JP2006136921A - ダイカスト金型およびその熱処理方法 - Google Patents

ダイカスト金型およびその熱処理方法 Download PDF

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淳 金川
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Abstract

【課題】大きな凹凸部を含むキャビティ面を有していても、ヒートクラックや大割れが発生し難いダイカスト金型およびこれを得るためのダイカスト金型の熱処理方法を提供する。
【解決手段】キャビティ面2、係るキャビティ面2とほぼ対抗するキャビティバック面3、および係るキャビティバック面3に基端が開口し且つ先端4a,6aがキャビティ面2付近に位置する冷却水孔4,6を含むダイカスト金型の熱処理方法であって、ダイカスト金型の全体を焼入れおよび焼戻し処理する工程と、その後に行う、上記キャビティバック面3寄りの部分を再焼戻し処理する工程、および上記冷却水孔4,6の先端4a,6aの内面近傍を局部的に再焼戻し処理する工程と、を含む、ダイカスト金型の熱処理方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、キャビティ面付近を所要の硬度に保ち且つ内部の冷却水孔の先端付近で大割れが生じにくいダイカスト金型、およびこれを得るための熱処理方法に関する。
アルミニウム合金やマグネシウム合金を鋳造するためのダイカスト金型は、前記合金の溶湯を高圧でキャビティに鋳造することで、当該キャビティに倣った形状の精密な鋳造品を提供することができる。
係るダイカスト金型では、上記高圧の鋳造を繰り返して行うため、キャビティ面付近を所要の硬度に保って耐ヒートクラック(ヒートチェック)性を良好にすると共に、当該金型内部の硬度を低くして内部に形成した冷却水循環用孔(以下、冷却水孔という)の先端付近で大割れしない、という特性が求められている。
前記のようなヒートクラックの発生を十分に抑制し且つ冷却水孔の先端付近での大割れを防ぐため、金型全体を焼き入れ・焼き戻し処理した後、当該金型の型彫面(キャビティ面)と反対側の面から厚さ方向に部分的に再焼き戻し、係る硬度を下げた反対側の部分に冷却水通路(冷却水孔)を配置したダイカスト金型が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2687055号公報(第1〜5頁、図1)
しかしながら、前記ダイカスト金型では、冷却水孔の先端をキャビティ面の付近に位置させた場合、キャビティ面と反対側の面から所定の厚さで再焼き戻しても、キャビティ面近傍の硬度を高くしているため、冷却水孔の先端の内面近傍には、上記再焼き戻しを施すことができない。特に、キャビティ面の凹凸が大きい場合、係る傾向が顕著になる。このため、冷却水孔に冷却水を循環供給している間に、係る冷却水孔の先端の内面近傍から大割れが当該ダイカスト金型の内部に向かって発生し易くなる、という問題があった。
本発明は、前記背景技術おける問題点を解決し、大きな凹凸部を含むキャビティ面を有していても、ヒートクラックや大割れが発生し難いダイカスト金型およびこれを得るためのダイカスト金型の熱処理方法を提供する、ことを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
本発明は、前記課題を解決するため、キャビティ面付近に位置する冷却水孔の先端近傍にも再焼き戻しを確実に施す、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明のダイカスト金型(請求項1)は、キャビティ面、係るキャビティ面とほぼ対抗するキャビティバック面、および係るキャビティバック面に基端が開口し且つ先端が上記キャビティ面付近に位置する冷却水孔を含むダイカスト金型であって、ダイカスト金型の全体を焼入れおよび焼戻し処理して当該金型全体の硬度を上げた後、上記キャビティバック面寄りの部分および上記冷却水孔の先端付近を局部的に再焼戻し処理して、キャビティバック面寄りの部分および冷却水孔の先端の内面近傍における硬度をキャビティ面近傍の硬度よりも少なくとも50HMV以上低くしている、ことを特徴とする。
