JP5255388B2 - 金属粒子担持触媒およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多面体状金属粒子が担持された多面体状金属粒子担持触媒の製造方法およびその製造方法により得られる多面体状金属粒子担持触媒に関する。
触媒は、燃料電池における反応促進の他、有機物質合成、自動車排ガスの浄化等、各種の分野で使用されている。この様な触媒については、その多くはアルミナ、シリカ等の酸化物やカーボンといった多孔質体を担体とし、これに白金、ロジウム等を担持したものや、複数の金属が担持された多元系触媒が知られている。また、担体物質については、シリカ、ゼオライト、シリカーアルミナ複合体、セリアなどが用いられている。
従来の、担体物質上に金属を含むコロイド粒子が担持してなる触媒の製造方法として、代表的なものひとつとして、多孔質の金属酸化物からなる担体にジニトロジアンミン白金や塩化白金酸、硝酸ロジウムといった金属塩溶液を含浸させ、還元雰囲気中で焼成する方法が知られている。また、前記多元系触媒についても、担持する複数の金属塩の溶液を調製し、これに担体を混合して複数のPdイオンを担体上に吸着させた、そして乾燥、焼成してなる製造方法が知られている。
上記の製造方法も含めた担体物質上に金属を含むコロイド粒子を担持してなる触媒の製造方法としては、特許文献1には、金属酸化物などから成る微小な担体粒子の表面に、触媒活性をもつ微小な金属粒子を析出させる方法において、前記担体を合成する少なくとも一つの原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を、前記原料に照射し前記担体粒子を析出させる工程と、析出した前記担体粒子と触媒活性をもつ前記金属粒子を析出するための前記原料とに、同時に、前記原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を照射し、前記金属粒子を前記担体粒子の表面に析出させる工程と、析出した前記金属粒子を選別補収する工程とからなることを特徴とする触媒の製造方法が開示されている。
特許文献2には、金属粒子及び/又は金属化合物粒子が該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護する数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物と共に固体担体に吸着担持されてなり、該高分子化合物及び該固体担体の少くとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さないことを特徴とする金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持複合体およびその製造方法として、分散媒、金属粒子及び/又は金属化合物粒子及び保護コロイド粒子作用を持つ数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物を含み、該粒子が該分散媒中に分散してコロイド粒子を形成し、且つ該高分子が該粒子に吸着して保護コロイド粒子として該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護してなるコロイド粒子分散液を提供し、該コロイド粒子分散液と固体担体とを接触させ、該高分子化合物および該固体担体の少なくとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さず、かくして、該高分子化合物で保護された該粒子が該固体担体に吸着されてなる粒子担持複合体を形成し、そして得られた複合体を該分散媒から単離することを特徴とする金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持複合体の製造方法が開示されている。
特許文献3には、金属含有イオン及び該金属含有イオンの還元により生成する金属粒子が担持される担体を含む溶液中にプロパルギルアルコールを加え、該金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を該担体上に担持した後、該担体を水素ガスを含有する還元性ガス中で熱処理して、該担体上の金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を金属含有コロイド粒子に還元することを特徴とする高分散金属含有コロイド粒子担
持触媒の製造方法が開示されている。
特許文献4には、担体となる固体物質の存在下、金属の化合物またはイオンを含有した、還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させるか、或いは、金属の化合物またはイオンを含有した、還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させた後に、担体となる固体物質を存在させることを特徴とする、金属含有コロイド粒子を表面に付着させた金属含有コロイド粒子付着担体の製造方法が開示されている。
特許文献5には、周期表第4周期から第6周期の2B族、3B族、4B族、5B族、6B族及び第4周期8族の少なくとも1種の第二元素と金とを含有する金属粒子が担体上に担持された金属粒子担持体と、その製造方法として金及びその化合物の少なくとも1種ならびに第二元素及びその化合物の少なくとも1種を含む担体を熱処理することを特徴とする製造方法が開示されている。
特許文献6には、窒化アルミニウム粒子を空気又は酸素存在下で焼成させ、当該窒化アルミニウム粒子の表面に酸化アルミニウム層を形成する酸化アルミニウム層形成工程と、該酸化アルミニウム層形成工程により得られた窒化アルミニウム粒子を、Pdイオン又は金属粒子を含む水溶液に含浸させた後、乾燥させることにより、窒化アルミニウム担体に金属触媒を保持させる保持工程と、該保持工程で得られた窒化アルミニウム担体を空気又は酸素存在下で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする金属又は金属酸化物から成る金属触媒が窒化アルミニウムから成る担体に保持された触媒の製造方法が開示されている。
