JP5252619B2 - 外壁素材、その製造方法および外壁構造 - Google Patents
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上述のモルタル層の亀裂を防止するために、ネットをモルタル層の外表面付近に埋設する工法が用いられていた。図10に従来の外壁構造の断面図を示す。しかしながら、ネット19を貼る工程は、ネットの寸法出し→切断→貼付→鏝押えなど、作業が困難である。その上、貼付したネット19に拠れた部分19’(図10(a))やネット19同士の継ぎ目に隙間19’’がある(図10(b))と、乾燥後のモルタル層12に亀裂23が入りやすいという問題があった。また、ネット19をモルタル層12に埋設する深さが深すぎるとネット19を埋設した効果がなく亀裂23が入ったり(図10(c))、反対にモルタル層12に埋設する深さが浅すぎるとネット19が外表面に浮き出てしまうという問題があった(図10(d))。また、複雑な形状の外壁にネット19を貼ることは困難であった(図10(e))。さらに、上記のようにネットを貼付したことによりできる亀裂は、ネットを貼付しない場合より亀裂が大きくなるという問題があった。
しかしながら従来の方法によるものでは、表面層を形成するために塗布する樹脂溶液などの、モルタル層への浸透が不十分であったためモルタル層に亀裂が入ったり、また形成後の表面層に亀裂が入るなどの問題もあった。
また、上記平板状水硬部材が含水率1〜30重量%であることを特徴とする。特に平板状水硬部材がモルタルであることを特徴とする。
また、上記転写材が気体含有突起を複数個表面に有するエアパックであり、該エアパックの突起面にラス網を配置することを特徴とする。
本発明の外壁は、壁躯体上に直接または胴縁を介して本発明の上記外壁素材を配置し、この外壁素材の表面にモルタル層を形成してなることを特徴とする。
本発明の外壁構造は、上記外壁素材を用いるので、ネットをモルタル層の外表面付近に埋設する必要がなく、またネットを埋設する工法に比べて施工が容易であり、外壁表面の仕上がりも欠陥部分がなく、ネットを埋設したものに比べて優れる。また、施工が容易であり、また工期を短縮することができる。
また上記外壁素材を用いるため、表面モルタル層と外壁素材との接着が強固であり、表面モルタル層からの剥離も起こらない。
図1に示すように、本発明の外壁構造は、建築物の壁を形成する合板表面に防水シートなどを貼付した壁躯体2に、胴縁3を配置し、さらに外壁素材1を用いて通気層4を形成する。外壁素材1上に直接モルタルを塗布してモルタル層5を形成する。モルタル層5表面には、図示を省略した繊維含有エマルジョン塗料を塗布して表面保護層を形成してもよい。壁躯体としては上記合板のかわりに建築物の柱や小巾板などでもよく、この場合、柱や小巾板に防水シートを貼付して胴縁3を配置する。
外壁素材1は、ラス網6を内蔵する平板状水硬部材である平板状モルタル7から構成される。ラス網6は平板状モルタル7の側面から延出しており、また、平板状モルタル7の表面モルタル仕上げがなされる面に複数の凹部8が形成されている。
上記のモルタルに配合する繊維は、特に繊維長が2〜30mm、好ましくは5〜12mmであって、繊維径が3〜800μmであることが好ましい。モルタルに配合される繊維はラス網の網目に絡みつくことができる軟質であることが好ましい。
エアパックを利用して、逆テーパを有する複数の凹部が形成できる外壁素材の製造方法を図6に示す。図6(a)〜(c)は外壁素材の製造工程図である。
(a)気体含有突起を複数個表面に有するエアパックの該突起面にラス網を配置する。
エアパック10は緩衝材または包装材として使用されている市販品を使用することができる。市販品のエアパックは突起部10aが2枚のポリマーフィルムの間に閉じ込められた空気層で形成されている。このエアパック10の突起面にラス網10を配置すると、ラス網が突起部10aに支えられる。エアパック10は、空気が突起部10aに満に閉じ込められていないので、突起部10aの断面形状において、斜め断面形状など多くの形状となる。
(b)ラス網上にモルタルを吹付け工法または左官工法により直接塗布してモルタル層を形成する。モルタル層の厚みは1〜6mmである。
(c)モルタル層が生乾きの状態でエアパックを剥離する。
モルタル層形成後、モルタル層が生乾きの状態、すなわち含水率1〜30重量%の状態でエアパック10を剥離する。エアパック10を剥離することで、平板状モルタル面に対して側面が逆テーパを有する凹部8が形成される。
