JP5252562B2 - 放熱シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放熱シートの製造方法に関し、より特定的には熱伝導率の高い放熱シートに関する。
パーソナルコンピュータやモバイル電子機器の高機能化に伴い、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置または中央演算処理装置)等の発熱源の発熱量が飛躍的に増大しており、放熱デバイスの高性能化が求められている。代表的な放熱手法は、熱の輸送能力の高いCu(銅)製のヒートパイプと発熱源との間に放熱シートや接着剤を介在させて放熱する方法である。近年では、重いヒートパイプの代わりに、グラファイトシートのような面内方向に極めて高い熱伝導率を持つ、薄型・軽量の熱輸送シートを用いることが多くなっている。グラファイトシートは、面と垂直方向にグラファイトのc軸が並んだ放熱シートである。このため、グラファイトシートをヒートパイプの代わりに使うことができる。
このようなグラファイトシートの製造方法は、たとえば特開平7−109171号公報(特許文献1)などに開示されている。この特許文献1には、ポリピロメリットイミドを1000℃で予備熱処理し、さらに2900℃〜3000℃で熱処理することによりグラファイトシートを製造する方法が開示されている。
特開平7−109171号公報
2900℃〜3000℃の熱処理を施した上記特許文献1のグラファイトシートは、750(W/m・K)〜800(W/m・K)の熱伝導率を有することが開示されている。上記特許文献1では、熱処理を高温で施してているにも関わらず、グラファイトシートの熱伝導率が十分に向上していないことを本発明者は初めて明らかにした。
また、上記特許文献1では、上記範囲の熱伝導率を有するグラファイトシートを製造するために要する熱処理の温度が高いため、エネルギー投入量が大きくなることを本発明者は初めて明らかにした。この場合、グラファイトシートを製造するために要するコストが高くなる。
それゆえ本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、効率的に熱伝導率を向上する放熱シートを製造する方法を提供することである。
本発明者は、効率的に熱伝導率を向上する放熱シートを製造する方法を鋭意研究した結果、中間工程で生成される主として炭素からなる前駆体(中間体)の作製をガリウム(Ga)ガスを含むガス中で行なうことにより、従来技術と比べて配向性の高いグラファイトシートを作製できることを見出した。
そこで、本発明の放熱シートの製造方法は、以下の工程を備えている。ポリイミドシートを準備する。ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成することにより、中間体を形成する。中間体を形成する工程での温度よりも高い温度で、中間体を焼成する。
本発明の放熱シートの製造方法によれば、ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成しているので、ポリイミドシートをGa蒸気(Gaガス)に接触させることができる。本発明者は、中間体の作製時にGaガスと接触させることにより、ポリイミドシートの炭素六員環の配向が促進されることを見出した。このため、配向性を向上した中間体を形成することができる。したがって、配向性を向上した中間体を焼成すると、配向性をさらに向上した放熱シートを製造することができる。配向性を向上できると、熱伝導率を向上できる。以上より、従来技術と同程度の温度で焼成する場合には、放熱シートの熱伝導率を向上することができる。また、従来技術と同程度の熱伝導率を有する放熱シートを製造する場合には、焼成の温度を低下することができる。よって、効率的に熱伝導率を向上する放熱シートを製造することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記中間体を形成する工程では、1000℃以上2000℃未満の温度で予備焼成し、上記中間体を焼成する工程では、2000℃以上3000℃以下の温度で焼成する。
これにより、中間体の配向性をより向上できるので、放熱シートの配向性をより向上することができる。このため、より効率的に熱伝導率を向上する放熱シートを製造することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記中間体を形成する工程では、硼素(B)元素および窒素(N)元素を含むガスを導入することにより、B元素とN元素とを含む中間体を形成する。
BおよびNを含むガスを導入することにより、BとNとを反応させることができる。このため、グラファイトシートと同様の構造を有し、かつ絶縁体のBN(窒化硼素)シートを容易に作製することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記中間体を形成する工程では、0.05MPa以下の圧力で予備焼成する。