特許文献7には、1種又は2種以上の遷移金属の金属塩を含む金属塩溶液を製造する工程と、前記金属塩溶液と、有機物と、1種又は2種以上の金属酸化物からなる多孔質担体とを溶媒に分散させ、原子数10〜50000の1種又は2種以上の遷移Pdイオンと、前記遷移Pdイオンに結合する有機物とからなる複合錯体を形成しつつ、該複合錯体を該多孔質担体上に担持させる工程と、前記複合錯体が担持された担体を焼成する工程とを含む触媒の製造方法が開示されている。
また、金属ナノ微粒子の形状はその機能とくに触媒特性に大きな影響があることが知られている。例えば、白金表面での一酸化窒素分子の解離反応は、白金表面の形態によって活性が異なり、特に(100) 面の有効性が知られている。表面制御された白金粒子に関
しては、特許文献8に、白金化合物の水溶液に、感温性ポリマーを添加する第1の工程と、第1の工程の終了後1分以内にアルカリ水溶液の添加を開始して、所定のpH値に調整する第2の工程と、第2の工程の終了後1分以内に不活性ガスの吹き込みを開始し、所定時間吹き込む第3の工程と、第3の工程の終了後1分以内に還元性ガスの吹き込みを開始し、所定時間吹き込んだ後に、外気と遮断する第4の工程と、所定温度で所定時間保持する第5の工程とを含む金属粒子の製造方法が開示されている。また、特許文献9には、白金粒子からなり、その5重量%以上が立方体形状または正四面体形状の白金粒子である燃料電池用電極触媒に関する発明が開示されている。白金以外の金属において多面体構造を有する微粒子が担体に担持してなる、触媒用の金属微粒子担持触媒が求められていた。
特開昭61−268359号公報 特開平5−293383号公報 特開平6−31181号公報 特開2003−13105号公報 特開2003−53188号公報 特開2003−144933号公報 特開2005−270883号公報 特開2003−268424号公報 特開2002−42825号公報
本発明は、多面体状構造を有する金属粒子が担体表面に担持されてなる金属粒子担持触媒を提供することを目的とする。特に硝酸性窒素の処理に有用な金属粒子担持触媒を提供することを目的とする。さらに、本発明は、この様な金属粒子担持触媒の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明は、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属粒子が無機系担体物質に担持されてなる金属粒子担持触媒であって、前記金属粒子の少なくとも一部が多面体状構造を有する多面体状金属粒子であることを特徴とする金属粒子担持触媒である。
前記金属粒子担持触媒の好適な態様として、
前記金属粒子が、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合金属粒子であり、
前記第4周期遷移金属元素が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群より選ばれる元素であり、前記第5周期遷移金属元素が、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、PdおよびAgからなる群より選ばれる元素であり、
前記多面体状金属粒子が、長さ10〜100nmの範囲の辺を有する面を含むものであり、
前記多面体状金属粒子が、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個存在し、
前記金属粒子担持触媒に含まれる金属粒子の割合が1〜50質量%であり、
前記無機系担体物質がSi、Al、C、Ti、ZrおよびCeからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するものであり、
前記金属粒子がPd−Cu複合粒子またはPd粒子である。
また他の発明は、Pdイオン存在下、平均粒子径2〜200nmの第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属粒子を無機系担体物質に担持させることを特徴とする金属粒子担持触媒の製造方法である。
また他の発明は、無機系担体物質の懸濁液に、Pdイオンを無機系担体物質100質量部に対して金属元素換算で0.5〜100質量部含有させ、さらにこの懸濁液に、15〜40℃で、平均粒子径2〜200nmの第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属粒子を無機系担体物質100質量部に対して1〜180質量部添加し、混合した後、生成した金属粒子担持触媒を100〜200℃にて、乾燥させることを特徴とする金属粒子担持触媒の製造方法である。
前記金属粒子担持触媒の製造方法の好適な態様として、
前記乾燥工程を大気中または不活性雰囲気下で行い、
前記金属粒子がPd−Cu複合粒子またはPd粒子である。
本発明に係る金属粒子担持触媒においては、担持した金属粒子の少なくとも一部が、多面体構造をとり、特に一辺10〜100nmの面を有し、さらに、この多面体構造を有する金属粒子は、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個存在する。このため、該金属粒子担持触媒は、優れた表面活性を示すことが可能であり、例えば、硝酸性窒素処理用の触媒として優れた効果を示すことができる。
