JP5249832B2 - クランクシャフトおよびその製造方法 - Google Patents

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    • B21K1/08Making machine elements axles or shafts crankshafts

Description

本発明は、クランクシャフトおよびその製造方法に係り、特に、中空状の孔部をクランクシャフトのクランクピン部に形成する技術に関する。
自動車エンジン等の内燃機関では、コネクティングロッドを介してピストンの往復運動を回転運動に変更するクランクシャフトが使用されている。クランクシャフトはジャーナル軸部を備え、ジャーナル軸部には、それと平行なクランクピン部がアームにより連結されている。アーム部にはカウンタウェイト部が形成され、カウンタウェイト部のジャーナル軸部に対する形成位置は、クランクピン部の接続箇所の反対側である。
クランクシャフトは、おもに分割可能な上下型を用いた鍛造により製造される。鍛造では、加熱処理が施された素材を鍛造プレスに投入し、鍛造プレス内の各種上下型を用いて素材に各種成形を行うことにより、クランクシャフトを得る。
自動車では、燃費向上のためにエンジンの軽量化が要求されていることから、エンジンに用いられるクランクシャフトの軽量化が図られている。クランクシャフトの軽量化では、クランクシャフトの素材の材質変更および硬化処理による素材強化を図り、素材の細軸化を行う技術がおもに用いられている。この技術では、上記鍛造において、クランクシャフトの材質としては、おもに炭素鋼や一部特殊鋼等を用い、必要に応じて部分的な高周波焼入れや窒化等の熱処理を行っている。
このような中実状態のクランクシャフトを細軸化する技術の代わりに、クランクピン部やジャーナル部の内部を中空化する技術が提案されている。クランクシャフトの中空化技術では、油通路以外の部位を軸線方向に中空部を形成しており、その中空クランクシャフトは、中実クランクシャフトより顕著に軽量となる。
中空化技術としては、ドリルを用いた削孔によりクランクピン部に中空状の孔部を形成する技術がある。この技術では、孔部の形状を円形状あるいは楕円形状としているが、孔部の形状が複雑である場合、削孔では、種々のドリルを用い、加工時間が長くなるため、必然的に孔部の形状自由度が小さくなる。
そこで、クランクシャフトの中空化を鍛造で行うことが考えられる。従来の鍛造装置では、上下型が分割可能となる形態でその部品設計がなされており、孔部形成で生じた材料の除去が困難であることから、側方成形を行うことが考えられる。たとえば特許文献1の鍛造装置では、プレスラムに連動するカム機構を用い、側方成形用パンチをプレスラムの移動方向に対して垂直方向に移動させることにより、クランクピン部に中空状の孔部を形成している。
実開昭61−143727号公報
ところで、クランクピン部には、孔部の形成後、ジャーナル軸部のジャーナル用貫通孔からクランクピン部表面へオイルを供給するオイル流路を加工していることから、孔部の形成は、オイル流路の加工予定位置との交差を回避して行われている。クランクシャフトの摺動部に供給されるオイルの粘性は、内燃機関の高負荷運転時における燃焼室周囲の高温化により低下し、摺動部に焼付が発生する虞があった。そこで、オイルクーラ等によりオイルを冷却しているが、冷却効果は十分ではなかった。
したがって、本発明は、クランクシャフトの摺動部での焼付発生を防止することができるクランクシャフトおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のクランクシャフトは、クランクピン部と、クランクピン部の表面に形成された中空状の孔部と、クランクピン部の内部に形成されたオイル流路とを備え、孔部におけるオイル流路に最も近接している一面は、オイル流路に略平行に延在し、孔部は、鍛造成形された孔部であり、 クランクピン部におけるジャーナル軸部の軸線を含む断面において、孔部の底辺の線分を2分するとともに孔部の側面に平行である直線は、クランクピン部のジャーナル軸部側表面を通過することを特徴としている。
本発明のクランクシャフトでは、孔部におけるオイル流路に最も近接している一面は、オイル流路に略平行に延在しているので、その一面とオイル流路との間の壁部が薄くなり、かつクランクピン部が連結されているアーム部の表面積が大きくなる。したがって、アーム部の放熱性が向上するので、内燃機関の高負荷運転時における燃焼室周囲が高温となった場合でも、オイル流路を流通するオイルの温度を低下させることができる。その結果、オイル粘性の向上を図ることができるので、クランクシャフトの摺動部での焼付発生を防止することができる。
