JP5253830B2 - レーザ装置の故障診断システム - Google Patents

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Description

本発明は、複数のモジュールで構成されたレーザ装置の中から故障したモジュールを判定できるようにしたレーザ装置の故障診断システムに関する。
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、その製造用の投影露光装置においては解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される露光光の短波長化が進められており、半導体露光用光源として、従来の水銀ランプから波長248nmのKrFエキシマレーザ装置が用いられている。さらに、次世代の半導体露光用光源として、波長193nmのArFエキシマレーザ装置及び波長157nmのフッ素(F2 )レーザ装置等の紫外線を放出するガスレーザ装置が有力である。
次世代の露光技術としては露光装置側の露光用レンズとウエハ間を液体で満たして屈折率を変えることによって、露光用光源の見かけの波長を短波長化する液浸露光が研究されている。ArFエキシマレーザを露光用光源として液侵露光が行われる場合は、ウエハには液中における波長134nmの紫外光が照射される。この技術をArF液浸露光(又はArF液浸リソグラフィー)という。
次々世代の露光用光源としてはEUV光源があり、またF2レーザを露光用光源として液浸技術が行われる可能性もある。この場合は、ウエハには波長115nmの紫外光が照射されることになる。
液浸露光では高NA化によりレンズの透過率が低下するため、一定露光量を得るために光源であるレーザの高出力化が必要とされている。また、露光装置の高スループット化のためにもレーザの高出力化が必要とされている。スペクトル線幅を狭帯域化した上で高出力を得るレーザとしては例えば発振用レーザと増幅用レーザを備えた2ステージレーザ装置がある。発振用レーザはシード光を出力する発振用レーザチャンバ(以下、発振用チャンバという)を有し、増幅器は発振用チャンバから注入されたシード光を増幅して出力する増幅用レーザチャンバ(以下、増幅用チャンバという)を有する。
発振器及び増幅器の各レーザチャンバの内部にはレーザガスが封入されると共に、一対の主放電電極とこの主放電電極に並列に接続されるピーキングコンデンサとを含む放電回路が形成される。レーザチャンバには高電圧パルス発生器(パルスパワーモジュールPPMともいう)が機械的に接続されており、この高電圧パルス発生器の内部には、レーザチャンバの放電回路と電気的に接続される磁気パルス圧縮回路が形成される。さらに高電圧パルス発生器には充電器が機械的に接続されており、この充電器の内部には、高電圧パルス発生器の磁気パルス圧縮回路と電気的に接続される充電回路が形成される。
充電回路から供給されるエネルギーは磁気パルス圧縮回路でパルス圧縮されて放電回路のピーキングコンデンサに転送される。パルス圧縮によってエネルギーの転送時間は徐々に狭まると共に電流ピーク値が高くなる。ピーキングコンデンサにパルス圧縮されたエネルギーが蓄積されると、主放電電極に高電圧が印加される。主放電電極間にかかる電圧がある値(ブレークダウン電圧)に達すると、主放電電極間のレーザガスが絶縁破壊されて主放電が開始し、この主放電によってレーザ媒質であるレーザガスが励起される。その結果、発振用チャンバの場合はシード光が出力され、増幅用チャンバの場合は注入されたシード光が増幅される。
こうしたレーザ装置において、何らかのエラーが発生した場合、例えば出力エネルギーがゼロになった場合などには、レーザ装置のどこかに故障があると考えられる。レーザ装置は幾つかの構成要素毎にモジュール化されており、故障が発見されたモジュールはレーザ装置から取り外された後に修理又は廃棄される。通常、レーザ装置にはエラーを報知する機能、例えばエラーコードを表示する表示部が備えられており、レーザ装置にエラーが発生したことを外部から認識できる。
半導体露光の現場など、レーザ装置の稼働現場にてレーザ装置のエラーが発生した場合は、次のような作業工程によってレーザ装置は復旧される。先ずレーザ装置の稼働現場側からレーザ装置の製造者側に対してレーザ装置にエラーが発生した旨の連絡がなされる。製造者側の作業員は交換用モジュール一式を携えて稼働現場に赴く。稼働現場にて作業員は表示されたエラーコード及びエラー発生前のログデータなどを分析することによって原因を究明すると共に故障部品を特定する。そして故障部品がある場合は、その故障部品を含むモジュールを交換する。モジュール交換後、必要に応じて試験発振をし、エラーが発生しなければ作業を終了する。
従来のレーザ装置ではエラーが発生した場合にエラーコードの表示等といった報知がなされるのみであり、ログデータ等を分析してエラー発生の原因を究明したり故障モジュールを特定するといった処理は作業員の能力に大いに依存している。このため作業員はレーザシステム全体を熟知する必要があるが、逆にレーザシステムを熟知していない作業員が原因究明及び故障モジュールの特定作業を行うと、時間を浪費してレーザ装置の復旧が大幅に遅延する虞があるだけでなく、危険を被る虞もある。
また作業員は実際に稼働現場に赴きレーザ装置のログデータ等を見るまでエラー原因を把握することはおろか、故障モジュールを特定することなどできない。このため作業員はあらゆる事態に対応できるように交換用モジュール一式を形態する必要がある。レーザ装置は多くのモジュールで構成されており、中でも2ステージレーザ装置のモジュールは多数に及ぶ。こうした多数の交換用モジュールを稼働現場に持ち込んでも実際に交換するモジュールはそのうちの一部であって、残りのモジュールは交換後のモジュールと共に持ち帰ることになる。つまり何ら使用しない交換用モジュールを単に搬送する作業が発生しており、労力とコストの多大の浪費を招いている。
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、エラーが発生したレーザ装置を早急に復旧し、またモジュール交換の労力及びコストを低減することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、第1発明は、
複数のモジュールで構成されたレーザ装置の故障診断をするレーザ装置の故障診断システムにおいて、
故障診断の際にレーザ発振を行い、当該レーザ発振の動作結果を用いることで前記レーザ装置の被診断モジュールを診断する
ことを特徴とする。
レーザ装置は通常のレーザ発振時に様々なモニタをしており、何らかのエラー、例えばエネルギー関連エラーや波長関連エラーやスペクトル関連エラーなどを検出すると、何れのモジュールが故障している可能性があるとしてレーザ発振を停止する。この段階ではモジュールが故障しているか否かは判らないので、被検査モジュール毎に故障診断をする必要がある。
本発明は、被検査モジュールの故障診断の際に、その故障診断の内容に応じたレーザ発振を行い、その動作結果を用いて被検査モジュールの診断をするようにしている。
第2発明は第1発明において、
レーザ装置に発生した異常に応じた故障診断を行う
ことを特徴とする。
レーザ装置に発生するエラーは様々な異常が原因となって発生する。例えばエネルギー関連エラーは、発振用レーザと増幅用レーザの同期異常や、パラメータdV/dEの異常や、エネルギー安定性の異常や、エネルギー低下異常などが原因となって発生する。
本発明は、レーザ装置に発生した異常の種類に応じた故障診断を行うようにしている。
第3発明は第1発明において、
前記レーザ装置は、
第1の充電電圧にて充電したエネルギーを用いて発振用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起すると共に当該発振用レーザチャンバからレーザ光を出力する発振用レーザと、
第2の充電電圧にて充電したエネルギーを用いて増幅用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起すると共に前記発振用レーザチャンバから前記増幅用レーザチャンバに注入されたレーザ光を増幅して出力する増幅用レーザと、
前記発振用レーザチャンバから出力された前記レーザ光が前記増幅用レーザチャンバ内を通過するタイミングで当該増幅用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起させる同期コントローラと、を備え、
前記同期コントローラを被診断モジュールとした故障診断の際に、前記第1及び第2の充電電圧を変化させつつパルスレーザ発振を行い、前記発振用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起した時期と前記増幅用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起した時期との時間差をパルス毎に計測し、当該時間差と故障判断の基準となる所定の時間差とを比較することで、前記同期コントローラにおける故障の有無を診断する診断手段を備えた
ことを特徴とする。
本発明は、発振用レーザと増幅用レーザの同期異常が発生した場合に、同期コントローラを被検査モジュールとして故障診断する。具体的には、同期調整発振を行い、発振用レーザで放電した時期と増幅用レーザで放電した時期との時間差である遅延時間差をパルス毎に計測し、その遅延時間差と故障判断の基準となる所定の時間差の範囲とを比較し、範囲内にあれば同期コントローラに故障は無いと判断し、範囲外にあれば同期コントローラに故障が有ると判断する。
第4発明は第1発明において、
前記レーザ装置は、