以下、金属粒子担持触媒本およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明に係る金属粒子担持触媒は、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属粒子が無機系担体物質に担持されてなる金属粒子担持触媒であって、前記金属粒子の少なくとも一部が多面体状構造を有する多面体状金属粒子である。
これらの多面体状金属粒子については、長さ10〜100nmの範囲にある辺を有する面を含む多面体状構造(多面体構造を含む)をとるものが望ましい。このような多面体状構造の粒子は、表面活性に優れることが期待される。また、本発明に係る金属粒子担持触媒およびPd−Cu複合粒子担持触媒においては、このような金属粒子が、無機系担体物質の単位面積(m2)あたり、102〜1017個存在することが好ましい。前記金属粒子のが存在する個数が、この範囲である場合、前記表面活性に基づく触媒機能が充分に生じ易いものといえる。
[金属粒子担持触媒]
無機系担体物質
本発明に使用される無機系担体物質については、金属粒子が担持可能な物質であれば、格別な制限はない。通常はSi、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有するものが使用される。この担体物質については、非晶質であっても、晶質であってもよく、合成物質、天然鉱物のいずれであっても構わない。通常、Si、Al、C、Ti、Zr、Ceは酸化物が使用され、Cはカーボン単体が使用される。酸化物は、複合酸
化物であってもよく、さらに、NaやK、Feなどの成分を含んでいても良い。このような無
機系担体物質の具体例としては、シリカ粒子、シリカーアルミナ粒子、カーボン粒子、ゼオライト粒子(Y型、A型、モルデナイト型、ZSM-5型など、天然物でも合成物でもよい)、セリア(酸化セリウム)粒子、カオリン粒子、スメクタイト粒子、バーミキュライト粒子、雲母片、チタニアまたはジルコニアなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、無機系担体物質の形状は特に限定されるものではなく、不定形物質である場合も含まれる。無機系担体物質の平均粒子径は担持される金属粒子の平均粒子径と同等またはそれ以上であれば特に限定されない。なお、無機系担体物質が粒子状の場合は、例えば、後記画像解析により測定される平均粒子径で、30nm〜10mmが好ましく、30nm〜5mmがより好ましい。
また、無機系担体物質の平均粒子径は後述する多面体状金属粒子が有する面の一辺の長さの5倍以上が好ましい。粒子径が前記範囲の無機系担体物質は容易に得ることができ、また、本発明の製造方法により、容易に金属粒子を表面に均一に担持させることができる。なお、二次粒子径が上記範囲にあれば、金属粒子は凝集した状態でも使用することができるが、できる限り単分散していることが好ましい。なお、無機系担体物質が粒子状でない場合は、この限りではない。上記無機系担体物質の比表面積については、格別制限されるものではない。例えば、10〜1000m2/gの範囲を挙げることができるがこの範
囲に制限されるものではない。無機系担体物質の比表面積が上記範囲にあると、優れた触媒活性を有する金属粒子担持触媒を得ることができる。
金属粒子
本発明に係る金属粒子担持触媒においては、無機系担体物質に多面体状構造を有する金属粒子、すなわち多面体状金属粒子が担持されていることを特徴としている。ここで金属粒子の多面体状構造とは、粒子が少なくとも、周囲を辺で囲まれた平面状の領域、すなわち面を有する構造を意味する。従って、前記多面体状金属粒子については、球状粒子または不定形粒子の一部に周囲を辺で囲まれた平面状の領域を有するもの、および周囲を辺で囲まれた平面状の領域だけで囲まれてなるものが含まれる。また、周囲を辺で囲まれた平面状の領域については、平面状部分内に亀裂が生じていても構わない。金属粒子の多面体状構造の好適な例としては、四面体状構造、五面体状構造、六面体状構造またはそれ以上の面で囲まれてなる多面体状構造を挙げることができる。
前記多面体状構造をとる金属粒子の大きさについては、四面体から六面体状構造である場合、前記多面体状構造に含まれる面の有する一辺の長さが10〜100nmの範囲にあるものが好ましい。
本発明においては、電子顕微鏡により倍率30万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、500nm四方に存在する多面体状金属粒子面の中で、最大の辺の長さを測定し、同様の測定を写真投影図上の50箇所について行って、その平均値を該多面体状金属粒子の面が有する辺の長さと定義した。
金属粒子の多面体状構造の一辺の長さが10nm未満の場合は、多面体状構造とならない場合が含まれる。100nmを超える場合は、担持触媒の大きさ及び形状にもよるが、無機系担体への担持が不十分となる場合がある。金属粒子の多面体状構造の一辺の長さについては、好適には15〜50nmの範囲が推奨される。
前記金属粒子は、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個/m2、好ましくは、103〜1015/m2個存在することが望ましい。このような範囲で担持され
ていることにより金属粒子に基づく触媒効果などが安定して発現し易くなる。また前記範囲の下限未満の場合、金属粒子に基づく効果が十分に発現せず、触媒効果または導電性効果が微弱なものとなる場合がある。また、前記範囲の上限を超える場合、金属粒子に基づく効果が飽和する傾向が強くなるため、必ずしも必要とはされない。
前記金属粒子担持触媒に含まれる金属粒子の質量割合は、適用する用途の要請に応じて選択されるものであり、格別に限定されるものではないが、通常は、例えば、1〜50質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲にあることが望ましい。この範囲に担持していると、例えば、金属含有コロイド粒子の作用による触媒作用などが実用的なレベルとなり易く、優れている。