これによれば、キャビティ面近傍は、良好な耐ヒートクラック性の硬度を有すると共に、キャビティ面の付近に達する冷却水孔の先端の内面近傍およびキャビティバック面寄りの部分は、上記硬度よりも少なくとも50HMV以上低くなっている。このため、キャビティ面は、アルミニウム合金やマグネシウム合金の溶湯を高圧で受けてもヒートクラックが発生しないと共に、冷却水孔に冷却水を循環供給しても、その基端および先端を含む内面の近傍全体が比較的軟質層であるので、先端の内面近傍での大割れを生じることがない。従って、ヒートクラックや大割れが発生しにくく、生産性および耐久性に優れたダイカスト金型とすることができる。
尚、前記硬度差が50MVH未満になると、冷却水孔の先端付近で大割れを生じおそれがあるため、係る範囲を除いたもので、望ましい硬度差は、80MVH以上、より望ましい硬度差は、100MVH以上である。
また、前記キャビティ面は、鋳造すべき3次元形状が型彫りされ且つ各種の凹凸部を含む成形面である。更に、前記キャビティ面付近とは、当該キャビティ面から約5〜40mmの位置を指す。また、前記近傍とは、キャビティバック面または冷却水の先端の内面から約1〜2mmまでの位置を指す。更に、前記キャビティバック面寄りの部分は、上記キャビティ面付近を除いた金型の残りの部分全体を指す。加えて、本発明のダイカスト金型は、例えば熱間金型用鋼(SKD鋼種、またはSKT鋼種)を型彫りしたものが用いられる。
一方、本発明における第1のダイカスト金型の熱処理方法(請求項2)は、キャビティ面、係るキャビティ面とほぼ対抗するキャビティバック面、および係るキャビティバック面に基端が開口し且つ先端が上記キャビティ面付近に位置する冷却水孔を含むダイカスト金型の熱処理方法であって、ダイカスト金型の全体を焼入れおよび焼戻し処理する工程と、その後に行う、上記キャビティバック面寄りの部分を再焼戻し処理する工程、および上記冷却水孔の先端の内面近傍を局部的に再焼戻し処理する工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、ダイカスト金型は、焼入れ・焼戻し処理によりほぼ全体に所要の硬度および靭性を付与され、次いで、キャビティバック面寄りの部分を再焼戻し処理されて、冷却水孔の基端や中間付近を含む当該部分の硬度を下げられる。更に、冷却水孔の先端の内面近傍を局部的に再焼戻し処理されることで、係る内面近傍の硬度も確実に下げることができる。従って、前述した耐ヒートクラック性や耐大割れ性に優れ、生産性および耐久性に優れたダイカスト金型を確実に提供することが可能となる。
尚、前記キャビティバック面寄りの部分の再焼戻し処理は、例えば係る部分を後述するソルト浴中に浸漬することで行える。また、冷却水孔の先端の内面近傍を局部的に再焼戻しする処理は、例えば、当該冷却水孔に先端寄りにコイル部分を有し且つ全体が細長い誘導コイルを挿入し、高周波電流を通電して、先端の内面を加熱して軟化させる方法が用いられる。更に、キャビティバック面寄りの部分を再焼戻し処理する工程と、冷却水孔の先端の内面近傍を局部的に再焼戻し処理する工程とは、何れを先に行っても良い。
また、本発明における第2のダイカスト金型の熱処理方法(請求項3)は、キャビティ面、係るキャビティ面とほぼ対抗するキャビティバック面、および係るキャビティバック面に基端が開口し且つ先端が上記キャビティ面付近に位置する冷却水孔を含むダイカスト金型の熱処理方法であって、ダイカスト金型の全体を焼入れおよび焼戻し処理する工程と、その後に行う、上記キャビティバック面寄りの部分および上記冷却水孔の先端の内面近傍を同時に再焼戻し処理する工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、ダイカスト金型は、焼入れ・焼戻し処理によりほぼ全体に所要の硬度と靭性とを付与された後、キャビティバック面寄りの部分および上記冷却水孔の先端の内面近傍を同時に再焼戻しされるため、再焼き戻し処理を少ない工数にして、所要の金型部分の硬度を低下させて軟質化することができる。
更に、本発明には、前記再焼戻し処理は、前記キャビティ面寄りの部分を除いたダイカスト金型の各部をソルト浴に浸漬することで行うものである、ダイカスト金型の熱処理方法(請求項4)も含まれる。これによれば、キャビティバック面寄りの部分に対する再焼き戻し処理を、正確に且つ効率良く施すことができる。