指令された充電電圧に応じてコンデンサを充電する充電器と、
前記コンデンサで充電されたエネルギーをパルス圧縮するパルス発生器と、
前記パルス発生器でパルス圧縮されたエネルギーを用いてレーザガスを放電励起すると共にレーザ光を出力するレーザチャンバと、
前記レーザ光のエネルギーを計測するエネルギーセンサと、を備え、
前記レーザチャンバを被診断モジュールとした故障診断の際に、前記充電電圧を変化させつつパルスレーザ発振を行い、パルス毎の充電電圧と前記エネルギーセンサで計測したパルス毎のエネルギーとから充電電圧とエネルギーとの相関関係を取得し、当該相関関係と故障判断の基準となる所定の相関関係とを比較することで、前記レーザチャンバにおける故障の有無を診断する診断手段を備えた
ことを特徴とする。
本発明は、パラメータdV/dE異常が発生した場合に、レーザ装置の電気系統、すなわちレーザチャンバ、PPM、充電器を被検査モジュールとして故障診断する。具体的には、充電電圧を変化させつつパルスレーザ発振してエネルギーを測定するdV/dE発振を行い、充電電圧とエネルギーとの線形の関係の関係を取得し、その線形の関係の傾きに相当するdV/dEと故障判断の基準となるdV/dEの範囲とを比較し、範囲内にあれば電気系統に故障は無いと判断し、範囲外にあれば電気系統に故障が有ると判断する。
第5発明は第1発明において、
前記レーザ装置は、
指令された充電電圧に応じてコンデンサを充電する充電器と、
前記コンデンサで充電されたエネルギーをパルス圧縮するパルス発生器と、
前記パルス発生器でパルス圧縮されたエネルギーを用いてレーザガスを放電励起すると共にレーザ光を出力するレーザチャンバと、
前記レーザ光のエネルギーを計測するエネルギーセンサと、を備え、
前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバを被診断モジュールとした故障診断の際に、前記充電電圧を一定にしつつパルスレーザ発振を行い、前記エネルギーセンサで計測したパルス毎のエネルギーのばらつきと故障判断の基準となる所定のばらつきとを比較することで、前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバを診断する診断手段を備えた
ことを特徴とする。
本発明は、エネルギー安定性異常が発生した場合に、レーザ装置の電気系統、すなわちレーザチャンバ、PPM、充電器を被検査モジュールとして故障診断する。具体的には、充電電圧を一定にしつつパルスレーザ発振を行い、パルス毎のエネルギーのばらつきを計測し、そのばらつきと故障判断の基準となるばらつきの範囲とを比較し、範囲内にあれば電気系統に故障は無いと判断し、範囲外にあれば電気系統に故障の可能性が有ると判断する。
第6発明は第1発明において、
前記レーザ装置は、
レーザ光を出力するレーザチャンバと、
前記レーザチャンバから出力される前記レーザ光を反射又は透過させる光学素子と、
前記光学素子に入射する前記レーザ光のエネルギーを計測する第1のエネルギーセンサと、
前記光学素子から出射する前記レーザ光のエネルギーを計測する第2のエネルギーセンサと、を備え、
前記光学素子を被診断モジュールとした故障診断の際に、パルスレーザ発振を行い、前記第1のエネルギーセンサで計測した前記レーザ光のエネルギーと前記第2のエネルギーセンサで計測した前記レーザ光のエネルギーとを比較することで、前記光学素子における故障の有無を診断する診断手段を備えた
ことを特徴とする。
本発明は、エネルギー低下異常が発生した場合に、レーザ装置のチャンバ以降の光学素子を被検査モジュールとして故障診断する。具体的には、通常のパルスレーザ発振を行い、被検査モジュールとなる光学素子に入射する前後のレーザ光のエネルギーを計測し、そのエネルギーの比をとることで光学素子の透過率を演算し、透過率が所定の範囲内にあれば光学素子に故障は無いと判断し、範囲外にあれば光学素子に故障が有ると判断する。
第7発明は第1発明において、
前記レーザ装置は、
指令された充電電圧に応じてコンデンサを充電する充電器と、
前記コンデンサで充電されたエネルギーをパルス圧縮するパルス発生器と、
前記パルス発生器でパルス圧縮されたエネルギーを用いてレーザガスを放電励起すると共にレーザ光を出力するレーザチャンバと、
前記レーザ光のエネルギーを計測するエネルギーセンサと、を備え、
前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバを被診断モジュールとした故障診断の際に、前記充電電圧を許容範囲内で上昇させるパルスレーザ発振を行い、前記エネルギーセンサで計測したエネルギーが故障判断の基準となる所望エネルギーに到達するかを判別することで、前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバにおける故障の有無を診断する診断手段を備えた
ことを特徴とする。
本発明は、エネルギー低下異常が発生した場合に、レーザ装置の電気系統、すなわちレーザチャンバ、PPM、充電器を被検査モジュールとして故障診断する。具体的には、充電電圧を許容範囲内で上昇させつつパルスレーザ発振を行い、パルス毎にレーザ光のエネルギーを計測し、充電電圧が上限に到達するまでに計測したエネルギーが故障判断の基準となる目標エネルギーに到達するかを判別し、到達すれば電気系統に故障は無いと判断し、到達しなければ電気系統に故障が有ると判断する。
本発明によれば、故障診断時に所定のレーザ発振を行うことでエラー状態を再現し、そのレーザ発振の動作結果を用いることによって被検査モジュールの故障の有無を判別するようにしているため、作業員が故障発生前のログデータを分析するなど作業員の能力に依存し且つ時間を要する作業が不要になる。したがってエラーが発生したレーザ装置を早急に復旧させることが可能になる。
またエラーが発生したときにレーザ装置側で故障診断が行われて故障モジュールがある程度特定されるため、作業員はレーザ装置の稼働現場に持ち込交換モジュールをある程度特定でき、余分な交換モジュールを搬送する作業が不要になる。したがってモジュール交換の労力及びコストを低減することが可能になる。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
最初にレーザ装置の一例として2ステージレーザシステムの基本的な構成及び動作を説明する。
[2ステージレーザ装置の構成]
図1は本実施形態に係るレーザシステムの構成図である。また、図2(a)は発振用チャンバ及びその近傍の構成図であり、図2(b)は増幅用チャンバ及びその近傍の構成図である。図1ではMOPO方式の2ステージレーザ装置を示している。
2ステージレーザ装置2においては、発振用レーザ(osc)100でシード光(種レーザ光)が生成され狭帯域化される。そして、増幅用レーザ(amp)300でそのシード光が増幅される。すなわち、発振用レーザ100から出力されるレーザ光のスペクトル特性によってレーザシステム全体のスペクトル特性が決定され、増幅用レーザ300によってレーザシステム自体のレーザ出力(エネルギーまたはパワー)が決定される。増幅用レーザ300から出力されるレーザ光は露光装置3に入力され、このレーザ光は露光対象(例えばウエハ)の露光に用いられる。
発振用レーザ100は発振用チャンバ10と、充電器11と、発振用高電圧パルス発生器12と、ガス供給・排気ユニット14と、冷却水供給ユニット15と、狭帯域化モジュール16(以下、LNM16という)と、フロントミラー17と、第1モニタモジュール19と、放電検出部20と、で構成される。
増幅用レーザ300は増幅用チャンバ30と、充電器31と、増幅用高電圧パルス発生器32と、ガス供給・排気ユニット34と、冷却水供給ユニット35と、リア側ミラー36と、出力ミラー37と、第2モニタモジュール39と、放電検出部40と、で構成される。
ここで発振用レーザ100と増幅用レーザ300について説明するが、その構成は同一する部分があるため、その部分に関しては発振用レーザ100を代表して説明する。
発振用チャンバ10の内部には、所定距離だけ離隔し、互いの長手方向が平行であって且つ放電面が対向する一対の電極(カソード電極及びアノード電極)10a、10bが設けられる。これらの電極10a、10bには、充電器11と発振用高電圧パルス発生器12と、で構成された電源によって高電圧パルスが印加される。すると、電極10a、10b間で放電が生じ、この放電によって発振用チャンバ10内に封入されたレーザガスが励起される。この電源の一例を図3に示す。
図3は電源及びチャンバ内部の回路構成の一例を示す図である。
図3(a)に示す発振用高電圧パルス発生器12は、可飽和リアクトルからなる3個の磁気スイッチSR1、SR2、SR3を用いた2段の磁気パルス圧縮回路を備える。磁気スイッチSR1は固体スイッチSWでのスイッチングロスを低減するために設けられたものであり、磁気アシストとも呼ばれる。例えば、この固体スイッチSWにはIGBT等の半導体スイッチング素子が用いられる。なお、図3(a)の回路を用いる代わりに、図3(b)の回路を用いてもよい。図3(b)は磁気パルス圧縮回路に加え昇圧トランスTr1を含む回路であり、図3(b)は昇圧トランスの代わりに主コンデンサC0の充電用のリアクトルL1を含む例である。
以下に図3(a)にしたがって、回路の構成と動作を説明する。なお、図3(b)の回路は昇圧トランスにより昇圧される動作が無いだけで、他の動作は図3(a)の回路と同様なので、説明を省略する。また、発振用レーザ100の電源と増幅用レーザ300の電源の構成及び動作は同じであるため、増幅用レーザ300の電源の説明を省略する。