本発明の金属粒子担持触媒の大きさは実質的に、無機系担体物質の大きさによって決定される。本発明の金属粒子担持触媒は、必要に応じて、公知の方法で、ペレット、ハニカムなどの所望の形状に成形してもよい。
本発明に係る金属粒子担持触媒の好適な態様としては、平均粒子径30nm〜10mmの範囲の無機系担体物質に1種以上の金属粒子が担持されてなる金属含有コロイド粒子担持触媒であって、該担体物質に担持された金属粒子が長さ10〜100nmの範囲の辺を有する面を含むものであり、前記金属粒子が、無機系担体物質上に単位面積(m2)あた
り、102〜1017個存在することを特徴とする金属粒子担持触媒を挙げることができる
前記金属粒子は、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる。前記金属粒子は、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合金属粒子であってもよい。
好ましくは、前記第4周期遷移金属元素は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群より選ばれる元素であり、前記第5周期遷移金属元素が、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、PdおよびAgからなる群より選ばれる元素である。
特に好適な金属粒子としてはPd-Cu複合粒子またはPd粒子を挙げることができる
。本願明細書において、「Pd-Cu複合粒子」は、パラジウムと銅の複合粒子を意味す
る。また、「Pd粒子」はパラジウム粒子を意味する。
なお、Pd−Cu複合粒子の分散液は、例えば、クエン酸水溶液に還元剤として硫酸第一鉄を溶解させてなる溶液を、硝酸パラジウム水溶液と硝酸銅水溶液との混合溶液に、室温にて添加し、充分に混合することにより調製することができる。
本発明に係る金属粒子担持触媒の製造方法について、以下に述べる。
[金属粒子担持触媒の製造方法]
本発明の金属粒子担持触媒は、Pdイオン存在下、平均粒子径2〜200nmの第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属粒子を無機系担体物質に担持させることにより製造することができる。
より好適には、無機系担体物質の懸濁液に、Pdイオンを無機系担体物質100質量部に対して金属元素換算で0.5〜100質量部含有させ、さらにこの懸濁液に、15〜40℃で、平均粒子径2〜200nmの第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属粒子を無機系担体物質100質量部に対して1〜180質量部添加し、混合した後、100〜200℃にて、乾燥させることにより製造することができる。
担体物質懸濁液の調製
本発明に使用される無機系担体物質については、前記した通りである。本発明では、上記無機系担体物質は、通常、水に懸濁させた状態で使用される。担体物質の懸濁液は、上記担体物質に、例えば、脱イオン水を加えて、95℃で1時間混合することにより得ることができる。水の使用量は、担体物質100質量部に対して100〜99,900質量部が好ましく、400〜19,900質量部がより好ましい。このようにして得られた担体物質の懸濁液は、必要に応じて、さらに水で希釈してもよく、あるいはデカンテーションで濃縮してもよい。希釈水としては脱イオン水が好ましい。希釈後の無機系担体物質懸濁液の濃度は、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
Pdイオン添加
次に、上記無機系担体物質懸濁液に、Pdイオンを添加する。Pdイオンの添加量は無機系担体物質懸濁液中の固形分100質量部に対して金属元素換算で0.5〜100質量部が好ましく、2〜80質量部がより好ましい。なお、Pdイオンの添加量が多い程、多面体状構造を有する粒子が生成しやすくなる。
Pdイオンの含有量が前記下限未満になると、Pd−Cu複合粒子金属粒子を添加しても担体物質に対する充分な担持効果が得られず、また前記上限を超えると前記担持効果のさらなる向上が得られず、経済的に好ましくない。
上記範囲の量のPdイオンを無機系担体物質懸濁液に添加する方法としては、1)金属元素換算で上記範囲の量のPdイオンを含む所定の溶液を上記無機系担体物質懸濁液に添加する方法または2)Pd元素換算で上記割合のPdイオンを形成し得る量のPd化合物を上記無機系担体物質懸濁液に添加して懸濁液中でPdイオンを発生させる方法をとることができる。
Pdイオンを含む溶液はPdイオンを形成し得る金属化合物を溶媒に溶解することにより調製できる。上記Pdイオンの価数については、特に限定されるものではない。
Pdイオンを生成可能な上記化合物としては、上記担体物質懸濁液中でPdイオンを形成するものであれば特に制限されず、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、クエン酸パラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられる。これらのパラジウム化合物は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
Pdイオンを生成する金属化合物は、通常溶媒に溶解して、前記懸濁液に添加される。
Pdイオンを含む溶液に用いられる溶媒は、該金属との反応性を示さず、該金属化合物を溶解できるものでは特に限定されるものではない。
このような溶媒としては、
水;
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;
アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;
ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;
2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;
ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;
塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などを挙げることができる。
上記担体物質懸濁液に、Pdイオンを含む溶液あるいはパラジウム化合物を添加する際の温度は、15〜40℃が好ましい。温度が低いと十分にPd−Cu複合粒子を担持できないことがあり、温度が高すぎても担持効率のさらなる向上が見られないため、経済的に好ましくない。また、上記添加後、上記範囲の温度に保持しながら懸濁液を攪拌して充分に混合することが好ましい。特に、固体状の金属化合物を添加した場合には、金属化合物が充分に溶解してPdイオンが生成するまで攪拌などの操作を充分に行う必要がある。
本発明では、Pdイオンの存在下で、担体物質の懸濁液に金属粒子を混合することにより、上記Pdイオンが存在しない場合に比べて金属粒子を良好に担持することができる。
これは、担体物質を構成する成分、特に担体物質表面に、金属イオンが吸着して、担体物質表面に一種のプライマー層が形成され、そのプライマー層の作用、すなわち、Pd−Cu複合粒子金属粒子とPdイオン間で吸着反応が起こることによるものと推定される。
また、多面体状構造のPd−Cu複合粒子が生成することについては、Pd−Cu複合粒子金属粒子と添加されたPdイオンの間で、電子の授与が起き、Pd−Cu複合粒子金属粒子の一部が溶解し、再析出する際に、特定の面成長が抑制され、あるいは特定の面成長が促される結果、多面体構造になるものと推察される。なお、これらのPdイオンについては、未反応のPd−Cu複合粒子金属粒子などとともに、金属粒子担持触媒から洗浄により除去されることが望ましい。
Pd−Cu複合粒子金属粒子
金属粒子の種類としては、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる。前記金属粒子は、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合金属粒子であってもよい。
好ましくは、前記第4周期遷移金属元素は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群より選ばれる元素であり、前記第5周期遷移金属元素が、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、PdおよびAgからなる群より選ばれる元素である。
特に好適な金属粒子としてはPd-Cu複合粒子またはPd粒子を挙げることができる

Pd−Cu複合粒子金属粒子は、通常、水または有機溶媒に分散した状態のPd−Cu複合粒子金属粒子分散液の状態で使用される。Pd−Cu複合粒子金属粒子分散液におけるPd−Cu複合粒子金属粒子の濃度は特に限定されないが、たとえば0.01質量%以上が好ましい。
前記Pd−Cu複合粒子金属粒子については、前記定義による辺の長さが2〜200nmの範囲にあるものが好適に使用できる。
平均粒子径2nm未満のPd−Cu複合粒子金属粒子については、調製することが容易ではない。他方、平均粒子径が200nmを越えるPd−Cu複合粒子金属粒子については、原料として使用するPd−Cu複合粒子金属粒子の量に比して触媒性能が低下する傾向が強まるため好ましくない。
Pd−Cu複合粒子金属粒子の添加量は、担体物質100質量部に対して1〜180質量部が好ましく、2〜100質量部がより好ましい。Pd−Cu複合粒子金属粒子の添加量が上記範囲にあるとPd−Cu複合粒子金属粒子が充分に分散した状態で担体物質に担持することができる。一方、添加量が1質量部未満になると、Pd−Cu複合粒子金属粒子の担持は問題ないが、Pd−Cu複合粒子金属粒子の担持量が少なくなり、Pd−Cu複合粒子金属粒子による触媒作用など、充分な効果が得られないことがある。また、添加量が180質量部を超えても担持量は増加しにくく、経済的に好ましくない。
Pd−Cu複合粒子金属粒子を添加して混合する際の温度は、特に限定されないが、15〜40℃が好ましい。15℃未満では、十分にPd−Cu複合粒子金属粒子を担持できないことがあり、実用性が低下することがある。40℃を超えると担持効果の更なる向上は認められず、経済的に好ましくない。
上記混合の際、通常5分以上、好ましくは10分以上の攪拌を行うことが望ましく、必要に応じて、通常3時間程度まで、好ましくは1時間程度まで攪拌してもよい。
上記混合操作後、必要に応じて、Pd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒を含む懸濁液を水で希釈してもよい。通常、Pd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒100質量部に対して、最大で250,000質量部程度の水で希釈することができる。さらに、通常水で希釈
した金属含有コロイド粒子担持触媒を遠心分離し、望ましくは洗浄を3回以上繰り返して、残存するイオンを除去し、Pd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒を分離精製する。その後、分離したPd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒を、通常100℃以上、好ましくは温度100〜200℃で1〜20時間乾燥することが望ましい。乾燥温度範囲については、より好適には、100〜150℃の範囲が推奨される。