これにより、中間体の内部まで均一にGaガスと接触させることができる。このため、中間体の内部のグラファイト化を促進することができるので、中間体の配向性を向上することができる。したがって、伝導率をより向上した放熱シートを製造することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記中間体を焼成する工程後に、圧延処理を行なう工程をさらに備えている。
これにより、放熱シートの配向をさらに進行させることができるので、熱伝導率をより高くした放熱シートを製造することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記ポリイミドシートを準備する工程では、芳香族ポリイミドシートを準備する。
芳香族ポリイミドシートは芳香族六員環のシート面内での配向性が高いため、Gaガスと接触したときに配向しやすい性質を有している。このため、配向性をより向上することで熱伝導率をより向上した放熱シートを製造することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記ポリイミドシートを準備する工程では、5μm以上100μm以下の厚みを有するポリイミドシートを準備する。
5μm以上の場合、取り扱いが容易である。100μm以下の場合、炭素六員環の配向性が非常に高いので、放熱シートの熱伝導率をより向上することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記ポリイミドシートを準備する工程は、複数枚のポリイミドシートを準備する工程と、複数枚のポリイミドシートを加圧することにより一体化する工程とを含んでいる。
複数枚のポリイミドシートを一体化した後、中間体を形成する工程および中間体を焼成する工程を実施すると、配向性を向上することで熱伝導率を向上し、かつ組織の緻密な放熱シートを製造することができる。
上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記ポリイミドシートを準備する工程では、0.01μm以上5μmの平均細孔径を有するポリイミドシートを準備する。上記放熱シートの製造方法において好ましくは、上記ポリイミドシートを準備する工程では、0.1μm以上2μm以下の平均細孔径を有するポリイミドシートを準備する。
0.01μm以上の場合、Gaガスなどのガスの内部への拡散が容易に起こる。このため、配向性をより向上することにより熱伝導率をより向上した放熱シートを製造することができる。一方、5μm以下の場合、組織の緻密な放熱シートを製造することができる。2μm以下の場合、組織のより緻密な放熱シートを製造することができる。
本発明の放熱シートの製造方法によれば、ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成しているので、中間体の配向性を向上できる。したがって、効率的に熱伝導率を向上する放熱シートを製造することができる。
本発明の実施の形態における放熱シートを概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態における放熱シートの製造装置を概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態における放熱シートの製造方法を示すフローチャートである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の一実施の形態における放熱シートを概略的に示す断面図である。図1を参照して、本実施の形態における放熱シート10を説明する。
放熱シート10は、たとえば、グラファイトシートまたはBNシートである。放熱シート10がグラファイトシートの場合、たとえば1354(W/mK)以上1580(W/mK)以下の面内方向の熱伝導率を有している。また、放熱シート10がBNシートの場合、たとえば611(W/mK)以上652(W/mK)以下の熱伝導率を有している。また、放熱シート10は、1枚のシートであってもよく、複数枚のシートが積層されていてもよい。
続いて、図2および図3を参照して、本実施の形態における放熱シートの製造方法について説明する。図2は、本実施の形態における放熱シートの製造装置を概略的に示す断面図である。図3は、本実施の形態における放熱シートの製造方法を示すフローチャートである。
ここで、図2を参照して、本実施の形態における放熱シートの製造装置100について説明する。
図2に示すように、製造装置100は、チャンバ101と、炭素板102と、坩堝103、104と、ヒータ105とを主に備えている。チャンバ101の内部に、2列の炭素板102が積層されており、炭素板102により空間を3つに分けている。炭素板102には空隙が形成されている。上方の炭素板102上にはポリイミドシート11が配置される。下方の炭素板102下には、内部に液体Gaが充填された坩堝103が配置される。下方の炭素板102上には、内部に粉末B23が充填された坩堝104が配置される。ヒータ105は、チャンバ101の外部に配置され、チャンバ101の内部を加熱する。