本発明のクランクシャフトの製造方法は、本発明のクランクシャフトを製造する方法である。すなわち、本発明のクランクシャフトの製造方法は、クランクピン部と、クランクピン部の内部に形成されたオイル流路とを備えたクランクシャフトの製造方法であって、クランクピン部の表面に中空状の孔部を形成し、クランクピン部内部に孔部を回避してオイル流路を加工し、孔部の形成では、孔部における前記オイル流路に最も近接している一面がオイル流路に略平行に延在するように孔部の形状を設定し、孔部の形成を鍛造成形により行い、 クランクピン部におけるジャーナル軸部の軸線を含む断面において、孔部の底辺の線分を2分するとともに孔部の側面に平行である直線が、クランクピン部のジャーナル軸部側表面を通過するように孔部の形状を設定することを特徴としている。
本発明のクランクシャフトの製造方法は、本発明のクランクシャフトと同様な効果を得ることができる。本発明のクランクシャフトの製造方法は、各種特性向上のために種々の構成を用いることができる。
たとえば孔部の形成を鍛造成形により行うことができる。この場合、孔部の形状を次のように設定することが好適である。すなわち、クランクピン部におけるジャーナル軸部の軸線を含む断面において、孔部の断面積を2分する直線がクランクピン部のジャーナル軸部側表面を通過するように孔部の形状を設定することができる。
上記態様では、孔部の形成を鍛造成形により行っているので、機械加工とは異なり、孔部の開口縁でのエッジ形成を防止することができるので、応力集中防止のための手作業による磨き工程が不要となる。したがって、製造工程数を低減することができる。また、孔部の形状に沿ってファイバーフローが新たに生成するから、機械加工による削孔品に比べて、耐摩耗性が向上する。
このような鍛造成形では、クランクピン部におけるジャーナル軸部の軸線を含む断面において、その断面積を2分する直線がクランクピン部のジャーナル軸部側表面を通過するように孔部の形状を設定することにより、クランクピン部のジャーナル軸部側表面の組織を微細化することができるので、疲労強度を向上させることができる。クランクピン部のジャーナル軸部側は、内燃機関の運転時に応力が集中する部位であるから、上記のように疲労強度の向上を図ることが重要である。
本発明のクランクシャフトあるいはその製造方法によれば、アーム部の放熱性が向上するので、オイル流路を流通するオイルの温度を低下させることができ、その結果、クランクシャフトの摺動部での焼付発生を防止することができる等の効果を得ることができる。
本発明に係る一実施形態のクランクシャフトの構成を表す側断面図である。 図1に示すクランクシャフトのクランクピン部の拡大構成を表す側断面図である。 (A),(B)は、図1に示すクランクピン部に形成された孔部の構成を表す正面図である。 孔部形成による軽量化による効果を説明するためのアーム部の概略構成図である。 (A)〜(C)は、各種方法により形成した孔部の形状を表す断面図である。 (A)〜(C)は、各種方法により形成した孔部の形状の実験例あるいは比較実験例の写真である。 クランクシャフトの素材の体積を適切に設定した場合に形成した孔部の実験例を表す写真である。 鍛造クランクシャフトに形成されているファイバーフローを表し、(A)は機械加工前の鍛造クランクシャフト中のファイバーフローの概念図、(B)は機械加工後の鍛造クランクシャフト中のファイバーフローの概念図である。 鍛造により鍛造クランクシャフトに形成した孔部近傍のファイバーフローの概念図である。 鍛造により孔部を形成した鍛造クランクシャフトの状態を表す写真であり、(A)は孔部を含むアーム部の状態を表す写真、(B)は孔部の状態を表す写真である。 孔部を形成していない比較実験例のクランクピン部を表し、(A)はクランクピン部を表す全体写真、(B)は孔部の表面からの深さが10mmである箇所の断面組織を表す光学顕微鏡写真である。 孔部を鍛造により形成した本発明の実験例のクランクピン部を表し、(A)はクランクピン部を表す全体写真、(B)は孔部の表面からの深さが10mmである領域の断面組織を表す光学顕微鏡写真である。 孔部を鍛造により形成した本発明の実験例のクランクピン部を表し、フィレット部の表面から3mm以内の領域の縦断面組織を表す光学顕微鏡写真である。
