は、着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成された本体部と、着用者の第1指乃至第5指をそれぞれ覆うよう上記本体部から延設された有底筒状の第1指部乃至第5指部と、上記第1指部乃至第5指部とは反対方向に延設された筒状の裾部とを有し、ゴム又は樹脂を主成分とする手袋であって、指先端方向からの平面視で、上記第2指部及び上記第5指部の基端の中心間を結ぶ直線と、上記第1指部及び上記第2指部の基端の中心間を結ぶ直線とのなす角度が60度以上120度以下であり、上記第3指部先端と上記第1指部基端との上記第3指部の軸方向の間隔をDとするとき、上記第3指部先端を基点とする上記裾部側への上記第3指部の軸方向の距離が1.3×D以上1.8×D以下の範囲にある手首領域において周囲長が最小となる最細位置での周囲長aと、上記軸方向の距離が上記最細位置の上記軸方向の距離に対して1.6倍となる前腕末端位置での周囲長bとの比b/aが1.10以上1.32以下であり、上記最細位置と上記前腕末端位置との間の領域の平均厚みが0.20mm以上0.80mm以下である。
本発明者らは、手袋の裾部で作業中に手首方向へのずれ落ちが発生する起点の1つとして、親指を曲げた際に手の甲側の手首付近に発生する引っ張り皺や折れ皺が挙げられることを知得している。当該手袋は、指先端方向からの平面視で、第2指部及び第5指部の基端の中心間を結ぶ直線と、第1指部及び第2指部の基端の中心間を結ぶ直線とのなす角度が上記上限以下であるので、特に第1指部を曲げた際に、手の甲側の手首付近に引っ張り皺等が生じ難く、裾部のずれ落ちを抑止できる。
また、本発明者らは、裾部のずれ落ちは手袋の裾部内面と着用者の袖口との静止摩擦力が不足する場合に生じ易くなることを知得している。当該手袋は、最細位置での周囲長aと前腕末端位置での周囲長bとの比b/aを上記上限以下とするので、手袋の裾部内面と着用者の袖口との間の静止摩擦力を確保し易く、裾部のずれ落ちを抑止できる。
さらに、本発明者らは、上記裾部が屈曲し易い場合に裾部のずれ落ちが生じ易くなることを知得している。当該手袋は、最細位置と前腕末端位置との間の領域の平均厚みを上記下限以上とするので、適度な剛軟度を有する。また、上記比b/aを上記上限以下とするので、当該手袋は、手首側を下方に向けた作業時であっても、裾部に加わる重力や裾部に入れた衣服のずれ等からのずれ落ちの起点となる裾部への皺や屈曲が発生し難い。この適度な剛軟度と上記比b/aの範囲とにより、当該手袋は、裾部のずれ落ちの発生に寄与し易い屈曲が生じ難く、裾部のずれ落ちを抑止できる。
また、当該手袋は、指先端方向からの平面視で、第2指部及び第5指部の基端の中心間を結ぶ直線と、第1指部及び第2指部の基端の中心間を結ぶ直線とのなす角度を上記下限以上とし、最細位置での周囲長aと前腕末端位置での周囲長bとの比b/aを上記下限以上とし、最細位置と前腕末端位置との間の領域の平均厚みを上記上限以下とするので、着脱の容易性の低下を抑止できる。
上記裾部の剛軟度としては、20mm以上が好ましい。このように上記剛軟度を上記下限以上とすることで、裾部のずれ落ちの発生に寄与し易い屈曲をさらに生じ難くすることができるので、裾部のずれ落ちの抑止効果を向上できる。
上記最細位置及び上記前腕末端位置の上記軸方向の距離をそれぞれL1[mm]及びL2[mm]とするとき、上記軸方向の距離がx[mm]である位置での周囲長y[mm]が、L1<x<L2の範囲において、下記式(1)を満たすとよい。このように下記式(1)を満たすことで、手袋の裾部内面と着用者の袖口との静止摩擦力を確保し易くできるので、裾部のずれ落ちの抑止効果を向上できる。また、手首側を下方に向けた作業時であっても、裾部に加わる重力や裾部に入れた衣服のずれ等からのずれ落ちの起点となる裾部への皺や屈曲が発生し難くできるので、裾部のずれ落ちを抑止できる。
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)+4 ・・・(1)
L1<x<L2の範囲において、上記周囲長yが上記軸方向の距離xの増加とともに漸進的に増加するとよい。着用時に当該手袋の最細位置から前腕末端位置までの領域が接する着用者の手首部分から腕部分までの領域は、くびれた形状である。上記式(1)に従い、かつ上記周囲長yが上記軸方向の距離xの増加とともに漸進的に増加させることで、当該手袋の最細位置から前腕末端位置までの領域を、着用者の手首部分から腕部分までの領域に沿い易くすることができる。このため、手袋の裾部内面と着用者の袖口との間の静止摩擦力をさらに確保し易くできるので、裾部のずれ落ちの抑止効果を向上できる。
上記周囲長yが、上記裾部の開口部において、下記式(2)を満たすとよい。x≧L2の領域における手袋の裾部内面と着用者の袖口との静止摩擦力は、裾部のずれ落ちの抑止に寄与し難い。従って、上記裾部の開口部において、上記周囲長yが下記式(2)を満たす、すなわち開口部を広くとることで、裾部のずれ落ちを抑止しつつ、当該手袋の着脱性を向上できる。
y>a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1) ・・・(2)
上記最細位置での周囲長aと、上記間隔Dとの比a/Dとしては、1.50以上1.85以下が好ましい。このように上記a/Dを上記範囲内とすることで、当該手袋の着脱性を維持しつつ、裾部のずれ落ちの抑止効果を向上できる。
ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。なお、例えば樹脂に対しその特性を調整するため可塑剤等を含ませる場合があるが、このような場合、樹脂の含有量にはその特性を調整するための可塑剤等を含めるものとする。また、「平均厚み」は、JIS−K6250:2006準拠の定圧厚さ測定器(例えば株式会社テクロックの「PG−20」、測定子径5mm、測定力44gf)を用いて、手袋における該当部位の任意の10箇所を測定して得た値の平均値を指し、手袋が滑剤や植毛等を含む場合、それらを含めた厚みをいう。「剛軟度」は、JIS−L1096:2010の45°カンチレバー法により求められる値を指す。
「指部の基端」とは、該当する指部と隣り合う指部との指股を通り、該当する指部の軸と垂直に交わる仮想平面のうち手袋と交差する部分を指す。なお、第2指部乃至第4指部では、隣り合う指部が2指存在し、従って2つの指股が存在するが、この場合においては該当する指部の先端に近い方の指股を指すものとする。