なお、製造装置100は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
まず、図2および図3に示すように、ポリイミドシートを準備する(ステップS1)。本実施の形態では、準備したポリイミドシート11を上方の炭素板102上に配置する。
ステップS1において準備されるポリイミドシートは特に限定されないが、芳香族六員環のシート面内での配向性が高い観点から、芳香族ポリイミドシートを準備することが好ましい。このような芳香族ポリイミドとして、たとえばDupont製の商品名Kapton(R)や、三菱化成製のNovax、東邦レーヨン製等のPPT、宇部興産製のUpilex等のポリイミドでもかまわない。Gaガスと接触した時に配向しやすい観点から、Kapton(R)を用いることが好ましい。
ステップS1では、5μm以上100μm以下の厚みを有するポリイミドシートを準備することが好ましく、25μm以上100μm以下のポリイミドシートを準備することがより好ましい。ポリイミドシートの厚さが小さい程、炭素六員環の配向性が高くなるため、放熱シートの熱伝導率が高くなる。また、後述の予備焼成するステップS2において、ポリイミドシートの厚さが小さい程、ポリイミドシートの内部までGaガスを均一に接触させやすいため、放熱シートの熱伝導率が高くなる。このような厚みとして100μm以下の場合、放熱シートの熱伝導率が顕著に高くなる。一方、5μm以上の場合、取り扱いが容易である。25μm以上の場合、取り扱いがより容易である。
ステップS1では、ポリイミドシートとして多孔質ポリイミドを用いることが好ましい。多孔質ポリイミドシートを用いることにより、シートの厚さに関わらず、後述の予備焼成するステップS2で内部まで均一にGaガスを接触させることができる。このため、厚みの大きなポリイミドシートを準備した場合でも、配向性を高めることができる。
ステップS1では、好ましくは0.01μm以上5μm、より好ましくは0.1μm以上2μm以下の平均細孔径を有するポリイミドシートを準備する。0.01μm以上の場合、Gaガスなどのガスがポリイミドシートの内部へ容易に拡散する。このため、中間体および放熱シートの配向性をより向上することができる。一方、5μm以下の場合、組織の緻密な放熱シートを製造することができる。2μm以下の場合、組織のより緻密な放熱シートを製造することができる。
なお、上記「平均細孔径」とは、水銀圧入法やガス吸着法等によって測定される値である。
ポリイミドシートの気孔率は特に限定されないが、25%以上55%以下が好ましい。この範囲のポリイミドシートは容易に作製できる。また25%以上の場合、Gaガスなどのガスが内部へ容易に拡散する。55%以下の場合、組織の緻密な放熱シートを製造することができる。
ステップS1では、1枚のポリイミドシートを準備しても、複数枚のポリイミドシートを準備してもよい。複数枚のポリイミドシートを準備する場合には、複数枚のポリイミドシートを加圧することにより一体化することが好ましい。加圧する方法は特に限定されず、一般公知の方法を採用できる。
次に、ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成することにより、中間体を形成する(ステップS2)。
図2に示す製造装置100を用いる場合には、液体Ga12を坩堝103の内部に充填する。その後、ヒータ105でチャンバ101の内部を加熱することにより、液体Ga12を蒸発させてGaガスを生成する。蒸発したGaガスは炭素板102の空隙を通ってポリイミドシート11に供給される。このため、Gaガスをポリイミドシート11に接触させながら焼成することができる。これにより、ポリイミドシートが熱分解して、N、O(酸素)、H(水素)が抜けた中間体を生成することができる。中間体は、炭素元素を含み、かつアモルファスである。
ステップS2において、予備焼成する温度は1000℃以上2000℃未満が好ましく、1575℃近傍であることがより好ましい。1000℃以上の場合、配向性を高めた中間体を生成することができる。2000℃未満の場合、アモルファスの中間体を容易に生成することができる。1575℃近傍の場合に、配向性をより高めたアモルファスの中間体を容易に生成することができる。
なお、Gaの蒸気圧が1×10-2(Torr)になる時の温度は約1093℃である。このため、図2に示す製造装置100を用いる場合には、チャンバ101内部に液体Ga12を配置した状態で、チャンバ101内をこれ以上の温度に加熱すると、液体Ga12が蒸発することによりGaガスを生成することができる。したがって、温度が高いほどGaの蒸気圧が大きくなるので好ましい。ただし、中間体を生成する観点から、上限はたとえば2000℃未満である。