乾燥温度が100℃未満の場合、多面体状の担持金属が生成し難い。乾燥温度が200℃を超える場合は、粒子のシンタリングや酸化が進行するといった問題がある。 前記乾燥工程は、大気中または不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気としては、窒素、水素、アルゴン等の雰囲気を挙げることができる。乾燥雰囲気として、より好適には不活性雰囲気を挙げることができる。
本発明の製造方法により、Pd−Cu複合粒子金属粒子担持量が、Pd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒全体に対して、1〜50質量%であり、かつPd−Cu複合粒子金属粒子が担体物質表面に極めて良好に分散したPd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒を得ることができる。なお、この金属粒子担持量は、Pdイオンを含有させる際の温度、Pdイオンの含有量、金属含有コロイド粒子混合時の温度、Pd−Cu複合粒子金属粒子の混合量などの製造条件を適宜調整することによりコントロールすることができる。特に担持量としては、2〜40質量%が好ましい。
本発明の製造方法においては、既に金属状態にあるPd−Cu複合粒子金属粒子を使用するので、担体物質に担持するだけでPd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒を得ることができる。例えば、イオン吸着還元法では、担体上にPtイオンを存在させ、これを焼成還元して白金金属を形成する必要があるが、これに比べて本発明の製造方法は、より簡便であるものといえる。
得られたPd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒は、必要に応じて、公知の方法で、ペレット、ハニカムなどの所望の形状に成形してもよい。また、懸濁液に分散させる担体物質を予め所望の形状の成形して使用してもよい。
[本発明の好適な態様1]
Pd−Cu複合粒子が無機系担体物質に担持されてなるPd−Cu複合粒子担持触媒であって、前記Pd−Cu複合粒子の少なくとも一部が多面体状構造を有する多面体状Pd−Cu複合粒子であることを特徴とするPd−Cu複合粒子担持触媒。
[本発明の好適な態様2]
前記多面体状Pd−Cu複合粒子が、長さ10〜100nmの範囲の辺を有する面を含むものであることを特徴とするPd−Cu複合粒子担持触媒。
[本発明の好適な態様3]
前記多面体状Pd−Cu複合粒子が、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、1
2〜1017個存在することを特徴とするPd−Cu複合粒子担持触媒。
[本発明の好適な態様4]
前記Pd−Cu複合粒子担持触媒に含まれるPd−Cu複合粒子の割合が1〜50質量%であることを特徴とするPd−Cu複合粒子担持触媒。
[本発明の好適な態様5]
前記無機系担体物質がSi、Al、C、Ti、ZrまたはCeから選ばれる1種または2種以上を含有するものであることを特徴とするPd−Cu複合粒子担持触媒。
[本発明の好適な態様6]
Pdイオン存在下、平均粒子径2〜200nmのPd−Cu複合粒子を無機系担体物質に担持させることを特徴とするPd−Cu複合粒子担持触媒の製造方法。
[本発明の好適な態様7]
無機系担体物質の懸濁液に、Pdイオンを無機系担体物質100質量部に対して金属元素換算で0.5〜100質量部含有させ、さらにこの懸濁液に、15〜40℃で、平均粒子径2〜200nmのPd−Cu複合粒子またはPd粒子を無機系担体物質100質量部に対して1〜180質量部添加し、混合した後、生成したPd−Cu複合粒子担持触媒またはPd粒子担持触媒を100℃以上〜200℃で乾燥することを特徴とするPd−Cu複合粒子担持触媒の製造方法。
[本発明の好適な態様8]
前記多面体状金属粒子が、平均値として長さ10〜100nmの範囲の辺を有する面を含むものであることを特徴とする金属粒子担持触媒。
本発明のPd−Cu複合粒子金属粒子担持触媒は、高い触媒活性を示し、また触媒性能の再現性もよい。また、触媒以外の用途として、Pd−Cu複合粒子金属粒子を担体上に良好に分散した材料として、電気特性または磁気特性を利用する用途に適用可能である。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[1]BET法による比表面積測定
比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を測定した。
具体的には、試料0.5gを測定セルに入れ、窒素30容量%とヘリウム70容量%の混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、試料(ゼオライト)の比表面積を測定した。
[2]単位面積当たりのPd−Cu複合粒子金属粒子個数測定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料(金属含有コロイド担持担体)を倍率30万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、40nm四方の表面に担持されているPd−Cu複合粒子金属粒子の個数を測定し、その平均値から換算して、単位面積[m2]当たりのPd−Cu複合粒子
金属粒子個数を求めた。
[3]Pd−Cu複合粒子金属粒子担持担体触媒の組成分析
試料(Pd−Cu複合粒子金属粒子担持)を600℃にて焼成し、残渣をアルカリ溶融剤にて溶融した後、28質量%塩酸水溶液にて溶解し、溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)にて
測定した。
[4]画像解析による平均粒子径の測定方法