また、「第3指部先端からの裾部側への第3指部の軸方向の距離がxである位置における周囲長」とは、第3指部先端を通る軸線上で第3指部先端から裾部側への距離がxである点を通る仮想平面のうち手袋との交線により形成される閉曲線の長さを最小とする仮想平面での上記閉曲線の長さを指す。
以上説明したように、本発明の手袋は、着脱の容易性を維持しつつ、作業中に裾部が手首方向にずれ落ちることを抑止できる。
本発明の一実施形態に係る手袋を掌側から見た模式的平面図である。 図1の手袋を指先端方向から見た模式的上面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る手袋について詳説する。
<手袋>
図1及び図2に示す手袋1は、着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成された本体部10と、着用者の第1指(親指)乃至第5指(小指)をそれぞれ覆うよう本体部10から延設された有底筒状の第1指部11乃至第5指部15と、第1指部11乃至第5指部15とは反対方向に延設された筒状の裾部16とを有する。
当該手袋1は、ゴム又は樹脂を主成分とする。上記ゴムとしては、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムやこれらの変性物等を挙げることができる。また、上記樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂やこれらの変性物等を挙げることができる。上記ゴム又は上記樹脂は一種を用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
当該手袋1は、上記主成分に加えて公知の加硫剤、加硫促進剤、金属酸化物、可塑剤、安定剤、顔料、酸化防止剤、抗菌剤等の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤により、当該手袋1の強度や柔軟性、抗菌性を向上できるほか、滑り止め性能が向上し、当該手袋1をグリップ力に優れたものとできる。
当該手袋1は、内面に滑剤を配してもよい。このように滑剤を配することで、当該手袋1の内面のタックを防止し、着脱性を向上できる。なお、滑剤を配する方法としては、公知の方法を用いることができる。
上記滑剤としては、コーンスターチのような紛体のほか、シリコーンなどの滑り付与剤、アクリル樹脂やポリウレタンなどのうち硬度の高い樹脂薄膜等が挙げられる。なお、上記滑剤には、手荒れ防止として抗菌剤や保湿剤等が含まれていてもよい。
また、当該手袋1は、内面に植毛を施してもよい。このように植毛を施すことで、着脱性の向上や当該手袋1内部の蒸れの低減を図ることができる。なお、植毛を施す方法としては、公知の方法を用いることができる。
上記植毛に用いる繊維としては、繊度0.1デシテックス以上2.0デシテックス以下、長さ0.1mm以上2.0mm以下の短繊維が好ましい。なお、上記繊維としては、公知の繊維、例えば綿、羊毛、絹などの天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテートなどの化学繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維等が挙げられる。また、上記繊維は、公知の接着剤、例えばアクリル樹脂やポリウレタン、天然ゴム等を用いて手袋1の内面に固定されていることが好ましい。
また、手袋1の内面に滑性処理が施されていてもよい。このような滑性処理としては、公知の滑性処理、例えば塩素化処理を挙げることができる。
指先端方向からの平面視で、第2指部12の基端12b及び第5指部15の基端15bの中心間を結ぶ直線と、第1指部11の基端11b及び第2指部12の基端12bの中心間を結ぶ直線とのなす角度(図2のθ)の下限としては、60度であり、70度がより好ましい。一方、上記角度θの上限としては、120度であり、110度がより好ましい。上記角度θが上記下限未満であると、着用時に親指が掌側に寄り過ぎて窮屈になるおそれがあるほか、掌を開くことが困難になるおそれがある。つまり、当該手袋1の着脱性が悪化するとともに装着感が低下するおそれがある。逆に、上記角度θが上記上限を超えると、親指を掌側に曲げにくくなるおそれがあるほか、親指を掌側に曲げたとき手の甲側の手首付近に引っ張り皺や折れ皺が発生し易くなる。この皺により裾部16が本体部10側へ屈曲してずれ落ち易くなるおそれがある。
また、第3指部13の基端及び第4指部14の基端の中心は、指先端方向からの平面視で、第2指部12の基端12b及び第5指部15の基端15bの中心間を結ぶ直線の近傍にあることが好ましい。このように第3指部13の基端及び第4指部14の基端の中心を上記直線の近傍に配設することで、当該手袋1の装着感が向上する。ここで、「直線の近傍」とは、直線からの距離が10mm以内の位置を指す。
図1に示すように、第3指部13の先端13aと第1指部11の基端11bとの第3指部13の軸M3方向の間隔をDとし、第3指部先端13aを基点とする裾部16側への第3指部13の軸M3方向の距離(以下、単に「軸M3方向の距離」ということがある)が1.3×D以上1.8×D以下の範囲を手首領域Rとする。この手首領域Rは、通常本体部10から裾部16にわたって存在する。
また、図1に示すように、この手首領域Rにおいて周囲長が最小となる位置を最細位置Aとする。この最細位置Aよりも第1指部11乃至第5指部15側が本体部10であり、その反対側が裾部16となる。また、手袋は通常この最細位置Aに着用者の手首が位置するよう構成される。なお、手首領域Rにおいて周囲長が最小となる位置が幅を有している場合は、周囲長が最小となる位置のうち最も指部側の位置を最細位置Aとする。
さらに、図1に示すように、第3指部先端13aから裾部16側への第3指部13の軸M3方向の距離L2が最細位置Aの軸M3方向の距離L1に対して1.6倍となる位置を前腕末端位置Bとする。当該手袋1では、この前腕末端位置Bは、裾部16に位置する。つまり、当該手袋1の上記軸M3方向の長さは、上記距離L2より大きい。また、本発明者らは、最細位置Aと前腕末端位置Bとの間の領域(前腕領域S)が、腕部よりも手首側が下方となるような姿勢での作業で裾部16の自重の影響を受け易い部分であり、手首の曲げ伸ばしで引っ張り皺や折れ皺が生じ易い部分であり、さらに手を握ったり開いたりした際の前腕筋肉の伸縮により裾部16がずれることで皺が発生し易い部分であることを知得している。