(1)クランクシャフトの構成
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る一実施形態のクランクシャフト100の構成を表す断面図である。クランクシャフト100はジャーナル軸部111を備え、ジャーナル軸部111には、それと平行なクランクピン部113がアーム部112により連結されている。
アーム部112にはカウンタウェイト部112Aが形成され、カウンタウェイト部112Aのジャーナル軸部111に対する形成位置は、クランクピン部113の接続箇所の反対側である。クランクピン部113の両側には中空状の孔部113A,113Bが形成されている。クランクピン部113とアーム部との境界部におけるジャーナル軸部111の軸線側の表面には、フィレット部114A,114Bが形成されている。
ジャーナル軸部111には、その表面にオイルを供給するジャーナル軸用貫通孔121が形成されている。クランクピン部113には、その表面にオイルを供給するピン用貫通孔122が形成されている。ジャーナル用貫通孔121とピン用貫通孔122はオイル流路123により接続されている。ジャーナル用貫通孔121内のオイルは、オイル流路123を通じてピン用貫通孔122からクランクピン113部表面へ供給される。オイル流路123の開口には、その開口を閉塞する栓124が固定されている。オイル流路123は、孔部113A,113Bの形成後に加工されている。
(2)孔部の構成
(A)孔部とオイル流路との配置関係による冷却効果
図2は、図1に示すクランクシャフト100のクランクピン部113の拡大構成を表す側断面図である。図3(A),(B)は、クランクピン部113に形成された孔部113A,113Bの構成を表す正面図である。
孔部113Aは底面131および開口縁132を有し、底面131と開口縁132の間には側面133が形成されている。孔部113Aでは、オイル流路123に最も近接する底面131がオイル流路123に略平行に延在している。孔部113Bは底面141および開口縁142を有し、底面141と開口縁142の間には側面143が形成されている。孔部113Bの側面143は、オイル流路123に最も近接する側面143Aを有し、側面143Aはオイル流路123に略平行に延在している。
このように孔部113A,113Bにおけるオイル流路123に最も近接する底面131および側面143Aは、オイル流路123に略平行に延在しているので、それら面131,143Aとオイル流路123との間の壁部が薄くなり、かつアーム部112の表面積が大きくなる。このような孔部113A,113Bの形成によりアーム部112の放熱性が向上する。この場合、オイル流路123に最も近接している一面131,143Aにおけるその面積を二分する直線はオイル流路123に略平行に延在し、一面132,143Aが、その直線を中心にしてオイル流路123を取り囲む形状をなしていることが好適である。
(B)軽量化による効果
中空状の孔部113A,113B形成によりクランクシャフト100の軽量化を図ることができることはもちろんのこと、次のような効果を得ることができる。図4は、孔部形成による軽量化による効果を説明するためのアーム部112の概略構成図である。なお、図4には、孔部113A,113Bの図示は省略している。
中空状の孔部113A,113B形成により鍛造金型への投入材料の削減を図ることができる。また、中空状の孔部113A,113B形成によりカウンタウェイト部112Aの高さH(図4)を低くすることにより、鍛造時の金型への負荷を低減することができ、その結果、型命数を向上させることができる。以上のことから、鍛造コストの低減を図ることができる。このような孔部113A,113B形成による軽量化による効果を考慮すると、孔部113A,113Bは、次のような形状を有することが好適である。
従来の孔部では、断面形状が円形状あるいは楕円形状に設定され、底面が平坦に設定されていた。これに対して、本実施形態のクランクシャフト100では、クランクピン部113のジャーナル軸部111に対する接続箇所の反対側にカウンタウェイト部112Aが形成されていることから、クランクピン部とカウンタウェイト部112Aとのバランスが得られる位置に孔部113A,113Bを形成することが好適である。