また、折り曲げた状態でも取り付けることができる。図8は外壁素材1を直角に折り曲げて取り付けた状態を示す図である。胴縁3などの柱または建物の角(矢印C部分)に沿って外壁素材1の平板状水硬部材に切れ目を入れる(図8(a))。切れ目はカッターナイフなどを用い、ラス網には損傷を与えない状態で行なう。次いで、その切れ目部分から山折することにより、胴縁3などの柱を取り囲んで外壁素材1を直角に折り曲げて一体となっている外壁素材1を取り付けることができる。この状態で表面モルタル仕上げをするので、表面モルタル層にひびやクラックが生じ難くなる。
エアパックを縦が185cm、横が65cmの大きさのシートとして、作業台上に突起面を上にして拡げ、この突起面上に金属製ラス網(網目の大きさ15mm×28mm)を載せる。
モルタル(セメント:50、砂:50(重量比))5kgに水1.2kgの割合で加えて、ポットミキサーで混合し試験用モルタルとした。ラス網の上から上記試験用モルタルを、ラス網のモルタル塗布面側に積層されるモルタルの厚さが5mmになるまで左官工法により塗布してモルタル層を形成した。48時間後、ラス網のモルタル塗布面の反対面からエアパックを除去した。エアパックを除去した面には、側面が逆テーパを有する複数の凹部が形成されていた。得られた外壁素材のモルタル層の含水率は15重量%であった。得られた外壁素材は両面にポリエチレンシートを貼り付け密封して保存した。
繊維含有モルタル(セメント:50、砂:50、アクリル繊維:0.8(重量比))を用いる以外は実施例1と同一の条件で外壁素材を得た。得られた外壁素材のモルタル層の含水率は15重量%であった。
軽量モルタル(ダイセルファインケム社製、商品名ダンテン)2kgに水0.8kgの割合で加えて、ポットミキサーで混合し試験用モルタルとした。このモルタルを使用する以外は実施例1と同一の条件で外壁素材を得た。得られた外壁素材のモルタル層の含水率は30重量%であった。
セメント(太平洋セメント社製、ポルトランドセメント)4kgに水1.2kgの割合で加えて混合し試験用水硬部材とした。この水硬部材を使用する以外は実施例1と同一の条件で外壁素材を得た。得られた外壁素材の水硬部材層の含水率は11重量%であった。
胴縁が形成されている壁躯体に対して、実施例1で得られた外壁素材のラス網を胴縁に取付け固定した。外壁素材を胴縁に取付け後、常温に放置することで胴縁間で弛みなく固定された。その後、外壁素材上にモルタルの厚さが10mmになるまで左官工法により180m2を塗布して仕上げモルタル層を形成した。得られた外壁構造の仕上げモルタル層にクラックは見られなかった。
2 壁躯体
3 胴縁
4 通気層
5 モルタル層
6 ラス網
7 平板状モルタル
8 凹部
9 凹部の側面
10 エアパック
Claims (7)
- 壁躯体上に直接または胴縁を介して配置され、表面モルタル仕上げがなされる外壁素材であって、
前記外壁素材は、厚さが1〜6mmの平板状水硬部材の周囲に延出するラス網を前記平板状水硬部材内部に有し、前記平板状水硬部材が含水率1〜30重量%であり、外壁構造を組み立て施工後乾燥させることを特徴とする外壁素材。 - 少なくとも前記表面モルタル仕上げがなされる面が粗面化されていることを特徴とする請求項1記載の外壁素材。
- 前記粗面化は、側面が前記平板状モルタル面に対して逆テーパを有する複数の凹部であることを特徴とする請求項2記載の外壁素材。
- 前記平板状水硬部材がモルタルであることを特徴とする請求項1記載の外壁素材。
- 粗面化を転写できる転写材上にラス網を配置する工程と、
前記ラス網上に水硬部材を吹付け工法または左官工法により直接塗布して水硬部材層を形成する工程と、
前記水硬部材層が生乾きの状態で前記転写材を剥離する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の外壁素材の製造方法。 - 前記転写材が気体含有突起を複数個表面に有するエアパックであり、該エアパックの突起面にラス網を配置することを特徴とする請求項5記載の外壁素材の製造方法。
- 壁躯体上に直接または胴縁を介して外壁素材を配置し、この外壁素材の表面にモルタル層を形成してなる外壁構造であって、
前記外壁素材は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の外壁素材であることを特徴とする外壁構造。
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