充電器11の電圧は所定の値Vに調整され、主コンデンサC0が充電される。このとき、固体スイッチSWはオフになっている。主コンデンサC0の充電が完了し、固体スイッチSWがオンとなったとき、固体スイッチSWの両端にかかる電圧は主に磁気スイッチSR1の両端にかかる。磁気スイッチSR1の両端にかかる主コンデンサC0の充電電圧V0の時間積分値が磁気スイッチSR1の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR1が飽和して導通状態となる。すると、主コンデンサC0、磁気スイッチSR1、昇圧トランスTr1の1次側、固体スイッチSWのループに電流が流れる。同時に、昇圧トランスTr1の2次側、コンデンサC1のループに電流が流れ、主コンデンサC0に蓄えられた電荷がコンデンサC1に移行し、コンデンサC1が充電される。
コンデンサC1における電圧V1の時間積分値が磁気スイッチSR2の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR2が飽和して導通状態となる。すると、コンデンサC1、コンデンサC2、磁気スイッチSR3のループに電流が流れ、コンデンサC1に蓄えられた電荷がコンデンサC2に移行し、コンデンサC2が充電される。
コンデンサC2における電圧V2の時間積分値が磁気スイッチSR3の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR3が飽和して導通状態となる。すると、コンデンサC2、ピーキングコンデンサCp、磁気スイッチSR3のループに電流が流れ、コンデンサC2に蓄えられた電荷がピーキングコンデンサCpに移行し、ピーキングコンデンサCpが充電される。
図3(a)に示すように、発振用チャンバ10内には、第1電極91と、誘電体チューブ92と、第2電極93とからなる予備電離手段が設けられている。予備電離のためのコロナ放電は、第1電極91が挿入されている誘電体チューブ92と第2電極93とが接触している個所を基点として誘電体チューブ92の外周面に発生する。ピーキングコンデンサCpの充電が進むにつれてその電圧Vpが上昇し、電圧Vpが所定の電圧になると誘電体チューブ92の外周面にコロナ放電が発生する。このコロナ放電によって誘電体チューブ92の外周に紫外線が発生し、一対の電極10a、10b間のレーザガスが予備電離される。
ピーキングコンデンサCpの充電がさらに進むにつれて、ピーキングコンデンサCpの電圧Vpが上昇する。この電圧Vpがある値(ブレークダウン電圧)Vbに達すると、一対の電極10a、10b間のレーザガスが絶縁破壊されて主放電が開始される。この主放電によりレーザ媒質が励起される。そして、発振用レーザ100の場合はシード光が発生し、増幅用レーザ300(もしくは増幅器)の場合は注入されたシード光が増幅される。主放電によりピーキングコンデンサCpの電圧は急速に低下し、やがて充電開始前の状態に戻る。
固体スイッチSWのスイッチング動作によってこのような放電動作が繰り返し行なわれることで、パルスレーザ発振が行われる。固体スイッチSWのスイッチング動作は、外部からのトリガ信号に基づき行われる。このトリガ信号を送出する外部コントローラは、例えば、後述する同期コントローラ8である。
本実施形態では、磁気スイッチSR2、SR3及びコンデンサC1、C2で2段の容量移行型回路が構成されている。容量移行型回路では、後段に行くにつれて各段のインダクタンスを小さくするように設定すれば、各段を流れる電流パルスのパルス幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が実現される。結果として、一対の電極10a、10b間、一対の電極30a、30b間に短パルスの強い放電が実現される。
ここで図1に戻り、他の構成の説明をする。
発振用チャンバ10の内部には、ガス供給・排気ユニット14から供給されるレーザガスが封入される。ガス供給・排気ユニット14には、発振用チャンバ10内にレーザガスを供給するガス供給系と、発振用チャンバ10内のレーザガスを排気するガス排気系とが設けられる。本レーザ装置がフッ素分子(F2)レーザとして使用される場合は、ガス供給・排気ユニット14は、フッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとを発振用チャンバ10に供給する。また、本レーザ装置がKrFエキシマレーザとして使用される場合は、ガス供給・排気ユニット14は、クリプトン(Kr)ガス及びフッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとを発振用チャンバ10に供給する。また、本レーザ装置がArFエキシマレーザとして使用される場合は、ガス供給・排気ユニット14は、アルゴン(Ar)ガス及びフッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとを発振用チャンバ10に供給する。各ガスの供給及び排気はガス供給・排気ユニット14の各バルブの開閉で制御される。
また、発振用チャンバ10の内部には、クロスフローファン10cが設けられる。クロスフローファン10cによってレーザガスがチャンバ内で循環され、電極10a、10b間に送り込まれる。
また、発振用チャンバ10の内部には、熱交換器10dが設けられる。熱交換器10dは冷却水によって発振用チャンバ10内の排熱を行う。冷却水は冷却水供給ユニット15から供給される。冷却水の供給は冷却水供給ユニット15のバルブの開閉で制御される。
発振用チャンバ10において、レーザ光の光軸上であってレーザ光出力部分には、ウィンドウ10e、10fが設けられる。ウィンドウ10e、10fはレーザ光に対して透過性がある材料、例えばCaF2等、で形成される。両ウィンドウ10e、10fは、外側の面が互いに平行に配置され、また、レーザ光に対して反射損失を低減すべくブリュースタ角で設置され、更にレーザ光の直線偏光方向がウィンドウ面に対して垂直になるように設置される。
圧力センサPlは、発振用チャンバ10内のガス圧力をモニタしており、ガス圧力を示す信号をユーティリティコントローラ5に出力する。ユーティリティコントローラ5は後述する処理に基づいて、ガス供給・排気ユニット14に各バルブの開閉及びその開度(又はガス流量)を指示する信号を生成し出力する。すると、ガス供給・排気ユニット14が各バルブの開閉を制御するため、発振用チャンバ10内のガス組成やガス圧力が制御される。
レーザ出力はガス温度によって変化する。そこで、温度センサTlは、発振用チャンバ10内の温度をモニタしており、温度を示す信号をユーティリティコントローラ5に出力する。ユーティリティコントローラ5は発振用チャンバ10内の所望温度にすべく、冷却水供給ユニット15にバルブの開閉及びその開度(又は冷却水流量)を指示する信号を生成し出力する。すると、冷却水供給ユニット15がバルブの開閉を制御するため、発振用チャンバ10内の熱交換器10dに供給される冷却水の流量すなわち排熱量が制御される。
発振用チャンバ10の外部であり、ウィンドウ10e側のレーザ光の光軸上にはLNM16が設けられ、ウィンドウ10f側のレーザ光の光軸上にはフロントミラー17が設けられる。LNM16は、例えば拡大プリズムと波長選択素子であるグレーティング(回折格子)等の光学素子で構成される。また、LNM16は波長選択素子であるエタロンと全反射ミラー等の光学素子で構成される場合もある。このLNM16内の光学素子とフロントミラー17とでレーザ共振器が構成される。
発振用チャンバ10の外部であり、ウィンドウ10e側にはリアミラー18が設けられる。リアミラー18はLNM16と発振用チャンバ10の間のレーザ光の光軸上と光軸外との間を移動自在であり、通常は光軸外に配置されるが、LNM16の故障診断の際にのみ光軸上に配置される。
第1モニタモジュール19はフロントミラー17を透過したレーザ光のエネルギーや出力線幅や中心波長等のレーザビーム特性をモニタする。つまり第1モニタモジュール19はエネルギーセンサや波長センサやスペクトルセンサの機能を有する。第1モニタモジュール19はレーザ光の中心波長を示す信号を生成し、この信号を波長コントローラ6に出力する。また、第1モニタモジュール19はレーザ光のエネルギーを測定し、このエネルギーを示す信号をエネルギーコントローラ7に出力する。
なお、増幅用チャンバ30の電極30a、30b、クロスフローファン30c、熱交換器30d、ウィンドウ30e、30fの構成及び機能は、上述した発振用チャンバ10の各部の構成及び機能と同じである。また、増幅用レーザ300に設けられた充電器31、増幅用高電圧パルス発生器32、ガス供給・排気ユニット34、冷却水供給ユニット35、第2モニタモジュール39、圧力センサP2、温度センサT2の構成及び機能は、上述した発振用レーザ100側に設けられた同一要素の構成及び機能と同じである。
一方、増幅用レーザ300には、発振用レーザ100で設けられたLNM等からなる共振器に代わり、次に述べる不安定共振器が設けられる。
増幅用チャンバ30の外部であり、ウィンドウ30e側のレーザ光の光軸上にはリア側ミラー36が設けられ、ウィンドウ30f側のレーザ光の光軸上には出力ミラー37が設けられる。リア側ミラー36と出力ミラー37とで不安定型共振器が構成される。リア側ミラー36の反射面は凹面であって、その中央部にはミラー後方側から反射面側へレーザ光を通過させる孔が設けられる。リア側ミラー36の反射面はHR(High Reflection)コートが施される。出力ミラー37の反射面は凸面であって、その中央部にはHR(High Reflection)コートが施され、中央部周囲にはAR(Anti Reflection)コートが施される。なお、リア側ミラー36としては、中央に孔が開いたものを使用するのではなく、孔に相当する部分のみARコートが施されたミラー基板を使用してもよい。また、不安定共振器でなく安定共振器でもよい。