当該手袋1の前腕領域Sの平均厚みの下限としては、0.20mmであり、0.25mmがより好ましい。一方、前腕領域Sの平均厚みの上限としては、0.80mmであり、0.55mmがより好ましい。前腕領域Sの平均厚みが上記下限未満であると、前腕領域Sが軟らかくなり過ぎて屈曲し易くなり、裾部16のずれ落ちが生じ易くなるおそれがある。逆に、前腕領域Sの平均厚みが上記上限を超えると、当該手袋1の柔軟性が不足し、当該手袋1を着脱し難くなるおそれがあるとともに着用した際の作業性が低下するおそれがある。
なお、前腕領域S以外、例えば第1指部11乃至第5指部15や、本体部10の掌部分等の平均厚みは、特に限定されないが、前腕領域Sの平均厚みと同等又はそれ以上とすることが好ましい。例えば当該手袋1の機能として指部の耐久性が要求される場合は、第1指部11乃至第5指部15の厚みを前腕領域Sよりも厚くすることができる。
最細位置Aでの周囲長aと前腕末端位置Bでの周囲長bとの比b/aの下限としては、1.10であり、1.12がより好ましく、1.14がさらに好ましい。一方、上記比b/aの上限としては、1.32であり、1.30がより好ましく、1.28がさらに好ましい。上記比b/aが上記下限未満となるのは、最細位置Aでの周囲長aが大き過ぎる場合、又は前腕末端位置Bでの周囲長bが小さ過ぎる場合である。最細位置Aでの周囲長aが大き過ぎる場合は、当該手袋1の裾部16内面と着用者の袖口とが十分に接触しなくなるため、静止摩擦力が不足し、裾部16のずれ落ちが生じ易くなるおそれがある。前腕末端位置Bでの周囲長bが小さ過ぎる場合は、当該手袋1の裾部16が窮屈なものとなり、当該手袋1の着脱性が低下するおそれや、着用者の前腕部が締め付けられるため長時間の作業が困難となるおそれがある。逆に、上記比b/aが上記上限を超えるのは、最細位置Aでの周囲長aが小さ過ぎる場合、又は前腕末端位置Bでの周囲長bが大き過ぎる場合である。最細位置Aでの周囲長aが小さ過ぎる場合、着用者の手が最細位置Aを通過し難くなるため、当該手袋1の着脱性が低下するおそれがある。前腕末端位置Bでの周囲長bが大き過ぎる場合、当該手袋1の裾部16の大きな広がりにより、裾部16が屈曲し易くなり、裾部16のずれ落ちが生じ易くなるおそれがある。また、いずれの場合でも、手首側を下方に向けた作業時に、裾部16に加わる重力や裾部16に入れた衣服のずれ等からのずれ落ちの起点となる裾部16への皺や屈曲が発生し易くなり、裾部16のずれ落ちが生じ易くなるおそれがある。
最細位置Aでの周囲長aと、第3指部13の先端13aと第1指部11の基端11bとの間隔Dとの比a/Dの下限としては、1.50が好ましく、1.55がより好ましく、1.60がさらに好ましい。一方、上記比a/Dの上限としては、1.85が好ましく、1.80がより好ましく、1.75がさらに好ましい。上記間隔Dは、手袋1の大きさ、つまり着用者の手の大きさに相当する。上記比a/Dが上記下限未満であると、着用者の手の大きさに比し、最細位置Aでの周囲長aが小さ過ぎる。従って、着用者の手が最細位置Aを通過し難くなるため、当該手袋1の着脱性が低下するおそれがある。逆に、上記比a/Dが上記上限を超えると、着用者の手の大きさに比し、最細位置Aでの周囲長aが大き過ぎる。従って、当該手袋1の裾部16の内面と着用者の袖口とが十分に接触しなくなるため、静止摩擦力が不足し、裾部16のずれ落ちが生じ易くなるおそれがある。
最細位置A及び前腕末端位置Bの上記軸M3方向の距離をそれぞれL1[mm]及びL2[mm]とするとき、上記軸M3方向の距離がx[mm]である位置での周囲長y[mm]が、L1<x<L2の範囲(前腕領域S)において、下記式(1)を満たすことが好ましい。このように下記式(1)を満たすことで、当該手袋1の裾部16の内面と着用者の袖口との静止摩擦力を確保し易くできるので、裾部16のずれ落ちをより確実に抑止できる。なお、上記周囲長y[mm]は、前腕領域Sにおいて下記式(3)を満たすことがより好ましく、下記式(4)を満たすことがさらに好ましく、下記式(5)を満たすことが特に好ましい。
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)+4 ・・・(1)
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)+3 ・・・(3)
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)+2 ・・・(4)
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1) ・・・(5)
また、上記周囲長y[mm]は、前腕領域Sにおいて、下記式(6)を満たすことが好ましい。このように下記式(6)を満たすことで、当該手袋1の着脱性及び作業性を確保し易い。なお、上記周囲長y[mm]は、前腕領域Sにおいて下記式(7)を満たすことがより好ましい。
y≧a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)−10・・・(6)
y≧a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)−6 ・・・(7)
また、L1<x<L2の範囲において、上記周囲長yが上記軸M3方向の距離xの増加とともに漸進的に増加することが好ましい。ここで、人の前腕は、通常前腕中央付近から肘にかけて筋肉が大きく盛り上がった形状である。つまり、着用時に当該手袋1の最細位置Aから前腕末端位置Bまでの領域が接する着用者の手首部分から腕部分までの領域は、くびれた形状である。従って、上記式(1)に従い、かつ上記周囲長yを上記軸M3方向の距離xの増加とともに漸進的に増加させることで、当該手袋1の最細位置Aから前腕末端位置Bまでの領域が、着用者の手首部分から腕部分までの領域に沿い易くすることができる。このため、当該手袋1の裾部16内面と着用者の袖口との間の静止摩擦力をさらに確保し易くできるので、裾部16のずれ落ちの抑止効果を向上できる。