尚、上記キャビティ面寄りの部分は、キャビティ面近傍およびこれに隣接する内側の部分を指す。また、上記ソルトは、塩化カルシウムに食塩を添加したもの、これらにシアン化ナトリウムを更に添加したもの、あるいは、塩化カルシウムに食塩、塩化カリウム、および塩化バリウムを添加したものや、硝酸ナトリウム:100wt%、亜硝酸ナトリウム:100wt%、硝酸ナトリウム:50wt%と亜硝酸ナトリウム:50wt%からなるものなどであり、且つ融点が約200〜500℃のものである。
加えて、本発明には、前記再焼戻し処理に先だって、前記冷却水孔に溶融したソルトを予め充填し且つ固化する予備工程を有する、ダイカスト金型の熱処理方法(請求項5)も含まれる。これによれば、前記第2の熱処理方法における再焼き戻し処理を、正確に且つ効率良く施せると共に、当該処理の工数の低減にも貢献できる。尚、上記ソルトを充填する温度は、当該ソルトの融点直上の温度で且つ焼き戻し温度帯よりも低温の温度域である。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明のダイカスト金型1を示す概略の断面図である。
ダイカスト金型1は、熱間金型用鋼(例えば、JIS:SKD61相当)からなり、図1に示すように、キャビティ面2、係るキャビティ面2とほぼ対抗するキャビティバック面3、および係るキャビティバック面3に基端が開口し且つ先端4a,6aがキャビティ面2付近に位置する冷却水孔4,6を含んでいる。
図1に示すように、冷却水孔4は、キャビティバック面3に対し直角に形成され、冷却水孔6は、キャビティバック面3に対し斜めに形成されている。
キャビティ面2は、凸部2aや凹部2b,2c,2d,2eなどを含む3次元形状を呈し、例えば車両用ホイールやエンジン用シリンダブロックなどを鋳造するために型彫りされた成形面である。係るキャビティ面2とキャビティバック面3との間には、数cm乃至数10cmの厚み(距離)がある。
即ち、ダイカスト金型1は、キャビティ面2やキャビティバック面3を含む6面体であり、図示しない対となるダイカスト金型や、所要のキャビティを包囲して形成する図示しない5個のダイカスト金型と共に、ダイカスト鋳造に供される。
また、冷却水孔4,6は、内径約10mmの円柱形で、使用時には、図示しない小径の銅パイプが同軸心で先端4a,6aの直前まで挿入され、係る銅パイプから送水される冷却水が循環して供給される。冷却水孔4,6の先端4a,6aは、キャビティ面2における最短の位置から10〜30mmの距離にある。
尚、図1に示すように、冷却水孔4の中間には、図示の前後方向に位置する冷却水孔(図示せず)に冷却水を送水などするための横孔5が開口している。
更に、図1に示すように、ダイカスト金型1において、キャビティ面2寄りには、これに沿って高硬度部7が分布し、キャビティバック面3寄りの部分と冷却水孔4,6の大半の部分には、低硬度部8が分布している。しかも、キャビティ面2付近に位置する冷却水孔4,6の先端4a,6aの内面近傍とその周囲にも、局部的な低硬度部9,9が分布している。
キャビティ面2の凸部2aや凹部2b〜2eなどの表面から約1〜2mmの深さまで(キャビティ面近傍)を含む位置に分布する高硬度部7は、約470〜480HMVの硬度である。
これに対し、冷却水孔4,6における先端4a,6aの内面から約1〜2mmの深さまで(内面近傍)の低硬度部9は、約300〜360HMVの硬度であり、上記キャビティ面2近傍の高硬度部7よりも100HMV以上低い硬度とされている。
また、低硬度部8は、キャビティバック面3近傍の位置では約320HMVと低く、キャビティ面2側に向かって徐々に高くなり、上記高硬度部7に隣接する位置では約380HMVの硬度である。従って、低硬度部8も、前記キャビティ面2の近傍よりも少なくとも50HMV以上低い硬度とされている。
後述するように、高硬度部7は、前記熱間金型用鋼に焼き入れ・焼き戻し処理を施し、キャビティ面2が例えばアルミニウム合金の溶湯による約1000kg/cmの高圧に耐える硬度および靭性を付与するために、生じたものである。
これに対し、低硬度部8,9は、上記焼き入れ・焼き戻し処理の後、更に再度の焼き戻しを施し、高硬度部7よりも少なくとも50HMV以上低い硬度としたものである。このため、冷却水孔4,6の先端4a,6aの内面近傍において、ダイカスト鋳造に伴うキャビティ面2からの伝熱と循環する冷却水との温度差による大割れが生じにくくなる。