ステップS2において、チャンバ101内を減圧することが好ましく、たとえば0.05MPa以下、より好ましくは0.25MPa以下の圧力で予備焼成をする。チャンバ101内部の液体Ga12を配置した状態で減圧すると、液体Ga12が容易にガス化する。0.05MPa以下の場合、より容易にGaガスを生成することができる。また、0.05MPa以下の場合、Gaガスの生成が促進されるので、ポリイミドシートの内部まで均一に接触させることができる。その結果、中間体の配向性を向上することができる。グラファイトシートを製造する場合には、0.05MPa以下の場合、ポリイミドシートの内部のグラファイト化が進行して配向性が向上し、最終的に熱伝導率が高くなる。0.025MPa以下の場合、中間体の配向性をより向上することができる。上述したように、圧力が小さいほど低い温度で液体Ga12を生成できるので好ましいが、容易に減圧できる観点から下限値はたとえば0.013MPa以上である。
なお、Gaガスを生成するための材料は、Ga元素を含んでいれば液体Gaに特に限定されず、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)のような炭化水素系原料を用いてもよい。
ステップS2では、たとえばAr(アルゴン)、He(ヘリウム)、N2などの少なくとも1種の不活性ガス中で行なうことができる。
放熱シートとしてグラファイトシートを製造する場合には、上記材料を主に用いる。放熱シートとしてBNシートを製造する場合には、Gaガスと共にB元素およびN元素を含むガスを導入することにより、グラファイトシートと同様の構造を持つBNシートを作製することもできる。BNシートの中間体の形成方法としては、B元素とN元素とを含むガスをポリイミドシートと反応させる方法が簡単でよい。反応させる方法として、たとえば、B23などのホウ素酸化物および窒素ガスを高温下で化学反応させる。B23は高温で分解してB23ガス、B22ガス、BO2ガスなどのガスを発生してポリイミドシート表面に到達し、炭素(C)により還元を受けると同時にNと反応してBNを生成する。
上記のB源としては、加熱によりホウ素を生成する物質であれば他の物質でもよい。B源として、たとえば、ジボラン(B26)、ホウ酸、メラミンボレート等の有機ホウ酸化合物、ホウ酸と有機物の混合物等の物質の固体、液体、さらにはホウ素、酸素を含む気体などを用いることができる。N源は、窒素を含む中性または還元性のガスであればよく、手軽で、そのまま、または混合、希釈して用いられることから窒素ガス(N2)、アンモニア(NH3)などが好適に用いられる。安価で安全であることからN2ガスが最も好ましい。
BNシートを製造する場合には、熱力学的に1200℃以上でBNは生成される。このため、BNシートを製造する場合には、ステップS2において予備焼成する温度は、1200℃以上2000℃未満が好ましく、特に1300℃以上1800℃以下が好ましい。
このステップS2を実施すると、ポリイミドシートをGa蒸気に接触させることができる。これにより、Gaガスが一種の触媒として働いて、ポリイミドシートの炭素六員環の配向が促進される。このため、配向性を向上した中間体を形成することができる。
次に、中間体を形成するステップS2での温度よりも高い温度で、中間体を焼成する(ステップS3)。このステップS3は、図2における製造装置100を用いてヒータ105の温度をさらに上昇してもよく、別の高温炉を用いてもよい。
このステップS3において中間体を焼成する温度は2000℃以上3000℃以下が好ましく、2500℃以上2700℃以下がより好ましい。2000℃以上の場合、アモルファスの中間体の結晶性を向上し、かつ配向性をさらに高めた放熱シートに製造することができる。2500℃以上の場合、結晶性および配向性をさらに向上した放熱シートを製造することができる。一方、3000℃以下の場合、高温になりすぎないので、容易に製造できる。2700℃以下の場合、エネルギー投入量を低減できるので、コストを低減できる。
なお、このステップS3では、ステップS2と同様にGa蒸気が含まれていても構わない。ステップS3においては結晶性が向上するが、Ga蒸気と接触することがあっても配向の進行を阻害しないし、場合によっては配向を促進する場合もある。すなわち、ステップS2において配向が十分進行しなかった場合には、ステップS3でGa蒸気と接触させておくと配向の進行が進みやすくなる。
なお、ステップS2およびS3において焼成する時間は、焼成する温度などに応じて適宜決定される。
このステップS3では、ステップS2により配向性が向上した中間体を焼成しているので、配向性を向上した放熱シートを製造することができる。配向性を向上できると、熱伝導率を向上できる。したがって、面方向の熱伝導率を向上した放熱シートを製造することができる。
次に、中間体を焼成するステップS3後に、圧延処理を行なう(ステップS4)。ステップS3後の放熱シートを圧延処理する方法は特に限定されず、たとえば放熱シートをローラに通すなどにより行なう。