出力ミラー37のフロント側のレーザ光の光軸上にはビームエキスパンダ(Beam Expander:BEX)43が設けられる。ビームエキスパンダ43は、プリズムやレンズなどビーム拡大系の光学素子を有しており、出力ミラー37から出力されるレーザ光を所望サイズに拡大して、例えばビーム幅を拡大して出力する。またビームエキスパンダ43はビームスプリッタを有しており、このビームスプリッタはレーザ光の一部を透過すると共に一部を反射する。ビームスプリッタで反射されたレーザ光はエネルギーセンサ44に入射する。エネルギーセンサ44はレーザ光のエネルギーを測定し、このエネルギーを示す信号をエネルギーコントローラ7に出力する。
ビームエキスパンダ43のフロント側のレーザ光の光軸上にはビーム出射位置調整機構(Amplifier Beam Steering:ABS)45が設けられる。ビーム出射位置調整機構45は、1以上の反射ミラーを有し、各反射ミラーは所望の位置にビームが出力されるように配置されている。
ビーム出射位置調整機構45のフロント側のレーザ光の光軸上にはレーザパルス長大機構(Optical Pulse Stretcher:OPS)46が設けられる。レーザパルス長大機構46は、レーザ光のパルス長を大きくする光学素子を有しており、ビーム出射位置調整機構25から出力されたレーザ光のパルス長を大きくしてモニタモジュール27に出力する。
発振用レーザ100のフロントミラー17と増幅用レーザ300のリア側ミラー36との間には、反射ミラーを含むビーム伝搬部42が設けられる。
フロントミラー17を透過したレーザ光はビーム伝搬部42によってリア側ミラー36まで案内される。更にこのレーザ光はリア側ミラー36の孔を通過し、増幅用チャンバ30内を通過し、出力ミラー37の中央部で反射される。出力ミラー37で反射されたレーザ光は、増幅用チャンバ30内を通過し、リア側ミラー36の孔周囲で反射される。更に、リア側ミラー36で反射されたレーザ光は、増幅用チャンバ30内を通過し、出力ミラー37の中央部周囲を透過し出力される。レーザ光が増幅用チャンバ30の放電部すなわち電極30a、30b間を通過する際に放電が発生すると、レーザ光のパワーは増幅される。
波長コントローラ6にはモニタモジュール19、39からの信号が入力される。波長コントローラ6はレーザ光の中心波長を所望の波長にすべくLNM16内の波長選択素子(グレーティング、エタロン等)の選択波長を変化させる信号を生成し、この信号をドライバ21に出力する。波長選択素子の選択波長は、例えば、波長選択素子へ入射するレーザ光の入射角を変化させることにより変化する。ドライバ21は、受信した前記信号に基づき、波長選択素子へ入射するレーザ光の入射角が変化するように、LNM16内の光学素子(例えば、拡大プリズム、全反射ミラー、グレーティング等)の姿勢角等を制御する。なお、波長選択素子の波長選択制御はこれに限られるものではない。例えば、波長選択素子がエアギャップエタロンの場合、LNM16内のエアギャップ内の気圧(窒素等)を制御してもよいし、ギャップ間隔を制御してもよい。
エネルギーコントローラ7にはモニタモジュール19、39の出力信号が入力される。また、図1に示すように、露光装置3に出力モニタ51を設け、その出力信号がエネルギーコントローラ7に直接入力されるようにしてもよい。また、露光装置3の出力モニタ51の出力信号を露光装置3のコントローラ52に入力し、このコントローラ52がレーザ内部に搭載されたエネルギーコントローラ7に信号を送出するようにしてもよい。エネルギーコントローラ7はパラメータdV/dEに基づいて、パルスエネルギーを所望の値にすべく次回充電電圧Vosc、Vampを示す信号を生成し、この信号を同期コントローラ8に出力する。充電電圧Voscとは発振用高電圧パルス発生器12に備えられる主コンデンサC0の充電電圧のことをいい、充電電圧Vampとは増幅用高電圧パルス発生器32に備えられる主コンデンサC0の充電電圧のことをいう。
図6はエネルギーEと充電電圧Vとの関係示す。極小の充電電圧範囲において、エネルギーEと充電電圧Vの関係は線形とみなせ、その傾きはdV/dEで表される。エネルギーコントローラ7は発振用レーザ100のdV/dEと増幅用レーザ300のdV/dEをパラメータとして保持しており、上述したように、このパラメータdV/dEに基づいて、パルスエネルギーを所望の値にすべく次回充電電圧Vosc、Vampを示す信号を生成する。具体的には、個々のレーザに要求される次回エネルギーEの増減量に対応する充電電圧Vosc、Vampの変動量を個々のパラメータdV/dEを用いて求め、前回充電電圧Vosc、Vampから求めた変動量を加減し、次回充電電圧Vosc、Vampとする。
同期コントローラ8にはエネルギーコントローラ7からの信号と、放電検出器20、40から出力される各チャンバ10、30における放電開始を知らせる信号とが入力される。同期コントローラ8はエネルギーコントローラ7からの信号に基づいて、充電器11、31の充電電圧を制御する。ところで、発振用チャンバ10の放電と増幅用チャンバ30の放電のタイミングがずれると、発振用チャンバ10から出力されたレーザ光は増幅用チャンバ30で効率よく増幅されない。そこで、発振用チャンバ10から出力されたレーザ光(シード光)が増幅用チャンバ30内の一対の電極30a、30b間の放電領域(励起領域)に満たされたタイミングで増幅用チャンバ30において放電する必要がある。
図7は発振用レーザの放電タイミングに対して増幅用レーザの放電タイミングが遅延する時間dtとエネルギーEとの関係を示す。同図7において、遅延する時間(以下、遅延時間差)dtが最適遅延時間dt1のときに最も高いエネルギーEmaxが得られているが、これはシード光のうち最も強度が高い部分が発振用チャンバ10から出力されてから最適遅延時間dt1後に増幅用チャンバ30を通過していることを示している。この図7からは、発振用レーザ100と増幅用レーザ300の放電タイミングが早くても(dt<dt1)遅くても(dt>dt1)、得られるエネルギーEがエネルギーEmaxよりも減少することが判り、また遅延時間差dtとエネルギーEは密接な関係にあることが判る。同期コントローラ8が正常に機能していれば、遅延時間差dtは指定範囲内に収まる。
ユーティリティコントローラ5と波長コントローラ6とエネルギーコントローラ7はメインコントローラ4に接続される。更に露光装置3(例えば、コントローラ52)はメインコントローラ4に接続される。メインコントローラ4は露光装置3からの指令信号に基づき、各コントローラ5〜7に制御分担を振り分ける。その指令に従い各コントローラ5〜7は処理を行う。
またメインコントローラ40は、エネルギーセンサ28、31の測定結果及びモニタモジュール27のモニタ結果を受信する。故障診断コントローラ50はレーザ装置に発生したエラーの種類を判別し、図示しない操作パネルに備えられた表示部にエラーコードを表示させる。またエラーを誘発した異常状態を判別し、その異常状態に応じた故障診断を行うべくレーザ装置を制御し、図9〜図13で示す各故障診断処理を行う。
ここまで説明した各構成要素は個々にモジュール化されており、故障時にはモジュール毎交換される。
以上、MOPO方式のレーザ装置の構成について説明したが、MOPA方式のレーザ装置の場合は、増幅用チャンバ30にリア側ミラー36と出力ミラー37を設けない構成になる。なお、MOPA方式では、光が増幅用チャンバ30内を通過する回数は1回であるが、これに限るものではない。例えば、折り返しミラーを設けて、増幅用チャンバを複数回通過させてもよい。このように構成することにより、より高い出力のレーザ光を取り出すことが可能となる。
[発振用レーザと増幅用レーザの放電タイミング]
ここで発振用レーザ100と増幅用レーザ300の放電タイミングについて更なる説明をする。
先に述べたように、発振用チャンバ10内の電極10a、10b間、及び増幅用チャンバ30内の電極30a、30b間に立上り時間の速い高電圧パルスを印加するために、それぞれ磁気パルス圧縮回路を有する発振用高電圧パルス発生器12と、増幅用高電圧パルス発生器32が用いられる。一般的に、各高電圧パルス発生器12、32の磁気パルス圧縮回路で用いられる磁気スイッチSR2、SR3は可飽和リアクトルである。主コンデンサC0からエネルギー(電圧パルス)が転送される場合、この磁気スイッチSR2、SR3にかかる電圧(V:すなわち主コンデンサC0の充電電圧)と磁気スイッチSR2、SR3によってパルス圧縮されて転送される電圧パルスの転送時間(t)との積(Vt積)の値は一定という関係がある。例えば、主コンデンサC0の充電電圧が高くなると、電圧パルスの転送時間(すなわち、磁気スイッチがオン状態である時間)が短くなる。
図4、図5は、高電圧パルス発生器の固体スイッチSWがオン状態になってから電極間に放電が発生するまでの時間と主コンデンサC0の充電電圧との関係を示す図である。
図4は、発振用レーザ100及び増幅用レーザ300における充電電圧設定範囲が同一である例を示すものである。ここには、発振用高電圧パルス発生器12に設けられた主コンデンサC0の充電電圧設定範囲、すなわち充電器11の電圧設定範囲がVc1〜Vc2(Vc1<Vc2)である場合の特性カーブAと、増幅用高電圧パルス発生器32に設けられた主コンデンサC0の充電電圧設定範囲、すなわち充電器31の電圧設定範囲がVc1〜Vc2(Vc1<Vc2)である場合の特性カーブBと、が示されている。
二つの特性カーブA、Bのずれは、各高電圧パルス発生器12、32がそれぞれ有する磁気パルス圧縮回路の設計の違い(回路定数の違い)、あるいは同じ設計でも磁気パルス発生回路を構成する回路素子の個体差によって発生するものである。