従って、以上のようなダイカスト金型1によれば、耐ヒートクラック性や耐大割れ性に優れ、且つ鋳造の生産性および耐久性に優れたダイカスト金型となる。
ここで、前記ダイカスト金型1を得るための本発明における第1の熱処理方法を説明する。予め、熱間金型用鋼(SKD61相当)からなる素材を型彫りしてキャビティ面2を形成すると共に、キャビティバック面3からの孔明け加工により冷却水孔4,6を穿設したダイカスト金型を用意する。係るダイカスト金型の全体に対し、焼き入れ処理(約1030℃に加熱した後に急冷)および焼き戻し処理(約570〜620℃の加熱を2〜3回繰り返す)を施す。
この結果、図2に示すように、上記各処理工程後におけるダイカスト金型S1の全体は、約460〜480HMV程度の高硬度部7となる。
次に、図3中の一点鎖線で示すように、塩化カルシウム:75wt%と食塩:25wt%とからなり、約700℃に溶けたソルト浴s中に、ダイカスト金型S1のうち、キャビティ面2寄りの部分がソルトのs液面L上に出ると共に、キャビティバック面3寄りの部分を浸漬し、約2時間保持する再焼き戻し処理を施す。
その結果、図3に示すように、ソルト浴s中に浸漬されたダイカスト金型S2のうち、再焼き戻し処理されたキャビティバック面3寄りの部分は、約320〜380HMVの低硬度部8となる。係るダイカスト金型S2において、冷却水孔4,6の先端4a,6aの内面近傍とその周囲は、高硬度部7のままである。
更に、図4に示すように、ダイカスト金型S2の冷却孔4に、先端に螺旋形状のコイル部分を有する高周波誘導コイルcを挿入し、当該コイルcに高周波電流(約3000Hz)を数秒〜数分間通電する。尚、係るコイルcの中心部には、図示しない冷却水の通水路が内蔵されている。
すると、高周波誘導コイルcのコイル部分が接近する冷却孔4における先端4aの内面近傍には、磁束を介して渦電流が流れるため、係る先端4aの内面近傍およびその周囲には、局部的な再焼き戻し処理が施される。この結果、図4に示すように、冷却孔4の先端4aの内面近傍とその周囲が、約300〜360HMVの低硬度部9となったダイカスト金型S3となる。
そして、図5に示すように、ダイカスト金型S3の冷却孔6に、高周波誘導コイルcを挿入した後、上記と同様に再焼き戻し処理を施す。この結果、図5に示すように、冷却孔6の先端6aの内面近傍とその周囲が、低硬度部9となったダイカスト金型S4となるため、前記ダイカスト金型1を得ることができる。
尚、冷却孔4,6以外にも先端がキャビティ面2付近に位置する図示しない冷却孔がある場合には、これらにも上記同様に局部的な再焼き戻し処理を施す。
以上のような第1の熱処理方法によれば、キャビティ面2付近に冷却水孔4,6の先端4a,6aが位置していても、キャビティバック面3寄りの部分および冷却水孔4,6における先端4a,6aの内面近傍の硬度を、キャビティ面2近傍の硬度よりも少なくとも50HMV以上低くしたダイカスト金型1を確実に得ることができる。
尚、前記高周波誘導コイルcに替えて、先端部が半球形状で全体が細長いと共に、内部に冷却水路を有する熱処理治具を前記冷却水孔4,6に挿入し、係る先端部を先端4a,6aに接触させた状態で、当該治具に高周波電流を通電しても、前記同様の局部的な再焼き戻し処理を施すことが可能である。
ここで、本発明の具体的な実施例について、比較例と併せて説明する。
同じ熱間金型用鋼(SKD61相当)からなり、前記キャビティ面2、前記キャビティバック面3、および前記冷却水孔4,6を含み、且つ寸法が同じ2個のダイカスト金型を用意した。
係る2個のダイカスト金型の全体に対し、同じ焼き入れ処理(1030℃に加熱した後に急冷)と焼き戻し処理(600℃の加熱を3回繰り返す)をそれぞれ施し、全体が高硬度部7からなる2個のダイカスト金型S1とした。
次に、塩化カルシウム:75wt%と食塩:25wt%とからなり、且つ700℃に溶けたソルト浴s中に、ダイカスト金型S1のうち、キャビティ面2寄りの部分を除き、キャビティバック面3寄りの部分を浸漬し、2時間保持する再焼き戻し処理をそれぞれ施して、前記低硬度部8と高硬度部7とを併有する2個のダイカスト金型S2とした。このうちの1個は、比較例のダイカスト金型S2とした。
残り1個のダイカスト金型S2における冷却水孔4,6に、前記誘導コイルcを順次挿入し且つ高周波電流(3000Hz)を1分間通電し、冷却水孔4,6における先端4a,6aの内面近傍とその周囲に対し、局部的な再焼き戻し処理を施し、前記低硬度部9,9を有する実施例のダイカスト金型1とした。