ここで、上記式(1)の右辺から定数項を除いた下記式(8)のFは、前腕領域Sにおいて、周囲長が線形に増加する場合を意味する。この場合、図1の前腕領域Sに破線Fとして示すように前腕領域Sでは裾部16は、側面視で直線状に広がっていく。これに対し、当該手袋1では、前腕領域Sにおいて裾部16が内面へ膨らんだ形状となることが好ましい。つまり、上記周囲長yと下記式(8)で示されるFとの差(F−y)は、L1<x<L2の範囲で最大値を1値有する「上に凸の関数」となることが好ましい。本発明者らは、ずれ落ちは(F−y)が下に凸の場合で前腕領域Sの距離xの増加方向(指先端から裾部方向)への周囲長の広がり方が大きいほど発生し易く、中でも広がりが特異的に大きくなる部分が存在すると、重力によるずれ落ちに十分に抗することができず、裾部16に屈曲が発生し易くなることを知得している。これに対し、上述のように前腕領域Sを上記差(F−y)が「上に凸の関数」となるような形状とすることで、特異的に大きくなる部分を排除でき、裾部16のずれ落ちの抑止効果を向上できる。また、特に上着が半袖のときや腕まくりをしているときなど、素手で当該手袋1を着用することを想定した場合、前腕部へのフィット感を向上させる効果が高められる。
F=a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1) ・・・(8)
裾部16の剛軟度の下限としては、20mmが好ましく、25mmがより好ましい。一方、上記剛軟度の上限としては、65mmが好ましく、55mmがより好ましく、50mmがさらに好ましい。上記剛軟度が上記下限未満であると、着用者の手首の動きへの当該手袋1の追従や、当該手袋1の手首側を下方に向けた作業時の裾部16に加わる重力、裾部16に入れた衣服のずれ等から裾部16に皺や屈曲が発生し易くなり、裾部16のずれ落ちが生じ易くなるおそれがある。逆に、上記剛軟度が上記上限を超えると、作業性が低下したり、作業時に着用者の疲労の蓄積度合が増加したりするおそれがある。
ここで、剛軟度はJIS−L1096:2010記載の45°カンチレバー法により測定することができる。この方法による測定は、次のように行われる。(1)最細位置Aから裾部16の末端方向(裾部16の開口部16cの方向)に幅20mm×長さ150mmの試験片を用意し、一端側に45°の斜面を持つ滑らかな水平台の上に、手袋内面に相当する面が上記水平台に接するようにしつつ、上記試験片の短辺をスケール基線に合せて置く。(2)上記試験片の表面を20mm×150mm、つまり上記試験片と同じ大きさの非粘着性の板で押えつつ、約2mm/秒の速度で上記試験片を斜面方向に滑らせ、上記試験片の一端の中央点が斜面と接した時のスケール(移動距離)(mm)を読み取る。(3)上記試験片を、5つの手袋から各1枚ずつ合計5枚用意し、それぞれについて移動距離を測定し、その結果を算術平均した値を剛軟度とする。なお、手袋から長さ150mmの試験片を切り出すことが困難である場合は、幅20mmで可能な限り大きい試験片を切り出して用いても、同等の結果を得ることができる。
裾部16の曲げ剛性の下限としては、0.02gf・cm/cmが好ましく、0.03gf・cm/cmがより好ましい。一方、上記曲げ剛性の上限としては、0.38gf・cm/cmが好ましく、0.34gf・cm/cmがより好ましい。上記曲げ剛性は、低いほど手の動きに対して負荷が小さくなり精密作業を行い易くなるものの、上記曲げ剛性が上記下限未満であると、裾部16に皺や屈曲が発生し易くなり、裾部16のずれ落ちが生じ易くなるおそれがある。逆に、上記曲げ剛性が上記上限を超えると、作業性が低下したり、作業時に着用者の疲労の蓄積度合が増加したりするおそれがある。
ここで、曲げ剛性は純曲げ試験により算出できる。具体的には、曲げ剛性は、公知の純曲げ試験機(例えばカトーテック社製KES−FB2)により測定することができ、最大曲率:K=+/−2.5cm−1のとき、曲率0.5及び1.5と、−0.5及び−1.5との値から計算される。試験片としては、裾部16の皺のない部分から5cm×5cmで切り出したものを用いる。上記軸M3方向に受ける屈曲の曲げ剛性を測定するために、上記試験片を手袋の周囲長方向が取付治具に挟まれるようにセットし、純曲げ試験を行う。試験片は5つの手袋から各1枚ずつ合計5枚用意し、それぞれの測定結果を算術平均して曲げ剛性とする。
なお、第1指部11乃至第5指部15の剛軟度及び曲げ剛性は、特に限定されない。なお、剛軟度及び曲げ剛性は、裾部16や第1指部11乃至第5指部15の厚みにほぼ比例する。従って、第1指部11乃至第5指部15の剛軟度及び曲げ剛性は、裾部16の剛軟度及び曲げ剛性から推定できる。この厚みから推定される第1指部11乃至第5指部15の剛軟度及び曲げ剛性は、裾部16の剛軟度及び曲げ剛性と同等又はそれ以上とするとよい。また、本体部10の剛軟度及び曲げ剛性についても、特に限定されないが、第1指部11乃至第5指部15と同様に裾部16の剛軟度及び曲げ剛性と同等又はそれ以上とするとよい。
上記周囲長yが、裾部16の開口部16cにおいて、下記式(2)を満たすとよい。つまり、開口部16cは、上記式(8)で示す線形で周囲長が増加する場合の周囲長よりも周囲長が大きくなるように形成される。x≧L2の領域における手袋1の裾部16の内面と着用者の袖口との静止摩擦力は、裾部16のずれ落ちの抑止に寄与し難い。従って、裾部16の開口部16cにおいて、上記周囲長yが下記式(2)を満たす、すなわち開口部16cを広くとることで、裾部16のずれ落ちを抑止しつつ、当該手袋1の着脱性を向上できる。
y>a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1) ・・・(2)
当該手袋1は、裾部16のずれ落ちを抑止できるので、手袋の全長を長くすることができる。手袋の全長を長くすることで、当該手袋1内部への水の侵入防止効果を高められる。一般的な手袋が全長30cm以上32cm以下であるところ、当該手袋1の全長は、33cm以上とすることができる。当該手袋1の全長の上限としては、特に限定されないが、肘の位置を超える長さになると作業性が低下するおそれがあるため、例えば45cmとできる。
<手袋の製造方法>
次に、当該手袋1の製造方法について概説するが、当該手袋1の製造方法はこれに限定されるものではない。
[第1製造方法]
当該手袋1は、浸漬工程と、加熱処理工程とを備える手袋の製造方法により製造することができる。
(浸漬工程)
浸漬工程では、陶器又は金属製の手型を樹脂原料に浸漬し、引き上げる。上記樹脂原料としては、当該手袋1の主成分である樹脂が配合された原料が用いられる。