クランクピン部113とカウンタウェイト部112Aとのバランス量は、クランクピン部側の重量W1,重心位置R1およびカウンタウェイト部側重量W2,重心位置R2(図4)とすると、W1×R1=W2×R2と表される。カウンタウェイト部112Aはダイナミックバランスを確保する部位であるから、ジャーナル軸部111に対する反対側のクランクピン部113が軽量になると、それに伴い、カウンタウェイト部112Aの軽量化を図ることが可能となる。これにより、クランクピン部113への孔部113A,113Bの形成位置は、重心位置が外側に配置されるようにジャーナル軸部111側に設定するとともに、オイル流路123の配置に適した孔部113A,113Bの断面形状、深さ、および、底面位置を設計することにより、軽量化による大きな効果(鍛造コスト低減)が得られる孔部113A,113B形状が決定される。
(C)鍛造による効果
(C−1)孔部の開口縁での曲面形状形成
仮に孔部の断面が円形状あるいは楕円形状をなし、孔部の底面がフラットである場合、従来技術の機械加工による孔部形成は、短時間での加工が可能である。しかしながら、従来技術の機械加工では、大きな軽量化効果を得ることができる本実施形態の孔部113A,113Bの形成には多くのマシニングセンタと各種ドリルが必要になるため、製造コストが増大し、加工時間が長くなる。また、機械加工による孔部形成では、図5に示すように、孔部の間口縁132,142がエッジになってしまう。このような孔部113A,113Bの開口縁132,142でのエッジ形成による応力集中を防止するために、手作業による磨き工程を孔部の間口縁132,142に行う必要があるため、工程数が増大する。
図5(A)は、機械加工により形成した孔部113A,113Bの形状を表す断面図である。上記のような機械加工の場合には、孔部113A,113Bの間口縁132,142がエッジとなることを図6(A)に示すように比較実験例で確認している。図6(A)は、機械加工により形成した孔部113Bの比較実験例(図中の枠内の孔部)を表す写真である。
これに対して本実施形態では孔部113A,113Bを鍛造成形により形成している。鍛造成形では、垂直方向に移動する側方成形用パンチを有する上下分割型を備えた鍛造装置を用いる。鍛造装置では、下型にクランクシャフトの素材を配置し、プレスラムにより上型を下型に向けて移動させることにより、上下分割型内にクランクシャフトの素材を閉塞するとともに、側方成形用パンチをクランクピン部へ挿入する。これにより、中空状の孔部113A,113Bを有するクランクシャフト100が得られる。この場合、側方成形用パンチの駆動源としては、サーボモータや油圧手段に比べて機構が簡単で、ダイセットの外部への設置が不要で、かつプレスのラムの動作にリニアに追従することを可能とするカム機構を使用することが好適である。
このような鍛造による孔部形成は、側方成形用パンチの挿入により行うことができるから、孔部113A,113Bの形状はパンチの形状により決定することができる。したがって、機械加工による孔部形成と比較して、孔部113A,113Bの形状の自由度が高くなり、かつ製造コストを低減することができる。
ここで、クランクシャフトの素材の体積が過剰である場合、図5(C)に示すように、上下分割型の閉塞時に孔部113A,113Bの間口縁132,142でバリBが発生する。図5(C)は、クランクシャフトの素材の体積を過剰に設定した場合に形成した孔部113A,113Bの形状を表す断面図である。上記のような条件設定の場合には、孔部113A,113Bの間口縁132,142でバリBが発生することを図6(C)に示すように比較実験例で確認している。図6(C)は、クランクシャフトの素材の体積を過剰に設定した場合に形成された孔部113A,113Bの比較実験例を表す写真(左側が孔部113Aの写真、右側が孔部113Bの写真)である。
そこで本実施形態では、孔部113A,113Bの間口縁132,142でのバリ発生を防止するために、孔部形成前の体積を予め予測し、かつ応力緩和機能を有するフィレット部の形成が可能なように制御した上で鍛造を行う。これにより、図5(B)に示すように、孔部113A,113Bは、応力集中を防止することができるダレ形状を有することができる。図5(B)は、クランクシャフトの素材の体積を適切に設定した場合に形成した孔部113A,113Bの形状を表す断面図である。上記のような条件設定の場合には、孔部113A,113Bがダレ形状を有することを図6(B)に示すように本発明の実験例で確認している。図6(B)は、素材の体積を適切に設定した場合に形成された孔部113A,113Bの実験例を表す写真(左側が孔部113Aの写真、右側が孔部113Bの写真)である。