Pd−Cu複合粒子金属粒子または担体の平均粒子径については次の方法により測定した。走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、倍率30万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、200nm四方に表れる最大の辺の長さを測定し、同様の測定を50箇所について行って、その平均値を該多面体状構造の有する面の一辺の長さとした。
[5]画像解析による形状の確認と辺の長さの測定方法
多面体状金属粒子が有する辺の長さ(面と面の境界となる直線部)については、次の方法により測定した。透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、倍率30万倍で写真撮影して得られる写真投影図により形状を確認し、500nm四方に存在する多面体状金属粒子の中で、最大の辺の長さを測定し、同様の測定を写真投影図上の50箇所について行って、その平均値を該多面体状金属粒子の面が有する辺の長さと定義した。
以下の実施例は、いずれも前記特許請求の範囲の要件を満たすものである。
[合成例1A]
活性炭懸濁液の調製
活性炭(味の素ファインテクノ株式会社製、商品名:CL−K、粒度:0.5mm〜1.7mm、ヨウ素吸着量1,550mg/g)を純水に分散させ、活性炭濃度が10質量%の水分散液を調製した。
[合成例1B]
Pd−Cu複合粒子分散液の合成
クエン酸水溶液〔濃度30質量%〕219gに還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gと硝酸銅水溶液(濃度20質量%)26gとの混合水溶液に室温で添加し、充分に混合することによりPd−Cu複合粒子(平均粒子径3nm)の分散液を調製した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を10g添加して、20℃で40分間攪拌し、混合懸濁液を調製した。室温にて、この混合懸濁液に、合成例1Bで得たPd−Cu複合粒子分散液5.17g(固形分3.0質量%、パラジウム−銅換算で0.16g、平均粒子径3nm)を添加し、10
分間、混合攪拌した。Pd−Cu複合粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.5であった。
この混合懸濁液を空気中にて、温度105℃で10時間乾燥させることにより、長さ20nmの辺を有する面を含む多面体状構造のPd−Cu複合粒子が担持したカーボン(Pd−Cu複合粒子担持触媒)を得た。このカーボンの単位面積当たりのPd−Cu複合粒子存在個数は107個/m2だった。製造条件およびPd−Cu複合粒子の評価を表1〜3に示した。
このPd−Cu複合粒子担持触媒の電子顕微鏡写真を図1に示した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を3.33g添加して20℃で40分間攪拌し、混合懸濁液を調製した。室
温にて、この混合懸濁液に合成例1Bで得たPd−Cu複合粒子分散液5.17g(固形分3.0質量%、パラジウム−銅換算で0.16g、平均粒子径3nm)を添加し、10
分間、混合攪拌した。Pd−Cu複合粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.6であった。
この混合懸濁液を空気中にて、温度105℃で10時間乾燥させることにより長さ20nmの辺を有する面を含む多面体状構造のPd−Cu複合粒子が担持したカーボン(Pd−Cu複合粒子担持触媒)を得た。このカーボンの単位面積当たりのPd−Cu複合粒子存在個数は105個/m2だった。製造条件およびPd−Cu複合粒子の評価を表1〜3に示した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を33.33g添加して20℃で40分間攪拌した。室温にて、この混合懸濁液に合成例1Bで得たPd−Cu複合粒子分散液5.17g(固形分3.0質量%、パラジウム−銅換算で0.16g、平均粒子径3nm)を添加し、10分間、混合攪拌した。Pd−Cu複合粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.2であった。
この混合懸濁液を空気中にて、温度105℃で10時間乾燥させることにより長さ20nmの辺を有する面を含む多面体状構造のPd−Cu複合粒子が担持したカーボン(Pd−Cu複合粒子担持触媒)を得た。このカーボンの単位面積当たりのPd−Cu複合粒子存在個数は109個/m2だった。製造条件およびPd−Cu複合粒子の評価を表1〜3に示した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を66.67g添加して20℃で40分間攪拌した。室温にて、この混合懸濁液に合成例1Bで得たPd−Cu複合粒子分散液5.17g(固形分3.0質量%、パ
ラジウム−銅換算で0.16g、平均粒子径3nm)を添加し、10分間、混合攪拌した。Pd−Cu複合粒子添加後の混合懸濁液のpHは2.0であった。
この混合懸濁液を空気中にて、温度105℃で10時間乾燥させることにより長さ20nmの辺を有する面を含む多面体状構造のPd−Cu複合粒子が担持したカーボン(Pd−Cu複合粒子担持触媒)を得た。このカーボンの単位面積当たりのPd−Cu複合粒子存在個数は1012個/m2だった。製造条件およびPd−Cu複合粒子の評価を表1〜3
に示した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を100g添加して20℃で40分間攪拌した。室温にて、この混合懸濁液に合成例1Bで得たPd−Cu複合粒子分散液5.17g(固形分3.0質量%、パラジ
ウム−銅換算で0.16g、平均粒子径3nm)を添加し、10分間、混合攪拌した。Pd−Cu複合粒子添加後の混合懸濁液のpHは1.8であった。