(加熱処理工程)
加熱処理工程では、上記浸漬工程で手型の表面に形成された樹脂被膜を固化させる。具体的には、樹脂原料への浸漬により形成された樹脂被膜を加熱し流動性がなくなる程度に固化させた後、必要な物性が確保されるまで加熱して手袋本体を形成する。その後、樹脂被膜により形成された手袋本体を表裏反転させながら手型から外し、当該手袋1を得る。なお、手袋本体は表裏反転させながら手型から外されるので、製造中の手袋本体の表面は、当該手袋1の内面となる。
[第2製造方法]
あるいは、当該手袋1は、第1浸漬工程と、第2浸漬工程と、加熱処理工程とを備える手袋の製造方法により製造することもできる。
(第1浸漬工程)
第1浸漬工程では、陶器又は金属製の手型を凝固剤へ浸漬する。具体的には、第1浸漬工程では、上記手型を凝固剤溶液へ浸漬し、引き上げた後、凝固剤溶液の溶媒を蒸発させる。
上記凝固剤溶液としては、公知のもの、例えば硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化カルシウムなどの多価金属塩や、酢酸、クエン酸などの有機酸を含むメタノール溶液や水溶液等を用いることができる。中でも多価金属塩を含むことが好ましい。上記凝固剤溶液に多価金属塩を含ませることで、ラテックス原料の手型への付着量や付着厚みを制御し易くできる。
(第2浸漬工程)
第2浸漬工程では、ラテックス原料中に上記手型を浸漬する。具体的には、第2浸漬工程では、上記第1浸漬工程後の手型をラテックス原料へ浸漬し、引き上げる。
上記ラテックス原料としては、当該手袋1の主成分であるゴム又は樹脂が配合された原料が用いられる。
(加熱処理工程)
加熱処理工程では、上記第2浸漬工程により手型の表面に形成されたラテックス被膜を乾燥させる。具体的には、ラテックス原料への浸漬により形成されたラテックス被膜の水分を蒸発させた後、架橋反応を促進させ必要な物性を確保させた手袋本体を形成する。その後、ラテックス被膜により形成された手袋本体を表裏反転させながら手型から外し、当該手袋1を得る。
また、第1製造方法及び第2製造方法のいずれも加熱処理行程中に、表面の流動性がなくなった被膜に、滑剤としてアクリル樹脂やポリウレタンなどの硬度の高い薄膜を積層したり、接着剤を塗布した後にパイルの植毛を行ったり、パイルを混ぜた接着剤を塗布したりした後、乾燥させて当該手袋1の内面の着脱性を向上させてもよい。
あるいは、加熱処理工程後から手袋本体を手型から外すまでの間に、滑性処理として塩素化処理を行ったり、滑剤としてコーンスターチ等を手袋表面に塗布したりすることで当該手袋1の内面の着脱性を向上させてもよい。
<利点>
当該手袋1は、指先端方向からの平面視で、第2指部12の基端12b及び第5指部15の基端15bの中心間を結ぶ直線と、第1指部11の基端11b及び第2指部12の基端12bの中心間を結ぶ直線とのなす角度が120度以下であるので、特に第1指部11を曲げた際に手の甲側の手首付近に引っ張り皺や折れ皺が生じ難く、裾部16のずれ落ちを抑止できる。
また、当該手袋1は、最細位置Aでの周囲長aと前腕末端位置Bでの周囲長bとの比b/aを1.32以下とするので、手袋1の裾部16の内面と着用者の袖口との間の静止摩擦力を確保し易く、裾部16のずれ落ちを抑止できる。
さらに、当該手袋1は、最細位置Aと前腕末端位置Bとの間の領域の平均厚みを0.20mm以上とするので、適度な剛軟度を有する。また、上記比b/aを1.32以下とするので、当該手袋1は、手首側を下方に向けた作業時であっても、裾部16に加わる重力や裾部16に入れた衣服のずれ等からのずれ落ちの起点となる裾部16への皺や屈曲が発生し難い。この適度な剛軟度と上記比b/aの範囲とにより、当該手袋1は、裾部16のずれ落ちの発生に寄与し易い屈曲が生じ難く、裾部16のずれ落ちを抑止できる。
また、当該手袋1は、指先端方向からの平面視で、第2指部12の基端12b及び第5指部15の基端15bの中心間を結ぶ直線と、第1指部11の基端11b及び第2指部12の基端12bの中心間を結ぶ直線とのなす角度を60度以上とし、最細位置Aでの周囲長aと前腕末端位置Bでの周囲長bとの比b/aを1.10以上とし、最細位置Aと前腕末端位置Bとの間の領域の平均厚みを0.80mm以下とするので、着脱の容易性の低下を抑止できる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
例えば当該手袋は、裾部の開口部にさらに腕カバー等他の部材を設けた構成としてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
塩化ビニル系ペースト樹脂(カネカ社製PSM−30)100質量部に、可塑剤(ランクセス社製メザモール、但しメザモールは登録商標)110質量部、安定剤(ADEKA社製SC−72)3質量部、増粘剤(トクヤマ社製QS−102)0.3質量部を配合し、樹脂原料を準備した。
また、表面コートのない陶器の手型として、得られる手袋の全長(第3指部先端から開口部までの長さ)、開口部の周囲長、第3指部先端と第1指部基端との間隔D、最細位置の軸方向の距離L1、最細位置での周囲長a、及び前腕末端位置での周囲長bが表1の値となり、かつ軸方向の距離がxである位置での周囲長yが下記式(9)を満たすように調整された手型を準備した。
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1) ・・・(9)
上記樹脂原料を貯留した浴槽中に上記手型を浸漬し、引き上げた。なお、引き上げる際、裾部の被膜の厚みが表1の厚みとなるように上記浴槽中から上記手型を引き上げる速度を調整した。ここで、裾部の厚みとは、任意の10か所を株式会社テクロックの「PG−20」、測定子径5mm、測定力44gfを用いて、測定して得た値を算術平均したものである。
引き上げた手型を、250℃のオーブンで1分間、続いて190℃のオーブンで10分間加熱し、被膜を形成した。その後、上記手型を冷却し、コーンスターチを上記被膜表面にまぶして反転させながら離型することで、実施例1の手袋を得た。
[実施例2、実施例3、比較例1、比較例2]
最細位置の太さを固定し裾部の太さを調整して、b/aが表1の値になるような手型を準備した以外は、実施例1と同様にして実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2の手袋を得た。