図7は、クランクシャフトの素材の体積を適切に設定した場合に形成した孔部113A,113Bの実験例を表す正面写真(左側が孔部113Aの写真、右側が孔部113Bの写真)である。図7に示す孔部の開口縁の曲率変形を計測した結果、領域aでは曲率半径が1.0〜2.0、領域bでは曲率半径が1.0〜1.5、領域cでは曲率半径が1.0〜1.5、領域dでは曲率半径が1.5〜2.5、領域eでは曲率半径が1.0〜1.5、領域fでは曲率半径が1.0〜1.5、領域gでは曲率半径が1.0〜1.5、領域hでは曲率半径が2.5〜4.0であった。このように本発明の実験例では、曲率半径が1.0〜4.0程度のフィレット部を形成することができることを確認した。
(C−2)ファイバーフローの形成
図8(A)は、鍛造により成形されるクランクシャフト10に形成されているファイバーフローを表し、(A)は機械加工前のクランクシャフト10中のファイバーフローの概念図、(B)は機械加工後のクランクシャフト10中のファイバーフローの概念図である。図9は、クランクシャフト10に鍛造により形成した孔部13A近傍のファイバーフローの概念図である。なお、図中の符号12はアーム部、符号13はクランクピン部、符号14Aはフレット部を示している。
複数工程の鍛造成形を経て得られる中実のクランクシャフト10では、図8(A)に示すようにファイバーフローが形成されるが、機械加工によって中実のクランクシャフト10に中空状の孔部13A,13Bを成形すると、図8(B)に示すようにファイバーフローが切れてしまう。
これに対して本実施形態の鍛造による孔部13A,13B形成では、図9に示すように、孔部13A,13Bの形状に沿ってファイバーフローが新たに生成する。したがって、機械加工による削孔品に比べて、耐摩耗性が向上する。このように本実施形態では、図1に示す孔部113A,113Bを鍛造成形により形成することにより、耐摩耗性の向上を図ることができる。図10は、鍛造により孔部13Aを形成したクランクシャフト10の状態を表す写真であり、(A)は孔部13Aを含むアーム部10の状態を表す写真、(B)は孔部13Aの状態を表す写真((A)の矩形状で囲まれた部分の拡大写真)である。図10から判るように、本発明の実験例では、孔部の形状に沿ってファイバーフローが新たに生成することを確認した。
(C−3)組織の微細化
図1,2に示すフィレット部114A,114B(図9では符号14A)は、クランクシャフト100回転時にコンロッド(図示略)が当接する部位であるから、捻り応力や曲げ応力が集中しやすい。そこでフィレット部114A,114Bを強化するために、ロール加工法や、高周波焼き入れ法、窒化等が行われている。
しかしながら、鋼材への窒化処理では、フェライト部がパーライト部に比べて窒素が進入しやすい。このため、フェライト粒およびパーライト粒が粗大化した組織を窒化処理した場合、組織状態に応じて窒化層が形成されるため、硬化深さに大きな差異が生じる。
窒化層が表面から深く、かつ硬質である場合、疲れ限度が高くなるが、上記のように窒化層表面からの深さに差異があるとき、強度分布が不均一となり、かつ強度低下が生じる。また、窒化層の深い部分には、曲げ矯正時に応力が集中して割れが生じやすくなるため、フェライト部の結晶粒とパーライト部の結晶粒の両方を極力微細化し、窒化処理後の硬化深さを均一にする必要がある。
本実施形態では、孔部形成を鍛造によって行うことにより、クランクピン部113における孔部113A,113B周辺部において、孔部113A,113Bの形状に沿って組織を微細化している。そのような組織は、鍛造による孔部113A,113Bの形成によってフィレット部114A,114Bまで微細化されることで、窒化層が表面から深い領域まで均一に入りやすくなる。
フィレット部114A,114Bまでの組織を微細化するために、孔部113A,113Bの延在方向がフィレット部114A,114Bに交差することが好適である。この場合、クランクピン部113におけるジャーナル軸部111の軸線を含む断面において、孔部113A,113Bの断面積を2分する直線(図9では符号l)がクランクピン部113のジャーナル軸部111側表面を通過するように孔部113A,113Bの形状を設定することがより好適である。