この混合懸濁液を空気中にて、温度105℃で10時間乾燥させることにより長さ20nmの辺を有する面を含む多面体状構造のPd−Cu複合粒子が担持したカーボン(Pd−Cu複合粒子担持触媒)を得た。このカーボンの単位面積当たりのPd−Cu複合粒子存在個数は1014個/m2だった。製造条件およびPd−Cu複合粒子の評価を表1〜3
に示した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を3.33g添加して、20℃で30分間攪拌し、混合懸濁液を調製した。これにPd粒子分散液(固形分3質量%、平均粒子径3nmを5.0g添加した。混合懸濁液のpHは2.0であった。
この混合懸濁液を大気雰囲気中、温度110℃で10時間かけて乾燥させ、Pd担持活性炭を得た。得られたPd多面体の辺の長さは20nmで、担体物質上に単位面積(m2)あ
たり、105個存在した。製造条件およびPd複合粒子の評価を表1〜3に示した。
このPd粒子担持触媒の電子顕微鏡写真を図2に示した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を3.33g添加して、20℃で30分間攪拌し、混合懸濁液を調製した。これにPd粒子分散液(固形分3質量%、平均粒子径3nmを5.0g添加した。混合懸濁液のpHは2.0であった。この混合懸濁液を窒素雰囲気中、温度110℃で10時間かけて
乾燥させ、Pd担持活性炭を得た。
得られたPd多面体の辺の長さは20nmで、担体物質上に単位面積(m2)あたり106個存在した。製造条件およびPd複合粒子の評価を表1〜3に示した。
合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50gにPdイオン濃度が1.5質量%の硝酸パラジウム水溶液を3.33g添加して、20℃で30分間攪拌し、混合懸濁液を調製した。これにPd粒子分散液(固形分3質量%、平均粒子径3nmを5.0g添加した。混合懸濁液のpHは2.0であった。
この混合懸濁液を水素雰囲気中、温度110℃で10時間かけて乾燥させ、Pd担持活性炭を得た。得られたPd多面体の辺の長さは20nmで、担体物質上に単位面積(m2)あ
たり、107個存在した。製造条件およびPd複合粒子の評価を表1〜3に示した。
〔比較例1〕
室温にて、合成例1Aで調製した活性炭懸濁液50g(活性炭濃度10質量%)に、合成例1Bで得たPd−Cu複合粒子分散液5.17g(固形分3.0質量%、パラジウム−銅換算で0.16g、平均粒子径3nm)を添加し、10分間、混合攪拌した。Pd−Cu複合粒子添加後の混合懸濁液のpHは6.9であった。
この混合懸濁液を空気中にて、温度105℃で10時間乾燥させたところ、カーボンへのPd−Cu複合粒子の担持は見られなかった。製造条件およびPd−Cu複合粒子の評価を表1〜3に示した。
[硝酸性窒素処理性能試験]
硝酸ナトリウム(関東化学(株)製:特級)61.3gを純水に溶解して硝酸性窒素含有水
25kgを調製した。この時の硝酸性窒素の含有量はNとして400ppmであった。次に、超微細気泡還元ガス発生装置(スキルキット(株)製:マイクロバブル発生装置)の水槽に硝酸性窒素含有水を投入し、硝酸性窒素含有水を循環させながらこれに触媒用試料1000gを分散させた。
このときの硝酸性窒素含有水中の触媒用試料の分散濃度は3.8質量%であった。ついで水素ガスの超微細気泡を吹き込み、硝酸性窒素含有水の処理を実施した。この時、液温を25℃に維持し、水槽は200rpmで攪拌した。マイクロバブル発生装置は、液循環量70L/min、液圧力0.45MPa、水素圧力0.45MPa とし、水素の流量を
0.37NL/minの条件で注入し、硝酸性窒素の処理中は、硝酸性窒素含有水のpHを濃度1質量%の硫酸にて5〜6の範囲に調整した。水素の超微細気泡を供給開始後5分毎に処理液を採取し、窒素分析装置(ブランルーベ(株)製:AAS−III)により硝酸
性窒素(NO3+NO2)およびNH3の分析を行った。硝酸性窒素の還元は130分(N
3+NO2が0ppmとなった時点)で終了し、このときの副生NH3濃度、およびN2生成量、水素未利用率を測定した。
前記触媒用試料として、実施例1で調製した平均粒子径3nmのPd−Cu複合粒子が担持したカーボンからなるPd−Cu複合粒子担持触媒を使用した。この場合、N2生成量48.8%、NH3副生量10.0%、未利用41.2%となった。
なお、前記触媒用試料として、金属イオンを用いない方法で調合したPd−Cu複合粒子を担持したカーボンを使用した場合は、N2生成量37.11%、NH3副生量9.8%、未利用53.1%であった。
図1は、実施例1のPd−Cu複合粒子担持触媒の透過型電子顕微鏡写真(倍率30万倍)である。 図2は、実施例6のPd粒子担持触媒の透過型電子顕微鏡写真(倍率30万倍)である。

Claims (2)

  1. Pd−Cu複合粒子がSi、Al、C、Ti、ZrおよびCeからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する無機系担体物質に担持されてなる金属粒子担持触媒であって、前記金属粒子の少なくとも一部が多面体状構造を有する多面体状金属粒子であって、前記多面体状金属粒子が、長さ10〜100nmの範囲の辺を有する面を含み、前記多面体状金属粒子が、無機系担体物質上に単位面積(m2)あたり、102〜1017個存在することを特徴とする硝酸性窒素の処理用の金属粒子担持触媒。
  2. 前記金属粒子担持触媒に含まれる金属粒子の割合が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載の硝酸性窒素の処理用の金属粒子担持触媒。
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