[実施例4〜実施例6、比較例3]
裾部の被膜の厚みが表1の厚みとなるように上記浴槽中から上記手型を引き上げる速度を調整した以外は、実施例1と同様にして実施例4〜実施例8の手袋を得た。
[実施例7、実施例8]
実施例1において、裾部の被膜の厚みが表1の厚みとなるように上記浴槽中から上記手型を引き上げる速度を調整した。また、オーブンでの250℃の加熱と190℃の加熱との間に、上記手型をアクリル系接着剤浴に浸漬し引き上げ、形成された接着剤被膜の表面を軽く乾燥させた後に、繊度1.0デシテックスで長さ0.5mmのレーヨンパイルを静電気植毛した。上述の点以外は、実施例1と同様にして実施例7及び実施例8の手袋を得た。
なお、参考までに手袋の裾部において樹脂被膜の厚みはそれぞれ、0.38mm、0.44mmであり、接着剤被膜の厚みは0.05mmであった。ここで、それぞれの被膜の厚みは任意の10点をマイクロスコープを用いて測定し、算術平均した値である。
[実施例9]
開口部より指先側に30mmの位置から開口部にかけて裾部の広がり方を大きくして、開口部の周囲長が280mmになるようにした手型を準備した以外は、実施例1と同様にして実施例9の手袋を得た。
なお、開口部より指先側に30mmの位置は、前腕末端位置よりも開口部側である。
[実施例10]
軸方向の距離がxである位置での周囲長yが下記式(10)を満たすように調整された手型を準備した以外は、実施例1と同様にして実施例10の手袋を得た。なお、下記式(10)で等号が成立する位置は、最細位置と前腕末端位置との間の中央付近とした。
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)+6 ・・・(10)
[評価]
実施例1〜10及び比較例1〜3の手袋について、以下に示す全て又は一部の評価を行った。結果を表1に示す。
<剛軟度>
JIS−L1096:2010の45°カンチレバー法により求めた。なお、試験片は、1つの手袋の甲側から、最細位置を起点として開口部方向に幅20mm長さ150mmの大きさで1つ切り出した。測定は、測定器の水平台に手袋サンプル内部が接するように置いて実施した。剛軟度の値は5つの手袋から合計5つの試験片を切り出して測定した値の算術平均とした。
<曲げ剛性>
試験片を、1つの手袋の甲側の裾部から、5cm×5cmの大きさで1つ切り出した。測定は、カトーテック社製純曲げ試験機KES−FB2を用いて、上記試験片を、手袋の周囲方向が試験機の試験治具に挟まれるようにセットして行い、曲率+2.5cm−1及び−2.5cm−1の範囲で5往復させたときの、曲率0.5cm−1及び1.5cm−1と、−0.5cm−1及び−1.5cm−1との値から算出した。曲げ剛性の値は5つの手袋から1つずつ、合計5つの試験片を切り出して測定した値の算術平均とした。
<着脱性>
10人のパネラーに、手袋を着脱してもらい、着脱し易いと感じるか否かヒヤリングして、下記基準で評価した。
A:着脱し易いと答えた人数が、9人以上である。
B:着脱し易いと答えた人数が、7〜8人である。
C:着脱し易いと答えた人数が、5〜6人である。
D:着脱し易いと答えた人数が、4人以下である。
<裾部のずれ落ち>
10人のパネラーに、お皿20枚を洗って乾燥用のカゴに移すという食器洗い作業を行ってもらい、ずれ落ちの発生を下記基準で評価した。なお、上着の長袖部は手袋の裾部の中に入れた。また、ずれ落ちは、手袋の開口部が手首方向へ3cm以上ずれた場合に発生したと判定した。
A:ずれ落ちの発生した人数が、0人である。
B:ずれ落ちの発生した人数が、1人である。
C:ずれ落ちの発生した人数が、2人である。
D:ずれ落ちの発生した人数が、3人以上である。
<柔軟性>
上記裾部のずれ落ちの食器洗い作業時に感じた手袋サンプルの柔軟性についてヒヤリングして、下記基準で評価した。
A:柔らかいと答えた人数が、9人以上である。
B:柔らかいと答えた人数が、7〜8人である。
C:柔らかいと答えた人数が、5〜6人である。
D:柔らかいと答えた人数が、4人以下である。
Figure 0006435435
なお、表1で、「−」は未測定であることを意味する。
表1の結果から、実施例1〜10の手袋は、着脱性に優れ、かつ裾のずれ落ちが発生し難いことが分かる。
これに対し、比較例1の手袋は着脱性に劣り、比較例2及び比較例3の手袋は、裾部のずれ落ちが発生し易い。比較例1の手袋では、b/aの値が小さ過ぎるため着脱性に劣ったと考えられる。比較例2の手袋では、b/aの値が大き過ぎるため裾部のずれ落ちが発生し易いと考えられる。また、比較例3の手袋では、最細位置と上記前腕末端位置との間の領域の平均厚みが小さ過ぎたため裾部のずれ落ちが発生し易いと考えられる。
以上から、b/aを1.10以上1.32以下とし、最細位置と上記前腕末端位置との間の領域の平均厚みを0.20mm以上0.80mm以下とすることで、着脱の容易性を維持しつつ、作業中に裾部が手首方向にずれ落ちることを抑止できる手袋と言える。
さらに詳細に見ると、実施例1、実施例4〜実施例8から、剛軟度を20mm以上とすることで、裾部のずれ落ちを抑止できることが分かる。さらに、実施例1及び実施例5〜実施例8と実施例4とを比較すると、剛軟度を25mm以上とすることでその抑止効果を高められることが分かる。
また、実施例1と実施例9とを比較すると、開口部の周囲長を広げることで、着脱性が向上することが分かる。
さらに、実施例1と実施例10とを比較すると、下記式(9)を満たす実施例1の方が下記式(10)を満たす実施例10よりも裾部のずれ落ちが発生し難い。このことから周囲長yを小さくすることで、裾部のずれ落ちの抑止効果が高められることが分かる。
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1) ・・・(9)
y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)+6 ・・・(10)
以上のように、本発明の手袋は、着脱の容易性を維持しつつ、作業中に裾部が手首方向にずれ落ちることを抑止できる。
1 手袋
10 本体部
11 第1指部
11b 基端
12 第2指部
12b 基端
13 第3指部
13a 先端
14 第4指部
15 第5指部
15b 基端
16 裾部
16c 開口部
M3 軸
R 手首領域
S 前腕領域
A 最細位置
B 前腕末端位置
F 破線