図4から明らかなように、発振用レーザ100における充電電圧がVc2であり、増幅用レーザ300における充電電圧がVc1である場合は、各固体スイッチSWがオン状態になってから各電極間で放電発生するまでの時間のずれが最大値T1となる。
また、発振用レーザ100における充電電圧、増幅用レーザ300における充電電圧が共に電圧Vc1である場合は、各固体スイッチSWがオン状態になってから各電極間で放電発生するまでの時間のずれがT2となり、共に電圧Vc2である場合は、ずれがT3となる(図4の例では、T2>T3)。
一方、図5は、発振用レーザ100及び増幅用レーザ300における充電電圧設定範囲が相違する例を示すものである。ここには、発振用高電圧パルス発生器12に設けられた主コンデンサC0の充電電圧設定範囲、すなわち充電器11の電圧設定範囲がVco1〜Vco2(Vco1<Vco2)である場合の特性カーブCと、増幅用高電圧パルス発生器32に設けられた主コンデンサC0の充電電圧設定範囲、すなわち充電器31の電圧設定範囲がVca1〜Vca2(Vca1<Vca2)である場合の特性カーブDと、が示されている。
図5から明らかなように、発振用レーザ100における充電電圧がVco2であり、増幅用レーザ300における充電電圧がVca1である場合は、各固体スイッチSWがオン状態になってから各電極間で放電発生するまでの時間のずれが最大値T1となる。
また、発振用レーザ100における充電電圧がVco1、増幅用レーザ300における充電電圧がVca1である場合は、各固体スイッチSWがオン状態になってから各電極間で放電発生するまでの時間のずれがT2となり、発振用レーザ100における充電電圧がVco2、増幅用レーザ300における充電電圧がVca2である場合は、ずれがT3となる(図5の例では、T2>T3)。
このように、発振用高電圧パルス発生器12の固体スイッチSWがオン状態となるタイミングと増幅用高電圧パルス発生器32の固体スイッチSWがオン状態となるタイミングがそれぞれ一定であったとしても、発振用レーザ100における充電電圧Vosc、増幅用レーザ300における充電電圧Vampの値に応じて、各々のレーザで放電が発生するタイミングは変動する。
このため、同期コントローラ8はエネルギーコントローラ7からの信号(充電電圧Vosc、Vamp)と放電検出器20、40からの信号に基づいて、発振用高電圧パルス発生器12の固体スイッチSWへのトリガ信号に対する増幅用高電圧パルス発生器32の固体スイッチSWへのトリガ信号の遅延時間を決定する。
すなわち、同期コントローラ8は、エネルギーコントローラ7から受け取った次回放電のための充電電圧信号(電圧Vosc、Vamp)から、上述した電圧と転送時間とのVt積特性を考慮して遅延時間を決定する。
また、同期コントローラ8は、実際の放電タイミングの測定結果である放電検出器20、40からの信号に基づいて、前記遅延時間をフィードバック補正する。
各々のレーザで放電が発生するタイミングは、各チャンバ内に充填されたレーザガスの圧力によっても変化する。一般的には、電極間で放電が発生するときにレーザガスの圧力が高いと電極に印加される電圧は高くなる。よって、レーザガスの圧力が高くなると、同期コントローラ8からのトリガ信号によって、各高電圧パルス発生器12、32の固体スイッチSWがオン状態になってから、電極10a、10b間、電極30a、30b間に放電が発生するまでの時間も長くなる。上述したフィードバック補正では、こういったVt積特性以外の要因での放電タイミングのずれを補正する。
そして、同期コントローラ8は、発振用高電圧パルス発生器12の固体スイッチSWにトリガ信号を出力した後、決定した遅延時間が経過した時点で、増幅用高電圧パルス発生器32の固体スイッチSWにトリガ信号を出力する。
当然ながら、各高電圧パルス発生器12、32のそれぞれに設けられた主コンデンサC0の充電電圧(すなわち、充電器11、31の設定電圧)の値によっては、遅延時間が負の値を取る場合がある。すなわち、同期コントローラ8は、先に増幅用高電圧パルス発生器32の固体スイッチSWにトリガ信号を出力した後、決定した遅延時間が経過した時点で、発振用高電圧パルス発生器12の固体スイッチSWにトリガ信号を出力する場合もある。
また、本制御形態では、同期コントローラ8は、放電検出器20、40により検出される発振用チャンバ10、増幅用チャンバ30における放電の発生タイミングを、遅延時間を定めるための情報としているが、これに限るものではない。
例えば、第1モニタモジュール19で検出した発振用レーザ100のレーザ光が出力されるタイミングと、第2モニタモジュール39で検出した増幅用レーザ300のレーザ光が出力されるタイミングとを用いてもよい。
また、第1モニタモジュール19で検出した発振用レーザ100のレーザ光が出力されるタイミングと放電検出器40により検出した増幅用チャンバ30における放電の発生タイミングとを用いてもよい。
[故障診断の処理]
次にレーザ装置の故障診断システムについて具体的な処理の一形態を説明する。
本実施形態は、故障診断の際にレーザ発振を行い、そのレーザ発振の動作結果を用いることでレーザ装置の被診断モジュールを診断するものであり、各故障診断をメインコントローラ4が管理し、各モジュールの動作を制御することにしているが、他のコントローラが管理するようにすることも可能である。
レーザ装置の出力エラーには、例えばエネルギー関連エラーや波長関連エラーやスペクトル関連エラーなどがある。本実施形態ではそれらを代表してエネルギー関連エラーについて説明する。
エネルギー関連エラーは様々な異常が原因となって発生する。例えば、発振用レーザ100と増幅用レーザ300の同期異常や、パラメータdV/dEの異常や、エネルギー安定性の異常や、エネルギー低下異常などが原因となって発生する。
図8はエネルギー関連エラーが発生した場合に行われる異常判断手順を示す。
先ず同期異常に関するエラーが発生しているかが判断され(ステップ11)、発生している場合は図9に示す同期制御診断処理が行われる(ステップ15)。次にパラメータdV/dE異常に関するエラーが発生しているかが判断され(ステップ12)、発生している場合は図10に示すエネルギー制御診断処理が行われる(ステップ16)。次にエネルギー安定性異常に関するエラーが発生しているかが判断され(ステップ13)、発生している場合は図11に示すエネルギー安定性診断処理が行われる(ステップ17)。次にエネルギー低下異常に関するエラー、すなわちエネルギーが目標エネルギーに達していないにもかかわらず、増幅用レーザ300の充電電圧Vampが許容範囲の上限電圧Vmaxに張り付いているかが判断され(ステップ14)、上限電圧Vmaxに張り付いている場合は図12に示すエネルギー出力診断処理が行われ(ステップ18)、上限電圧Vmaxに張り付いていない場合は図11に示すエネルギー安定性診断処理が行われる(ステップ19)。
本実施形態では図8に示すステップ15〜19の診断処理により何れのモジュールが故障しているかを判別するようにしているが、何れの診断処理により故障したモジュールを発見したとしても、以降のエラー判断を行うようにしている。つまりステップ11〜14のエラー判断を全て行うようにしている。
本実施形態とは別の実施形態として、故障したモジュールを発見した時点で以降のエラー判断を行わずに処理を終了するようにしてもよいが、そうした場合は最適な順序でエラー判断を行う必要がある。例えば図8に示すステップ11〜14のエラー判断を行う場合は、同図8に示す順序で行うことが望ましい。仮にステップ14のエネルギー低下異常の判断とステップ11の同期異常の判断又はステップ12のパラメータdV/dE異常の判断を入れ替えた場合を考える。同期異常やパラメータdV/dE異常が発生することによってもエネルギー低下異常すなわち充電電圧Vが上限電圧Vmaxに張り付く現象が発生する。このため先にエネルギー低下異常の故障診断が行われてそこで処理が終了したとすると、実際は同期やパラメータdV/dEに異常があったとしてもその診断は行われないことになり、故障診断の精度が低下する。精度の低下を防止するためにも最適な順序でエラー判断を行う必要がある。
図9は同期制御診断処理の手順を示す図である。
図7を用いて説明した遅延時間差dtが指定範囲内にあること、すなわち最適遅延時間差dt1±αにあることを“同期”といい、指定範囲外にあることを“同期外れ”という。この同期外れの状態にあることをもって同期異常のエラーという。同期外れは同期コントローラ8の故障によって発生する。ここでは同期外れを引き起こす同期コントローラ8が被故障診断モジュールとして故障診断される。
先ず後述する同期調整発振が行われる(ステップ21)。同期調整発振の結果、同期外れの状態から復帰したか否かが判断される(ステップ22)。復帰した場合(dt1−α≦dt≦dt1+α)には、同期コントローラ8は故障していないと判断され(ステップ23)、図8の処理に戻る。一方、復帰せず未だ同期外れ状態にある場合(dt<dt1−α、dt1+α<dt)には、同期コントローラ8が故障していると判断され(ステップ24)、図8の処理に戻る。同期コントローラ8が故障していると判断された場合は、レーザ装置に設けられた操作パネルの表示部に同期コントローラ8が故障している旨が示される。
図9のステップ21に示される同期調整発振では次のような処理が行われる。