特にステップS1で多孔質ポリイミドを準備する場合、中間体を焼成するステップS3が終了した時点では、グラファイトシート、BNシートなどの放熱シートは多孔質構造であるため、配向性が完全ではない。したがって、圧延処理を行なうステップS4により、配向をより進行させ、高い熱伝導率を得ることができるとともに、組織の緻密化が進行する。なお、このステップS4は省略されてもよい。
以上のステップS1〜S4を実施することにより、図1に示す放熱シート10を製造することができる。
以上説明したように、本実施の形態における放熱シートの製造方法は、ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成している(ステップS2)。これにより、ポリイミドシートをGa蒸気に接触させることができる。本発明者は、中間体の作製時にGaガスと接触させることにより、ポリイミドシートの炭素六員環の配向が促進されることを見出した。このため、ステップS2により、中間体の配向性を向上することができる。したがって、配向性が向上した中間体を焼成すると、配向性を向上した放熱シートを製造することができる。配向するにしたがって、ポリイミドシートの六員環が並ぶ面の熱伝導率が高くなる。
このことから、従来技術と同じ温度で焼成する場合には、放熱シートの熱伝導率を向上することができる。すなわち、ステップS2およびS3の温度が同じ場合には、Gaガスと接触させた本実施の形態の放熱シートは従来の放熱シートよりも配向性(グラファイトシートを製造する場合には、グラファイト化の配向度)が高くなる。また、従来技術と同程度の熱伝導率を有する放熱シートを製造する場合には、焼成する温度を低下することができる。すなわち、同じ配向性(グラファイトシートを製造する場合には、グラファイト化の配向度)の放熱シートを製造する場合には、Gaガスと接触させることでより低温化での製造が可能になる。低温で放熱シートを製造できる場合には、エネルギー投入量を低減でき、特殊構造の炉(装置)が不要になるので、製造コストを低減することができる。よって、効率的に熱伝導率を向上する放熱シート10を製造することができる。
本実施例では、ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成することにより、中間体を形成する工程を備えることによる効果について調べた。
(本発明例1〜5)
本発明例1〜5は、図2に示す製造装置100を用いて、上述した実施の形態における放熱シートの製造方法にしたがって、それぞれ放熱シートを製造した。
具体的には、製造装置100は、外熱式CVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)炉を用いた。チャンバ101は、200mmの内径を有する炭素炉芯管を用いた。坩堝103、104は、2cmの内径と、2cmの深さとを有し、黒鉛からなっていた。この製造装置100において、5gの液体Ga12を坩堝103に充填した。また、本発明例3、5の放熱シートを作製する場合には、3gのB23粉末を坩堝104に充填した。
ポリイミドシートを準備するステップS1では、Dupont社製のKapton(R)を準備した。準備したポリイミドシートの枚数、厚さ、気孔率、平均細口径は、下記の表1に記載の通りとした。本発明例4では、3枚のポリイミドシートを圧縮成型して一体化した。このポリイミドシート11を最上層に位置する炭素板102上に配置した。
Figure 0005252562
次に、下記の表2に示す条件で、ポリイミドシート11をGaガスを含む雰囲気で予備焼成することにより、中間体を形成した(ステップS2)。詳細には、Arガスを含む雰囲気中、3℃/分の昇温速度で、室温から1200℃まで昇温し、1300℃に到達した時点で3時間保持した。その後、下記の表2に記載の雰囲気になるように、Arガスのまま、またはN2ガスに切り替えて、3℃/分の昇温速度で1575℃までそれぞれ加熱した。この段階で、チャンバ101内の圧力を下記の表2に記載の圧力までそれぞれ減圧した。この雰囲気で、それぞれ2時間焼成した。なお、上記ArガスまたはN2ガスは、図2においてガスG1としてチャンバ101の内部に導入した。また、排気ガスは、G2としてチャンバ101の外部へ排出した。これにより、ポリイミドが熱分解して、窒素、酸素、水素が抜けて、主としてアモルファス炭素またはアモルファスBNからなる構造体の中間体を生成した。その後、チャンバ101内を自然冷却した。
次に、中間体を形成するステップS2での温度よりも高い温度で、中間体を焼成した(ステップS3)。詳細には、各々の中間体を超高温炉に移し替えた。1気圧のArガスを含む雰囲気で、10℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、その後5℃/分の昇温速度で2200℃まで昇温した。2200℃に到達した時点で1時間保持した。その後、5℃/分の昇温速度で下記の表2に記載の本焼成温度まで昇温し、本焼成温度での保持時間を3時間とした。その後、5℃/分の降温速度で2200℃まで降温し、その後10℃/分の降温速度で1300℃まで降温し、さらに20℃/分の降温速度で室温まで降温した。