Claims (2)

  1. 着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成された本体部と、着用者の第1指乃至第5指をそれぞれ覆うよう上記本体部から延設された有底筒状の第1指部乃至第5指部と、上記第1指部乃至第5指部とは反対方向に延設された筒状の裾部とを有し、ゴム又は樹脂を主成分とし、上記裾部のずれ落ち防止効果に優れた作業用手袋であって、
    指先端方向からの平面視で、上記第2指部及び上記第5指部の基端の中心間を結ぶ直線と、上記第1指部及び上記第2指部の基端の中心間を結ぶ直線とのなす角度が60度以上120度以下であり、
    上記第3指部先端と上記第1指部基端との上記第3指部の軸方向の間隔をDとするとき、上記第3指部先端を基点とする上記裾部側への上記第3指部の軸方向の距離が1.3×D以上1.8×D以下の範囲にある手首領域において周囲長が最小となる最細位置での周囲長aと、上記軸方向の距離が上記最細位置の上記軸方向の距離に対して1.6倍となる前腕末端位置での周囲長bとの比b/aが1.10以上1.32以下であり、
    上記最細位置と上記前腕末端位置との間の領域の平均厚みが0.20mm以上0.80mm以下であり、
    上記最細位置での周囲長aと、上記間隔Dとの比a/Dが1.50以上1.85以下であり、
    上記最細位置及び上記前腕末端位置の上記軸方向の距離をそれぞれL1[mm]及びL2[mm]とするとき、上記軸方向の距離がx[mm]である位置での周囲長y[mm]が、L1<x<L2の範囲において、下記式(1)及び(6)を満たし、
    上記周囲長yが、上記裾部の開口部において、下記式(2)を満たし、
    上記裾部の剛軟度が25mm以上65mm以下であり、
    全長が33cm以上45cm以下である作業用手袋。
    y≦a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)+4 ・・・(1)
    y≧a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1)−10・・・(6)
    y>a+(b−a)×(x−L1)/(L2−L1) ・・・(2)
  2. L1<x<L2の範囲において、上記周囲長yが上記軸方向の距離xの増加とともに漸進的に増加する請求項に記載の作業用手袋。
JP2018115490A 2018-06-18 2018-06-18 作業用手袋 Active JP6435435B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018115490A JP6435435B1 (ja) 2018-06-18 2018-06-18 作業用手袋
JP2018212174A JP7386497B2 (ja) 2018-06-18 2018-11-12 手袋
CN201910496016.9A CN110613195B (zh) 2018-06-18 2019-06-10 手套