実施例のダイカスト金型1と比較例のダイカスト金型S2とについて、冷却水孔4の中心軸に沿って切断し、キャビティ面2における同じ位置の表面からキャビティバック面3側に10mmの距離(深さ)まで、複数の箇所にマイクロビッカース(MV)を順次当接させ、各位置におけるHMVを測定した。
その結果を、図6のグラフ中に複数の白丸とこれらを結ぶ実線とで示した。
また、実施例のダイカスト金型1と比較例のダイカスト金型S2とにおける各冷却水孔4の先端4aの内面からキャビティ面2側に向かって10mmの距離までの位置に対しても、複数の箇所にマイクロビッカースを個別に当接させ、各例の各位置におけるHMVを測定した。それらの結果も、図6のグラフ中で、複数の白抜き三角形、または黒い三角形とこれらを結ぶ実線とによって示した。
図6のグラフに示ように、実施例のダイカスト金型1と比較例のダイカスト金型S2とおいて、同じキャビティ面2の表面からキャビティバック面3側に10mmの距離までの硬度は、約470〜480HMVでほぼ共通していた。
また、図6のグラフに示ように、実施例のダイカスト金型1における冷却水孔4の先端4aの内面では、約300HMVの硬度であったが、キャビティ面2側に向かって2mmの距離では、約400HMVに上昇し、4mmから10mmまでの距離では、約450〜460HMVの硬度になっていた。
一方、比較例のダイカスト金型S2における冷却水孔4の先端4aの内面およびこれから10mmの距離までは、全て約450〜460HMVとほぼ一定の硬度であった。
比較例のダイカスト金型S2は、キャビティ面2の表面近傍と冷却水孔4の先端4aの内面近傍との間で、約10〜20HMVの硬度差しかないため、前記背景技術にて説明したように、アルミニウム合金の溶湯を繰り返しダイカスト鋳造し且つ冷却水孔4などに冷却水を循環させた場合、大割れが生じるおそれが高い。
これに対し、実施例のダイカスト金型1では、キャビティ面2の表面近傍と冷却水孔4の先端4aの内面近傍とでは、少なくとも50HMV以上の硬度差があるため、上記大割れの発生を抑制することが可能となる。
以上のような実施例のダイカスト金型1により、本発明の効果が確認された。
次に、前記ダイカスト金型1を得るための本発明における第2の熱処理方法を説明する。予め、前記熱間金型用鋼からなり、キャビティ面2、キャビティバック面3、および冷却水孔4,6を形成したダイカスト金型を用意する。
先ず、係るダイカスト金型の全体に対し、前記同様の焼き入れ処理および焼き戻し処理を施して、全体が高硬度部7からなる前記ダイカスト金型S1とする。
次いで、図7に示すように、ダイカスト金型S1を上下逆の姿勢とし、冷却水孔4,6に溶融したソルト(塩化カルシウム:75wt%+食塩:25wt%)s1,s2を充填し且つ常温まで冷却・保持して固化させる予備工程を行う。この際、冷却水孔4,6中に空気が残留しないようにする。
この結果、図7に示すように、冷却水孔4,6にソルトs1,s2が充填されたダイカスト金型S5となる。尚、上記充填時におけるソルトs1,s2の温度は、約500℃で且つ前記熱間金型用鋼を焼き戻ししない温度域である。
更に、図8に示すように、浴槽b内で約700℃に加熱された上記と同じ成分のソルト浴s中に、ダイカスト金型S5のうち、キャビティ面2寄りの部分がソルトsの液面L上に出ると共に、キャビティバック面3寄りの部分を浸漬し、約2時間保持する再焼き戻し処理を施す。この際、先に冷却水孔4,6に充填されたソルトs1,s2は、加熱されて溶けると共に、これらを介して先端4a,6aの内面近傍に、上記ソルトsの熱が伝熱される。
このため、図8に示すように、再焼き戻し処理によりキャビティバック面3寄りの部分が低硬度部8になると同時に、冷却水孔4,6における先端4a,6aの内面近傍とその周囲に対しても、局部的な再焼き戻し処理が施され、これらに低硬度部9がそれぞれ形成される。
その結果、図8に示すように、キャビティ面2寄りの部分を高硬度部7とし、キャビティバック面3寄りの部分および冷却水孔4,6の先端4a,6aの内面近傍を上記高硬度部7よりも少なくとも50HMV以上低い低硬度部8,9としたダイカスト金型S6を得ることができる。
最後に、前記ダイカスト金型S6をソルトsの浴槽bから上方に持ち上げた後、冷却水孔4,6から溶けたソルトs1,s2を流下して除去することにより、前記図1に示したダイカスト金型1を得ることができる。