図11は、孔部を形成していない比較実験例のクランクピン部を表し、(A)はクランクピン部を表す全体写真、(B)は孔部の表面からの深さが10mmである箇所の断面組織を表す光学顕微鏡写真である。図12は、孔部を鍛造により形成した本発明の実験例のクランクピン部を表し、(A)はクランクピン部を表す全体写真、(B)は孔部の表面からの深さが10mmである領域の断面組織を表す光学顕微鏡写真である。実験例および比較実験例では、ともにフェライト部とパーライト部から構成される組織(窒化処理層を除く)が形成されていたが、孔部を鍛造により形成した本発明の実験例の組織は、図11,12から判るように、孔部を形成していない比較実験例と比べて微細化されていることを確認した。
図13は、孔部を鍛造により形成した本発明の実験例のクランクピン部を表し、フィレット部の表面から3mm以内の領域X(図9、ただし軟窒化処理層を除く)の縦断面組織を表す光学顕微鏡写真である。図13から判るように、フェライト部の結晶粒の平均寸法は、孔部を形成しない比較実験例と比較して、2〜3割程度微細化されたことを確認した。また、鍛造時に1000度程度で組織微細化を行うことにより、疲労強度の向上を図ることができることを確認した。
以上のように本実施形態では、孔部113A,113Bにおけるオイル流路123に最も近接している底面131,側面143Aは、オイル流路123に略平行に延在しているので、それら面131,143Aとオイル流路123との間の壁部が薄くなり、かつクランクピン部113が連結されているアーム部112の表面積が大きくなる。したがって、アーム部112の放熱性が向上するので、内燃機関の高負荷運転時における燃焼室周囲が高温となった場合でも、オイル流路123を流通するオイルの温度を低下させることができる。その結果、オイル粘性の向上を図ることができるので、クランクシャフト100の摺動部での焼付発生を防止することができる。
特に、孔部113A,113Bの形成を鍛造成形により行っているので、機械加工とは異なり、孔部113A,113Bの開口縁132,142でのエッジ形成を防止することができるので、応力集中防止のための手作業による磨き工程が不要となる。したがって、製造工程数を低減することができる。また、孔部113A,113Bの形状に沿ってファイバーフローが新たに生成するから、機械加工による削孔品に比べて、耐摩耗性が向上する。
このような鍛造成形では、クランクピン部113におけるジャーナル軸部111の軸線を含む断面において、孔部113A,113Bの断面積を2分する直線がクランクピン部113のジャーナル軸部111側表面を通過するように孔部113A,113の形状を設定することにより、クランクピン部113のジャーナル軸部111側表面の組織を微細化することができるので、疲労強度を向上させることができる。
100…クランクシャフト、111…ジャーナル軸部、112…アーム部、113…クランクピン部、13A,113A,113B…孔部、14A,114A,114B…フィレット部、131…底面(一面)、143A…側面(一面)、123…オイル流路、l…直線

Claims (2)

  1. クランクピン部と、
    前記クランクピン部の表面に形成された中空状の孔部と、
    前記クランクピン部の内部に形成されたオイル流路とを備え、
    前記孔部における前記オイル流路に最も近接している一面は、前記オイル流路に略平行に延在し、
    前記孔部は、鍛造成形された孔部であり、
    前記クランクピン部におけるジャーナル軸部の軸線を含む断面において、前記孔部の底辺の線分を2分するとともに前記孔部の側面に平行である直線は、前記クランクピン部の前記ジャーナル軸部側表面を通過することを特徴とするクランクシャフト。
  2. クランクピン部と、前記クランクピン部の内部に形成されたオイル流路とを備えたクランクシャフトの製造方法において、
    前記クランクピン部の表面に中空状の孔部を形成し、
    前記クランクピン部内部に前記孔部を回避して前記オイル流路を加工し、
    前記孔部の形成では、前記孔部における前記オイル流路に最も近接している一面が前記オイル流路に略平行に延在するように前記孔部の形状を設定し、
    前記孔部の形成を鍛造成形により行い、
    前記クランクピン部におけるジャーナル軸部の軸線を含む断面において、前記孔部の底辺の線分を2分するとともに前記孔部の側面に平行である直線が、前記クランクピン部の前記ジャーナル軸部側表面を通過するように前記孔部の形状を設定することを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
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