同期コントローラ8は、外部から送信されるマスタートリガを受信した後に発振用高電圧パルス発生器12の固体スイッチSWに対して発振側放電トリガを送信し、同様にマスタートリガを受信した後に増幅用高電圧パルス発生器32の固体スイッチSWに対して増幅側放電トリガを送信する。同期コントローラ8の内部にはこれら発振側放電トリガ及び増幅側放電トリガの送信タイミングを調節するために遅延回路が設けられている。この遅延回路は発振用レーザ100で放電してから図7で示す遅延時間差dt1後に増幅用レーザ300で放電するように、発振側放電トリガ及び増幅側放電トリガの送信タイミングを調節する。遅延回路が正常に機能している場合は、遅延時間差dtは所定の範囲内に収まるが、正常に機能していない場合は、遅延時間差dtは所定の範囲内に収まらない。同期調整発振によって同期コントローラ8の遅延回路に故障があるか否かが判る。
同期調整発振では、発振用レーザ100の充電電圧Voscと増幅用レーザ300の充電電圧Vampを所定範囲内で変化させつつパルスレーザ発振が行われる。そして同期コントローラ8でマスタートリガが受信されてから発振用チャンバ10で実際に放電が発生する時期までの時間と、同期コントローラ8でマスタートリガが受信されてから増幅用チャンバ30で実際に放電が発生する時期までの時間と、が各パルス毎に放電検出器20、40によって計測され、両計測値の減算から遅延時間差dtが計算される。同期コントローラ8の遅延回路に異常がなければ遅延時間差dtは故障判断の基準となる所定の時間差範囲内に収まり(dt1−α≦dt≦dt1+α)、同期外れの状態から復帰する。同期コントローラ8の遅延回路に異常があると遅延時間差dtは先の時間差範囲内に収まらず(dt<dt1−α、dt1+α<dt)、同期外れの状態のままである。
図10はエネルギー制御診断処理の手順を示す図である。
図6で示すように、一般にエネルギーEと充電電圧Vとの間に線形の相関関係がある。しかし各レーザ100、300のチャンバ10、30に異常があると、充電電圧Vと実際に出力されるエネルギーEとの間は初期の相関関係から外れる。ここではパラメータdV/dEの異常を引き起こす発振用チャンバ10及び増幅用チャンバ30が被故障診断モジュールとして故障診断される。
先ず発振用レーザ100のみで後述する発振側dV/dE発振が行われる(ステップ31)。発振側dV/dE発振の結果、取得したパラメータdV/dEが故障判断の基準となる所定の範囲内にあるか否かが判断される(ステップ32)。所定の範囲内にある場合(dV/dEmin≦dV/dE≦dV/dEmax)には、発振用チャンバ10は故障していないと判断される(ステップ33)。一方、所定の範囲外にある場合(dV/dE<dV/dEmin、dV/dEmax<dV/dE)には、発振用チャンバ10が故障していると判断される(ステップ34)。
次に発振用レーザ100及び増幅用レーザ300を同期させた状態で後述する増幅側dV/dE発振が行われる(ステップ35)。増幅側dV/dE発振の結果、取得したパラメータdV/dEが故障判断の基準となる所定の範囲内にあるか否かが判断される(ステップ36)。所定の範囲内にある場合(dV/dEmin≦dV/dE≦dV/dEmax)には、増幅用チャンバ30は故障していないと判断され(ステップ37)、図8の処理に戻る。一方、所定の範囲外にある場合(dV/dE<dV/dEmin、dV/dEmax<dV/dE)には、増幅用チャンバ30が故障していると判断され(ステップ38)、図8の処理に戻る。発振用チャンバ10、増幅用チャンバ30が故障していると判断された場合は、レーザ装置に設けられた操作パネルの表示部に発振用チャンバ10、増幅用チャンバ30が故障している旨が示される。
図10のステップ31に示される発振側dV/dE発振では次のような処理が行われる。
発振側dV/dE発振では、発振用レーザ100の充電電圧Voscが所定範囲内で変化され、各充電電圧Voscでパルスレーザ発振が行われる。発振用レーザ100から出力されるレーザ光のエネルギーEoscはパルス毎に第1モニタモジュール19によって計測される。そして充電電圧Voscと出力されたレーザ光のエネルギーEoscとを対応付けることによって、図6に示すような充電電圧VoscとエネルギーEoscとの相関関係が得られ、パラメータdV/dEが求められる。
図10のステップ35に示される増幅側dV/dE発振では次のような処理が行われる。
増幅側dV/dE発振では、発振用レーザ100から出力されるシード光のエネルギーEoscが一定にされると共に、増幅用レーザ300の充電電圧Vampが所定範囲内で変化され、各充電電圧Vampでパルスレーザ発振が行われる。増幅用レーザ300から出力されるレーザ光のエネルギーEampはパルス毎に第2モニタモジュール39によって計測される。そして充電電圧Vampと出力されたレーザ光のエネルギーEampとを対応付けることによって、図6に示すような充電電圧VampとエネルギーEampとの相関関係が得られ、パラメータdV/dEが求められる。発振用レーザ100から出力されるシード光のエネルギーEoscを複数種類に変化させて、各エネルギーEosc毎にパラメータdV/dEが求められるようにしてもよい。
図11はエネルギー安定性診断処理の手順を示す図である。
各パルスのエネルギーEのばらつきは標準偏差σで表される。通常は充電電圧Vを一定にしてパルスレーザ発振を行うと、ばらつきσは所定範囲内に収まる。しかし発振用レーザ100の電気系統、すなわち発振用チャンバ10、発振用高電圧パルス発生器12、充電器11に異常があると、ばらつきσが大きくなり所定範囲内に収まらなくなる。同様に、増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31に異常があると、ばらつきσが大きくなり所定範囲内に収まらなくなる。ここではエネルギー安定性の異常を引き起こす各レーザの電気系統が被故障診断モジュールとして故障診断される。
先ず発振用レーザ100のみで発振側N/R単体P/L発振が行われる(ステップ41)。N/Rとは狭帯域発振(ナローラン)を意味し、P/Lとはエネルギー一定制御(パワーロック)を意味する。発振側N/R単体P/L発振では、発振用レーザ100の充電電圧Voscが徐々に上昇され、各充電電圧Voscでパルスレーザ発振が行われる。発振用レーザ100から出力されるレーザ光のエネルギーEoscはパルス毎に第1モニタモジュール19によって計測される。そして目標エネルギーEtが得られるような目標充電電圧Vtが求められる。
目標充電電圧Vtが求められると、次に発振側N/R単体CHV発振が行われる(ステップ42)。CHVとは電圧一定制御を意味する。発振側N/R単体CHV発振では、充電電圧Voscがステップ41で求めた目標充電電圧Vtに維持された状態でパルスレーザ発振が行われる。発振用レーザ100から出力されるレーザ光のエネルギーEoscはパルス毎に第1モニタモジュール19によって計測される。そして各エネルギーEoscのばらつきσが求められる。
発振側N/R単体CHV発振の結果、取得したばらつきσが故障判断の基準となる所定の範囲内にあるか否かが判断される(ステップ43)。所定の範囲内にある場合(σ≦σt)には、発振用レーザ100の電気系統、すなわち発振用チャンバ10、発振用高電圧パルス発生器12、充電器11は故障していないと判断される(ステップ44)。一方、所定の範囲外にある場合(σt<σ)には、発振用レーザ100の電気系統、すなわち発振用チャンバ10、発振用高電圧パルス発生器12、充電器11のうちの少なくとも一つが故障している可能性があると判断される(ステップ45)。
増幅用レーザ300で行われるステップ46〜ステップ50の処理は発振用レーザ100で行われるステップ41〜ステップ45の処理を増幅用レーザに置き換えたのみで内容自体は実質的に同じであるため、ここではその説明を省略する。
ステップ50が終了した時点では発振用レーザ100や増幅用レーザ300の電気系統に故障がある可能性があることは判るが、実際に故障しているか否かまでは判らない。そこで本実施形態では作業者は後述する“DEEP MODE”という詳細診断を行うか否かを選択できるようになっている(ステップ51)。
“DEEP MODE”が選択されない場合は、レーザ装置に設けられた操作パネルの表示部に発振用レーザ100の電気系統、すなわち発振用チャンバ10、発振用高電圧パルス発生器12、充電器11のうちの少なくとも一つ又は増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31のうちの少なくとも一つに故障がある可能性がある旨が示される。“DEEP MODE”が選択された場合は“DEEP MODE”の処理が行われ(ステップ52)、その結果が表示される。
図13は“DEEP MODE”の手順を示す図である。
チャンバ内のレーザガスが劣化するとエネルギーが不安定になりまたエネルギーが低下する。ここではガス交換の後に発振用レーザ100及び増幅用レーザ300の電気系統の故障診断が行われる。
先ず増幅用チャンバ30のガス交換が行われ、増幅用チャンバ30には新しいレーザガスが最大ガス圧で封入される(ステップ101)。ガス交換後、増幅用レーザ300のみで増幅側単体CHV発振が行われる(ステップ102)。前述したようにCHVとは電圧一定制御を意味する。増幅側単体CHV発振では、充電電圧Vampが設定値に維持された状態でパルスレーザ発振が行われる。最初の増幅側単体CHV発振では充電電圧Vampに許容範囲の最低充電電圧Vminが設定される。増幅用レーザ300から出力されるレーザ光のエネルギーEampはパルス毎に第2モニタモジュール39によって計測される。所望回数のパルスレーザ発振の後に、第2モニタモジュール39で計測されたエネルギーEampが目標エネルギーEtに達しているか否かが判断される(ステップ103)。