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018115490A JP6435435B1 (ja) 2018-06-18 2018-06-18 作業用手袋

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018212174A Division JP7386497B2 (ja) 2018-06-18 2018-11-12 手袋

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6435435B1 true JP6435435B1 (ja) 2018-12-05
JP2019218648A JP2019218648A (ja) 2019-12-26

Family

ID=64560765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018115490A Active JP6435435B1 (ja) 2018-06-18 2018-06-18 作業用手袋

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6435435B1 (ja)
CN (1) CN110613195B (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1894066A (en) * 1931-02-18 1933-01-10 Emerson J Smith Rubber glove
JPH0253902A (ja) * 1988-08-12 1990-02-22 Eagle Ind Co Ltd 手袋の着脱装置
JPH079928U (ja) * 1993-07-09 1995-02-10 小松 栄子 ゴムまたはビニール製の作業用長手袋
JPH0782603A (ja) * 1993-09-10 1995-03-28 Shin Etsu Chem Co Ltd シリコーンゴム手袋
JPH10102305A (ja) * 1996-09-25 1998-04-21 Showa Kk 塩化ビニル手袋及びその製造方法
JP2011241496A (ja) * 2010-05-17 2011-12-01 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム手袋

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000170015A (ja) * 1998-12-08 2000-06-20 Mitsubishi Materials Silicon Corp クリーンルーム用手袋及び無塵服
DE10010138A1 (de) * 2000-03-03 2001-09-06 Gregor Kohlruss Waschhandschuh
EP1882763B1 (en) * 2005-04-12 2014-07-23 Shima Seiki Mfg., Ltd Knitting method of tubular knitted fabric
CN101235248A (zh) * 2008-03-12 2008-08-06 北京瑞京乳胶制品有限公司 一种具有内涂层和麻状表面的胶乳手套
US8028348B2 (en) * 2009-04-10 2011-10-04 Summit Glove Inc. Ambidextrous glove
JP2012162825A (ja) * 2011-02-07 2012-08-30 Sumitomo Rubber Ind Ltd 手袋
KR20130000225A (ko) * 2011-06-22 2013-01-02 도유진 개구부의 둘레 길이 조절이 가능한 양면 고무장갑
US20160143379A1 (en) * 2013-07-22 2016-05-26 Summit Glove Inc. Glove having a widened cuff and with finger regions that include a flexible hinge region
CN105473016B (zh) * 2013-08-12 2018-06-12 尚和手套株式会社 防滑手套
KR20170014372A (ko) * 2015-07-29 2017-02-08 양소희 기능성 장갑
US10149591B2 (en) * 2016-01-14 2018-12-11 Joseph P. Hagen Cleaning mitt, cleaning kit, and cleaning method for protecting a user's hand during cleaning
JP6710546B2 (ja) * 2016-03-08 2020-06-17 ミドリ安全株式会社 作業用手袋

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1894066A (en) * 1931-02-18 1933-01-10 Emerson J Smith Rubber glove
JPH0253902A (ja) * 1988-08-12 1990-02-22 Eagle Ind Co Ltd 手袋の着脱装置
JPH079928U (ja) * 1993-07-09 1995-02-10 小松 栄子 ゴムまたはビニール製の作業用長手袋
JPH0782603A (ja) * 1993-09-10 1995-03-28 Shin Etsu Chem Co Ltd シリコーンゴム手袋
JPH10102305A (ja) * 1996-09-25 1998-04-21 Showa Kk 塩化ビニル手袋及びその製造方法
JP2011241496A (ja) * 2010-05-17 2011-12-01 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム手袋

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019218648A (ja) 2019-12-26
CN110613195B (zh) 2022-11-01
CN110613195A (zh) 2019-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4964174A (en) Gloves for mechanics
US20170027255A1 (en) Utility glove
US7159246B2 (en) Glove with high tactile portion
US7805773B2 (en) Surgical glove
US3555564A (en) Rubber glove
US20060191056A1 (en) Disposable gloves and methods of making same
CN202715209U (zh) 高尔夫用手套
US20110239349A1 (en) Medical gown with a secondary sleeve for extending over a surgical glove
US20140075638A1 (en) Protective glove apparatus
CN103932806A (zh) 外科手术手套
JP6435435B1 (ja) 作業用手袋
US3391406A (en) Glove
JP7386497B2 (ja) 手袋
WO2015177749A1 (en) Garment for the acquisition of joint movement data
JP2019173213A (ja) インナー手袋
KR101568341B1 (ko) 만년 장갑
EP3210483A1 (en) Rubber glove
WO2006022070A1 (ja) ラテックスグローブ
JP2012255221A (ja) 作業用手袋および作業用手袋の製造方法
JP3161624U (ja) 作業用手袋
CN216123886U (zh) 一种防护效果好的新型丁腈手套
CN213963628U (zh) 一种医用食指末端指节加厚型外科手套
JP5716256B2 (ja) くつ下及びレッグウオーマー
JP2020033678A (ja) 手袋
CN220326892U (zh) 一种指部易弯折手套

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180619

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180619

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181016

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6435435

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250