Figure 0005252562
次に、本発明例4および5については、圧延処理をさらに行なった。以上より、本発明例1〜5の放熱シートを製造した。
(比較例1〜5)
比較例1〜5の放熱シートの製造方法は、それぞれ本発明例1〜5の放熱シートの製造方法と基本的には同様の構成を備えていたが、液体Ga12を充填しなかった点において異なっていた。つまり、比較例1〜5では、Gaガスを含まない雰囲気で中間体を形成した。
(測定方法)
本発明例1、2および4の放熱シートについて、断面構造を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。また、本発明例1〜5の放熱シートについて、X線回折分析を行なった。さらに、本発明例1〜5および比較例1〜5の放熱シートについて、厚さおよび熱伝導率を測定した。なお、熱伝導率の測定は、周期加熱法を用いて測定した。その結果を下記の表3に示す。
Figure 0005252562
(測定結果)
本発明例1、2および4の放熱シートの断面構造をSEMで観察した結果、グラフェン層と同様の積層されたグラファイト構造を有していることがわかった。
また、本発明例1〜5の放熱シートをX線回折分析した結果、c軸がシート面と垂直に配向した高配向性グラファイトシートまたはhBNシートであることがわかった。
また、表3に示すように、本発明例1〜5の放熱シートは、同じ温度で予備焼成および焼成した比較例1〜5の放熱シートに比較して、熱伝導率を向上できることがわかった。
以上より、本実施例によれば、ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成することにより、配向性を向上した中間体を形成でき、その結果として放熱性の高いシートを製造できることが確認できた。したがって、ポリイミドシートをGaガスを含む雰囲気で予備焼成することにより、効率的に熱伝導率を向上する放熱シートを製造することができることが確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 放熱シート、11 ポリイミドシート、12 液体Ga、13 B23、100 製造装置、101 チャンバ、102 炭素板、103,104 坩堝、105 ヒータ。

Claims (10)

  1. ポリイミドシートを準備する工程と、
    前記ポリイミドシートをガリウムガスを含む雰囲気で予備焼成することにより、中間体を形成する工程と、
    前記中間体を形成する工程での温度よりも高い温度で、前記中間体を焼成する工程とを備えた、放熱シートの製造方法。
  2. 前記中間体を形成する工程では、1000℃以上2000℃未満の温度で予備焼成し、
    前記中間体を焼成する工程では、2000℃以上3000℃以下の温度で焼成する、請求項1に記載の放熱シートの製造方法。
  3. 前記中間体を形成する工程では、硼素元素および窒素元素を含むガスを導入することにより、硼素元素と窒素元素とを含む中間体を形成する、請求項1または2に記載の放熱シートの製造方法。
  4. 前記中間体を形成する工程では、0.05MPa以下の圧力で予備焼成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱シートの製造方法。
  5. 前記中間体を焼成する工程後に、圧延処理を行なう工程をさらに備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放熱シートの製造方法。
  6. 前記ポリイミドシートを準備する工程では、芳香族ポリイミドシートを準備する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱シートの製造方法。
  7. 前記ポリイミドシートを準備する工程では、5μm以上100μm以下の厚みを有する前記ポリイミドシートを準備する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の放熱シートの製造方法。
  8. 前記ポリイミドシートを準備する工程は、
    複数枚のポリイミドシートを準備する工程と、
    前記複数枚のポリイミドシートを加圧することにより一体化する工程とを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱シートの製造方法。
  9. 前記ポリイミドシートを準備する工程では、0.01μm以上5μmの平均細孔径を有する前記ポリイミドシートを準備する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の放熱シートの製造方法。
  10. 前記ポリイミドシートを準備する工程では、0.1μm以上2μm以下の平均細孔径を有する前記ポリイミドシートを準備する、請求項9に記載の放熱シートの製造方法。
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