ステップ103の段階でエネルギーEampが目標エネルギーEtに達していないか又はそもそも第2モニタモジュール39でエネルギーEamp自体が検出されていない場合は、さらに充電電圧Vampが許容範囲の上限電圧Vmaxに到達しているか否かが判断される(ステップ106)。ステップ106の段階で上限電圧Vmaxに到達していない場合には、充電電圧Vampに一定の電圧増加分が加算された充電電圧Vamp+α(ここではα=500V)が設定され(ステップ107)、再び増幅側単体CHV発振が行われる(ステップ102)。一方、ステップ106の段階で上限電圧Vmaxに到達している場合には、新しいレーザガスであり且つ上限電圧Vmaxであるにも関わらず目標エネルギーEtが得られない状況にある。この場合は増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31のうちの少なくとも一つに故障があると判断される(ステップ108)。
ステップ103の段階でエネルギーEampが目標エネルギーEtに達している場合は、さらにエネルギーEampのばらつきσが故障判断の基準となる所定の範囲内にあるか否かが判断される(ステップ104)。所定の範囲内にある場合(σ≦σt)には増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31に故障がないと判断される(ステップ105)。一方、所定の範囲外にある場合(σt<σ)には増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31に故障があると判断される(ステップ108)。
発振用レーザ100で行われるステップ109〜ステップ115の処理は増幅用レーザ300で行われるステップ101〜ステップ108の処理を発振用レーザに置き換えたのみで内容自体は実質的に同じであるため、ここではその説明を省略する。
発振用レーザ100の電気系統又は増幅用レーザ300の電気系統が故障していると判断された場合は、レーザ装置に設けられた操作パネルの表示部に発振用レーザ100の電気系統又は増幅用レーザ300の電気系統が故障している旨が示される。
図12はエネルギー出力診断処理の手順を示す図である。
ここではエネルギー低下の異常を引き起こす各レーザの電気系統及び光学素子が被故障診断モジュールとして故障診断される。
先ずI/L・P/L発振が行われる(ステップ61)。I/Lとは注入同期(インジェクションロック)を意味し、発振用レーザ100と増幅用レーザ300の同期発振のことをいう。P/Lとは前述したようにエネルギー一定制御(パワーロック)を意味する。I/L・P/L発振では、エネルギーが一定になるように発振用レーザ100及び増幅用レーザ300の充電電圧Vosc、Vampが制御され、パルスレーザ発振が行われる。増幅用レーザ300から出力されるレーザ光のエネルギーEampはパルス毎に第2モニタモジュール39及びエネルギーセンサ44によって計測される。レーザ発振後、第2モニタモジュール39でエネルギーEamp自体が検出されているか否かが判断される(ステップ62)。
ステップ62の段階でエネルギーEampが検出されていない場合は、第2モニタモジュール39を用いた故障診断を行うことが出来ない。そこでとりあえずは、増幅用レーザ300の被故障診断モジュールのうちの少なくとも一つに故障がある可能性があると判断される。具体的には、増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31と、増幅用チャンバ30よりもフロント側に配置された光学素子、すなわちビームエキスパンダ(BEX)43、ビーム出射位置調整機構(ABS)45、レーザパルス長大機構(OPS)46のうちの少なくとも一つに故障がある可能性があると判断される(ステップ68、70)。
ステップ62の段階でエネルギーEampが検出されている場合は、先ずはエネルギーEampが目標エネルギーEtに達しているか否かが判断される(ステップ63)。目標エネルギーEtに達している場合には、増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31は故障していないと判断される(ステップ64)。一方、目標エネルギーEtに達していない場合には、増幅用レーザ300の電気系統、すなわち発振用チャンバ30、発振用高電圧パルス発生器32、充電器31のうちの少なくとも一つが故障している可能性があると判断される(ステップ67)。
続いて第2モニタモジュール39で計測されたエネルギーEampとエネルギーセンサ44で計測されたエネルギーEamp′を用いて、BEX43とABS45とOPS46からなる光学素子群の透過率P(=Eamp/Eamp′)が演算される。そして透過率Pが故障判断の基準となる所定の範囲内にあるか否かが判断される(ステップ65)。所定以上である場合(Pt≦P)には、BEX43とABS45とOPS46は故障していないと判断される(ステップ66)。一方、所定未満である場合(P<Pt)には、BEX43とABS45とOPS46のうちの少なくとも一つに故障があると判断される(ステップ69)。
次に発振用レーザ100のリアミラー18がレーザ光路に配置され(ステップ71)、発振側F/R単体発振が行われる(ステップ72)。F/Rとは非狭帯域発振(フリーラン)を意味する。発振側F/R単体発振では、エネルギーが一定になるように発振用レーザ100の充電電圧Voscが制御され、パルスレーザ発振が行われる。発振用レーザ100から出力されるレーザ光のエネルギーEoscはパルス毎に第1モニタモジュール19によって計測される。所望回数のパルスレーザ発振が終了すると、リアミラー18は再びレーザ光路外に配置される(ステップ73)。そして第1モニタモジュール19で計測されたエネルギーEoscが目標エネルギーEtに達しているか否かが判断される(ステップ74)。
ステップ74の段階でエネルギーEoscが目標エネルギーEtに達していないか又はそもそも第1モニタモジュール19でエネルギーEosc自体が検出されていない場合は、発振用レーザ100の電気系統、すなわち発振用チャンバ10、発振用高電圧パルス発生器12、充電器11のうちの少なくとも一つに故障がある可能性があると判断される(ステップ79)。
ステップ74の段階でエネルギーEoscが目標エネルギーEtに達している場合には、発振用レーザ100の電気系統、すなわち発振用チャンバ10、発振用高電圧パルス発生器12、充電器11は故障していないと判断される(ステップ75)。
続いて発振側N/R単体発振が行われる(ステップ76)。前述したようにN/Rとは狭帯域発振(ナローラン)を意味する。発振側N/R単体発振では、エネルギーが一定になるように発振用レーザ100の充電電圧Voscが制御され、パルスレーザ発振が行われる。発振用レーザ100から出力されるレーザ光のエネルギーEoscはパルス毎に第1モニタモジュール19によって計測される。そして所望回数のパルスレーザ発振の後に、第1モニタモジュール19で計測されたエネルギーEoscが目標エネルギーEtに達しているか否かが判断される(ステップ77)。
ステップ77の段階でエネルギーEoscが目標エネルギーEtに達している場合は、発振用レーザ100のLNM16に故障がないと判断される(ステップ78)。一方、ステップ77の段階でエネルギーEoscが目標エネルギーEtに達していないか又はそもそも第1モニタモジュール19でエネルギーEosc自体が検出されていない場合は、発振用レーザ100のLNM16に故障があると判断される(ステップ80)。
ステップ68やステップ79を経た場合は発振用レーザ100や増幅用レーザ300の電気系統に故障がある可能性があることは判るが、実際に故障しているか否かまでは判らない。そこで本実施形態では作業者は前述した“DEEP MODE”という詳細診断を行うか否かを選択できるようになっている(ステップ81)。
“DEEP MODE”が選択されない場合は、レーザ装置に設けられた操作パネルの表示部に発振用レーザ100の電気系統、すなわち発振用チャンバ10、発振用高電圧パルス発生器12、充電器11のうちの少なくとも一つ又は増幅用レーザ300の電気系統、すなわち増幅用チャンバ30、増幅用高電圧パルス発生器32、充電器31のうちの少なくとも一つに故障がある可能性がある旨が示される。“DEEP MODE”が選択された場合は“DEEP MODE”の処理が行われ(ステップ82)、その結果が表示される。またステップ69を経た場合やステップ80を経た場合は、それぞれ該当するモジュールが故障していることが示される。
[他の実施形態]
本発明に係る故障診断システムは、故障診断の際にレーザ発振を行い、そのレーザ発振の動作結果を用いることでレーザ装置の被診断モジュールを診断するものであり、上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態は、2ステージレーザにおいてエネルギー関連エラーの故障診断を行う場合の処理の一例である。しかしエネルギー関連エラーに関する他の故障診断を行ってもよい。また波長関連エラーやスペクトル関連エラーについても同様にレーザ発振を行い、その動作結果を用いることで、レーザ装置の被診断モジュールを診断することができる。また本発明は2ステージレーザだけでなくシングルレーザにも適用可能である。
本実施形態に係るレーザシステムの構成図である。 (a)は発振用チャンバ及びその近傍の構成図であり、(b)は増幅用チャンバ及びその近傍の構成図である。 電源及びチャンバ内部の回路構成の一例を示す図である。 高電圧パルス発生器の固体スイッチSWがオン状態になってから電極間に放電が発生するまでの時間と主コンデンサC0の充電電圧との関係を示す図である。 高電圧パルス発生器の固体スイッチSWがオン状態になってから電極間に放電が発生するまでの時間と主コンデンサC0の充電電圧との関係を示す図である。 エネルギーEと充電電圧Vとの関係示す図である。 発振用レーザの放電タイミングに対して増幅用レーザの放電タイミングが遅延する時間dtとエネルギーEとの関係を示す図である。 エネルギー制御診断処理の手順を示す図である。 同期制御診断処理の手順を示す図である。 エネルギー制御診断処理の手順を示す図である。 エネルギー安定性診断処理の手順を示す図である。 エネルギー出力診断処理の手順を示す図である。 “DEEP MODE”の手順を示す図である。