以上のような第2の熱処理方法によれば、冷却水孔4,6にソルトs1,s2を充填するための予備工程を要するものの、再焼き戻し処理が1回のみで済む。このため、キャビティバック面3寄りの部分および冷却水孔4,6における先端4a,6aの内面近傍の硬度を、キャビティ面2近傍の硬度よりも少なくとも50HMV以上低くしたダイカスト金型1を確実且つ効率良く得ることができる。
本発明は、以上にて説明した各実施形態や実施例に限定されるものではない。
例えば、ダイカスト金型の素材には、前記熱間金型用鋼に限らず、低合金工具鋼、高速度工具鋼などを適用しても良い。
また、本発明のダイカスト金型は、マグネシウム合金のダイカスト鋳造にも適用することができる。
更に、前記再焼き戻しに用いるソルトには、塩化カルシウム:3.75wt%と食塩:25wt%とシアン化ナトリウム:37.5wt%からなるもの、塩化カルシウム:7wt%と食塩:14wt%と塩化カリウム:29wt%と塩化バリウム:50wt%からなるものや、硝酸ナトリウム:100wt%、亜硝酸ナトリウム:100wt%、硝酸ナトリウム:50wt%と亜硝酸ナトリウム:50wt%からなるものなどを用いても良い。
本発明のダイカスト金型を示す概略断面図。 本発明における第1の熱処理方法の一工程を示す概略図。 図2に続く工程を示す概略図。 図3に続く工程を示す概略図。 図4に続く工程を示す概略図。 実施例と比較例のダイカスト金型との硬度の分布を示すグラフ。 本発明における第2の熱処理方法の一工程を示す概略図。 図7に続く工程を示す概略図。
符号の説明
1………………ダイカスト金型
2………………キャビティ面
3………………キャビティバック面
4,6…………冷却水孔
4a,6a……先端
s,s1,s2…ソルト/ソルト浴

Claims (5)

  1. キャビティ面、係るキャビティ面とほぼ対抗するキャビティバック面、および係るキャビティバック面に基端が開口し且つ先端が上記キャビティ面付近に位置する冷却水孔を含むダイカスト金型であって、
    ダイカスト金型の全体を焼入れおよび焼戻し処理して当該金型全体の硬度を上げた後、上記キャビティバック面寄りの部分および上記冷却水孔の先端付近を局部的に再焼戻し処理して、キャビティバック面寄りの部分および冷却水孔の先端の内面近傍における硬度をキャビティ面近傍の硬度よりも少なくとも50HMV以上低くしている、
    ことを特徴とするダイカスト金型。
  2. キャビティ面、係るキャビティ面とほぼ対抗するキャビティバック面、および係るキャビティバック面に基端が開口し且つ先端が上記キャビティ面付近に位置する冷却水孔を含むダイカスト金型の熱処理方法であって、
    ダイカスト金型の全体を焼入れおよび焼戻し処理する工程と、
    その後に行う、上記キャビティバック面寄りの部分を再焼戻し処理する工程、および上記冷却水孔の先端の内面近傍を局部的に再焼戻し処理する工程と、を含む、ことを特徴とするダイカスト金型の熱処理方法。
  3. キャビティ面、係るキャビティ面とほぼ対抗するキャビティバック面、および係るキャビティバック面に基端が開口し且つ先端が上記キャビティ面付近に位置する冷却水孔を含むダイカスト金型の熱処理方法であって、
    ダイカスト金型の全体を焼入れおよび焼戻し処理する工程と、
    その後に行う、上記キャビティバック面寄りの部分および上記冷却水孔の先端の内面近傍を同時に再焼戻し処理する工程と、を含む、
    ことを特徴とするダイカスト金型の熱処理方法。
  4. 前記再焼戻し処理は、前記キャビティ面寄りの部分を除いたダイカスト金型の各部をソルト浴に浸漬することで行うものである、
    請求項2または3に記載のダイカスト金型の熱処理方法。
  5. 前記再焼戻し処理に先だって、前記冷却水孔に溶融したソルトを予め充填し且つ固化する予備工程を有する、
    請求項3または4に記載のダイカスト金型の熱処理方法。
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JP2011218360A (ja) * 2010-04-02 2011-11-04 Toyota Motor Corp 入子のヒートクラック及び割れ防止方法
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