符号の説明
2…2ステージレーザ、3…露光装置、
4…メインコントローラ、5…ユーティリティーコントローラ、
6…波長コントローラ、7…エネルギーコントローラ、8…同期コントローラ、
100…発振用レーザ(osc)、10…発振用チャンバ、11…充電器、
12…発振用高電圧パルス発生器、
14…ガス供給・排気ユニット、15…冷却水供給ユニット、
16…LNM(狭帯域化モジュール)、17…フロントミラー、
19…モニタモジュール、20…放電検出部、
300…増幅用レーザ(amp)、30…増幅用チャンバ、31…充電器、
32…増幅用高電圧パルス発生器、
34…ガス供給・排気ユニット、35…冷却水供給ユニット、
36…リア側ミラー36、37…出力ミラー、
39…モニタモジュール、40…放電検出部、
42…ビーム伝搬部、43…ビームエキスパンダ(BEX)、
44…エネルギーセンサ、45…ビーム出射位置調整機構(ABS)、
46…レーザパルス長大機構(OPS)

Claims (6)

  1. 複数のモジュールで構成され、発振用レーザチャンバを有する発振用レーザと増幅用レーザチャンバを有する増幅用レーザとかなり、前記発振用レーザチャンバから出力されたレーザ光が前記増幅用レーザチャンバ内を通過するタイミングに同期させて当該増幅用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起させて、充電電圧にて充電したエネルギーを用いてレーザ光を出力するレーザ装置の故障診断をするレーザ装置の故障診断システムにおいて、
    故障診断の際にレーザ発振を行い、当該レーザ発振の動作結果を用いることで前記レーザ装置の被診断モジュールを診断するものであって、
    レーザ装置に発生した異常に応じた故障診断を行うものであり、
    前記レーザ装置でエネルギー関連エラーが発生した場合に、
    前記発振用レーザと前記増幅用レーザの同期の異常に関するエラーが発生しているか否かのエラー判断処理、
    前記レーザ装置の出力エネルギーEと充電電圧Vとの比率としてのパラメータdV/dEの異常に関するエラーが発生しているか否かのエラー判断処理、
    前記レーザ装置の出力エネルギーの安定性の異常に関するエラーが発生しているか否かのエラー判断処理、
    前記レーザ装置の出力エネルギーの低下の異常に関するエラーが発生しているか否かのエラー判断処理、
    の順番で各エラー判断処理を順次行い、
    エラーが発生していると判断された場合には、発生したエラーに対応づけられたモジュールを被診断モジュールとして、当該被診断モジュールについて故障診断処理を行う
    ことを特徴とするレーザ装置の故障診断システム。

  2. 前記レーザ装置は、
    第1の充電電圧にて充電したエネルギーを用いて発振用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起すると共に当該発振用レーザチャンバからレーザ光を出力する発振用レーザと、
    第2の充電電圧にて充電したエネルギーを用いて増幅用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起すると共に前記発振用レーザチャンバから前記増幅用レーザチャンバに注入されたレーザ光を増幅して出力する増幅用レーザと、
    前記発振用レーザチャンバから出力された前記レーザ光が前記増幅用レーザチャンバ内を通過するタイミングで当該増幅用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起させる同期コントローラと、を備え、
    前記発振用レーザと前記増幅用レーザの同期の異常に関するエラーが発生しているとエラー判断された場合に、
    前記同期コントローラを被診断モジュールとして、前記第1及び第2の充電電圧を変化させつつパルスレーザ発振を行い、前記発振用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起した時期と前記増幅用レーザチャンバ内のレーザガスを放電励起した時期との時間差をパルス毎に計測し、当該時間差と故障判断の基準となる所定の時間差とを比較することで、前記同期コントローラにおける故障の有無を診断する診断手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置の故障診断システム。
  3. 前記レーザ装置は、
    前記発振用レーザおよび前記増幅用レーザそれぞれについて、
    指令された充電電圧に応じてコンデンサを充電する充電器と、
    前記コンデンサで充電されたエネルギーをパルス圧縮するパルス発生器と、
    前記パルス発生器でパルス圧縮されたエネルギーを用いてレーザガスを放電励起すると共にレーザ光を出力するレーザチャンバと、
    前記レーザ光のエネルギーを計測するエネルギーセンサと、を備え、
    前記レーザ装置の出力エネルギーEと充電電圧Vとの比率としてのパラメータdV/dEの異常に関するエラーが発生しているとエラー判断された場合に、
    前記レーザチャンバを被診断モジュールとして、前記充電電圧を変化させつつパルスレーザ発振を行い、パルス毎の充電電圧と前記エネルギーセンサで計測したパルス毎のエネルギーとから充電電圧とエネルギーとの相関関係を取得し、当該相関関係と故障判断の基準となる所定の相関関係とを比較することで、前記レーザチャンバにおける故障の有無を診断する診断手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置の故障診断システム。
  4. 前記レーザ装置は、
    前記発振用レーザおよび前記増幅用レーザそれぞれについて、
    指令された充電電圧に応じてコンデンサを充電する充電器と、
    前記コンデンサで充電されたエネルギーをパルス圧縮するパルス発生器と、
    前記パルス発生器でパルス圧縮されたエネルギーを用いてレーザガスを放電励起すると共にレーザ光を出力するレーザチャンバと、
    前記レーザ光のエネルギーを計測するエネルギーセンサと、を備え、
    前記レーザ装置の出力エネルギーの安定性の異常に関するエラーが発生しているとエラー判断された場合に、
    前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバを被診断モジュールとして、前記充電電圧を一定にしつつパルスレーザ発振を行い、前記エネルギーセンサで計測したパルス毎のエネルギーのばらつきと故障判断の基準となる所定のばらつきとを比較することで、前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバを診断する診断手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置の故障診断システム。
  5. 前記レーザ装置は、
    前記発振用レーザおよび前記増幅用レーザそれぞれについて、
    レーザ光を出力するレーザチャンバと、
    前記レーザチャンバから出力される前記レーザ光を反射又は透過させる光学素子と、
    前記光学素子に入射する前記レーザ光のエネルギーを計測する第1のエネルギーセンサと、前記光学素子から出射する前記レーザ光のエネルギーを計測する第2のエネルギーセンサと、を備え、
    前記レーザ装置の出力エネルギーの低下の異常に関するエラーが発生しているとエラー判断された場合に、
    前記光学素子を被診断モジュールとして、パルスレーザ発振を行い、前記第1のエネルギーセンサで計測した前記レーザ光のエネルギーと前記第2のエネルギーセンサで計測した前記レーザ光のエネルギーとを比較することで、前記光学素子における故障の有無を診断する診断手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置の故障診断システム。
  6. 前記レーザ装置は、
    前記発振用レーザおよび前記増幅用レーザそれぞれについて、
    指令された充電電圧に応じてコンデンサを充電する充電器と、
    前記コンデンサで充電されたエネルギーをパルス圧縮するパルス発生器と、
    前記パルス発生器でパルス圧縮されたエネルギーを用いてレーザガスを放電励起すると共にレーザ光を出力するレーザチャンバと、
    前記レーザ光のエネルギーを計測するエネルギーセンサと、を備え、
    前記レーザ装置の出力エネルギーの低下の異常に関するエラーが発生しているとエラー判断された場合に、
    前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバを被診断モジュールとして、前記充電電圧を許容範囲内で上昇させるパルスレーザ発振を行い、前記エネルギーセンサで計測したエネルギーが故障判断の基準となる所望エネルギーに到達するかを判別することで、前記充電器と前記パルス発生器と前記レーザチャンバにおける故障の有無を診断する診断手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置の故障診断システム。
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